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JP2012059889A - 貼り合わせウェーハの製造方法及びウェーハ載置用サセプタ - Google Patents

貼り合わせウェーハの製造方法及びウェーハ載置用サセプタ Download PDF

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哲史 岡
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Abstract

【課題】 本発明は、イオン注入剥離法を用いた貼り合わせウェーハの製造方法において、膜厚均一性を悪化させること無く、塩化水素を含む雰囲気で平坦化熱処理できる製造方法を、生産性の低下やコストアップになることなく提供する。
【解決手段】 イオン注入剥離法によりイオン注入層でボンドウェーハを剥離させることにより、ベースウェーハ上にシリコン薄膜を有する貼り合わせウェーハを作製し、該貼り合わせウェーハに、塩化水素を含む雰囲気中でシリコン薄膜の表面を平坦化する熱処理を施す貼り合わせウェーハの製造方法において、前記貼り合わせウェーハに施す平坦化熱処理を、前記貼り合わせウェーハを載置したサセプタのザグリの外側に、貼り合わせウェーハの周囲を取り囲むようにシリコン製リングを配置した状態で行うことを特徴とする貼り合わせウェーハの製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、イオン注入剥離法を用いたシリコン薄膜を有する貼り合わせウェーハを製造する方法、及び、それに用いるウェーハ載置用サセプタに関する。
貼り合わせウェーハの製造方法として、2枚のウェーハを貼り合わせた後、一方のウェーハの薄膜化を研削・研磨で行う方法とイオン注入剥離法(スマートカット(登録商標)法ともいう)で行う方法が一般的に知られている。
まず、研削・研磨で行う方法であるが、これは、2枚のシリコンウェーハを直接あるいは酸化膜を挟んで接着剤を用いることなく結合し、熱処理(1000〜1200℃)により結合強度を高めた後、片方のウェーハを研削・研磨して薄膜化する方法であり、本手法の利点は、SOI層の結晶性や埋め込み酸化膜の信頼性が通常のシリコンウェーハと同等であることであり、また、欠点はSOI層の膜厚均一性に限界(高々±0.3μm程度)があること、および1枚のSOIウェーハの製造には2枚のシリコンウェーハが使用されるためコストが高い点である。
一方、イオン注入剥離法は、2枚のシリコンウェーハの少なくとも一方のウェーハ(ボンドウェーハ)の一主面に水素イオン、希ガスイオンの少なくとも一種類を注入し、ウェーハ内部にイオン注入層(剥離層)を形成させた後、該イオン注入した面と他方のシリコンウェーハ(ベースウェーハ)の一主面を直接あるいは酸化膜を介して密着させ、その後熱処理を加えて剥離層で分離する方法であり、±10nm以下のSOI層膜厚均一性を有する薄膜SOIウェーハを容易に作製できる優位性と、剥離したボンドウェーハを複数回再利用しコスト低減が図れる優位性を有している。しかしながら、剥離直後のSOIウェーハ表面はラフネスが十分ではないために、そのままではデバイス作製用の基板としては使用できず、平坦化のための追加プロセスが必要となり、コスト増加を招いている。
平坦化処理としては、CMP(Chemical Mechanical Polishing)による平坦化、還元性ガスや不活性ガス雰囲気中での高温熱処理による平坦化あるいは塩化水素ガスを含む雰囲気中での平坦化熱処理が一般的に知られている(特許文献1)が、コスト低減の点からは、塩化水素を含む雰囲気中で平坦化熱処理する方法が最も有利な方法と考えられている。
特開2000−30995号
しかしながら、塩化水素(HCl)を含む雰囲気中で平坦化処理する方法は、SOI層(シリコン薄膜)をエッチングしながら平坦化する方法であり、SOI層の膜厚は、ウェーハ周辺部が薄く、中心部が厚い均一性の悪い分布となり、即ち膜厚均一性を悪化させる欠点があった。そこで本発明者らは、図4(a)のように、例えばシラン(SiH)、トリクロロシラン(TCS)、又はジクロロシラン(DCS)等のガスを用いて予めサセプタ41の表面をシリコン膜42でコーティング(Siコート)しておき、その後塩化水素を含む雰囲気中で貼り合わせウェーハ43を平坦化処理する方法を提案した(以下、シリコンコートプロセスともいう)。
