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JP2011256767A - 作業機の排気ガス浄化システム - Google Patents

作業機の排気ガス浄化システム Download PDF

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JP2011256767A JP2010131205A JP2010131205A JP2011256767A JP 2011256767 A JP2011256767 A JP 2011256767A JP 2010131205 A JP2010131205 A JP 2010131205A JP 2010131205 A JP2010131205 A JP 2010131205A JP 2011256767 A JP2011256767 A JP 2011256767A
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Abstract

【課題】排気ガス浄化装置50の粒子状物質捕集能力を回復させる再生制御を簡単な構成で効率よく実行できるようにする。
【解決手段】本願発明に係る作業機の排気ガス浄化システムは、エンジン70の排気経路77に配置された排気ガス浄化装置50と、油圧アクチュエータ160,163と、前記エンジン70の動力にて前記油圧アクチュエータ160,163に作動油を供給する油圧ポンプ101と、前記油圧ポンプ101とその下流側にある作業部油圧回路103との間に配置された調整弁手段100とを備える。前記排気ガス浄化装置50の詰り状態が規定水準以上になると、前記調整弁手段100の作動にて前記油圧ポンプ101側の圧力を増大させることによって、エンジン回転速度を維持しながらエンジン負荷を増大させるように構成する。
【選択図】図8

Description

本願発明は、例えば建設機械、農作業機及びエンジン発電機といった作業機の排気ガス浄化システムに関するものである。
昨今、ディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)に関する高次の排ガス規制が適用されるのに伴い、エンジンが搭載される建設機械、農作業機及びエンジン発電機等に、排気ガス中の大気汚染物質を浄化処理する排気ガス浄化装置を搭載することが要望されつつある。排気ガス浄化装置としては、ディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、DPFという)が知られている。DPFは、排気ガス中の粒子状物質(以下、PMという)等を捕集するためのものである。この場合、DPFにて捕集されたPMが規定量を超えると、DPF内の流通抵抗が増大してエンジン出力の低下をもたらすため、排気ガスの昇温によってDPFに堆積したPMを除去し、DPFのPM捕集能力を回復させる(DPFを再生させる)こともよく行われている。
例えば特許文献1には、エンジンの排気経路のうちDPFの上流側に電熱式のヒータを設け、DPFに導かれる排気ガスをヒータ加熱にて昇温させることによって、DPFに堆積したPMを燃焼除去することが開示されている。
特開2001−280121号公報
しかし、特許文献1の構成では、排気ガス昇温専用のヒータが必要であるため、部品点数が嵩み、コスト上昇の一因になるという問題があった。また、ヒータによる排気ガスの加熱が局部的とならざるを得ず、排気ガスを一様に加熱できないから、排気ガスを均一に浄化できないばかりか、ヒータに近接するDPF自体の温度も不均一になって、DPFに割れ等の損傷が発生するおそれが高いという問題もあった。
そこで、本願発明は、これらの問題を解消した作業機の排気ガス浄化システムを提供することを技術的課題とするものである。
請求項1の発明に係る作業機の排気ガス浄化システムは、エンジンの排気経路に配置された排気ガス浄化装置と、油圧アクチュエータと、前記エンジンの動力にて前記油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプと、前記油圧ポンプとその下流側にある作業部油圧回路との間に配置された調整弁手段とを備えており、前記排気ガス浄化装置の詰り状態が規定水準以上になると、前記調整弁手段の作動にて前記油圧ポンプ側の圧力を増大させることによって、エンジン回転速度を維持しながらエンジン負荷を増大させるように構成されているというものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載した作業機の排気ガス浄化システムにおいて、前記排気ガス浄化装置の詰り状態が前記規定水準より低い許容水準以下になるか、若しくは、前記調整弁手段を作動させてからの経過時間が予め設定された設定時間以上になると、前記調整弁手段による前記油圧ポンプ側の圧力増大を解除するように構成されているというものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載した作業機の排気ガス浄化システムにおいて、前記調整弁手段を非作動状態から作動状態にするまでの遷移時間が変更可能になっているというものである。
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちいずれかに記載した作業機の排気ガス浄化システムにおいて、前記調整弁手段はパルス幅変調制御によって作動するように構成されているというものである。
