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JP2012006337A - 繊維強化複合材の製造方法 - Google Patents

繊維強化複合材の製造方法 Download PDF

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Yukio Takeuchi
幸生 武内
Kodai Shimono
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

【課題】従来のRFI法よりも樹脂含浸性を向上させるとともに、繊維含有率を高精度で制御可能な繊維強化複合材を製造する。
【解決手段】バッグ材10の一方の面に樹脂フィルム11を接着させる工程と、治具12上に繊維を含有する繊維基材13を積層する工程と、前記繊維基材13に前記樹脂フィルム11が接触するように、前記繊維基材13上に前記樹脂フィルム11が接着された前記バッグ材10を載置する工程と、前記樹脂フィルム11と前記繊維基材13とを互いに接触させた状態で真空雰囲気に保持して、樹脂を前記繊維基材13中に含浸させる工程と、前記樹脂が含浸された繊維基材13を加熱し、前記繊維基材13中に含浸された樹脂を硬化させる工程とを含む繊維強化複合材の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、航空機の舵面や床面、誘導機器の補助翼や先端部などに適用される繊維強化複合材の製造方法に関する。
繊維強化樹脂からなる複合材は、軽量で高強度であるため、航空機などの構造部材として広く用いられている。
繊維強化複合材の製造方法として、真空含浸法、オートクレーブ法、及びRFI法が知られている。
真空含浸法は、ガラス繊維やカーボン繊維などの織物(繊維基材)をバッグフィルムに封入して内部を真空にした後、バッグフィルム内に液状の樹脂を注入して、繊維間に樹脂を含浸させ、樹脂を硬化させる方法である。真空含浸法は、安価に繊維強化複合材を形成できる方法である。しかし、樹脂が含浸しにくく、真空吸引の時間や圧力、求められる複合材の形状などによって、複合材内で繊維含有率にムラが生じやすい(±10%程度)ために、品質をコントロールし難いという欠点がある。
オートクレーブ法は、繊維で強化された樹脂からなるプリプレグをバッグフィルムに封入して、オートクレーブ内で加熱することにより樹脂を硬化させて複合材を形成する方法である。この方法では、繊維含有率を±2〜3%程度に抑えることができ、高品質の製品を製造することができる。しかし、加熱・加圧設備やプリプレグの保存設備などに莫大な投資が必要であり、製造コストが高くなるという欠点がある。
特許文献1に、RFI(レジンフィルムインフュージョン)法による複合材の形成方法が開示されている。RFI法は、治具上に熱硬化性樹脂フィルム及びドライプリフォームを順次積層し、バッグフィルムで封入した後、真空排気して加熱する方法である。RFI法は、オートクレーブ法に比べて製造コストを大幅に削減することができる。
特開2003−11231号公報(請求項1、〔0012〕〜〔0017〕、〔0030〕〜〔0042〕)
RFI法で使用される樹脂フィルムは柔らかいため、折れ曲がりによる破損が生じやすい。従って、特許文献1の方法では、ハンドリング性を考慮して、熱硬化性樹脂フィルムをドライプリフォームの下に配置していた。このため、バッグ内部を真空吸引することによりドライプリフォームが治具と反対側から大気圧にて加圧されながら加熱される。すなわち、樹脂の含浸方向が加圧方向と正反対となる。このために、樹脂が繊維に含浸しにくいという問題があった。
本発明は、従来のRFI法よりも樹脂含浸性を向上させるとともに、繊維含有率を高精度で制御可能な繊維強化複合材の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の繊維強化複合材の製造方法は、バッグ材の一方の面に樹脂フィルムを接着させる工程と、治具上に繊維を含有する繊維基材を積層する工程と、前記繊維基材に前記樹脂フィルムが接触するように、前記繊維基材上に前記樹脂フィルムが接着された前記バッグ材を載置する工程と、前記樹脂フィルムと前記繊維基材とを互いに接触させた状態で真空雰囲気に保持して、樹脂を前記繊維基材中に含浸させる工程と、前記樹脂が含浸された繊維基材を加熱し、前記繊維基材中に含浸された樹脂を硬化させる工程とを含む。
