JP2012088598A - 表示体及びラベル付き物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、基材と、基材の一方の面側に設けられた、凹凸構造形成層と、凹凸構造形成層を被覆する反射層と、を備えた表示体であり、凸部の上面及び凹部の下面が基材面と略平行であり、凹凸構造は、その隣接する凸部同士又は凹部同士の平均配置間隔が1〜3μmの範囲で、ランダムな間隔で配置され、凹凸構造形成層は、直線状と曲線状の凹凸構造領域を備え、曲線状の凹凸構造は、勾配角度を有し、曲線状の凹凸構造領域を構成する凸部上面及び凹部下面の高さ差が、その領域全体で一定であり、かつ0.1μm以上0.5μm以下の範囲であることにより、白色光を曲線状の凹凸構造領域に入射させた際、観察される像は白色光から一部のスペクトル領域の光を除いたおだやかな色で着色される表示体。
【選択図】 図1
Description
しかし、レインボウホログラムは、観察条件の変化が僅かであっても再生像の色が大きく変化するので、画像の色の違いを識別するのが難しい。
このため、異なる画像が記録されているレインボウホログラムであっても、観察者に類似した印象を与えやすく、ホログラム同士では記録されている画像の違いが判別し難い。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、ホログラムと同様に観察条件によって色やパターンが変化するが、レインボウホログラムよりも色変化がゆるやかであり、通常の観察条件では、ほぼ同じ色に見えるような画像表示体を提供することにより、レインボウホログラムと比べて、画像の違いを判別し易い偽造防止媒体を提供することを目的としている。
請求項2の発明は、前記曲線状の凹凸構造領域の凸部の上面及び凹部の下面の高さの差と、前記直線状の凹凸構造領域の凸部の上面及び凹部の下面の高さの差が略同一であることを特徴とする請求項1に記載の表示体である。
請求項3の発明は、前記曲線状の凹凸構造領域の凸部の上面及び凹部の下面の高さの差と、前記直線状の凹凸構造領域の凸部の上面及び凹部の下面の高さの差が異なることを特徴とする請求項1に記載の表示体である。
請求項4の発明は、前記勾配角度を有する領域の凸部または凹部の高さ又は深さが、前記予め用意した画像の画像領域毎に異なることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の表示体である。
請求項5の発明は、前記輝度と前記勾配角度をトレードオフの対応関係にすることを特徴とする1〜4の何れか一項に記載の表示体である。
請求項6の発明は、前記領域における複数の凸部または凹部の占有面積が20%以上80%以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の表示体である。
請求項7の発明は、印刷物基材と、前記印刷物基材の表面の少なくとも一部の領域に設けられた請求項1〜6の何れか一項に記載の表示体とを備えることを特徴とする情報印刷物である。
また、勾配角度を有した凸部または凹部の高さ又は深さが、おだやかな色で着色された像が観察できる程度に一定で、0.1μm以上0.5μm以下にすることにより、所望の色がおだやかな色で再生され、観察条件で画像の色が変化するような、画像表示体を提供することができ、コントラストの高い色を表現することができ、視認性の向上が可能である。さらに、異なる画像が記録されている場合にも、観察者に類似した印象を与えず、記録された画像の違いが判別しやすくなる。
そして、形状が曲線状であることから水平または垂直方向の視域を広げることが可能であり視認性を向上させることができる。
請求項4の発明によれば、画像領域ごとに凸部の高さ(または凹部の深さ)を変化させることで、一つの表示体内で異なる色を表現することが可能である。すなわち、複数の色の表示が可能な表示体を実現できる。
請求項5の発明によれば、曲線の勾配をコントロールすることにより輝度及び視域を調節することが可能で、デザインの表現性が増す。
請求項6の発明によれば、後に記述する式(2)から、凸部または凹部の幅(式(2)の格子線幅Lに相当)はピッチdの半分である時(L=d/2の時)に回折効率が最も高くなる。よって、凸部または凹部の占有面積は50%程度のときが最も明るい表示画像が得られるという顕著な効果を得ることができる。請求項7の発明によれば、本発明の表示体を印刷物やカード、その他の物品に貼りあわせる、または、組み合わせることによって、従来の物品に高い偽造防止効果を付与することが可能となる。
以下に本発明の表示体について図面を用いて、詳細に説明を行う。
図1は、本発明の表示体の一実施例を示す概要図である。
図2は、図1に示す表示体のI−I線に沿った断面図である。表示体10は、UV硬化樹脂によって作製された凹凸構造領域11、12及び凹凸構造のない領域15に隣接して、反射層3が形成され、その上を透明な樹脂層2によって埋められた構成となっている。凹凸構造に積層する反射層の材料は特に限定されないが、可視光に対し高い反射率を示すアルミニウムなどの金属材料を用いることが好ましい。また金属膜層の厚さは光学特性から20〜50nm程度が好ましい。反射層を積層する方法として、金属蒸着等を用いればよい。
