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JP2012081443A - 溶剤脱水装置 - Google Patents

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彰成 木村
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  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)
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Abstract

【課題】吸着材を用いた有機溶剤の連続脱水を実現し、基本的には吸着材の交換が必要なく、多量な有機溶剤中から水分を安定に除去することができる装置を提供することを課題とする。
【解決手段】有機溶剤を吸着材に導入させ接触させることにより、有機溶剤中に含有している水分を吸着除去する溶剤脱水装置であって、吸着材が充填されている二重管構造の吸着槽と、吸着槽内を減圧させる減圧機と、吸着槽に熱媒として温水、スチーム、冷却水、または冷水を導入する熱媒導入経路と、該熱媒を排出する熱媒排出経路を有する溶剤脱水装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機溶剤から水分を除去して溶剤を脱水する装置に関し、特に各種工場や研究施設等から発生した使用済み有機溶剤、あるいは有機溶剤含有ガスから溶剤回収装置を用いて回収した溶剤の再利用のため、該溶剤の脱水処理に用いられる装置である。
従来より、有機溶剤から水分を除去して溶剤を脱水する装置としては、蒸留脱水装置が広く用いられている。すなわち、溶剤を加熱蒸発させ、沸点の違いを利用して有機溶剤と不純物を分留することで、純度の高い有機溶剤を得ることができる装置である。
しかしながら、蒸留脱水装置は大型な装置であるために広い設置スペースが必要であり、かつイニシャルコスト、ランニングコスト共に高いことが問題となっている。また、水と沸点の近い有機溶剤は蒸留では分離することができない。
かかる問題を解決するために、ゼオライト、イオン交換樹脂、モレキュラーシーブス、活性アルミナ等の吸着材を充填させた吸着塔に、有機溶剤を通液させて不純物を取り除く方法が知られているが(例えば、特許文献1参照)、多量の有機溶剤を脱水する場合は多量の吸着材が必要となる。また、吸着材が破過状態になると吸着材の交換が必要であることから、吸着材の交換労力とランニングコストが増大するため、研究室レベルでは有効な手段であるが、工場や研究施設等から回収される多量の有機溶剤の脱水を行うには満足できるものではなかった。
更に、近年注目されている技術として膜分離装置が挙げられる(例えば、特許文献2参照)。この方法を用いれば分子サイズが水と異なれば分子ふるいにより分離することができるが、全ての有機溶剤に適用できるわけではなく、有機溶剤によっては膜の劣化が著しく脱水処理が困難である場合があった。
特開2000−225316号公報 特開平7−39717号公報
本発明は、従来技術の課題を背景になされたもので、吸着材を用いた有機溶剤の連続脱水を実現し、基本的には吸着材の交換が必要なく、多量な有機溶剤中から水分を安定的に除去することができる装置を提供することを課題とするものである。
本発明は、従来技術の課題を解決するため、鋭意検討した結果、ついに本発明を完成するに到った。即ち本発明は以下の通りである。
1.有機溶剤を吸着材に導入させ接触させることにより、有機溶剤中に含有している水分を吸着除去する溶剤脱水装置であって、吸着材が充填されている二重管構造の吸着槽と、吸着槽内を減圧させる減圧機と、吸着槽に熱媒として温水、スチーム、冷却水、または冷水を導入する熱媒導入経路と、該熱媒を排出する熱媒排出経路を有する溶剤脱水装置。
2.吸着槽と減圧機間に冷却凝縮装置を有する上記1記載の溶剤脱水装置。
