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JP2011222629A - 太陽電池モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】防湿性を高め、信頼性の向上を図ることができる太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】太陽電池モジュール1では、封止材層4の端面4a、受光面1aの端部2a及び反射材5の端部5aを覆うように防湿フィルム6が設けられており、防湿フィルム6と受光面1a及び防湿フィルム6と反射材5とが接着層8,9によって接着されている。これにより、受光面1a側や反射材5側から水分が浸入した場合であっても、性能に影響が無い受光面1aと防湿フィルム6との間又は反射材5と防湿フィルム6との間の接着層8,9が最初に劣化するため、封止材層4まで水分が到達するまでには時間がかかる。このように、封止材層4の劣化開始までの時期を遅らせることができるため太陽電池セル3等の劣化を抑制でき、太陽電池モジュール1の劣化を抑制できる。その結果、信頼性の向上を図ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュールに関する。
従来の太陽電池モジュールとして、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の太陽電池モジュールでは、太陽電池セル(太陽電池ユニット)が封止材層(接着層)を介して防湿フィルムにより挟み込まれていると共に、封止材層端部の端面(露出部)が樹脂からなる側面封止部材により封止されている。これにより、この太陽電池モジュールでは、水分の浸入を低減し、長期信頼性の向上を図っている。
ところで、封止材層の露出部を封止する側面封止部材は、防湿性の確保の観点から、受光面及び背面側にまで形成されることが好ましい。そこで、例えば特許文献2に記載の太陽電池モジュールでは、太陽電池セルを封止する充填材、最表面被覆材及び最裏面被覆材の端部を枠体に挿入し、枠体と端部との間を接着封止材にて接着している。これにより、この太陽電池モジュールでは、充填材の端面だけでなく、最表面被覆材及び最裏面被覆材を枠体に充填された封止接着剤にて封止している。
特開平10−70300号公報 特開2006−73864号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載の太陽電池モジュールでは、枠体と充填材等の端部とを接着封止材にて接着しているため、接着封止材を介して水分が浸入するおそれがあった。その結果、信頼性が低下するといった問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、防湿性を高め、信頼性の向上を図ることができる太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る太陽電池モジュールは、太陽電池セルと、太陽電池セルを封止すると共に封止材からなる封止材層と、太陽電池セルに光を入射させる受光面を有する前面板と、受光面から入射した光を太陽電池セルに向けて反射させる反射材とを備えた太陽電池モジュールであって、封止材層の端面を覆いつつ、前面板における受光面の端部及び反射材の端部の少なくとも一方を覆うと共に、封止材によって接着された防湿フィルムを備えることを特徴とする。
この太陽電池モジュールでは、封止材層の端面を覆いつつ、前面板における受光面の端部及び反射材の端部の少なくとも一方を覆うように防湿フィルムが設けられており、防湿フィルムは、封止材によって受光面及び反射材のいずれかと接着されている。このように、封止材層の端面と、前面板における受光面の端部及び反射材の端部の少なくとも一方とを覆うように防湿フィルムが設けられているため、防湿性を高めることができる。また、受光面側や反射材側から水分が浸入した場合であっても、太陽電池の性能に影響がほとんど無い受光面と防湿フィルムとの間または反射材と防湿フィルムとの間の封止材が最初に劣化するため、前面板と反射材との間に介在する封止材層まで水分が到達するまでには時間がかかる。このように、封止材層の劣化開始までの時期を遅らせることができるため、封止材層に封止される太陽電池セル等の劣化を抑制できる。したがって、太陽電池モジュールの劣化を抑制できる。その結果、信頼性の向上を図ることができる。
