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JP2011517656A - アルデヒドからアルコールを得るための方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、アルデヒドからアルコールを得るための方法に関する。より詳細には、本発明は、二機能性触媒を用いてアルデヒドからアルコールを得るための方法に関する。本発明はまた、アルデヒドの縮合方法、アルデヒドの縮合生成物を水素化(水素添加)することに基づいてアルコールを得るための方法、そしてまた、それぞれの方法によって得られた生成物にも関する。

Description

本発明は、アルデヒドからアルコールを得るための方法に関する。より詳細には、本発明は、二機能性触媒を用いてアルデヒドからアルコールを得るための方法に関する。本発明はまた、アルデヒドの縮合方法、アルデヒドの縮合生成物を水素化(水素添加)することに基づいてアルコールを得るための方法、そしてまた、それぞれの方法によって得られた生成物にも関する。
ブタノール(1−ブタノール)は従来、オキソ合成とも称される方法によってプロペンをヒドロホルミル化(カルボニル化)してブチルアルデヒドを生成させ、このブチルアルデヒドを次いで水素化して1−ブタノールを得るという2工程で合成されていた。プロペンのヒドロホルミル化に基づく1−ブタノールの製造は、石油から由来するこの出発物質の供給に依存する。この再生不能な供給源の不足が増大し、その価格が次第に上昇してきたせいで、1−ブタノールの生産費用はその使用を禁じるほどのものとなってきた。さらに、出発物質源としての石油については、それが引き起こす環境上の影響のせいで、バイオマスから誘導された資源に置き換えようという強い圧力が世界中に存在する。
別の方法としては、アセトアルデヒドのアルドール縮合を行い、次いで触媒として水酸化ナトリウムを用いて脱水してクロトンアルデヒドを生成させ、次いで水素化して1−ブタノールを生成させるものがある。この方法は収率が低く、しかもクロトンアルデヒドは毒性及び刺激性があって取扱いが難しく、そして容易に重合反応を起こす。
本発明の主題は、第1工程において特定の固体触媒の存在下で脱水によってアルデヒドを縮合させて縮合アルデヒドを生成させ、次いで第2工程においてこれを水素化してアルコールを生成させることを含む、アルデヒドからアルコールを得るための方法にある。
この方法は、優れた転化度及び選択性でアルコールを得ることを可能にする。
第1工程
この方法の第1工程は、酸性又は塩基性固体状化合物と金属化合物とを含む触媒系(触媒システム)の存在下、水素の存在下で10℃〜300℃の範囲の温度及び0.01〜200バールの範囲の圧力において、2分子のアルデヒドを縮合させる方法である。
この触媒系は、酸性又は塩基性媒体中でアルドール縮合及び脱水を達成し且つ金属の存在下で水素化を達成する二機能性のものであることができる。
この触媒系は、酸性又は塩基性固体状化合物を第1成分として含む。この化合物は、ゼオライト、クレー、セラミック、樹脂若しくは鉱物タイプの固体又は他の任意の酸性若しくは塩基性固体支持体であることができる。酸性固体支持体としては、スルホン酸樹脂、カルボン酸樹脂、リン酸樹脂、硫酸塩化されたジルコニアのような無機酸化物、モンモリロナイト及びゼオライトのような酸性クレー、例えばH−ZSM5及びH−Yを特に挙げることができる。塩基性固体支持体としては、表面にヒドロキシド官能基若しくはアミン官能基を有する化合物、カーボネート、ランタンのリン酸塩若しくは酸化物のような金属の酸化物、層状複水酸化物(LDH)のような塩基性クレーを挙げることができる。
前記触媒系は、金属化合物、特にCr、Co、Ni、Cu、Rh、Pd、Ir、Pt及び/又はAuをベース(主体)とする金属化合物を第2成分として含む。Ni、Pd、Rh及びIrが特に好ましい。この化合物は、そのままの金属であってもよく、水酸化物、酸化物又は塩の形の金属であってもよい。この金属は、水素化の際のその活性のために還元された状態にあるのが好ましい。
前記金属化合物は特に、前記酸性又は塩基性固体状化合物の重量に対して0.001〜30重量%の範囲の割合、より一層好ましくは0.01〜10重量%の範囲の割合で用いることができる。
本発明の好ましい主題に従えば、前記触媒系は、前記の金属化合物が表面に担持された酸性又は塩基性固体状化合物を含む。
例えば、Rohm and Haas社から入手できるAmberlyst(登録商標)CH28触媒を挙げることができる。
また、前記触媒系は、反応に対して不活性な固体上に担持された金属化合物及び酸性又は塩基性固体状化合物を含むことも可能である。
