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JP2011224848A - 表皮材の貼り付け装置および貼り付け方法 - Google Patents

表皮材の貼り付け装置および貼り付け方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基材の表面に表皮材を貼り付けるに際し、表皮材に過度の引張歪を生じさせることなく、もって、品質に優れ、耐久性の高い基材および表皮材からなる部材を製造することのできる表皮材の貼り付け装置および貼り付け方法を提供する。
【解決手段】上下のチャンバー1,2と、下チャンバー2内で基材Wを載置しながら上チャンバー1側へ上昇自在な載置台6と、上チャンバー空間K1を加圧する加圧手段、下チャンバー空間K2を真空引きする吸引手段、表皮材Sを加熱軟化させる加熱手段を備え、載置台6は基材Wをスライドさせるスライド手段を備え、載置台6を上昇させて基材Wの突部Tを表皮材Sに当接させて支持部Rを形成し、スライド手段にて基材Wをスライドさせて支持部Rから一方側の表皮材領域S1を引っ張り、他方側の表皮材領域S2を弛ませた後に、表皮材Sの軟化と加圧および真空引きにて表皮材Sを貼り付ける貼り付け装置10である。
【選択図】図3

Description

本発明は、少なくとも一部に突部を有する基材の表面にたとえば意匠面を具備する表皮材を貼り付ける装置と方法に関するものである。
樹脂や金属素材の基材表面に、着色表面や絵柄表面を備えたプラスチックフィルムやプラスチックシート等の表皮材を貼り付けるに際し、特許文献1に開示の被覆方法、装置のように、チャンバーボックスのうち、上下のチャンバーにて表皮材を把持し、この表皮材にてチャンバーボックス内を上下2つの空間に画成し、基材(ここでは中空芯材)に被覆する表皮材を加熱軟化させた状態で、下方のチャンバー空間を減圧し、上方のチャンバー空間を加圧することで、表皮材を基材に押圧して被覆する方法が知られている。
この方法によれば、チャンバー内で真空引きと加圧をおこなうことにより、軟化したフィルムを基材に対して良好に貼り付けることができる。より具体的には、基材の形状が特許文献1に開示のもののように平面状の場合であって、かつ表皮材が一様な意匠面からなる場合にはその効果を享受することができる。
しかし、基材が少なくとも一部に突部を備えた3次元形状を有する場合にはその効果が十分に期待できない。たとえば、基材がその一部に突部を備えた3次元形状を有する部材として、車室内のインパネを挙げることができる。そして、特にこの基材がアンダーカット部、すなわち、基材を構成する突部を境界としてその一方側が下チャンバー側に傾斜して上チャンバー側から視認できない部分である場合には、このアンダーカット部に表皮材を貼り込む際に大きな加圧力や吸引力が必要となり、特許文献1に開示の装置では不十分である。また、このような3次元形状の表皮材には局所的に極めて大きな引張歪が生じ易く、この引張歪に起因する表皮材およびこれを具備する部材の耐久性の低下が懸念される。
このことを図5a,bを参照して説明する。図5aは、特許文献1で開示される上下のチャンバーを含む装置構成のほとんどを省略して載置台上の基材と表皮材を拡大して示した模式図である。表皮材Sは、上チャンバーCB1と下チャンバーCB2で挟み込まれ、加熱軟化された表皮材Sは、昇降自在なステージST上の載置台Dに載置された基材Wの突部Tの一部で支持される(表皮材支持部R)。同図において、上チャンバーCB1と下チャンバーCB2で表皮材Sが挟み込まれることにより、上チャンバー空間K1と下チャンバー空間K2が画成されている。
図示する基材Wは上チャンバー側に突出する突部Tに加えて、下チャンバー側に傾斜して上チャンバー側からは視認できないアンダーカット部UKを具備する3次元形状を有しており、載置台Dの載置面は、この基材Wと相補的な3次元形状を有している。
