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JP2012053382A - 太陽熱発電用光反射フィルム及び太陽熱発電用反射装置 - Google Patents

太陽熱発電用光反射フィルム及び太陽熱発電用反射装置 Download PDF

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JP2012053382A JP2010197482A JP2010197482A JP2012053382A JP 2012053382 A JP2012053382 A JP 2012053382A JP 2010197482 A JP2010197482 A JP 2010197482A JP 2010197482 A JP2010197482 A JP 2010197482A JP 2012053382 A JP2012053382 A JP 2012053382A
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Abstract

【課題】フィルムミラーとしての取扱性を維持しながら、太陽熱発電用光反射フィルムとして過酷な環境下で長期間用いられた場合にも、高い正反射率を長期間維持することが可能であり、軽量で柔軟性があり、製造コストを抑え大面積化・大量生産することのできる、耐光性及び耐候性に優れ、太陽熱に対して良好な正反射率を有する太陽熱発電用光反射フィルム及びそれを用いた太陽熱発電用反射装置を提供することにある。
【解決手段】太陽光入射側の最表面に、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン及びポリジメチルシロキサン系共重合体を構成要素とする共重合体を含有する表面層と、1層以上の樹脂基材と金属反射層を有することを特徴とする太陽熱発電用光反射フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽熱発電用光反射フィルム及びそれを用いた太陽熱発電用反射装置に関する。
石油、天然ガス等の化石燃料エネルギーに代わる代替エネルギーとしては、現在、石炭エネルギー、バイオマスエネルギー、核エネルギー、風力エネルギー及び太陽エネルギー等の自然エネルギーが検討されているが、化石燃料の代替エネルギーとして最も安定しており、かつ量の多い自然エネルギーは、太陽エネルギーであると考えられる。
しかしながら、太陽エネルギーは非常に有力な代替エネルギーであるものの、これを活用する観点からは、(1)太陽エネルギーのエネルギー密度が低いこと、及び(2)太陽エネルギーの貯蔵及び移送が困難であることが問題となると考えられる。
これに対して、太陽エネルギーのエネルギー密度が低いという問題は、巨大な反射装置で太陽エネルギーを集めることによって解決することが提案されている。
反射装置は、太陽熱による紫外線や熱、風雨、砂嵐等に晒されるため、従来、ガラス製ミラーが用いられてきた。ガラス製ミラーは環境に対する耐久性が高い反面、輸送時に破損したり、重いためミラーを設置する架台の強度を持たせるために、プラントの建設費がかさむといった問題があった。
上記問題を解決するために、ガラス製ミラーを樹脂製反射シートに置き換えることが考えられてきた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、太陽熱発電用光反射フィルム(以下、太陽熱発電用フィルムミラー、フィルムミラー、またはミラーともいう。)は、製造時に樹脂フィルムをロール搬送しながら、反射層、保護層等を蒸着工程及び塗布工程あるいはフィルム貼り合わせにより積層化して製造する。またこの時、ロール品をロール状態で保管したりする。これらの製造工程時あるいはロール品での保管状態において、一般に知られているブロッキング現象が起こる。ブロッキング現象の程度にもよるが、通常の液晶用導光フィルム、建材に使われるフィルム製品等では、ブロッキングによるフィルムのうねりは、品質に大きな影響を及ぼさないが、フィルムミラーにおいては、ブロッキング現象が原因で発生するうねりや構成層厚の不均一性があると、フィルムミラーの基本機能の光の正反射機能を損なう影響を与えることが分かった。
さらにフィルムミラーは、剛性を持たせるために剛性のある金属板に張って使用する。金属板に貼り付ける時にローラーにより圧着するが、ローラー部による送り出し力によりフィルムミラーに皺やたわみが発生し、正反射率が低下する課題が起こることが分かった。
特開2005−59382号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、フィルムミラー製造時あるいはロール品保管時に起こるブロッキング現象を低減することで、基本機能である正反射率の品質を安定化させながら、製造コストを抑えて大面積化・大量生産することが可能な太陽熱発電用光反射フィルムを提供することである。また、剛性を持たせるためにフィルムミラーを基材に圧着するとき、圧着貼り付け時のロール搬送が良好でないと基本性能である正反射率が低下するが、このような正反射率の低下がない太陽熱発電用光反射フィルム及びそれを用いた太陽熱発電用反射装置を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.太陽光入射側の最表面に、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン及びポリジメチルシロキサン系共重合体を構成要素とする共重合体を含有する表面層と、1層以上の樹脂基材と金属反射層を有することを特徴とする太陽熱発電用光反射フィルム。
2.前記ポリシロキサンが、ポリジメチルシロキサン系共重合体の骨格に含まれていることを特徴とする前記1に記載の太陽熱発電用光反射フィルム。
3.前記ポリカプロラクトンが、ポリジメチルシロキサン系共重合体の骨格に含まれていることを特徴とする前記1または2に記載の太陽熱発電用光反射フィルム。
4.前記1〜3のいずれか1項に記載の太陽熱発電用光反射フィルムを用いた太陽熱発電用反射装置であって、前記太陽熱発電用光反射フィルムの樹脂基材を挟んで前記表面層を有する側とは反対側の樹脂基材面に塗設された粘着層を介して、金属基材上に太陽熱発電用光反射フィルムを貼り付けて形成されたことを特徴とする太陽熱発電用反射装置。
本発明により、フィルムミラー製造時あるいは製造後のロール状態で起こるブロッキング現象を低減させ、基本機能である正反射率の品質を安定化させることで、製造コストを抑えて大面積化・大量生産することが可能な太陽熱発電用光反射フィルムを得ることができた。また、剛性を持たせるためにフィルムミラーを基材に圧着する際においても安定して基本性能である正反射率が得られる太陽熱発電用光反射フィルム及びそれを用いた太陽熱発電用反射装置を得ることができた。
本発明者が、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、製造工程及びロール品保管時において、ロールのブロッキング現象は、フィルムどうしの強い密着が起こることによって発生する。フィルムどうしの強い密着が起こらないようにするためには、フィルム表面を密着が起こりにくい特性に改善することが必要であった。しかしフィルムミラーの特性上、屋外環境に曝されることから、太陽光に含まれる紫外線耐性、耐湿度、耐薬品、耐傷に優れた特性も合わせ持つ必要があり、本発明に至った。