また、防湿フィルムは、前面板における受光面の端部及び反射材の端部を覆っており、防湿フィルムと受光面との間を接着する封止材は、封止材層の一端面側から一端面に対向する他端面側に向かうにつれて薄くなるように形成されており、防湿フィルムと反射材との間を接着する封止材は、封止材層の端面側から一端面に対向する他端面側に向かうにつれて薄くなるように形成されているが好ましい。このような構成とすることにより、防湿フィルムの先端部分には、封止材がほとんど設けられない。そのため、封止材の露出を抑えることができる。その結果、水分の浸入を更に抑制でき、防湿性をより高めることができる。
また、防湿フィルムは、10g/m・day以下の防湿性を有することが好ましい。この場合には、太陽電池モジュール内への水分(水蒸気)の浸入を防止でき、部材の劣化や封止材層の白濁を確実に抑制することができる。
本発明によれば、防湿性を高め、信頼性の向上を図ることができる。
本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの要部拡大側断面図である。 フレームに固定された太陽電池モジュールを上から見た図である。 (a)は図2におけるA−A線断面図であり、(b)は図2におけるB−B線断面図である。 太陽電池モジュールの製造方法の工程図である。 太陽電池モジュールの製造方法の工程図である。 変形例に係る太陽電池モジュールの側断面図である。 変形例に係る太陽電池モジュールの側断面図である。 防湿試験の概要を説明する図である。 比較例の構成及び試験結果を示す図である。 比較例及び実施例の構成及び試験結果を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は、実際のものと異なることがある。
本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの要部拡大側断面図である。図1に示すように、太陽電池モジュール1は、モジュールの受光面1a側に配置された前面板2と、複数の太陽電池セル3を封止する封止材層4と、太陽電池セル3の背面側に配置された反射材5と、モジュールの端部側に配置された防湿フィルム6とを備えている。なお、以下の説明においては、太陽電池モジュール1の一端部について具体的に説明するが、他端部も同様の構成を有している。
前面板2は、太陽光の入射を可能にした透明な板材である。前面板2としては、透過性を有するものが好ましく、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂等を例示できる。特に、強度、耐熱性、長期信頼性、コストの観点からソーダガラスが好ましい。
太陽電池セル3は、その受光面が封止材層4の表面に平行となるように配置されている。これらの複数の太陽電池セル3は、インターコネクタ7によって電気的に直列に接続されている。また、複数の太陽電池セル3は、封止材層4の表面に沿う方向に互いに離間して配置されている(図5参照)。また、インターコネクタ7も封止材層4に封入されている。太陽電池セル3は、太陽光を両面で捕らえるタイプと片面で捕らえるタイプとがあり、本実施形態では、両面受光型の太陽電池セルが利用されている。セルとしては、単結晶Siセル、多結晶Siセル、薄膜Siセル、III−V族セル、化合物系セル、有機セルなどが挙げられる。
封止材層4は、複数の太陽電池セル3を封止している。封止材層4の表面は、光が入射する光入射面とされており、封止材層4の裏面は、光反射面とされている。このうち、光入射面は平面状とされており、反射面は凹凸形状とされている。この反射面は、太陽電池セル3と平行でない部分が存在し、光入射面から入射した光が反射して太陽電池セル3に到達する形状とされている。
封止材層4は、熱可塑性樹脂で構成されている。熱可塑性樹脂としては、ポリビニルブチラール(PVB:Polyvinyilbutyral adhesives)、エチレン−酢酸ビニル重合体(EVA:Ethylene Vinyl Acetate copolymer)が例示できる。特に、耐熱性、長期信頼性の観点からEVAが好ましい。また、封止材層4は、いずれも太陽光等の光を透過する透明性を有するアクリル系硬化樹脂によって構成されている。
