JP2011231241A - 樹脂フィルム、それよりなる加飾フィルム並びに加飾成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】脂肪族ポリエステルを含む樹脂フィルムであって、該脂肪族ポリエステルに、カルボジイミド基を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を少なくとも含む化合物(C成分)を含み、且つMD方向、TD方向におけるフィルム破断伸度100〜1000%、100%伸張時応力(100℃測定値)が0.1〜25MPaの範囲にあり、さらに略非結晶状態である樹脂フィルムを加飾フィルムの基板として用いる。
【選択図】なし
Description
とりわけ、成形体の最表面を、支持体としての基板と、基板上に意匠を施すための意匠層を備える加飾フィルムで加飾して加飾成形品を得る方法は、そのまま成形体表面にインク等を使って表面に印刷する方法よりも、より意匠の自由度が高く、たとえば三次元的な凹凸を有する成形体表面にも容易に加飾することが可能であるといった利点を有する。
1つは成形体が樹脂成形体の場合のみ用いられる、射出成形同時貼合法と呼ばれる手法である。この射出成形同時貼合法は、さらに2つに分けられる。1つは、加飾フィルムを、射出成形の雌雄金型間に挿入し、その金型の一方の側から溶融樹脂を射出して、射出成形体を形成すると同時にその成形体に上記のフィルムを貼合する方法であり、これはインモールド法とも呼ばれることがある。もう1つの方法は、加飾フィルムを、真空成形や圧空成形等により予備賦形してから射出成形金型内に挿入し、そこに溶融樹脂を射出して、加飾フィルムと一体成型する方法である。これはインサートモールド法とも呼ばれることがある。このような射出成形同時貼合法は、例えば、特開昭59−31130号公報(特許文献1)、特開昭62−196113号公報(特許文献2)、特開平7−9484号公報(特許文献3)等にて提案されている。
また、環境意識の高まりから加飾フィルムの基板としてポリ乳酸系フィルムを用いることも特開2005−15783号公報(特許文献6)にて提案されている。
しかしながら、ポリ乳酸系フィルムを用いた加飾フィルムは、加飾成形品において、耐加水分解性等が劣るという技術課題がある。
特許文献7において用いられているカルボジイミド化合物は、線状構造のカルボジイミド化合物であるが、この線状カルボジイミド化合物を高分子化合物の末端封止剤として用いると、カルボジイミド化合物が高分子化合物の末端に結合する反応に伴い、イソシアネート基を有する化合物が遊離し、イソシアネート化合物の独特の臭いを発生し、作業環境を悪化させることが問題となっていた。
即ち、本発明の第1の目的は、
1.脂肪族ポリエステル(A成分)を含む樹脂フィルムであって、該脂肪族ポリエステルに、カルボジイミド基を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を少なくとも含む化合物(C成分)を含み、且つMD方向、TD方向におけるフィルム破断伸度(100℃測定値)100〜1000%、100%伸張時応力(100℃測定値)が0.1〜25MPaの範囲にあり、さらに略非結晶状態であることを特徴とする、樹脂フィルムによって達成される。
2.樹脂フィルムが、さらにアクリル系樹脂(B成分)を含む、上記1記載の樹脂フィルム。
3.C成分が下記式(1)で表される上記1記載の樹脂フィルム。
4.Qは、下記式(1−1)、(1−2)または(1−3)で表される2〜4価の結合基である上記3記載の樹脂フィルム。
5.C成分が、下記式(2)で表される上記3記載の樹脂フィルム。
6.Qaは、下記式(2−1)、(2−2)または(2−3)で表される2価の結合基である上記5記載の樹脂フィルム。
7.C成分が、下記式(3)で表される上記3記載の樹脂フィルム。
8.Qbは、下記式(3−1)、(3−2)または(3−3)で表される3価の結合基である上記7記載の樹脂フィルム。
9.Yは、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである上記7または8記載の樹脂フィルム。
10.C成分が、下記式(4)で表される上記3記載の樹脂フィルム。
11.Qcは、下記式(4−1)、(4−2)または(4−3)で表される4価の結合基である上記10記載の樹脂フィルム。
12.Z1およびZ2は各々独立に、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである上記10または11記載の樹脂フィルム。
13.上記請求項1〜12のいずれか記載の樹脂フィルムを基板とし、該基板上に意匠層を備える加飾フィルムによって達成される。
上記の発明には以下も包含される。
14.基板が略非結晶状態である、上記13記載の加飾フィルム。
15.成形体の表面に上記13記載の加飾フィルムが積層一体化されてなる、加飾成形品によって達成できる。
上記の発明には以下も包含される。
16.成形体が樹脂成形体である、上記15記載の加飾成形品。
17.樹脂成形体がステレオコンプレックスポリ乳酸を含む、上記16記載の加飾成形品。
18.上記15または16記載の加飾成形品の製造方法であって、加飾フィルムと成形体とを貼合するにあたり、加飾フィルムの基板が略非結晶状態のものを用いることを特徴とする、加飾成形品の製造方法、