本発明の太陽熱発電用光反射フィルムは、太陽光入射側の最表面に、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン及びポリジメチルシロキサン系共重合体を構成要素とする共重合体を含有する表面層と、1層以上の樹脂基材と金属反射層を有することを特徴とする。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記ポリシロキサンが、ポリジメチルシロキサン系共重合体の骨格に含まれていることが好ましい。また、前記ポリカプロラクトンが、ポリジメチルシロキサン系共重合体の骨格に含まれていることが好ましい。
本発明においては、前記金属反射層を構成する金属の主成分が銀であることが好ましく、金属反射層は、金属の蒸着によって形成する工程を有する態様の製造方法であることが好ましいが、銀含有錯体溶液をフィルム上に塗布した後、金属銀を形成することもできる。
本発明の太陽熱発電用光反射フィルムは、太陽熱発電用反射装置に好適に用いることができる。例えば、前記太陽熱発電用光反射フィルムの樹脂基材を挟んで前記表面層を有する側とは反対側の樹脂基材面に塗設された粘着層を介して、金属基材上に太陽熱発電用光反射フィルムを貼り付けて形成される態様の太陽熱発電用反射装置であることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明する。
(太陽熱発電用光反射フィルムの構成概要)
本発明の太陽熱発電用光反射フィルムは、太陽光入射側の最表面に、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン及びポリジメチルシロキサン系共重合体を構成要素とする共重合体を含有する表面層と、1層以上の樹脂基材と金属反射層を有することを特徴とする。本発明においては、表面層、金属反射層の他に、目的に応じて、接着層、金属腐食防止層、その他の各種機能層を設けてもよい。
(表面層)
本発明の太陽熱発電用光反射フィルムは、太陽光入射側の最表面に、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン及びポリジメチルシロキサン系共重合体を構成要素とする共重合体を含有する表面層を有することが特徴である。
本発明に係る表面層を構成要素とする共重合体は、ポリジメチルシロキサン系共重合体と、ポリカプロラクトンと、ポリシロキサンとを構成要素とする組成物及び/または化合物(以下「原材料」という場合がある。)を架橋(硬化)してなるものである。
組成物の形態としては、第1に、ポリジメチルシロキサン系共重合体とポリカプロラクトンとポリシロキサンとがそれぞれ独立して組成物の構成成分となる場合、第2に、ポリカプロラクトンが骨格中に導入されたポリジメチルシロキサン系共重合体と、ポリシロキサンとが組成物の構成成分となる場合、第3に、ポリシロキサンが骨格中に導入されたポリジメチルシロキサン系共重合体と、ポリカプロラクトンとが組成物の構成成分となる場合、第4にポリカプロラクトン及びポリシロキサンが骨格中に導入されたポリジメチルシロキサン系共重合体が組成物の構成部分となる場合があり、それぞれの組成物は単独でまたは二種以上混合して用いることができる。
(A)ポリジメチルシロキサン系共重合体
本発明におけるポリジメチルシロキサン系共重合体は、ポリジメチルシロキサン部分と、ビニルモノマーの重合体鎖部分とを有する共重合体であり、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよい。
ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体の合成は、リビング重合法、高分子開始剤法または高分子連鎖移動法等によって行うことができるが、工業的には、高分子開始剤法または高分子連鎖移動法によって行うのが好ましい。
高分子開始剤法では、例えば、
Figure 2012053382
のごとき高分子アゾ系ラジカル重合開始剤を使用してビニルモノマーと共重合させることにより、効率よくブロック共重合体を合成することができる。また、ペルオキシモノマーと不飽和基を有するポリジメチルシロキサンとを低温で共重合させて、過酸化物基を側鎖に導入したプレポリマーを合成し、プレポリマーをビニルモノマーと共重合させる二段階の重合を行うこともできる。
高分子連鎖移動法では、例えば、
Figure 2012053382
のごときシリコーンオイルに、HS−CHCOOHや、HS−CHCHCOOH等を付加してSH基を有するシリコーン化合物とした後、SH基の連鎖移動を利用してシリコーン化合物とビニルモノマーとを共重合させることにより、ブロック共重合体を合成することができる。
一方、ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体については、例えば、
Figure 2012053382
のごときポリジメチルシロキサンのメタクリルエステル等とビニルモノマーとを共重合させることにより、容易にかつ収率良くグラフト共重合体を合成することができる。
ポリジメチルシロキサンとの共重合体に用いられるビニルモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。また、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール等のOH基を有するビニルモノマーを用いることもできるし、カージュラEとアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸等との反応物を用いることもできる。なお、上記例示は本発明を限定するものではない。このポリジメチルシロキサンの共重合体は、表面層のもろさを低減して、ロール搬送時のフィルム破断を抑制し、さらに滑り性をよくして、高いロール搬送安定性が得られる効果を示す。
(B)ポリカプロラクトン
本発明におけるポリカプロラクトンとしては、例えば、
Figure 2012053382
のごとき2官能ポリカプロラクトンジオール類や、
Figure 2012053382
のごとき3官能ポリカプロラクトントリオール類、その他4官能ポリカプロラクトンポリオール等を使用することができる。ポリカプロラクトンをポリジメチルシロキサン系共重合体の骨格に導入する場合には、ラクトン変成ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート類を使用するのが好ましく、例えば、
Figure 2012053382
の構造式で示されるラジカル重合性ポリカプロラクトンが挙げられる。
このポリカプロラクトンは、ロール搬送時のフィルムのたわみ発生を抑え、表面平滑性を維持し、光正反射率の機能の低下を抑止する働きをする。さらに支持体フィルムとの密着性を高め、総じて表面層のはがれ耐性を高める。
(C)ポリシロキサン
本発明におけるポリシロキサンとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトキエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するシラン化合物の部分加水分解物や、有機溶媒中に無水ケイ酸の微粒子を安定に分散させたオルガノシリカゾル、またはオルガノシリカゾルにラジカル重合性を有する上記シラン化合物を付加させたもの等を使用することができる。なお、上記例示は本発明を限定するものではない。
ポリシロキサンは、ブロッキング現象を抑制し、表面膜層に剛直性を与え、ロール搬送時にフィルムの引っ張りたわみの発生を抑制して、正反射率性能を保持する効果が得られ、さらに汚れが付着しにくい効果が得られる。
本発明におけるポリジメチルシロキサン系共重合体は、通常溶液重合によって製造される。この溶液重合では、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤などが単独または混合溶剤として用いられ、所望により、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等の油溶性の重合開始剤が用いられる。上記溶液重合の反応温度は、50〜150℃であるのが好ましく、反応時間は、3〜12時間であるのが好ましい。
