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JP2012072502A - 直接製錬法 - Google Patents

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Abstract

【課題】予備加熱空気方式によるハイスメルト法の提供。
【解決手段】冶金容器に溶融金属と溶融スラグを形成する段階、鉄含有供給材料および固体炭材を内方向かつ下方向に角度付けされたランス/羽口を通して噴射して、鉄含有供給材料を金属に製錬し、溶融鉄の炭素濃度を3%以下にし、鉄含有供給材料と炭材との反応によりガス流を発生させ、溶融浴を上昇させる段階と、予備加熱空気を、反応ガスを後燃焼させて溶融浴への熱伝達を促進するように噴射する段階とを含み、予備加熱空気を水平からの角度20〜90°、800〜1400℃、200〜600m/sでランスから噴射して、ランス下端領域の上昇溶融材料をランスから離れさせランス下端周囲に「自由な」空間を形成させ、ランスが冶金容器中に少なくともランスの下端外径の距離だけ延在し、ランス下端が溶融浴静止面上方で、ランス下端の外径の3倍以上の位置にあるように配置される。
【選択図】図1

Description

本発明は、決して鉄のみとは限らないが、鉱石や部分還元鉱石、および金属含有廃棄物流など、鉄を含む供給材料から溶融金属鉄(この用語は鉄合金を含む)を製造する、溶融浴に基づく直接製錬法および装置に関するもので、溶融浴内で発生した反応ガス(主としてCOとH2)を後燃焼するために予備加熱空気(この用語はO250%までの酸素富有の空気を含む)に基づくシステムを用いるものである。
十分な反応ガスの後燃焼とそれに続いて溶融浴へ戻る十分な熱の伝達がなければ、特に予備還元段階のない、浴に基づく直接製錬法は不経済でもあり、多くの場合、鉄を含む供給材料の還元が吸熱の性質をもっているので実施不可能となる。酸素に基づく後燃焼システム(この用語はO250%までの不純酸素を含む)は予備加熱空気に基づくシステムと比べて放出ガスの量を最小にするという利点があるが、大量の酸素を供給するには大きなコストもかかる。
さらに必要なこととして、良い後燃焼は、溶融浴中でかなりの量の溶融鉄材料が再酸化され且つその酸化を相殺するために過剰量の固体炭素材料が必要になる代償を払うものであってはならない。同様に、溶融浴中の過剰に大量の液状FeOx(主としてFeO)は、溶融金属鉄の公称静止面レベルと浴全体のそれとの間の領域における耐火材の損耗を生じさせるので特に有害である。
溶融金属鉄を製造する、知られている溶融浴に基づく直接製錬法の1つはDIOS法である。DIOS法は予備還元段階と製錬還元段階を含む。DIOS法では、鉱石(〜8mm)は液化床中で、金属と金属上に厚い層を形成しているスラグの溶融浴を含む製錬還元容器からの放出ガスを用いて予備加熱(750℃)および予備還元(10から30%)される。鉱石の細かな(〜3mm)成分と粗い(〜8mm)成分はプロセスの予備還元段階で分離される。石炭および予備加熱かつ予備還元した鉱石は(2つの送入ラインを経由して)製錬還元炉の中へ炉の頂上から連続的に装入される。鉱石は溶解してスラグの厚い層の中でFeOを形成し、石炭はスラグ層の中で炭と揮発成分とに分解する。酸素が特別に設計したランス(lance)を経由して吹き込まれ、泡立ちスラグ中の二次燃焼を向上させる。酸素ジェットは製錬還元反応に伴って発生する一酸化炭素を燃やし、それによって溶融スラグへ伝達される熱を発生する。FeOはスラグ/金属、およびスラグ/炭の界面で還元される。熱い金属浴中に製錬還元容器の底から導入される攪拌ガスは熱伝達効率を向上させ、還元のためのスラグ/金属界面を増加させる。スラグと金属は定期的に注ぎ出される。
溶融金属鉄を製造する、他の知られている直接製錬法はAISI法である。AISI法も予備還元段階と製錬還元段階を含む。AISI法では、予備加熱し部分的に予備還元した鉄鉱石のペレットと、石炭もしくはコークス粉およびフラックスが、金属とスラグの溶融浴を含む加圧した製錬反応器内に頂上から装入される。石炭はスラグ層中で揮発分を除去され、鉄鉱石ペレットはスラグ中に溶解し、スラグ中で炭素(炭)によって還元される。ガス発生率が高いとスラグが発泡する。プロセスで発生する一酸化炭素と水素は、スラグ層の中、または真上で後燃焼され、吸熱還元反応に必要なエネルギーを提供する。酸素は中央の水冷したランスを経由して頂上から吹き込まれ、窒素は反応器の底の羽口から吹き込まれ、後燃焼エネルギーの浴への熱伝達が向上するように十分な攪拌を確保する。プロセスの放出ガスは熱サイクロンで除塵してからシャフト型炉に送り、ペレットを予備加熱および予備還元してFeOまたはウスタイト(wustite)にする。
溶融金属鉄を製造する、他の知られている直接製錬法はハイスメルト法(HI smelt process)である。ハイスメルト法の1つの形態は、国際出願PCT/AU96/00197(WO96/31627)に本出願人の名前で記載されており、