19.上記15または16記載の加飾成形品の製造方法であって、加飾フィルムと成形体との貼合を加飾フィルムを加熱した状態で、真空下に成形体表面と接触させることによって行い、且つ、加熱前の加飾フィルムの基板が略非結晶状態のものを用いることを特徴とする、加飾成形品の製造方法。
20.上記16記載の加飾成形品の製造方法であって、加飾フィルムと成形体とを貼合するにあたり、貼合を、加飾フィルムを予備賦形した後に射出成形の金型内に挿入し、ついで成型物材料となる樹脂を金型内に射出するインサートモールド法によって行い、且つ、予備賦形前の加飾フィルムの基板が略非結晶状態のものを用いることを特徴とする、加飾成形品の製造方法、
21.上記15または16記載の加飾成形品の製造方法であって、加飾フィルムと成形体とを貼合するにあたり、加飾フィルムの基板が略非結晶状態にないものを用いることを特徴とする、加飾成形品の製造方法、
22.上記18〜20のいずれか記載の加飾成形品の製造方法であって、加飾フィルムと成形体とを貼合するにあたり、貼合に供する加飾フィルムの基板は略非結晶状態のものを用い、貼合後に該基板を略結晶状態とすることを特徴とする、加飾成形品の製造方法によって達成することができる。
<樹脂フィルム>
本発明における、樹脂フィルムは、脂肪族ポリエステル(A成分)を含む樹脂フィルムであって、該脂肪族ポリエステルに、カルボジイミド基を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を少なくとも含む化合物(C成分)を含み、且つMD方向、TD方向におけるフィルム破断伸度(100℃測定値)100〜1000%、100%伸張時応力(100℃測定値)が0.1〜25MPaの範囲にあり、さらに略非結晶状態であることを特徴とする。
この時、引張試験機のチャック部分に設置されている加熱チャンバーにより、サンプルの存在する雰囲気下は100℃に保ち、測定は5回行って平均値を結果とした。
ここで、樹脂フィルムとしては、後述する脂肪族ポリエステル(A成分)を含むことが必須であるが、さらに、後述のC成分についても必須である。さらに、後述するA成分、B成分およびC成分を少なくとも含むものも好適に用いられる。
本発明において、脂肪族ポリエステル(A成分)としては、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体、脂肪族多価カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族多価アルコールを主成分として重縮合してなる重合体やそれらの共重合体が例示される。
いればよいが、とくに融点が150℃以上であるものであることが好ましい(ここで、主たるとは、全体の50%以上を該成分が占めていることを意味する。)。融点が150℃よりも低い場合には、フィルムの寸法安定性、高温機械特性等を高いものとすることができない。
ここで、ステレオコンプレックスポリ乳酸とは、ポリL乳酸セグメントとポリD乳酸セグメントが形成する共晶を含有するものである。
[数1]
(S)=〔ΔHmsc / (ΔHmh + ΔHmsc)〕×100 (I)
ステレオコンプレックス結晶化度(S)は好ましくは93%から100%、より好ましくは95%から100%の範囲が選択される。特に好ましくはステレオコンプレックス結晶化度(S)は100%である。
ステレオコンプレックス結晶化度(S)が90%以上である樹脂フィルムを用いると、この樹脂フィルムから得られる加飾フィルム、および、加飾成形品において、表面の透明性を高く保つことができる。また、加飾成形品表面の耐熱性も高いものとなる。
ここで「略非結晶状態である」とは、DSC測定で(示差走査熱量計)、昇温速度は20℃/分で求めた、第一回昇温時のステレオコンプレックスポリ乳酸結晶のピーク熱量(ΔHcsc)が下記(30)式を満足することである。なお、本明細書においては、特に断りが無ければ高分子結晶のピーク熱量をΔHcと表すが、ΔHcscはステレオコンプレックスポリ乳酸の場合のΔHcであるとする。
[数2]
ΔHcsc > 1J/g (30)
[数3]
ΔHcsc > 3J/g (31)
さらに好ましくは、
[数4]
ΔHcsc > 5J/g (32)
最も好ましくは、
[数5]
ΔHcsc > 10J/g (33)
である。
より好ましくは80/20から20/80、さらに好ましくは30/70から70/30、とりわけ好ましくは40/60から60/40の範囲であり、理論的には1/1にできるだけ近い方が好ましく選択される。
例えば、L‐ラクチドまたはD‐ラクチドを金属含有触媒の存在下、開環重合することにより製造することができる。また金属含有触媒を含有する低分子量のポリ乳酸を、所望により結晶化させた後、あるいは結晶化させることなく、減圧下または常圧から加圧下、不活性ガス気流の存在下、あるいは非存在下、固相重合させ製造することもできる。さらに有機溶媒の存在または非存在下、乳酸を脱水縮合させる直接重合法により製造することができる。
なかでもスズ、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、チタン、ゲルマニウム、マンガン、マグネシウムおよび稀土類元素より選択される少なくとも一種の金属を含有する脂肪酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルコラートが好ましい。
