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JP2011213917A - 水系顔料分散体の製造方法、水系顔料分散体及びインクジェット記録用水性インク - Google Patents

水系顔料分散体の製造方法、水系顔料分散体及びインクジェット記録用水性インク Download PDF

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JP2011213917A
JP2011213917A JP2010084402A JP2010084402A JP2011213917A JP 2011213917 A JP2011213917 A JP 2011213917A JP 2010084402 A JP2010084402 A JP 2010084402A JP 2010084402 A JP2010084402 A JP 2010084402A JP 2011213917 A JP2011213917 A JP 2011213917A
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宏 山本
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Abstract

【課題】保存安定性、吐出精度、光沢度、耐擦過性に優れた水系顔料分散体の製造方法、水系顔料分散体を提供する。
【解決手段】体積平均粒子径(Mv)が40〜120nmであり、且つ、下記式Aで表される多分散性指数(PDI)が1.6以下である水系顔料分散体の製造方法であって、
(i)下記A、B及びCを含む材料を混合する混合工程と、
A:平均一次粒子径が10〜70nmである特定構造を有するアゾ顔料、その互変異性体、それらの塩及び水和物からなる群より選択される少なくとも1種
B:水不溶性ポリマー
C:分散媒
(ii)該混合工程で得られた混合物を高圧ホモジナイザーで分散処理する分散工程を有することを特徴とする水系顔料分散体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、水系顔料分散体の製造方法、水系顔料分散体及びインクジェット記録用水性インクに係り、より詳細には特定の構造を有するアゾ顔料を含む水系顔料分散体の製造方法、水系顔料分散体及びインクジェット記録用水性インクに関する。
インクジェット用被記録媒体として様々な媒体が使用されてきており、インクジェット専用紙のみならず、市販の普通紙、上質紙やコート紙やアート紙などの印刷媒体でも高品位の画質が求められている。普通紙や印刷媒体で耐水性や耐光性等の堅牢性を与えるインク色材として顔料が好ましく、コストの観点も含めて水性顔料インクでの検討が種々行われている。その中で、インクジェット記録用のイエロー顔料としてアゾ系顔料が好ましく使用されている。
例えば、特許文献1ではジアゾ顔料C.I.ピグメントイエロー74と水不溶性ポリマーとを含有する水系インクについて、分散メディアを用いた分散機で顔料とポリマーの混合物を湿式粉砕した後に、高圧ホモジナイザーで分散処理して製造されることが記載されている。このインクは粗大粒子の個数を1.2×107個/ml以下とすることで、インクジェット記録用水系インクに求められる耐擦過性を向上させたものである。
特許第4076999号公報
しかしながら、特許文献1に記載の水系インクでは、ジアゾ顔料を分散メディアによって分散しているため、過分散により生じた微細粒子に起因し、顔料分散組成物の粘度が上昇したり、チキソトロピーが強く現れたりするほか、顔料が凝集して粒子径の大きい二次粒子を形成することがあり、いずれも経時で顕著となり保存安定性が悪くなり、ひいてはインクの流動性が低下する為に飛行曲り、ノズル開口部での粒子固着による目詰まりが発生するという吐出精度に問題が生じると考えられる。また、過分散により生じた微細粒子によって粒度分布幅が広くなるため、写真用紙などの専用紙に印画した際に必要な光沢度が得られないことが懸念される。しかし、過分散を抑制するために分散メディアの使用を中止すると粗大粒子により耐擦過性が低下するという不具合が生じる。
本発明は、水系顔料分散体や水性インクにおける上記課題に着目してなされたものであって、その目的は、保存安定性、吐出精度、光沢度及び耐擦過性の全てに優れた水系顔料分散体の製造方法、水系顔料分散体及びインクジエット用水性インクを提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するアゾ顔料の平均一次粒子径を規定の範囲内に調製した後に、水不溶性ポリマー、水性分散体等と共に高圧ホモジナイザーで分散処理する方法によって、特定の体積平均粒子径と多分散性指数(粒度分布幅)を有する水系顔料分散体を得ることにより、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題は以下の手段により達成することができる。
〔1〕
体積平均粒子径(Mv)が40〜120nmであり、かつ、下記式Aで表される多分散性指数(PDI)が1.6以下である水系顔料分散体の製造方法であって、
(i)下記A、B及びCを含む材料を混合する混合工程と、
A:平均一次粒子径が10〜70nmである下記一般式(1)で表されるアゾ顔料、その互変異性体、それらの塩及び水和物からなる群より選択される少なくとも1種
B:水不溶性ポリマー
C:分散媒
(ii)該混合工程で得られた混合物を高圧ホモジナイザーで分散処理する分散工程を有することを特徴とする水系顔料分散体の製造方法。
式A:PDI=(D90−D10)/D50
〔式中、D90、D50、D10は、それぞれ分布関数dG=F(D)dD(Gは顔料粒子数、Dは粒径)の積分が、顔料粒子の全粒子数の0.9(90個数%)、0.5(50個数%)及び0.1(10個数%)に等しい粒径を表す。〕
Figure 2011213917
(一般式(1)中、Zは5〜6員ヘテロ環を表し、Y、Y、R11、R12は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、G、Gは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、W、Wはそれぞれ独立にアルコキシ基、アミノ基、アルキル基又はアリール基を表す。)
〔2〕
前記水不溶性ポリマーが下記一般式(PI)で表される疎水性構造単位(a)と、親水性構造単位(c)とを含むビニルポリマーであることを特徴とする〔1〕に記載の水系顔料分散体の製造方法。
Figure 2011213917
(一般式(PI)中、Rは水素原子、メチル基又はハロゲン原子を表し、Lは−COO−、−OCO−、−CONR−、−O−又は置換若しくは無置換のフェニレン基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。Arは芳香族炭化水素環から誘導される1価の基を表す。)
〔3〕
一般式(1)中、W、Wが、それぞれ独立に総炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基、又は総炭素数1〜5のアルキルアミノ基であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の水系顔料分散体の製造方法。
〔4〕
一般式(1)中、G、Gが、それぞれ独立に総炭素数1〜3のアルキル基であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の水系顔料分散体の製造方法。
〔5〕
一般式(1)中、Zが、6員含窒素ヘテロ環であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の水系顔料分散体の製造方法。
〔6〕
一般式(1)で表されるアゾ顔料が、下記一般式(10)で表されることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の水系顔料分散体の製造方法。
Figure 2011213917
(一般式(10)中、Zは5〜6員含窒素ヘテロ環を表し、W、Wはそれぞれ独立にアルコキシ基、アミノ基、アルキル基又はアリール基を表す。)
〔7〕
一般式(10)で表されるアゾ顔料が、下記一般式(11)で表されることを特徴とする〔6〕に記載の水系顔料分散体の製造方法。
Figure 2011213917
(一般式(11)中、Z’は6員含窒素ヘテロ環を表す。)
〔8〕
前記混合工程の前に、前記アゾ顔料、その互変異性体、それらの塩及び水和物からなる群より選択される少なくとも1種と、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤とを含む混合物を混練する磨砕工程を備えることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の水系顔料分散体の製造方法。
〔9〕
前記高圧ホモジナイザーによる処理圧力が、80〜150Mpaであることを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の水系顔料分散体の製造方法。
〔10〕
前記分散工程における高圧ホモジナイザー処理のパス回数が1〜6パスであることを特徴とする〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の水系顔料分散体の製造方法。
〔11〕
〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の製造方法で作製された水系顔料分散体。
〔12〕
〔11〕記載の水系顔料分散体を含むインクジェット記録用水性インク。
本発明によれば、規定範囲内の平均一次粒子径を有する特定のアゾ顔料と水不溶性ポリマーと分散媒とを組み合わせて高圧ホモジナイザーで分散処理することにより、保存安定性、吐出精度、光沢度及び耐擦過性に優れた特定の体積平均粒子径と多分散性指数(粒度分布幅)を有する水系顔料分散体の製造方法、該製造方法で作製された水系顔料分散体、及びインクジエット用水性インクを提供することができる。
本発明の水系顔料分散体は、例えば、インクジェットなどの印刷用のインク、電子写真用のカラートナー、LCD、PDPなどのディスプレーやCCDなどの撮像素子で用いられるカラーフィルター、塗料、着色プラスチック等に使用することができる。
<水系顔料分散体の製造方法>
本発明の水系顔料分散体(体積平均粒子径(Mv):40〜120nm、下記式Aで表される多分散性指数(PDI):1.0〜1.5)の製造方法は、材料の混合工程と高圧ホモジナイザーによる混合物の分散工程とを有する。
1.混合工程
混合工程は、下記A、B及びCを含む材料を混合する工程である。
A:平均一次粒子径が10〜70nmである下記一般式(1)で表されるアゾ顔料、その互変異性体、それらの塩及び水和物からなる群より選択される少なくとも1種
B:水不溶性ポリマー
C:分散媒
式A:PDI=(D90−D10)/D50
〔式中、D90、D50、D10は、それぞれ分布関数dG=F(D)dD(Gは顔料粒子数、Dは粒径)の積分が、顔料粒子の全粒子数の0.9(90個数%)、0.5(50個数%)及び0.1(10個数%)に等しい粒径を表す。〕
Figure 2011213917
(一般式(1)中、Zは5又は6員のヘテロ環を表し、Y、Y、R11、R12は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、G、Gは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、W、Wはそれぞれ独立にアルコキシ基、アミノ基、アルキル基又はアリール基を表す。)
上記A、B及びCの混合割合は特に限定はされないが、A:5〜25質量%、B:1〜20質量%であることが好ましく、A:8〜18質量%、B:2〜15質量%であることがより好ましい。また材料には、A、B及びCの他に有機溶剤など任意の成分を含むことができる。
混合方法については特に制限はなく、通常使用される混合攪拌装置を使用することができる。
A.一般式(1)で表されるアゾ顔料、その互変異性体、それらの塩及び水和物
一般式(1)で表されるアゾ顔料は、平均一次粒子径が10〜70nmであり、好ましくは25〜60nmである。この範囲とすることで、高圧ホモジナイザーによる分散処理によって、所望の体積平均粒子径と多分散性指数(粒度分布幅)、即ち、体積平均粒子径(Mv)が40〜120nm、多分散性指数(PDI)が1.0〜1.6の範囲にある水系顔料分散体を得ることができる。平均一次粒子径のコントロールは、後述するソルベントソルトミリング等による顔料の磨砕工程等によって行うこともできる。
なお、本発明において、平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められる。
一般式(1)で表される化合物は、その特異的な構造により色素分子の分子内・分子間相互作用を形成しやすく、水又は有機溶媒等に対する溶解性が低く、好ましい形態のアゾ顔料とすることができる。
顔料は、水や有機溶媒等に分子分散状態で溶解させて使用する染料とは異なり、媒体中に分子集合体等の粒子として微細に分散させて用いるものである。
、Wはそれぞれ独立にアルコキシ基、アミノ基、アルキル基又はアリール基を表す。
、Wで表されるアルコキシ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルコキシ基が挙げられ、その中でも特に炭素数1から8の置換若しくは無置換のアルコキシ基が好ましく、更に炭素数1から4の置換若しくは無置換のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等が挙げられる。特に好ましくはメトキシ基である。
、Wで表されるアミノ基としては、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアニリノ基が挙げられ、その中でもアミノ基、炭素数1から8の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から18の置換若しくは無置換のアニリノ基が好ましく、更にアミノ基、炭素数1から4の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から12の置換若しくは無置換のアニリノ基が好ましく、例えば、アミノ基(−NH)、メチルアミノ基(−NHCH)、ジメチルアミノ基{−N(CH}、アニリノ基(−NHPh)、N−メチル−アニリノ基{−N(CH)Ph}、ジフェニルアミノ基{−N(Ph)}等が挙げられる。特に好ましくはアミノ基である。
、Wで表されるアルキル基としては、直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルキル基が挙げられ、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えば、アルコキシ基、アルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。詳細には、アルキル基としては、好ましくは、炭素数1から30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられ、ビシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等が挙げられる。
、Wで表されるアリール基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリール基が挙げられ、その中でも、炭素数6から18の置換若しくは無置換のアリール基が好ましく、更に炭素数6から12の置換若しくは無置換のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等が挙げられる。
好ましいW、Wとしては、それぞれ独立にアルコキシ基、アミノ基又はアルキル基が挙げられ、中でもアルコキシ基、又はアミノ基が好ましく、総炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基(−NH基)、総炭素数1〜5のアルキルアミノ基が更に好ましく、総炭素数1〜3のアルコキシ基又は総炭素数1〜3のアルキルアミノ基が特に好ましく、その中でもメトキシ基が最も好ましい。Wが総炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基、総炭素数1〜5のアルキルアミノ基の場合、色素分子が分子内及び分子間で相互作用(水素結合やπ−πスタッキング)を強固に形成しやすくなり、より安定な分子配列の構造(例えば3次元ネットワーク)を構成しやすくなることで、良好な色相、高い堅牢性(耐光・耐ガス・耐熱・耐水・耐薬品)の点で好ましい。