(a)容器中に金属とスラグの溶融浴を形成すること、
(b)浴中に、
(i)通常、酸化金属の鉄を含む供給材料と、
(ii)通常、酸化金属の還元剤として働き、エネルギー源となる石炭とを噴射すること、
(c)鉄を含む供給材料を製錬して溶融浴中の金属層にすることを含む。
ハイスメルト法はまた、酸素含有ガスを浴の上部空間に噴射して浴から放出されたCOやH2などの反応ガスを後燃焼し、発生する熱を浴に伝達して、金属含有送入材料の製錬に必要な熱エネルギーに寄与することを含む。
国際公開96/31627号
出願人は、ハイスメルト法について広範囲の試験装置運転およびコンピュータによる流体力学モデルの研究を実施し、予備加熱空気方式システムに関する一連の顕著な発見をなした。
一般に、本発明は鉄を含む供給材料から金属鉄を製造する直接製錬法を提供するものであって、
(a)冶金容器中に溶融金属と溶融スラグを形成する段階と、
(b)鉄を含む供給材料を溶融浴に噴射して鉄を含む供給材料を溶融浴中で金属に製錬する段階と、
(c)溶融浴中に固体の炭材を噴射する段階と、
(d)溶融浴中に、少なくとも部分的に浴に噴射された材料の反応によってガス流を発生させ、溶融浴の静止面の上方向に溶融材料を運んで浴を上昇させる段階と、
(e)予備加熱した空気を、それが上昇浴に衝突または浸透して、上昇浴から放出された、もしくは浴中に含まれる反応ガスを後燃焼させ、それによって溶融浴への熱伝達を促進するように容器中に噴射する段階とを含み、
そのプロセスは、予備加熱した空気を水平軸線に対して20〜90°の角度、および温度800〜1400℃、速度200〜600m/sで少なくとも1つのランスから容器内に噴射して、ランスの下端領域にある上昇した溶融浴中の溶融材料をランスから離れさせ、ランスの下端の周囲に溶融材料の濃度が上昇浴の溶融材料濃度よりも低い「自由な」空間を形成させ、このランスは、(i)ランスが容器中に少なくともランス下端の外径の距離だけ延在し、(ii)ランスの下端が溶融浴の静止面上方に、ランス下端の外径の少なくとも3倍の位置にあるように配置されていることを特徴としている。
ランス下端の周囲の自由空間中の溶融材料の濃度は、空間の5容積%以下であることが好ましい。
ランス下端の周囲の自由空間は、ランス下端の外径の少なくとも2倍の直径をもつ半球状の容積であることが好ましい。
ランス下端の周囲の自由空間の直径は、ランス下端の外径の4倍以下であることが好ましい。
予備加熱した空気中の酸素の好ましくは少なくとも50容積%、より好ましくは60容積%がランス下端の周囲の自由空間で燃焼される。
プロセスが予備加熱した空気を容器中に旋回動で噴射することを含むのが好ましい。
用語「製錬」とは、本明細書中では、鉄を含む供給材料を還元する化学反応が起きて液状金属を生成する熱的処理の意味に解釈される。
用語「静止面」とは、ガス/固体の噴射がなく、したがって浴の攪拌がないプロセス条件下にあてはまる溶融浴の表面の意味に解釈される。
上で示したように、用語「空気」とは、本明細書では、50容積%までのO2を含む空気または酸素富有の空気の意味に解釈される。
溶融浴中の表層ガス流速は、溶融浴の静止面で少なくとも0.04Nm3/s/m2であるのが好ましい。
表層ガス流速は溶融浴の静止面で少なくとも0.2Nm3/s/m2であるのが好ましい。
表層ガス流速は溶融浴の静止面で2Nm3/s/m2未満であるのが好ましい。
溶融浴中のガス流は、多くの要因の中の1つ以上の要因によって生じるものであってよい。たとえば、ガス流は、少なくとも部分的には、鉄を含む供給材料と固体炭材を溶融浴の中へ、好ましくは溶融浴の下部領域に噴射する結果発生させることができる。さらにたとえば、ガス流は、少なくとも部分的には、キャリア・ガスを溶融浴の中、好ましくは溶融浴の下部領域に、噴射される鉄を含む供給材料および/または固体炭材と共に噴射する結果発生させることができる。さらに例として、ガス流は、少なくとも部分的には、ガスを底および/または側壁から溶融浴の中、好ましくは溶融浴の下部領域に噴射する結果発生させることができる。
プロセスが、溶融鉄の中に溶解した炭素のレベルを少なくとも3重量%に制御し、スラグを強力な還元状態にしてスラグ中のFeOのレベルを6重量%未満、好ましくは5重量%未満にすることを含むのが好ましい。
プロセスが、容器中の溶融金属鉄に比べて容器中のスラグ滞留量を多く維持することを含むのが好ましい。
容器中のスラグ量、すなわちスラグ滞留量は、溶融浴の上部領域にあるスラグ量に直接影響を及ぼす。
金属に比べて比較的低いスラグの熱伝達特性は、水冷された側壁への熱損失、および容器の側壁を経由する容器からの熱損失を最小にすることに関して重要である。
適当なプロセス制御によって、スラグは側壁に1層または複数の層を形成することができ、側壁からの熱損失に対する抵抗性が増す。
したがって、スラグの滞留量を変えることによって側壁上のスラグ量を増加または減少させ、したがって容器の側壁を経由する熱損失を制御することが可能である。