なかでも、スズ(II)化合物、具体的にはジエトキシスズ、ジノニルオキシスズ、ミリスチン酸スズ(II)、オクチル酸スズ(II)、ステアリン酸スズ(II)、塩化スズ(II)などが好適に例示される。
かかる失活剤としては例えばイミノ基を有し且つ重合金属触媒に配位し得るキレート配位子の群からなる有機リガンド及びジヒドリドオキソリン(I)酸、ジヒドリドテトラオキソ二リン(II,II)酸、ヒドリドトリオキソリン(III)酸、ジヒドリドペンタオキソ二リン(III)酸、ヒドリドペンタオキソ二(II,IV)酸、ドデカオキソ六リン(III)酸、ヒドリドオクタオキソ三リン(III,IV,IV)酸、オクタオキソ三リン(IV,III,IV)酸、ヒドリドヘキサオキソ二リン(III,V)酸、ヘキサオキソ二リン(IV)酸、デカオキソ四リン(IV)酸、ヘンデカオキソ四リン(IV)酸、エネアオキソ三リン(V,IV,IV)酸等の酸価数5以下の低酸化数リン酸、式 xH2O・yP2O5で表され、x/y=3のオルトリン酸、2>x/y>1であり、縮合度より二リン酸、三リン酸、四リン酸、五リン酸等と称せられるポリリン酸及びこれらの混合物、x/y=1で表されるメタリン酸、なかでもトリメタリン酸、テトラメタリン酸、1>x/y>0で表され、五酸化リン構造の一部をのこした網目構造を有するウルトラリン酸(これらを総称してメタリン酸系化合物と呼ぶことがある。)、及びこれらの酸の酸性塩、一価、多価のアルコール類、あるいはポリアルキレングリコール類の部分エステル、完全エスエテル、ホスホノ置換低級脂肪族カルボン酸誘導体などが例示される。
具体的には、ポリ乳酸は、300℃を超える温度で成形を行うと樹脂の熱分解のためフィルム品が着色し、商品としての価値が低いものとなってしまう可能性が高い。
したがってポリ乳酸組成物の重量平均分子量は、好ましくは50万以下、より好ましくは40万以下、さらに好ましくは30万以下である。従ってポリ乳酸の重量平均分子量は、好ましくは8万から50万、より好ましくは10万から40万、さらに好ましくは13万から30万である。
即ち、例えば重量平均分子量が25万程度で、分子量分散の3以上のポリ乳酸は、分子量が25万より大きい分子の割合が大きくなる場合があり、この場合、溶融粘度が大きくなり、上記の意味で成形上好ましくない。また8万程度の比較的小さい重量平均分子量で分子量分散の大きなポリ乳酸組成物では、分子量が8万より小さい分子の割合が大きくなる場合があり、この場合、樹脂フィルムの機械的物性の耐久性が小さくなり、使用上好ましくない。かかる観点より分子量分散の範囲は、好ましくは1.5から2.4、より好ましくは1.6から2.4、さらに好ましくは1.6から2.3の範囲である。
このポリL−乳酸成分とポリD−乳酸成分との接触温度はポリ乳酸の溶融時の安定性及びステレオコンプレックス結晶化度の向上の観点より220から290℃、好ましくは220から280℃、さらに好ましくは225から275℃の範囲が選択される。
結晶化核剤の使用量はポリ乳酸に対し0.05から5wt%、より好ましくは0.06から2wt%、さらに好ましくは0.06から1wt%の範囲が選択される。
本発明において、ポリ乳酸成(A成分)、樹脂フィルムに好ましく含めてよいC成分、カルボジイミド基を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を少なくとも含む化合物、について説明する。C成分は環状構造を有する(以下、C成分を環状カルボジイミド化合物と略記することがある。)。環状カルボジイミド化合物は、環状構造を複数有していてもよい。
本発明で用いる環状カルボジイミド化合物として下記式(2)で表される化合物(以下、「環状カルボジイミド化合物(a)」ということがある。)を挙げることができる。
かかる環状カルボジイミド化合物(a)としては、以下の化合物が挙げられる。
さらに、本発明で用いる環状カルボジイミド化合物として下記式(3)で表される化合物(以下、「環状カルボジイミド化合物(b)」ということがある。)を挙げることができる。
Qbは、下記式(3−1)、(3−2)または(3−3)で表される3価の結合基であることが好ましい。
Yは、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーであることが好ましい。Yは結合部であり、複数の環状構造がYを介して結合し、式(3)で表される構造を形成している。
かかる環状カルボジイミド化合物(b)としては、下記化合物が挙げられる。
本発明で用いる環状カルボジイミド化合物として下記式(4)で表される化合物(以下、「環状カルボジイミド化合物(c)」ということがある。)を挙げることができる。
Qcは、下記式(4−1)、(4−2)または(4−3)で表される4価の結合基であることが好ましい。
かかる環状カルボジイミド化合物(c)としては、下記化合物を挙げることができる。
Medium−and Large−Membered Rings from Bis(iminophosphoranes):An Efficient Preparation of Cyclic Carbodiimides, Pedro Molina etal.