3.不活性ガスを吸着槽に導入する不活性ガス導入経路を有する上記1または2に記載の溶剤脱水装置。
4.二重管構造の該吸着槽が、多管式二重管構造である上記1〜3のいずれかに記載の溶剤脱水装置。
5.吸着材がイオン交換樹脂、活性アルミナ、モレキュラーシーブス、およびシリカゲルからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の部材を含んでいる上記1〜4のいずれかに記載の溶剤脱水装置。
6.吸着材が水素イオン形、ナトリウム形、およびアルカノールアミン形の少なくとも1つを有する陽イオン交換樹脂である上記1〜5のいずれかに記載の溶剤脱水装置。
7.陽イオン交換樹脂の形態が粒状又は繊維状である上記6に記載の溶剤脱水装置。
8.吸着槽を少なくとも2槽有し、1槽が被処理溶剤導入経路から水分を含有した有機溶剤を導入し吸着材に有機溶剤中の水分を脱水させる脱水工程、1槽が吸着材に吸着した水分を脱着させ吸着槽減圧経路より排出する脱着工程を実施し、各吸着槽がこれらの工程を順次移行しながら、連続的に有機溶剤の脱水をする上記1〜7のいずれかに記載の溶剤脱水装置。
本発明による溶剤脱水装置は、多量の水分を高い効率で連続的に除去することができ、基本的に吸着材の交換の必要が無いため、低コストで、安定的に、高い能力で有機溶剤中の水分を除去することができる。また、吸着槽内を減圧および加温による高効率脱着とすることにより脱着時間が短縮され、経済的である。
本発明の好ましい一形態の例である二重管吸着槽減圧脱着型溶剤脱水装置である。 本発明の好ましい一形態の例である多管式二重管吸着槽の詳細図である。 活性炭素繊維を用いた溶剤回収処理装置である。 比較のための二重管吸着槽詳細図である。
以下、図面を参照して、本発明にかかる溶剤脱水装置について詳細に説明する。
図1は本発明の好ましい実施形態の例である。図1に例示した溶剤脱水装置は、被処理溶剤タンク12から溶剤送液ポンプ17によって、水分を含有する有機溶剤を被処理溶剤導入経路13を通じて吸着材11に導入させ、該吸着材11に水分を吸着させ脱水する脱水工程設備と、減圧機24により吸着槽15を減圧させ、該吸着材11から吸着槽減圧経路22を通じて吸着材11に吸着されていた水分を排出する脱着工程設備を備えている。
本発明の溶剤脱水装置は、かかる工程を交互に行う溶剤脱水装置であることが好ましい。かかる構造を採用することにより、脱水処理を連続的に行うことができるからである。
本発明の溶剤脱水装置の吸着槽15は二重管構造式吸着槽である。吸着材11は内管に充填することが好ましい。二重管構造式吸着槽であると、吸着槽外管に熱媒導入経路17から温水、スチーム、冷却水及び冷水等の熱媒を導入し、熱媒排出経路18より該熱媒を排出できる構造になっているため、吸着材11に直接熱媒を接触させることなく、効果的に熱伝達を行うことができるからである。
脱着工程において、吸着槽15の吸着槽外管に導入する熱媒として温水、またはスチームを用いることが好ましい。温水、またはスチームを吸着槽15の吸着槽外管に導入することにより加熱効率が向上し、吸着槽の構成部材の昇温速度を速くすることができるからである。
また、吸着材に吸着している水分を脱着する際、気化熱として脱着ガス中の熱量が吸熱されて脱着出口温度が下がることで気化した水が凝縮し、脱着性能が低下する場合があるが、温水、またはスチームを二重管構造吸着槽15の吸着槽外管に導入することにより、加熱効率が向上し、脱着出口温度の温度低下を抑制することができるため、脱着時間を大幅に短縮することができる。このとき、温水、またはスチームの温度は、その時の減圧圧力における水の沸点よりも高くなければならない。そのときの減圧圧力における水の沸点よりも低ければ、水が蒸発しないため、いつまでも脱着されないためである。
