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JP2011506511A - 副作用を軽減または防止するためのボツリヌス菌毒素複合体の神経毒成分の使用 - Google Patents

副作用を軽減または防止するためのボツリヌス菌毒素複合体の神経毒成分の使用 Download PDF

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Abstract

人形のような顔もしくは凍ったような顔になりやすいヒトもしくは動物の顔の美容的処置のためのボツリヌス菌毒素複合体の神経毒成分の使用、またはボツリヌス菌毒素複合体による、筋肉もしくは外分泌腺の活動亢進状態のコリン作動性神経支配によって引き起こされるもしくはそれに伴う疾患もしくは障害に伴う副作用を起こしやすいヒトもしくは動物の前記疾患もしくは障害の治療のためのボツリヌス菌毒素複合体の神経毒成分。

Description

本発明は、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)毒素複合体またはボツリヌス菌毒素複合体を含む化粧品組成物により治療されたヒトまたは動物においてしばしば観察される、ヒトまたは動物における副作用を軽減または防止するためのボツリヌス菌毒素複合体の神経毒成分の使用に関する。本発明の一態様は、人形のような顔(doll's face)または凍ったような顔(frozen face)になりやすいヒトまたは動物の顔の美容的処置のためのボツリヌス菌毒素複合体の神経毒成分の使用に関する。本発明の第2の態様は、ボツリヌス菌毒素複合体による、筋肉または外分泌腺の活動亢進状態のコリン作動性神経支配によって引き起こされるもしくはそれに伴う疾患または障害の治療に伴う副作用を起こしやすいヒトもしくは動物の前記疾患または障害の治療のためのボツリヌス菌毒素複合体の神経毒成分に関する。
ボツリヌス毒素複合体は、神経が、筋細胞と交信するために必須であるアセチルコリンを放出することを妨げる細菌毒素である。したがって、この毒素は、筋肉が神経刺激を受けることを妨げる。筋肉の神経刺激を妨げることにより、筋肉は麻痺するようになる。したがって、ボツリヌス毒素複合体は、筋肉への過剰な神経刺激が異常な筋活動を引き起こしている状態を治療するのに有用である。毒素複合体は、神経シグナルが同じ方式で汗腺に達することを妨げるので、過剰な発汗を防止するのにも有用である。その複合体はまた、ラインおよびしわ、好ましくは、顔のラインおよびしわの美容的処置にも用いることができる。前記筋活動、過剰な発汗またはラインおよびしわの治療では、複合体は、患部の筋肉、皮膚または腺に、またはその周辺に注射される。
例えば、毒素複合体は、20年近く用いられており、米国で医師によって行われる最も審美的な介入治療の1つになっていることが報告されている(Dermat Surg 2007年;33巻:S18〜S25)。ボツリヌス毒素複合体の神経毒成分の化粧品としての使用は、国際公開第00/74703号に広範に記載されている。
ヒトの眉間じわのライン、額のライン、およびカラスの足跡などの機能亢進によるラインは、重なり合っている皮膚をひだ状にする顔面筋の収縮によって引き起こされる。これらの筋肉の活性は、怒り、不安、恐怖、または悲しみなど否定的な顔の表情を与えかねない永続的なしわをもたらすこともある。A型ボツリヌス毒素(BTXA)またはより正確にはA型ボツリヌス毒素複合体は、これらのしわを軽減するまたは避けるために化粧品に、すなわち、審美的な目的で用いられている。血清型B型、C型、D型、E型、F型およびG型など、化粧品のためにボツリヌス毒素の他の血清型を用いることも可能である。
前記ラインまたはしわを美容的に処置する手順では、精製されたボツリヌス毒素複合体をごくわずかな量で標的とする顔面筋に注射する。その結果生じた、その筋肉の神経遮断によって、筋肉の運動を局所的に固定化させ、治療対象者が顔をしかめたり目を細めて見るとき「縮緬じわ」およびしわのラインが形成されることを防止する(http://www.parentmap.com/may_06/0506_4a.htm)。
美容皮膚科学においてA型ボツリヌス毒素(BTXA)を薬物として広く使用して、限局性多汗症を治療するだけでなく、過動による顔のライン、広頸筋帯、デコルテ帯、および他の皮膚の特徴も治療することがさらに知られている。
しかし、化粧品としての使用においてBTXAの考えられる有害作用の範囲は広い。最も一般的な有害作用は、疼痛および血腫である。眼周囲の領域では、眼瞼下垂および眉毛下垂は重要な有害作用である。疼痛、血腫、斑状出血、および挫傷などの有害作用は、顔の上部および下部ならびに顔以外の部位で起こることもある。美容皮膚科学においてBTXAの使用者が警戒すべきである、他の適応症で認められる他の考えられる有害作用には、頭痛の誘発および併用の薬剤との考えられる相互作用が含まれる。
医学的な観点から、美容的処置においてBTXAによる有害作用を防ぐ主な手段は、知識と技能である。最も望まれない効果は不正確な技法によって引き起こされるため、正確な注射技法の使用は必須である。標的構造、例えば、顔面筋および顔面以外の筋肉の知識により、医師が最適な用量、時間および技法を選択できるようになる。そのうち、最も望まれない有害作用を避けるために最も重要なのは、希釈、貯蔵、および注射の適切な技法、ならびに任意の禁忌を有する治療対象者の慎重な除外である。疼痛、血腫、斑状出血、および挫傷は、BTXA注射の前後に皮膚を冷却することによって予防することができる。上眼瞼下垂は、アプラクロニジンまたはフェニレフリン点眼剤を用いて部分的に矯正することができる。BTXAの適応症および適用に関する単純な規則に従うなら、これは、美容皮膚科学において安全かつ有効な薬物である(Am J Dermatol 2005年;6巻(3号):141〜50頁)。
ボツリヌス毒素複合体による人の皮膚のラインおよびしわの美容的処置における上記の副作用に加えて、「人形のような顔」、「凍ったような顔」といった有害な問題が起こり得る。「人形のような顔」および「凍ったような顔」という用語は、ボツリヌス毒素複合体による治療の結果としての、それぞれ顔の仮面様または人形様の外観を意味し、これは顔の模倣の著しい抑制に起因すると考えなければならない。顔によりリラックスしたより滑らかな外観を与える代わりに、顔の動きは固定化され、例えば、人工的な、すなわち、不自然な外見を有する無表情な顔の結果変化しない。このような外見は、「人形のような顔」または「凍ったような顔」として文献中および本明細書でしばしば言及される。したがって、ボツリヌス毒素複合体による治療は、治療対象者が感情を表すことを妨げている。顔は、もはやその十分なおよび微妙な範囲の表情を表すことができない。(http://www.wlbeauty.com/press_details.php?press_id=52; http://www.abc.net.au/science/k2/moments/s909485.htm)。