Journal of Organic Chemistry,Vol.61,No.13,4289−4299,1996.
New Models for the Study of the Racemization Mechanism of Carbodiimides.Synthesis and Structure(X−ray Crystallography and 1H NMR) of Cyclic Carbodiimides, Pedro Molina etal.
Journal of Organic Chemistry,Vol.43,No8,1944−1946,1978.
Macrocyclic Ureas as Masked Isocyanates, Henri Ulrich etal.
Journal of Organic Chemistry,Vol.48,No.10,1694−1700,1983.
Synthesis and Reactions of Cyclic Carbodiimides,R.Richteretal.
Journal of Organic Chemistry,Vol.59,No.24,7306−7315,1994.
A New and Efficient Preparation of Cyclic Carbodiimides from Bis(iminophosphoranea)and the System Boc2O/DMAP,Pedro Molina etal.
(上記式中、Ar1およびAr2は各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基で置換されていてもよい芳香族基である。E1およびE2は各々独立に、ハロゲン原子、トルエンスルホニルオキシ基およびメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−ブロモベンゼンスルホニルオキシ基からなる群から選ばれる基である。Araは、フェニル基である。Xは、下記式(i−1)から(i−3)の結合基である。)
上述のアクリル系樹脂(B成分)は、シクロヘキシルメタクリレート、4−tert−ブチルシクロへキシルメタクリレート、メチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステルより選ばれる1種以上の単量体を重合したものである。これらの単量体は、単独でまたは2種以上混合して用いることができる。なかでも、メタクリル酸メチルの単独重合体または他の単量体との共重合体が好ましい。
本発明の樹脂フィルムには、A,B,C成分以外の熱可塑性樹脂、安定剤、紫外線吸収剤、結晶化促進剤、充填剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤および耐衝撃性安定剤からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有することができる。本発明に用いられるポリ乳酸は、安定剤を含有することが好ましい。安定剤としては通常の熱可塑性樹脂の安定剤に使用されるものを用いることができる。例えば酸化防止剤、光安定剤等を挙げることができる。これらの剤を配合することで機械的特性、成形性、耐熱性および耐久性に優れたポリ乳酸フィルムを得ることができる。
ヒンダードフェノール系化合物としては、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオ−ル−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。ヒンダードアミン系化合物として、N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレン−ビス[3−(3’−メチル−5’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ジアミン、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニル]ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4―トリアゾール、N,N’−ビス[2−{3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]オキシアミド等を挙げることができる。好ましくは、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。
結晶化促進剤の含有量は、脂肪族ポリエステル100重量部当たり、好ましくは0.01から30重量部、より好ましくは0.05から20重量部である。
本発明の樹脂フィルムを得るには、押し出し成形、キャスト成形等の公知の成形手法を用いることができる。例えば、Tダイ、Iダイ、円形ダイ等が装着された押出機等を用いて、製膜することができる。
Tgより低い温度では分子鎖が固定されているので、延伸操作を好適に進めることが困難であるとともに、またTc以上では結晶化が進み、この場合も延伸工程を良好に進行させることが困難となる。
従って延伸温度としては、Tg−10℃以上がより好ましく、Tg−5℃以上がさらに好ましく、Tc+10℃以下がより好ましく、Tc+5℃以下がさらに好ましい。
本発明において、加飾フィルムとは、樹脂フィルムを基板とし、該基板上に意匠層を備えたものを意味する。