さらに、脱着工程から吸着工程に移行するとき、吸着槽15の吸着槽外管に熱媒として冷水、または冷却水を導入することが好ましい。冷水、または冷却水を吸着槽15の吸着槽外管に導入することにより、吸着槽の構成部材、吸着材が冷却されるため、吸着工程における脱水性能が向上する。溶剤脱水できる吸着材の特徴として、吸着温度が高いと飽和水分吸着容量が小さく水分吸着速度が遅いが、吸着温度が低いと飽和水分吸着容量が大きく水分吸着速度が速いことを確認した。そのため、脱着温度が高い場合は冷却することで吸着時の脱水性能を向上させることができる。
さらに、吸着工程において吸着槽15の吸着槽外管に熱媒として冷水や冷却水を導入し続けることがより好ましい。吸着工程中に二重管構造式吸着槽15を冷却することで、吸着材が低温で維持されるため、吸着時の脱水性能を向上させることができる。
吸着槽15の構造は、図2に示した多管式の二重管構造であることが好ましい。吸着材11への熱伝達の促進のためには、熱伝達距離が短い方が有効であり、そのため吸着槽内管32の内径は小さい方が効果的であり、内管の内径は57mm以下が好ましい。また、吸着槽15の材質は熱伝導しやすい材質であることが好ましく、脱水する被処理溶剤に耐性のある材質である必要がある。例えば、ステンレスは熱伝導効率が高く、多くの種類の溶剤に耐性があるため吸着槽15の材質として好ましい。
脱着工程において、減圧機により吸着槽15の吸着槽内管内を減圧することで脱着効率を上げることができる。減圧機は特に限定されるものではないが、減圧条件は1〜80kPaであることが好ましい。80kPaを超えると減圧圧力が高いため脱着効率が低下し、1kPa未満では減圧圧力が低過ぎるために脱着効率は変わらず、減圧機が大きくなる。このため、減圧機の大きさを考慮した効率的な脱着のためには、10〜50kPaがより好ましい。
脱着工程において、不活性ガス20を不活性ガス導入経路21より吸着槽15の吸着槽内管に導入することが好ましい。これは、不活性ガス20を導入することで、吸着槽内管内の吸着材11への熱伝導効率が飛躍的に向上するからである。ただし、流量があまり大き過ぎると減圧圧力が高くなり、温度が低下することから脱着効率が低下する可能性があるため、不活性ガス20の流量は吸着槽15の空間速度SV=100〜1000/hrがより好ましい。不活性ガスの一例としては、窒素が挙げられる。
脱着工程において、吸着材11から脱着された水蒸気を、冷却凝縮装置25で水に凝縮して回収することが好ましい。そのため、吸着槽と減圧機間の吸着槽減圧経路に冷却凝縮装置25を設けることが好ましい。それにより、減圧機に導入されるガス量を少なくすることができ、脱着効率が向上するためである。
脱着工程において、減圧機の排気ガスを系外に排出する場合、脱着ガス中に微量の溶剤が含まれる。そのため、減圧機の下流に冷却凝縮装置25を設けても良い。さらに、直接燃焼装置、触媒燃焼装置、蓄熱式燃焼装置等の燃焼装置、活性炭素繊維を使用した溶剤回収装置、スクラバー等の一般的に用いられるガス処理装置にて処理しても良い。
本発明にかかる吸着材は、ゼオライト、活性アルミナ、シリカゲル、イオン交換樹脂等が挙げられ、特に限定するものではないが、性能面から陽イオン交換樹脂であることが好ましい。陽イオン交換樹脂はゼオライト、シリカゲルや活性アルミナと吸着機構が異なり、樹脂内に水分を吸収してゲル膨潤するため、水分の吸着容量が非常に大きい特長を持つ有効な水分吸着材である。
また、陽イオン交換樹脂は水素イオン形、ナトリウム形、及びアルカノールアミン形等が挙げられ、特に限定するものではないが、スルホン酸基が配位した水素イオン形またはナトリウム形の陽イオン交換樹脂が好ましい。つまり、該陽イオン交換樹脂は、スルホン酸基等のイオン交換基が樹脂表面に有するため、有機溶剤は吸着されずに水分のみを吸着可能である特長を持つ有効な水分吸着材であるからである。
本発明にかかる吸着材の構造は、粒状、粉体状、ポーラス状、ハニカム状、繊維状等が挙げられ、特に限定されるものではないが、粒状または繊維状が特に好ましい。水分を含有した有機溶剤が吸着材を通液する際、吸着材の表面面積が広いほど、吸着材と水分の接触効率が高くなり水分吸着能が高くなる構造であり、取扱性が良い形状が、粒状または繊維状である。