顔が所望の自然な外観、それぞれ所望の自然な、例えば、様々な感情を表すことができる動的模倣を有さないため、これらの副作用は、顔のラインまたはしわを滑らかにするためにボツリヌス毒素複合体で治療している者に重い心理的負担をもたらす恐れがある。しかし、これまで、科学文献において、「人形のような顔」、「凍ったような顔」それぞれの問題およびそれに関連する問題は、それらが値する注目を受けていない。上記副作用を避けるまたは寛解させる方法にもかかわらず、「人形のような顔」または「凍ったような顔」の問題はいまだ存在している。
ボツリヌス毒素複合体は、患者の筋肉または外分泌腺の活動亢進状態のコリン作動性神経支配によって引き起こされるまたはそれに伴うヒトまたは動物の疾患または障害を治療するための組成物の調製にも用いられる。
かかる疾患または状態には、筋肉の失調が関与する。例示的に挙げられるのは、(1)眼瞼痙攣、顎開口型または顎閉口型の顎口腔ジストニア、歯ぎしり、メージュ症候群、舌ジストニア、開瞼失行を含めた頭部ジストニア(2)前屈、後屈、側屈、斜頸を含めた頸部ジストニア(3)咽頭ジストニア、(4)内転筋型または外転筋型の痙攣性発声障害、痙攣性呼吸困難を含めた喉頭ジストニア、(5)書痙、音楽家痙攣またはゴルファー痙攣を含めた動作特異性ジストニアなどの上肢ジストニア、大腿内転、大腿外転、膝屈曲、膝伸展、足首屈曲、足首伸展または内反尖足による変形を含めた下肢ジストニア、線条体足指、足指屈曲または足指伸展を含む足ジストニア、ピサ症候群またはベリーダンサージストニアなどの軸性ジストニア、分節性ジストニア、片側性ジストニアまたは全身性ジストニアを含めた四肢ジストニア、(6)Lubagにおけるジストニア、(7)大脳皮質基底核変性症におけるジストニア(8)遅発性ジストニア、(9)脊髄小脳変性症におけるジストニア、(10)パーキンソン病におけるジストニア、(11)ハンチントン病におけるジストニア、(12)ハラーホルデン-スパッツ病におけるジストニア、(13)ドーパ誘発性ジスキネジア/ドーパ誘発性ジストニア、(14)遅発性ジスキネジア/遅発性ジストニア、(15)発作性ジスキネジア/ジストニア(運動誘発性、非運動誘発性、活動誘発性)であり;あるいは、斜頸、側屈、後屈、前屈、屈曲した肘、内転した前腕、屈曲した手首、母指または握りこぶしからなる群から選択される臨床的なパターンを伴う。
かかる疾患または状態は、筋肉の痙縮を伴うこともある。一般に、痙縮は、(1)(a)多発性硬化症、横断性脊髄炎、デビック症候群との関係を含む自己免疫過程、(b)ウイルス感染症、(c)細菌感染症、(d)寄生虫感染症もしくは(e)真菌感染症に関する脳炎および脊髄炎の痙性状態、(2)遺伝性痙性不全対麻痺、(3)半球梗塞、脳幹梗塞または脊髄梗塞によって生じる卒中後症候群、(4)例えば、半球病変、脳幹病変、脊髄病変を伴う中枢神経系外傷、(5)脳出血、くも膜下出血、硬膜下出血もしくは脊髄内出血などの中枢神経系出血、または(6)例えば、半球腫瘍、脳幹腫瘍もしくは脊髄腫瘍などの新形成または(7)脳卒中後痙縮、または(8)脳性麻痺によって引き起こされる痙縮である、またはそれらに関連する。
患者がボツリヌス毒素複合体を含む化粧品組成物で上記の疾患および障害の治療的処置後に副作用を起こすことがすでに報告されている(http://www.netdoctor.co.uk/medicines/100000363.html)。
報告された一般的な副作用は、注射部位における疼痛、ひりひりする痛みまたは挫傷が含まれ、位置を誤った注射は近隣の筋肉を麻痺させる恐れがあり、過剰な用量は、注射部位の近くではない筋肉を熱(発熱)、インフルエンザ様症状、嚥下(嚥下障害)、発疹またはそう痒時の困難または疼痛を伴って麻痺させることがある。
眼瞼痙攣/片側顔面痙攣の治療における特異的な副作用は、柔らかい眼瞼組織の容易な挫傷、上眼瞼の下垂、眼の光に対する感受性、眼への刺激、ドライアイ、流涙、顔面腫脹、眼瞼を閉じることの困難、眼の前部(角膜)の炎症を含むことが報告されている。
頸部ジストニア患者の治療における特異的な副作用は、めまい、固縮の増進、筋肉の硬直またはひりひりする痛み、しびれ感、脱力感、傾眠、悪心、気分がすぐれない/倦怠感があるという一般的な感情を含むことが報告されている。
脳性麻痺患者の治療における特異的な副作用は、ウイルス感染または耳感染、尿失禁、眠気、気分がすぐれない/倦怠感があるという一般的な感情、発疹、刺痛を含むことが報告されている。
脳卒中患者の治療における特異的な副作用は、上肢痛、筋肉の固縮の増進、気分がすぐれない/倦怠感があるという一般的な感情を含むことが報告されている。
多汗症の治療における特異的な副作用は、治療されていない領域からの発汗の増加、顔面紅潮を含むことが報告されている。
国際公開第00/74703号 国際出願PCT/EP2007/005754号 国際公開第2006/027207 A1号 国際公開第2006/114308 A1号 欧州特許第1 398 038号
Dermat Surg 2007年;33巻:S18〜S25 http://www.parentmap.com/may_06/0506 4a.htm Am J Dermatol 2005年;6巻(3号):141〜50頁 http://www.wlbeauty.com/press_details.php?press_id=52 http://www.abc.net.au/science/k2/moments/s909485.htm http://www.netdoctor.co.uk/medicines/100000363.html Tang-Liu;R.Aokiら、Toxicon 2003年、42巻、461〜469頁 Simpson LL、Ann Rev Pharmacol ToxicoL 2004年;44巻:167〜93頁 Montecucco C.、Shiavo G.、Rosetto O:The mechanism of action of tetanus and Botulinum neurotoxins. Arch Toxicol. 1996年;18巻(SuppL):342〜354頁
本発明が解決しようとする課題は、顔のラインおよび顔のしわの美容上の顔の処置で起こり得る副作用を軽減または防止すること、およびこのような美容的処置で顔の自然な、例えば、動的模倣を維持すること、あるいはボツリヌス毒素複合体または前記複合体を含む化粧品組成物に伴う、ヒトもしくは動物の筋肉または外分泌腺の活動亢進状態のコリン作動性神経支配によって引き起こされるまたはそれに伴う疾患または障害の治療的処置で起こり得る副作用を軽減または防止することである。