また、封止材層4の裏面には、集光素子である反射材5が設けられている。反射材5は、入射する光を反射させることができるものであればよく、金属基板、PET層、フィルム層、コーティング層などを例示できる。反射材5の反射層の反射膜としては、アルミや銀がよく、高反射が期待される銀膜が好ましい。また、反射膜を保護する目的から、透光性のある保護層を少なくとも一層積層させてもよい。さらには、各層を貼り合せるための接着層が構成されてもよい。
封止材層4の端面4aには、防湿フィルム6が設けられている。防湿フィルム6は、封止材層4の端面4aを被覆すると共に、前面板2の端部2a及び反射材5の端部5aを覆っている。具体的には、防湿フィルム6は、前面板2から反射材5に亘って形成されており、防湿フィルム6と前面板2との間及び防湿フィルム6と反射材5との間には、接着層8,9が設けられている。この接着層8,9により、防湿フィルム6と前面板2及び防湿フィルム6と反射材5とが接着されている。この接着層8,9は、封止材層4と同じ材料によって構成されており、封止材層4と連続的に一体成形されている。
防湿フィルム6の先端部6aは、前面板2の内側になるにつれて受光面1aに接近するように折り曲げられている。つまり、防湿フィルム6は、封止材層4の端面4a側からこの端面4aに対向する端面4b側(図5(c)参照)に向けて先端部6aが受光面1aに接近するように傾斜している。これに伴い、接着層8は、封止材層4の端面4a側からこの端面4aに対向する端面4b側に向かうにつれて薄くなるように形成されている。また、防湿フィルム6の先端部6bは、反射材5の凹凸形状の形成方向において、反射材5の内側になるにつれて反射材の裏面に接近するように折り曲げられている。つまり、防湿フィルム6は、封止材層4の端面4a側からこの端面4aに対向する端面4b側に向けて先端部6bが反射材5に接近するように傾斜している。これに伴い、接着層9は、封止材層4の端面4a側からこの端面4aに対向する端面4bに向かうにつれて薄くなるように形成されている。
防湿フィルム6は、軟質性の観点から樹脂系の材料で形成されることが好ましい。防湿フィルム6としては、フッ素系フィルム、PET(Polyethylene Terephthalate)系フィルム、PVF(Poly Vinyl Fluoride)系フィルム等が例示できる。特に、コスト、長期信頼性の観点からPET系フィルムが好ましい。また、水蒸気の防湿性(バリア性)を高めるために、SiOの蒸着層等を有するPET多層フィルムがさらに好ましい。このような防湿フィルム6は、10g/m・day以下の防湿性を有している。
以上のような構成を有する太陽電池モジュール1は、フレームに固定されている。図2は、フレームに固定された太陽電池モジュールを上から見た図であり、図3(a)は、図2におけるA−A線断面図であり、図3(b)は、図2におけるB−B線断面図である。図2に示すように、太陽電池モジュール1は、フレームFにより端部が保持されて固定されている。フレームFは、アルミ(A6063)系の材質から成り、その厚みは2mm程度となっている。このフレームFは、太陽電池モジュール1の端部を囲う枠体であり、長尺状の第1枠部材F1と、この第1枠部材F1に直交する第2枠部材F2とから構成されている。
図3(a)に示すように、第1枠部材F1は断面コ状を成しており、太陽電池モジュール1の端部、すなわち前面板2、封止材層4、反射材5及び防湿フィルム6を収容可能な収容部Faを有している。太陽電池モジュール1は、フレームFの収容部Faに収容されて固定されている。このとき、受光面1aの面方向において、防湿フィルム6の先端部6aと第1枠部材F1との突出量(噛み量)は、同等なっている。また、図3(b)に示すように、太陽電池モジュール1に設けられた防湿フィルム6は、第2枠部材F2の延在方向に沿って設けられている。つまり、太陽電池モジュール1において、反射材5の凹凸形状の形成方向に直交する方向の端部に設けられた防湿フィルム6は、反射材5の凹凸形状に追従して設けられておらず、反射材5の凹凸形状の頂部Tに接するように平面状に設けられている。なお、図3においては、接着層8,9を明記していないが、実際には接着層8,9が形成されている。