本発明において脱水可能な有機溶剤は、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、プロパノール、ブタノール、酢酸、プロピオン酸、またはその混合物と特に限定されるものではなく、多種の有機溶剤において適応可能である。
本発明の脱水処理装置において、吸着槽を少なくとも2槽有することが好ましい。1層の吸着槽が被処理溶剤導入経路から水分を含有した有機溶剤を導入し吸着材に有機溶剤中の水分を吸着させ脱水する脱水工程にある時、残りの吸着槽の少なくとも1槽が吸着材に吸着した水分を脱着させ吸着槽減圧経路より排出する脱着工程とし、各吸着槽がこれらの工程を順次連続的に移行することで、連続的に有機溶剤の脱水処理が出来るからである。なお、吸着槽が3槽以上の場合は、2槽以上の吸着槽を吸着工程とし、残りの1槽の吸着槽を脱着工程とすることが脱水効率の点から好ましい。
本発明において脱水可能な有機溶剤は、フィルムを積層させるドライラミネート工程等、多分野における工場等から排出される有機溶剤を含有したガスを、溶剤回収処理装置を用いて回収される有機溶剤にも適応可能である。
例えば、図3に示すような溶剤回収処理装置は、溶剤含有被処理ガス41が吸着ファン42により吸着槽43導入され、吸着槽43に充填されている活性炭素繊維エレメント44で有機溶剤が吸着され、清浄ガス46として外気に排出される吸着工程と、活性炭素繊維エレメント44にスチーム45を導入することで有機溶剤が脱着され、コンデンサー48で冷却凝縮してセパレーター49で溶剤と水を分離し、回収溶剤50を回収する脱着工程があり、吸着工程と脱着工程を交互に行うことで連続的に処理可能なシステムである。このタイプの溶剤回収処理装置は、脱着にスチームを用いることや、冷却凝縮をすることから回収溶剤中に水分が混入するため、本発明における装置を適用することで、回収溶剤から水分を効果的に除去することが可能である。
以下、実施例から本発明の詳細をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、評価は下記の方法により行った。
(有機溶剤中からの水分除去の評価方法)
3重量%濃度の水分を含有する各種有機溶剤を一定流量で流し、サンプリングした脱水処理後の有機溶剤中の水分濃度を測定した。
(水分濃度評価方法)
吸着材入口・出口の水分濃度をカールフィッシャー水分測定法により測定した。
[実施例1]
図1の溶剤脱水装置において、吸着槽15として図2に記載の多管式二重管構造の吸着槽を使用し、吸着材11として平均粒形1mmの陽イオン交換樹脂(Na型、スルホン酸基、MuromacDW2−1、ムロマチテクノス株式会社製)を、22kg吸着槽15に充填させ、水分3重量%、酢酸エチル94重量%とエタノール3重量%の混合液を200L/hrで被処理溶剤導入経路13より吸着槽15に導入した。吸着温度は30℃であった。その際の出口水分濃度の経時変化を確認した結果、初期の出口水分濃度は0.03重量%であり、出口水分濃度が2重量%に達するまでの時間が120分間であり、脱水処理溶剤の初期平均水分濃度は0.5重量%であった。また、水分吸着量(q)は0.6(g/g−resin)と良好な水分吸着量を示した。
次に、脱着工程において0.2MPaのスチームを熱媒導入経路18より吸着槽15の吸着槽外管に供給し、さらに減圧機により吸着槽内管の減圧圧力を10kPaに調整したところ、q*が0g/g−resinまで脱着される100%脱着時間は150分であり、qが0.06g/g−resinまで脱着される90%脱着時間は120分であったことから、サイクルは脱水工程120分、脱着工程120分の切替による各槽交互運転とした。
本実施例の溶剤脱水装置により脱水処理された混合溶剤は、脱水工程→脱着工程の脱水脱着サイクルの10サイクル以降30サイクルまで繰り返しても混合溶剤中の出口平均水分濃度は0.5重量%以下を維持することが可能であった。脱水と脱着を連続して処理するため、性能低下がなく、安定して高効率で脱水処理が可能であった。
