JP2011210439A - 電子放出素子、その製造方法、電子放出素子を用いた面発光素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】強電界によって電子を放出する電界放射型の電子放出素子において、基板上に形成された複数の突起部よりなる3次元構造パターンを具備し、突起部の高さと隣接する突起部同士との間隙との比を1:2以上1:6以下とする。
【選択図】図4
Description
また、前述した非発光素子で光のシャッター機能しかもたないLCDでは、高輝度ディスプレイとして用いるためにバックライトが不可欠である。バックライトには、立体型の蛍光灯と拡散用の反射板を組み合わせ薄型化した、蛍光管が用いられている。
しかしながら、照明やLCDのバックライトとして用いられる蛍光灯には、水銀が含まれており、今後、環境汚染という点で大きな課題を抱えており、代替えの照明装置が強く求められている。
LEDは、半導体を用いたpn接合と呼ばれる構造で作られている。電極から半導体に注入された電子と正孔は異なったエネルギー帯(伝導帯と価電子帯)を流れ、pn接合部付近にて禁制帯を越えて再結合する。再結合の際にほぼ禁制帯幅(バンドギャップ)に相当するエネルギーが光子、すなわち光として放出される。
電界放射型の電子放出素子すなわちフィールドエミッタは、物質に印加する電界の強度を上げると、その強度に応じて物質表面のエネルギー障壁の幅が次第に狭まり、電界強度が107V/cm以上の強電界となると、物質中の電子がトンネル効果によりそのエネルギー障壁を突破できるようになる。そのため物質から電子が放出されるという現象を利用している。この場合、電場がポアッソンの方程式に従うために、電子を放出する部材(エミッタ)に電界が集中する部分を形成すると、比較的低い引き出し電圧で効率的に冷電子の放出を行うことができる。
従来のFEDの技術を用いた面発光素子は、図11のように構成することができる。図11に示す面発光素子30には、カソード側基体31上に導電層32を介して複数の先端の尖った円錐形のエミッタ33が形成され、これらエミッタ33を取り巻くように、絶縁層34及びゲート電極35が配置されてフィールドエミッタアレイ(カソード)が構成されている。このフィールドエミッタアレイ(カソード)に対向して、アノード側基体36上にアノード電極37及び蛍光体38から形成されたアノードが、スペーサ39を介して配置され、3極管いわゆるトライオード構造を有する面発光素子が構成される(特許文献1、特許文献2、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3参照)。
特許文献1に記載の方法は、固体基板と有機液体とが急激な温度差を有して接触することから特異な界面分解反応が生じるため、有機液体中の固液界面接触分解法と呼ばれている。
本発明は、電界集中が容易で、電子放出能及びその均一性、安定性に優れ、かつ簡便で制御性が高いプロセスで作製できるナノ炭素材料を用いた電子放出素子、その製造方法、電子放出素子を用いた面発光素子を提供することである。
また、少なくとも、前記突起部の表面に、ナノ炭素材料が形成されていることが好ましい。ナノ炭素材料を用いることにより、無酸化表面でかつ熱伝導及び電気伝導性が高い炭素材料のもつ高い電子放出能とナノオーダの微細構造をもち、かつ、適度な間隙で形成できるため、低電圧での駆動と高均一の面電子放出を大面積にわたり得ることができる。
本発明による電子放出素子の製造方法は、円形、多角形、ライン状パターン形状のうちのいずれかの形状に触媒を担持させた基板を、有機液体中に浸漬して加熱し、固液界面接触分解法により、ナノ炭素材料を成長させる工程を有することを特徴とする。このような構成により、無酸化表面でかつ熱伝導及び電気伝導性が高い炭素材料のもつ高い電子放出能とナノオーダの微細構造をもち、かつ、適度な間隙で形成できるため、低電圧での駆動と高均一の面電子放出を大面積にわたり得ることができる。
また、本発明によれば、低コストで高輝度、高安定、高均一の面発光素子を得ることができ、良好な特性で安価な、表示装置、バックライト、照明等を得ることができる電子放出素子、その製造方法、電子放出素子を用いた面発光素子を提供することができる。
(電子放出素子)
本発明の実施形態による電子放出素子は、基板と、基板上に形成された複数の突起部よりなる3次元構造パターンとを含む。
図1〜図3に示す断面図を参照して、本発明の電子放出素子の例を説明する。図1に示す電子放出素子100は、基板1の表面に複数の突起部2がアレイ状に形成されている。突起部2の高さhと突起部2の間隙wとの比、すなわちh:wは1:2以上1:6以下である。
図2(a)のように、突起部を、ナノサイズの先端構造をもつナノ炭素材料で構成することにより、またさらに、図2(b)のように、突起部を、基板1に対し高配向で形成することにより、より電界集中を高めることができる。
図3(a)のように、ナノサイズの先端構造をもつナノ炭素材料で構成することにより、またさらに、図3(b)のように、基板に対し高配向で形成することにより、より電界集中を高めることができる。
ナノ炭素材料4,4’は、例えば、ナノサイズの径を持つ結晶性のカーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノフィラメント、カーボンナノウォール、またはカーボンナノコイルである。