一般式(1)において、R11、R12はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R11、R12が置換基を表す場合の置換基としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18の直鎖又は分岐鎖アラルキル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルケニル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メチルスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルボニルフェノキシ、3−メトキシカルボニルフェニルオキシ、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、p−トルエンスルホニルアミノ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、オクチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基)が挙げられる。
一般式(1)において、好ましいR11、R12はそれぞれ独立に、置換若しくは無置換の総炭素数1〜8のアシルアミノ基、置換若しくは無置換の総炭素数1〜12のアルキル基、置換若しくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、又は置換若しくは無置換の総炭素数4〜12のヘテロ環基であり、より好ましくは、総炭素数1〜8の直鎖アルキル基又は分岐アルキル基、置換若しくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基であり、その中でも総炭素数1〜8の直鎖アルキル基又は分岐アルキル基が好ましく、更に詳細にはメチル基、i−プロピル基又はt−ブチル基が好ましく、特にi−プロピル基又はt−ブチル基が好ましく、その中でもt−ブチル基が最も好ましい。
11、R12を総炭素数の小さい(炭素数1〜4)直鎖アルキル基又は分岐アルキル基にすることで、色素分子配列が立体的に制御(一定の距離・角度で配列)しやすくなる。その結果、色素分子が安定な分子内・分子間相互作用(水素結合やπ−πスタッキング)を有する構造が形成されやすく、より安定な分子配列の構造(例えば3次元ネットワーク)を構成しやすくなることで、良好な色相、着色力、高い画像堅牢性(耐光・耐ガス・耐熱・耐水・耐薬品)の点で好ましい。
一般式(1)において、Zは5又は6員のヘテロ環基を表し、それらは更に縮環していてもよい。Zとして好ましくは、5又は6員の置換若しくは無置換のヘテロ環基であり、より好ましくは、6員含窒素ヘテロ環基であり、特に好ましくは、炭素数3から10の6員含窒素ヘテロ環基である。
前記Zで表されるヘテロ環基の例には、置換位置を限定しないで例示すると、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、キノキサリニル、ピロリル、インドリル、フリル、ベンゾフリル、チエニル、ベンゾチエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、ベンズオキサゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、チアジアゾリル、イソオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、チアゾリニル、スルホラニルなどが挙げられる。
好ましいヘテロ環基の例は、ピリジル、ピリミジニル、S−トリアジニル、ピリダジニル、ピラジニル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、イミダゾリルであり、より好ましくは、ピリジル、ピリミジニル、S−トリアジニル、ピリダジニル、ピラジニルであり、特に色相、着色力、画像堅牢性の点から、ピリミジニル、S−トリアジニルが好ましく、更に4,6−に置換基を有するピリミジニル、2位に炭素数1〜4のアルコキシ基を有するS−トリアジニルが色相と画像堅牢性の点から好ましく、その中でも特に4,6−に置換基を有するピリミジニルが良好な画像の光堅牢性向上の点から最も好ましい。
Zをピリミジニル基、S−トリアジニル基にすることでビス型アゾ色素がアミノ基、含窒素6員ヘテロ環とで分子内水素結合を形成しやすくなり、色素分子配列が立体的に制御(一定の距離・角度、平面性で配列)しやすくなる。その結果、色素分子が安定な分子内・分子間相互作用(水素結合やπ−πスタッキング)を有する構造が形成されやすく、より安定な分子配列の構造(例えば3次元ネットワーク)を構成しやすくなることで、良好な色相、着色力、高い画像堅牢性(耐光・耐ガス・耐熱・耐水・耐薬品)の点で好ましい。
、Gは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、特に好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、プロパルギル基、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基が好ましく、更に水素原子、メチル基、フェニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基が好ましく、その中でも総炭素数1〜8の直鎖アルキル基又は分岐アルキル基、2−ピリジル基、2,6−ピリミジニル基、2,5−ピラジニル基が好ましく、総炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。更に色相と画像堅牢性の観点から、水素原子、メチル基が好ましく、その中でも色相と光堅牢性向上の点からメチル基が特に好ましい。
、Yが置換基を表す場合の該置換基の例は、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。Yの例として特に好ましくは、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基)アリール基(例えば、フェニル基)、ヘテロ環基(例えば2−ピリジル基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基)であり、更に水素原子、総炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基、フェニル基、メチルチオ基である。更に色相と画像堅牢性の観点から、水素原子、メチル基が好ましく、その中でも色相と光堅牢性向上の点から水素原子が特に好ましい。
、G、Y、Y、W、W、R11、R12、Zが、更に置換基を有する場合の置換基としては、下記の置換基(以下「置換基J」と称する場合がある)を挙げることができる。
(置換基J)
例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
置換基Jの各基について更に説明する。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基としては、直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルキル基が挙げられ、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えば、アルコキシ基、アルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。詳細には、アルキル基としては、好ましくは、炭素数1から30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられ、ビシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、置換若しくは無置換のアラルキル基が挙げられ、置換若しくは無置換のアラルキル基としては、炭素原子数が7〜30のアラルキル基が好ましい。例えばベンジル基及び2−フェネチル基を挙げられる。
アルケニル基としては、直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルケニル基が挙げられ、シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を包含する。詳細には、アルケニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基等が挙げられ、シクロアルケニル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換若しくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等が挙げられ、ビシクロアルケニル基としては、置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
アリール基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリール基、例えば、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等が挙げられる。
ヘテロ環基としては、好ましくは、5又は6員の置換若しくは無置換の芳香族若しくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等が挙げられる。
シリルオキシ基としては、好ましくは、炭素数0から20の置換若しくは無置換のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基等が挙げられる。
ヘテロ環オキシ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基等が挙げられる。
アシルオキシ基としては、好ましくは、ホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
カルバモイルオキシ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基等が挙げられる。
アルコキシカルボニルオキシ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニルオキシ基としては、好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
アミノ基としては、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアニリノ基、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げられる。
アシルアミノ基としては、好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
アミノカルボニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基等が挙げられる。
アルコキシカルボニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
スルファモイルアミノ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基等が挙げられる。
アルキル又はアリールスルホニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等が挙げられる。
アリールチオ基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等が挙げられる。
ヘテロ環チオ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基等が挙げられる。
スルファモイル基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル基等が挙げられる。
アルキル又はアリールスルフィニル基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基等が挙げられる。
アルキル又はアリールスルホニル基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基等が挙げられる。
アシル基としては、好ましくは、ホルミル基、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数2から30の置換若しくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、2−ピリジルカルボニル基、2−フリルカルボニル基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基としては、好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−t−ブチルフェノキシカルボニル基等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
カルバモイル基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等が挙げられる。
アリール又はヘテロ環アゾ基としては、好ましくは炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換若しくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ等が挙げられる。
イミド基としては、好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基等が挙げられる。
ホスフィノ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基等が挙げられる。
ホスフィニル基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基等が挙げられる。
ホスフィニルオキシ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基等が挙げられる。
ホスフィニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基が挙げられる。
シリル基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等が挙げられる。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、該水素原子が上記の置換基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
なお、前記一般式(1)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(1)で表されるアゾ顔料として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ホ)を含むものである。
(イ)W、Wはそれぞれ独立に、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基)、アミノ基(例えば、−NH基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、シクロプロピル基)又はアリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基)が好ましく、その中でもアルコシキ基、アミノ基又はアルキル基が好ましく、更にアルコキシ基、アミノ基が好ましく、更に好ましくは、総炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基(−NH基)、総炭素数1〜5のアルキルアミノ基であり、特に好ましくは、総炭素数1〜3のアルコキシ基、アミノ基(−NH基)、総炭素数1〜3のアルキルアミノ基であり、更に、メトキシ基(−OCH基)、エトキシ基(−OC基)、アミノ基(−NH基)が好ましく、その中でもメトキシ基(−OCH基)が最も好ましい。
(ロ)R11、R12はそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基(例えば、置換若しくは無置換の総炭素数1〜8のアシルアミノ基、置換若しくは無置換の総炭素数1〜12のアルキル基、置換若しくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、又は置換若しくは無置換の総炭素数4〜12のヘテロ環基)が好ましく、より好ましくは、総炭素数1〜8の直鎖アルキル基又は分岐アルキル基であり、更にメチル基、i−プロピル基又はtert−ブチル基が好ましく、特にi−プロピル基又はt−ブチル基が好ましく、その中でもt−ブチル基が最も好ましい。
(ハ)Zは、二価の5〜6員ヘテロ環基を表し、それらは更に縮環していてもよい。Zとして好ましくは、5又は6員の置換若しくは無置換の含窒素ヘテロ環が挙げられ、更に好ましくは、6員の置換若しくは無置換の含窒素ヘテロ環である。例えば、ピロール環、ピラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、フラン環、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピリダジン環、ピラジン環が好ましく、特に好ましくは、6員含窒素ヘテロ環、具体的には炭素数3から10の6員含窒素ヘテロ環基である。更に好ましいヘテロ環の例は、ピリジン環、ピリミジン環、S−トリアジン環、ピリダジン環、ピラジン環であり、より好ましくは、ピリジン環、ピリミジン環、S−トリアジン環、ピリダジン環、ピラジン環であり、更に好ましくは、ピリミジン環、S−トリアジン環であり、特にピリミジン環、S−トリアジン環が好ましく、更に4,6−に置換基を有するピリミジン環、2位に炭素数1〜4のアルコキシ基を有するS−トリアジン環が好ましく、その中でも4,6−に置換基を有するピリミジン環が最も好ましい。