このような3次元形状の基材Wの表面に対し、表皮材Sの上方から加圧流体等で加圧するとともに表皮材Sの下方から真空引きにて吸引しながらこれを貼り付けようとすると、図5bで示すように、上チャンバー側に臨む表皮材支持部Rよりも左側の表皮材領域S1は適度な引張力P1にて引っ張られながら基材W表面に貼り付く一方で、表皮材支持部Rよりも右側のアンダーカット部UKに対応する表皮材領域S2は、過度な吸引力および加圧力によって基材の端部Waを回り込ませるようにして張り付かせる必要がある。
より詳細には、表皮材Sは、まず最初に中央の表皮材支持部R近傍の領域から基材Wに貼り付き、その左右の表皮材領域S1、S2の端部に向かって順に貼り付いていくことになる。ここで、アンダーカット部UKに対応する表皮材領域S2を基材Wの端部Waに回り込ませながら貼り付けようとすると、図示する一点鎖線の状態となっている表皮材Sを実線の状態に移行させる必要があり、そのために表皮材領域S2に過度の引張力P2を作用させて伸張させながら基材Wへ貼り付けることになる。
その結果、表皮材Sにおいては、その中央の表皮材支持部R近傍を境界にその左右で引張応力が大きく相違する。本発明者等の検証によれば、同図における表皮材領域S1の引張歪が50%程度であるのに対して、表皮材領域S2の引張歪、中でもその端部領域の引張歪は400%程度にも及ぶことが特定されている。
領域ごとに引張歪が大きく異なる表皮材Sが基材Wに貼り付けられてなる部材(製品)は、過度の引張歪を内包する表皮材領域S2の端部から剥がれが生じ易く、一度剥がれが生じてしまうとこれを起点として過度の引張歪を解消するように剥がれが助長されてしまい、このことが製品の耐久性を大きく低下させる要因となる。
特開2006−7422号公報
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、その一部に突部を有する基材の表面にたとえば意匠面を具備する表皮材を貼り付けるに際し、表皮材に過度の引張歪を生じさせることなく、もって、品質に優れ、耐久性の高い基材および表皮材からなる部材を製造することのできる表皮材の貼り付け装置および貼り付け方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による表皮材の貼り付け装置は、基材の表面に表皮材を貼り付ける表皮材の貼り付け装置であって、相互に型閉めされる上チャンバーおよび下チャンバーであって、型閉め姿勢において上下のチャンバーにて表皮材を挟み込み、この表皮材によって上チャンバー空間と下チャンバー空間が画成される上チャンバーおよび下チャンバーと、下チャンバー内において、基材を載置するとともに上チャンバー側へ上昇自在な載置台と、上チャンバー空間を加圧する加圧手段、下チャンバー空間を真空引きする吸引手段、および表皮材を加熱して軟化させる加熱手段を備え、前記載置台は前記基材をスライドさせるスライド手段を備えており、前記基材が少なくともその一部に上チャンバー側に突出する突部を有する場合に、上下のチャンバーにて挟み込まれた表皮材に対して載置台を上昇させて前記突部を表皮材に当接させて表皮材支持部を形成し、スライド手段にて基材をスライドさせて表皮材支持部から一方側の表皮材領域を引っ張り、他方側の表皮材領域を弛ませ、加熱手段にて表皮材を軟化させた状態で前記加圧手段による加圧と吸引手段による真空引きを実施し、基材の表面に表皮材を貼り付けるようになっているものである。
本発明の表皮材の貼り付け装置は、既述する従来構造の上下チャンバーからなる貼り付け装置のうち、基材を載置する載置台に改良を加え、基材をスライドさせるスライド手段を載置台に具備した装置である。基材が表皮材と接触して表皮材支持部が形成され、スライド手段にて基材をスライドさせることにより、過度の引張力が作用し得ない表皮材領域を引っ張るとともに過度の引張力が作用し得る領域(既述するアンダーカット部)を弛ませておき、この状態で表皮材を軟化させ、加圧と吸引にて基材表面に貼り付かせるものである。