この方法は、膜厚均一性悪化を抑制する有効な手法であるが、サセプタ41にコートされたSiが塩化水素を含む雰囲気中の平坦化熱処理中にエッチングされ貼り合わせウェーハ43の裏面に再デポすることにより突起物が形成され、デバイスプロセスのフォトリソ工程でフォーカス不良を発生させる欠点があった。図4(b)に、平坦化熱処理後の膜厚分布(平面図及び断面図)、図4(c)に、SOIウェーハ裏面の突起物の観察図(2mm角)を示す。
そしてこの解決方法として、図5(a)に示すように、例えば、サセプタ41にダミーウェーハ44を載置し、サセプタ41の表面をシリコン膜42でコーティングした後にダミーウェーハ44を一度取り出すことにより、貼り合わせウェーハ43を配置する領域以外の部分にシリコン膜42をコーティングする方法も提案したが、塩化水素を含む雰囲気中で平坦化熱処理する前にシリコンコートしなければならず生産性向上に支障があった。また、ダミーウェーハ44を用いることもコストアップとなっていた。図5(b)に、平坦化熱処理後の膜厚分布(平面図及び断面図)、図5(c)に、SOIウェーハ裏面の観察図(2mm角)を示す。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、イオン注入剥離法を用いた貼り合わせウェーハの製造方法において、膜厚均一性を悪化させること無く、塩化水素を含む雰囲気中で平坦化熱処理できる製造方法を、生産性の低下やコストアップになることなく提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では、ボンドウェーハの表面から水素イオン、希ガスイオンの少なくとも一種類のガスイオンを注入してイオン注入層を形成し、前記ボンドウェーハのイオン注入した表面とベースウェーハの表面とを直接あるいは酸化膜を介して貼り合わせた後、前記イオン注入層でボンドウェーハを剥離させることにより、前記ベースウェーハ上にシリコン薄膜を有する貼り合わせウェーハを作製し、その後、該貼り合わせウェーハに、塩化水素を含む雰囲気中で前記シリコン薄膜の表面を平坦化する熱処理を施す貼り合わせウェーハの製造方法において、前記貼り合わせウェーハに施す平坦化熱処理を、前記貼り合わせウェーハを載置したサセプタのザグリの外側に、前記貼り合わせウェーハの周囲を取り囲むようにシリコン製リングを配置した状態で行うことを特徴とする貼り合わせウェーハの製造方法を提供する。
このように、貼り合わせウェーハを載置したサセプタのザグリの外側に、貼り合わせウェーハの周囲を取り囲むようにシリコン製リングを配置した状態で平坦化熱処理を行うことによって、塩化水素を含む雰囲気中で剥離後の貼り合わせウェーハのシリコン薄膜表面を平坦化するための熱処理を行った際にも、膜厚均一性に優れたシリコン薄膜を有する貼り合わせウェーハを得ることができ、更には、先行技術において行われていたシリコンコートプロセスが省け、ダミーウェーハ等を使用する必要もなくすことができる。即ち、品質を維持しつつ、生産性の向上及びコストの削減の両立を達成することができる。
またこのとき、前記シリコン製リングとして、シリコン単結晶ウェーハ又はポリシリコンウェーハをリング状に加工したものを用いることができる。
このように、シリコン製リングとして、シリコン単結晶インゴット又はポリシリコンインゴットからシリコンウェーハを作製し、それをリング状に加工することで得られるものを用いることができる。
またこのとき、前記平坦化熱処理を行った貼り合わせウェーハのシリコン薄膜上に、エピタキシャル層を成長させることができる。
本発明の貼り合わせウェーハの製造方法を用いて製造された貼り合わせウェーハのシリコン薄膜上にエピタキシャル層を形成することによって、膜厚均一性に優れたエピタキシャル層を得ることができる。従って、均一な膜厚を有する比較的厚いSOI層等の薄膜を有する貼り合わせウェーハを製造することができる。
また、本発明では、前記の貼り合わせウェーハの製造方法における前記平坦化熱処理時に用いるウェーハ載置用サセプタであって、該ウェーハ載置用サセプタは、前記貼り合わせウェーハが載置されるザグリの外側に、該貼り合わせウェーハの周囲を取り囲むようにシリコン製リングが配置されているものであることを特徴とするウェーハ載置用サセプタを提供する。