ここで、上記ポリジメチルシロキサン系共重合体の骨格中にポリカプロラクトン及び/またはポリシロキサンを導入する場合には、ポリジメチルシロキサン系共重合体を重合する際にポリカプロラクトン及び/またはポリシロキサンを添加して共重合すればよい。なお、上記組成物を製造する場合には、各構成成分を常法により混合する。
本発明におけるポリジメチルシロキサン系共重合体(ポリカプロラクトン及び/またはポリシロキサンが骨格中に導入されたものを含む。)中のポリジメチルシロキサン部分の量は、1〜25質量%であるのが好ましく、特に3〜15質量%であるのが好ましい。このポリジメチルシロキサン部分は、表面層のもろさを低減して、滑り性を良くして、ロール搬送安定性を高める役割を果たす。該ポリジメチルシロキサン部分の量が1質量%未満ではかかる効果が十分に発揮されず、一方、該ポリジメチルシロキサン部分の量が25質量%を超えると、表面層の汚染性が高まり、光正反射機能を損ないます。該ポリジメチルシロキサン部分の分子量は、2000〜30000程度であるのが好ましく、効果的に表面機能材料表面に配向し、良好な滑り性を与える分子量としては、特に7000〜15000程度であるのが好ましい。
本発明におけるポリカプロラクトンの量は、ポリジメチルシロキサン系共重合体の骨格に導入される場合であっても、組成物中で独立して存在する場合であっても、固形分中3〜40質量%であるのが好ましい。このポリカプロラクトンは、フィルムのたわみ発生を抑え、表面平滑性を維持し、光正反射率の機能の低下を抑止する働きをする。さらに支持体フィルムとの密着性を高め、総じて表面層のはがれ耐性を高める。該ポリカプロラクトンの量が3質量%未満では、これら効果が低下し、45質量%を超えると、汚れ性が高まり、さらに正反射性も逆に劣化する。
本発明におけるポリシロキサンの量は、ポリジメチルシロキサン系共重合体の骨格に導入される場合であっても、組成物中で独立して存在する場合であっても、固形分中10〜50質量%であるのが好ましい。ポリシロキサンは、ブロッキング現象を抑制し、表面膜層に剛直性を与え、ロール搬送時にフィルムの引っ張りたわみの発生を抑制して、正反射率性能を保持する効果が得られ、さらに汚れが付着しにくい効果が得られる。該ポリシロキサンの量が1質量%未満ではかかる効果が十分に発揮されず、一方、該ポリシロキサンの量が50質量%を超えると、ロール搬送性時にロールのよれが発生しやすくなり好ましくない。
上記原材料を硬化させることにより本発明の表面層が得られるが、このとき、上記ポリジメチルシロキサン系共重合体(ポリカプロラクトン及び/またはポリシロキサンが骨格中に導入されたものを含む。)はウレタン架橋及び/またはメラミン架橋するのが好ましい。
ポリジメチルシロキサン系共重合体をウレタン架橋するには、OH基を有する該ポリジメチルシロキサン系共重合体に対して、メチレンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体等のポリイソシアネート、あるいは上記ポリイソシアネートのブロック型イソシアネート等のウレタン架橋剤を上記原材料に添加して硬化させればよく、必要に応じてジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジエチルヘキソエート等を触媒として添加してもよい。ウレタン架橋の場合には室温乾燥または焼付乾燥が可能であり、通常、室温乾燥は8時間〜1週間行われ、焼付乾燥は40〜300℃で5秒〜120分行われる。
一方、ポリジメチルシロキサン系共重合体をメラミン架橋するには、アルコキシメチロールメラミン等のメラミン架橋剤を上記原材料に添加して硬化させればよく、必要に応じてパラトルエンスルホン酸、トリクロロ酢酸、四塩化フタル酸等を触媒として添加してもよい。メラミン架橋の場合には、80〜120℃、5秒〜60分の焼付乾燥を行うのが好ましい。なお、上記原材料を硬化させてなる表面機能層の厚さは、1〜100μm程度であるのが好ましいが、より好ましくは、5〜50μmである。
本発明において、表面層中には、本発明の効果が損なわれない範囲で、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、光安定剤等の安定剤、界面活性剤、レベリング剤及び帯電防止剤等を用いることができる。特に太陽光の紫外線から樹脂、銀等の反射層を保護するために紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。レベリング剤は、特に機能層を塗工する際、表面凹凸低減に効果的である。レベリング剤としては、例えば、シリコーン系レベリング剤として、ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体(例えば東レダウコーニング(株)製SH190)が好適である。
〈無機酸化物〉
本発明の表面層には、無機酸化物を好ましく含有させることができる。ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ニオブ(Nb)等の元素の酸化物であることを特徴とする。
例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等である。これらのうち、好ましくは、酸化ケイ素であり、平均粒径50nm未満の粒子を使用することが好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明においては、太陽光や紫外線による劣化防止の目的で、紫外線吸収剤を添加することができる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、トリアジン系等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2ー(2′−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤としては、フェニルサルチレート、2−4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。ヒンダードアミン系紫外線吸収剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、上記以外に紫外線の保有するエネルギーを、分子内で振動エネルギーに変換し、その振動エネルギーを熱エネルギー等として放出する機能を有する化合物が含まれる。さらに、酸化防止剤あるいは着色剤等との併用で効果を発現するもの、あるいはクエンチャーと呼ばれる、光エネルギー変換剤的に作用する光安定剤等も併用することができる。ただし、上記の紫外線吸収剤を使用する場合は、紫外線吸収剤の光吸収波長が、光重合開始剤の有効波長と重ならないものを選択する必要がある。
通常の紫外線防止剤を使用する場合は、可視光でラジカルを発生する光重合開始剤を使用することが有効である。
紫外線吸収剤の使用量は、0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。20質量%よりも多いと密着性が悪くなり、0.1質量%より少ないと耐候性改良効果が小さい。
(樹脂基材)
本発明に係る樹脂基材としては、従来公知の種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。中でも、アクリレート系フィルム、シクロオレフィン系樹脂フィルムが好ましく用いられる。溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