[実施例2]
図1の溶剤脱水装置にて、、吸着槽15として図2に記載の多管式二重管構造の吸着槽を使用し、吸着材11として平均粒形1mmの陽イオン交換樹脂(Na型、スルホン酸基、MuromacDW2−1、ムロマチテクノス株式会社製)を、22kg吸着槽15に充填させ、水分0.2重量%、塩化メチレン97重量%とメタノール2.8重量%の混合液を100L/hrで被処理溶剤導入経路13より吸着槽15に導入した。吸着温度は30℃であった。その際の出口水分濃度の経時変化を確認した結果、初期の出口水分濃度は0.001重量%であり、出口水分濃度が0.03重量%に達するまでの時間が120分間であり、脱水処理溶剤の初期平均水分濃度は0.01重量%であった。また、水分吸着量(q)は0.16(g/g−resin)と良好な水分吸着量を示した。
次に、脱着工程において0.2MPaのスチームを熱媒導入経路17より吸着槽15の吸着槽外管に供給し、さらに減圧機により吸着槽内管の減圧圧力を10kPaに調整したところ、qが0g/g−resinまで脱着される100%脱着時間は130分であり、qが0.008 g/g−resinとなる90%脱着時間は120分であったことから、サイクルは脱水工程120分、脱着工程120分の切替による各槽交互運転とした。
本実施例の溶剤脱水装置により脱水処理された混合溶剤は、脱水工程→脱着工程の脱水脱着サイクルの10サイクル以降30サイクルまで繰り返しても混合溶剤中の出口平均水分濃度は0.01重量%以下を維持することが可能であった。脱水と脱着を連続して処理するため、性能低下がなく、安定して高効率で溶剤の脱水処理が可能である。
[実施例3]
図1の溶剤脱水装置にて、吸着槽を多管式二重管構造の吸着槽に変えて図4に示す多管式ではない二重管吸着槽とし、吸着材11として平均粒形1mmの陽イオン交換樹脂(Na型、スルホン酸基、MuromacDW2−1、ムロマチテクノス株式会社製)を、22kg充填させ、水分3重量%、酢酸エチル94重量%とエタノール3%の混合液を200L/hrで被処理溶剤導入経路13より吸着槽15に導入した。吸着温度は30℃であった。その際の出口水分濃度の経時変化を確認した結果、初期の出口水分濃度は0.03重量%であり、出口水分濃度が2重量%に達するまでの時間が120分間であり、脱水処理溶剤の初期平均水分濃度は0.5重量%であった。また、水分吸着量(q)は0.6(g/g−resin)と良好な水分吸着量を示した。
次に、脱着工程において0.2MPaのスチームを熱媒導入経路18より吸着槽15の吸着槽外管に供給し、さらに減圧機により吸着槽内管の減圧圧力を10kPaに調整したところ、qが0g/g−resinまで脱着される100%脱着時間は200分であった。実施例1と同様の脱着工程120分の切替による各槽交互運転のサイクルでは、脱着率は70%であった。
本実施例の溶剤脱水装置により脱水処理された混合溶剤は、脱水工程→脱着工程の脱水脱着サイクルを繰り返すことで30サイクルまで繰り返したとき、出口平均水分濃度は10サイクルから1.0重量%を維持した。多管式吸着槽よりもこれは減圧状態下において、吸着槽部と近接している外側の吸着材は熱伝導効率が高く完全に水分が脱着されるが、中心部の吸着材へはほとんど熱伝導されないことから全体の吸着材の脱着効率が著しく低下したことが原因である。
[比較例1]
図1の溶剤脱水装置にて、二重管ではない吸着槽を用い、吸着材11として平均粒形1mmの陽イオン交換樹脂(Na型、スルホン酸基、MuromacDW2−1、ムロマチテクノス株式会社製)を、22kg充填させ、水分3重量%、酢酸エチル94重量%とエタノール3%の混合液を200L/hrで被処理溶剤導入経路13より吸着槽15に導入した。吸着温度は30℃であった。その際の出口水分濃度の経時変化を確認した結果、初期の出口水分濃度は0.03重量%であり、出口水分濃度が2重量%に達するまでの時間が120分間であり、脱水処理溶剤の初期平均水分濃度は0.5重量%であった。また、水分吸着量(q*)は0.6(g/g−resin)と良好な水分吸着量を示した。