このような、貼り合わせウェーハが載置されるザグリの外側に、該貼り合わせウェーハの周囲を取り囲むようにシリコン製リングが配置されているウェーハ載置用サセプタは、シリコン製リングによって、先行技術におけるシリコンコートプロセスと同様の効果が得られ、即ち塩化水素を含む雰囲気の平坦化処理後にも膜厚均一性の悪化を抑制でき、更にはシリコンコートプロセスが省け、ダミーウェーハも使用する必要がなくなる。即ち、品質を維持したまま生産性の向上およびコストの削減を達成することができるものとなる。
以上説明したように、本発明によれば、イオン注入剥離法を用いた貼り合わせウエーハの製造方法において、塩化水素を含む雰囲気中で剥離後の貼り合わせウェーハのシリコン薄膜表面を平坦化するための熱処理を行った際にも、膜厚均一性の悪化を抑制することができ、かつ、前述したようなシリコンコートプロセスが省け、ダミーウェーハを使用する必要もなくなり、品質を維持したまま生産性の向上及びコストの削減を達成することができる。
本発明の貼り合わせウェーハの製造方法を説明するフロー図である。 (a)本発明の貼り合わせウェーハの製造方法における貼り合わせウェーハを載置するサセプタのザグリと、シリコン製リングの配置形態の一例を示す模式図、(b)本発明の貼り合わせウェーハの製造方法における平坦化熱処理後のSOI膜厚分布(平面図及び断面図)、及び(c)SOIウェーハ裏面の観察図を示す。 本発明の貼り合わせウェーハの製造方法における、貼り合わせウェーハを載置するサセプタのザグリと、シリコン製リングの配置形態の別の例を示す断面模式図である。 (a)先行技術における貼り合わせウェーハの製造方法を説明するフロー図、(b)先行技術の貼り合わせウェーハの製造方法における平坦化熱処理後のSOI膜厚分布(平面図及び断面図)、及び(c)SOIウェーハ裏面の観察図を示す。 (a)先行技術における別の貼り合わせウェーハの製造方法を説明するフロー図、(b)先行技術の別の貼り合わせウェーハの製造方法における平坦化熱処理後のSOI膜厚分布(平面図及び断面図)、及び(c)SOIウェーハ裏面の観察図を示す。
以下、本発明についてより具体的に説明する。
前述のように、従来、イオン注入剥離法を用いた貼り合わせウェーハの製造方法において、膜厚均一性を悪化させること無く、塩化水素を含む雰囲気中で平坦化熱処理できる製造方法を、生産性の低下やコストアップになることなく提供することができる貼り合わせウェーハの製造方法が求められていた。
そこで、本発明者が種々検討した結果、ボンドウェーハの表面から水素イオン、希ガスイオンの少なくとも一種類のガスイオンを注入してイオン注入層を形成し、前記ボンドウェーハのイオン注入した表面とベースウェーハの表面とを直接あるいは酸化膜を介して貼り合わせた後、前記イオン注入層でボンドウェーハを剥離させることにより、前記ベースウェーハ上にシリコン薄膜を有する貼り合わせウェーハを作製し、その後、該貼り合わせウェーハに、塩化水素を含む雰囲気中で前記シリコン薄膜の表面を平坦化する熱処理を施す貼り合わせウェーハの製造方法において、前記貼り合わせウェーハに施す平坦化熱処理を、前記貼り合わせウェーハを載置したサセプタのザグリの外側に、前記貼り合わせウェーハの周囲を取り囲むようにシリコン製リングを配置した状態で行うことを特徴とする貼り合わせウェーハの製造方法であれば、イオン注入剥離後に塩化水素を含む雰囲気中で剥離後の貼り合わせウェーハの薄膜表面を平坦化するための熱処理を行った際にも、膜厚均一性に優れたシリコン薄膜を有する貼り合わせウェーハを得ることができ、また、膜厚均一性の悪化を抑制するために行われていたシリコンコートプロセスが省け、ダミーウェーハを使用する必要もなくなることを見出した。
即ち、本発明の貼り合わせウェーハの製造方法によれば、塩化水素を含む雰囲気中の平坦化処理後にも、膜厚均一性の悪化を抑制でき、更には、生産性の低下やコストアップになることなく膜厚均一性に優れたシリコン薄膜を有する貼り合わせウェーハを製造することができる。
本発明の貼り合わせウェーハの製造方法について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。図1は、本発明の貼り合わせウェーハの製造方法の一例を説明するフロー図である。