スラグは側壁に「湿った」層または「乾いた」層を形成することができる。「湿った」層は側壁に付着する固化層と、半固体(どろどろした(mush))層と、外側の液体フィルムを含む。「乾いた」層は実質上すべてのスラグが固化したものである。
容器中のスラグの量は、後燃焼の範囲にわたって制御の基準を提供する。
具体的には、スラグの滞留量があまり少ないと金属の露出が多くなり、したがって、金属が金属層への熱伝達について有する前向きの効果にもかかわらず、金属の酸化や金属中に溶解する炭素が増え、後燃焼が少なくなる可能性があり、結果として後燃焼が減少するであろう。
さらに、スラグの滞留量があまり多いと、予備加熱空気噴射ランスの1つ以上が溶融浴中に埋もれ、これによって上部空間の反応ガスが各ランスの末端に動くのが最小になり、結果として後燃焼の可能性を低くする。
容器中のスラグの量、すなわちスラグの滞留量は金属とスラグの注ぎ出し速度によって制御することができる。
容器中のスラグの生成は、容器への鉄を含む供給材料、炭材、フラックスの送入速度および酸素含有ガスの噴射速度を変えることによって制御することができる。
プロセスが、還元剤として、およびエネルギー源として働く鉄材料と炭材を溶融浴の下部領域に噴射することを含むのが好ましい。
鉄材料と炭材を下方向に延在するランス/羽口を経由して溶融浴中に噴射するのは1つの任意選択手段である。一般に、ランス/羽口は容器の側壁を貫通して延在し、溶融浴内の内側および下方向に角度が付けられている。
決して他の唯一の任意選択手段ではないが、鉄材料と炭材を容器の底または容器の側壁の溶融浴に接触する羽口を経由して噴射するのは他の任意選択手段である。
鉄材料と炭材の噴射は同一または別のランス/羽口であってもよい。
後燃焼のレベルは少なくとも40%であるのが好ましく、後燃焼は
Figure 2012072502

で定義される。式中、
[CO2]=放出ガス中のCO2の容積%
[H2O]=放出ガス中のH2Oの容積%
[CO]=放出ガス中のCOの容積%
[H2]=放出ガス中のH2の容積%
である。
本発明によれば、金属鉄を、鉄を含む供給材料から直接製錬法によって製造する装置が提供されており、その装置は溶融金属と、溶融スラグと、溶融浴上のガスの連続空間を含む容器を含み、その容器が、
(a)溶融浴の下部領域に接触する基部および側部を有する耐火材料から形成された炉床と、
(b)炉床の側部から上方向に延在して溶融浴の上部領域およびガスの連続空間に接触する側壁であって、ガスの連続空間に接触する側壁が水冷パネルおよびパネルにあるスラグ層を含む側壁と、
(c)容器中に鉄を含む供給材料および炭材を供給する手段と、
(d)溶融材料を溶融浴の公称静止面の上方向に運んで上昇浴を形成する、溶融浴中のガス流を発生させる手段と、
(e)容器中へ下方向に延在して予備加熱した空気を水平軸線に対して20〜90°の角度、速度200〜600m/s、および温度800〜1400℃で噴射する少なくとも1つのランスであって、そのランスが、
(i)ランスが容器中に少なくともランス下端の外径の距離だけ延在し、
(ii)ランスの下端が溶融浴の静止面上方で、ランス下端の外径の少なくとも3倍の位置にあるように配置され、
空気が、上昇浴に衝突または浸透して、上昇浴から放出された、もしくは浴中に含まれる反応ガスを後燃焼させ、空気の噴射によってランスの下端領域にある上昇した溶融浴中の溶融材料をランスから離れさせ、ランスの下端の周囲に溶融材料の濃度が上昇浴のそれよりも低い「自由な」空間ができるようにするランスと、
(f)容器から溶融金属とスラグを注ぎ出す手段とを含む装置である。
供給手段/ガス発生手段は鉄を含む供給材料および炭材をキャリア・ガスと共に溶融浴中へ噴射し、ガス流を発生させる複数対のランス/羽口を含むのが好ましい。
本発明を添付の図を参照しながら実施例の形でさらに説明する。
本発明の方法および装置の好ましい実施形態を概略図の形で示す縦断面図である。 図1に示した熱空気噴射ランスの長手方向の縦断面図である。 ランスの先端部を拡大した縦断面図である。 図3のライン4−4上の横断面図である。 図3のライン5−5上の横断面図である。 図5のライン6−6上の横断面図である。 図6のライン7−7上の横断面図である。 ランスの先端に配置された中央躯体に形成された水流通路を示す図である。 中央躯体部の水路(water galleries)の入口と戻り口、およびランス先端部の4個の旋回流羽根の配置を示す展開図である。 ランスの後端部を拡大した横断面図である。
以下の説明は鉄鉱石を製錬して溶融鉄を製造することに関連するもので、本発明はこの応用に制限されるものではなく、部分還元した鉄鉱石および廃棄物戻り材料を含んで、任意の適当な鉄鉱石および/または精鉱に適用可能であることを理解されたい。