凹凸構造領域17a,bは、樹脂層に平行な面内において直線状に凹凸構造が成形されており、深さは0.3umとなっている。また図2の凹凸構造領域11、12は、樹脂層に平行な面内において曲線状に成形されていて、それぞれ深さD1は0.3um,D2は0.2umである。つまり、直線状の凹凸構造領域17aと曲線状の凹凸構造領域11の深さは同じであり、直線状の凹凸構造領域17bと曲線状の凹凸構造領域12の深さは異なっている。また、凹凸構造領域11、12ともに凹凸の配置間隔は異なっており、周期性を持たないようなランダムなものとなっている。図3に図1の領域Aの拡大図を示す。図3は凹凸構造領域17aの凹凸構造が直線状で周期がランダムであり、凹凸構造領域11の凹凸構造が曲線状であり凹凸の間隔に周期性がないことを示している。
このような画像表示体を観察した場合、凹凸構造領域11、12の反射層3で回折された光が目に入るが、この回折光には色が着くため、色のついた画像が観察されることになる。
上記のような凹凸構造は、レーザー等を射出した際にエネルギーが散乱することにより凹凸構造に影響が出ないように電子線レーザー等の荷電粒子ビームによるピンポイントな描画によりレジスト材料に形成することが望ましい。描画したレジスト材料を電鋳することにより金属版を作製することが望ましく、その版を樹脂に加圧し成形する。また、金属板にはUV硬化樹脂を塗布し版を樹脂に加圧し成形すると、より正確な凹凸構造が得られるために好ましい。ここではUV硬化樹脂を使用したが、光硬化性樹脂等を使用しても良い。このようにして、凹凸構造を正確に成形することが可能になり、このことにより、可視光の一部のスペクトル領域の光が視線方向に射出されず、そのため白色光を前記曲線状の凹凸構造領域に入射させた際に、観察される像は白色光から一部のスペクトル領域の光を除いたおだやかな色で着色されているため、従来のように表示色が虹色に変化してしまう現象を抑える効果を得ることが出来る。
凹凸構造がある場合、入射した光は凹凸構造で回折され一部の光は正反射方向に進む光となり、別の一部は回折光となる。
表面の凹凸構造に関して、屈折率n、深さd、波長λとしたときに、内部の角度θで入射する照明光の山部と谷部で反射される光の光路差は、2dcosθとなる。そして、これらの光の位相差は、2πn/λをかけた4πndcosθ/λとなる。
この時に、位相差が2πの整数倍であれば、正反射方向の光の位相が揃うため、凸部、凹部からの光の干渉によって正反射光が強くなり、回折光の強度は弱くなる。
位相差が2πの整数倍+πであれば、正反射方向の光の位相が反対になるので、干渉によって正反射方向の光が弱くなり、回折光の強度は強くなる。
ところで、可視光の波長は380〜780nmのある程度広い範囲に分布している。
通常の回折画像表示体で用いられているような、0.1μm程度の深さ(波長の半分程度の光路差)以下の場合には、波長による違いは小さく大きな違いはない。
しかし、凹凸の深さがある程度深くなると、ある波長では位相差が2πの整数倍+πとなって回折光が強くなり、別のある波長では位相差が2πの整数倍となって回折光が弱くなる。
このため、波長によって回折光の強度が大きく違ってくることになる。
また、本発明の画像表示体では、凹凸構造がランダムであり、周期性を持っていない。
よって、ホログラムや回折格子などのように、回折光の方向が波長によって大きく変わることが無く、ほぼ同じような方向に射出される。
つまり、各波長に対する回折光が重なって観察されることになり、回折光の強度の違いによる色が着くことになる。画像表示体に入射する照明光の角度が表示体の凹凸構造の面との垂線から30度で観察位置を垂線方向とした場合の色変化は、深さD1が0.3umでイエロー、深さD2が0.2umでマゼンタの色が確認される。
回折光と正反射方向の光が分離して観察できるように、回折される光は正反射方向から、十分離れた方向まで拡がることが必要である。
上記の拡がりは、
a=mλ/(sinα−sinβ)・・・式(1)
で表すことができる。aは格子の大きさ、mは回折次数、λは入射光及び回折光の波長、αは入射角度、βは射出角度を表している。
ここで、ηは回折効率(0〜1の値をとる)、rは回折格子の高さ、Lは回折格子線幅、dは格子線のピッチ、θは照明光の角度、λは入射光及び回折光の波長である。この式は、凹凸構造からなる浅い矩形回折格子に成り立つものである。
凸部又は凹部の占有面積が20%より小さい場合、もしくは80%より大きい場合には、十分な明るさが得られず、十分なアイキャッチ効果を得ることが難しくなる。