基材表面への表皮材の貼り付けに先行して、表皮材のうち、過度の引張歪が生じ得るアンダーカット部に対応した領域を予め弛ませておくことにより、この領域における過度の引張歪もしくは引張応力の発生は解消される。
ここで、表皮材が貼り付けられる基材は、湾曲面、相互に傾斜した複数の平面の組み合わせ、平面と湾曲面の組み合わせなどからなる3次元形状を呈し、少なくともその一部に上チャンバー側に突出する突部を有し、さらには、下チャンバー側にのみ対向するアンダーカット部を有するものである。
また、基材を載置する載置台は、たとえばシリンダ機構等によって昇降自在なステージ上に配され、基材を載置した姿勢で載置台が上昇し、表皮材と基材の突部が当接する位置で停止され、この当接箇所が表皮材支持部となる。
表皮材にて2つの空間に画成された一方の上チャンバー空間には加圧流体を該空間内に通流させる各種手段(コンプレッサ、配管系など)が流体連通しており、他方の下チャンバー空間には該空間内を真空引きする各種手段(吸引ポンプ、配管系など)が同様に流体連通している。さらに、上下チャンバーのいずれか一方には加熱手段が設けてあり、双方のチャンバーを型閉めした姿勢において表皮材を加熱軟化できるようになっている。
3次元形状の基材に対して表皮材を貼り付けるに際し、基材のうち、下チャンバー側に回り込んだアンダーカット部にも空隙等なく表皮材を貼り付けるために、本装置は下方チャンバー空間からの真空引きに加えて、上方チャンバー空間を加圧し、基材に対して表皮材の上方から押し込む力を付与するものである。すなわち、表皮材を加熱軟化させた状態で、下方チャンバー内を真空引きしながら、これと同時に上方チャンバー内を加圧することにより、基材に対して空隙のない状態で表皮材を綺麗に貼り付けることができる。
しかも、表皮材の貼り付けに先行して、載置台がスライド手段を介してスライドしてアンダーカット部に対応する表皮材領域を予め弛ませておくことで、加工された表皮材には過度の引張歪が生じ得ない。したがって、この過度の引張歪によって表皮材が基材から剥がれ、これに起因して基材と表皮材からなる製品の耐久性が低下するといった従来製法および装置を適用した際の課題は効果的に解消される。
ここで、載置台は、傾斜面を有する第1の載置台と、基材を直接載置してこの傾斜面上をスライドする第2の載置台とからなり、前記スライド手段が前記傾斜面からなる形態であってもよい。
第2の載置台上に基材を載置し、これが表皮材と当接して表皮材支持部を形成し、さらに載置台を上昇させると、第2の載置台は、この表皮材支持部に反力を取って第1の載置台の傾斜面を滑り落ちる。
この滑り落ちる過程で、表皮材のアンダーカット部に対応する領域は弛んだ状態となり、その反対側の領域は引っ張られた状態となる。
このように載置台を第1、第2の載置台から構成し、第1の載置台に傾斜面を設けて第2の載置台がこの面を滑り落ちるといった極めて簡易な構成を適用することで、スライド手段として高価なアクチュエータを適用する必要はなくなり、装置コストも安価となる。
また、本発明は表皮材の貼り付け方法にも及ぶものであり、相互に型閉めされる上チャンバーおよび下チャンバーにおいて、基材を下チャンバー内の載置台に載置し、上下のチャンバーを型閉めして双方のチャンバーにて表皮材を挟み込み、この表皮材によって上チャンバー空間と下チャンバー空間を画成し、かつ、この状態で、基材が少なくともその一部に上チャンバー側に突出する突部を有しており、載置台を上昇させて前記突部を表皮材に当接させて表皮材支持部を形成し、スライド手段にて基材をスライドさせて表皮材支持部から一方側の表皮材領域を引っ張り、他方側の表皮材領域を弛ませ、加熱手段にて表皮材を軟化させた状態で前記加圧手段による加圧と吸引手段による真空引きを実施し、基材の表面に表皮材を貼り付けるものである。