この問題は、ボツリヌス菌毒素複合体の神経毒成分を用いることによって解決された。
本発明の一態様は、人形のような顔または凍ったような顔になりやすいヒトまたは動物の顔の美容的処置のためのボツリヌス菌毒素複合体の神経毒成分の使用に関する。
このような状態が起こり得る機会があるとき、すなわち、人形のような顔の状態がすでに以前に起こっている場合またはこのような状態が起こり得る妥当な懸念が存在する場合にはいつでも、ヒトまたは動物は、例えば、人形のような顔になり「やすい」とみなされる。特に、「〜しやすい」という用語は、ボツリヌス毒素治療の副作用に関する(例えば、媒体、友人、身内などからの)情報および/または早期の経験を考慮して、患者が人形のような顔を生じることについて恐れる状況を包含する。
本発明のこの態様の一実施形態では、ヒトまたは動物は、ボツリヌス菌毒素複合体で治療されており、ボツリヌス毒素複合体による前記治療の結果として人形のような顔または凍ったような顔になっているか、またはなることが懸念されているヒトまたは動物である。
他の実施形態では、前記顔の美容的処置は、顔のラインまたは顔のしわを滑らかにすることである。
本発明の他の実施形態では、ヒトまたは動物は、顔のラインおよび皮膚のしわを滑らかにするためにボツリヌス菌毒素複合体で治療されている。
他の実施形態では、前記顔の美容的処置は、皮膚の顔のラインまたは顔のしわを滑らかにすることである。
好ましくは、顔のラインまたは顔のしわは、眉間じわのライン、顔をしかめたときのライン、心配じわ、マリオネットライン、額の水平ライン、カラスの足跡、鼻口周囲のしわ、あごの縦溝、橙皮状皮膚のあご、および/または広頸筋帯からなる群から選択される。
美容的処置では、神経毒成分は好ましくは、筋肉内または皮下に注射される。
好ましくは、神経毒成分は、滑らかにしようとする顔のラインまたはしわに直接注射され、あるいは、滑らかにしようとする、皮膚のラインまたはしわの形成に関与する1つまたは複数の顔面筋または筋肉に直接またはその近くに注射される。
顔面筋は、以下の筋肉:頭蓋表筋(後頭前頭筋、側頭頭頂筋)、鼻根筋、鼻筋(鼻孔圧迫筋および鼻孔開大筋)、鼻中隔下制筋、眼輪筋、皺眉筋、眉毛下制筋、耳介筋(前耳介筋、上耳介筋、後耳介筋)、口輪筋、口角下制筋、おとがい横筋、笑筋、大頬骨筋、小頬骨筋、上唇挙筋、上唇鼻翼挙筋、下唇下制筋、口角挙筋、蝸牛軸、頬筋、おとがい筋、広頸筋を含む。
上記顔のラインおよび顔のしわを形成するのに関与する筋肉は、好ましくは、皺眉筋、眼輪筋、鼻根筋、後頭前頭筋の前頭筋、眼輪筋の眼窩部、鼻筋、上唇:口輪筋、下唇:口角下制筋、おとがい筋および広頸筋からなる群から選択される。
好ましくは、神経毒成分は、滑らかにしようとする皮膚の顔のラインまたは顔のしわを形成するのに関与する前記顔面筋または筋肉の1もしくは2ヵ所に直接またはその近くに注射される。
すでに上述したように、ボツリヌス毒素は、筋肉運動の局所的な固定化を引き起こし得る。したがって、「人形のような顔」、「凍ったような顔」はそれぞれ、注射ポイントの周囲の領域に拡散または移動し、固定化されることを目的とされていない筋肉をさらに固定化するボツリヌス毒素複合体から生じることが想定され得る。複合体および神経毒が同様の拡散特性を有することが報告されている(Tang-Liu;R.Aokiら、Toxicon 2003年、42巻、461〜469頁)。したがって、本発明による使用では、神経毒成分は、ボツリヌス毒素複合体に比べて拡散または移動が少ないと思われ、その結果、複合体の位置安定性に比べて位置安定性が改善される。この挙動は、驚くべきものであり、報告された類似の拡散特性に照らして予想することができない。この理論に拘泥するものではないが、神経毒の局所的な位置安定性、すなわち、複合体に比べて、拡散または移動する能力が低下することおよび他の隣接する筋肉を固定化する能力が低下することによって、ヒトまたは動物がそれぞれ「人形のような顔」、「凍ったような顔」となることを防止すると考えられる。
本発明の第2の態様は、ボツリヌス菌毒素複合体による、筋肉または外分泌腺の活動亢進状態のコリン作動性神経支配によって引き起こされるもしくはそれに伴う疾患または障害の治療に伴う副作用を起こしやすいヒトもしくは動物の前記疾患または障害の治療のためのボツリヌス菌毒素複合体の神経毒成分に関する。
副作用は、好ましくは以下のうち1つまたは複数である:前記注射部位における疼痛、ひりひりする痛みまたは挫傷、熱(発熱)、インフルエンザ様症状、嚥下の際の困難または疼痛(嚥下障害)、発疹またはそう痒、柔らかい眼瞼組織の挫傷、上眼瞼の下垂、眼の光に対する感受性、眼への刺激、ドライアイ、流涙、顔面腫脹、眼瞼を閉じることの困難、眼の前部(角膜)の炎症、めまい、固縮の増進、筋肉の硬直またはひりひりする痛み、しびれ感、脱力感、傾眠、悪心、気分がすぐれない/倦怠感があるという一般的な感情、ウイルス感染または耳感染、尿失禁、眠気、刺痛、上肢痛、筋肉の固縮の増進、治療されていない領域からの発汗の増加、顔面紅潮。
本発明のこの態様の一実施形態では、ヒトまたは動物は、ボツリヌス菌毒素複合体で治療されており、以下のうち1つまたは複数を起こしている:前記注射部位における疼痛、ひりひりする痛みまたは挫傷、熱(発熱)、インフルエンザ様症状、嚥下(嚥下障害)、発疹またはそう痒時の困難または疼痛、柔らかい眼瞼組織の挫傷、上眼瞼の下垂、眼の光に対する感受性、眼への刺激、ドライアイ、流涙、顔面腫脹、眼瞼を閉じることの困難、眼の前部(角膜)の炎症、めまい、固縮の増進、筋肉の硬直またはひりひりする痛み、しびれ感、脱力感、傾眠、悪心、気分がすぐれない/倦怠感があるという一般的な感情、ウイルス感染または耳感染、尿失禁、眠気、刺痛、上肢痛、筋肉の固縮の増進、治療されていない領域からの発汗の増加、顔面紅潮。
筋肉または外分泌腺の活動亢進状態のコリン作動性神経支配によって引き起こされるまたはそれに伴う疾患または障害の治療では、神経毒成分は、筋肉内または皮下に注射される。
好ましくは、神経毒成分は、筋肉または外分泌腺に直接またはその近くに注射される。好ましくは、神経毒成分は、1もしくは2ヵ所の筋肉または1もしくは2ヵ所の外分泌腺に直接またはその近くに注射される。
筋肉は、好ましくは、同側の板状筋、対側の胸鎖乳突筋、同側の胸鎖乳突筋、頭板状筋、斜角筋複合体、肩甲挙筋、椎骨後方部、同側の僧帽筋、肩甲挙筋、両側の頭板状筋、上部僧帽筋、椎骨後方深部、両側の胸鎖乳突筋、斜角筋複合体、おとがい下複合体、腕橈骨筋、上腕二頭筋、方形回内筋、円回内筋、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、手の長母指屈筋、手の母指内転筋、手の短母指屈筋/対抗筋、浅指屈筋、深指屈筋からなる群から選択される。