樹脂基材の厚さは、樹脂の種類及び目的等に応じて適切な厚さにすることが好ましい。例えば、一般的には、10〜300μmの範囲内である。好ましくは20〜200μm、さらに好ましくは30〜100μmである。
また、酸化チタン、シリカ、アルミニウム粉、銅粉等を練り込んだ樹脂をコーティングしたり、金属蒸着等の表面加工を施したりした樹脂フィルムも用いられる。
(接着層)
本発明に係る接着層は金属反射層と樹脂基材(樹脂フィルム)との接着性を高める機能があるものであれば特に限定はないが、樹脂からなることが好ましい。従って、接着層は、樹脂基材(樹脂フィルム)と金属反射層とを密着する密着性、金属反射層を真空蒸着法等で形成する時の熱にも耐え得る耐熱性、及び金属反射層が本来有する高い反射性能を引き出すための平滑性が必要である。
接着層に使用するバインダーとしての樹脂は、上記の密着性、耐熱性、及び平滑性の条件を満足するものであれば特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、アクリレート系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂等の単独またはこれらの混合樹脂が使用でき、耐候性の点からアクリレート系樹、ポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の混合樹脂が好ましく、さらにイソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂とすればより好ましい。
本発明においては、特にアクリレート系樹を用いることが好ましい。具体的には、ポリアクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)(「PMMA」)のようなポリメタクリレート等が挙げられる。
接着層の厚さは、密着性、平滑性、反射材の反射率等の観点から、0.01〜5μmが好ましく、より好ましくは0.1〜2μmである。
接着層の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法、ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、スクリーンコーター、バーコーター、カーテンコーター等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
接着層を構成する素材としては、例えば、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル樹脂系及びシリコーン樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、ポリビニルエーテル樹脂系、ウレタン樹脂系、等から選択できるが、アクリル樹脂系、ポリオレフィン系、シリコーン系樹脂が好ましく用いられる。また、水中に接着剤成分を分散させたエマルジョン系も用いることができるが、透明性、接着剤の残り低減の点から有機溶剤系が好ましく用いられる。
具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、アクリロニトリル、ヒドロキシエチルアクリレート、イソノニルアクリレート、ステアリルアクリレート等の単独重合体もしくは共重合体が挙げられる。またポリビニルエーテル樹脂系の具体例ではポリビニルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテルが挙げられる。シリコーン系の具体例ではジメチルポリシロキサン、フルオロシリコーン等を利用できる。またアクリル系として王子タック株式会社製、F5M、F6Q、F2Fの市販品も用いることができる。
(金属反射層)
本発明に係る金属反射層は、太陽光を反射する機能を有する金属等からなる層である。金属反射層の表面反射率は好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。当該金属反射層は、Al、Ag、Cr、Cu、Ni、Ti、Mg、Rh、Pt及びAuからなる元素群の中から選ばれるいずれかの元素を含む材料により形成されることが好ましい。
中でも、反射率、耐食性の観点からAlまたはAgを主成分としていることが好ましく、このような金属の薄膜を二層以上形成するようにしてもよい。本発明においては、特に銀を主成分とする銀反射層とすることが好ましい。
また、金属反射層上にSiO、TiO等の金属酸化物からなる層をこの順に設けてさらに反射率を向上させてもよい。
例えば、本発明に係る金属反射層(例えば銀反射層)の形成法としては、湿式法及び乾式法のどちらも使用することができる。
湿式法とは、めっき法の総称であり、溶液から金属を析出させ膜を形成する方法である。具体例をあげるとすれば、銀鏡反応等がある。
一方、乾式法とは、真空成膜法の総称であり、具体的に例示するとすれば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法等がある。とりわけ、本発明には連続的に成膜するロールツーロール方式が可能な蒸着法が好ましく用いられる。すなわち、本発明の太陽熱発電用光反射フィルムを製造する太陽熱発電用光反射フィルムの製造方法としては、当該金属反射層(銀反射層)を金属(銀)蒸着によって形成する工程を有する態様の製造方法であることが好ましい。
金属(銀)反射層の厚さは、反射率等の観点から、10〜200nmが好ましく、より好ましくは30〜150nmである。
本発明において、金属(銀)反射層は支持体に対して光線入射側にあっても、その反対側にあってもよい。
(その他の構成層)
本発明の太陽熱発電用光反射フィルムは、その他の構成層として、金属腐食防止層、紫外線吸収層等を設けることが好ましい。
(金属腐食防止層)
本発明において、金属腐食防止層は、金属反射層に隣接して設けられ、腐食防止剤を含有し、金属反射層の金属の腐食劣化を防ぐとともに、金属反射層の傷防止に寄与するものである。
金属腐食防止層に使用するバインダーとしての樹脂は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂等の単独またはこれらの混合樹脂が使用でき、耐候性の点からポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂が好ましく、さらにイソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂とすればより好ましい。
イソシアネートは、TDI(トリレンジイソシアネート)系、XDI(キシレンジイソシアネート)系、MDI(メチレンジイソシアネート)系、HMDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系等の従来から使用されてきた各種イソシアネートが使用可能であるが、耐候性の点から、XDI系、MDI系、HMDI系のイソシアネートを使用するのが好ましい。
金属腐食防止層の厚さは、密着性、耐候性等の観点から、0.01〜3μmが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。
金属腐食防止層の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
(腐食防止剤)
本発明の太陽熱発電用光反射フィルムに用いられる金属反射層の腐食防止剤には、大別して、金属に対する吸着性基を有する腐食防止剤と酸化防止剤が好ましく用いられる。
ここで、「腐食」とは、金属(銀)がそれをとり囲む環境物質によって、化学的または電気化学的に浸食されるか若しくは材質的に劣化する現象をいう(JIS Z0103−2004参照)。