(ニ)G、Gはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、特に好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、プロパルギル基、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基が好ましく、更に水素原子、メチル基、フェニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基が好ましく、その中でもメチル基、2−ピリジル基、2,6−ピリミジニル基、2,5−ピラジニル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
(ホ)Y、Yはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基)アリール基(例えば、フェニル基)、ヘテロ環基(例えば2−ピリジル基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基)であり、更に水素原子、メチル基、フェニル基、メチルチオ基であり、その中でも水素原子が最も好ましい。
本発明は、一般式(1)で表されるアゾ顔料の互変異性体もその範囲に含むものである。
一般式(1)は、化学構造上取りうる数種の互変異性体の中から極限構造式の形で示しているが、記載された構造以外の互変異性体であってもよく、複数の互変異性体を含有した混合物として用いても良い。
例えば、一般式(1)で表される顔料には、下記一般式(1’)で表されるアゾ−ヒドラゾンの互変異性体が考えられる。本発明は、一般式(1)で表されるアゾ顔料の互変異性体である以下の一般式(1’)で表される化合物もその範囲に含むものである。
Figure 2011213917
(一般式(1’)中、R11、R12、W、W、Y、Y、G、G及びZは一般式(1)中のR11、R12、W、W、Y、Y、G、G及びZと同義である。)
本発明の上記一般式(1)で表されるアゾ顔料のうち、好ましくは下記一般式(2)で表されるアゾ顔料である。
Figure 2011213917
上記一般式(2)中のG、G、R11、R12、W、W、Y及びYは、上記一般式(1)中のG、G、R11、R12、W、W、Y及びYと同義である。
Het.は、上記一般式(1)中のZが構成するヘテロ環を表し、X11、X12はそれぞれ独立にHet.が構成するヘテロ環中のそれぞれヘテロ原子を表す。
また、本発明において、一般式(1)で表されるアゾ顔料は、分子内水素結合又は分子内交叉水素結合を形成する置換基を有することが好ましい。少なくとも1個以上の分子内交叉水素結合を形成する置換基を有することが好ましく、より好ましくは少なくとも3個以上の分子内水素結合を形成する置換基を有する場合が挙げられ、更に少なくとも3個以上の分子内水素結合を形成する置換基を有し、かつ、それらの水素結合の少なくとも2個が分子内交叉水素結合を形成する置換基を有する場合が特に好ましい。
一般式(1)で表されるアゾ顔料のうち、前述したように特に好ましいアゾ顔料の一般式の例としては、上記一般式(2)で表されるアゾ顔料を挙げることができる。
この構造が好ましい要因としては、一般式(2)で示すようにアゾ顔料構造に含有するヘテロ環を構成する窒素原子、水素原子及びヘテロ原子(アゾ基又はその互変異性体であるヒドラゾン基の窒素原子とカルボニル基の酸素原子又はアミノ基の窒素原子)が少なくとも1個以上の分子内の交叉水素結合(分子内水素結合)を容易に形成し易いことが挙げられる。
更に好ましくは、上記一般式(2)で示すようにアゾ顔料構造に含有するヘテロ環基を構成する窒素原子、アミノ基の水素原子及びヘテロ原子(アゾ基又はその互変異性体であるヒドラゾン基の窒素原子とカルボニル基の酸素原子又はアミノ基の窒素原子)が少なくとも4個以上の分子内水素結合を容易に形成し易く、かつ、少なくとも2個以上の分子内の交叉水素結合を容易に形成し易いことが挙げられる。
その結果、分子の平面性が上がり、更に分子内・分子間相互作用(水素結合・π−πスタッキング)が向上し、例えば一般式(2)で表されるアゾ顔料の結晶性が高くなり(高次構造を形成し易くなり)、顔料としての要求性能である、光堅牢性、熱安定性、湿熱安定性、耐水性、耐ガス性及び又は耐溶剤性が大幅に向上するため、最も好ましい例となる。
また、本発明では、一般式(1)〜(2)で表される化合物中に同位元素(例えば、2H、3H、13C、15N)を含有していても適用できる。
本発明では、効果の点から、一般式(1)〜(2)で表されるアゾ顔料のうち以下の一般式(10)で表されるアゾ顔料が更に好ましく、一般式(11)で表されるアゾ顔料が特に好ましい。
Figure 2011213917
(一般式(10)中、Zは5又は6員の含窒素ヘテロ環を表し、W、Wはそれぞれ独立にアルコキシ基、アミノ基、アルキル基又はアリール基を表す。)
Figure 2011213917
(一般式(11)中、Z’は6員含窒素ヘテロ環を表す。)
一般式(11)中、Z’が表す6員含窒素ヘテロ環としては、一般式(1)中のZが表す6員含窒素ヘテロ環と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
以下に前記一般式(1)〜(2)で表されるアゾ顔料の具体例を以下に示すが、本発明に用いられるアゾ顔料は、下記の例に限定されるものではない。また、以下の具体例の構造は化学構造上取りうる数種の互変異性体の中から極限構造式の形で示されるが、記載された構造以外の互変異性体構造のものであっても良いことは言うまでもない。
Figure 2011213917
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Figure 2011213917
Figure 2011213917
上記の中でも、本発明の効果の点から、Pig.−1,Pig.−18,Pig.−25が好ましい。
本発明では、化合物の構造によって互変異性体が存在する場合においても、本発明においては代表的な形の一つで記載しているが、本発明の記述と異なる互変異性体も本発明のアゾ顔料に含まれる。また、本発明のアゾ顔料の塩、水和物も本発明のアゾ顔料に含まれる。
本発明の一般式(1)で表される顔料は、化学構造式が一般式(1)又はその互変異性体であれば良く、多形とも呼ばれるいかなる結晶形態の顔料であっても良い。
結晶多形は、同じ化学組成を有するが、結晶中におけるビルディングブロック(分子又はイオン)の配置が異なることを言う。結晶構造によって化学的及び物理的性質が決定され、各多形は、レオロジー、色、及び他の色特性によってそれぞれ区別することができる。また、異なる多形は、X−Ray Diffraction(粉末X線回折測定結果)やX−Ray Analysis(X線結晶構造解析結果)によって確認することもできる。
本発明の一般式(1)〜(4)で表される顔料に結晶多形が存在する場合、どの多形であってもよく、また2種以上の多形の混合物であっても良いが、結晶型が単一のものを主成分とすることが好ましい。すなわち結晶多形が混入していないものが好ましく、単一の結晶型を有するアゾ顔料の含有量はアゾ顔料全体に対し70%〜100%、好ましくは80%〜100%、より好ましくは90%〜100%、更に好ましくは95%〜100%、特に好ましくは100%である。単一の結晶型を有するアゾ顔料を主成分とすることで、色素分子の配列に対して規則性が向上し、分子内・分子間相互作用が強まり高次な3次元ネットワークを形成しやすくなる。その結果として色相の向上・光堅牢性・熱堅牢性・湿度堅牢性・酸化性ガス堅牢性及び耐溶剤性等、顔料に要求される性能の点で好ましい。
アゾ顔料における結晶多形の混合比は、単結晶X線結晶構造解析、粉末X線回折(XRD)、結晶の顕微鏡写真(TEM)、IR(KBr法)等の固体の物理化学的測定値から確認できる。
本発明において、一般式(1)で表されるアゾ顔料は、酸基のある場合には、酸基の一部あるいは全部が塩型のものであってもよく、塩型の顔料と遊離酸型の顔料が混在していてもよい。上記の塩型の例としてNa、Li、K等のアルカリ金属の塩、Mg、Ca、Ba等のアルカリ土類金属の塩、アルキル基若しくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムの塩、又は有機アミンの塩が挙げられる。有機アミンの例として、低級アルキルアミン、ヒドロキシ置換低級アルキルアミン、カルボキシ置換低級アルキルアミン及び炭素数2〜4のアルキレンイミン単位を2〜10個有するポリアミン等が挙げられる。これらの塩型の場合、その種類は1種類に限られず複数種混在していてもよい。
更に、本発明で使用する顔料の構造において、その1分子中に酸基が複数個含まれる場合は、その複数の酸基は塩型あるいは酸型であり互いに異なるものであってもよい。
本発明において、前記一般式(1)で表されるアゾ顔料は、結晶中に水分子を含む水和物であっても良い。
次に上記一般式(1)で表されるアゾ顔料の製造方法の一例について説明する。例えば、下記一般式(A)で表されるヘテロ環アミンを酸性条件でジアゾニウム化し、下記一般式(B)で表される化合物とカップリング反応を行い、常法による後処理を行って上記一般式(1)で表されるアゾ顔料を製造することができる。
Figure 2011213917
(一般式(A)及び(B)中、G、Y、W、R11、R12、Zは一般式(1)中の対応するG、G、Y、Y、W、W、R11、R12、Zと同義である。)
上記一般式(A)で表されるヘテロ環アミンは、一般的には公知慣用の方法、例えば、Helv.Chim.Acta,41,1958,1052〜1056やHelv.Chim.Acta,42,1959,349〜352等に記載の方法、及び、それに準じた方法で製造することができる。
上記一般式(B)で表される化合物は、国際公開第06/082669号や特開2006−57076号公報に記載の方法、及び、それに準じた方法で製造することができる。
上記一般式(A)で表されるヘテロ環アミンのジアゾニウム化反応は、例えば、硫酸、リン酸、酢酸、塩酸、メタンスルホン酸などの酸性溶媒中、亜硝酸ナトリウム、ニトロシル硫酸、亜硝酸イソアミル等の試薬を15℃以下の温度で10分〜6時間程度反応させることで行うことができる。
カップリング反応は、上述の方法で得られたジアゾニウム塩と上記一般式(B)で表される化合物とを40℃以下、好ましくは、25℃以下で10分〜12時間程度反応させることで行うことができる。
このようにして反応させたものは、結晶が析出しているものもあるが、一般的には反応液に水、あるいはアルコール系溶媒を添加し、結晶を析出させ、結晶を濾取することができる。また、反応液にアルコール系溶媒、水等を添加して結晶を析出させて、析出した結晶を濾取することができる。濾取した結晶を必要に応じて洗浄・乾燥して、一般式(1)で表されるアゾ顔料を得ることができる。
上記の製造方法によって、上記一般式(1)で表される化合物は粗アゾ顔料(クルード)として得られるが、本発明において顔料として用いる場合、混合工程に供する前に、後処理を行うことが望ましい。一次粒子径をコントロールするためである。この後処理の方法としては、例えば、ソルベントソルトミリング、ソルトミリング、ドライミリング、ソルベントミリング、アシッドペースティング等の磨砕処理、溶媒加熱処理などによる顔料粒子制御工程、樹脂、界面活性剤及び分散剤等による表面処理工程が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物について、後処理によって一次粒子径を10〜70nmとする場合には、溶媒加熱処理及び/又はソルベントソルトミリングを行うことが好ましく、ソルベントソルトミリングを行うことがより好ましい。
溶媒加熱処理に使用される溶媒としては、例えば、水、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の極性非プロトン性有機溶媒、氷酢酸、ピリジン、又はこれらの混合物等が挙げられる。上記で挙げた溶媒に、更に無機又は有機の酸又は塩基を加えても良い。溶媒加熱処理の温度は所望する顔料の一次粒子径の大きさによって異なるが、本発明においては、40〜150℃が好ましく、60〜100℃が更に好ましい。また、処理時間は、30分〜24時間が好ましい。
ソルベントソルトミリングは、例えば、アゾ顔料、その互変異性体、それらの塩及び水和物からなる群より選択される少なくとも1種(以下、「アゾ顔料等」という場合がある)と、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤とを含む混合物を混練機に仕込み、その中で混練する磨砕工程である。
上記水溶性無機塩としては、通常用いられる水溶性無機塩を特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の無機塩を用いることが好ましい。また、使用する水溶性無機塩の平均粒子径は、0.5〜50μmが好ましく、1〜20μmがより好ましく、1〜10μmが更に好ましい。当該無機塩の使用量は、アゾ顔料等に対して1〜30質量倍とすることができ、生産性の観点から3〜20質量倍とするのが好ましく、5〜15質量倍とするのがより好ましい。
水溶性有機溶剤としては、水に溶解し、アゾ顔料等と上記水溶性無機塩を実質的に溶解しないものが好ましく、混練時の温度上昇により溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から高沸点溶剤が好ましい。水溶性有機溶剤は粗アゾ顔料と水溶性無機塩とを含む混合物を混練に適用可能な硬さに調整するために用いることができる。このような水溶性有機溶剤としては、例えばジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングルコール、液体ポリプロピレングリコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2ー(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール又はこれらの混合物が挙げられる。当該水溶性有機溶剤の使用量は、アゾ顔料等に対して0.1〜5質量倍が好ましい。混練温度は、20〜130℃が好ましく、40〜110℃が特に好ましい。混練機としては、例えばニーダーやミックスマーラー等が使用できる。
B:水不溶性ポリマー
本発明における水不溶性ポリマーは、有機溶剤に溶解し、一般式(1)で表されるアゾ顔料の少なくとも一部を被覆して分散媒に分散可能な樹脂であれば特に制限はない。例えば、エチレン性不飽和基を有するモノマーの共重合体である、ノニオン性高分子化合物、アニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物及び両性高分子化合物等を挙げることができる。
本発明における水不溶性ポリマーは、分散媒中で安定的に存在することができ、凝集物の付着又は堆積を緩和し、付着した凝集物の除去の容易化の観点から、疎水性構造単位と親水性構造単位とからなる樹脂であることが好ましい。
疎水性構造単位としては、例えば、親水性構造単位に属しない(例えば親水性の官能基を有しない)例えば(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、及びビニルエステル類などのビニルモノマー類等に由来の構造単位、並びに主鎖をなす原子に連結基を介して芳香環を有する疎水性構造単位を挙げることができる。これらの構造単位は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記(メタ)アクリレート類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、特にメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが好ましい。
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、N−アリル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
前記スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、n−ブチルスチレン、tert−ブチルスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチルスチレン、ビニルナフタレン等などが挙げられ、中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
前記ビニルエステル類としては、例えば、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどのビニルエステル類が挙げられる。中でも、ビニルアセテートが好ましい。