外分泌腺は、好ましくは、一般に、汗腺、涙腺、唾液腺および粘膜腺からなる群から選択される自律神経系の外分泌腺;または、フレー症候群、ワニの涙症候群、腋の多汗症、手掌の多汗症、足底の多汗症、頭頸部の多汗症、体の多汗症、鼻漏、もしくは脳卒中患者の相対的な流涎、パーキンソン病もしくは筋萎縮性側索硬化症からなる群から選択される疾患もしくは状態に関連する腺からなる群から選択される。
ボツリヌス毒素は、細菌であるクロストリジウム属によって産生される。ボツリヌス毒素は、他の細菌タンパク質と結合して「ボツリヌス毒素複合体」とも呼ばれる毒素複合体を共に形成する、一般にボツリヌス毒素の毒性を担うサブユニットの形態(いわゆる「神経毒成分」)で、溶解されたクロストリジウム属培養物から放出される。ボツリヌス毒素複合体は、その安定性が、例えば、塩濃度および/またはpHなどの様々な因子に依存していると思われるため、天然において準安定性である。この複合体は通常、「複合タンパク質」または「細菌タンパク質」と呼ぶ、追加の、いわゆる「非毒性の」タンパク質を含む。この複合体の分子量は、約300,000〜約900,000Da、すなわち、300kDa〜約900kDaまで変わり得る。複合タンパク質は、例えば、様々な血球凝集素である。この毒素複合体のタンパク質は、それ自体毒性はないが、神経毒成分に対して安定性をもたらすことが考えられ、ボツリヌス中毒における経口毒性の原因となっている。ボツリヌス毒素の抗原性の異なる7つの血清型がある、すなわちA型ボツリヌス毒素、B型ボツリヌス毒素、C型ボツリヌス毒素、D型ボツリヌス毒素、E型ボツリヌス毒素、F型ボツリヌス毒素およびG型ボツリヌス毒素である。ボツリヌス毒素血清型A型、B型、C型、D型、E型、F型またはG型が言及される場合は、やはり血清型の既知の変種、すなわち、血清型A1型、A2型、A2型、B1型、B2型、B3型、C1型、C2型、C3型、D1型、D2型、D3型、E1型、E2型、E3型、F1型、F2型、F3型、またはG1型、G2型、G3型などが包含される。本出願の導入部で示したように、A型ボツリヌス毒素タンパク質複合体に基づく2つの市販の配合物、すなわちBOTOX(登録商標)(Allergan Inc)という商品名およびDYSPORT(登録商標)(Ipsen Ltd)という商品名で存在する。
本出願において使用される、「ボツリヌス毒素」という用語は、他のクロストリジウムタンパク質も有さない神経毒成分だけでなく、「ボツリヌス毒素複合体」も意味する。毒素複合体と神経毒成分の区別が必要でないまたは望まれない場合に、「ボツリヌス毒素」という用語が本明細書で用いられる。「BoNT」または「NT」は、よく用いられる略語である。
ボツリヌス毒素複合体の「神経毒成分」は、血清型Aの場合では、分子量約150kDaを有する単一のポリペプチド鎖として最初に形成される。他の血清型では、神経毒成分は、細菌の源に応じて約145kDaと約170kDaの間で変わることが観察されている。血清型Aの場合では、例えば、ポリペプチドをタンパク質分解処理すると、ジスルフィド結合によって結合される、重鎖および軽鎖からなる二本鎖ポリペプチドの形態の、活性化されたポリペプチドになる。ヒトにおいて、重鎖はシナプス前コリン作動性神経終末への結合および毒素の細胞への内部移行を媒介する。
「神経毒成分」という用語はまた、ボツリヌス菌の他の血清型の中に見出される機能的相同体を含む。本発明の好ましい実施形態において、神経毒成分は、他のボツリヌス菌タンパク質を有さず、好ましくは、神経毒成分と潜在的に関連し得るRNAも有さない。神経毒成分は、約150kDaの単鎖の前駆体タンパク質、または1つまたは複数のジスルフィド結合によって結合され得る約50kDaの軽鎖(Lc)および約100kDaの重鎖(Hc)を含む、タンパク分解処理された神経毒成分となり得る(総説については、例えば、Simpson LL、Ann Rev Pharmacol ToxicoL 2004年;44巻:167〜93頁を参照のこと)。ヒトにおいて、重鎖は、シナプス前コリン作動性神経終末への結合および毒素の細胞への内部移行を媒介する。軽鎖は、亜鉛-エンドペプチダーゼとして作用し、膜融合を担う特異的なタンパク質(SNARE複合体)を切断する毒性作用を担っていると考えられる(例えば、Montecucco C.、Shiavo G.、Rosetto O:The mechanism of action of tetanus and Botulinum neurotoxins. Arch Toxicol. 1996年;18巻(SuppL):342〜354頁)を参照のこと)。
ボツリヌス毒素複合体の神経毒サブユニットは、本文書において「神経毒成分」または「複合タンパク質を含まない神経毒成分」と呼ばれる。単離された形態でA型ボツリヌス毒素の神経毒成分を含む化粧品組成物は、ドイツでMerz Pharmaceuticals GmbHからXeomine(登録商標)という商標で市販されている。A型およびB型ボツリヌス毒素の神経毒成分の生成は、例えば、国際特許出願の国際公開第00/74703号に記載されている。
本明細書では、「神経毒」という用語は、複合タンパク質を含まない純粋な神経毒成分を意味する。
ボツリヌス毒素に基づく組成物および医薬品の投薬に関して、ならびに、ボツリヌス毒素の神経毒成分に基づく組成物、医薬品の投薬および投与回数に関しては、国際出願PCT/EP2007/005754号を参照されたい。
好ましい実施形態では、ボツリヌス毒素はA型ボツリヌス毒素である。他の血清型と比べたときにその治療効果の期間が優れていたため、血清型A型は、本発明と関連して特に好ましい。前記ボツリヌス毒素は、複合タンパク質を含まず(神経毒成分)、より好ましくは、ボツリヌス毒素は、血清型A型の純粋な神経毒成分である。それに加えて、変異、欠失などを含めたボツリヌス毒素の修飾され、かつ組換えにより生成された神経毒成分はまた、本発明の範囲内である。適当な変異に関しては、参照により本明細書に完全に組み込まれる国際公開第2006/027207 A1号および国際公開第2006/114308 A1を参照されたい。さらに、本発明の範囲内で、様々な血清型の混合物は(神経毒成分の形態または組換えの形態またはその両方の形態で、例えば、A型およびB型のボツリヌス神経毒の混合物などを)用いることができる。しかし、本発明はまた、特に、表面に露出したまたは溶媒に曝された1つまたは複数のアミノ酸の、例えば、ペグ化、糖鎖付加、硫酸化、リン酸化または他の任意の修飾によって化学的に修飾される神経毒を意味する。