また、本発明において「意匠層」とは、加飾フィルムがその対象とする成形体に対していわゆる意匠を付与可能な層であればよく、例えば、印刷層、着色層、金属薄膜層、無機薄膜層、表面凹凸を有する賦形層等や、これらの多層構造等を挙げることができ、基板自体で意匠層としての効果を兼ねさせることができれば1層構成としてもよい。
その他、本発明の効果を奏する範囲内であれば、意匠層、接着層、粘着層等に用いられる材料、およびその形成方法は、加飾シートに用いられる公知のものをいずれも採用できる。
加飾成形品の製造方法としては特に限定は無く、射出成形同時貼合法、真空貼合法等が好ましく用いられるが、特に射出成形同時貼合法の一種であるインサートモールド法、真空貼合法がより好ましく用いられる。
対象とする成形体の形状などに応じ、貼合前の時点で加飾フィルムの基板が略非結晶状態のもの、略非結晶状態にないものをどちらも用いることもでき、例えば、深絞り加工等複雑な三次元的な構造を有する成形体を被覆する場合には、加飾フィルムの延伸性が向上するという観点から、成形体と貼合前の加飾フィルムの基板の状態は略非結晶状態とし、加飾フィルムと成形体との貼合後あるいは貼合途中で熱を加えることにより結晶化させる(略結晶状態とする)ことが好ましい。
[数6]
Sc(%)=〔ΣISCi/(ΣISCi+IHM)〕×100 (II)
[ここで、ΣISCi=ISC1+ISC2+ISC3、ISCi(i=1から3)はそれぞれ2θ=12.0°, 20.7°, 24.0°付近の各回折ピークの積分強度、IHMは2θ=16.5°付近に現れるホモ結晶に由来する回折ピークの積分強度IHMを表す。]
図1で1は基板(樹脂フィルム)、2は加飾フィルム、3は意匠層、4は接着層または粘着層、5は成形体、6は加飾成形品であり、7は加飾成形品の最表面である。図1で3の意匠層は1と4との間にあるが、1の表面のいずれかまたは両方にあっても良い。
図2で11は基板(樹脂フィルム)、12は意匠層、13は加飾フィルム、14は加飾成形品、15は成形体、7は加飾成形品の最表面である。図2では12の意匠層は13の加飾フィルムの最表面にあるが、11の基板(樹脂フィルム)と15の成形体の間にあっても良い。
本発明において加飾フィルムを貼合して加飾成形品とする対象の成形体としては、金属成形体、樹脂成形体のいずれも採用することができる。樹脂成形体として用いられる樹脂としては特に限定は無く、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、芳香族および脂肪族のポリケトン樹脂、フッソ樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、熱可塑性澱粉樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ビニルエステル系樹脂、MS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
(1)ポリマーの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn):
ポリマーの重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定、標準ポリスチレンに換算した。GPC測定機器は、検出器;示差屈折計((株)島津製作所製)RID−6Aカラム;東ソ−(株)TSKgelG3000HXL、TSKgelG4000HXL,TSKgelG5000HXLとTSKguardcokumnHXL−Lを直列に接続したもの、あるいは東ソ−(株)TSKgelG2000HXL、TSKgelG3000HXLとTSKguardcokumnHXL−Lを直列に接続したものを使用した。
クロロホルムを溶離液とし温度40℃、流速1.0ml/minにて、濃度1mg/ml(1%ヘキサフルオロイソプロパノールを含むクロロホルム)の試料を10μl注入し測定した。
アンリツ社製の電子マイクロで測定した。
合成した環状カルボジイミド化合物は1H−NMR、13C−NMRによって確認した。NMRは日本電子(株)製の商品名『JNR−EX270』を使用した。溶媒は重クロロホルムを用いた。
合成した環状カルボジイミド化合物のカルボジイミド骨格の有無は、FT−IRによりカルボジイミドに特徴的な2100〜2200cm−1の確認を行った。FT−IRはサーモニコレー(株)製の商品名『Magna−750』を使用した。
測定装置としてチャック部を加熱チャンバーで覆った引張試験機(株式会社島津製作所製 精密万能試験機オートグラフ AG−X)を用い、サンプルフィルムを幅10mm、長さ100mmに切り出し、チャック間50mmにサンプルを装着し、JIS−C2151に従って引張速度50mm/minの条件で引張試験を行って求めた。なお、サンプルの切り出し方向は、フィルム流れ方向であるMD方向、およびそれと直交する幅方向をTD方向として、それぞれMD方向、TD方向に平行な方向を長さ方向としてサンプリングし、MD方向、TD方向の引張り測定値を評価した。
この時、引張試験機のチャック部分に設置されている加熱チャンバーにより、サンプルの存在する雰囲気下は100℃に保ち、測定は5回行って平均値を結果とした。
フィルム破断伸度(100℃測定値)は破断時の長さから引張前のサンプル長を引いた値を引張前のサンプル長で割った値の%として算出した。100%伸長時応力(100℃測定値)は荷伸曲線の100%伸張時の荷重を引張前のサンプル断面積で割って算出(MPa)した。
DSC(示差走査熱量計)を用いた測定で、昇温速度は20℃/分で求めた、第一回昇温時のステレオコンプレックス結晶のピーク熱量(ΔHcsc)が下記(30)式を満足する場合に、略非結晶状態であると判断した。また、満足しない場合には、略結晶状態であると判断した。