請求項1の発明に係る作業機の排気ガス浄化システムによると、エンジンの排気経路に配置された排気ガス浄化装置と、油圧アクチュエータと、前記エンジンの動力にて前記油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプと、前記油圧ポンプとその下流側にある作業部油圧回路との間に配置された圧力調整弁とを備えており、前記排気ガス浄化装置の詰り状態が規定水準以上になると、前記調整弁手段の作動にて前記油圧ポンプ側の圧力を増大させることによって、エンジン回転速度を維持しながらエンジン負荷を増大させるように構成されているから、例えば前記エンジンの燃料噴射制御や吸排気絞り装置の開閉制御の設定を変更することなく、前記油圧ポンプ側の圧力増大によって、エンジン出力を増大させて排気ガス温度を上昇させ、前記排気ガス浄化装置を再生できる。つまり、前記排気ガス浄化装置の粒子状物質捕集能力を回復できる。
請求項2の発明では、請求項1に記載した作業機の排気ガス浄化システムにおいて、前記排気ガス浄化装置の詰り状態が前記規定水準より低い許容水準以下になるか、若しくは、前記調整弁手段を作動させてからの経過時間が予め設定された設定時間以上になると、前記調整弁手段による前記油圧ポンプ側の圧力増大を解除するように構成されている。上記いずれかの条件を満たした場合というのは、前記排気ガス浄化装置の詰り状態が改善したとみなせるから、前記調整弁手段による前記油圧ポンプ側の圧力増大を解除することによって、オペレータの戻し操作等に依らずに、前記調整弁手段を非作動状態にして、前記油圧ポンプから前記エンジンに過剰な負荷が掛かるのを防止できる。従って、前記排気ガス浄化装置の再生動作の効率化を図れ、前記排気ガス浄化装置の再生に伴う燃費の悪化を抑制できる。
請求項3の発明によると、請求項1又は2に記載した作業機の排気ガス浄化システムにおいて、前記調整弁手段を非作動状態から作動状態にするまでの遷移時間が変更可能になっているから、例えば作業機の特性に応じて前記遷移時間を設定することが可能になる。このため、前記排気ガス浄化装置の再生にあたり、きめ細かい対処が図れるという効果を奏する。
請求項4の発明によると、請求項1〜3のうちいずれかに記載した作業機の排気ガス浄化システムにおいて、前記調整弁手段はパルス幅変調制御によって作動するように構成されているから、前記油圧ポンプ側の圧力が急増又は急減するおそれを抑制できる。このため、エンジン出力が急激に変化するのを未然に防止して、エンジン出力急変に起因した衝撃(ショック)を少なくできる。
エンジンが搭載されたバックホウの側面図である。 バックホウの平面図である。 エンジンの燃料系統説明図である。 エンジン及び排気ガス浄化装置の関係を示す機能ブロック図である。 燃料の噴射タイミングを説明する図である。 出力特性マップの説明図である。 計器パネルの説明図である。 DPF再生制御の流れを示すフローチャートである。 DPF再生制御の別例を示すフローチャートである。 調整弁手段の別例を示す機能ブロック図である。 (a)はパイロット圧付加状態に移行する場合の電磁切換弁の駆動出力線図、(b)はこの場合の到達デューティ比と時間との関係を示す説明図、(c)はパイロット圧排出状態に移行する場合の電磁切換弁の駆動出力線図、(d)はこの場合の到達デューティ比と時間との関係を示す説明図である。
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(1).バックホウの概略構造
まず始めに、図1及び図2を参照して、エンジン70が搭載される作業機の一例であるバックホウ141の概略構造について説明する。なお、図2では説明の便宜上、キャビン6の図示を省略している。
作業機の一例であるバックホウ141は、左右一対の走行クローラ143(図1では左側のみ示す)を有するクローラ式の走行装置142と、走行装置142上に設けられた旋回台144(機体)とを備えている。旋回台144は、旋回モータ(図示省略)にて、360°の全方位にわたって水平旋回可能に構成されている。走行装置142の前部には排土板145が昇降回動可能に装着されている。
旋回台144には、操縦部としてのキャビン146とディーゼル4気筒タイプのエンジン70とが搭載されている。旋回台144の前部には、掘削作業のためのブーム151、アーム152及びバケット153を有する作業部150が設けられている。図2に示すように、キャビン146の内部には、オペレータが着座する操縦座席148、エンジン回転速度を設定保持するスロットル操作手段としてのスロットルレバー166、並びに、作業部操作手段としてのレバー・スイッチ群167〜170(旋回操作レバー167、アーム操作レバー168、バケット操作スイッチ169及びブーム操作レバー170)等が配置されている。
作業部150の構成要素であるブーム151は、先端側を前向きに突き出して側面視く字状に屈曲した形状に形成されている。ブーム151の基端部は、旋回台144の前部に取り付けられたブームブラケット154に、横向きのブーム軸155を中心にして首振り回動可能に枢着されている。ブーム151の内面(前面)側には、これを上下に首振り回動させるための片ロッド複動形のブームシリンダ156が配置されている。ブームシリンダ156のシリンダ側端部は、ブームブラケット154の前端部に回動可能に枢支されている。ブームシリンダ156のロッド側端部は、ブーム151における屈曲部の前面側(凹み側)に固定された前ブラケット157に回動可能に枢支されている。