「主鎖をなす原子に連結基を介して芳香環を有する疎水性構造単位」では、芳香環は連結基を介して水不溶性ポリマーの主鎖をなす原子と結合され、水不溶性ポリマーの主鎖をなす原子に直接結合しない構造を有するので、疎水性の芳香環と親水性構造単位との間に適切な距離が維持されるため、水不溶性ポリマーと顔料との間で相互作用が生じやすく、強固に吸着して分散性が更に向上する。
親水性構造単位としては、親水性基を含むモノマーに由来する構造単位であれば特に制限はない。前記親水性基としてはアニオン性、カチオン性、及び非イオン性のいずれであってもよい。本発明において前記親水性構造単位は、分散性の観点から、アニオン性親水性基を含む構造単位の少なくとも1種を含むことが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方に由来する構造単位を含むことが好ましい。
本発明において親水性構造単位は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明における水不溶性ポリマーはアクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方に由来する構造単位を含むことが好ましいが、その他の親水性構造単位を含んでいてもよい。その他の親水性構造単位としては、非イオン性の親水性基又はカチオン性の親水性基を有するモノマーに由来の構造単位が挙げられる。
また非イオン性又はカチオン性の「親水性の官能基」としては、水酸基、アミノ基、(窒素原子が無置換の)アミド基、及び後述のポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドが挙げられる。
非イオン性又はカチオン性の親水性基を有するモノマーとしては、例えば、非イオン性又はカチオン性の親水性の官能基を有する(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、及びビニルエステル類等のビニルモノマー類に由来する構造単位を挙げることができる。
非イオン性又はカチオン性の親水性基を有する親水性構造単位を形成するモノマーとしては、エチレン性不飽和結合等の重合体を形成しうる官能基と非イオン性又はカチオン性の親水性の官能基とを有していれば、特に制限はなく、公知のモノマーから選択することができる。具体的な例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、アミノプロピルアクリレート、アルキレンオキシド重合体を含有する(メタ)アクリレートを好適に挙げることができる。
非イオン性又はカチオン性の親水性基を有する親水性構造単位は、対応するモノマーの重合により形成することができるが、重合後のポリマー鎖に親水性の官能基を導入してもよい。
非イオン性の親水性基を有する親水性構造単位は、アルキレンオキシド構造を有する親水性の構造単位がより好ましい。アルキレンオキシド構造のアルキレン部位としては、親水性の観点から、炭素数1〜6のアルキレン部位が好ましく、炭素数2〜6のアルキレン部位がより好ましく、炭素数2〜4のアルキレン部位が特に好ましい。また、アルキレンオキシド構造の重合度としては、1〜120が好ましく、1〜60がより好ましく、1〜30が特に好ましい。
また、非イオン性の親水性基を有する親水性構造単位は、水酸基を含む親水性の構造単位であることも好ましい態様である。構造単位中の水酸基数としては、特に制限はなく、水不溶性ポリマーの親水性、重合時の溶媒や他のモノマーとの相溶性の観点から、1〜4が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2が特に好ましい。
本発明における水不溶性ポリマーとしては、親水性構造単位と疎水性構造単位との組成は各々の親水性、疎水性の程度にも影響するが、親水性構造単位の割合が15質量%以下であることが好ましい。このとき、疎水性構造単位は、水不溶性ポリマーの質量全体に対して、80質量%を超える割合であるのが好ましく、85質量%以上であるのがより好ましい。
親水性構造単位の含有量が15質量%以下であると、単独で水性媒体中に溶解する成分量が抑えられ、顔料の分散などの諸性能が良好になり、インクジェット記録時には良好なインク吐出性が得られる。
親水性構造単位の好ましい含有割合は、水不溶性ポリマーの全質量に対して、0質量%を超え15質量%以下の範囲であり、より好ましくは2〜15質量%の範囲であり、更に好ましくは5〜15質量%の範囲であり、特に好ましくは8〜12質量%の範囲である。
水不溶性ポリマー中に含まれる芳香環基の含有割合は、水不溶性ポリマーの全質量に対して、27質量%以下であるのが好ましく、25質量%以下であるのがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。中でも、15〜20質量%であるのが好ましく、17〜20質量%の範囲がより好ましい。芳香族環の含有割合が前記範囲内であると、耐擦過性が向上する。
本発明における水不溶性ポリマーがアニオン性基を有する場合、水不溶性ポリマーの酸価としては、顔料分散性、保存安定性の観点から、30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましく、30mgKOH/g以上85mgKOH/g以下であることがより好ましく、50mgKOH/g以上85mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
なお、酸価とは、水不溶性ポリマーの1g中のアニオン性基を完全に中和するのに要するKOHの質量(mg)で定義され、JIS規格(JISK0070、1992)記載の方法により測定されるものである。
本発明における水不溶性ポリマーの分子量としては、質量平均分子量(Mw)で3万以上が好ましく、3万〜15万がより好ましく、更に好ましくは3万〜10万であり、特に好ましくは3万〜8万である。分子量が3万以上であると、分散剤としての立体反発効果が良好になる傾向があり、立体効果により顔料へ吸着し易くなる。
また、数平均分子量(Mn)では1,000〜100,000の範囲程度のものが好ましく、3,000〜50,000の範囲程度のものが特に好ましい。数平均分子量が前記範囲内であると、顔料における被覆膜としての機能又はインク組成物の塗膜としての機能を発揮することができる。本発明における水不溶性ポリマーは、アルカリ金属や有機アミンの塩の形で使用されることが好ましい。
また、本発明における水不溶性ポリマーの分子量分布(質量平均分子量/数平均分子量)としては、1〜6の範囲が好ましく、1〜4の範囲がより好ましい。分子量分布が前記範囲内であると、インクの分散安定性、吐出安定性を高められる。
数平均分子量及び質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定される。GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(いずれも東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)の3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を、標準物質としてポリスチレンを用いて換算することにより求められる分子量である。条件としては、試料濃度を0.35質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行なう。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製するものである。
本発明における水不溶性ポリマーは、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合により合成することができる。重合反応は、回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行なうことができる。重合の開始方法は、ラジカル開始剤を用いる方法、光又は放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば、鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
前記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤には、通常用いられる溶剤を特に制限なく用いることができる。溶剤は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。また、水との混合溶媒として用いてもよい。重合温度は、生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり、通常は0℃〜100℃程度であるが、50〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は1〜100kg/cmであり、特に1〜30kg/cm程度が好ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。得られた樹脂は、再沈殿などの精製を行なってもよい。
本発明において水不溶性ポリマーは、下記一般式(PI)で表される疎水性構造単位(a)と親水性構造単位(c)とを含むビニルポリマーであることが好ましい。
Figure 2011213917
(一般式(PI)中、Rは水素原子、メチル基又はハロゲン原子を表し、Lは−COO−、−OCO−、−CONR−、−O−又は置換若しくは無置換のフェニレン基を表し、Rは水素原子又はアルキル基をす。Lは単結合又は2価の連結基を表す。Arは芳香族炭化水素環から誘導される1価の基を表す。)
一般式(PI)で表される疎水性構造単位(a):
一般式(PI)で表される疎水性構造単位(a)(以下単に「疎水性構造単位(a)」と称する場合がある。)の含有量は、顔料の分散安定性、吐出安定性、洗浄性の観点から、前記ビニルポリマーの全質量のうち10質量%以上75質量%未満であることが好ましく、20質量%以上70質量%未満であることがより好ましく、30質量%以上60質量%未満であることが特に好ましい。
一般式(PI)について説明する。
は水素原子、メチル基又はハロゲン原子を表し、水素原子又はメチル基が好ましい。
は−COO−、−OCO−、−CONR−、−O−又はフェニレン基を表す。フェニレン基は置換基を有していてもよい。Lは−COO−がより好ましい。
は水素原子又はアルキル基を表す。Rが表すアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
ここで、前記置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基等、シアノ基等が挙げられるが、特に限定されない。
が2価の連結基である場合、好ましくは炭素数1〜30の連結基であり、より好ましくは炭素数1〜25の連結基であり、特に好ましくは炭素数1〜20の連結基である。Lはアルキレンオキシ基及びアルキレン基より選択される少なくとも一つを含む炭素数1〜25の2価の連結基であることが好ましく、アルキレンオキシ基及びアルキレン基より選択される少なくとも一つを含む炭素数1〜20の2価の連結基であることがより好ましく、−(CH−CH−O)−である(nは平均の繰り返し単位数を表し、n=1〜6である)ことが更に好ましい。
上記一般式(PI)の中でも、Rが水素原子又はメチル基であり、Lが(主鎖側)−COO−であり、Lがアルキレンオキシ基及びアルキレン基より選択される少なくとも一つを含む炭素数1〜25の2価の連結基である構造単位の組合せが好ましく、より好ましくは、Rが水素原子又はメチル基であり、Lが(主鎖側)−COO−であり、Lが(主鎖側)−(CH−CH−O)−である(nは平均の繰り返し単位数をあらわし、n=1〜6である)構造単位の組合せである。
Arは芳香族炭化水素環から誘導される1価の基を表す。
Arにおける芳香族炭化水素環としては、特に限定されないが、ベンゼン環、炭素数8以上の縮環型芳香族炭化水素環、芳香族炭化水素環が縮環したヘテロ環、又は二個以上連結したベンゼン環が挙げられる。
前記炭素数8以上の縮環型芳香族炭化水素環とは、少なくとも二個以上のベンゼン環が縮環した芳香族炭化水素環、及び/又は、少なくとも一種以上の芳香族炭化水素環と該芳香族炭化水素環に縮環した脂環式炭化水素で環が構成される、炭素数8以上の芳香族化合物である。具体的な例としては、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アセナフテンなどが挙げられる。
前記芳香族炭化水素環が縮環したヘテロ環とは、ヘテロ原子を含まない芳香族化合物(好ましくはベンゼン環)と、ヘテロ原子を有する環状化合物とが少なくとも縮環した化合物である。ここで、ヘテロ原子を有する環状化合物は5員環又は6員環であることが好ましい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子が好ましい。ヘテロ原子を有する環状化合物は複数のヘテロ原子を有していても良く、この場合、ヘテロ原子は互いに同じでも異なっていてもよい。芳香族炭化水素環が縮環したヘテロ環の具体例としては、フタルイミド、アクリドン、カルバゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
一般式(PI)で表される疎水性構造単位(a)はアクリレート及び(メタ)アクリレートに由来の構造単位より選択される少なくとも一つであることが好ましい。アクリレート及び(メタ)アクリレートに由来の構造単位より選択される少なくとも一つであれば、主鎖から芳香族炭化水素環をエステル結合を介して結合することができ、顔料と吸着性などの相互作用が期待できる芳香族炭化水素環が主鎖から自由度を持った立体構造をとることができる。
また、一般式(PI)で表される疎水性構造単位(a)はベンゼン環、炭素数8以上の縮環型芳香族炭化水素環、芳香族炭化水素環が縮環したヘテロ環、又は二個以上連結したベンゼン環から誘導される1価の基を含むことが好ましい。前記の芳香族炭化水素環を採用することで顔料との吸着性などの相互作用が発揮できるからである。
以下に、一般式(PI)で表される疎水性構造単位(a)を形成しうるモノマーの具体例を挙げるが、本発明は以下の具体例に制限されるものではない。
Figure 2011213917
Figure 2011213917
本発明において、一般式(PI)で表される疎水性構造単位(a)の中でも、分散安定性の観点から、ベンジルアクリレート、ベンジルメタアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、及びフェノキシエチルメタクリレートのいずれかより選択される少なくとも一つに由来する構造単位であることが好ましく、フェノキシエチルメタクリレート及びベンジルメタアクリレートより選択される少なくとも一つを含むことがより好ましい。
本発明においては、前記疎水性構造単位(a)がフェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来の構造単位を総量でビニルポリマー全質量に対して20〜80質量%含むことがより好ましい。
前記疎水性構造単位(a)がフェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来の構造単位及びベンジル(メタ)アクリレートに由来の構造単位より選択される少なくとも一つを総量でビニルポリマー全質量に対して20質量%以上、好ましくは20〜60質量%含み、前記親水性構造単位(c)がアクリル酸及びメタクリル酸に由来の構造単位より選択される少なくとも一つをビニルポリマー全質量に対して30質量%、好ましくは8〜30質量%含むことが更に好ましい。
その中でも、前記疎水性構造単位(a)がフェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来の構造単位を総量でビニルポリマー全質量に対して20〜60質量%含み、前記親水性構造単位(c)がアクリル酸及びメタクリル酸に由来の構造単位より選択される少なくとも一つをビニルポリマー全質量に対して8〜15質量%含むことが特に好ましい。
疎水性構造単位(b):
ビニルポリマーは、更にアクリル酸又はメタクリル酸の、アルキルエステルに由来する疎水性構造単位(b)を含有することができる。
アルキルエステルの炭素数は炭素数1〜18が好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜4が更に好ましく、炭素数1〜2が特に好ましい。
疎水性構造単位(b)の含有量はビニルポリマー中に好ましくは5質量%以上75質量%以下、更に好ましくは、20質量%以上60質量%以下である。
疎水性構造単位(b)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類が挙げられる。
中でもメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
親水性構造単位(c):
本発明におけるビニルポリマーに含まれる親水性構造単位(c)について説明する。
親水性構造単位(c)の例として、カルボン酸を有するアクリル酸、メタクリル酸を挙げることができる。また、非イオン性の親水性基を含有する親水性構造単位を挙げることができる。
前記親水性構造単位(c)の例として、親水性の官能基を有する(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエステル類が挙げられる。