図1に示した直接製錬装置は一般に11で表す冶金容器を含む。容器11は、耐火煉瓦で作られた基底12および側部13を含む炉床と、炉床の側部13から上方向に延在する一般に円筒形のバレルを形成し、水冷パネルから形成された上部バレル151および耐火煉瓦の内部ライニングを有する水冷パネルから形成された下部バレル153を含む側壁14と、炉蓋17と、放出ガスの出口18と、溶融金属を連続的に排出するための炉床前部19と、溶融スラグを排出するための注ぎ出し孔21とを有する。
使用に際しては、容器は、静止状態で、溶融金属層22および金属層22の上の溶融スラグ層23を含む鉄およびスラグの溶融浴を収容している。用語「金属層」とは、本明細書では、主として金属になっている浴領域の意味に解釈される。用語「スラグ層」とは、本明細書では、主としてスラグになっている浴領域の意味に解釈される。数字24を記した矢は金属層22の公称静止面の位置を示し、数字25を記した矢はスラグ層23(すなわち溶融浴の)の公称静止面の位置を示している。用語「静止面」とは、容器中へガスおよび固体が噴射されないときの面の意味に解釈される。
容器は、容器の上部領域中に熱空気を噴射して溶融浴から放出された反応ガスを後燃焼させる、下方向に延在した熱空気噴射ランス26を装備している。ランス26はランスの下端で外径Dを有する。ランス26は、
(i)ランス26の中心軸線が水平軸線に対して20〜90°であって、熱空気がこの角度の範囲内に噴射され、
(ii)ランス26が少なくともランスの下端の外径Dの距離に容器中に延在し、
(iii)ランス26の下端が、溶融浴の静止面25の上方で、ランスの下端外径Dの少なくとも3倍の位置にあるように配置されている。
ランス26は図2〜10を参照してより詳細に説明されている。
容器はまた、鉄鉱石、固体炭材、フラックスを酸素不足のキャリア・ガスに乗せて溶融浴中に噴射するための、側壁14を貫通して溶融浴中に下方向および内方向に延在する固体噴射ランス27(2個示す)を装備している。ランス27の位置は、その出口端82が金属層22の静止面の上方にあるように選択される。このランスの位置は、溶融金属と接触することによる損傷のリスクを低くし、また、容器中の溶融金属と水が接触する大きなリスクなしに強制水冷によるランスの冷却を可能にする。
使用に際しては、キャリア・ガス(一般にN2)に乗せた鉄鉱石、固体炭材(一般に石炭)、フラックス(一般に生石灰やマグネシア)をランス27を経由して溶融浴15中に噴射する。固体材料/キャリア・ガスの運動量は固体材料とガスを溶融浴の下部領域まで浸透させる。石炭は揮発分を除去され、それによって浴の下部領域にガスを生成する。炭素は部分的に金属中に溶解し、部分的に固体炭素として残る。鉄鉱石は金属に製錬され、製錬反応が一酸化炭素ガスを発生する。浴の下部領域中に運ばれた、および揮発分除去と製錬により発生したガスは、溶融金属、固体炭素、スラグ(固体/ガス/噴射の結果、浴の下部領域に引き込まれた)を浴の下部領域から顕著に浮揚上昇させ、溶融金属とスラグの飛沫、滴および流れが上方へ向かう動きを発生させる。また、これらの飛沫、滴、および流れはそれが溶融浴の上部領域を通過するときに、スラグを連行して運ぶ。上述のキャリア・ガス噴射および浴の反応によって発生したガス流は溶融浴の静止面(すなわち面25)で少なくとも0.4Nm3/s/m2である。
溶融金属、固体炭素、スラグの浮揚上昇は溶融浴を大きく攪拌し、その結果、溶融浴23は容積を拡張して矢30で示した面をもつようになる。攪拌の程度は、溶融浴が全体にわたって一般に1450〜1550℃の適度に均一な温度となるような程度である。
加えて、溶融金属、固体炭素、スラグの浮揚上昇によって起きる溶融材料の飛沫、滴、流れの上方に向かう動きは容器中の溶融浴の上方の頂上空間31まで及び、
(a)遷移ゾーン28を形成し、
(b)いくらかの溶融材料(主としてスラグ)を、遷移ゾーン28を超えて遷移ゾーン28の上方にある側壁14の炉腹上部151の部分、および炉蓋17に噴出する。
拡大した溶融浴と遷移ゾーン28は上昇浴を画定する。
上述に加え、使用の際には、温度800〜1400℃の熱空気が200〜600m/sの速度でランス26を経由して放出され、遷移ゾーン28の中心領域に浸透し、本質的に金属/スラグのない空間29をランス26の端部の周囲に形成させる。
ランス26を経由して噴射する熱空気は反応ガスCOおよびH2を遷移ゾーン28中、およびランス26の端部の周囲の自由空間29中で後燃焼し、ガス空間中に約2000℃以上の高い温度を発生する。この熱は、ガス噴射領域の上昇し降下する溶融材料の飛沫、滴、流れに伝達され、この熱の一部は次いで溶融浴全体に伝達される。
自由空間29は高レベルの後燃焼を達成するのに重要である。なぜなら、それが遷移ゾーン28の上方空間のガスをランス26の端部領域に運び、それによって利用可能な反応ガスの後燃焼を増加させることができるからである。
ランス26の位置、ランス26を通るガス流の速度、および溶融材料の飛沫、滴、流れの上方向への動きが結合する効果は、ランス26の下部領域周囲の遷移ゾーン28が成形されることである。この成形された領域は熱が放射によって側壁14に伝達するのを部分的に遮断している。