ブーム151の先端部には、長手角筒状のアーム152の基端部が、横向きのアーム軸159を中心にして首振り回動可能に枢着されている。ブーム151の上面前部側には、アーム152を首振り回動させるための片ロッド複動形のアームシリンダ160が配置されている。アームシリンダ160のシリンダ側端部は、ブーム151における屈曲部の背面側(突出側)に固定された後ブラケット158に回動可能に枢支されている。アームシリンダ160のロッド側端部は、アーム152の基端側外面(前面)に固着されたアームブラケット161に回動可能に枢支されている。
アーム152の先端部には、掘削用アタッチメントとしてのバケット153が、横向きのバケット軸162を中心にして掬い込み回動可能に枢着されている。アーム152の外面(前面)側には、バケット153を掬い込み回動させるための片ロッド複動形のバケットシリンダ163が配置されている。バケットシリンダ163のシリンダ側端部は、アームブラケット161に回動可能に枢支されている。バケットシリンダ163のロッド側端部は、連結リンク164及び中継ロッド165を介してバケット153に回動可能に枢支されている。
(2).エンジン及びその周辺の構造
次に、図3及び図4を参照しながら、エンジン70及びその周辺の構造を説明する。図4に示すように、エンジン70は、前述の通り4気筒型のディーゼルエンジンであり、上面にシリンダヘッド72が締結されたシリンダブロック75を備えている。シリンダヘッド72の一側面には吸気マニホールド73が接続されており、他側面には排気マニホールド71が接続されている。シリンダブロック75の側面のうち吸気マニホールド73の下方には、エンジン70の各気筒に燃料を供給するコモンレールシステム117が設けられている。吸気マニホールド73の吸気上流側に接続された吸気管76には、エンジン70の吸気圧(吸気量)を調節するための吸気絞り装置81とエアクリーナ(図示省略)とが接続される。
図3に示すように、エンジン70における4気筒分の各インジェクタ115に、コモンレールシステム117及び燃料供給ポンプ116を介して、燃料タンク118が接続される。各インジェクタ115は電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ119を備えている。コモンレールシステム117は円筒状のコモンレール120を備えている。燃料供給ポンプ116の吸入側には、燃料フィルタ121及び低圧管122を介して燃料タンク118が接続されている。燃料タンク118内の燃料が燃料フィルタ121及び低圧管122を介して燃料供給ポンプ116に吸い込まれる。実施形態の燃料供給ポンプ116は吸気マニホールド73の近傍に配置されている。一方、燃料供給ポンプ116の吐出側には、高圧管123を介してコモンレール120が接続されている。コモンレール120には、4本の燃料噴射管126を介して、4気筒分のインジェクタ115が接続されている。
上記の構成において、燃料タンク118の燃料は燃料供給ポンプ116によってコモンレール120に圧送され、高圧の燃料がコモンレール120に蓄えられる。各燃料噴射バルブ119がそれぞれ開閉制御されることによって、コモンレール120内の高圧の燃料が各インジェクタ115からエンジン70の各気筒に噴射される。すなわち、各燃料噴射バルブ119を電子制御することによって、各インジェクタ115から供給される燃料の噴射圧力、噴射時期、噴射期間(噴射量)が高精度にコントロールされる。従って、エンジン70からの窒素酸化物(NOx)を低減できると共に、エンジン70の騒音振動を低減できる。
図5に示すように、コモンレールシステム117は、上死点(TDC)を挟む付近でメイン噴射Aを実行するように構成されている。また、コモンレールシステム117は、メイン噴射A以外に、上死点より約60°以前のクランク角度θ1の時期に、NOx及び騒音の低減を目的として少量のパイロット噴射Bを実行したり、上死点直前のクランク角度θ2の時期に、騒音低減を目的としてプレ噴射Cを実行したり、上死点後のクランク角度θ3及びθ4の時期に、粒子状物質(以下、PMという)の低減や排気ガスの浄化促進を目的としてアフタ噴射D及びポスト噴射Eを実行したりするように構成されている。
なお、図3に示すように、燃料タンク118には、燃料戻り管129を介して燃料供給ポンプ116が接続されている。円筒状のコモンレール120の長手方向の端部に、コモンレール120内の燃料の圧力を制限する戻り管コネクタ130を介して、コモンレール戻り管131が接続されている。すなわち、燃料供給ポンプ116の余剰燃料とコモンレール120の余剰燃料とが、燃料戻り管129及びコモンレール戻り管131を介して燃料タンク118に回収されることになる。
排気マニホールド71の排気下流側に接続された排気管77には、エンジン70の排気圧を調節するための排気絞り装置82と、排気ガス浄化装置の一例であるディーゼルパティキュレートフィルタ50(以下、DPFという)とが接続される。各気筒から排気マニホールド71に排出された排気ガスは、排気管77、排気絞り装置82及びDPF50を経由して浄化処理をされてから外部に放出される。
DPF50は、排気ガス中のPM等を捕集するためのものである。実施形態のDPF50は、耐熱金属材料製のケーシング51内にある略筒型のフィルタケース52に、例えば白金等のディーゼル酸化触媒53とスートフィルタ54とを直列に並べて収容してなるものである。実施形態では、フィルタケース52内のうち排気上流側にディーゼル酸化触媒53が配置され、排気下流側にスートフィルタ54が配置されている。スートフィルタ54は、多孔質な(ろ過可能な)隔壁にて区画された多数のセルを有するハニカム構造になっている。