次に、本実施形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法について説明する。図4及び図5は、太陽電池モジュールの製造工程を示す工程図である。図4及び図5に示すように、太陽電池モジュール1を製造する際には、付形治具Jが用いられる。付形治具Jは、太陽電池モジュール1を成型するための型を備えており、付形治具Jにおける型の底面は、太陽電池モジュール1の反射面に形成する凹凸形状を付与するための凹凸(山形)形状とされている。
図4(a)に示すように、まず付形治具Jにおける型の側面及び底面に沿って防湿フィルム6を配置すると共に、付形治具Jの底面に反射材5を配置する。このとき防湿フィルム6の先端部6bは、反射材5側に折り曲がった形状となる。また、反射材5は、付形治具Jにおける型の底面に沿った凹凸形状とされている。さらに、反射材5上に複数のEVA樹脂シート10(ブリヂストン製)を積層(レイアップ)し、その上に板状の付形治具Jを配置する。
次に、図4(b)に示すように、付形治具Jを真空加熱装置S1内の熱板20上に配置する。そして、熱板20の温度を100℃程度に設定して付形治具Jをプレスする。これにより、EVA樹脂シート10が溶融して架橋され、プリフォーム体11が形成される。
プリフォーム体11を形成したら、図5(a)に示すように、プリフォーム体11上にEVA樹脂シート12を配置し、さらにその上に複数の太陽電池セル3を配置する。この複数の太陽電池セル3は、それぞれインターコネクタ7(日立電線ファインテックA−TPS)で接続される。さらに、太陽電池セル3上にEVA樹脂シート13、前面板2(AGC製白板熱処理ガラス:3.2mm)をこの順で配置して積層(レイアップ)する。このとき、防湿フィルム6の先端部6aを前面板2の受光面1a側に折り曲げる。
その後、図5(b)に示すように、付形治具Jを太陽電池用ラミネータ機S2内の熱板21上に配置する。そして、熱板21を150℃程度に設定して、EVA樹脂シート12,13を溶融させた後に硬化させて太陽電池セル3を封止する。ここで、EVA樹脂シート12,13を硬化させる際に、プリフォーム体11および前面板2が固定される。上記の工程を経ることにより、前面板2、封止材層4および反射材5が一体化される。以上のようにして、太陽電池モジュール1が完成する。その後、付形治具Jから太陽電池モジュール1を取り出し、図5(c)に示すように、太陽電池モジュール1をフレームFに固定する。
ここで、集光型の太陽電池モジュールにおいて、広い入射角度に対して高い集光効率を確保するためには、太陽電池セルと反射面との間に一定の光経路長の確保が要求される。そこで、光反射面を有する反射材が、光学設計に基づいて凹凸形状とされているが、反射材を凹凸形状とする場合には、封止材層を厚く形成せざるを得ない。このように厚く形成された封止材層は、従来の非集光タイプの太陽電池モジュールに比べて、露出部が多くなる。この露出部からは水蒸気が浸入し、この水蒸気は、太陽電池セル、インターコネクタ、セル/インターコネクタ接合部、反射材の劣化を引き起こす。また、水蒸気は、封止材層を白濁させるため、外観不良や効率低下を招来する。
そこで、シール材(たとえば、シリコーン樹脂やブチルゴム等)を用いて露出部を覆い、水蒸気の浸入を防止することが考えられているが、このような手段では防湿性が低いことが確認されている。これに対して、シール材として、半導体や有機ELパネル等に使用される高防湿シール材(たとえば、紫外線硬化型エポキシ樹脂等)を用いることが考えられる。しかしながら、高防湿シール材は非常に高価であるため、大面積を前提する太陽電池モジュールに使用すると、コストの増大といった問題が生じる。また、紫外線硬化型の樹脂を用いると、紫外線を照射する工程が増えるため、手間がかかるといった問題も発生する。
さらに、窓枠等に使用されるガスケットを太陽電池モジュールの端部に嵌め込む方法が考えられるが、太陽電池モジュールの端部は複雑な形状(凹凸形状)を成しているため、ガスケットの適用は困難である。また、金属プレートや高防湿性フィルム(たとえば、シリカ蒸着膜を有する多層フィルム等)を接着剤にて太陽電池モジュールの端部に配置する方法が考えられる。しかしながら、接着材を用いる場合、この接着材から水蒸気が浸入するため、十分な防湿効果を得ることができないことが確認されている。また、剛性のある材料の場合には、太陽電池モジュールの端部の形状(凹凸形状)に沿ってシールし難い。
