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JP2011519885A - アミンリガンドを有するパラジウム(ヒドロゲン)カーボナート錯体の製造方法 - Google Patents

アミンリガンドを有するパラジウム(ヒドロゲン)カーボナート錯体の製造方法 Download PDF

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本発明はパラジウム錯体の製造方法に関する。特に本発明は、パラジウム(ヒドロゲン)カーボナートのアンモニア性錯体が、オリゴアミンリガンドを有する錯体へと変換される方法に関する。

Description

本発明はパラジウム錯体の製造方法に関する。特に本発明は、パラジウム(ヒドロゲン)カーボナートのアンモニア性錯体がアミンを有する錯体へと変換される方法に関する。
慣用のパラジウム−ニッケル電解質はアンモニア及び塩化物を含有し、したがって操作者の健康にとって潜在的危害であり、かつ、植物材料の腐食の観点において有害である。慣用の、先行技術によるアルカリ性−アンモニア性プロセスは、テトラアンミンパラジウム(II)塩化物[(NH34Pd]Cl2又はジアンミンパラジウム(II)ジニトリル[(NH32Pd](NO22を、パラジウム又はパラジウム合金の析出のためのパラジウム化合物として使用する。現存する塩化物不含プロセスにおいては、テトラアンミンパラジウム(II)スルファート[(NH34Pd]SO4が塩化物化合物の代わりに使用される(Galvanotechnik 3 (2007), p. 677)。これらプロセスにおいては、この腐食性塩化物が省かれ、すなわち、結果として、植物材料に対する攻撃が顕著に減少される。しかしながら、放出されるアンモニア蒸気のためにヒトの健康に対する危害は残っている。
早くも1986年にRaub及びWaIzはエチレンジアミンを基礎とする電解質からのパラジウム−ニッケルコーティングの電気化学的析出を説明している(Metalloberflaeche 40 (1986) 5, p. 199-203, D. WaIz and Ch. J. Raub, "Die galvanische Palladium-Nickel-Abscheidung aus ammoniakfreien Grundelektrolyten mit Ethylendiamin als Komplexbildner")。この論文においては、錯化剤エチレンジアミンは、合金の析出を可能にするために一緒に十分近い2種の金属の析出電位を移動させるために理想的であると説明されている。この電解質中では[Pd(EDA)2]Xがパラジウム錯体として使用されている(X=アニオン(類))。塩化物、臭化物、スルファート及びスルファマートはアニオンとして使用されている。
US特許(US 6743346)から知られているプロセスもまた、錯化剤としてエチレンジアミンを使用し、かつ、パラジウムスルファート及びエチレンジアミンの固形化合物の形でパラジウムを導入する。この塩はパラジウム31〜41%を含有する([SO4]:[Pd]0.9〜1.15、[エチレンジアミン]:[Pd]0.8〜1.2のモル比)。これは水溶性ではないが、過剰量のエチレンジアミンの存在下では電解質中に溶解する。この塩は、減少した量のエチレンジアミンでもってパラジウムを導入することを可能にするが、この増加したスルファート含有量は電解質中の塩の増加したレベルを、そしてこのようして浴の寿命の短縮を引き起こす。
テトラアンミンパラジウム(II)ハロゲン化物又はテトラアンミンパラジウム(II)スルファートの製造において、この相応する単純なパラジウム塩、例えばパラジウム(II)塩化物又は臭化物又はヨウ化物又はパラジウム(II)スルファートは出発材料として使用され、かつ、これらは4部のアンモニアと反応させられる。これは、水溶性錯体[(NH34Pd]X2(式中、X=Cl、Br、I)又は[(NH34Pd]SO4を形成する。この類似のヒドロゲンカーボナート[Pd(EDA)2](HCO32は現在ではこの合成経路によって製造されることはできず、というのは、この相応するPd(II)ジヒドロゲンカーボナートPd(HCO32は存在しないか又は市販されていないからである。この状況は相応するカーボナート塩にも同様である。
したがって、本発明の課題は、アミンリガンドを有するパラジウム(II)カーボナート又はヒドロゲンカーボナートの錯体を製造する方法を提供することであった。これは、単純なプロセスにおいて環境学的又は経済的に有利な手法で所望される化合物が製造されることを可能にするべきである。
この課題は特許請求の範囲に説明される通りに達成される。