ケーシング51の一側部には、排気管76のうち排気絞り装置82より排気下流側に連通する排気導入口55が設けられている。ケーシング51の一端部は第1底板56にて塞がれ、フィルタケース52のうち第1底板56に臨む一端部は第2底板57にて塞がれている。ケーシング51とフィルタケース52との間の環状隙間、並びに両底板56,57間の隙間には、ガラスウールのような断熱材58がディーゼル酸化触媒53及びスートフィルタ54の周囲を囲うように充填されている。ケーシング51の他側部は2枚の蓋板59,60にて塞がれていて、これら両蓋板59,60を略筒型の排気排出口61が貫通している。また、両蓋板59,60の間は、フィルタケース52内に複数の連通管62を介して連通する共鳴室63になっている。
ケーシング51の一側部に形成された排気導入口55には排気ガス導入管65が挿入されている。排気ガス導入管65の先端は、ケーシング51を横断して排気導入口55と反対側の側面に突出している。排気ガス導入管65の外周面には、フィルタケース52に向けて開口する複数の連通穴66が形成されている。排気ガス導入管65のうち排気導入口55と反対側の側面に突出する部分は、これに着脱可能に螺着された蓋体67にて塞がれている。
DPF50には、検出手段の一例として、DPF50内の排気ガス温度を検出するDPF温度センサ26が設けられている。実施形態のDPF温度センサ26は、ケーシング51及びフィルタケース52を貫通して装着されており、その先端はディーゼル酸化触媒53とスートフィルタ54との間に位置させている。
また、DPF50には、検出手段の一例として、スートフィルタ54の詰まり状態を検出する差圧センサ68が設けられている。実施形態の差圧センサ68は、DPF50内におけるスートフィルタ54を挟んだ上下流間の圧力差(差圧)を検出するものである。この場合、排気ガス導入管65の蓋体67に、差圧センサ68を構成する上流側排気圧センサ68aが装着され、スートフィルタ54と共鳴室63との間に、下流側排気圧センサ68bが装着されている。DPF50上下流間の圧力差とDPF50内のPM堆積量との間に一定の法則性があることはよく知られている。実施形態では、差圧センサ68にて検出される圧力差からDPF50内のPM堆積量を推定し、当該推定結果に基づいて後述する調整弁手段100並びにコモンレール120を作動させることにより、スートフィルタ54の再生制御(DPF再生制御)が実行される。
なお、スートフィルタ54の詰まり状態を検出するのは、差圧センサ68に限らず、DPF50内におけるスートフィルタ54上流側の圧力を検出する排気圧センサであってもよい。排気圧センサを採用した場合は、スートフィルタ54にPMが堆積していない新品時のスートフィルタ54上流側の圧力(基準圧力)と、排気圧センサにて検出された現在の圧力とを比較することによって、スートフィルタ54の詰まり状態を判断することになる。
上記の構成において、エンジン5からの排気ガスは、排気導入口55を介して排気ガス導入管65に入って、排気ガス導入管65に形成された各連通穴66からフィルタケース52内に噴出し、フィルタケース52内の広い領域に分散したのち、ディーゼル酸化触媒53からスートフィルタ54の順に通過して浄化処理される。排気ガス中のPMは、この段階でスートフィルタ54における各セル間の多孔質な仕切り壁を通り抜けできずに捕集される。その後、ディーゼル酸化触媒53及びスートフィルタ54を通過した排気ガスが排気排出口61から放出される。
排気ガスがディーゼル酸化触媒53及びスートフィルタ54を通過するに際して、排気ガス温度が再生境界温度(例えば約300℃程度)を超えていれば、ディーゼル酸化触媒53の作用にて、排気ガス中のNO(一酸化窒素)が不安定なNO(二酸化窒素)に酸化する。そして、NOがNOに戻る際に放出するO(酸素)にて、スートフィルタ54に堆積したPMを酸化除去することにより、スートフィルタ54のPM捕集能力が回復(DPF50が再生)することになる。
図4に示すように、エンジン70の一側方には、当該エンジン70から突出した出力軸80(クランク軸)の回転動力にて駆動する作業部用油圧ポンプ101及びパイロットポンプ102が設けられている。作業部用油圧ポンプ101は、油圧アクチュエータとしてのアームシリンダ160及びバケットシリンダ163等に作動油を供給する可変容量形のものである。パイロットポンプ102は、後述する電磁切換弁106にパイロット圧を付加する固定容量形のものである。
作業部用油圧ポンプ101の吸引側は作動油タンク108に接続されている。作業部用油圧ポンプ101の吐出側は、後述する背圧機構105付きの圧力調整弁104を介して作業部油圧回路103に接続されている。言うまでもないが、作業部油圧回路103中には、油圧アクチュエータとしてのアームシリンダ160及びバケットシリンダ163等が配置されている。パイロットポンプ102の吸引側は作動油タンク108に接続されている。パイロットポンプ102の吐出側は電磁切換弁106のポンプ側第1ポート106aに接続されている。
圧力調整弁104は、作業部油圧回路103側の圧力及び流量を一定に保持し、作業部用油圧ポンプ101側の圧力を2段階に切り換えるためのものである。実施形態の圧力調整弁104は、背圧機構105におけるピストン105bを介したバネ105cの弾性力によって、作業部用油圧ポンプ101側で圧力上昇のない通常状態と、作業部用油圧ポンプ101側の圧力を所定圧だけ増大させる高圧状態とに切換駆動するように構成されている。