本発明の太陽熱発電用光反射フィルムは、前記接着層が酸化防止剤を含有し、かつ前記上部隣接層が金属に対する吸着性基を有する腐食防止剤を含有している態様であることが好ましい。
なお、腐食防止剤の含有量は、使用する化合物によって最適量は異なるが、一般的には、0.1〜1.0g/mの範囲内であることが好ましい。
〈金属に対する吸着性基を有する腐食防止剤〉
金属に対する吸着性基を有する腐食防止剤としては、アミン類及びその誘導体、ピロール環を有する化合物、トリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物、銅キレート化合物類、チオ尿素類、メルカプト基を有する化合物、ナフタレン系の少なくとも一種またはこれらの混合物から選ばれることが望ましい。
アミン類及びその誘導体としては、エチルアミン、ラウリルアミン、トリ−n−ブチルアミン、o−トルイジン、ジフェニルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2N−ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、アセトアミド、アクリルアミド、ベンズアミド、p−エトキシクリソイジン、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジシクロヘキシルアンモニウムサリシレート、モノエタノールアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンカーバメイト、ニトロナフタレンアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムシクロヘキサンカルボキシレート、シクロヘキシルアミンシクロヘキサンカルボキシレート、ジシクロヘキシルアンモニウムアクリレート、シクロヘキシルアミンアクリレート等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピロール環を有する物としては、N−ブチル−2,5−ジメチルピロール,N−フェニル−2,5ジメチルピロール、N−フェニル−3−ホルミル−2,5−ジメチルピロール,N−フェニル−3,4−ジホルミル−2,5−ジメチルピロール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
トリアゾール環を有する化合物としては、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール、3−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−メチル−1,2,3−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4,5,6,7−テトラハイドロトリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メチル−1,2,4−トリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ3’5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピラゾール環を有する化合物としては、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾロン、ピラゾリジン、ピラゾリドン、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−ヒドロキシピラゾール、4−アミノピラゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チアゾール環を有する化合物としては、チアゾール、チアゾリン、チアゾロン、チアゾリジン、チアゾリドン、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、2−N,N−ジエチルチオベンゾチアゾール、P−ジメチルアミノベンザルロダニン、2−メルカプトベンゾチアゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
イミダゾール環を有する化合物としては、イミダゾール、ヒスチジン、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5ジヒドロキシメチルイミダゾール、4−フォルミルイミダゾール、2−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−フォルミルイミダゾール、4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−エチル−4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
インダゾール環を有する化合物としては、4−クロロインダゾール、4−ニトロインダゾール、5−ニトロインダゾール、4−クロロ−5−ニトロインダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
銅キレート化合物類としては、アセチルアセトン銅、エチレンジアミン銅、フタロシアニン銅、エチレンジアミンテトラアセテート銅、ヒドロキシキノリン銅等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チオ尿素類としては、チオ尿素、グアニルチオ尿素等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
メルカプト基を有する化合物としては、すでに上記に記載した材料も加えれば、メルカプト酢酸、チオフェノール、1,2−エタンジオール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、グリコールジメルカプトアセテート、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ナフタレン系としては、チオナリド等が挙げられる。
〈酸化防止剤〉
本発明の太陽熱発電用光反射フィルムに用いられる金属反射層の腐食防止剤としては、酸化防止剤を用いることもできる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤及びホスファイト系酸化防止剤を使用することが好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス−〔メチレン−3−(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー〕、3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−2,4,8,10−テトラオキオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。特に、フェノール系酸化防止剤としては、分子量が550以上のものが好ましい。
チオール系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)等を挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
なお、本発明においては、上記酸化防止剤と下記の光安定剤を併用することもできる。
ヒンダードアミン系の光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1−メチル−8−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2、6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、トリエチレンジアミン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン等が挙げられる。