さらに、上昇し降下する材料の滴、飛沫、流れは、熱を遷移ゾーン28から溶融浴へ伝達する有効な手段であって、その結果側壁14の領域における遷移ゾーン28の温度は1450℃〜1550℃程度である。
熱空気噴射ランス26の構造は図2〜9に示されている。これらの図に示したように、ランス26は酸素富有の熱空気を通す細長いダクト31を備える。ダクト31はダクトの前端部36まで延在する、一連の4個の同心状のステンレス・スチール・チューブ32、33、34、35から構成され、それらは先端具37に接続している。細長い躯体部38がダクトの前端部36の内部中心に配置され、一連の4つの旋回付与羽根39を保持している。中央躯体部38はブルノーズ(bull−nose)状またはドーム状の前端部および後端部41、42を備える細長い円筒形の形状である。羽根39は4つの起点をもつ螺旋状の構造に配列され、その前端は半径方向に外側に延在する羽根の端部45によってダクトの前端部に接続されている。
ダクト31は内部をその長さの大部分にわたって、ダクトの最も内側の金属チューブ35の内部に固定されて羽根の前端部42を越えて延在する内部耐火ライニング43で裏打ちされ、羽根39はこれらの前端部42の後方の耐火ライニングの内側に適切に固定されている。
ダクトの先端具37は、ダクトの残部から前方に突出し、ダクトを通るガスの効率的な流路を画定する耐火ライニング43の内面と通常面一の、中空の環状ヘッドまたは先端具構造44をもつ。中央躯体部38の前端はこの先端具構造44を超えて前方に突出し、躯体部の前端と先端具構造が協働して環状ノズルを形成し、そこから熱空気が羽根39によって与えられた強い回転または旋回の動きをもつ環状発散流となって噴射される。
本発明によれば、ダクト先端具構造44、中央躯体部38および羽根39はすべてダクトの壁を通って延在する、一般に51で表される冷却水の流路手段によって提供される冷却水の流れで内部的に水冷される。水流通路手段51はダクト・チューブ33、34間の環状空間によって画定される水供給通路52を備え、冷却水をダクト先端具構造44の中空内部53に先端具37の円周状に配置された開口55を経由して供給する。水は先端具から円周状に配置された開口55を通って、ダクト・チューブ32、33間に画定され、また水流通路手段51の一部をも構成する環状の戻り水流通路56に戻る。先端具37の中空内部52はしたがって連続して冷却水が供給され、内部冷却通路として働く。ランス先端具の冷却水はランス後端の水の入口57を経由して供給通路52に送達され、戻り水はやはりランス後端の出口58を経由して放出される。
ダクト・チューブ34と35間の環状空間59は、螺旋状に曲がった分割棒で、ダクトの後端からダクトの前端部36にわたって延在する8個に分割された螺旋状の通路に分割される。これらの通路のなかの4個の通路は、4個の円周状に配置された水の入口62を経由して独立に水が供給され、羽根39および躯体部38を冷却する水が独立に供給される。他の4個の通路は、共通の環状の戻りマニホルド通路63および単一の水出口64に接続されている戻り流路として使用される。
羽根39は中空構造をしており、内部は水の入口および出口流路を形成するために分割され、そこを通って水がやはり内部水冷のために水流の通路が形成されている中央躯体部38に流出入する。羽根39の前端45は最も内側のダクト・チューブ35の前端で4個の水の入口の溝穴65の周りに接続され、そこを経由して水が4個の独立した供給水の入口流路から羽根前端の半径方向に内側へ向いた入口通路66の中へ流れる。冷却水は次いで中央躯体部38の前端に流れる。
中央躯体部38は、円筒部本体71と、熱いガス流によって運ばれる耐火性の粗粒子または微粒子による磨耗に抗するように固い表面をもつドーム状の前端および後端部材41、42とから形成される筐体70の中に収容された前および後の内部躯体部68、69から構成されている。内部部品68、60と中央躯体部の外側筐体の間のクリアランス空間74は、内部躯体部品68、69の外側の周縁面に形成された間仕切りリブ77、78によって2組の周縁水流通路75、76に小分割されている。水流導管75の前方の組は中央躯体部の前端から図8に示したように扇形に広がって躯体の周縁を後方へ配置されている。流れ案内挿入部材81は内部躯体部68の内部中心に置かれ、水流通路67を通って延在し、その通路を、羽根前端の水入口通路66を経由して流入する水を独立に受容する4つの円周状に配置された水流通路に分割し、4つの独立した流入水が中央躯体部の前端へ流れるのを維持する。これらの分割された水流は4つの前方の周縁水流導管75に連絡しており、これを経由して水が中央躯体部の前端の周囲を流れ戻る。
じゃま板82は羽根前端および中央躯体部の水入口通路66、67を羽根後端および中央躯体部の水流通路から分離する。前方の周縁導管75を経由して流れ戻る水は、入口通路66の間に位置する、このじゃま板の溝穴83を経由して進み、後部躯体部材69中の中央通路84の中へ流れ戻る。この通路もまた、4つの分離した水が続いて中央躯体の後端へ流れるように中央の流れ案内85によって4つの分離した流路に分割されている。後方の周縁流路76もまた中央躯体前端で側路75と同じように4つの組に構成されており、躯体の後端で4つの分離した水流を受容し、躯体の周縁を通って筐体中に円周状に配置された4個の出口溝穴86へ戻し、そこを通って水が羽根の戻り通路87へ流れる。