本発明では、繊維基材上に樹脂フィルムを載置した状態で真空雰囲気に保持して、樹脂を繊維基材中に含浸させる。すなわち、樹脂の含浸方向は、大気の加圧方向と一致する。このため、従来技術に比べて樹脂の浸透性を大幅に向上させることができるとともに、繊維含有率のばらつきを抑制することができる。
樹脂フィルムは、バッグ材に接着される。こうすることで、折れ曲がりなどの破損がなく樹脂フィルムの形状を保持した状態で、バッグ材から脱落することなく樹脂フィルムを繊維基材の上から載置することができる。
本発明の製造方法では、バッグ材が真空バッグと同様の機能を有するので、樹脂を含浸させる工程で従来のように真空バッグに収納する必要がない。このため、工程を簡略化できるとともに製造コストを削減することができる。
上記発明において、前記バッグ材が、ゴム製板または化粧板とされることが好ましい。
ゴム製板または化粧板を使用することで、樹脂フィルムの形状を維持させながら、繊維基板と接触させることができる。ゴム製板を用いた場合は、樹脂の含浸及び硬化後に、繊維強化複合材をバッグ材から容易に離型することができる。化粧板を用いた場合は、製品製造後の離型処理が不要になるので、製造工程を簡略化することができる。
本発明によれば、樹脂の含浸方向が加圧方向と一致する。このため、樹脂の浸透性が向上するとともに、繊維含有率を高精度で制御することができる。本発明の繊維強化複合材の製造方法は、樹脂フィルムのハンドリングが良好であり、真空バッグを必要としないため、高品質の繊維強化複合材を容易に製造できるので有利である。
本発明の繊維強化複合材の製造方法を説明する概略図である。
本発明の一実施形態に係る繊維強化複合材の製造方法を、図1を用いて説明する。本実施形態の繊維強化複合材の製造方法は、樹脂フィルム接着工程、繊維基材積層工程、樹脂含浸工程、及び、樹脂硬化工程を備える。
<樹脂フィルム接着工程>
本実施形態で使用されるバッグ材10は、シリコンゴムなどゴム製板、または、化粧板とされる。化粧板は、ガラス繊維をシート状に成形したものであり、例えばオーウェンコーニング社製サーフェシングマット、ユニチカ(株)製ガラスクロスなどが挙げられる。化粧板は、航空機の床材等に使用される。バッグ材10の樹脂フィルムが設置される面は、後述する繊維基材の表面形状と同形状となるように加工される。また、バッグ材10は、剛性を確保するために、図1(a)に示すように厚みが均一であることが好ましい。バッグ材としてゴム製板を使用する場合は、バッグ材10の樹脂フィルム11が配置される面に、Frekote 44−NCなどの離型処理が施されていても良い。
樹脂フィルム11は、接着性を有する熱硬化性樹脂のシートとされ、例えばエポキシ樹脂を半硬化させた物とされる。樹脂フィルムは、設置面の大きさ及び形状に合わせて適宜切断される。
図1(a)に示すように、バッグ材10の一方の面に、バッグ材10の表面形状に沿うように、樹脂フィルム11が配置され、接着される。
設置される樹脂フィルム11の厚さは、製品の繊維含有率に応じて決定する。具体的に、図1(a)のように複雑形状を有する製品を製造する場合、製品の厚みのある部分に樹脂フィルムを厚く設置したり、突起部の側面にも樹脂フィルムを配置したりして、繊維含有率を調整する。また、コーナー部(図1(a)のA)に対応する部分に配置する樹脂フィルムを、平坦部に対応する部分に配置する樹脂フィルムよりも薄くして、コーナー部での繊維含有率の低下を防止する。
また、化粧板をバッグ材に使用する場合、樹脂が化粧板にも浸透する分を考慮して、設置する樹脂フィルムの厚さを決定すると良い。
本工程において、樹脂フィルム11を配置したバッグ材10を加熱しても良い。この場合、樹脂フィルム11上にヒータシートなどの熱源を配置して加熱しても良いし、予め加熱したバッグ材10に樹脂フィルム11を配置しても良い。加熱温度は、30℃〜120℃とされる。こうすることで、樹脂フィルム11が硬化することなく、バッグ材10に確実に接着される。
<繊維基材積層工程>