その他ニッケル系紫外線安定剤として、〔2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)〕−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル・リン酸モノエチレート、ニッケル・ジブチル−ジチオカーバメート等も使用することが可能である。
特にヒンダードアミン系の光安定剤としては、3級のアミンのみを含有するヒンダードアミン系の光安定剤が好ましく、具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、または1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール/トリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との縮合物が好ましい。
(ガスバリア層)
本発明にガスバリア層を設けることも好ましい。湿度の変動、特に高湿度による樹脂基材及び当該樹脂基材で保護される各種機能素子等の劣化を防止するためのものである。
ガスバリア層の防湿性としては、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が、好ましくは1g/m・day/μm以下となるようにガスバリア層の防湿性を調整することが好ましい。本発明に係るガスバリア層に関しては、その形成方法において特に制約はないが、蒸着による無機膜層を形成してもよく、無機酸化物膜のセラミック前駆体を塗布した後に、塗布膜を加熱及び/または紫外線照射により、無機酸化物膜を形成することも好ましく用いられる。
〈セラミック前駆体〉
本発明に係るガスバリア層は、加熱により無機酸化物膜を形成するセラミック前駆体を塗布した後に、一般的な加熱方法が適用して形成することできるが、局所的加熱により形成することが好ましい。当該セラミック前駆体は、ゾル状の有機金属化合物またはポリシラザンが好ましい。
(太陽熱発電用光反射フィルム全体の厚さ)
本発明に係る太陽熱発電用光反射フィルム全体の厚さは、ミラーがたわみ防止、正反射率、取り扱い性等の観点から、75〜250μmが好ましく、さらに好ましくは90〜230μm、さらに好ましくは100〜220μmである。
(太陽熱発電用反射装置)
本発明の太陽熱発電用光反射フィルムは、太陽光を集光する目的において、好ましく使用できる。太陽熱発電用光反射フィルム単体で太陽光集光ミラーとして用いることもできるが、より好ましくは、樹脂基材を挟んで金属反射層を有する側と反対側の樹脂基材面に塗設された粘着層を介して、他基材上に、特に金属基材上に、当該太陽熱発電用光反射フィルムを貼り付けて太陽熱発電用反射装置として用いることである。
太陽熱発電用反射装置として用いる場合、反射装置の形状を樋状(半円筒状)として、半円の中心部分に内部に流体を有する筒状部材を設け、筒状部材に太陽光を集光させることで内部の流体を加熱し、その熱エネルギーを変換して発電する形態(例えばトラフ式太陽熱発電)が一形態として挙げられる。また、平板状の反射装置を複数個所に設置し、それぞれの反射装置で反射された太陽光を一枚の反射鏡(中央反射鏡)に集光させて、反射鏡により反射して得られた熱エネルギーを発電部で変換することで発電する形態(例えばタワー式太陽発電)も一形態として挙げられる。特に後者の形態においては、用いられる反射装置(ヘリオスタットのミラー構成体)に高い正反射率が求められるため、本発明の太陽熱発電用光反射フィルムが特に好適に用いられる。
〈粘着層〉
粘着層としては、特に制限されず、例えばドライラミネート剤、ウエットラミネート剤、粘着剤、ヒートシール剤、ホットメルト剤等のいずれも用いられる。
例えばポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトリルゴム等が用いられる。
ラミネート方法は特に制限されず、例えばロール式で連続的に行うのが経済性及び生産性の点から好ましい。
粘着層の厚さは、粘着効果、乾燥速度等の観点から、通常1〜50μm程度の範囲であることが好ましい。
〈金属基材〉
本発明の太陽熱発電用反射装置を貼り合わせる金属基材としては、鋼板、銅板、アルミニウム板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム系合金めっき鋼板、銅めっき鋼板、錫めっき鋼板、クロムめっき鋼板、ステンレス鋼板等熱伝導率の高い金属材料を用いることができる。本発明においては、特に耐食性の良好なめっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板等にすることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
(ポリシロキサンAの合成)
窒素ガス封入下、500mlフラスコ内にエタノール108部、テトラエトキシシラン319部、蒸留水20部、1%塩酸1部を混合し、85℃3時間保持した後、昇温しながらエタノールを回収し180℃50分保持した。その後冷却して、ポリシロキサンAを得た。
(ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体Aの合成)
窒素ガス封入下、トルエン51部及びメチルイソブチルケトン49部を500mlフラスコ内で80℃まで昇温した。これとは別にメタクリル酸26部、ダイセル化学工業製、プラクセルFM−5(ポリカプロラクトンメタクリルエステル)36部、信越化学工業(株)製、X−22−174DX(片末端メタクリル変性ポリジメチルシロキサン)20部、日本ヒドラジン工業(株)製、ABN−E(アゾビス−2−メチルブチロニトリル)1部を混合撹拌した。この混合液を先のトルエン及びメチルイソブチルケトンの混合液に2時間かけて滴下し、その後8時間の反応を経て、固形分50%のポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体Aを得た。
(塗布液1の調製)
上記作製したポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体A86部及びポリシロキサンA13部、武田薬品工業(株)製、タクネートD−170N(架橋剤HMDIイソシアヌレート、固形分100%、イソシアネート20.7%)37部を混合し、塗布液1を調製した。
(ポリシロキサンBの合成)
窒素ガス封入下、500mlフラスコにエタノール108部、メチルトリメトキシシラン268部、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン24部、蒸留水99部、1%塩酸1部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を混合し、ポリシロキサンを合成した。合成したポリシロキサンをメチルイソブチルケトンにより濃度50%に調整して、ポリシロキサンBを合成した。
(ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体Bの合成)
モノマー組成をメタクリル酸メチル22部、メタクリル酸ブチル24部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート23部、上記作製したポリシロキサンB9部、メタクリル酸1部及び信越化学工業(株)製、X−22−174DX(片末端メタクリル変性ポリジメチルシロキサン、分子量5000)21部に変更した以外は、ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体Aの合成と同様の方法で、固形分50%のポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体Bを合成した。