電磁切換弁106は、パイロットポンプ102からのパイロット圧を圧力調整弁104の背圧機構105に付加する3ポート2位置切換形のものである。実施形態の電磁切換弁106は、後述するECU11からの制御情報に基づく電磁ソレノイド107の励磁によって、背圧機構105の背圧室105aへのパイロット圧付加状態と、背圧室105aからのパイロット圧排出状態とに切換駆動するように構成されている。
前述の通り、電磁切換弁106のポンプ側第1ポート106aはパイロットポンプ102の吐出側に接続されている。電磁切換弁106のポンプ側第2ポート106bは作動油タンク108に接続されている。電磁切換弁106の背圧側ポート106cは背圧機構105の背圧室105aに接続されている。電磁切換弁106がパイロット圧付加状態に切換駆動すると、パイロットポンプ102から電磁切換弁106を経由した作動油が背圧機構105の背圧室105aに流入し、ピストン105bを介してバネ105cを圧縮させ、圧力調整弁104が作業部用油圧ポンプ101側の圧力を所定圧だけ増大させる高圧状態に切換駆動する。
そうすると、圧力調整弁104の作用によって、作業部用油圧ポンプ101にダミー負荷が掛かり、作業部用油圧ポンプ101の吐出圧力(作動量又は負荷といってもよい)が増大する。これに伴いエンジン負荷が増大する結果、スロットルレバー166による設定回転速度維持のためにエンジン出力(燃料噴射量)が増大して、排気ガス温度が上昇することになる。
電磁切換弁106がパイロット圧排出状態に切換駆動すると、背圧機構105の背圧室105aから作動油が流出して、バネ105cが自身の弾性復元力にて伸長し、圧力調整弁104の作用にて作業部用油圧ポンプ101の吐出圧力が通常状態まで低下する。これに伴いエンジン負荷が低減することになる。この場合、作業部油圧回路103側へは、圧力調整弁104のない場合とほぼ同じ圧力及び流量の作動油が供給されるため、圧力調整弁104の存在に起因した作業部油圧回路103への影響は最小限に抑えられる。
圧力調整弁104と電磁切換弁106との組合せが調節弁手段100に相当するものである。なお、電磁切換弁106は通常(ECU11からの制御指令がないとき)、作業部用油圧ポンプ101と作業部油圧回路103との間での作動油の循環供給をスムーズに行うために、パイロット圧排出状態になっている。従って、圧力調整弁104は普段、作業部用油圧ポンプ101側で圧力上昇のない通常状態になっている。
(3).エンジンの制御関連の構成
次に、図3、図6及び図7等を参照しながら、エンジン70の制御関連の構成を説明する。図3に示す如く、エンジン70における各気筒の燃料噴射バルブ119を作動させるECU11を備えている。ECU11は、各種演算処理や制御を実行するCPU31の他、各種データを予め固定的に記憶させたROM32、制御プログラムや各種データを書換可能に記憶するEEPROM33、制御プログラムや各種データを一時的に記憶するRAM34、時間計測用のタイマ35、及び入出力インターフェイス等を有しており、エンジン70又はその近傍に配置される。
ECU11の入力側には、少なくともコモンレール120内の燃料圧力を検出するレール圧センサ12、燃料ポンプ116を回転又は停止させる電磁クラッチ13、エンジン70の回転速度N(クランク軸のカムシャフト位置)を検出するエンジン速度センサ14、インジェクタ115の燃料噴射回数(1行程の燃料噴射期間中の回数)を検出及び設定する噴射設定器15、スロットルレバー166の操作位置を検出するスロットル位置センサ16、吸気経路中の吸気温度を検出する吸気温度センサ17、排気経路中の排気ガス温度を検出する排気温度センサ18、エンジン70の冷却水温度を検出する冷却水温度センサ19、コモンレール120内の燃料温度を検出する燃料温度センサ20、DPF50再生動作の可否を選択操作する再生許可入力手段としての再生スイッチ21、差圧センサ68(上流側排気圧センサ68a及び下流側排気圧センサ68b)、並びに、DPF50内の排気ガス温度を検出するDPF温度センサ26等が接続されている。
ECU11の出力側には、少なくとも4気筒分の各燃料噴射バルブ119の電磁ソレノイドがそれぞれ接続されている。すなわち、コモンレール120に蓄えた高圧燃料が燃料噴射圧力、噴射時期及び噴射期間等を制御しながら、1行程中に複数回に分けて燃料噴射バルブ119から噴射されることによって、窒素酸化物(NOx)の発生を抑えると共に、PMや二酸化炭素等の発生も低減した完全燃焼を実行し、燃費を向上させるように構成されている。
また、ECU11の出力側には、エンジン70の吸気圧(吸気量)を調節するための吸気絞り装置81、エンジン70の排気圧を調節するための排気絞り装置82、ECU11の故障を警告報知するECU故障ランプ22、DPF50内における排気ガス温度の異常高温を報知する異常高温報知手段としての排気温度警告ランプ23、DPF50再生動作に伴い点灯する再生ランプ24、及び、電磁切換弁106の駆動を制御する電磁ソレノイド107等が接続されている。各ランプ22〜24の明滅に関するデータは予めECU11のEEPROM33に記憶されている。詳細は後述するが、再生ランプ24は、DPF50の詰り状態が規定水準以上又は限界水準以上になると作動する再生予告手段としての役割と、DPF50再生動作中である旨を報知する再生報知手段としての役割とを兼ねる単一の表示具を構成している。なお、図2及び図7に示すように、再生スイッチ21及び各ランプ22〜24は、エンジン70搭載対象の作業機(バックホウ141)にある計器パネル40に設けられている。