触媒系の量は、アルデヒドの重量に対して0.01〜60重量%の範囲であることができ、0.1〜20重量%の範囲であるのが好ましく、1〜10重量%の範囲であるのがより一層好ましい。
前記の反応は、10℃〜200℃の範囲の温度で実施するのが好ましく、30℃〜150℃の範囲の温度で実施するのがより一層好ましく、80℃〜120℃の範囲の温度で実施するのがさらにより一層好ましい。
前記の反応は、1〜100バールの範囲の圧力において実施するのが好ましく、3〜25バールの範囲の圧力において実施するのがより一層好ましく、8〜15バールの範囲の圧力において実施するのがより一層好ましい。
第1工程は、10℃〜200℃の範囲の温度及び1〜100バールの範囲の圧力において実施するのが好ましく、30℃〜150℃の範囲の温度及び3〜25バールの範囲の圧力において実施するのがより一層好ましく、80℃〜120℃の範囲の温度及び8〜15バールの範囲の圧力において実施するのがさらにより一層好ましい。
このような圧力は、純粋な水素又は水素と不活性ガス(例えば窒素やアルゴン)との混合物の供給源を反応器に加えることによって得ることができる。水素分圧は、水素含有率を調節しながら気体ヘッドスペースをパージすることによって保つことができる。
アルデヒドは、特にアセトアルデヒド、ブチルアルデヒド又はプロピオンアルデヒドであることができる。1種又は性状が異なる2種以上のアルデヒドを用いることもできる。
反応媒体は、触媒系以外にアルデヒドのみを含むのが好ましい。この媒体は、縮合反応の際に反応し得る化合物(例えばアルコールタイプの化合物等)及び/又は溶媒を含まないのが好ましい。
本発明に従う方法は、連続式で又はバッチ式で、好ましくは液相中で、実施することができる。第1工程の滞留時間は、特に5〜300分とすることができる。
第1工程の反応は、任意のタイプの反応器中、特に垂直に組立てられた反応管中で、実施することができる。第1工程のプロセスを実施する複数の反応器を直列に配置することができる。
触媒は、固定床上に置くこともでき、反応器を撹拌しながら浮遊状態に置くこともできる。
第1工程の後に、例えば反応成分を回収するために、得られた生成物を精製する工程(特に蒸留によるもの)を1回又は2回以上実施することができる。
第2工程
本方法の第2工程は、縮合したアルデヒドを水素化してアルコールを製造することを含む。例えば、縮合したアルデヒドを、気相又は液相中で水素化触媒の存在下で、特に所定の温度及び圧力条件下において、水素と反応させる。
水素化触媒は、Cr、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt若しくはAuを含有する金属若しくは担持された金属、又はそれらの化合物若しくは混合物(特に触媒の総重量に対して0.01〜30重量%の範囲、好ましくは0.1〜20重量%の範囲、より一層好ましくは1〜10重量%の範囲の濃度)から成ることができる。
例えば、担持若しくは非担持ラネーニッケル、シリカ上のCu/CuO、担持白金又は担持ルテニウムを水素化触媒として用いることができる。
この反応において、温度は10℃〜300℃の範囲、好ましくは80℃〜140℃の範囲にすることができ;圧力は0.1〜300バールの範囲、好ましくは1〜100バールの範囲にすることができる。
好ましくは、このアルコールを得るための方法は、2分子のアセトアルデヒドのアルドール縮合の際に得られるブチルアルデヒドを水素化して1−ブタノールを得ることを構想したものである。
このアルコールを得るための方法において、2分子のアルデヒドのアルドール縮合に用いられる触媒とこの縮合の生成物の水素化に用いられる触媒とは、同一又は類似の材料に相当することができる。
第2工程の後に得られた生成物を精製する工程(特に蒸留によるもの)を1回又は2回以上実施することができる。
本発明に従う方法は、特にアセトアルデヒドから1−ブタノールを、ブチルアルデヒドから2−エチルヘキサノールを、又はプロピオンアルデヒドから2−メチルペンタナールを得ることを可能にする。
上記の2つの工程は、異なる反応器中で、特に一方が他方に続いて配置された反応器中で、実施するのが好ましい。
本発明の主題はまた、上記の2分子のアルデヒドのアルドール縮合によって得ることができる生成物にもある。
本発明の主題はまた、上記の2分子のアルデヒドのアルドール縮合によって得られた生成物の水素化に基づいて得ることができるアルコールにもある。
以下、前記プロセスの実施例によって本発明をより詳細に説明するが、これら実施例は純粋に本発明の主題又は範囲の非限定的な例示として与えたものである。
実験の部
例1:バッチ式工程1反応