ここで、表皮材の表面もしくは基材の突部に接着剤が塗布されており、突部を表皮材に当接させた際に双方が接着される形態であるのが好ましい。
基材の表皮材支持部と表皮材が接着されることにより、基材が載置台とともにスライドした際に、表皮材が基材に対して相対的に滑ってしまい、表皮材のアンダーカット部に対応する領域に弛みを生じさせることができないといったことが抑止される。
以上の説明から理解できるように、本発明の表皮材の貼り付け装置および貼り付け方法によれば、3次元形状で少なくともその一部に上チャンバー側に突出する突部を有する基材に表皮材を貼り付けるに際し、表皮材支持部にて基材と表皮材が当接した状態で載置台をスライド手段にてスライドさせ、表皮材のうちのアンダーカット部に対応する領域を弛ませておくことにより、貼り付けの際にこの領域に過度の引張歪が生じるのを抑止でき、もって、過度の引張歪に起因する表皮材の剥がれが抑止されて高耐久な基材および表皮材からなる部材を製造することができる。
本発明の貼り付け装置において、上チャンバーと下チャンバーが型開きした状態を説明した模式図である。 上チャンバーと下チャンバーが型閉めされて表皮材を挟み込み、加熱と真空引きと加圧を実施している状態を説明した模式図である。 (a)は、載置台が上昇して基材が表皮材と当接し、表皮材支持部を形成している状態を説明した図であり、(b)は、載置台がスライドして表皮材の一部を弛ませ、他部を引っ張っている状態を説明した図である。 基材表面に表皮材が貼り付けられた状態を説明した模式図である。 (a)は、従来の貼り付け装置において載置台が上昇して基材が表皮材と当接し、表皮材支持部を形成している状態を説明した図であり、(b)は、基材表面に表皮材が貼り付けられた状態を説明した模式図である。
以下、図面を参照して本発明の表皮材の貼り付け装置および貼り付け方法を説明する。なお、図示する基材は、相互に傾斜した平面から構成され、双方の平面の滑らかな交点領域が突部を形成する3次元形状を呈するものであるが、図示例以外にも、複数の曲率の異なる湾曲面の組み合わせ、平面と湾曲面の組み合わせ、などからなる任意の3次元形状を呈し、少なくともその一部に突部を有する形態であってもよいことは勿論のことである。
図1は、本発明の貼り付け装置において、上チャンバーと下チャンバーが型開きした状態を説明した模式図であり、図2は、上チャンバーと下チャンバーが型閉めされて表皮材を挟み込み、加熱と真空引きと加圧を実施している状態を説明した模式図である。
図示する貼り付け装置10は、シリンダ装置3にて昇降自在(X1方向)な上チャンバー1と、別途の昇降装置4にて昇降自在なステージ5とこの上に固定された載置台6を内部に具備する下チャンバー2と、から大略構成されている。
上チャンバー1は、その内部に加熱ヒータ11を内蔵しており、上下チャンバーが型閉めされた状態で加熱ヒータ11が稼動し、上下チャンバーにて挟み込んだ表皮材Sを所望に軟化できるようになっている。なお、この加熱ヒータは下チャンバー2に内蔵されるものであってもよい。
また、上チャンバー1には、圧縮エア等の加圧流体を上チャンバー1の内部に通流させる配管系12およびコンプレッサ13(もしくは圧力ポンプ)が流体連通している。
一方、下チャンバー2には、下チャンバー2の内部を真空引きする配管系21と吸引ポンプ22が流体連通している。
着色表面や絵柄表面を備えたプラスチックフィルムやプラスチックシート等の表皮材Sが貼り付けられる基材Wは、相互に傾斜した2つの平面と、これらを繋ぐ滑らかな突部Tとが連続した3次元立体形状を呈している。
ステージ5上に配された載置台6は、ステージ5に直接固定されてその上面に傾斜面61a(スライド手段)を具備する第1の載置台61と、この傾斜面61a上にスライド自在に配された第2の載置台62とから構成される。