再生スイッチ21はオルタネイト動作タイプのものである。すなわち、再生スイッチ21は、1回押下するとその押下位置でロックされ、もう1回押下すると元の位置に復帰するロック形のプッシュスイッチである。DPF50の詰り状態が規定水準に達したことを告げる再生ランプ24の点滅時に再生スイッチ21が押下位置でロックされていれば、後述する各モードに移行し得るように構成されている。
ECU11のEEPROM33には、エンジン70の回転速度NとトルクT(負荷)との関係を示す出力特性マップM(図6参照)が予め記憶されている。出力特性マップMは実験等にて求められる。図6に示す出力特性マップMでは、回転速度Nを横軸に、トルクTを縦軸に採っている。出力特性マップMは、上向き凸に描かれた実線Tmxで囲まれた領域である。実線Tmxは、各回転速度Nに対する最大トルクを表した最大トルク線である。この場合、エンジン70の型式が同じであれば、ECU11に記憶される出力特性マップMはいずれも同一(共通)のものになる。図6に示すように、出力特性マップMは、排気ガス温度が再生境界温度(約300℃程度)の場合における回転速度NとトルクTとの関係を表した境界ラインBLによって上下に分断される。境界ラインBLを挟んで上側の領域は、スートフィルタ54に堆積したPMを酸化除去できる(酸化触媒53の酸化作用が働く)再生可能領域であり、下側の領域は、PMが酸化除去されずにスートフィルタ54に堆積する再生不能領域である。
ECU11は基本的に、出力特性マップMと、エンジン速度センサ14にて検出される回転速度Nと、スロットル位置センサ16にて検出されるスロットル位置とに基づき、トルクTを演算して目標燃料噴射量を求め、当該演算結果に基づきコモンレールシステム117を作動させるという燃料噴射制御を実行する。ここで、燃料噴射量は、各燃料噴射バルブ119の開弁期間を調節して、各インジェクタ115への噴射期間を変更することによって調節される。
(4).DPF再生制御の態様
次に、図8のフローチャート等を参照しながら、ECU11によるDPF再生制御の一例について説明する。さて、エンジン70の制御モード(DPF再生に関する制御形式)としては少なくとも、路上走行や各種作業をする通常運転モードと、DPF50の詰り状態が規定水準以上になると、再生スイッチ21を押下した場合に排気ガス温度を上昇させる手動補助再生モードと、ポスト噴射EにてDPF50内に燃料を供給する強制再生モードとがある。
手動補助再生モードでは、差圧センサ68の検出情報に基づく圧力調整弁104の圧力調整によって、作業部用油圧ポンプ101の吐出圧力を増大させ、間接的にエンジン負荷を増大させる。そうすると、エンジン負荷の増大に伴いエンジン出力(燃料噴射量)を増大させ、エンジン70からの排気ガス温度を上昇させる。その結果、DPF50(スートフィルタ54)内のPMを燃焼除去できることになる。
強制再生モードは、DPF50の詰り状態が規定水準以上にも拘らず、再生スイッチ21の非押下状態が長く続いてDPF50の詰り状態が改善しない場合に実行されるものである。当該強制再生モードでは、ポスト噴射EにてDPF50内に燃料を供給し、当該燃料をディーゼル酸化触媒53にて燃焼させることによって、DPF50内の排気ガス温度を上昇させる(約560℃程度)。その結果、DPF50(スートフィルタ54)内のPMを強制的に燃焼除去できることになる。
図8に示すように、上記の各モードはECU11の指令に基づき実行される。すなわち、図8のフローチャートにて示すアルゴリズムは、EEPROM33に記憶されている。そして、当該アルゴリズムをRAM34に呼び出してからCPU31にて処理することによって、前述の各モードが実行されることになる。
図8のフローチャートに示すように、DPF50再生制御では、まず差圧センサ68からの検出結果に基づきDPF50内のPM堆積量を推定し、当該推定結果が規定量(規定水準)以上か否かを判別し(S01)、PM堆積量が規定量以上と判断した場合は(S01:NO)、タイマ35の時間情報に基づく計測を開始して再生ランプ24を低速点滅させ(S02)、オペレータにDPF50再生動作(手動補助再生モード)の実行を予告する。実施形態の規定量は例えば8g/lに設定される。再生ランプ24の点滅周波数は例えば1Hzに設定される。
次いで、再生スイッチ21が押下されているか否かを判別し(S03)、押下状態でロックされていなければ(S03:OFF)、再生ランプ24低速点滅開始から所定時間(例えば30分程度)経過したか否かを判別する(S04)。所定時間が経過していなければ(S04:NO)、ステップS03に戻る。S03〜S04のステップでは、PM堆積量が規定量以上であるにも拘らず、エンジン70の制御モードが通常運転モードのままであり、エンジン70における現状の駆動状態が維持されることになる。すなわち、手動補助再生モードへの移行(DPF50再生動作と言ってもよい)が禁止されるのである。なお、再生ランプ24の点滅周期は、DPF50内のPM堆積量の増加に従い短くなるように設定される(再生ランプ24はDPF50内のPM堆積量の増加に従い短い間隔で点滅する)。このため、再生ランプ24の点滅の速さによって、オペレータの注意を喚起できる。