図4(a)から(c)に示すように、突起部2は種々の形状に形成することができる。図4(a)に示す突起部2の形状は円柱である、同図(b)に示す突起部2の形状は四角柱である。同図(c)に示す突起部2の形状は3次元ラインパターンである。
図4(a)から(c)に示すように、突起部の形状を円柱または多角柱または3次元ラインパターンという定形にすれば、突起部をより効率的に形成することができ、かつ電子放出素子特性の制御が容易になる。
本発明の電子放出素子は、基板に突起部が形成され、突起部がナノ炭素材料で形成され、もしくは基板の突起部の表面にナノ炭素材料が形成されているため、容易に電界集中が起こるので、電子放出が容易になされ、低電圧駆動が可能になる。
次に、本実施形態による電子放出素子の製造方法を説明する。本例の方法は、複数の円形または多角形またはラインパターン形状に触媒を担持させた基板を、有機液体中に浸漬して加熱し、固液界面接触分解法により、ナノ炭素材料を成長させる工程を有することを特徴とする。
図5(a)、(b)を参照して、本発明の製造方法の例を説明する。
まず、図5(a)に示すように、基板1を洗浄した後、マスクスパッタあるいはレジストリフトオフ等の手法を用いて、基板1上に、円形、多角形あるいはラインパターン形状に触媒3を担持する。触媒3としてはコバルト、鉄、ニッケル、パラジウムまたはそれらの化合物などを用いることができる。基板1表面へのこれらの触媒3の堆積方法として、たとえばスパッタリング法を用いることができる。また、所定量の金属塩水溶液を塗布し、過剰の水を蒸発させて乾燥した後、400〜500℃の空気気流中で焼成し、金属塩の分解と酸化を起こして金属塩を酸化物に転換してもよい。堆積させる触媒3の厚さは特に限定されないが、2〜10nmの範囲が好ましい。
次に、図5(b)に示すように、所定のパターンに触媒を担持させた基板1を、有機液体中に浸漬して加熱し、固液界面接触分解法により、突起部2の表面にナノ炭素材料4’を成長させる。以上により、電子放出素子200’を製造することができる。
図6は、固液界面接触分解法を実施するための製造装置の一例を示す。
液体槽11には有機液体12が収容される。液体槽11の周囲には水冷手段(図示せず)が設けられる。液体槽11の上部は蓋13で密閉される。蓋13には、有機液体12に浸潰されるように1対の電極14が取り付けられている。1対の電極14の下部に基板1を保持して有機液体12に浸漬させ、この状態で基板1に電流を流して加熱する。蓋13の上部には、液体槽11から蒸発する有機液体蒸気を冷却凝縮して液体槽11に戻す、水冷パイプ15を備えた凝縮器16が設けられている。凝縮器16の上部にはフィルター17が設けられている。また、蓋13には、液体槽11および凝縮器16の空気を除去するために不活性ガスを導入するバルブ18が設けられている。
基板1の材料としてシリコンを用いれば、触媒であるコバルトと安定な酸化状態を形成するため、ナノ炭素材料の形態をより安定に制御することができる。触媒としてコバルトまたはその酸化物を用い、有機液体としてメタノールを用いると、突起部2の上面および側面を含む基板1の表面に対して垂直配向したナノ炭素材料を容易に成長させることができる。
次に、本実施形態による電子放出素子の別の製造方法について説明する。本例の方法は、基板に複数の突起部を形成する工程と、少なくとも前記突起部の表面に触媒を担持させる工程と、少なくとも前記突起部に触媒を担持させた基板を、有機液体中に浸漬して加熱し、固液界面接触分解法により、少なくとも前記突起部の表面にナノ炭素材料を成長させる工程とを有する。
図7(a)から(c)を参照して、本例の製造方法について説明する。
図7(a)に示すように、基板1を洗浄した後、基板1の表面に触媒3を堆積して担持させる。触媒3としてはコバルト、鉄、ニッケル、パラジウムまたはそれらの化合物などを用いることができる。基板1の表面へのこれらの触媒3の堆積方法は、前述した通りである。
基板1に突起部2を形成するには、リソグラフィーおよびドライまたはウェットエッチングを用いてもよいし、切削刃を用いた機械加工を用いてもよい。
光または電子線リソグラフィーを用いれば微細かつ任意のパターン形状を得ることができ、ドライまたはウェットエッチングにより1μm以上のいわゆるミクロンオーダーの突起部2を加工することができる。また、半導体レベルの微細加工が可能で、トレンチエッチングなどの手法を適用することにより、極微細なパターンまたはピッチでアスペクト比の高い形状の突起部2を加工することができる。
さらに、図7(c)に示すように、突起部2に触媒を担持させた基板1を、有機液体中に浸漬して加熱し、固液界面接触分解法により、突起部2の表面にナノ炭素材料4’を成長させて、電子放出素子300’を製造する。ナノ炭素材料4’の合成法である固液界面接触分解法は、上述の通りである。また、本発明者らは、パターンのエッジ部分、すなわち、触媒の担持領域と非担持領域との境界部分においても、本固液界面接触分解法を用いることで、他の合成法では容易ではなかった、垂直に配向できることを見いだした。