これに対して、本実施形態の太陽電池モジュール1では、封止材層4の端面4a、前面板2における受光面1aの端部2a及び反射材5の端部5aを覆うように防湿フィルム6が設けられており、防湿フィルム6と受光面1a及び防湿フィルム6と反射材5とが接着層8,9によって接着されている。このように、封止材層4の端面4a、前面板2における受光面1aの端部2a及び反射材5の端部5aを防湿フィルム6で覆うことにより、防湿性を高めることができる。また、受光面1a側や反射材5側から水分が浸入した場合であっても、太陽電池の性能に影響がほとんど無い受光面1aと防湿フィルム6との間または反射材5と防湿フィルム6との間の接着層8,9が最初に劣化するため、前面板2と反射材5との間に介在する封止材層4まで水分が到達するまでには時間がかかる。このように、封止材層4の劣化開始までの時期を遅らせることができるため、封止材層4に封止される太陽電池セル3等の劣化を抑制できる。したがって、太陽電池モジュール1の劣化を抑制できる。その結果、信頼性の向上を図ることができる。
また、防湿フィルム6の先端部6a及び先端部6bは、受光面1a(前面板2)側及び反射材5側に折り曲げられている。例えば、防湿フィルム6の先端部6aが受光面1a側に折り曲げられていない構成の場合、前面板2と接着層8との接着面積が小さいため、応力集中等により前面板2と接着層8とが剥離するおそれがある。また、接着層8が露出するため、水分(水蒸気)が浸入し易くなる。これに対して、防湿フィルム6の先端部6a及び先端部6bが受光面1a(前面板2)側及び反射材5側に折り曲げられているため、前面板2及び接着層8と反射材5及び接着層9とにおける接着面積を確保でき、且つ接着層8,9の露出を抑えることができる。
また、防湿フィルム6の先端部6aは、封止材層4の端面4a側からこの端面4aに対向する端面4bに向かうにつれて前面板2に接近するように傾斜しており、先端部6bは、封止材層4の端面4a側からこの端面4aに対向する端面4bに向かうにつれて反射材5に接近するように傾斜している。そして、これに伴い、接着層8,9も封止材層4の端面4a側からこの端面4aに対向する端面4bに向かうにつれて薄くなるように形成されている。これにより、接着層8,9の露出が最小限に抑えられている。したがって、水分の浸入を効果的に抑制できる。
また、封止材層4と同様のEVA樹脂にて接着層8,9を形成しているため、封止材層4と接着層8,9との剥離を防止できる。また、接着層8,9に含有される添加剤が封止材層4へブリードすることにより、EVA樹脂の破壊や劣化を防止できる。
また、防湿フィルム6は、たとえばPET系の軟質なフィルムから構成されているため、複雑が形状にも追従することができる。また、防湿フィルム6は、ラミネート工程にて形成されるため、防湿用のフィルムを設けるための工程を必要としない。そのため、防湿フィルム6を設ける場合であっても、効率的に太陽電池モジュール1を製造することができる。さらに、ラミネート後のトリム工程(端部からはみ出した封止材をカッター等で切り取る工程)を省略できる。
また、防湿フィルム6は、10g/m・day以下の防湿性を有しているため、水蒸気の浸入を防止し、太陽電池セル3や封止材層4の劣化を確実に抑制できる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものでない。例えば、上記実施形態では、図3(b)に示すように、防湿フィルム6が反射材5の凹凸形状に追従しない平面形状とされているが、防湿フィルム6の形状はこれに限定されない。例えば、図6に示す太陽電池モジュール1Aのように、防湿フィルム6Aは、反射材5の凹凸形状に追従する構成であってもよい。この場合には、反射材5側からの水分の浸入をさらに効果的に抑制することができる。
また、上記実施形態では、反射材5が凹凸形状を有しているものを例示したが、図7に示す太陽電池モジュール1Bように、反射材5Aは板状であってもよい。
また、上記実施形態において、封止材層4をはじめとする材料は、上記したものに限定されず、様々なものを用いることができる。
図8〜図10に示す実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