二価のパラジウムカチオン、1以上のアミンリガンド及びカーボナートアニオン又は2のヒドロゲンカーボナートアニオン又はこの混合物を含むパラジウム錯体を製造する方法であって、相応するテトラアンミンパラジウム(II)ジヒドロゲンカーボナート又はテトラアンミンパラジウム(II)カーボナートを、遊離したアンモニアが除去されることができる条件下で溶液中でアミンリガンドと反応させる方法は、完全に意外なことに、しかしそれにもかかわらず有利なことに、上述の課題の達成を導く。この方法は、所望される化合物を高収率でかつ極めて高い純度で製造することを可能にし、このため、これらは概略した利点と共にパラジウムの電気化学的析出のために使用されることができる。
原則的に、当業者は、使用すべきアミンリガンドを自由に選択できる。この選択は、利用可能であり、かつ、商業により又は製造により容易に獲得することができるリガンドにより導かれるものである。1以上の二座、三座又は四座のリガンド、例えば、ジアミン、トリアミン又はテトラアミンを基礎とするリガンドを使用することが有利である。2〜11個の炭素原子を有するものが特に好ましい。極めて特に好ましくは、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、トリメチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミンからなる群から選択されるリガンドの使用である。この文脈において特別に好ましくはエチレンジアミン(EDA)である。
アミンリガンドが一座又は多座のリガンドであるかに依存して、アミンリガンドはテトラアンミンパラジウム(II)塩に対して異なる化学量論比で使用される。テトラアンミンパラジウム(II)塩は好ましくは、1:1.0〜4.5、好ましくは1:1.0〜3.0、特に好ましくは1:1.0〜2.5のモル比でアミンリガンドと反応させられる。二座のリガンド、特にエチレンジアミンの場合には、この比は1:1.0〜3.0、好ましくは1:1.5〜2.5、特に好ましくは1:2.0〜2.1である。
この反応における温度は当業者により自由に選択されることができる。この選択は、好ましくは二次反応の全体的な抑止と共に、極めて完全な変換の達成の望ましさにより導かれるものである。この反応の間の温度は好ましくは20℃〜100℃である。この温度は特に好ましくは40〜90℃、極めて特に好ましくは60〜80℃である。
当該錯体からのこのアンモニアの除去を完全にするために、当業者はこの目的のために利用可能である手段を選択するものである。リガンド交換の間の真空の適用は有利であるように見える。結果として、この反応は平衡の継続的な妨害により1の方向に動く。不活性ガス中への導通により、形成されるアンモニアがこの溶液から更に追い出される実施態様は同様に有利であることが見出された。両方の手段は、平衡からのアンモニアの除去を助け、かつ、この反応の間に使用される温度を、十分な反応速度をなお獲得しながら減少させる。
本発明による反応は当業者により適していると考慮される全ての溶媒中で実施されることができる。これらは好ましくは、反応の点で不活性であるが当該材料を十分な程度で溶解する溶媒である。例えば、水溶液を使用することができる。これらは、水溶性有機溶媒の他に50質量%より多い水を含む。好ましくは溶媒としての水だけの使用である。この溶液のpHはアンモニアがこの反応混合物から除去されることができるように設定される。このpHは有利にはアルカリ性範囲である。好ましくは7〜14、より好ましくは8〜13、特に好ましくは9〜12の範囲である。相応するヒドロゲンカーボナート塩の製造のためには特に、9〜11であるpHがとりわけ好ましい。
当業者はこの反応物の添加順序を選択できる。しかしながら、好ましい一実施態様においては、最初にアミンリガンドを溶液中に装入し、引き続きテトラアンミンパラジウム(II)塩を添加する。
例えば、パラジウム−エチレンジアミン化合物の製造は、テトラアンミンパラジウム(II)ジヒドロゲンカーボナートAlfa Aesar cat.No.45082]をエチレンジアミンと反応させることによって実施することができる。実施例において説明する通り、最初にエチレンジアミンを水中に装入し、引き続きテトラアンミンパラジウム(II)ジヒドロゲンカーボナートを一度に少量、強力に撹拌しながら添加する。同様に、この逆の順序でこの出発材料を添加することができる。この目的のためには、テトラアンミンパラジウム(II)ジヒドロゲンカーボナートを、例えば水中でスラリー化することができ、そしてエチレンジアミンを強力に撹拌しながら滴下漏斗を介して添加することができる。100℃までの還流下での約1時間の引き続く反応時間の間に、この生成物ビス(エチレンジアミン)パラジウム(II)ジヒドロゲンカーボナートが形成される。