親水性の官能基としては、水酸基、アミノ基、(窒素原子が無置換の)アミド基及び、後述するようなポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のアルキレンオキシド重合体が挙げられる。
これらのうち、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、アミノプロピルアクリレート、アルキレンオキシド重合体を含有する(メタ)アクリレートが特に好ましい。
前記親水性構造単位(c)の例として、アルキレンオキシド重合体構造を有する親水性の構造単位を挙げることができる。
前記アルキレンオキシド重合体のアルキレンとしては、親水性の観点から炭素数1〜6が好ましく、炭素数2〜6がより好ましく、炭素数2〜4が特に好ましい。
また、前記アルキレンオキシド重合体の重合度としては、1〜120が好ましく、1〜60がより好ましく、1〜30が特に好ましい。
前記親水性構造単位(c)の例として、水酸基を含む親水性の構造単位を挙げることができる。水酸基数としては、特に限定されず、ビニルポリマーの親水性、重合時の溶媒や他のモノマーとの相溶性の観点から、1〜4が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2が特に好ましい。
親水性構造単位(c)の好ましい例として、アクリル酸、メタクリル酸を挙げることができる。
前記親水性構造単位(c)の含有量は、ビニルポリマー全質量に対して、4質量%以上50質量%以下が好ましく、6質量%以上25質量%以下が好ましく、8質量%以上15質量%以下がより好ましい。
本発明におけるビニルポリマーは、本発明の効果の点から下記一般式(PII)で表されるポリマーであることが特に好ましい。
Figure 2011213917
(一般式(PII)中、aはビニルポリマー全質量に対して10質量%以上75質量%未満を表す。bはビニルポリマー全質量に対して5質量%以上50質量%未満を表す。cはビニルポリマー全質量に対して4質量%以上50質量%未満を表す。a+b+c=100を表す。)
この一般式(PII)の形態である場合は、aはビニルポリマー全質量に対して20質量%以上60質量%未満、bはビニルポリマー全質量に対して5質量%以上60質量%未満、cはビニルポリマー全質量に対して4質量%以上50質量%未満を表す場合が好ましく、更に、aはビニルポリマー全質量に対して40質量%以上60質量%未満、bはビニルポリマー全質量に対して20質量%以上60質量%未満、cはビニルポリマー全質量に対して8質量%以上15質量%未満を表す場合が特に好ましい。なお、a+b+c=100を表す。
また、この一般式(PII)の形態のビニルポリマーと、前記式(1a)〜(3a)のいずれかのアゾ顔料(それぞれ、Pig−18、Pig−1、Pig−25に対応)との組み合わせによれば、本発明の効果が一層向上し好ましい。
構造単位(d):
本発明におけるビニルポリマーは、前記疎水性構造単位(a)、前記疎水性構造単位(b)、及び前記親水性構造単位(c)とは異なる構造を有する構造単位(d)(以下、単に「構造単位(d)」という。)を含有することもできる。
前記構造単位(d)の含有量は、ビニルポリマー全質量に対して、15質量%以上80質量%以下が好ましく、25質量%以上70質量%以下が好ましく、40質量%以上60質量%以下がより好ましい。
前記構造単位(d)が疎水性の構造単位である場合のモノマーは、重合体を形成しうる官能基と疎水性の官能基とを有していれば特に制限はなく、公知の如何なるモノマー類をも用いることができる。
前記疎水性の構造単位を形成しうるモノマーとしては、入手性、取り扱い性、汎用性の観点から、ビニルモノマー類、((メタ)アクリルアミド類、スチレン類、ビニルエステル類等)が好ましい。これらの具体例としては、上述した水不溶性ポリマーにおける疎水性構造単位として示された(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、及びビニルエステル類などのビニルモノマー類と同様のものを挙げることができる。
ビニルポリマーは疎水性構造単位(a)、親水性構造単位(c)のみから構成されることも可能である。
インクジェット記録用水性インクとしてより好ましくは、前記ビニルポリマーの前記疎水性構造単位(a)がフェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来の構造単位及びベンジル(メタ)アクリレートに由来の構造単位より選択される少なくとも一つを総量でビニルポリマー全質量に対して20〜80質量%含み、前記親水性構造単位(c)がアクリル酸及びメタクリル酸に由来の構造単位より選択される少なくとも一つをビニルポリマー全質量に対して8〜30質量%含むものがより好ましい。
本発明のビニルポリマーの酸価は、顔料分散性、保存安定性の観点から、30mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることが好ましく、40mgKOH/g以上150mgKOH/g未満であることがより好ましく、50mgKOH/g以上100mgKOH/gであることが特に好ましい。
なお、ここでいう酸価とは、ビニルポリマーの1gを完全に中和するのに要するKOHの質量(mg)で定義され、JIS規格(JISK0070、1992)記載の方法により測定することができる。
本発明におけるビニルポリマーは、各構造単位が不規則的に導入されたランダム共重合体であっても、規則的に導入されたブロック共重合体であっても良く、ブロック共重合体である場合の各構造単位は、如何なる導入順序で合成されたものであっても良く、同一の構成成分を2度以上用いてもよいが、ランダム共重合体であることが汎用性、製造性の点で好ましい。
本発明で用いるビニルポリマーの分子量範囲や分子量分布の好ましい範囲及びその測定法は上述した水不溶性ポリマーと同様である。また合成方法や、その手順等についても上述した水不溶性ポリマーと同様である。
本発明における前記ビニルポリマーの添加量比率は、分散安定性の観点から、顔料に対して質量基準で、10%以上100%以下の範囲が好ましく、30%以上60%以下がより好ましい。
C:分散媒
分散媒としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水や超純水が好ましい。更に、カビやバクテリア等の発生を防ぐ目的で紫外線処理、過酸化水素水処理等により滅菌された水が用いられることが好ましい。
2.分散工程
分散工程は、上記混合工程で得られた混合物を高圧ホモジナイザーで分散処理する工程である。従来、このような顔料混合物の分散工程においては、分散性を上げるために最初にジルコニアビーズ等の分散メディアを用いたビーズミルなどによる分散が行われてきた。通常の顔料の分散適性では所望の粒度分布を有する顔料分散体を得るために、強いせん断力を必要とするからである。一方、本発明における平均一次粒子径が10〜70nmの一般式(1)で表されるアゾ顔料は、平均一次粒子径がコントロールされ、かつ、易分散であり、狭い粒度分布が得られるという分散性に優れるため、分散メディアを使用しない高圧ホモジナイザーによる分散で、所望の体積平均粒子径と多分散性指数を有する顔料分散体を得ることができる。
本発明において使用される高圧ホモジナイザーとしては、特に制限はないが、具体的な市販装置としてはゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、スターバースト、DeBEE2000等を挙げることができる。
高圧ホモジナイザーの処理圧力は80〜150Mpaであることが好ましく、90〜130Mpaであることがより好ましい。また高圧ホモジナイザー処理のパス回数は1〜6パスであることが好ましく、2〜4パスであることがより好ましい。高圧ホモジナイザーを用いた従来の顔料の分散では、事前に分散メディア分散処理を行った場合であっても、処理圧力は160Mpa以上必要であり、パス回数も8パス以上必要であるところ、本発明においては、処理圧力もパス回数も小さい値に抑えることができるので、製造工程を簡略化できるという付随効果を有する。
<水系顔料分散体>
本発明の製造方法により作製される本発明の水系顔料分散体は、一般式(1)で表されるアゾ顔料、水不溶性ポリマー、水性分散買を含み、体積平均粒子径(Mv)が40〜120nmである。また多分散性指数(PDI)が1.0〜1.5であるので、粒度分布幅が非常に狭い。ここで、多分散性指数(PDI)は、PDI=(D90−D10)/D50〔式中、D90、D50、D10は、それぞれ分布関数dG=F(D)dD(Gは顔料粒子数、Dは粒径)の積分が、顔料粒子の全粒子数の0.9(90個数%)、0.5(50個数%)及び0.1(10個数%)に等しい粒径を表す。〕の式より求められる。つまり、上記関係式において、粒度分布が狭いほど、PDIはゼロに近づき、逆に、粒度分布が広い、つまり多分散性が大きいほど、PDIは大きくなる。
本発明の水系顔料分散体は、体積平均粒子径が上記範囲にあるためインクに使用した際に良好な光沢度が得られる。また粒度分布幅が狭いため、粗大粒子の沈降や、微細粒子の凝集が起こりにくく、保存安定性と吐出性に非常に優れ、更に耐擦過性に優れるという利点を有する。
なお、本発明の水系顔料分散体は、粗大粒子の含有量については特に限定はされないが、吐出性、透明性や保存安定性の観点から、粒子径が0.5μm以上の粗大粒子の個数濃度が0個/ml以上1.2×10個/ml未満であることが好ましく、0個/ml以上5.0×10個/ml未満であることがより好ましい。
<インクジェット記録用水性インク>
次に、本発明のインクジェット記録用水性インクについて説明する。本発明のインクジェット記録用水性インク(以下、「インク」という場合がある)は、本発明の水系顔料分散体及び水性媒体を含む。
本発明のインク中の水系顔料分散体の含有割合は、特に限定はされないが、記録媒体上に形成した画像の色相、色濃度、彩度、透明性等を考慮すると、1〜100質量%の範囲が好ましく、3〜20質量%の範囲が特に好ましく、その中でも3〜10質量%の範囲が最も好ましい。
また、本発明のインクの顔料含有量は、例えば0.1質量%〜20質量%であり、0.2質量%〜10質量%が好ましく、1質量%〜10質量%が更に好ましい。このように特定のアゾ顔料を用いた本発明のインクジエット用水性インクでは、顔料含有量が少なくても良好な印画濃度を得ることができる。
・水性媒体
本発明のインクジェット記録用水性インクは水性媒体を含む。水性媒体としては、純水た超純水など上記分散媒と同様のものや、水溶性有機溶剤が挙げられる。水溶性有機溶剤は乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤の目的で使用される。
ノズルのインク噴射口において該インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で乾燥防止剤が用いられ、乾燥防止剤や湿潤剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。また、インクを紙により良く浸透させる目的で浸透促進剤として、水溶性有機溶剤が好適に使用される。
水溶性有機溶媒の例として、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等のアルカンジオール(多価アルコール類);ヴルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の糖類;糖アルコール類;ピアルロン酸類;尿素類等のいわゆる固体湿潤剤;エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルポキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
乾燥防止剤や湿潤剤の目的としては,ポリオール化合物が有用であり、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
浸透剤の目的としては、ポリオール化合物が好ましく、脂肪族ジオールとしては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが好ましい例として挙げることができる。
本発明に使用される水性媒体は、単独で使用しても、2種類以上混合して使用しても構わない。水性媒体の好ましい例として、グリセリン、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテルを挙げることができる。
水性溶媒水溶性有機溶媒の含有量としては、5質量%以上60質量%以下、好ましくは、10質量%以上40質量%以下で使用される。
本発明に使用される水の添加量は特に制限は無いが、好ましくは、10質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは、30質量%以上80質量%以下である。更に好ましくは、50質量%以上70質量%以下である。
・界面活性剤
本発明のインクには、表面張力調整剤を含有することが好ましい。表面張力調整剤としてはノニオン、カチオン、アニオン、ベタイン界面活性剤が挙げられる。表面張力の調整剤の添加量は、インクジェットで良好に打滴するために、本発明のインクの表面張力を20〜60mN/mに調整する量が好ましく、より好ましくは20〜45mN/m、更に好ましくは25〜40mN/mに調整できる量である。
本発明における界面活性剤としては、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれも使用することができる。更には、上記高分子物質(高分子分散剤)を界面活性剤としても使用することもできる。
アニオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルポコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテ硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルポコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、t−オクチルフェノキシエトキシポリエトキシエチル硫酸ナトリウム塩等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、t−オクチルフェノキシエチルポリエトキシエタノール、ノニルフェノキシエチルポリエトキシエタノール等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
カチオン性界面活性剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられ、具体的には、例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド等が挙げられる。
本発明におけるインクジェット用液体組成物に添加する界面活性剤の量は、特に限定されるものではないが、1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量%、更に好ましくは1〜3質量%である。
・その他成分
本発明のインクには、その他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。
防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、ソルビン酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウムなどが挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
pH調整剤としては、調合される記録用インクに悪影響を及ぼさずにpHを所望の値に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルコールアミン類(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3プロパンジオールなど)、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アンモニウム水酸化物(例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物)、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などが挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、りん系酸化防止剤などが挙げられる。
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
・樹脂微粒子
本発明のインクには樹脂微粒子あるいはポリマーラテックスを含有してもよい。樹脂微粒子あるいはポリマーラテックスとしては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素系樹脂等を用いることができる。アクリル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂を好ましい例として挙げることができる。