最初に、防湿試験を行うための試験装置について図8を参照しながら説明する。図8に示すように、防湿試験には、ブロック30を用いた。このブロック30は、ガラス31、ガラス32、EVA33が三層に積層されているものであり、ガラス31,32及びEVA33の端面側には、各種シール材が配置可能となっている。ガラス31,32は、いずれも厚みが2.5mmのものを用い、EVA33は、架橋率が90%確保された厚さ6mmのものを用いた。ブロック30の長さLは、150mmであり、幅Wは、100mmである。
防湿試験は、ブロック30に各種シール材を配置し、高温高湿(85℃・85%RH)において500時間経過した後に、EVA33の端部において白濁した距離(Xmm)を計測した。この距離Xにて、防湿性を確認した。以下、比較例1〜4及び実施例1,2について、図9及び図10を参照しながら説明する。
比較例1は、ブロック30の端部にシール材を設けない構成とした。比較例2は、ブロック30の端部にブチルゴムを設けた。比較例3は、ブロック30の端部にアクリル系接着剤にてアルミフィルム(0.02mm)を接着した。アルミフィルムの先端部は、ガラス31,32の両方側に折り返した。比較例4は、ブロック30の端部にEVAによりアルミ板を接着した。
また、実施例1は、本発明に用いられるPET系の防湿フィルムをブロック30の端部に配置した。フィルムの接着には、EVAを用いた。実施例2は、本発明に用いられるPET系の防湿フィルムをブロック30の端部に配置し、フィルムの先端部は、ガラス31.32の両方側に折り返した。フィルムの接着には、実施例1と同様にEVAを用いた。
以上のような比較例1〜4及び実施例1,2にて防湿試験を行った結果、以下のような結果が得られた。すなわち、図7及び図8に示すように、最も白濁した距離Xが大きい、つまり最も防湿性が確保されなかったのは、シール材を設けていない比較例1(X=55mm)であり、EVA33全体が白濁する結果となった。また、比較例2〜4においては、距離Xが30mm、40mmとなり、防湿性の確保が不十分であることが確認された。具体的には、比較例2では、ブチルゴムシールの封止効果が不十分であり、比較例3では、アルミフィルムを接着する接着材から水蒸気が浸入しEVA33が白濁していた。比較例4では、アルミ板に剛性があるため、試験体(ブロック30)の端部を完全にシールすることができないため、露出したEVAから水蒸気が浸入していた。
一方、実施例1では、EVA33が白濁した距離Xが5mmであり、比較例1〜4に比べて防湿性が確保されていることが確認された。EVA33が5mm白濁した理由としては、防湿フィルムを接着するEVAが露出している部分が存在するため、そこから水蒸気が浸入したと考えられる。また、実施例2では、EVA33が白濁した距離Xが1mmであり、ほとんど白濁が確認されず、最も防湿性が確保されているという結果が得られた。以上の結果より、本発明の太陽電池モジュールに設けられた防湿フィルムの構成では、防湿性を高めることに有効であることが確認された。
1…太陽電池モジュール、1a…受光面、2…前面板、2a…端部、4…封止材層、4a…端面、5…反射材、5a…端部、6…防湿フィルム、8,9…接着層、10,12,13…EVA樹脂シート(封止材)。

Claims (3)

  1. 太陽電池セルと、
    前記太陽電池セルを封止すると共に封止材からなる封止材層と、
    前記太陽電池セルに光を入射させる受光面を有する前面板と、
    前記受光面から入射した光を前記太陽電池セルに向けて反射させる反射材とを備えた太陽電池モジュールであって、
    前記封止材層の端面を覆いつつ、前記前面板における前記受光面の端部及び前記反射材の端部の少なくとも一方を覆うと共に、前記封止材によって接着された防湿フィルムを備えることを特徴とする太陽電池モジュール。
  2. 前記防湿フィルムは、前記前面板における前記受光面の端部及び前記反射材の端部を覆っており、
    前記防湿フィルムと前記受光面との間を接着する前記封止材は、前記封止材層の一端面側から当該一端面に対向する他端面側に向かうにつれて薄くなるように形成されており、
    前記防湿フィルムと前記反射材との間を接着する前記封止材は、前記封止材層の端面側から当該一端面に対向する他端面側に向かうにつれて薄くなるように形成されている請求項1記載の太陽電池モジュール。
  3. 前記防湿フィルムは、10g/m・day以下の防湿性を有する請求項1又は2記載の太陽電池モジュール。
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