まず、例えば、ボンドウェーハ1及びベースウェーハ2として、直径300mm、結晶方位<100>のシリコン単結晶ウェーハを用意する。ボンドウェーハ1の表面に150nmのシリコン酸化膜3を熱酸化により形成した後、そのシリコン酸化膜3を介してHイオン注入(50keV、5×1016/cm)を行いイオン注入層4を形成し(図1(a))、ボンドウェーハ1のイオン注入した表面とベースウェーハ2とを酸化膜3を介して室温で貼り合わせる(図1(b))。
図1(b)では、ボンドウェーハ1とベースウェーハ2を酸化膜3を介して貼り合わせているが、本発明の貼り合わせウェーハの製造方法においては、酸化膜3を介さずに直接貼り合わせても良い。酸化膜3を介して貼り合わせる場合には、予めボンドウェーハ1又はベースウェーハ2の一方に酸化膜3が形成されていても良いし、両ウェーハに形成されていても良い。図では表面側にのみ酸化膜が形成されているが、ウェーハの全体の表面に酸化膜3を形成しても良い。尚、酸化膜としては、約0.1μm〜約2.0μm厚の酸化膜3を形成することが好ましい。
また、ボンドウェーハ1にイオン注入層4を形成する際、水素イオン、希ガスイオンの少なくとも一種類のガスイオンを注入してイオン注入層4を形成するが、注入エネルギー、注入線量、注入温度等その他のイオン注入条件は、所定の厚さの薄膜を得ることができるように適宜選択することができる。
ボンドウェーハ1とベースウェーハ2とは、常温の清浄な雰囲気下で2枚のウェーハの表面同士を接触させることにより、接着剤等を用いることなく接着させることができる。
その後、剥離温度500℃でイオン注入層4でボンドウェーハ1を剥離させることにより、ベースウェーハ2上にシリコン薄膜(SOI層)5を有する貼り合わせウェーハ(SOIウェーハ)6を作製する(図1(c))。
この剥離は特に限定されないが、例えばAr等の不活性ガス雰囲気下約300〜1100℃程度で熱処理を施すことにより行うことができる。
また、ボンドウェーハ1とベースウェーハ2とを貼り合わせる前に、どちらか一方又は両方のウェーハの貼り合わせ面にプラズマ処理を施して、結合強度を高めることによって、剥離熱処理を省略し、機械的に剥離させることもできる。
次に、この剥離直後の貼り合わせウエーハ6を枚葉式エピタキシャル成長装置を用い、例えば1100℃で塩化水素(HCl)を含む雰囲気中でシリコン薄膜5の表面を平坦化する平坦化熱処理を施す(図1(d))。
本発明は、この貼り合わせウェーハに施す平坦化熱処理を、図2(a)に示すように、貼り合わせウェーハ6を載置したサセプタ7のザグリ8の外側に、貼り合わせウェーハ6の周囲を取り囲むようにシリコン製リング9を配置した状態で行うことを特徴とする。
このように、貼り合わせウェーハ6を載置したサセプタ7のザグリ8の外側に、貼り合わせウェーハ6の周囲を取り囲むようにシリコン製リング9を配置した状態で、塩化水素を含む雰囲気中でシリコン薄膜5の表面を平坦化する熱処理を施すことで、貼り合わせウェーハ6の周辺部のエッチングが抑制され、平坦化熱処理後に膜厚均一性の良いシリコン薄膜5を得ることができるエッチングが可能となる。図2(b)に本発明の貼り合わせウェーハの製造方法における平坦化熱処理後のSOI膜厚分布(平面図及び断面図)、図2(c)にSOIウェーハ裏面の観察図を示す。尚、図2(b)、(c)は、図4(b)、(c)及び図5(b)、(c)と同一スケールで測定した結果を示している。
更に、本発明によれば、平坦化熱処理後の膜厚均一化のために行われていたシリコンコートプロセスを省くことができ、ダミーウェーハを使用する必要もなくなり、品質を維持したまま、生産性の向上及びコストの削減を達成することができる。
このように、本発明の貼り合わせウェーハの製造方法では、平坦化熱処理を、貼り合わせウェーハ6を載置したサセプタ7のザグリ8の外側に、貼り合わせウェーハ6の周囲を取り囲むようにシリコン製リング9を配置した状態で行うが、このような貼り合わせウェーハ6を載置するサセプタ7のザグリ8と、シリコン製リング9の配置形態の例を図3(a)〜(e)に示す。
まず、図3(a)は、サセプタ7のザグリ8の外側にシリコン製リング9を配置した例である。
図3(b)は、ザグリ8の外側にシリコン製リング9を配置するための溝を、ザグリ深さと同じ深さで、かつ、ザグリと連続した溝として形成した例である。