本発明の教示によれば、医薬品は、神経毒成分以外のボツリヌス毒素複合体で見出されたタンパク質を含まないことが特に好ましい。神経毒成分の前駆体は、切断されても切断されていなくてもよいが、前駆体が重鎖および軽鎖に切断されていることが好ましい。本明細書の他で指摘した通り、ポリペプチドは、野生型の配列であっても1つまたは複数の残基で修飾されてもよい。修飾は、例えば、糖鎖付加、アセチル化、アシル化などによる化学修飾を含み、これは、例えば、ポリペプチドの取り込みまたは安定性に有益となり得る。しかし、神経毒成分のポリペプチド鎖は、1つまたは複数のアミノ酸残基の付加、置換または欠失によって代替的にまたは追加的に修飾することができる。
ボツリヌス毒素、好ましくは、本明細書で言及した神経毒成分は、組成物の一部となり得る。この組成物は、唯一の活性成分としてのボツリヌス毒素/神経毒成分を含むことができ、または追加の医薬として有効な成分を含むことができる。
本発明の好ましい実施形態において、医薬品は、血清アルブミンを含む。一実施形態では、前記血清アルブミンは、哺乳動物の血清アルブミンであるが、この実施形態で含まれるのは、ブタ、ウシまたは霊長目由来の血清アルブミンなどの他の哺乳動物から得られるアルブミンならびに例えば、欧州特許第1 398 038号に開示された組換えにより生成されたアルブミンである。アルブミンは、動物からの精製によってまたは真核細胞もしくは原核細胞における組換え発現によって得ることができる。あるいは、アルブミンは、化学合成によって得ることができる。前述のタンパク質は、野生型の配列であっても1つまたは複数の残基で修飾されてもよい。修飾は、例えば、糖鎖付加、アセチル化、アシル化などによる化学修飾を含み、これは、例えば、ポリペプチドの取り込みまたは安定性に有益となり得る。しかし、アルブミンのポリペプチド鎖は、1つまたは複数のアミノ酸残基の付加、置換または欠失によって代替的にまたは追加的に修飾することができる。
好ましくは、前記組成物は、A型ボツリヌス毒素の神経毒成分を含む。前記組成物は、ボツリヌス毒素の神経毒成分の再構成溶液である。好ましくは、組成物は、スクロースもしくはヒト血清アルブミンまたは両方をさらに含み、さらにより好ましくは、ヒト血清アルブミン対スクロースの比は約1:5である。一実施形態では、組成物はXeomin(登録商標)である。より好ましくは、前記ヒト血清アルブミンは、組換えヒト血清アルブミンである。あるいは、前記組成物は、ヒト血清アルブミンなどの哺乳動物由来タンパク質がない。任意のかかる溶液は、血清アルブミンを(下記の)他の非タンパク質性安定剤で置換することによって十分な神経毒の安定性を提供することができる。
組成物または化粧品組成物は、追加の医薬として有効な成分を含むことができる。「化粧品組成物」は、有効成分を含有しまたは含む配合物である。かかる化粧品組成物は、ヒトの患者への投与(すなわち、筋肉内もしくは皮下注射によるもの)に適し得る。化粧品組成物は、凍結乾燥しても真空乾燥しても再構成してもよく、または溶液の形態でもよい。再構成したとき、再構成溶液は、無菌の生理的食塩水(0.9% NaCl)を加えて調製されることが好ましい。
組成物は、pH緩衝液、賦形剤、凍結保護物質、保存剤、安定剤またはそれらの任意の組合せなどの追加の成分を含むことができる。
「pH緩衝液」という用語は、組成物、溶液などのpH値をある種の値またはある種のpH範囲に調整することができる化学物質を意味する。一実施形態では、このpH範囲は、pH5〜pH8、より好ましくはpH7〜pH8、さらにより好ましくは7.2〜7.6、最も好ましくはpH7.4となり得る。上記の所与のpH範囲は、典型的な例にすぎず、実際のpHは、上記の数値の間の任意の間隔を含むことができる。本発明の教示に合致する適当な緩衝液は、例えば、ナトリウム-リン酸緩衝液、ナトリウム-酢酸塩緩衝液、トリス緩衝液または任意の緩衝液であり、これが上記のpH範囲内で緩衝液に適している。
本文書において「賦形剤」という用語は、化粧品組成物中に存在する原薬以外の化粧品組成物中に存在する物質を意味する。賦形剤は、緩衝液、担体、接着防止剤、結合剤、崩壊剤、充填剤、希釈剤、保存剤、ビヒクル、シクロデキストリンおよび/またはアルブミン、ゼラチン、コラーゲンおよび/または塩化ナトリウムなどの増量剤となり得る。
「凍結保護物質」は、化粧品組成物の再構成溶液または水溶液中において、生物学的に活性の神経毒成分が凍結乾燥され化粧品組成物に再構成される前に有した毒性の約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%より大きい毒性、および、前記毒性の約100%までの毒性を有する神経毒成分が得られる賦形剤を意味する。
「凍結乾燥」という用語は、本文書において、ボツリヌス毒素の神経毒成分を含む溶液の処理のために使用し、この溶液は、組成物の固形成分だけが残るまで凍結し乾燥させる。このような処理の凍結乾燥した生成物は、したがって、本文書において「凍結乾燥物」として定義される。
本文書では、「再構成」という用語は、神経毒成分の前記凍結乾燥した組成物の可溶化の方法として定義される。これは、例えば、すべての必要な成分がすでに凍結乾燥物中に含まれる場合、適当な量の滅菌水を加えることによって行うことができる。あるいは、そうでない場合、例えば、無菌の食塩水を単独で加えることによって、または必要であれば、例えば、pH緩衝液、賦形剤、凍結保護物質、保存剤、鎮痛薬安定剤またはそれらの任意の組合せを含む構成成分を加えて行うことができる。以前に言及した「生理食塩水」の食塩水は塩溶液であり、より好ましくは、塩化ナトリウム(NaCl)溶液であり、さらにより好ましくは、生理食塩液(すなわち、0.9%の塩化ナトリウム濃度)である。可溶化は、最終的な「再構成」が直接または間接的に、すなわち、例えば、希釈後、患者に投与可能であるようなやり方で実施される。好ましくは、神経毒は、等張媒体、より好ましくは、生理食塩液中で再構成される。より好ましくは、前記食塩水は無菌の食塩水である。
「保存剤(preservative and preservatives)」という用語は、前記組成物内で微生物、昆虫、細菌または他の汚染生物の成長または生存を防止する物質または物質のグループをそれぞれ意味する。保存剤はまた、前記組成物が望まれない化学変化をするのを防ぐ。本発明の範囲で用いることができる保存剤は、当業者に知られている現況技術のすべての保存剤である。用いることができる保存剤の例としては、とりわけ、例えば、ベンジルアルコール、安息香酸、塩化ベンザルコニウム、プロピオン酸カルシウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、亜硫酸塩(二酸化硫黄、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウムなど)、EDTA二ナトリウム、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、珪藻土、エタノール、メチルクロロイソチアゾリノン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよび/またはブチル化ヒドロキシトルエンが含まれる。