樹脂微粒子の好ましい例として、自己分散性ポリマー微粒子を挙げることができる。自己分散性ポリマー微粒子とは、他の界面活性剤の不存在下に、ポリマー自身が有する官能基(特に、酸性基又はその塩)によって、水性媒体中で分散状態となりうるビニルポリマーであって、遊離の乳化剤を含有しないビニルポリマーの微粒子を意味する。ここで分散状態とは、水性媒体中にビニルポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルジョン)、及び、水性媒体中にビニルポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。本発明ではビニルポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうるビニルポリマーであることが好ましい。
本発明で好ましく用いられる自己分散性ポリマー微粒子は、自己分散性の観点から、親水性の構成単位と芳香族基含有モノマーに由来する構成単位とを含むビニルポリマーを含むことが好ましい。
前記親水性の構成単位は、親水性基含有モノマーに由来するものであれば特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であってもノニオン性親水性基であってもよい。前記親水性基は、自己分散促進の観点、形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離基であることがより好ましい。前記解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インク組成物を構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が好ましい。解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとして具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとして具体的には、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。
不飽和リン酸モノマーとして具体的には、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
前記芳香族基含有モノマーは、芳香族基と重合性基とを含む化合物であれば特に制限はない。前記芳香族基は芳香族炭化水素に由来する基であっても、芳香族複素環に由来する基であってもよい。水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、芳香族炭化水素に由来する芳香族基であることが好ましい。また前記重合性基は、縮重合性の重合性基であっても、付加重合性の重合性基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、付加重合性の重合性基であることが好ましく、エチレン性不飽和結合を含む基であることがより好ましい。
芳香族基含有モノマーは、芳香族炭化水素に由来する芳香族基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマーであることが好ましく、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーであることがより好ましい。前記芳香族基含有モノマーとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー等が挙げられる。中でも、ポリマー鎖の親水性と疎水性のバランスとインク定着性の観点から、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及びフェニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートであることがより好ましく、フェノキシエチルアクリレートであることが特に好ましい。
なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。自己分散性ポリマー微粒子は、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含み、その含有量が10質量%〜95質量%であることが好ましい。芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーの含有量が10質量%〜95質量%であることで、自己乳化又は分散状態の安定性が向上し、更にインク粘度の上昇を抑制することができる。自己分散状態の安定性、芳香環同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点から、15質量%〜90質量%であることがより好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
自己分散性ポリマー微粒子は、例えば、芳香族基含有モノマーからなる構成単位と、解離性基含有モノマーからなる構成単位とから構成することができるが、必要に応じて、その他の構成単位を更に含んで構成することができる。
前記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、前記芳香族基含有モノマーと解離性基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限はない。中でも、ポリマー骨格の柔軟性やガラス転移温度(Tg)制御の容易さの観点から、アルキル基含有モノマーであることが好ましい。
前記アルキル基含有モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
本発明における自己分散性ポリマー微粒子を構成するビニルポリマーの分子量範囲は、質量平均分子量で、3000〜20万であることが好ましく、5000〜15万であることがより好ましく、10000〜10万であることが更に好ましい。質量平均分子量を3000以上とすることで水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、質量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。
なお、質量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)によって測定することできる。
自己分散性ポリマー微粒子を構成するビニルポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーを共重合比率として15〜90質量%とカルボキシル基含有モノマーとアルキル基含有モノマーとを含み、酸価が25〜100であって、質量平均分子量が3000〜20万であることが好ましく、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーを共重合比率として15〜80質量%とカルボキシル基含有モノマーとアルキル基含有モノマーとを含み、酸価が25〜95であって、質量平均分子量が5000〜15万であることがより好ましい。
自己分散性ポリマー微粒子の平均粒径は、10nm〜1μmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましく、20〜100nmの範囲が更に好ましく、20〜50nmの範囲が特に好ましい。
自己分散性ポリマー微粒子の添加量はインクに対して、0.5〜20質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%が更に好ましい。
自己分散性ポリマー微粒子のガラス転移温度Tgは30℃以上であることが好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましい。
また、ポリマー粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つポリマー微粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
・プリント性を向上させる液体組成物
本発明には、プリント性を向上させる液体組成物を印字媒体に付与することが好ましい例として挙げることができる。
本発明に用いることができるプリント性を向上させる液体組成物の好ましい一例として、インクのpHを変化させることにより凝集物を生じさせる液体組成物を挙げることができる。このとき、液体組成物のpHは1〜6であることが好ましく、pHは2〜5であることがより好ましく、pHは3〜5であることが更に好ましい。液体組成物の成分として、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等の中から選ばれることが好ましい。これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
また、本発明に用いることができるプリント性を向上させる液体組成物の好ましい一例として、多価金属塩あるいはポリアリルアミンを添加した処理液を挙げることができる。液体組成物の成分として、多価金属塩として周期表の2A属のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウムとカルシウム);周期表の3B属の遷移金属(例えば、ランタン);周期表の3A属からのカチオン(例えば、アルミニウム);ランタニド類(例えば、ネオジム);及びポリアリルアミン、ポリアリルアミン誘導体、を挙げることができる。好ましい例として、カルシウムとマグネシウムを挙げることができる。カルシウム又はマグネシウムの対塩として好ましく採用されるアニオンは、カルボン酸塩(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩を挙げることができる。処理液への添加量として、当該塩は約1〜約10質量%、好ましくは約1.5〜約7質量%、より好ましくは約2〜約6質量%の範囲の量で処理液中に存在させることができる。
本発明に使用される水性媒体は、単独で使用しても、2種類以上混合して使用しても構わない。水性媒体の含有量としては、インク全体の1質量%以上60質量%以下、好ましくは、5質量%以上40質量%以下で使用される。インク中の水性媒体量が1質量%よりも少ない場合には、十分な光学濃度が得られない場合が存在し、逆に、60質量%よりも多い場合には、液体の粘度が大きくなり、インク液体の噴射特性が不安定になる場合が存在する。
・インク物性
本発明のインクの好ましい物性は以下の通りである。インクの表面張力は、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上35mN/m以下である。表面張力が20mN/m未満となると記録ヘッドのノズル面に液体が溢れ出し、正常に印字できない場合がある。一方、60mN/mを超えると、印字後の記録媒体への浸透性が遅くなり、乾燥時間が遅くなる場合がある。
なお、上記表面張力は、前記同様ウイルヘルミー型表面張力計を用いて、23℃、55%RHの環境下で測定した。
インクの粘度は、1.2mPa・s以上8.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは1.5mPa・s以上6.0mPa・s未満、更に好ましくは1.8mPa・s以上4.5mPa・s未満である。粘度が8.0mPa・sより大きい場合には、吐出性が低下する場合がある。一方、1.2mPa・sより小さい場合には、長期噴射性が悪化する場合がある。
なお、上記粘度(後述するものを含む)の測定は、回転粘度計レオマット115(Contraves社製)を用い、23℃でせん断速度を1400s−1として行った。
インクには、前記各成分に加えて、上記の好ましい表面張力及び粘度となる範囲で、水が添加される。水の添加量は特に制限は無いが、好ましくは、インク全体に対して、10質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは、30質量%以上80質量%以下である。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[合成例1]
(顔料の合成)
例示化合物(Pig.−1)の合成
例示化合物(Pig.−1)の合成スキームを下記に示す。
Figure 2011213917
(1)中間体(a)の合成
シアノ酢酸メチル29.7g(0.3モル)にオルトギ酸トリメチル42.4g(0.4モル)、無水酢酸20.4g(0.2モル)、p−トルエンスルホン酸0.5gを加えて110℃(外温)に加熱し、反応系から生じる低沸点成分を留去しながら20時間攪拌した。この反応液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラム精製を行い前記中間体(a)を14.1g(黄色粉末、収率30%)で得た。得られた中間体(a)のNMR測定結果は以下の通りである。
H−NMR(300MHz、CDCl)7.96(s,1H),4.15(s,3H),3.81(s,3H)
(2)中間体(b)の合成
メチルヒドラジン7.4mL(141ミリモル)にイソプロパノール150mLを加えて15℃(内温)に冷却し、この混合液に中間体(a)7.0g(49.6ミリモル)を徐々に添加した後、50℃に加熱して1時間40分攪拌した。この反応液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラム精製を行い前記中間体(b)を10.5g(白色粉末、収率50%)で得た。得られた中間体(b)のNMR測定結果は以下の通りである。
H−NMR(300MHz、CDCl)7.60(s,1H), 4.95(brs,2H),3.80(s,3H),3.60(s,3H)
(3)中間体(c)の合成
ヒドラジン1水和物387mL(7.98モル)にメタノール298mLを加えて10℃(内温)に冷却し、この混合液に4,6−ジクロロピリミジン149g(1.00モル)を徐々に添加(内温20℃以下)した後、氷浴をはずし、室温まで昇温し、同温度にて30分攪拌した。その後更に加熱して内温60℃まで昇温し、同温度にて5時間攪拌した。反応終了後、水750mLを加えた後、氷冷して内温が8℃になるまで冷却し、析出した結晶をろ取、水でかけ洗いし、イソプロパノールでかけ洗いした。室温にて36時間乾燥を行い前記中間体(c)を119g(白色粉末、収率84.5%)で得た。得られた中間体(c)のNMR測定結果は以下の通りである。
H−NMR(300MHz、d−DMSO)7.80(s,1H),7.52(s,2H),5.98(s,1H),4.13(s,4H)
(4)中間体(d)の合成
中間体(c)50g(357ミリモル)に、水128mLを加えて室温で攪拌した。この懸濁液にピバロイルアセトニトリル98.2g(785ミリモル)を加え、同温度にて12M塩酸水をpH3になるように滴加した後、内温が50℃になるまで加熱し、同温度にて6時間攪拌した。反応終了後、8Nの水酸化カリウム水溶液を加えて中和し、pH6.4にした。氷冷し内温が10℃になるまで冷却し、析出した結晶をろ取、水でかけ洗いした。得られた結晶を減圧下60℃にて乾燥し、得られた粗精製物にトルエン30mLを加え、60℃に加熱して溶解させた。得られた溶液を室温にて12時間静置し、析出した結晶をろ取、冷却したトルエンでかけ洗いし、減圧下60℃にて乾燥し、前記中間体(d)を87.7g(白色粉末、収率69.3%)で得た。得られた中間体(d’)のNMR測定結果は以下の通りである。
H−NMR(300MHz、d−DMSO)8.74(s,1H),7.99(s,1H),6.87(s,4H),5.35(s,2H),1.24(s,18H)
(5)例示化合物(Pig.−1)の合成
酢酸55mLとプロピオン酸37mLの混合液に室温にて中間体(b)9.2gを溶解させた。氷冷して内温を−3℃まで冷却し、内温が−3℃〜4℃でニトロシル硫酸の40質量%硫酸溶液を10分かけて滴下した。内温4℃にて1時間攪拌した後、尿素0.2gを加え、その後、内温を−3℃に冷却し、更に10分攪拌し、ジアゾニウム塩溶液を得た。別に中間体(d)10gをアセトン150mLに完溶させた後、内温を17℃に冷却し、上述のジアゾニウム塩溶液に内温−3℃〜3℃の範囲内で25分かけて添加した。添加完了後、3℃で30分攪拌した後、氷浴をはずし、30分かけて室温まで昇温させた。室温にて30分攪拌した後、得られた結晶を濾別し、アセトン150mLでかけ洗いし、更に水100mLでかけ洗いした。得られた結晶を乾燥せずに水400mLに懸濁させ、8規定の水酸化カリウム水溶液を添加して、pHを5.7にした。室温にて20分間攪拌した後、得られた結晶を濾別し、水で十分にかけ洗いしたのち、アセトン80mLをかけ洗いした。得られた結晶を室温にて、12時間乾燥させた。
得られた結晶をアセトン580mLに懸濁させた後、還流下30分間攪拌した。その後、10分間かけて室温に冷却し、得られた結晶を濾別し、室温にて5時間乾燥させ、例示化合物(Pig.−1)を18.0g得た。収率93.1%。
透過型電子顕微鏡(TEM)観察による平均一次粒子径の測定として、カーボン膜を貼り付けたCu200メッシュに希釈した分散体を滴下した後乾燥させ、TEM(日本電子製1200EX)で10万倍に拡大した画像から、重なっていない独立した粒子300個の長径を測定した平均値を平均一次粒子径として算出した(以下、TEM観察により算出した平均一次粒子径を単に平均一次粒子径と記述する。)。得られた顔料の平均一次粒子径を測定したところ880nmであった。