中空の羽根は内部で長手方向のじゃま板89によって仕切られており、冷却水通路は、羽根前端の内部から羽根後端へ、次いで羽根外側の長手方向の端部に沿って外側方向および前方向へ延在し、出口溝穴93に連絡している羽根の前端42の水出口通路91へと延在し、該4個の周辺離間帰還経路はダクトの壁を通って延在しダクト後端で共通出口64に戻る。じゃま板82は羽根内部の入口および出口通路66、91を分離し、それぞれの羽根の水の流出入溝穴65、93は、内部ダクト・チューブ35の前端に、図3に見えるように羽根の螺旋角度に適合するような長手方向の角度に形成されている。
4つの同心状ダクト・チューブ32、33、34、35の前端は、それらがランスの前端で強固な構造として堅固に連結されるように先端具55の3つのフランジ94、95、96に溶接される。ダクト・チューブの後端は、ランスの運転中の異なる熱膨張を許容するために互いにそれぞれ長手方向に動くことができる。図10に最もはっきり見えるように、ダクト・チューブ32の後端には、種々の水の入口および出口57、58、62、64を保持する連続構造体102が溶接される、突出するフランジ101を備える。構造体102は、ダクト・チューブ33の後端用のすべり架台として使用する、Oリング・シール104を取り付けた内部環状フランジ103を含み、ダクト・チューブ33が外側のダクト・チューブ32と独立に長手方向に膨張および収縮できるようにする。ダクト・チューブ34の後端に溶接された構造体105は、ダクト・チューブ32の後端に固定した外部構造体102の内側にダクト・チューブ34の後端用のすべり架台を提供する、Oリング・シール108、109を取り付けた環状フランジ106、107を含み、ダクト・チューブ34もまたダクト・チューブ32とは独立に膨張、収縮ができる。最も内側のダクト・チューブ35の後端は、外部構造体102に固定した環状リング113とかみ合うOリング・シール112を取り付けた、突出するフランジ111を備え、独立に長手方向の膨張と収縮を可能にする、最も内側のダクト・チューブ用のすべり架台を提供する。
流れ案内羽根39および内部躯体部38にも熱膨張の備えはされている。羽根39はその前端、特に羽根の前端の内部部品および外部部品の水の流出入がある場所でのみ、ダクトおよび内部躯体部に接続される。羽根の主要部分は単純にダクトの耐火ライニング43と中央躯体38の筐体の間に固定され、長手方向には自由に膨張できる。内部躯体部の後方部分の内側の水流間仕切り85は、じゃま板82上の管状差込み部(spigot)122の機械仕上げ面をすべる環状の前端プレートを有し、中央躯体部の前方部および後方部が、分離した水流通路の間の封止を保ちながら、熱膨張下で動くことができるようにする。熱膨張ジョイント133は、中央躯体部の前端および後端の間の熱膨張に適応するために備えられている。
さらに、熱膨張を許容するために、羽根39は、断面で見たとき、それらが中央躯体部のケーシングとダクトの耐火ライニングの間で半径方向および外方向に延在せず、ランス・チューブと中央躯体が冷たい状態のとき、それらが真の半径方向からわずかにずれた角度にあるように成形することができる。続いてランスの運転中のダクト・チューブの膨張によって、ダクトのライニングと中央躯体部間の接触を適切に維持しつつ、羽根は真の半径方向の位置に引っ張られ、熱膨張による羽根の半径方向の歪みが回避される。
図示した熱空気ランスの運転に際しては、独立した冷却水が4個の旋回羽根39へ送達され、異なる流れの影響による冷却効率の損失をなくすことができる。独立した冷却水流は、選択的な流れが起こる影響のために生じる水流不足に起因する熱スポットを排除するために、中央躯体部38の前端および後端にも提供される。これは特に製錬容器内で極めて高い温度条件に曝される中央躯体部の前端72の冷却には重要である。
ダクト・チューブは熱膨張および収縮の影響下、独立に長手方向へ膨張および収縮することができ、羽根および中央躯体部も、ランスの構造的な健全さとさまざまな冷却水の独立した流れの維持を損なうことなく、膨張および収縮することができる。
図示したランス26がハイスメルト法によって溶融鉄を製造する直接製錬容器内の極端な温度条件下で運転できる可能性が実証された。一般に4個の旋回羽根および中央躯体部を通る冷却水流の速度は90m3/Hr程度であり、外部筐体およびランスの先端具を通る速度は400m3/Hr程度であろう。したがって、流速の総計は最高運転圧1500kPag程度で490m3/Hr程度にすることができる。
本発明は、説明した方法の詳細および図示した構造に決して制限されるものではなく、また多くの修正と変形が本発明の原理および範囲に包含されることを理解されたい。