次に、脱着工程において吸着槽を加熱せずに減圧機により吸着槽内の減圧圧力を10kPaに調整したところ、中の吸着材が凍りつき、脱着することができなかった。これは減圧状態下において水分が揮発するときに気化熱として熱が奪われるため、吸着材温度が低くなり、0℃近くまで温度が下がったことが原因である。
本発明の溶剤脱水装置は、溶剤の連続脱水を実現し、基本的に吸着材の交換が必要なく、多量の水分を高効率、かつ安定的に除去することができる脱水装置であるため、吸着材交換作業を省略でき、コストを低減でき、水分の安定的除去が可能となる。さらに脱着工程を工夫したことにより、ランニングコストを大幅に低減させることができ経済的である。そのため、特に研究所や工場等の幅広い分野から発生する排ガスから溶剤回収処理装置を用いて回収される溶剤の脱水に利用することができ、産業界に寄与することが大である。
11 吸着材
12 被処理溶剤タンク
13 被処理溶剤導入経路
14 処理溶剤タンク
15 吸着槽
16 溶剤送液ポンプ
17 熱媒導入経路
18 熱媒排出経路
20 不活性ガス
21 不活性ガス導入経路
22 吸着槽減圧経路
23 戻り溶剤経路
24 減圧機
25 冷却凝縮装置
26 凝縮液タンク
31 吸着槽外管
32 吸着槽内管
33 保温材
41 溶剤含有被処理ガス
42 吸着ファン
43 吸着槽
44 活性炭素繊維エレメント
45 スチーム
46 清浄ガス
47 ダンパー
48 コンデンサー
49 セパレーター
50 回収溶剤

Claims (8)

  1. 有機溶剤を吸着材に導入させ接触させることにより、有機溶剤中に含有している水分を吸着除去する溶剤脱水装置であって、吸着材が充填されている二重管構造の吸着槽と、吸着槽内を減圧させる減圧機と、吸着槽に熱媒として温水、スチーム、冷却水、または冷水を導入する熱媒導入経路と、該熱媒を排出する熱媒排出経路を有する溶剤脱水装置。
  2. 吸着槽と減圧機間に冷却凝縮装置を有する請求項1記載の溶剤脱水装置。
  3. 不活性ガスを吸着槽に導入する不活性ガス導入経路を有する請求項1または2に記載の溶剤脱水装置。
  4. 二重管構造の吸着槽が、多管式二重管構造である請求項1〜3のいずれかに記載の溶剤脱水装置。
  5. 吸着材がイオン交換樹脂、活性アルミナ、モレキュラーシーブス、およびシリカゲルからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の部材を含んでいる請求項1〜4のいずれかに記載の溶剤脱水装置。
  6. 吸着材が水素イオン形、ナトリウム形、およびアルカノールアミン形の少なくとも1つを有する陽イオン交換樹脂である請求項1〜5のいずれかに記載の溶剤脱水装置。
  7. 陽イオン交換樹脂の形態が粒状又は繊維状である請求項6に記載の溶剤脱水装置。
  8. 吸着槽を少なくとも2槽有し、1槽が被処理溶剤導入経路から水分を含有した有機溶剤を導入し吸着材に有機溶剤中の水分を脱水させる脱水工程、1槽が吸着材に吸着した水分を脱着させ吸着槽減圧経路より排出する脱着工程を実施し、各吸着槽がこれらの工程を順次移行しながら、連続的に有機溶剤の脱水をする請求項1〜7のいずれかに記載の溶剤脱水装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013188700A (ja) * 2012-03-14 2013-09-26 Toyobo Co Ltd 有機溶剤脱水装置
JP2014084439A (ja) * 2012-10-26 2014-05-12 Nippon Suisan Kaisha Ltd 脂肪酸アルキルエステルの製造方法

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