[数7]
ΔHcsc > 1J/g (30)
カルボキシル末端基量は、秤量したサンプルを含水率5%に調整したo−クレゾールに溶解し、この溶液にジクロロメタンを適量添加した後、0.02規定の水酸化カリウムメタノール溶液で滴定して求めた。カルボキシル末端基量10当量/ton以下であれば、耐加水分解性は良好である。
(1)ポリL−乳酸(PLLA1)の製造:
L−ラクチド((株)武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、撹拌翼のついた反応機にて180℃で2時間反応させ、オクチル酸スズに対し1.2倍当量のリン酸を添加しその後、13.3Paで残存するラクチドを減圧除去し、チップ化し、ポリL−乳酸(PLLA1)を得た。得られたポリL−乳酸(PLLA1)の重量平均分子量は15.2万、ガラス転移点(Tg)は55℃、融点は175℃であった。
PLLA1の製造において、L−ラクチドをD−ラクチド((株)武蔵野化学研究所製、光学純度100%)に変更したこと以外は同じ条件で重合を行い、ポリD−乳酸(PDLA1)を得た。得られたポリD−乳酸(PDLA1)の重量平均分子量(Mw)は15.1万、ガラス転移点(Tg)は55℃、融点は175℃であった。
上記操作で得られたPLLA1とPDLA1とを各50重量部およびリン酸金属塩((株)ADEKA製「アデカスタブ」NA−71:0.1重量部)を、2軸混練装置の第一供給口より供給、シリンダー温度250℃で溶融混練し、ステレオコンプレックスポリ乳酸(SCPLA1)を得た。ガラス転移点(Tg)は55℃、融点は216℃であった。
o−ニトロフェノール(0.11mol)とペンタエリトリチルテトラブロミド(0.025mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド200mlを撹拌装置及び加熱装置を設置した反応装置にN2雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物D(ニトロ体)を得た。
(1)C1:ポリ乳酸;
上記操作で得られたPLLA1と同じである。
上記操作で得られたPLLAと三菱レイヨン(株)製のポリメチルメタクリレート(PMMA)である商品名「アクリペットVH001」をそれぞれ80重量部、20重量部をブレンダーで混合、110°、5時間真空乾燥した後、混練機の第一供給口より、シリンダー温度230℃、ベント圧13.3Paで真空排気しながら溶融混練し、水槽中にストランド押し出し、チップカッターにてチップ化してPLLAとPMMAとの組成物(C2)を得た。ガラス転移点(Tg)は59℃、融点は215℃であった。
PLLA、100重量部、TX1、1.0重量部をブレンダーで混合、110℃、5時間真空乾燥した後、混練機の第一供給口より供給し、シリンダー温度230℃、ベント圧13.3Paで真空排気しながら溶融混練し、水槽中にストランド押し出し、チップカッターにてチップ化して組成物(C3)を得た。ガラス転移点(Tg)は56℃、融点は214℃であった。
上記操作で得られたPLLA、80重量部、三菱レイヨン(株)製のポリメチルメタクリレートである商品名「アクリペットVH001」20重量部、TX1、1重量部をブレンダーで混合、110℃、5時間真空乾燥した後、混練機の第一供給口より供給し、シリンダー温度230℃、ベント圧13.3Paで真空排気しながら溶融混練し、水槽中にストランド押し出し、チップカッターにてチップ化して組成物(C4)を得た。ガラス転移点(Tg)は59℃、融点は215℃であった。
PLLA、100重量部、日清紡ケミカル(株)製「カルボジライト」LA−1、1.0重量部をブレンダーで混合、110℃、5時間真空乾燥した後、混練機の第一供給口より供給し、シリンダー温度230℃、ベント圧13.3Paで真空排気しながら溶融混練し、水槽中にストランド押し出し、チップカッターにてチップ化して組成物(C5)を得た。ガラス転移点(Tg)は56℃、融点は214℃であった。
SCPLA1、TX1をそれぞれ100重量部、1.0重量部をブレンダーで混合、110°、5時間真空乾燥した後、混練機の第一供給口より供給し、シリンダー温度230℃、ベント圧13.3Paで真空排気しながら溶融混練し、水槽中にストランド押し出し、チップカッターにてチップ化してブレンド組成物(C6)を得た。ガラス転移点(Tg)は56℃、融点は215℃であった。
樹脂フィルム用材料C3を100℃で5時間乾燥させた後、195℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度195℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させ未延伸フィルム(F1−1)を得た。膜厚は100μmであった。得られた樹脂フィルムの評価結果を表1に記す。なお、当該フィルムの製膜時にイソシアネート臭の発生は認められず、良好な作業環境のもとで製膜実施可能であった。また、カルボキシル末端基濃度は0.05当量/tonであった。
樹脂フィルム用材料C4を100℃で5時間乾燥させた後、215℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度215℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させ未延伸フィルム(F2−1)を得た。膜厚は100μmであった。得られた樹脂フィルムの評価結果を表1に記す。なお、当該フィルムの製膜時にイソシアネート臭の発生は認められず、良好な作業環境のもとで製膜実施可能であった。また、カルボキシル末端基濃度は0.04当量/tonであった。