パラジウムを含むスルホン酸樹脂をベースとする酸性固体触媒1.5g、及び液体状態のアセトアルデヒド220gを、400ミリリットルの撹拌された反応器に装填する。次に、装置を密閉し、水素で加圧し、加熱して100℃の温度及び12バールにする。120分間で転化度が32.0%に到達し、ブチルアルデヒドの選択率が61.0%に到達した。
例2:連続式工程1反応
パラジウムを含むスルホン酸樹脂をベースとする酸性固体触媒1.5gを400ミリリットルの撹拌された反応器に装填する。次に、装置を密閉し、液体状態のアセトアルデヒドを供給し(200g/時間)、水素で加圧し、加熱して100℃の温度及び12バールの圧力にする。転化度が60.0%に到達し、ブチルアルデヒドの選択率は90.0%に到達した。
例3:バッチ式工程2反応
100gのブチルアルデヒド及び10gのラネーニッケル触媒を150ミリリットルの反応器に装填する。次に、装置を密閉し、水素で加圧し、加熱して100℃の温度及び20バールの圧力にする。30分後に、99.98%の転化度及び98.92%の1−ブタノール選択率が得られた。

Claims (16)

  1. 酸性又は塩基性固体状化合物と金属化合物とを含む触媒系の存在下、水素の存在下で10℃〜300℃の範囲の温度及び0.01〜200バールの範囲の圧力において、2分子のアルデヒドを縮合させる方法。
  2. 前記酸性又は塩基性固体状化合物がゼオライト、クレー、セラミック、樹脂又は鉱物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記酸性固体状化合物がスルホン酸樹脂、カルボン酸樹脂、リン酸樹脂、硫酸塩化されたジルコニア等の無機酸化物、モンモリロナイト及びゼオライト等の酸性クレー、例えばH−ZSM5及びH−Yを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記塩基性固体状化合物が表面にヒドロキシド官能基若しくはアミン官能基を有する化合物、カーボネート、ランタンのリン酸塩若しくは酸化物等の金属の酸化物、層状複水酸化物(LDH)等の塩基性クレーより成る群から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記金属化合物がCr、Co、Ni、Cu、Rh、Pd、Ir、Pt及び/又はAuをベースとすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記金属化合物が還元状態にある金属であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記金属化合物を前記酸性又は塩基性固体状化合物の重量に対して0.001〜30重量%の範囲の割合、より一層好ましくは0.01〜10重量%の範囲の割合で存在させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記触媒系が酸性又は塩基性固体状化合物の表面に前記金属化合物が担持されて成ることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 触媒系の量がアルデヒドの重量に対して0.01〜60重量%の範囲、好ましくは0.1〜20重量%の範囲、より一層好ましくは1〜10重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記の反応を10℃〜200℃の範囲、好ましくは30℃〜150℃の範囲、より一層好ましくは80℃〜120℃の範囲の温度で実施することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記工程反応を1〜100バールの範囲、好ましくは3〜25バールの範囲、より一層好ましくは8〜15バールの範囲の圧力において実施することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記アルデヒドがアセトアルデヒド、ブチルアルデヒド及びプロピオンアルデヒドより成る群から選択されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 請求項1〜12に従って得られた縮合アルデヒドを気相又は液相中で水素化触媒の存在下で水素と反応させることによる、アルコールの製造方法。
  14. アルコールが1−ブタノールであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
  15. 請求項1〜12のいずれかに従う2分子のアルデヒドのアルドール縮合によって得られる生成物。
  16. 請求項1〜12のいずれかに従う2分子のアルデヒドのアルドール縮合から得られた生成物の水素化に基づいて得られるアルコール。
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