[合成例2]
(顔料の合成)
例示化合物(Pig.−18)の合成
例示化合物(Pig.−18)の合成スキームを下記に示す。
Figure 2011213917
(1)中間体(a)の合成
シアノ酢酸メチル29.7g(0.3モル)にオルトギ酸トリメチル42.4g(0.4モル)、無水酢酸20.4g(0.2モル)、p−トルエンスルホン酸0.5gを加えて110℃(外温)に加熱し、反応系から生じる低沸点成分を留去しながら20時間攪拌した。この反応液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラム精製を行い前記中間体(a)を14.1g(黄色粉末、収率30%)で得た。得られた中間体(a)のNMR測定結果は以下の通りである。
H−NMR(300MHz、CDCl)7.96(s,1H),4.15(s,3H),3.81(s,3H)
(2)中間体(b)の合成
メチルヒドラジン7.4mL(141ミリモル)にイソプロパノール150mLを加えて15℃(内温)に冷却し、この混合液に中間体(a)7.0g(49.6ミリモル)を徐々に添加した後、50℃に加熱して1時間40分攪拌した。この反応液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラム精製を行い前記中間体(b)を10.5g(白色粉末、収率50%)で得た。得られた中間体(b)のNMR測定結果は以下の通りである。
H−NMR(300MHz、CDCl)7.60(s,1H),4.95(brs,2H),3.80(s,3H),3.60(s,3H)
(3)中間体(c’)の合成
メタノール1.1Lに水136mLを加えて、炭酸水素ナトリウム182g(2.17モル)を添加し、室温にて攪拌した。同温度にて塩化シアヌル200g(1.08モル)を分割添加した。添加終了後、内温を30℃まで昇温した。同温度にて30分間攪拌した後、水500mLを加え、析出した固体を濾別し、水500mL、メタノール300mLでかけ洗い後、乾燥を行い、前記中間体(c’)を168g(白色粉末、収率86.2%)で得た。得られた中間体(c’)のNMR測定結果は以下の通りである。
H−NMR(300MHz、CDCl)4.14(s,3H)
(4)中間体(d’)の合成
ヒドラジン1水和物363mL(7.46モル)に水673mLを加えて10℃(内温)に冷却し、この混合液に中間体(c’)168g(934ミリモル)を徐々に添加(内温20℃以下)した後、氷浴をはずし、室温まで昇温し、同温度にて30分攪拌した。反応液から析出した結晶をろ取、水700mL、アセトニトリル1Lでかけ洗い後、乾燥を行い前記中間体(d’)の粗精製物(白色粉末)を得た。
(5)中間体(e)の合成
中間体(d’)の粗精製物に、エチレングリコール480mLを加えて室温で攪拌した。この懸濁液にピバロイルアセトニトリル257g(2.06モル)を加え、内温が50℃になるまで加熱した。同温度にて12M塩酸水をpH3になるように滴下した後、内温が80℃になるまで加熱して3時間攪拌した。反応終了後、氷冷し内温が8℃になるまで冷却し、析出した結晶をろ取、水でかけ洗い後、シリカゲルカラム精製を行い、前記中間体(e)を105g(白色粉末、2工程収率29.2%)で得た。得られた中間体(e)のNMR測定結果は以下の通りである。
H−NMR(300MHz、d−DMSO)7.00(s,4H),5.35(s,2H),4.05(s,3H),5.35(s,2H),1.22(s,18H)
(6)例示化合物(Pig.−18)の合成
酢酸125mLと硫酸24mLの混合液を氷冷し、内温を3℃まで冷却した。同温度にてニトロシル硫酸26.4gを添加し、続いて、同温度にて中間体(b)11.6gを分割添加して溶解させた。同温度にて1時間攪拌した後、同温度にて尿素1.2gを分割添加し、同温度にて15分間攪拌し、ジアゾニウム塩溶液を得た。別に、中間体(e)11.6gをメタノール405mLに室温にて完溶させ、氷冷して内温を−3℃に冷却した。同温にて、上述のジアゾニウム塩溶液を内温が3℃以下になるように分割添加し、添加終了後、2時間攪拌した。氷浴をはずし、室温にて10分間攪拌した後、析出した結晶を濾別し、メタノール150mLでかけ洗いし、更に水100mLでかけ洗いした。得られた結晶を乾燥せずに水750mLに懸濁させ、8規定の水酸化カリウム水溶液を添加して、pHを5.7にした。室温にて20分間攪拌した後、得られた結晶を濾別し、水で十分にかけ洗いしたのち、メタノール80mLでかけ洗いした。得られた結晶を室温にて、12時間乾燥させ、例示化合物(Pig.−18)を20.3g得た。収率94.0%
得られた例示化合物(Pig.−18)をエタノール/水になじませ、透過型顕微鏡TEM(日本電子製1200EX)にて平均一次粒子径を測定したところ1100nmであった。
[合成例3]
(ビニルポリマー(P−1)の合成)
下記モノマー組成の3成分の全量が100質量部になるように混合し、更に重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1質量部添加し、窒素ガス置換を十分に行い、合成混合液を得た。
フェノキシエチルメタクリレート 50質量部
メチルメタクリレート 39質量部
メタクリル酸 11質量部
2−メルカプトエタノール 0.1質量部
次に、メチルエチルケトン100質量部を窒素雰囲気下で撹拌しながら75℃まで昇温させた。75℃、攪拌状態で上記合成混合液を3時間にわたって滴下した。更に75℃、攪拌状態で5時間反応を続けた。その後、反応合成物を25℃まで自然冷却した後、固形分が40%になるようにメチルエチルケトンを加えて希釈し、GPCより求めた質量平均分子量(Mw)が40000であり、JIS規格(JIS K 0070:1992)記載の方法により求めた酸価が71.7mgKOH/gであるビニルポリマー溶液を得た。
[合成例4]
(ビニルポリマー(P−2)の合成)
合成例1におけるモノマー組成を下記モノマー組成に変えた以外は合成例1と同様にしてビニルポリマー(P−2)の溶液を得た。GPCより求めた質量平均分子量(Mw)が42000であり、JIS規格(JIS K 0070:1992)記載の方法により求めた酸価が98.3mgKOH/gであるビニルポリマー溶液を得た。
フェノキシエチルメタクリレート 50質量部
メチルメタクリレート 35質量部
メタクリル酸 15質量部
2−メルカプトエタノール 0.1質量部
[実施例1]
1.顔料平均一次粒子径の調製
(例示化合物Pig.−1のソルベントソルトミリング処理)
以下の組成となるように、スーパーミキサーに粗アゾ顔料及び食塩を投入して混合した。スーパーミキサーを回転させながらジエチレングリコールを少しずつ添加してPig.−1の混合物(以下、「予備混合物」ということがある)を調製した。
<微細化黄色顔料(Pig-Y1)の組成>
例示化合物(Pig.−1) 100質量部
食塩(ナクルUM−5、ナイカイ塩業(株)製、粒子径5μm) 1500質量部
ジエチレングリコール(DEG) 300質量部
続いて、連続式1軸混練機(浅田鉄工(株)製、ミラクルKCK-L)の磨砕部及び押出部の5箇所の温度を15〜20℃に、軸回転数40rpmに設定し、上記で得られた予備混合物を投入し、混練物を得た。この時、電流値(負荷)は約5Aで、吐出量は50g/分、吐出物の温度は19℃であった。
こうして得られた混練物1,000質量部を80℃に加温した純水5,000質量部へ投入してクリアミックスを用いて攪拌処理を行った後、濾過及び十分に水洗をして食塩及びジエチレングリコールを除去し、固形分量が25%になるように調整した微細化黄色顔料のウエットケーキ(Pig−Y1、アゾ顔料磨砕物)を得た。
(透過型電子顕微鏡(TEM)観察による平均一次粒子径の測定)
更に、透過型電子顕微鏡(TEM)観察による平均粒径評価は、カーボン膜を貼り付けたCu200メッシュに希釈した分散体を滴下した後乾燥させ、TEM(日本電子製1200EX)で10万倍に拡大した画像から、重なっていない独立した粒子300個の長径を測定して平均値を平均粒径として算出した(以下、TEM観察により算出した平均粒径を単に平均一次粒子径と記述する。)。
得られた顔料の平均一次粒子径を測定したところ65nmであった。
2.水系顔料分散体の調製
(15質量%例示化合物Pig.−1含有ビニルポリマー粒子の水系分散体(1)の調製)
以下の組成にて混合し、クレアミックス(MTECHNIQUE社製;CLM−0.8S、10000rpm)で5分間予備分散し、更に高圧ホモジナイザー((株)スギノマシン社製;スタ―バースト)の処理条件を140MPaの圧力、パス回数を4パスで分散処理を行った。続いて、得られた分散物を減圧下、56℃でメチルエチルケトンを除去し、一部の水を除去することにより、例示化合物(Pig.−1)の濃度が15.0質量%となるよう顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を調製した。
<顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体(1)の組成>
例示化合物(Pig−Y1) 15.0質量%
ビニルポリマー(P−1) 4.5質量%
メチルエチルケトン 9.4質量%
1mol/L NaOH水溶液 5.5質量%
イオン交換水 65.6質量%
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体(1)について、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用い、動的光散乱法により平均粒子径を測定した。顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体30μlに対してイオン交換水10mlを加えて測定用サンプル液を調製し、これを25℃に調温して測定したところ、体積平均粒子径Mvが115.1nmであった。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体(1)について、上記同様に、累積90%粒子径(D90)、累積50%粒子径(D50)、累積10%粒子径(D10)を測定した。
PDI=(D90−D10)/D50〔式中、D90、D50、D10は、それぞれ分布関数dG=F(D)dD(Gは顔料粒子数、Dは粒径)の積分が、顔料粒子の全粒子数の0.9(90個数%)、0.5(50個数%)及び0.1(10個数%)に等しい粒径を表す。〕に従い、算出されたPDIは1.53であった。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体(1)について、R100型粘度計(東機産業社製)を用い、25℃、コーンの回転数100rpmの条件により測定したところ、粘度が2.2mPasであった。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体(1)について、東亜DKK(株)製pHメータ−WM−50EGを用い、25℃で測定したところ、8.7であった。
3.インクジェット記録用水性インクの調製
(インクジェット記録用水性インク組成物(1)の調製)
次に、得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体(1)を用い、以下の組成にて水性インク組成物(1)を調製した。東亜DKK(株)製pHメータ−WM−50EGにて、水性インク組成物(1)のpHを25℃で測定したところ、8.9であった。
<水性インク組成物(1)の組成>
顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体(1) 28質量%
1,2−ヘキサンジオール 2質量%
グリセリン 8質量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 2質量%
2−ピロリドン 2質量%
プロピレングリコール 1質量%
トリメチロールプロパン 3質量%
サーフィノール465(日信化学工業(株)製) 3質量%
イオン交換水 51質量%
[実施例2]
1.顔料平均一次粒子径の調製
(例示化合物Pig.−18のソルベントソルトミリング処理)
実施例1の例示化合物Pig.−1をPig.−18に変えた以外、実施例1と同じ条件で連続式1軸混練機(浅田鉄工(株)製、ミラクルKCK-L)を用いて、混練物を得た。実施例1と同様にして微細化黄色顔料のウエットケーキ(Pig−Y2、アゾ顔料磨砕物、平均一次粒子径18nm)を得た。
2.水系顔料分散体の調製
(15質量%例示化合物Pig.−18含有ビニルポリマー粒子の水系分散体(2)の調製)
実施例1の水系分散体(1)の調製において、Pig−Y1をPig−Y2に変え、高圧ホモジナイザーの処理条件を130MPaの圧力、パス回数を5パスに変更した以外は実施例1と同様にして、水系分散体(2)を調整した。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体(2)について、実施例1と同様に平均一次粒子径、体積平均粒子径、PDI、粘度を算出又は測定し表1に記載した。実施例1と同様にpHを測定したところ、8.5であった。
3.インクジェット記録用水性インクの調製
(インクジェット記録用水性インク組成物(2)の調製)
実施例1の水性インク組成物(1)の調製において、水分散体(1)を水分散体(2)に変えた以外は実施例1と同様にして水性インク組成物(2)を調整し、pHを測定したところ、8.8であった。
[実施例3、4]
実施例2の水系分散体(2)の調製において、高圧ホモジナイザーの処理条件を表1に記載の条件に変更した以外は実施例2と同様にして、水系分散体(3)及び(4)を調整した。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体(3)及び(4)について、実施例1と同様に平均一次粒子径、体積平均粒子径、PDI、粘度を算出又は測定し表1に記載した。実施例1と同様にpHを測定した結果、それぞれ、8.2及び8.8であった。
インクジェット記録用水性インクの調製
(インクジェット記録用水性インク組成物(3)及び(4)の調製)
実施例1の水性インク組成物(1)の調製において、水分散体(1)を水分散体(3)又は(4)に変えた以外は実施例1と同様にして水性インク組成物(3)及び(4)を調整し、それぞれpHを測定したところ、8.4及び9.1であった。
[実施例5]
実施例2の1.顔料平均一次粒子径の調製において用いた食塩を硫酸ナトリウム微粉砕品(約10μm)に変えた以外は実施例2と同様にして微細化黄色顔料のウエットケーキ(Pig−Y3、アゾ顔料磨砕物、平均一次粒子径33nm)を得た。
実施例2の水系分散体(2)の調製において、高圧ホモジナイザーの処理条件(圧力、パス回数)を表1に記載の条件に変更した以外は実施例2と同様にして、水系分散体(5)を調整した。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体(5)について、実施例1と同様に平均一次粒子径、体積平均粒子径、PDI、粘度を算出又は測定し表1に記載した。実施例1と同様にpHを測定した結果、8.3であった。
インクジェット記録用水性インクの調製
(インクジェット記録用水性インク組成物(5)の調製)
実施例1の水性インク組成物(1)の調製において、水分散体(1)を水分散体(5)に変えた以外は実施例1と同様にして水性インク組成物(5)を調整し、pHを測定したところ、8.5であった。
[実施例6]
実施例5の1.顔料平均一次粒子径の調製において用いたジエチレングリコールをエチレングリコール(EG)に変えた以外は実施例5と同様にして微細化黄色顔料のウエットケーキ(Pig−Y4、アゾ顔料磨砕物、平均一次粒子径29nm)を得た。
実施例1の水系分散体(1)の調製において、高圧ホモジナイザーの処理条件(圧力、パス回数)を表1に記載の条件に変更した以外は実施例1と同様にして、水系分散体(6)を調整した。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体(6)について、実施例1と同様に平均粒子径、体積平均粒子径、PDI、粘度を算出又は測定し表1に記載した。実施例1と同様にpHを測定した結果、8.4であった。
インクジェット記録用水性インクの調製
(インクジェット記録用水性インク組成物(6)の調製)
実施例1の水性インク組成物(1)の調製において、水分散体(1)を水分散体(6)に変えた以外は実施例1と同様にして水性インク組成物(6)を調整し、pHを測定したところ、8.6であった。
[実施例7]
実施例6で用いた高圧ホモジナイザーをマイクロフルイダイザー(みずほ工業株式会社製、処理条件:圧力150MPa、連続繰り返し回数:6回)に変更した他は同様にして、水系分散体(7)を調整した。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体(7)について、実施例1と同様に平均粒子径、体積平均粒子径、PDI、粘度を算出又は測定し表1に記載した。実施例1と同様にpHを測定した結果、8.4であった。
インクジェット記録用水性インクの調製
(インクジェット記録用水性インク組成物(7)の調製)
実施例1の水性インク組成物(1)の調製において、水分散体(1)を水分散体(7)に変えた以外は実施例1と同様にして水性インク組成物(7)を調整し、pHを測定したところ、8.5であった。