ステップS04において所定時間が経過した場合は(S04:YES)、PM堆積量が規定量以上の状態で、再生スイッチ21を押下せずに長時間放置したような状態が想定されるので、低速点滅していた再生ランプ24を点灯させてから(S05)、強制再生モードを実行する(S06)。強制再生モードでは前述の通り、コモンレールシステム117のポスト噴射EにてDPF50内に燃料を供給し、当該燃料をディーゼル酸化触媒53にて燃焼させることによって、DPF50内の排気ガス温度を上昇させる。その結果、DPF50内のPMが強制的に燃焼除去され、DPF50のPM捕集能力が回復する。ステップS06の強制再生モードは例えば約15分程度実行され、当該時間の経過後(S07:YES)、コモンレールシステム117がポスト噴射Eを終了して(S08)、再生ランプ24を消灯させ(S09)、強制再生モードの終了を報知する。
さて、ステップS03に戻り、再生スイッチ21が押下状態でロックされていれば(S03:ON)、次いで、低速点滅していた再生ランプ24を点灯させ(S10)、再生スイッチ21の押下から遷移時間Tt経過後に(S11:YES)、手動補助再生モードを実行する(S12)。
遷移時間Ttのデータは、例えばECU11のROM192に予め記憶されていて、ROM32とEEPROM33との最初のアクセス時、すなわち、初めてバックホウ141(作業機)に電源投入してROM32及びEEPROM33が電気的に接続されたときに、EEPROM33側に書き込まれる(コピーされる)。また、遷移時間Ttのデータは変更可能になっている。具体的には、ECU11に通信端末線を介して接続されるROMライタ等の外部ツール39(図3参照)を用いて、EEPROM33側に記憶された遷移時間Ttのデータを後から書き換えできる。
ステップS12の手動補助再生モードでは、電磁切換弁106の電磁ソレノイド107を励磁させて、電磁切換弁106をパイロット圧付加状態に切換駆動させる。そうすると、圧力調整弁104が背圧機構105の作用にて、作業部用油圧ポンプ101側の圧力を所定圧だけ増大させる高圧状態に切換駆動し、作業部用油圧ポンプ101にダミー負荷が掛かって、作業部用油圧ポンプ101の吐出圧力が増大する。これに伴い、エンジン負荷が前記ダミー負荷に対応する分だけ増大すると共に、スロットルレバー166による設定回転速度維持のために、エンジン出力が増大して排気ガス温度が上昇する。その結果、DPF50内のPMが燃焼除去され、DPF50のPM捕集能力が回復するのである。
次いでステップS13では、再びDPF50内のPM堆積量を推定し、当該推定結果が許容量(許容水準)以下か否かを判別する。許容量(許容水準)は、前述の規定量(規定水準)よりも少なく(低く)設定される。実施形態の許容量は例えば4g/lに設定される。PM堆積量が許容量以下であれば(S13:YES)、電磁ソレノイド107の励磁にて電磁切換弁106をパイロット圧排出状態に戻して、圧力調整弁104を通常状態に切換駆動させ、作業部用油圧ポンプ101の吐出圧力を元の状態まで低下させる(S14)。そして、再生ランプ24を消灯させ(S15)、手動補助再生モードの終了を報知する。ステップS13において、PM堆積量が許容量を超えていれば(S13:NO)、未だDPF50内のPMを十分に燃焼除去できていない状態であるから、ステップS12に戻る。
なお、図9の別例に示すように、手動補助再生モードを設定時間Tw(例えば約20分程度)以上実行したら、作業部用油圧ポンプ101の吐出圧力を元の状態まで低下させると共に、再生ランプ24を消灯させ、手動補助再生モードの終了を報知するように設定してもよい。すなわち、ステップS13において、許容量判別に代えて、圧力調整弁104を作動させてからの経過時間が予め設定された設定時間Tw以上か否かを判別するようにしてもよい。排気ガス温度を上昇させた状態が設定時間Twだけ継続すれば、普通はDPF50の詰り状態が十分に改善したとみなせるからである。前述の設定時間Twは、例えば圧力調整弁104を作動開始時から、タイマ35の時間情報に基づいて計測することになる。
図10は調整弁手段100の別例を示している。当該別例では、先の実施例に例示したON・OFF制御タイプの電磁切換弁106を、背圧室105aへの作動油供給圧力を調節可能なパイロット圧調整電磁弁106′に変更している。圧力調整弁104における作業部用油圧ポンプ101側の調整圧力は、パイロット圧調整電磁弁106′を経由した作動油供給圧力に応じて調節される。この場合、パイロット圧調整電磁弁106′をパルス幅変調制御(PWM制御)によって作動させている(図11(a)〜(d)参照)。
すなわち、図11(a)(b)に示すように、制御時間帯δTの間、パルス幅τ(通電時間)を徐々に大きくして到達デューティ比D(τ/T:Tはスイッチング周期)が徐々に大きくなるように、パイロット圧調整電磁弁106′の電磁ソレノイド107′に駆動信号を間欠的に伝送する。この場合、到達デューティ比Dは見掛け上、時間の経過と共に正の傾きにて0%から100%まで直線的に増大する。
また、図11(c)(d)に示すように、制御時間帯δTの間、パルス幅τを徐々に小さくして到達デューティ比Dが徐々に小さくなるように、電磁ソレノイド107′に駆動信号を間欠的に伝送する。この場合、到達デューティ比Dは見掛け上、時間の経過と共に負の傾きにて100%から0%まで直線的に減少することになる。