(塗布液2の調製)
上記作製したポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体B84部及びダイセル化学工業(株)製、プラクセル410D、分子量1000、OH価220(4官能カプロラクトンポリオール)16部、武田薬品工業(株)製、タクネートD−170N(架橋剤HMDIイソシアヌレート、固形分100%、イソシアネート20.7%)36部を混合し、塗布液2を調製した。
(ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体Cの合成)
モノマー組成をメタクリル酸メチル24部、メタクリル酸ブチル26部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート25部、メタクリル酸1部及び信越化学工業(株)製、X−22−174DX(片末端メタクリル変性ポリジメチルシロキサン、分子量5000)24部に変更した以外は、ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体Aの合成と同様の方法で、固形分50%のポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体Cを合成した。
(塗布液3の調製)
上記作製したポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体C84部及びポリシロキサンA12部、ダイセル化学工業(株)製、プラクセル410D、分子量1000、OH価220(4官能カプロラクトンポリオール)14部、武田薬品工業(株)製、タクネートD−170N(架橋剤HMDIイソシアヌレート、固形分100%、イソシアネート20.7%)34部を混合し、塗布液3を調製した。
(ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体Dの合成)
窒素ガス封入下、トルエン51部及びメチルイソブチルケトン49部を500mlフラスコ内で80℃まで昇温した。これとは別にメタクリル酸26部、ダイセル化学工業製、プラクセルFM−5(ポリカプロラクトンメタクリルエステル)36部、ポリシロキサンB9部、信越化学工業(株)製、X−22−174DX(片末端メタクリル変性ポリジメチルシロキサン)20部、日本ヒドラジン工業(株)製、ABN−E(アゾビスー2−メチルブチロニトリル)1部を混合撹拌した。この混合液を先のトルエン及びメチルイソブチルケトンの混合液に2時間かけて滴下し、その後8時間の反応を経て、固形分50%のポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体Dを得た。
(塗布液4の調製)
上記作製したポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体D86部及び武田薬品工業(株)製、タクネートD−170N(架橋剤HMDIイソシアヌレート、固形分100%、イソシアネート20.7%)37部を混合し、塗布液4を調製した。
(塗布液6の調製)
上記作製したポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体C110部、武田薬品工業(株)製、タクネートD−170N(架橋剤HMDIイソシアヌレート、固形分100%、イソシアネート20.7%)34部を混合し、塗布液6を調製した。
(塗布液7の調製)
上記作製したポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体A90部及び、武田薬品工業(株)製、タクネートD−170N(架橋剤HMDIイソシアヌレート、固形分100%、イソシアネート20.7%)37部を混合し、塗布液7を調製した。
(塗布液8の調製)
上記作製したポリシロキサンA100部、武田薬品工業(株)製、タクネートD−170N(架橋剤HMDIイソシアヌレート、固形分100%、イソシアネート20.7%)37部を混合し、塗布液8を調製した。
(塗布液9の調製)
上記作製したポリシロキサンA100部、ダイセル化学工業(株)製、プラクセル410D、分子量1000、OH価220(4官能カプロラクトンポリオール)14部、武田薬品工業(株)製、タクネートD−170N(架橋剤HMDIイソシアヌレート、固形分100%、イソシアネート20.7%)37部を混合し、塗布液9を調製した。
〔フィルムミラーの作製〕
(フィルムミラー11の作製)
重量平均分子量100000、数平均分子量50000の熱可塑性ポリメタクリル酸メチル樹脂フィルム(以下、単にアクリルフィルムともいう)の製膜時に紫外線吸収剤(、TINUVIN928、BASFジャパン社製)をアクリルフィルムに10質量%含有させて、50μmの厚さの樹脂基材(フィルムA)を作製した。
フィルムA上に、表面層として、上記調製した塗布液1をドライ膜厚で10μmとなるように康井精機製CPC−XL14.5/M/Wを用いて、ラインスピード15m/min、テンション3N/全幅、乾燥温度85℃の条件で塗布、乾燥し、その後80℃で168時間保管して、300mのロール品のフィルムB1を作製した。
(フィルムCの作製)
フィルムB1の表面層とは反対側の面に、接着層として、ポリエステル系樹脂とTDI(トリレンジイソシアネート)系イソシアネートを樹脂固形分比率で10:2に混合した樹脂を、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ6μmの層を形成し、フィルムCを作製した。
フィルムCの接着層上に、金属反射層として、真空蒸着法により厚さ80nmの銀反射層を形成し、フィルムDとした。
東洋インキ(株)製、BPS−5296(固形分50%)、硬化剤BXX4773を1/0.005の比率で混合して粘着液を調製した。この粘着液を厚さ25μmとなるようにフィルムDの銀反射層の上に塗布し、剥離シートとする厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムとラミネート圧力2Mpaで張り合わせて本発明のフィルムミラー11とした。
(フィルムミラー12〜14の作製)
フィルムミラー11の作製において、塗布液1を塗布液2〜4に換えた以外は同様にしてそれぞれフィルムB2〜B4とした。塗布液1を塗布液2に変更した以外は同様にして、フィルムミラー12〜14を作製した。
(フィルムミラー15の作製)
(フィルムB5の作製)
フィルムミラー11の作製において、フィルムB1をフィルムAに換えた以外は同様にしてフィルムミラー15を作製した。
(フィルムミラー16〜19の作製)
フィルムミラー11の作製において、フィルムB1の作製に使った塗布液1を塗布液6〜9に換えた以外は同様にしてそれぞれフィルムミラー16〜19を作製した。
〔フィルムミラーの評価〕
作製したフィルムB1〜9、フィルムミラー11〜19について下記の評価を行った。
(ブロッキング状態〕
フィルムA、フィルムB1〜B9について、各フィルム全長300m、幅300mmを76cmコアに巻きつけた状態でブロッキング状態を目視で観察し、下記基準で評価した。
◎:ブロッキングの発生がない
○:ブロッキングが若干ある
△:ブロッキングが少しある
×:ブロッキングが多く発生している
(表面状態)
作製したフィルムミラー11〜19の剥離シートを剥離し、縦1.5m×横400mmのアルミ基材と重ね、2本のローラーの間隙を通し、2.0Mpaの圧力にて10m/min.の速度で貼り付けた。