図3(c)は、図3(b)の変形例であり、シリコン製リング9を配置するための溝を、ザグリ深さと同じ深さで、かつ、ザグリ8とは一定の間隔を設けて形成した例である。このようにザグリ8と溝との間に一定の間隔を設ける場合、その間隔は5mm以下とすることが好ましい。5mm以下であれば、塩化水素を含む雰囲気中の平坦化熱処理によるシリコン薄膜の膜厚均一性の悪化を抑制する効果が十分に得られなくなる恐れがないために好ましい。
図3(d)は、ザグリ8の外側にシリコン製リング9を配置するための溝を、ザグリ深さよりも浅い深さで、かつ、ザグリ8と連続した溝として形成した例である。
図3(e)は、ザグリ8の外側にシリコン製リング9を配置するための溝を、ザグリ深さよりも深い深さで、かつ、ザグリ8と連続した溝として形成した例である。
これらの図3(a)〜(e)において、使用するシリコン製リング9は、例えば、シリコン単結晶インゴット又は多結晶シリコンインゴットからシリコンウェーハを作製し、それをリング状に加工することで得られる。シリコン製リング9の幅は10mm以上50mm以下とすることが好ましい。10mm以上であれば、塩化水素を含む雰囲気中の平坦化熱処理によるシリコン薄膜の膜厚均一性の悪化を抑制する効果が不十分となる恐れがない。また、50mm以下であれば、シリコン製リング及びサセプタの大型化、ひいては、反応チャンバーの大型化が必要となる恐れがないため好ましい。
シリコン製リング9の厚さは、機械的強度や繰り返しエッチングされることを考慮し、0.5mm以上とすることが好ましい。また、3mm以下の厚さであれば、エッチングを行うシリコン薄膜表面とシリコン製リングの表面との高さの差が大きくなる恐れがなく、膜厚均一性の悪化を抑制する効果が不十分になる恐れがないために好ましい。
このような、貼り合わせウェーハ6が載置されるザグリ8の外側に、貼り合わせウェーハ6の周囲を取り囲むようにシリコン製リング9が配置されているウェーハ載置用サセプタは、シリコン製リング9によって、先行技術におけるシリコンコートプロセスと同様の効果が得られ、即ち塩化水素を含む雰囲気の平坦化処理後にも膜厚均一性の悪化を抑制でき、更には膜厚均一性悪化の抑制のために行われていたシリコンコートプロセスが省け、ダミーウェーハも使用する必要がなくなる。即ち、品質を維持したまま生産性の向上およびコストの削減を達成することができるウェーハ載置用サセプタとなる。
尚、平坦化熱処理は、塩化水素を含む雰囲気中で、例えば1000〜1200℃で行うことができる。
平坦化熱処理後は、得られた貼り合わせウェーハ6のシリコン薄膜5上にエピタキシャル層10を成長させることができる(図1(e))。本発明の貼り合わせウェーハの製造方法を用いて製造された貼り合わせウェーハ6からは、膜厚均一性に優れたエピタキシャル層10を得ることができる。従って、均一な膜厚を有する比較的厚いSOI層等の薄膜を有する貼り合わせウェーハを製造することができる。尚、SOI層の膜厚が数μmから数10μmと厚いSOIウェーハは、バイポーラデバイスやパワーデバイス用として極めて有用である。
以下、実施例、比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
直径300mmのシリコン単結晶ウェーハを2枚準備し、水素イオン注入剥離法により、SOI層の厚さが250nm、埋め込み酸化膜層が300nmのSOIウェーハを作製した。その後、図2(a)のようなサセプタ7とシリコン製リング9(すなわち、図3(a)と同様に、ザグリ8の外側にシリコン製リング9を配置したサセプタ7)を用い、以下の条件で平坦化熱処理を施した。
温度:1050℃、時間:7分
ガス流量:HCl 400sccm H55slm
平坦化熱処理によるSOI層のエッチング量を表1に示す。平坦化熱処理後の膜厚均一性(平坦化熱処理後のSOI膜厚のP−V値をエッチング量で割った値(%))、SOIウェーハ裏面の突起の有無を下記表1に併せて示す。
この際、SOI膜厚分布はADE社製AcuMapを用い、裏面の観察はテンコール社製表面形状測定器を用いて測定した。
(比較例1〜3)
直径300mmのシリコン単結晶ウェーハを2枚準備し、水素イオン注入剥離法により、SOI層の厚さが250nm、埋め込み酸化膜層が300nmのSOIウェーハを作製した。その後、平坦化熱処理を施すが、この平坦化熱処理の前に、比較例1では平坦化熱処理時に用いるSOIウェーハ43を載置するためのサセプタ41の全表面にシリコン膜42をコーティングしておき(図4(a))、比較例2では、ダミーウェーハ44を用いて、SOIウェーハ43の裏面とサセプタ41が接触する領域を除く表面にシリコン膜42をコーティングしておいた(図5(a))。比較例3では、サセプタにシリコン膜のコーティングは行わなかった。