「安定する」、「安定させる」または「安定化」は、化粧品組成物の再構成溶液または水溶液中の有効成分、すなわち、神経毒成分が、生物学的に活性な神経毒成分が化粧品組成物に組み込まれる前に有した毒性の約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%より大きい毒性、および、前記毒性の約100%までの毒性を有することを意味する。製剤の活性は、本明細書の他で記載した通り決定することができる。
かかる安定剤の例は、好ましくは、ヒト由来のまたは組換え由来のゼラチンまたはアルブミンである。好ましくは、アルブミンは、ボツリヌス毒素100単位当たり約0.1〜約10mgの濃度であり、より好ましくは、アルブミン濃度は、ボツリヌス毒素100単位当たり約1mgであり、「約」という用語は、±20%と解釈されるものとする。また、好ましいのは神経毒成分800pg当たり0.1〜約10mgの範囲のアルブミン濃度であり、神経毒成分800pg当たり約1mgのアルブミン濃度が好ましい。「約」という用語は、±20%[重量/重量]と解釈されるものとする。
安定剤は、化学的な手段によってまたは組換え遺伝学によってまたはその両方で修飾することができる。
本発明のより好ましい実施形態では、安定剤は、ヒアルロン酸またはポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコールまたはその2つ以上の混合物を含む非タンパク質性安定剤となり得る。かかる組成物は、著しい安定性を有するより安全な組成物であるとみなされる。
本発明のより好ましい実施形態では、化粧品組成物は、神経毒成分およびヒアルロン酸またはポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコールを含むことができ、かかる組成物は、場合によっては、適当なpH緩衝液によって安定させたpH、具体的には、酢酸ナトリウム緩衝液、および/または凍結保護物質の多価アルコールによって安定させたpHである。
化粧品組成物が、神経毒成分に加えて、アルブミン、ヒアルロン酸、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリエチレングリコール安定剤などの追加の成分を含むか否かにかかわらず、化粧品組成物は、約+8℃〜約-20℃の温度で貯蔵するとき6カ月、1年、2年、3年および/または4年の間実質的に変化せずにその効力を保持する。さらに、示された化粧品組成物は、再構成後約20%〜約100%の効力または回復率を有し得る。
本発明の範囲内の化粧品組成物は、神経毒成分および1つまたは複数の追加の構成成分を含むことができる。好ましくは、本明細書に開示される化粧品組成物は、再構成したときまたは注射の際に約4〜7.5のpHを有し、より好ましくは、約pH6.8〜pH7.6、最も好ましくはpH7.4〜pH7.6を有する。一般に、本発明の化粧品組成物は、約6pg〜30ngの量で神経毒成分を含む。
(化粧品)組成物は、約2pg〜50ngの量で神経毒成分を含む。好ましい量の範囲は、2pg〜200pg、200pg〜400pg、400pg〜600pg、600pg〜800pg、800pg〜1ng、1ng〜1,5ng、1,5ng〜2ng、2ng〜2,5ng、2,5ng〜3ng、3〜3,5ng、3,5〜4ng、4ng〜4,5ng、および4,5〜5ngの範囲である。
好ましくは、神経毒成分は、マウスのLD50アッセイにおいて決定した場合に、神経毒成分1ng当たりLD50単位50〜250の生物活性を有する。より好ましくは、神経毒成分は、神経毒成分1ng当たりLD50単位約150の生物活性を有する。
本発明の化粧品組成物は、神経毒、およびヒアルロン酸を含むことができる。ヒアルロン酸は、神経毒を安定させる。本明細書に開示した化粧品組成物は、再構成したときまたは注射の際に約4〜7.5のpHを有し得る。本化粧品組成物中のヒアルロン酸は、好ましくは、ボツリヌス毒素溶液200U/ml中で1ml当たりヒアルロン酸0.1〜10mg、特に1mgの量で本神経毒成分と合わせる。より好ましくは、対象溶液はまた、1〜100mMの酢酸ナトリウム緩衝液、特に10mM酢酸ナトリウム緩衝液を含む。
他の好ましい実施形態では、組成物は、凍結保護物質として多価アルコールを含むことができる。使用できる多価アルコールの例としては、例えば、イノシトール、マンニトールおよび他の非還元アルコールが含まれる。
特に、タンパク質性の安定剤を含まない本発明の化粧品組成物のこうした実施形態は、好ましくは、トレハロースまたはマルトトリオースまたは関連する糖または凍結保護物質として用いられる場合もあるポリヒドロキシ化合物を含まない。
本化粧品組成物中のポリビニルピロリドンは、好ましくは、ボツリヌス毒素溶液200U/ml中で1ml当たりポリビニルピロリドン10〜500mg、特に、10mgの量で本神経毒成分と合わせる。より好ましくは、対象溶液はまた、1〜100mMの酢酸ナトリウム緩衝液、特に10mM酢酸ナトリウム緩衝液を含む。
本化粧品組成物中のポリエチレングリコールは、好ましくは、ボツリヌス毒素溶液200U/ml中で1ml当たりポリエチレングリコール10〜500mg、特に、100mgの量で本神経毒成分と合わせる。より好ましくは、対象溶液はまた、1〜100mMの酢酸ナトリウム緩衝液、特に10mM酢酸ナトリウム緩衝液を含む。成分のこの比は、神経毒成分溶液25U/ml未満の低濃度の場合にも適用される。
したがって、本発明は、より好ましい実施形態で、ヒアルロン酸安定剤またはポリビニルピロリドン安定剤またはポリエチレングリコール安定剤またはその任意の組合せを含む、化粧品組成物中に配合される神経毒成分を包含する。さらに、化粧品組成物は、酢酸ナトリウム緩衝系および/またはアルコール性凍結保護物質またはその両方を含むことができる。さらなる好ましい実施形態では、配合物は、アルブミンが含まれず、安定剤としてヒアルロン酸、ポリビニルピロリドン(Kollidon(登録商標))、ヒドロキシエチルデンプンまたはアルギナートまたはこれらの2つ以上の混合物を含む。前記好ましい組成物は、言及された安定剤に加えて、水および少なくとも1種の多価アルコール、好ましくは、マンニトールまたはソルビトールまたはそれらの混合物を含む。
一実施形態では、ボツリヌス菌毒素複合体の神経毒成分の使用は、ヒトまたは動物の顔の美容的処置について開示されており、凍ったような顔または人形のような顔として知られる副作用の軽減または予防が実現される。特に、同じ用量(すなわち、同じ活性単位)の複合体による治療と比べてかかる軽減または予防が達成される。