図1(b)に示すように、金属製の治具12上に、所望の製品形状となるように繊維基材13を積層する。繊維基材は、ガラス繊維やカーボン繊維などの織物とされる。
<樹脂含浸工程>
図1(c)に示すように、治具12上の繊維基材13の周囲にシーラント14を配置する。シーラント14と治具12との間に、あるいは、シーラント14の一部に開口が設けられ、脱気回路(不図示)が接続される。
繊維基材13の上方からバッグ材10を被せ、バッグ材10に接着された樹脂フィルム11を繊維基材13に接触させる。このとき、上述のように樹脂フィルムはバッグ材に接着しているため、繊維基材の上方からバッグ材を被せる際に、バッグ材から剥がれ落ちたり、折れ曲がったり破損することがない。例えば図1のように複雑形状を有する繊維基材を用いる場合、繊維基材の形状に合わせてバッグ材を嵌め込む。バッグ材10は、シーラント14と接触する。
バッグ材10及び治具12の端部に複数の孔が形成されており、各孔にピンを配置することにより、バッグ材10と繊維基材13とが位置合わせされる。あるいは、バッグ材10を透明として、バッグ材10及び治具12の端部に付されたアライメントマークを用い、レーザ照射により位置合わせを実施しても良い。
次いで、脱気回路を通じて、バッグ材10、治具12、及びシーラント14で囲まれた領域内部を10kPa程度まで排気する。真空引きされることにより、バッグ材10(樹脂フィルム11及び繊維基材13)に、バッグ材10から治具12に向かう方向(図1(c)における治具12に対して垂直方向)に大気圧が付与される。加圧された状態で、1時間程度保持する。本工程により、樹脂フィルムを構成する樹脂が、バッグ材10から治具12に向かう方向に、繊維基材13を貫通するように浸透する。この結果、繊維基材13中に確実に樹脂が含浸される。
加圧時の保持温度は室温(約20〜25℃)でも良いし、繊維基材13の板厚が厚い場合には加熱しても良い。加熱温度は、樹脂の硬化温度より低い温度とされる。加熱により樹脂の流動性を高めて、浸透性を向上させることができる。
なお、バッグ材10として化粧板を使用する場合、化粧板内部にも樹脂が含浸される。
<樹脂硬化工程>
樹脂が含浸された繊維基材13を加熱し、樹脂を硬化させる。これにより、繊維強化複合材製品が製造される。加熱硬化時において、治具12及びバッグ材10は繊維基材13と密着された状態とされる。
樹脂硬化温度は、硬化開始(樹脂の粘度が増大に転じる)温度以上であり、樹脂の硬化発熱が開始する温度よりも10℃低い温度とする。例えば、エポキシ樹脂を半硬化させた物を用いた場合は、樹脂硬化温度の上限値は220℃程度とされる。
加熱方法は、バッグ材10上にヒータシートなどの熱源を設置する方法でも良いし、治具乃至バッグ材全体を電気炉に入れ、治具12側から加熱する方法でも良い。電気炉内で加熱する方法を採用する場合は、繊維基材の板厚方向の温度分布を小さくすることができるため、製品の反りなどを抑制することが可能である。
上記工程により製造される繊維強化複合材は、製品内での繊維含有率のばらつきが±5%程度に抑えられている。
バッグ材としてゴム製の板を使用する場合、樹脂硬化工程後、繊維強化複合材をバッグ材及び治具から離型させる。
一方、バッグ材として化粧板を使用する場合は、繊維強化複合材をバッグ材から離型させる必要はない。化粧板にも樹脂が含浸されて硬化されるので、化粧板表面が滑らかになり、美観に優れる。
10 バッグ材
11 樹脂フィルム
12 治具
13 繊維基材
14 シーラント

Claims (2)

  1. バッグ材の一方の面に樹脂フィルムを接着させる工程と、
    治具上に繊維を含有する繊維基材を積層する工程と、
    前記繊維基材に前記樹脂フィルムが接触するように、前記繊維基材上に前記樹脂フィルムが接着された前記バッグ材を載置する工程と、
    前記樹脂フィルムと前記繊維基材とを互いに接触させた状態で真空雰囲気に保持して、樹脂を前記繊維基材中に含浸させる工程と、
    前記樹脂が含浸された繊維基材を加熱し、前記繊維基材中に含浸された樹脂を硬化させる工程とを含む繊維強化複合材の製造方法。
  2. 前記バッグ材が、ゴム製板または化粧板とされる請求項1に記載の繊維強化複合材の製造方法。
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