以上のようにして得られた電子放出素子をエミッタとして用い、蛍光体が塗布されたアノードと対向させることで面発光素子を構成する。用いるアノードは、例えば、図11を参照して説明した、基板上にアノード電極が形成され、さらにその上に蛍光体が塗布されたものを用いる。なお、エミッタとアノードとの間は真空に保持する。
低抵抗のn型単結晶シリコン(100)基板の表面に、触媒としてコバルトを6nmの厚みでスパッタ成膜を行った後、空気中で900℃、10分の熱処理を施した。次にこの基板上に、機械的な切削加工または反応性イオンエッチングを施し、四角柱の突起部を形成した。
続いて、この基板を、メタノール中に浸漬して電極を通して通電し、初期に600℃、3分、続いて900℃、6分の条件で基板を加熱し、基板近傍で固液界面接触分解反応を起こし、メタノール中の炭素原子を原料としてカーボンナノチューブを生成させた。この結果、基板1上の突起部2の上面の表面にのみカーボンナノチューブが垂直配向して成長した。成長したカーボンナノチューブの長さは約3〜5μmであった。
得られた基板を電界放射型の電子放出素子のエミッタとして用い、これに1mmの間隙を設けアノードを対向させ、真空中で電界電子放出特性を測定した結果、低い電界強度で電子放出が得られることが確認された。
低抵抗のn型単結晶シリコン(100)基板の表面に、フォトリソグラフィーあるいは電子線リソグラフィーあるいは印刷で、有機レジストをラインパターン状に形成した。
次に、基板表面に、触媒としてコバルトを6nmの厚みでスパッタ成膜を行った後、レジストをリフトオフし除去した後、空気中で900℃、10分の熱処理を施した。
この基板を、メタノール中に浸漬して電極を通して通電し、初期に600℃、3分、続いて900℃、6分の条件で基板を加熱し、基板近傍で固液界面接触分解反応を起こし、メタノール中の炭素原子を原料としてカーボンナノチューブを生成させた。この結果、突起部2の上面および側面を含む基板1の表面にカーボンナノチューブが垂直配向して成長した。成長したカーボンナノチューブの長さは約2〜3μmであった。
得られた基板を電界放射型の電子放出素子のエミッタとして用い、これに1mmの間隙を設けアノードを対向させ、真空中で電界電子放出特性を測定した結果、いずれも低電界で電子放出が得られることがわかった。
2 突起部
3 触媒
4,4’ ナノ炭素材料
11 液体槽
12 有機液体
13 蓋
14 電極
15 水冷パイプ
16 凝縮器
17 フィルター
18 バルブ
30 面発光素子
31 カソード側基体
32 導電層
33 エミッタ
34 絶縁層
35 ゲート電極
36 アノード側基体
37 アノード電極
38 蛍光体
39 スペーサ
100、200、200’、300、300’ 電子放出素子
Claims (8)
- 強電界によって電子を放出する電界放射型の電子放出素子において、
基板と、前記基板上に形成された複数の突起部よりなる3次元構造パターンと、を具備し、前記突起部の高さと隣接する突起部同士の間隙との比が1:2以上1:6以下であること特徴とする電子放出素子。 - 前記突起部が、ナノ炭素材料から成ることを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子。
- 少なくとも、前記突起部の表面に、ナノ炭素材料が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子。
- 前記ナノ炭素材料が、基板あるいは前記突起部の表面に対して垂直配向したカーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノフィラメント、カーボンナノウォール、またはカーボンナノコイルのいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電子放出素子。
- 前記突起部の形状が、円柱、多角柱、3次元ラインパターンのうちのいずれかの形状であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子放出素子。
- 円形、多角形、ライン状パターン形状のうちのいずれかの形状に触媒を担持させた基板を、有機液体中に浸漬して加熱し、固液界面接触分解法により、ナノ炭素材料を成長させる工程を有することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
- 基板に、複数の突起部を形成する工程と、
少なくとも、前記突起部の表面に、触媒を担持させる工程と、
少なくとも、前記突起部に、触媒を担持させた基板を、有機液体中に浸漬して加熱し、固液界面接触分解法により、少なくとも、前記突起部の表面に、ナノ炭素材料を成長させる工程と
を有することを特徴とする電子放出素子の製造方法。 - 第1の基板と、前記第1の基板上に形成された複数の突起部よりなる3次元構造パターンとを具備し、前記突起部の高さと隣接する突起部同士の間隙との比が1:2以上1:6以下である電子放出素子と、
少なくとも前記電子放出素子に対向して配置され、第2の基板上にアノード電極および蛍光体が設けられてなるアノードとを含み、
前記電子放出素子と前記アノードとの間が真空に保持されていることを特徴とする面発光素子。
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