つまり、パイロット圧調整電磁弁106′ひいては圧力調整弁104をパルス幅変調制御にてスムーズに作動させることによって、作業部用油圧ポンプ101の吐出圧力が急増又は急減するのを抑制している。従って、エンジン出力が急激に変化するのを未然に防止でき、エンジン出力急変に起因した衝撃(ショック)を少なくできる。パルス幅変調制御を利用して、作動油温度に余り影響されずに、圧力調整弁104の圧力調整動作を信頼性高く実行できる。また、圧力調整弁104の調整圧力、ひいてはエンジン負荷の上昇幅(ダミー負荷)を任意に調節できるから、DPF再生制御に伴う燃費悪化の抑制に効果的である。
(5).まとめ
上記の記載並びに図3及び図8から明らかなように、エンジン70の排気経路77に配置された排気ガス浄化装置50と、油圧アクチュエータ160,163と、前記エンジン70の動力にて前記油圧アクチュエータ160,163に作動油を供給する油圧ポンプ101と、前記油圧ポンプ101とその下流側にある作業部油圧回路103との間に配置された調整弁手段100とを備えており、前記排気ガス浄化装置50の詰り状態が規定水準以上になると、前記調整弁手段100の作動にて前記油圧ポンプ101側の圧力を増大させることによって、エンジン回転速度を維持しながらエンジン負荷を増大させるように構成されているから、例えば前記エンジン70の燃料噴射制御や吸排気絞り装置81,82の開閉制御の設定を変更することなく、前記油圧ポンプ101側の圧力増大によって、エンジン出力を増大させて排気ガス温度を上昇させ、前記排気ガス浄化装置50を再生できる。つまり、前記排気ガス浄化装置50の粒子状物質捕集能力を回復できる。
上記の記載並びに図3、図8及び図10から明らかなように、前記排気ガス浄化装置50の詰り状態が前記規定水準より低い許容水準以下になるか、若しくは、前記調整弁手段100を作動させてからの経過時間が予め設定された設定時間Tw以上になった場合は、前記排気ガス浄化装置50の詰り状態が改善したとみなせるから、前記調整弁手段100による前記油圧ポンプ101側の圧力増大を解除することによって、オペレータの戻し操作等に依らずに、前記調整弁手段100を非作動状態にして、前記油圧ポンプ101から前記エンジン70に過剰な負荷が掛かるのを防止できる。従って、前記排気ガス浄化装置50の再生動作の効率化を図れ、前記排気ガス浄化装置50の再生に伴う燃費の悪化を抑制できる。
上記の記載並びに図3及び図8から明らかなように、前記調整弁手段100を非作動状態から作動状態にするまでの遷移時間Ttが変更可能になっているから、例えば作業機141の特性に応じて前記遷移時間Ttを設定することが可能になる。このため、前記排気ガス浄化装置50の再生にあたり、きめ細かい対処が図れるのである。
上記の記載並びに図10及び図11から明らかなように、前記調整弁手段100はパルス幅変調制御によって作動するように構成されているから、前記油圧ポンプ101側の圧力が急増又は急減するおそれを抑制できる。このため、エンジン出力が急激に変化するのを未然に防止して、エンジン出力急変に起因した衝撃(ショック)を少なくできる。
(6).その他
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。例えば、パイロットポンプ102をなくして、電磁切換弁106又はパイロット圧調整電磁弁106′を作業部用油圧ポンプ101の吐出側に接続し、圧力調整弁104を作業部用油圧ポンプ101から吐出される作動油の自己圧によって制御してもよい。この場合は、必要ポンプ数が少なくて済むので、構成が簡単になり、製造コストの抑制を図れることになる。
11 ECU
50 DPF(排気ガス浄化装置)
70 エンジン
100 調整弁手段
101 作業部用油圧ポンプ
102 パイロットポンプ
103 作業部油圧回路
104 圧力調整弁
105 背圧機構
106 電磁切換弁
106′ パイロット圧調整電磁弁
107 電磁ソレノイド
108 作動油タンク
117 コモンレールシステム
120 コモンレール
141 バックホウ(作業機)
160 アームシリンダ(油圧アクチュエータ)
163 バケットシリンダ(油圧アクチュエータ)
166 スロットルレバー

Claims (4)

  1. エンジンの排気経路に配置された排気ガス浄化装置と、油圧アクチュエータと、前記エンジンの動力にて前記油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプと、前記油圧ポンプとその下流側にある作業部油圧回路との間に配置された調整弁手段とを備えており、
    前記排気ガス浄化装置の詰り状態が規定水準以上になると、前記調整弁手段の作動にて前記油圧ポンプ側の圧力を増大させることによって、エンジン回転速度を維持しながらエンジン負荷を増大させるように構成されている、
    作業機の排気ガス浄化システム。
  2. 前記排気ガス浄化装置の詰り状態が前記規定水準より低い許容水準以下になるか、若しくは、前記調整弁手段を作動させてからの経過時間が予め設定された設定時間以上になると、前記調整弁手段による前記油圧ポンプ側の圧力増大を解除するように構成されている、
    請求項1に記載した作業機の排気ガス浄化システム。
  3. 前記調整弁手段を非作動状態から作動状態にするまでの遷移時間が変更可能になっている、
    請求項1又は2に記載した作業機の排気ガス浄化システム。
  4. 前記調整弁手段はパルス幅変調制御によって作動するように構成されている、
    請求項1〜3のうちいずれかに記載した作業機の排気ガス浄化システム。
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