樹脂フィルム用材料C6を100℃で5時間乾燥させた後、230℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度230℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させ未延伸フィルム(F3−1)を得た。膜厚は120μmであった。得られた樹脂フィルムの評価結果を表1に記す。なお、当該フィルムの製膜時にイソシアネート臭の発生は認められず、良好な作業環境のもとで製膜実施可能であった。また、カルボキシル末端基濃度は0.03当量/tonであった
実施例1の操作で得られた樹脂フィルムを逐次縦横2軸延伸機により縦延伸の延伸温度75℃、倍率2倍に、横延伸の延伸温度80℃、倍率2倍にて延伸した後、同設備にて145℃にて熱固定を実施することにより、厚み40μmのフィルム(F1−2)を得た。得られた樹脂フィルムの評価結果を表1に記す。また、カルボキシル末端基濃度は0.03当量/tonであった。
実施例2の操作で得られた樹脂フィルムを逐次縦横2軸延伸機により縦延伸の延伸温度75℃、倍率2倍に、横延伸の延伸温度80℃、倍率2倍にて延伸した後、同設備にて145℃にて熱固定を実施することにより、厚み41μmのフィルム(F2−2)を得た。得られた樹脂フィルムの評価結果を表1に記す。また、カルボキシル末端基濃度は0.05当量/tonであった。
樹脂フィルム用材料C1を100℃で5時間乾燥させた後、195℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度195℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させ未延伸フィルム(F3−2)を得た。膜厚は120μmであった。得られた樹脂フィルムの評価結果を表1に記す。また、カルボキシル末端基濃度は0.3当量/tonであった。
比較例3の操作で得た樹脂フィルムを逐次縦横2軸延伸機により縦延伸の延伸温度75℃、倍率2倍に、横延伸の延伸温度80℃、倍率2.5倍にて延伸した後、同設備にて148℃にて熱固定を実施することにより、厚み50μmのフィルム(F4−2)を得た。得られた樹脂フィルムの評価結果を表1に記す。また、カルボキシル末端基濃度は0.2当量/tonであった。
樹脂フィルム用材料C5を100℃で5時間乾燥させた後、195℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度195℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させ未延伸フィルム(F5−2)を得た。膜厚は100μmであった。得られた樹脂フィルムの評価結果を表1に記す。
但し、当該フィルムの製膜時にイソシアネート臭が発生し、良好な作業環境のもとでの製膜は不可であった。このため、比較例5で得られた樹脂フィルムに関しては、これ以降の操作は実施しなかった。また、カルボキシル末端基濃度は0.11当量/tonであった。
実施例1〜3並びに比較例1〜4の操作で得たフィルムに対して、白色のインクを用いて、スクリーン印刷にて意匠層と印刷層を形成した。また、真空成形用の加飾フィルム(後述の加飾成形品の製造1、2に対応)にはすべて粘着層を加飾フィルムの基板の一方の面(印刷層を形成した反対の面)に層厚約25μmで設置した(この加飾フィルムの層構成は、意匠層(印刷層)//基板(樹脂フィルム)//粘着層)。なお、この粘着層は市販の剥離ポリエステルフィルムに挟まれた高透明粘着シートを用い粘着層を転写することで形成した。
帝人化成(株)製のポリカーボネート(PC)である商品名「パンライトAD5503」を120℃で6時間乾燥後、射出成形機にてシリンダー温度280℃、金型温度100℃にて図3の形状を有する樹脂成形体PC−Aを製造した。また、同様の条件にて図4の形状を有する樹脂成形体PC−Bを製造した。いずれも平面外略図の長辺が15cm短辺が10cm、厚みは約2mmである。
さらに、上記の操作で得られた、scPLA1を110℃で5時間乾燥後、射出成形機にてシリンダー温度280℃、金型温度110℃にて図3の形状を有する樹脂成形体scPLA−Aを製造した。
樹脂成形体PC−Aおよび上述の<加飾フィルムの製造>に記載の操作で得た、実施例1〜3、比較例1〜4の操作で得た樹脂フィルムを用いた粘着層付きの加飾フィルムを、粘着層側を樹脂成形体側にして、布施真空(株)製の真空貼合装置である商品名『NGF−0709』の真空チャンバー中に設置した。真空チャンバーを閉じて真空後、加飾フィルムを100℃に赤外線で加熱し、その後、加飾フィルムを樹脂成形体に貼合した。貼合後、真空チャンバー内の気圧を大気圧に戻し、これを取り出して、加飾成形品を得た。その後、140℃で3分間恒温槽に入れ、加飾フィルムの基板の結晶化を促進させて、該基板を略結晶状態とする操作も行った。
実施例の操作で得た樹脂フィルムを加飾フィルムの基板として得られた加飾成形品は、どれも美観に優れたものであった。一方、比較例1、2、4の操作で得た樹脂フィルムを加飾フィルムの基板とした加飾成形品は、表面にしわやクラックが発生するなど、美観にも問題があった。
次にこれらの耐湿熱性を検討するために、80℃85%RHの環境下に100時間、加飾成形品を保存した。比較例3、4の操作で得た樹脂フィルムを加飾フィルムの基板とした加飾成形品は、一体化された加飾フィルムも耐加水分解性が低いものであるため、クラック等が発生し耐久性に問題があることがわかった。一方、実施例1〜3の操作で得た樹脂フィルムを加飾フィルムの基板とした加飾成形品は、耐湿熱試験終了後も外観上の問題点は発生していないことが確認された。