以下、本発明の好ましい態様を記載する。
(1)鉄を含む供給材料から金属鉄を製造する直接製錬法であって、
(a)冶金容器中に溶融金属と溶融スラグを形成する段階と、
(b)鉄を含む供給材料を溶融浴に噴射して鉄を含む供給材料を溶融浴中で金属に製錬する段階と、
(c)溶融浴中に固体の炭材を噴射する段階と、
(d)溶融浴中に、少なくとも部分的に浴に噴射された材料の反応によってガス流を発生させ、溶融浴の静止面(本明細書中に定義されている)の上方向に溶融材料を運んで浴を上昇させる段階と、
(e)予備加熱した空気を、それが上昇浴に衝突または浸透して、上昇浴から放出された、もしくは浴中に含まれる反応ガスを後燃焼させ、それによって溶融浴への熱伝達を促進するように容器中に噴射する段階とを含み、
この方法が、予備加熱した空気を水平軸線に対して20〜90°の角度、および温度800〜1400℃、速度200〜600m/sで少なくとも1つのランスから容器内に下方へ噴射して、ランスの下端領域にある上昇した溶融浴中の溶融材料をランスから離れさせ、ランスの下端の周囲に溶融材料の濃度が上昇浴の溶融材料濃度よりも低い「自由な」空間を形成させ、ランスが、(i)ランスが容器中に少なくともランス下端の外径の距離だけ延在し、(ii)ランスの下端が溶融浴の静止面上方で、ランス下端の外径の少なくとも3倍の位置にあるように配置されることを特徴とする方法。
(2)ランス下端の周囲の自由空間中の溶融材料濃度が空間の5容積%以下である(1)に記載の方法。
(3)ランス下端の周囲の自由空間がランス下端の外径の少なくとも2倍の直径をもつ半球状の容積である(1)または(2)に記載の方法。
(4)ランス下端の周囲の自由空間の直径がランス下端の外径の4倍以上ではない(3)に記載の方法。
(5)予備加熱した空気中の酸素の少なくとも50容積%がランス下端の周囲の自由空間で燃焼される、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)予備加熱した空気を容器中に旋回動で噴射することを含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)溶融浴中の表層ガス流速が溶融浴の静止面で少なくとも0.04Nm3/s/m2である、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)表層ガス流速が溶融浴の静止面で少なくとも0.2Nm3/s/m2である、(7)に記載の方法。
(9)表層ガス流速が溶融浴の静止面で2Nm3/s/m2未満である、(7)または(8)に記載の方法。
(10)鉄材料および固体炭材を溶融浴中に噴射することによって溶融浴からガス流を発生させることを含む、(1)〜(9)のいずれかに記載の方法。
(11)鉄材料および固体炭材を噴射して溶融浴の下部領域に浸透させることによって溶融浴からガス流を発生させることを含む、(10)に記載の方法。
(12)鉄材料と炭材を溶融浴の下方向に延在するランス/羽口を経由して溶融浴中に噴射することを含む、(1)〜(11)のいずれかに記載の方法。
(13)鉄材料と固体炭材を、容器の側壁を貫通して延在し、溶融浴内の内方向および下方向に角度が付けられているランス/羽口を経由して溶融浴中に噴射する、(12)に記載の方法。
(14)上昇浴から放出された、または浴中に含まれる反応ガスを少なくとも40%のレベルに後燃焼することを含む、(1)〜(13)のいずれかに記載の方法。
(15)溶融浴中の溶融鉄中に溶解した炭素のレベルを少なくとも3重量%に制御し、スラグを強力な還元状態にしてスラグ中のFeOのレベルを6重量%未満に維持することを含む、(1)〜(14)のいずれかに記載の方法。
(16)金属鉄を、鉄を含む供給材料から直接製錬法によって製造する装置であって、装置が溶融金属の溶融浴と、溶融スラグと、溶融浴上のガスの連続空間を収容する容器を含み、この容器が、
(a)溶融浴の下部領域に接触する基部および側部を有する耐火材料から形成された炉床と、
(b)炉床の側部から上方向に延在して溶融浴の上部領域およびガスの連続空間に接触する側壁であって、ガスの連続空間に接触する側壁が水冷パネルおよびパネル上のスラグ層を含む側壁と、
(c)容器中に鉄を含む供給材料および炭材を供給する手段と、
(d)溶融材料を溶融浴の公称静止面(本明細書中に定義されている)の上方向に運んで上昇浴を形成する溶融浴中のガス流を発生させる手段と、
(e)容器中へ下方向に延在する、予備加熱した空気を容器中に水平軸線に対して20〜90°の角度、速度200〜600m/s、および温度800〜1400℃で噴射する少なくとも1つのランスであって、そのランスが、
(i)ランスが容器中に少なくともランス下端の外径の距離だけ延在し、
(ii)ランスの下端が溶融浴の静止面上方で、ランス下端の外径の少なくとも3倍の位置にあるように配置され、