他の実施形態では、1つまたは複数の副作用の軽減または予防を含む、ヒトもしくは動物の筋肉または外分泌腺の活動亢進状態のコリン作動性神経支配によって引き起こされるまたはそれに伴う疾患または障害の治療のためのボツリヌス菌毒素複合体の神経毒成分が達成される。それによって、副作用は、注射部位における疼痛、ひりひりする痛みまたは挫傷、熱(発熱)、インフルエンザ様症状、嚥下(嚥下障害)、発疹またはそう痒時の困難または疼痛、柔らかい眼瞼組織の挫傷、上眼瞼の下垂、眼の光に対する感受性、眼への刺激、ドライアイ、流涙、顔面腫脹、眼瞼を閉じることの困難、眼の前部(角膜)の炎症、めまい、固縮の増進、筋肉の硬直またはひりひりする痛み、しびれ感、脱力感、傾眠、悪心、気分がすぐれない/倦怠感があるという一般的な感情、ウイルス感染または耳感染、尿失禁、眠気、刺痛、上肢痛、筋肉の固縮の増進、治療されていない領域からの発汗の増加、顔面紅潮からなる群から選択される。特に、同じ用量(すなわち、同じ活性単位)の複合体による治療と比べてかかる軽減または予防が達成される。
(実施例1)
43歳男性は、眉間じわのラインの治療を受ける。患者は、以前にボツリヌス毒素複合体で治療したことがあり、「凍ったような顔」になっていた。患者は、やや重度の額のラインを治療するが、動的模倣および顔貌を維持することと治療目的を定義する。
神経毒100単位を、保存処理されていない0.9%食塩水2.5mlで希釈する。
患者に、神経毒合計40単位をそれぞれ神経毒8単位に対応する5分割にして投与するよう5つの注射箇所に注射する。前記投薬は、複合体による以前の治療の投薬に対応した。
各顔の面に対する1回の注射を、瞳孔中心線から描いた仮想の線上で、骨質の眼窩縁の上1.6cmの皺眉筋の中心部に適用する。
各顔の面に対する1回の注射を、涙丘からの仮想の縦線上で、骨質の眼窩縁の上1.1cmの皺眉筋の中央部に投与する。
1回の注射を、第2の注射箇所および対側の涙丘を結ぶ線を仮想上横断する鼻根筋に投与する。
治療効果を4日後および14日後に評価し、患者によって評価された。患者は、治療効果および患者の動的模倣および顔貌に非常に満足している。
(実施例2)
28歳の女性は、眉間じわのラインの治療を受ける。治療は予防の目的のためであるが、患者は治療後に「凍ったような顔」になるのではないかという不安を募らせている。
患者に、保存処理されていない0.9%食塩水0.5mlで希釈された神経毒合計20単位を投与する。神経毒を、複合体による以前の治療の投薬に対応する、それぞれ4単位を含む等しく5分割した量で注射する。
各顔の面に対する1回の注射を、瞳孔中心線から描いた仮想の線上で、骨質の眼窩縁の上1.5cmの皺眉筋の中心部に適用する。
各顔の面に対する1回の注射を、涙丘からの仮想の縦線上で、骨質の眼窩縁の上1.0cmの皺眉筋の中央部に投与する。
1回の注射を第2の注射箇所および対側の涙丘を結ぶ線を仮想上横断する鼻根筋に投与する。
10日後に治療効果を評価する。患者は治療効果に満足している。患者は模倣の表情および外観を経験していない。
(実施例3)
45歳男性は、カラスの足跡の治療を受ける。患者は、特に笑っている間に顔の表情を保つことを望んでいる。患者は、ボツリヌス毒素複合体による治療の後に経験していたため、治療のためにこの能力を失うことを懸念している。
神経毒100単位を、保存処理されていない0.9%食塩水2.5mlで希釈する。
患者にそれぞれの顔面部位に3ヵ所、合計6ヵ所の注射および神経毒の総投与量24単位を投与し、これは複合体による以前の治療の投薬に対応する。
0.1mlの1回の注射を骨質の眼窩縁から外側1.1cmに配置する。これは、眼輪筋の9時/3時の位置と相関する。追加の2ヵ所の0.1mlの注射を、それぞれ10時/2時の位置、8時/4時の位置に対応する第1の注射の領域の上1.0cmおよび下1.0cmに配置する。
治療効果を7日後に評価する。患者は安静時および笑っている間の外観に非常に満足している。
(実施例4)
38歳女性は、カラスの足跡の治療を受ける。患者は、例えば、患者が笑っている間に、上側のラインが前向きな外観を維持する一方で下外側の眼角のしわを減らすことを望んでいる。
神経毒の100単位を、保存処理されていない0.9%食塩水2.5mlで希釈する。
患者に、複合体による以前の治療の投与に対応する、それぞれ0.08mlの合計4回の注射を投与する。1回の注射を骨質の眼窩縁から外側1.0cmに配置する。これは、眼輪筋の9時/3時の位置と相関する。追加の1ヵ所の注射は、8時/4時の位置に対応する第1の注射領域の下1.0cmに配置する。
治療効果を3日後に評価する。患者は結果に非常に満足している。
(実施例5)
46歳女性は、眉間のラインおよび額のしわの治療を受ける。患者は、ボツリヌス毒素による以前の治療によって「人形のような顔」をすでに経験しており、治療について懸念している。
神経毒の100単位を、保存処理されていない0.9%食塩水2.5mlで希釈する。
患者に、眉間領域の治療のために5ヵ所の注射および神経毒の総投与量30単位を投与し、額領域を治療するために総投与量16単位の追加の4ヵ所の注射を投与し、これは複合体による以前の治療の投与に対応する。
各顔の面に対する1回の注射を、瞳孔中心線から描いた仮想の線上で、骨質の眼窩縁の上1.5cmの皺眉筋の中心部に適用する。
各顔の面に対する1回の注射を、涙丘からの仮想の縦線上で、骨質の眼窩縁の上1.0cmの皺眉筋の中央部に投与する。
1回の注射を第2の注射箇所および対側の涙丘を結ぶ線を仮想上横断する鼻根筋に投与する。
前頭筋は、縦の瞳孔中心線および眉毛と毛髪との間の半分の距離の水平線を仮想上横断して各顔の面に注射される。追加の2ヵ所の注射は、第1の2ヵ所の注射の間の水平線上で等しい距離に適用する。
治療効果を、14日後に評価する。患者は結果に非常に満足しており、「人形のような顔」について懸念していない。
(実施例6)
37歳女優は、額のしわの治療をする。患者の治療目的は、動的模倣および顔の表情を保つことである。患者は、ボツリヌス毒素複合体による治療の後に経験したため、「凍ったような顔」または「人形のような顔」になることを非常に懸念している。
患者に、複合体による以前の治療の投与に対応する、合計で神経毒12単位の注射を4ヵ所投与する。3単位の分割量を、縦の瞳孔中心線および眉毛と毛髪との間の半分の距離の水平線を仮想上横断して前頭筋に適用する。追加の2ヵ所の注射は、第1の2ヵ所の注射の間の水平線上で等しい距離に適用する。
治療効果を、治療後14日目に評価する。患者は結果に非常に満足している。
(実施例7)
36歳女性は、眉間の線の治療を受ける。患者は、ボツリヌス毒素による以前の治療によって「人形のような顔」をすでに経験しており、治療について懸念している。
患者に、複合体による以前の治療の投与に対応する、眉間領域の治療のために5ヵ所の注射および神経毒の総投与量20単位を投与する。