加飾成形品の製造1において、樹脂成形体としてscPLA1を用いた以外は同様の操作を行った。実施例の操作で得た樹脂フィルムを加飾フィルムの基板として得られた加飾成形品は、どちらも美観に優れたものであった。また、上記加飾成形品の製造1と同様の耐湿熱試験を実施したが、外観に変化は見られなかった。
あらかじめ加飾フィルムの形状を、図4の樹脂成形体を被覆できるように同型に真空成形機により予備賦形し、これを射出成形機に挿入して、溶融樹脂を挿入して一体化させるインサートモールド法により樹脂成形体を製造した。
射出成形する樹脂は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)である商品名『アクリペットVH』を80℃で6時間乾燥後、射出成形機にてシリンダー温度240℃、金型温度70℃にて射出した。図4の形状を有する加飾フィルムと樹脂成形体が積層一体化された加飾成形品を製造した。
実施例1の操作で得た樹脂フィルムを加飾フィルムの基板として得られた加飾成形品は、どちらも美観に優れたものであった。また、上記加飾成形品の製造1と同様の耐湿熱試験を実施したが、外観に変化は見られなかった。
2 加飾フィルム
3 意匠層
4 接着層または粘着層
5 成形体
6 加飾成形品
7 加飾成形品の最表面
11 基板(樹脂フィルム)
12 意匠層
13 加飾フィルム
14 加飾成形品
15 成形体
31 樹脂成形体PC−A
32 ヘーズ測定点
33 鋭角な折れ曲がりの部分
41 樹脂成形体PC−B
42 ヘーズ測定点
Claims (22)
- 脂肪族ポリエステル(A成分)を含む樹脂フィルムであって、該脂肪族ポリエステルに、カルボジイミド基を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を少なくとも含む化合物(C成分)を含み、且つMD方向、TD方向におけるフィルム破断伸度(100℃測定値)100〜1000%、100%伸張時応力(100℃測定値)が0.1〜25MPaの範囲にあり、さらに略非結晶状態であることを特徴とする、樹脂フィルム。
- 樹脂フィルムが、さらにアクリル系樹脂(B成分)を含む、請求項1記載の樹脂フィルム。
- C成分が下記式(1)で表される請求項1記載の樹脂フィルム。
- Qは、下記式(1−1)、(1−2)または(1−3)で表される2〜4価の結合基である請求項3記載の樹脂フィルム。
- C成分が、下記式(2)で表される請求項3記載の樹脂フィルム。
- Qaは、下記式(2−1)、(2−2)または(2−3)で表される2価の結合基である請求項5記載の樹脂フィルム。
- C成分が、下記式(3)で表される請求項3記載の樹脂フィルム。
- Qbは、下記式(3−1)、(3−2)または(3−3)で表される3価の結合基である請求項7記載の樹脂フィルム。
- Yは、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである請求項7または8記載の樹脂フィルム。
- C成分が、下記式(4)で表される請求項3記載の樹脂フィルム。
- Qcは、下記式(4−1)、(4−2)または(4−3)で表される4価の結合基である請求項10記載の樹脂フィルム。
- Z1およびZ2は各々独立に、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである請求項10または11記載の樹脂フィルム。
- 請求項1〜12のいずれか記載の樹脂フィルムを基板とし、該基板上に意匠層を備える加飾フィルム。
- 基板が略非結晶状態である、請求項13記載の加飾フィルム。
- 成形体の表面に請求項13記載の加飾フィルムが積層一体化されてなる、加飾成形品。
- 成形体が樹脂成形体である、請求項15記載の加飾成形品。
- 樹脂成形体がステレオコンプレックスポリ乳酸を含む、請求項16記載の加飾成形品。
- 請求項15または16記載の加飾成形品の製造方法であって、加飾フィルムと成形体とを貼合するにあたり、加飾フィルムの基板が略非結晶状態のものを用いることを特徴とする、加飾成形品の製造方法。
- 請求項15または16記載の加飾成形品の製造方法であって、加飾フィルムと成形体との貼合を加飾フィルムを加熱した状態で、真空下に成形体表面と接触させることによって行い、且つ、加熱前の加飾フィルムの基板が略非結晶状態のものを用いることを特徴とする、加飾成形品の製造方法。
- 請求項16記載の加飾成形品の製造方法であって、加飾フィルムと成形体とを貼合するにあたり、貼合を、加飾フィルムを予備賦形した後に射出成形の金型内に挿入し、ついで成型物材料となる樹脂を金型内に射出するインサートモールド法によって行い、且つ、予備賦形前の加飾フィルムの基板が略非結晶状態のものを用いることを特徴とする、加飾成形品の製造方法。
- 請求項15または16記載の加飾成形品の製造方法であって、加飾フィルムと成形体とを貼合するにあたり、加飾フィルムの基板が略結晶状態のものを用いることを特徴とする、加飾成形品の製造方法。
- 請求項18〜20のいずれか記載の加飾成形品の製造方法であって、加飾フィルムと成形体とを貼合するにあたり、貼合に供する加飾フィルムの基板は略非結晶状態のものを用い、貼合後に該基板を略結晶状態とすることを特徴とする、加飾成形品の製造方法。
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