空気が、上昇浴に衝突または浸透して、上昇浴から放出された、もしくは浴中に含まれる反応ガスを後燃焼させ、空気の噴射によってランスの下端領域にある上昇した溶融浴中の溶融材料をランスから離れさせ、ランスの下端の周囲に溶融材料の濃度が上昇浴のそれよりも低い「自由な」空間ができるようにするランスと、
(f)容器から溶融金属とスラグを注ぎ出す手段とを含む装置。
(17)供給手段/ガス発生手段が、鉄を含む供給材料および炭材をキャリア・ガスと共に溶融浴中へ噴射し、ガス流を発生させる複数対のランス/羽口を含む、(16)に記載の装置。

Claims (11)

  1. 鉄を含む供給材料から金属鉄を製造する直接製錬法であって、
    (a)冶金容器中に溶融金属と溶融スラグを形成する段階と、
    (b)鉄を含む供給材料および固体の炭材を溶融浴に、前記冶金容器の側壁を貫通して延在し溶融浴内の内方向および下方向に角度が付けられているランス/羽口を経由して噴射する段階であって、前記噴射により、
    (i)前記鉄を含む供給材料を前記溶融浴中で金属に製錬し、
    (ii)前記溶融浴内の溶融鉄中に溶解する炭素濃度を少なくとも3質量%にし、
    (iii)前記溶融浴中に、少なくとも部分的に、前記溶融浴に噴射された前記鉄を含む供給材料と前記炭材との反応によってガス流を発生させ、前記溶融浴の静止面の上方向に溶融材料を運んで前記溶融浴を上昇させ、ここで、前記溶融浴中のガス流の流速が前記溶融浴の静止面で少なくとも0.04Nm3/s/m2であり、ここで、前記静止面は、ガスまたは固体の噴射がなく溶融浴の攪拌がない条件下での溶融浴の表面である、前記噴射する段階と、
    (c)予備加熱した空気を、それが上昇浴に衝突または浸透して、前記上昇浴から放出された、もしくは前記上昇浴中に含まれる反応ガスを後燃焼させ、それによって前記溶融浴への熱伝達を促進するように前記冶金容器中に噴射する段階と
    を含み、
    予備加熱した空気または酸素を有する空気を水平軸線に対して20〜90°の角度、および温度800〜1400℃、速度200〜600m/sで少なくとも1つのランスから噴射して、前記ランスの下端領域にある上昇した前記溶融浴中の溶融材料を前記ランスから離れさせ、前記ランスの下端の周囲に「自由な」空間を形成させ、前記ランスが、(i)前記ランスが前記冶金容器中に少なくとも前記ランスの下端の外径の距離だけ延在し、(ii)前記ランスの下端が前記溶融浴の静止面上方で、前記ランス下端の外径の少なくとも3倍の位置にあるように配置されることを特徴とする方法。
  2. 前記ランスの下端の周囲の前記自由な空間中の前記溶融材料の体積が前記自由な空間の5容積%以下である請求項1に記載の方法。
  3. 前記ランス下端の周囲の前記自由な空間が前記ランスの下端の外径の少なくとも2倍の直径をもつ半球状の容積である請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記ランスの下端の周囲の前記自由な空間の直径が前記ランスの下端の外径の4倍以上ではない請求項3に記載の方法。
  5. 予備加熱した空気中の酸素の少なくとも50容積%が前記ランスの下端の周囲の前記自由な空間で燃焼される、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の方法。
  6. 予備加熱した空気を前記冶金容器中に旋回動で噴射することを含む、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記ガス流の流速が前記溶融浴の静止面で少なくとも0.2Nm3/s/m2である、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記ガス流の流速が前記溶融浴の静止面で2Nm3/s/m2未満である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記鉄を含む供給材料および前記炭材を噴射して前記溶融浴の下部領域に浸透させることによって前記溶融浴からガス流を発生させることを含む、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記上昇浴から放出された、または前記上昇浴中に含まれる反応ガスを少なくとも40%のレベルに後燃焼することを含み、ここで後燃焼は
    Figure 2012072502

    で定義され、式中、[CO2]は放出ガス中のCO2の容積%、[H2O]は放出ガス中のH2Oの容積%、[CO]は放出ガス中のCOの容積%、[H2]は放出ガス中のH2の容積%を表す、請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記溶融スラグを強力な還元状態にして前記溶融スラグ中のFeOのレベルを6質量%未満に維持することを含む、請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の方法。
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