アンモニア及びエチレンジアミンのリガンド交換が、以下の反応式に応じて起こる:
[(NH34Pd](HCO32+2H2N−CH2−CH2−NH2→[(H2N−CH2−CH2−NH22Pd](HCO32+4NH3
遊離されるアンモニアは部分的にすぐさま溶液から放出されるか又は引き続きストリッピングガス、例えば空気又は窒素を吹き込むことにより追い出される。このアンモニアの除去を速めるために、真空を更に適用することができる。この得られる溶液は黄色かつ透明であり、9.5〜10のpHを有する。
この錯体は、適した場合には減圧下での、この溶液の蒸発により又はこの溶媒の除去により、純粋な固形として獲得されることができる。これは有利には、固形の形態で又は溶液として、相応する電解浴中で使用されることができ、かつ、消費されるパラジウムが浴へのこのヒドロゲン(カーボナート)の形態でのパラジウムの添加により補充される場合にこの浴の塩含有量の増加を妨げるのに役立つ。
実施例−エチレンジアミン(EDA)とのリガンド交換によるテトラアンミンパラジウム(II)ジヒドロゲンカーボナートとエチレンジアミンの反応。
装置:
三口フラスコ、撹拌機、ヒーター、温度計、還流凝縮器、pH電極。
出発材料:
Figure 2011519885
テトラアンミンパラジウム(II)ジヒドロゲンカーボナート TAPHC(Pd36%)277g、Pd:EDAのモル比=1:2.07。
使用した化学薬品の品質:
Alfa Aesarからのテトラアンミンパラジウム(II)ジヒドロゲンカーボナート(製品No.45082)、エチレンジアミン、99%、合成試薬(例えばMerck No.800947)。
100gのPdを含む1リットルの最終体積のための手順:
1.反応容器中に脱イオン水500mlを入れる。
2.水にエチレンジアミンを添加する(pH11.5〜12)。
3.テトラアンミンパラジウム(II)ヒドロゲンカーボナートを一度に少量添加する:温度は50℃を超えて上昇する。鮮黄色(golden yellow)の溶液が形成される。全量のパラジウム塩の添加後、このpHは約10.5である。
4.80℃に加熱し、1時間反応させる。加熱すると、この溶液の色は鮮黄色から緑色を帯びた黄色に変化する。黒色粒子のためにわずかな濁りが得られる。
5.混合物を50℃に冷却させる。
6.No.6ガラスファイバーフィルターを通じて混合物を濾過する:このフィルター上に少量の黒色残留物、強力なアンモニア臭の淡黄色の溶液。
7.アンモニア濃度を減少させるためにこの溶液を通じて圧縮空気を導通させる。
8.脱イオン水でもって最終体積にする。

Claims (8)

  1. 二価のパラジウムカチオン、1以上のアミンリガンド及びカーボナートアニオン又は2のヒドロゲンカーボナートアニオン又はこの混合物を含むパラジウム錯体を製造する方法であって、相応するテトラアンミンパラジウム(II)ジヒドロゲンカーボナート又はテトラアンミンパラジウム(II)カーボナートを、遊離したアンモニアが除去されることができる条件下で溶液中でアミンリガンドと反応させる方法。
  2. アミンリガンドが、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、トリメチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミンからなる群から選択される請求項1記載の方法。
  3. テトラアンミンパラジウム(II)塩をアミンリガンドと1:1.0〜4.5のモル比で反応させる請求項1又は2記載の方法。
  4. 反応の間の温度を20℃〜100℃の範囲内に設定する請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 方法を真空を適用して実施する請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. 溶液中に不活性ガスを導通することにより、形成されるアンモニアを溶液から更に追い出す請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. 方法を水溶液中で実施する請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
  8. 最初にアミンリガンドを溶液中に装入し、引き続きテトラアンミンパラジウム(II)塩を添加する請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
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