従来の表示体では、凹凸構造が図2に示すような断面形状になっておらず、図6に示すような、いわゆる角の崩れた波型等の断面形状であり、凸部の高さ又は凹部の深さもバラバラであったため、前述で説明した式2のような、凹凸構造の高さに応じて回折効率が変化する作用がおきにくくなる。従来のこのような凹凸構造では、光の回折を起こすものの、レインボウホログラムしか作成できなかった。また、凹凸構造を図2のように正確に整えることによって、本発明のようなおだやかな色で着色されたホログラムが作成されることは知られていなかった。しかし、本発明では、凸部の高さまたは凹部の深さが略同一であり、基材面と略平行であるので、色のついた画像を表示させることが可能になる。つまり、本発明では、可視光の一部のスペクトル領域の光が視線方向に射出されず、そのため白色光を前記曲線状の凹凸構造領域に入射させた際に、観察される像は白色光から一部のスペクトル領域の光を除いたおだやかな色で着色されているため、従来のように表示色が虹色に変化してしまう現象を抑えることができる。
図5ではY−Z平面に平行な光軸を持った入射光の場合を示している。この場合、図の+1次の回折光の回折角βx,βyは、次式に従う。
λ=dx(sinβx) 式(3)
λ=dy(sinβy−sinθy) 式(4)
ただし、λは光の波長、dx及びdyは格子間隔のX成及びY成分、θx及びθyはX―Z面内及びY―Z面内での回折角、βyはY−Z面内での回折角を示している。なお、X−Y面内での回折格子の勾配は、Ω=arctan(dy/dx)である。
勾配角度範囲とは、曲線を線分に分割し、分割したそれぞれの線分が示す勾配の最小値から最大値までの範囲である。勾配角度範囲は、−90度〜90度でありX−YグラフのX軸を基準(0度)とし反時計回りが正とする。
勾配角度範囲と輝度にはトレードオフの関係がある。例えば画像を画素に分割した領域の輝度を0〜255段階に分けて、輝度が0の場合には勾配角度範囲を−90度〜90度に設定する。また輝度が255の場合には、勾配角度範囲を−1度〜1度に設定する。このように設定することにより、表示体にグラデーション効果を有することができる。
また文字「P」と凹凸構造領域17bでは深さが0.3umと0.2umと異なるため、表示体に入射する照明光の角度が、表示体の凹凸構造の面との垂線から30度で観察位置を垂線方向とした場合には、「P」はイエローに視認され、凹凸構造領域17bはマゼンタに視認されるため、色による判別が可能である。勿論、本実施形態では凹凸構造領域の深さを、背景と同様の深さにしたものと、背景と異なった深さにしたものとを組み合わせた表示体を記載しているが、必ずしもこのような形態をとる必要はなく、それぞれの凹凸構造領域の深さは、適宜設定したものを採用すればよい。
Claims (7)
- 少なくとも
(a)基材と
(b)前記基材の一方の面側に設けられた、凹凸構造を有する凹凸構造形成層と、
(c)前記凹凸構造形成層の少なくとも一部を被覆する反射層と、を備えた表示体であって、
前記凹凸構造を構成する凸部の上面及び凹部の下面が前記基材面と略平行であり、
前記凹凸構造は、その隣接する凸部同士又は凹部同士の平均配置間隔が1〜3μmとなる範囲で、ランダムな間隔で凹凸が配置され、
前記凹凸構造形成層は、直線状の凹凸構造領域と、曲線状の凹凸構造領域を備え、
前記曲線状の凹凸構造は、予め用意した画像の画素の輝度に対応するように、勾配角度を有しており、
前記曲線状の凹凸構造領域を構成する凸部の上面及び凹部の下面の高さの差が、その領域全体で一定であり、かつ0.1μm以上0.5μm以下の範囲であることによって、可視光の一部のスペクトル領域の光が射出されず、そのため白色光を前記曲線状の凹凸構造領域に入射させた際に、観察される像は白色光から一部のスペクトル領域の光を除いたおだやかな色で着色されていることを特徴とする表示体。 - 前記曲線状の凹凸構造領域の凸部の上面及び凹部の下面の高さの差と、前記直線状の凹凸構造領域の凸部の上面及び凹部の下面の高さの差が略同一であることを特徴とする請求項1に記載の表示体。
- 前記曲線状の凹凸構造領域の凸部の上面及び凹部の下面の高さの差と、前記直線状の凹凸構造領域の凸部の上面及び凹部の下面の高さの差が異なることを特徴とする請求項1に記載の表示体。
- 前記勾配角度を有する領域の凸部または凹部の高さ又は深さが、前記予め用意した画像の画像領域毎に異なることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の表示体。
- 前記輝度と前記勾配角度をトレードオフの対応関係にすることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の表示体。
- 前記領域における複数の凸部または凹部の占有面積が20%以上80%以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の表示体。
- 印刷物基材と、前記印刷物基材の表面の少なくとも一部の領域に設けられた請求項1〜6の何れか一項に記載の表示体とを備えることを特徴とする情報印刷物。
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