第1の載置台61の傾斜面61aの中央には突起61bが設けてあり、この傾斜面61a上を第2の載置台62が所定長さスライドした際のストッパーとなるものであり、第2の載置台62の下面はこのストッパーを跨ぐように凹溝62aが形成され、凹溝62aの内部と突起61bとが係合するようになっている。
また、第2の載置台62の上面と基材Wの形状は相互に相補的であり、表皮材Sの貼り付け対象である基材Wの3次元形状に応じて第2の載置台62の上面(載置面)の形状が形成されている。したがって、図示例以外の形状の基材と第2の載置台の組み合わせにおいても、同様に双方が相補的な形状を有するのがよい。また、図示する第2の載置台62の上面の形状は、基材Wを若干寝かせた姿勢とするものであるが、この形状形態により、下チャンバー2の内部空間をその縦方向にも横方向にも可及的に狭くすることができ、装置の大型化を抑止できるという効果を有するものである。
基材Wが第2の載置台62上に載置された姿勢において、この基材Wを構成する一方の平面は第1のチャンバー側から視認できないアンダーカット部UKを形成する。
基材Wを載置台6上に載置し、下チャンバー2の上端に表皮材Sを載置した後に、図2で示すように、シリンダ装置3を稼動させて上チャンバー1を降下させ(X1’方向)、上下のチャンバー1,2で表皮材Sを挟み込む。
上下のチャンバー1,2を型閉めすることにより、上チャンバー1と挟持された表皮材Sとで上チャンバー空間K1が画成され、同様に、下チャンバー2と表皮材Sとで下チャンバー空間K2が画成される。
上下のチャンバー空間K1,K2が画成されたら、シリンダ装置4を稼動させて載置台6を上昇させ(X2’方向)、基材Wの突部Tと表皮材Sを当接させて表皮材支持部Rを形成する。
表皮材支持部Rが形成された後、さらに載置台6を上昇させると、図3aで示すように、第2の載置台62とこれに載置される基材Wは、表皮材支持部Rを支点として上下チャンバー1,2で挟み込まれた表皮材Sに反力を取りながら、第1の載置台61の傾斜面61a上を滑り落ちるようにスライドする(Y1方向)。なお、この際に、基材Wが表皮材Sに対して相対的に滑ってしまわないように、表皮材Sの表面もしくは基材Wの表面のいずれか一方に接着層を形成しておき、基材Wと表皮材Sが少なくとも表皮材支持部Rにて接着されているのが好ましい。
第2の載置台62が所定量だけスライドすると、第2の載置台62の下面の凹溝62aと傾斜面61a上の突起61bが係合し、スライドが終了する(図3b参照)。
この第2の載置台62のスライド過程で、表皮材支持部Rを境界として図3bにおける表皮材Sの左側の領域S1には引張力Pが作用して伸張し、一方のアンダーカット部UKに対応する領域S2は弛んだ状態となっている。
なお、傾斜面61aの勾配は、最終的に基材Wに表皮材Sが貼り付けられた際に表皮材Sの全領域に過度の引張歪が生じないこと、およびほぼ均等な引張歪が生じるように、第2の載置台62および基材Wの重量や表皮材Sの領域S1に生じる引張力Pなどを勘案して調整されるのがよい。
図2に戻り、表皮材Sを図3bの状態としたら、上チャンバー1内の加熱ヒータ11を稼動させて(熱流れ:Y3)、表皮材Sを加熱軟化させる。表皮材Sが所望に加熱軟化した段階で、コンプレッサ13を稼動させて圧力エアを上チャンバー空間K1に提供して内部を加圧し(Y1方向)、これと同時に、吸引ポンプ22を稼動させて下チャンバー空間K2を真空引きし(Y2方向)、その内部を真空雰囲気とする。
下チャンバー空間K2の真空引きと上チャンバー空間K1の加圧により、表皮材Sは、その上方からで基材W側へ押し込まれるとともに、その下方から基材W側へ引き込まれ、隙間のない姿勢で表皮材が貼り付けられることとなる。
図4は、基材Wの表面に表皮材Sが貼り付けられた状態を説明した模式図である。
表皮材Sの貼り付けに先行して、図3bで示すように表皮材Sのアンダーカット部UKに対応する領域S2を弛ませておいたことにより、加圧および吸引にて基材Wの表面に貼り付いた状態の表皮材Sに関し、表皮材支持部Rの左右それぞれの領域の引張力P3,P3’が同程度となるように調整され得る(P3≒P3’)。そして、少なくとも表皮材Sのアンダーカット部UKに対応する領域S2の特に端部に生じ得る過度の引張歪は完全に解消される。