比較例1及び比較例2のシリコン膜のコーティングは以下の条件で行った。
温度:1080℃、時間:3分
ガス流量:ジクロロシラン 450sccm、H 53slm
次いで、上記のように準備しておいた比較例1〜3で用いるサセプタに、上記SOIウェーハを載置し、実施例1と同一条件で平坦化熱処理を行った。各SOIウェーハのエッチング量を表1に示す。平坦化熱処理後の膜厚均一性(平坦化熱処理後のSOI膜厚のP−V値をエッチング量で割った値(%))、SOIウェーハ裏面の突起の有無を下記表1に併せて示す。
Figure 2012059889
実施例1及び比較例1、2においては、平坦化熱処理後、下記条件によりエピタキシャル層を成長させた。
温度:1080℃、時間:3分
ガス流量:ジクロロシラン 450sccm、H 53slm
エピタキシャル層膜厚:3μm
その結果、エピタキシャル成長後の膜厚分布は、いずれも±1.5%と良好な結果が得られた。
表2は、エピタキシャル成長後の本実施例1と比較例1、2について比較した結果を示すものである。
比較例1は、膜厚均一性は良いが、処理中にウェーハ裏面にSiデポが生じ、フォトリソ工程において支障をきたす突起が発生する欠点がある。比較例2は、膜厚均一性は良好であり、かつ裏面の突起も発生しておらず、品質面での問題ない。しかしながら、ダミーウェーハを必ず使用しなくてはならず生産性およびコストの点で欠点となっている。
これに対し本実施例1は、品質面(膜厚均一性、裏面突起)で良好であるだけでなく、生産性及びコストの面でも有利であることを示している。
Figure 2012059889
◎:優良、○:良好、×:不可
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…ボンドウェーハ、 2…ベースウェーハ、 3…酸化膜、 4…イオン注入層、 5…シリコン薄膜(SOI層)、 6…貼り合わせウェーハ(SOIウェーハ)、 7…サセプタ、 8…ザグリ、 9…シリコン製リング、 10…エピタキシャル層、 41…サセプタ、 42…シリコン膜、 43…貼り合わせウェーハ、 44…ダミーウェーハ。

Claims (4)

  1. ボンドウェーハの表面から水素イオン、希ガスイオンの少なくとも一種類のガスイオンを注入してイオン注入層を形成し、前記ボンドウェーハのイオン注入した表面とベースウェーハの表面とを直接あるいは酸化膜を介して貼り合わせた後、前記イオン注入層でボンドウェーハを剥離させることにより、前記ベースウェーハ上にシリコン薄膜を有する貼り合わせウェーハを作製し、その後、該貼り合わせウェーハに、塩化水素を含む雰囲気中で前記シリコン薄膜の表面を平坦化する熱処理を施す貼り合わせウェーハの製造方法において、
    前記貼り合わせウェーハに施す平坦化熱処理を、前記貼り合わせウェーハを載置したサセプタのザグリの外側に、前記貼り合わせウェーハの周囲を取り囲むようにシリコン製リングを配置した状態で行うことを特徴とする貼り合わせウェーハの製造方法。
  2. 前記シリコン製リングとして、シリコン単結晶ウェーハ又はポリシリコンウェーハをリング状に加工したものを用いることを特徴とする請求項1に記載の貼り合わせウェーハの製造方法。
  3. 前記平坦化熱処理を行った貼り合わせウェーハのシリコン薄膜上に、エピタキシャル層を成長させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の貼り合わせウェーハの製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の貼り合わせウェーハの製造方法における前記平坦化熱処理時に用いるウェーハ載置用サセプタであって、該ウェーハ載置用サセプタは、前記貼り合わせウェーハが載置されるザグリの外側に、該貼り合わせウェーハの周囲を取り囲むようにシリコン製リングが配置されているものであることを特徴とするウェーハ載置用サセプタ。
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