アルミ基材に貼り付けたフィルムミラー表面全体を目視で観察し、1m当たりに発生した膜浮、皺の数を測定し、下記基準で評価した。
○:膜浮または皺の発生がない
△:1〜2か所、膜浮または皺がある
×:3か所以上、膜浮または皺がある
(正反射率の変動)
作製したフィルムミラー11〜19の剥離シートを剥離し、縦1.5m×横400mmのアルミ基材と重ね、2本のローラーの間隙を通し、2.0Mpaの圧力にて10m/min.の速度で貼り付けた。
島津製作所社製の分光光度計「UV265」に、積分球反射付属装置を取り付けたものを改造し、反射面の法線に対して、入射光の入射角を5°となるように調整し、アルミ基材に貼り付けたフィルムミラーについて、反射角5°の正反射率を測定した。評価は、350〜700nmの平均反射率として測定した。各サンプル20か所を測定し、最大値と最低値の差を測定し、下記基準で評価した。
◎:正反射率の最大値と最低値の差が1%未満
○:正反射率の最大値と最低値の差が1%以上3%未満
△:正反射率の最大値と最低値の差が3%以上5%未満
×:正反射率の最大値と最低値の差が5%以上
評価の結果を表1に示す。
Figure 2012053382
表1から、本発明のフィルムミラー11〜14は、比較例のフィルムミラー15〜19に較べ、表面状態が良好で、正反射率の変動が少ないことが分かる。これは、本発明フィルムミラーにおいては、アルミ基材への貼り付け時に2本のローラーからの不要な応力がフィルムミラーに加わらず、表面状態を良好に保ったまま安定に貼り付けることができたためと考えられる。
実施例2
〔フィルムミラーの作製〕
(フィルムミラー21の作製)
厚さ40μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、ポリエステル系樹脂とTDI(トリレンジイソシアネート)系イソシアネートを樹脂固形分比率で10:2に混合した樹脂を、グラビアコート法によりコーティングして、接着層として、厚さ0.1μmの層を形成し、さらにその上に真空蒸着法により厚さ80nmの銀反射層を形成しフィルムEとした。
東洋インキ(株)製、LIS−601(固形分50%)と硬化剤CR−001、酢酸エチルを1/0.1/1.18の比率で混合し、さらに酢酸エチル液で塗布に最適となる粘度に希釈して接着液を調製した。
得られた接着液をフィルムEの銀反射層上に、康井精機製CPC−XL14.5/M/Wを用いて、ラインスピード10m/min、テンション3N/全幅、乾燥温度60〜80℃の条件で塗布、乾燥し、ラミネート圧力2.0Mpaで接着層の厚さが6μmとなるようにした後、実施例1で作製したフィルムB1のアクリルフィルムと貼り合わせ、フィルムミラー21を作製した。
(フィルムミラー22〜24の作製)
フィルムミラー21の作製において、フィルムB1をフィルムB2〜B4に変更した以外は同様にして、それぞれフィルムミラー22〜24を作製した。
(フィルムミラー25の作製)
フィルムミラー21の作製において、フィルムB1をフィルムAに変更した以外は同様にして、フィルムミラー25を作製した。
(フィルムミラー26〜29の作製)
フィルムミラー21の作製において、フィルムB1をフィルムB6〜B9に変更した以外は同様にして、それぞれフィルムミラー26〜29を作製した。
〔フィルムミラーの評価〕
(うねり)
フィルムEと、フィルムB1〜4、フィルムB6〜9、フィルムA4を貼り合わせたフィルムミラーの表面全体の貼合不良を目視で観察し、下記基準で評価した。
○:凹凸のうねりがない
△:凹凸のうねりがわずかにある
×:大きな凹凸のうねりがある、または小さな凹凸のうねりが多数ある
(剥がれ)
フィルムEとフィルムBを貼り合わせたフィルムミラーを、90℃、90%RH、168hrの環境下に放置後、接着面の剥がれを目視で観察し、下記基準で評価した。
○:剥がれがない
△:フィルムの端部の一部に僅かに剥がれがある
×:フィルムの剥がれ面積が全体の5%に達している
評価の結果を表2に示す。
Figure 2012053382
表2から、本発明のフィルムミラー21〜24は、比較例のフィルムミラー25〜29に較べ、貼り合わせ状態が良好で、貼り合わせの剥がれが少ないことが分かる。これは、フィルム搬送時のブロッキングが軽減され、貼り合わせ時に不要な膜内応力がなくなったためと考えている。
実施例3
〔フィルムミラーの作製〕
(フィルムミラー31の作製)
東洋インキ(株)製、BPS−5296(固形分50%)、硬化剤BXX4773を1/0.005の比率で混合して粘着液を調製した。この粘着液を厚さ25μmとなるように、実施例2で作製したフィルムミラー21のポリエチレンテレフタレートフィルムの上に塗布し、剥離シートとする厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムとラミネート圧力2Mpaで張り合わせて、フィルムミラー31を作製した。
(フィルムミラー32〜39の作製)
フィルムミラー31の作製において、フィルムミラー21を実施例2で作製したフィルムミラー22〜24に変更した以外は同様にして、それぞれフィルムミラー32〜34を作製した。
〔フィルムミラーの評価〕
作製したフィルムミラーの剥離シートを剥離し、縦1.5m×横400mmのアルミ基材と重ね、2本のローラーの間隙を通し、2.0Mpaの圧力にて10m/minの速度で貼り付け、実施例1と同様に表面状態と正反射率を評価した。
(耐湿耐光試験)
作製したフィルムミラーについて、85℃、85%RHの条件で10日間放置後、岩崎電気製アイスーパーUVテスターを用いて、40℃の環境下で7日間紫外線照射を行った。これらの試験を3回繰り返した後、実施例1の正反射率の変動と同様の方法により正反射率を測定した。強制劣化試験前後のフィルムミラーの正反射率の低下率を算出し、下記基準で評価した。
5:正反射率の低下率が5%未満
4:正反射率の低下率が5%以上10%未満
3:正反射率の低下率が10%以上15%未満
2:正反射率の低下率が15%以上20%未満
1:正反射率の低下率が20%以上
評価の結果を表3に示す。
Figure 2012053382
表3から、本発明のフィルムミラー31〜34は、比較例のフィルムミラー35〜39に較べ、表面状態が良好で、正反射率の変動が少ないことが分かる。これは、アルミ基材への貼り付け時に2本のローラーからの不要な応力がフィルムミラーに加わらず、表面状態を良好に保ったまま安定に貼り付けることができ、耐湿熱光試験後でも良好な状態を保つことができたためと考えられる。

Claims (4)

  1. 太陽光入射側の最表面に、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン及びポリジメチルシロキサン系共重合体を構成要素とする共重合体を含有する表面層と、1層以上の樹脂基材と金属反射層を有することを特徴とする太陽熱発電用光反射フィルム。
  2. 前記ポリシロキサンが、ポリジメチルシロキサン系共重合体の骨格に含まれていることを特徴とする請求項1に記載の太陽熱発電用光反射フィルム。
  3. 前記ポリカプロラクトンが、ポリジメチルシロキサン系共重合体の骨格に含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽熱発電用光反射フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽熱発電用光反射フィルムを用いた太陽熱発電用反射装置であって、前記太陽熱発電用光反射フィルムの樹脂基材を挟んで前記表面層を有する側とは反対側の樹脂基材面に塗設された粘着層を介して、金属基材上に太陽熱発電用光反射フィルムを貼り付けて形成されたことを特徴とする太陽熱発電用反射装置。
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