そのため、従来の貼り付け装置や貼り付け方法を適用した際に表皮材に生じ得る上記過度の引張歪に起因した表皮材の剥がれは完全に解消され、高耐久な基材および表皮材からなる部材を製造することが可能となる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…上チャンバー、11…加熱ヒータ、13…コンプレッサ、2…下チャンバー、22…吸引ポンプ、3,4…シリンダ装置、5…ステージ、6…載置台、61…第1の載置台、61a…傾斜面(スライド手段)、61b…突起、62…第2の載置台、62a…凹溝、10…貼り付け装置、K1…上チャンバー空間、K2…下チャンバー空間、W…基材、T…突部、R…表皮材支持部、UK…アンダーカット部、S…表皮材、S2…アンダーカット部に対応する領域

Claims (4)

  1. 基材の表面に表皮材を貼り付ける表皮材の貼り付け装置であって、
    相互に型閉めされる上チャンバーおよび下チャンバーであって、型閉め姿勢において上下のチャンバーにて表皮材を挟み込み、この表皮材によって上チャンバー空間と下チャンバー空間が画成される上チャンバーおよび下チャンバーと、
    下チャンバー内において、基材を載置するとともに上チャンバー側へ上昇自在な載置台と、
    上チャンバー空間を加圧する加圧手段、下チャンバー空間を真空引きする吸引手段、および表皮材を加熱して軟化させる加熱手段を備え、
    前記載置台は前記基材をスライドさせるスライド手段を備えており、
    前記基材が少なくともその一部に上チャンバー側に突出する突部を有する場合に、上下のチャンバーにて挟み込まれた表皮材に対して載置台を上昇させて前記突部を表皮材に当接させて表皮材支持部を形成し、スライド手段にて基材をスライドさせて表皮材支持部から一方側の表皮材領域を引っ張り、他方側の表皮材領域を弛ませ、加熱手段にて表皮材を軟化させた状態で前記加圧手段による加圧と吸引手段による真空引きを実施し、基材の表面に表皮材を貼り付けるようになっている表皮材の貼り付け装置。
  2. 前記載置台は、傾斜面を有する第1の載置台と、基材を直接載置してこの傾斜面上をスライドする第2の載置台とからなり、前記スライド手段が前記傾斜面からなる、請求項1に記載の表皮材の貼り付け装置。
  3. 基材の表面に表皮材を貼り付ける表皮材の貼り付け方法であって、
    相互に型閉めされる上チャンバーおよび下チャンバーにおいて、基材を下チャンバー内の載置台に載置し、
    上下のチャンバーを型閉めして双方のチャンバーにて表皮材を挟み込み、この表皮材によって上チャンバー空間と下チャンバー空間を画成し、かつ、この状態で、基材が少なくともその一部に上チャンバー側に突出する突部を有しており、
    載置台を上昇させて前記突部を表皮材に当接させて表皮材支持部を形成し、
    スライド手段にて基材をスライドさせて表皮材支持部から一方側の表皮材領域を引っ張り、他方側の表皮材領域を弛ませ、
    加熱手段にて表皮材を軟化させた状態で前記加圧手段による加圧と吸引手段による真空引きを実施し、基材の表面に表皮材を貼り付ける表皮材の貼り付け方法。
  4. 表皮材の表面もしくは基材の突部に接着剤が塗布されており、突部を表皮材に当接させた際に双方が接着される、請求項3に記載の表皮材の貼り付け方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113459485A (zh) * 2021-07-15 2021-10-01 上海金标文化创意股份有限公司 吸塑贴膜一体机及吸塑贴膜方法

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