[実施例8]
実施例2の1.顔料平均一次粒子径の調製において用いた食塩を硫酸カリウム微粉砕品(約10μm)に変えた以外は実施例2と同様にして微細化黄色顔料のウエットケーキ(Pig−Y5、アゾ顔料磨砕物、平均一次粒子径24nm)を得た。
実施例1の水系分散体(2)の調製において、高圧ホモジナイザーの処理条件(圧力、パス回数)を表1に記載の条件に変更した以外は実施例2と同様にして、水系分散体(8)を調整した。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体(8)について、実施例1と同様に平均一次粒子径、体積平均粒子径、PDI、粘度を算出又は測定し表1に記載した。実施例1と同様にpHを測定した結果、8.6であった。
インクジェット記録用水性インクの調製
(インクジェット記録用水性インク組成物(8)の調製)
実施例1の水性インク組成物(1)の調製において、水分散体(1)を水分散体(8)に変えた以外は実施例1と同様にして水性インク組成物(8)を調整し、pHを測定したところ、8.9であった。
[実施例9]
実施例2の1.顔料平均一次粒子径の調製において用いた連続式1軸混練機をニーダー((株)井上製作所製;KHD−2)に変えた以外は実施例2と同様にして微細化黄色顔料のウエットケーキ(Pig−Y6、アゾ顔料磨砕物、平均一次粒子径51nm)を得た。
実施例2の水系分散体(2)の調製において、高圧ホモジナイザーの処理条件(圧力、パス回数)を表1に記載の条件に変更した以外は実施例2と同様にして、水系分散体(9)を調整した。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体(9)について、実施例1と同様に平均一次粒子径、体積平均粒子径、PDI、粘度を算出又は測定し表1に記載した。実施例1と同様にpHを測定した結果、8.1であった。
インクジェット記録用水性インクの調製
(インクジェット記録用水性インク組成物(9)の調製)
実施例1の水性インク組成物(1)の調製において、水分散体(1)を水分散体(9)に変えた以外は実施例1と同様にして水性インク組成物(9)を調整し、pHを測定したところ、8.2であった。
[実施例10]
実施例6の2.水系顔料分散体の調製においてビニルポリマー(P−1)をビニルポリマー(P−2)に変更した以外は実施例6と同様に水分散体(10)を調整した。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体(10)について、実施例1と同様に平均一次粒子径、体積平均粒子径、PDI、粘度を算出又は測定し表1に記載した。実施例1と同様にpHを測定した結果、7.7であった。
インクジェット記録用水性インクの調製
(インクジェット記録用水性インク組成物(10)の調製)
実施例2の水性インク組成物(2)の調製において、水分散体(2)を水分散体(10)に変えた以外は実施例2と同様にして水性インク組成物(10)を調整し、pHを測定したところ、8.0であった。
[比較例1]
実施例1の1.顔料平均一次粒子径の調製において用いた食塩を硫酸ナトリウム微粉砕品(約10μm)に変え、ジエチレングリコールをエチレングリコール(EG)に変えた以外は実施例1と同様にして微細化黄色顔料のウエットケーキ(Pig−Y7、アゾ顔料磨砕物、平均一次粒子径115nm)を得た。
実施例1の水系分散体(1)の調製において、高圧ホモジナイザーの処理条件(圧力、パス回数)を表1に記載の条件に変更した以外は実施例1と同様にして、比較水系分散体(1)を調整した。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の比較水分散体(1)について、実施例1と同様に平均粒子径、体積平均粒子径、PDI、粘度を算出又は測定し表1に記載した。実施例1と同様にpHを測定した結果、8.9であった。
インクジェット記録用水性インクの調製
(インクジェット記録用比較水性インク組成物(1)の調製)
実施例1の水性インク組成物(1)の調製において、水分散体(1)を比較水分散体(1)に変えた以外は実施例1と同様にして比較水性インク組成物(1)を調整し、pHを測定したところ、8.8であった。
[比較例2]
顔料平均一次粒子径の調製を行わず平均一次粒子径1100nmのPig−18を用いた。また、実施例1の水系分散体(1)の調製において、高圧ホモジナイザーの処理条件(圧力、パス回数)を表1に記載の条件に変更した以外は実施例1と同様にして、比較水系分散体(2)を調整した。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の比較水分散体(2)について、実施例1と同様に平均一次粒子径、体積平均粒子径、PDI、粘度を算出又は測定し表1に記載した。実施例1と同様にpHを測定した結果、8.2であった。
インクジェット記録用水性インクの調製
(インクジェット記録用比較水性インク組成物(2)の調製)
実施例1の水性インク組成物(1)の調製において、水分散体(1)を比較水分散体(2)に変えた以外は実施例1と同様にして比較水性インク組成物(2)を調整し、pHを測定したところ、8.2であった。
[比較例3]
実施例9で用いた高圧ホモジナイザーをビーズミル(処理条件:φ0.1mmジルコニアビーズ(東レ製;トレセラム)を用いて8時間分散)に変更した他は同様にして、比較水系分散体(3)を調整した。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の比較水分散体(3)について、実施例1と同様に平均粒子径、体積平均粒子径、PDI、粘度を算出又は測定し表1に記載した。実施例1と同様にpHを測定した結果、8.9であった。
インクジェット記録用水性インクの調製
(インクジェット記録用比較水性インク組成物(3)の調製)
実施例1の水性インク組成物(1)の調製において、水分散体(1)を比較水分散体(3)に変えた以外は実施例1と同様にして比較水性インク組成物(3)を調整し、pHを測定したところ、9.1であった。
[比較例4]
実施例9で用いたPig−18をPY−74に変えた以外は実施例9と同様にして、微細化黄色顔料のウエットケーキ(PY−Y74、アゾ顔料磨砕物、平均一次粒子径63nm)を得た。
実施例9の水系分散体(9)の調製において、高圧ホモジナイザーの処理条件(圧力、パス回数)を表1に記載の条件に変更した以外は実施例9と同様にして、比較水系分散体(4)を調整した。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の比較水分散体(4)について、実施例1と同様に平均一次粒子径、体積平均粒子径、PDI、粘度を算出又は測定し表1に記載した。実施例1と同様にpHを測定した結果、8.5であった。
インクジェット記録用水性インクの調製
(インクジェット記録用比較水性インク組成物(4)の調製)
実施例1の水性インク組成物(1)の調製において、水分散体(1)を比較水分散体(4)に変えた以外は実施例1と同様にして比較水性インク組成物(4)を調整し、pHを測定したところ、8.6であった。
[比較例5]
比較例4の比較水系分散体(4)の調製において、高圧ホモジナイザーの処理条件(圧力、パス回数)を表1に記載の条件に変更した以外は比較例4と同様にして、比較水系分散体(5)を調整した。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の比較水分散体(5)について、実施例1と同様に平均一次粒子径、体積平均粒子径、PDI、粘度を算出又は測定し表1に記載した。実施例9と同様にpHを測定した結果、8.6であった。
インクジェット記録用水性インクの調製
(インクジェット記録用比較水性インク組成物(5)の調製)
実施例1の水性インク組成物(1)の調製において、水分散体(1)を比較水分散体(5)に変えた以外は実施例1と同様にして比較水性インク組成物(5)を調整し、pHを測定したところ、8.8であった。
〔評価〕
(インクの保存安定性)
作製した各インクをPET製容器に入れて密栓し、70℃恒温槽中で5日間保存し、保存前後の粘度及び平均粒子径を測定した。また、同様の方法で保存前の顔料含有ビニルポリマー粒子水分散体の粘度及び平均粒子径も測定した。粘度は、R100型粘度計(東機産業社製)により25℃、コーンの回転数20〜100rpmの条件にて測定した。平均粒子径は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用い、動的光散乱法により体積平均粒子径Mv、累積90%粒子径(D90)、累積50%粒子径(D50)、累積10%粒子径(D10)を測定した。
PDI=(D90−D10)/D50〔式中、D90、D50、D10は、それぞれ分布関数dG=F(D)dD(Gは顔料粒子数、Dは粒径)の積分が、顔料粒子の全粒子数の0.9(90個数%)、0.5(50個数%)及び0.1(10個数%)に等しい粒径を表す。〕に従い、PDIを算出した。
それぞれの測定値を指標にして、下記の評価基準にしたがって顔料含有ビニルポリマー粒子水分散体の安定性の評価をした。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
A:粘度、平均粒子径及びPDIともに、保存前の値の±10%未満。
B:粘度、平均粒子径及びPDIいずれかの値が、保存前の値の±10%以上。
C:粘度、平均粒子径及びPDIともに、保存前の値の±10%以上。
(吐出精度評価)
作製した顔料インク組成物をPET製容器に密栓し70℃恒温槽中で5日間保存した。インクジェット記録装置として、富士フイルムDimatix社製DMP−2831プリンターを用い、インク液滴量2pLで吐出周波数20kHz、ノズル配列列方向×搬送方向16×1200dot/25.4mmで10cmライン印字した。記録媒体として富士フイルム社製画彩写真仕上げProを用いた。印字サンプルの打滴開始部から5cmの部位のライン間の距離を王子計測機器製ドットアナライザイーDA−6000で測定し、その標準偏差を算出し、吐出の方向精度を評価した。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
A・・・標準偏差が3μm未満
B・・・標準偏差が3μm以上4μm未満
C・・・標準偏差が4μm以上5μm未満
D・・・標準偏差が5μm以上
(光沢度)
作製した顔料インク組成物をPET製容器に入れて密栓し70℃恒温槽中で5日間保存し、保存前後の顔料インク組成物を、インクジェット記録装置として、セイコーエプソン社製PX−V630を用い、Dmaxのイエロー単色ベタ画像を印字した。記録媒体として富士フイルム社製画彩写真仕上げProを用いた。イエロー単色ベタ画像部それぞれについて、JIS Z8741(1997年)に従い、デジタル変角光度計(商品名:UGV−5D、スガ試験機(株)製)を用いて、入射角60°、受光角60°での光沢度を測定し、下記の基準に従って評価した。
で測定し、下記基準に従いを評価した。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
A・・・60°光沢度が、保存前の値の±5%未満。
B・・・60°光沢度が、保存前の値の−10%以上〜−5%未満。
C・・・60°光沢度が、保存前の値の−10%以下。
(耐擦性)
上記吐出安定性評価と同様に、インクジェット記録装置として、600dpi、256ノズルの試作プリントヘッドを備えたインクジェット装置を用意した。これに、上記で得られたインクジェット記録用水性インクを70℃環境下に5日間保存して得た水性インクを装填し、FX−L紙(富士ゼロックス(株)製)にイエロー単色ベタ画像を印画した。ベタ画像の印画面を外側に向けて文鎮(質量470g、サイズ15mm×30mm×120mm)に巻きつけ、別の白紙のFX−L紙上で3往復擦った(荷重260kg/mに相当)。擦った後の印画面を目視により観察し、予め定めておいた限度見本に照合して、下記評価基準に従って、目視による官能評価を行った。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
AA ・・・ 傷がつかなかった。
A ・・・ わずかに(2箇所以下)傷がついた。
B ・・・ 3〜10箇所の傷がついたが、実用上の許容レベルだった。
C ・・・ 11箇所以上の傷がつき、実用上問題があるレベルだった。
Figure 2011213917

Claims (12)

  1. 体積平均粒子径(Mv)が40〜120nmであり、且つ、下記式Aで表される多分散性指数(PDI)が1.6以下である水系顔料分散体の製造方法であって、
    (i)下記A、B及びCを含む材料を混合する混合工程と、
    A:平均一次粒子径が10〜70nmである下記一般式(1)で表されるアゾ顔料、その互変異性体、それらの塩及び水和物からなる群より選択される少なくとも1種
    B:水不溶性ポリマー
    C:分散媒
    (ii)該混合工程で得られた混合物を高圧ホモジナイザーで分散処理する分散工程を有することを特徴とする水系顔料分散体の製造方法。
    式A:PDI=(D90−D10)/D50
    〔式中、D90、D50、D10は、それぞれ分布関数dG=F(D)dD(Gは顔料粒子数、Dは粒径)の積分が、顔料粒子の全粒子数の0.9(90個数%)、0.5(50個数%)及び0.1(10個数%)に等しい粒径を表す。〕
    Figure 2011213917
    (一般式(1)中、Zは5〜6員ヘテロ環を表し、Y、Y、R11、R12は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、G、Gは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、W、Wはそれぞれ独立にアルコキシ基、アミノ基、アルキル基又はアリール基を表す。)
  2. 前記水不溶性ポリマーが下記一般式(PI)で表される疎水性構造単位(a)と、親水性構造単位(c)とを含むビニルポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の水系顔料分散体の製造方法。
    Figure 2011213917
    (一般式(PI)中、Rは水素原子、メチル基又はハロゲン原子を表し、Lは−COO−、−OCO−、−CONR−、−O−又は置換もしくは無置換のフェニレン基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。Arは芳香族炭化水素環から誘導される1価の基を表す。)
  3. 一般式(1)中、W、Wが、それぞれ独立に総炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基、又は総炭素数1〜5のアルキルアミノ基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水系顔料分散体の製造方法。
  4. 一般式(1)中、G、Gが、それぞれ独立に総炭素数1〜3のアルキル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水系顔料分散体の製造方法。
  5. 一般式(1)中、Zが、6員含窒素ヘテロ環であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水系顔料分散体の製造方法。
  6. 一般式(1)で表されるアゾ顔料が、下記一般式(10)で表されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の水系顔料分散体の製造方法。
    Figure 2011213917
    (一般式(10)中、Zは5〜6員含窒素ヘテロ環を表し、W、Wはそれぞれ独立にアルコキシ基、アミノ基、アルキル基又はアリール基を表す。)
  7. 一般式(10)で表されるアゾ顔料が、下記一般式(11)で表されることを特徴とする請求項6に記載の水系顔料分散体の製造方法。
    Figure 2011213917
    (一般式(11)中、Z’は6員含窒素ヘテロ環を表す。)
  8. 前記混合工程の前に、前記アゾ顔料、その互変異性体、それらの塩及び水和物からなる群より選択される少なくとも1種と、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤とを含む混合物を混練する磨砕工程を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の水系顔料分散体の製造方法。
  9. 前記高圧ホモジナイザーによる処理圧力が、80〜150Mpaであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の水系顔料分散体の製造方法。
  10. 前記分散工程における高圧ホモジナイザー処理のパス回数が1〜6パスであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の水系顔料分散体の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法で作製された水系顔料分散体。
  12. 請求項11記載の水系顔料分散体を含むインクジェット記録用水性インク。
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