各顔の面に対する1回の注射を、瞳孔中心線から描いた仮想の線上で、骨質の眼窩縁の上1.5cmの皺眉筋の中心部に適用する。
各顔の面に対する1回の注射を、涙丘からの仮想の縦線上で、骨質の眼窩縁の上1.0cmの皺眉筋の中央部に投与する。
1回の注射を第2の注射箇所および対側の涙丘を結ぶ線を仮想上横断する鼻根筋に投与する。
治療効果を治療後14日目に評価する。患者は結果に非常に満足している。患者は、顔貌のいかなる障害も報告していない。
(実施例8)
55歳女性は、初めて口周囲のラインの治療を受ける。患者は、ボツリヌス毒素複合体による治療後に経験していたため、唇の動きおよび唇の外観に対する障害について非常に懸念している。
患者に、複合体による以前の治療の投与に対応する、神経毒総投与量6単位で注射する。この用量を、上唇の4本のラインに注射される等しく4分割した量で適用する。
治療効果を治療後10日目に評価する。患者は、治療成績に満足している。

Claims (26)

  1. 人形のような顔または凍ったような顔になりやすいヒトまたは動物の顔の美容的処置のためのボツリヌス菌毒素複合体の神経毒成分の使用。
  2. ヒトまたは動物が、ボツリヌス毒素複合体で治療されており、ボツリヌス毒素複合体による前記治療の結果として人形のような顔または凍ったような顔になっている、請求項1に記載の使用。
  3. 前記顔の美容的処置が、皮膚の顔のラインまたは顔のしわを滑らかにすることである、請求項1または2に記載の使用。
  4. ヒトまたは動物が、皮膚の顔のラインまたは顔のしわを滑らかにするためにボツリヌス毒素複合体で治療されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
  5. 顔のラインまたは顔のしわが、眉間じわのライン、顔をしかめたときのライン、心配じわ、マリオネットライン、額の水平ライン、カラスの足跡、鼻口周囲のしわ、あごの縦溝、橙皮状皮膚のあご、および/または広頸筋帯からなる群から選択される、請求項4に記載の使用。
  6. 神経毒成分が筋肉内または皮下に注射される、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用。
  7. 神経毒成分を、滑らかにする皮膚の顔のラインまたは顔のしわに直接注射する、請求項6に記載の使用。
  8. 神経毒成分を、滑らかにする皮膚のラインまたはしわの形成に関与する1つまたは2つの顔面筋または筋肉に直接またはその近くに注射する、請求項6に記載の使用。
  9. 筋肉が、皺眉筋、眼輪筋、鼻根筋、後頭前頭筋の前頭筋、眼輪筋の眼窩部、鼻筋、上唇:口輪筋、下唇:口角下制筋、おとがい筋および広頸筋からなる群から選択される、請求項8に記載の使用。
  10. 神経毒成分がA型、B型、C型、D型、E型、F型、G型、または前記型の2つ以上の混合物からなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の使用。
  11. 神経毒複合体が200kDa未満の分子量を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用。
  12. 神経毒成分を生理食塩水に溶解する、請求項1から11のいずれか一項に記載の使用。
  13. 神経毒成分の量が、2pg〜50ngである、請求項1から12のいずれか一項に記載の使用。
  14. 神経毒成分が神経毒成分1ng当たりLD50単位50〜250の生物活性を有する、請求項13に記載の使用。
  15. ボツリヌス菌毒素複合体による、筋肉または外分泌腺の活動亢進状態のコリン作動性神経支配によって引き起こされるもしくはそれに伴う疾患または障害の治療に伴う副作用を起こしやすいヒトもしくは動物の前記疾患または障害の治療のためのボツリヌス菌毒素複合体の神経毒成分。
  16. 副作用が、注射部位における疼痛、ひりひりする痛みまたは挫傷、熱(発熱)、インフルエンザ様症状、嚥下の際の困難または疼痛(嚥下障害)、発疹またはそう痒、柔らかい眼瞼組織の挫傷、上眼瞼の下垂、眼の光に対する感受性、眼への刺激、ドライアイ、流涙、顔面腫脹、眼瞼を閉じることの困難、眼の前部(角膜)の炎症、めまい、固縮の増進、筋肉の硬直またはひりひりする痛み、しびれ感、脱力感、傾眠、悪心、気分がすぐれない/倦怠感があるという一般的な感情、ウイルス感染または耳感染、尿失禁、眠気、刺痛、上肢痛、筋肉の固縮の増進、治療されていない領域からの発汗の増加、顔面紅潮のうち1つまたは複数である、請求項15に記載の神経毒成分。
  17. ヒトまたは動物が、ボツリヌス毒素複合体で治療されており、ボツリヌス毒素複合体による前記治療の結果として請求項16で定義される副作用のうち1つまたは複数を起こしていた、請求項15または16に記載の神経毒成分。
  18. 筋肉内または皮下に注射される、請求項15から17のいずれか一項に記載の神経毒成分。
  19. 1もしくは2ヵ所の筋肉または1もしくは2ヵ所の外分泌腺に直接またはその近くに注射される、請求項18に記載の神経毒成分。
  20. 筋肉が、同側の板状筋、対側の胸鎖乳突筋、同側の胸鎖乳突筋、頭板状筋、斜角筋複合体、肩甲挙筋、椎骨後方部、同側の僧帽筋、肩甲挙筋、両側の頭板状筋、上部僧帽筋、椎骨後方深部、両側の胸鎖乳突筋、斜角筋複合体、おとがい下複合体、腕橈骨筋、上腕二頭筋、方形回内筋、円回内筋、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、手の長母指屈筋、手の母指内転筋、手の短母指屈筋/対抗筋、浅指屈筋、深指屈筋である、請求項19に記載の神経毒成分。
  21. 外分泌腺が、汗腺、涙腺、唾液腺および粘膜腺;またはフレー症候群、ワニの涙症候群、腋の多汗症、手掌の多汗症、足底の多汗症、頭頸部の多汗症、体の多汗症、鼻漏、もしくは脳卒中患者の相対的な流涎、パーキンソン病もしくは筋萎縮性側索硬化症からなる群から選択される疾患もしくは状態に関連する腺である、請求項19に記載の神経毒成分。
  22. 神経毒成分がA型、B型、C型、D型、E型、F型、G型、または前記型の2つ以上の混合物からなる群から選択される、請求項15から21のいずれか一項に記載の神経毒成分。
  23. 神経毒複合体が200kDa未満の分子量を有する、請求項15から22のいずれか一項に記載の神経毒成分。
  24. 神経毒成分を生理食塩水に溶解する、請求項15から23のいずれか一項に記載の神経毒成分。
  25. 神経毒成分の量が2pg〜50ngである、請求項15から24のいずれか一項に記載の神経毒成分。
  26. 神経毒成分が、神経毒成分1ng当たりLD50単位50〜250の生物活性を有する、請求項25に記載の神経毒成分。
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