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JP2011134869A - 電磁波シールド材 - Google Patents

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JP2011134869A JP2009292556A JP2009292556A JP2011134869A JP 2011134869 A JP2011134869 A JP 2011134869A JP 2009292556 A JP2009292556 A JP 2009292556A JP 2009292556 A JP2009292556 A JP 2009292556A JP 2011134869 A JP2011134869 A JP 2011134869A
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英司 大石
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Abstract

【課題】電磁波シールド特性がよく、凸状パターン層を例えば20μm以下特に10μm以下の線幅への細線化を可能にする電磁波シールド材を提供する。
【解決手段】透明基材1と、透明基材1上に形成された導電性組成物からなる凸状パターン層2とを有し、導電性組成物が凸状パターン層2の線幅Wの1/4以下の長さを平均粒径とする導電性粒子4とバインダー樹脂5とを含み、凸状パターン層2の横切断面において16個以上の導電性粒子4が相互に接触する塊部3を有する電磁波シールド材10によって、上記課題を解決する。この塊部3は、導電性粒子4が少なくとも縦4個×横4個で相互に接触していることが好ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は、電磁波シールド材に関し、さらに詳しくは、凸状パターン層の中に導電性粒子が相互に接触する塊部を有した、電磁波シールド特性のよい電磁波シールド材に関する。
テレビ又はパーソナルコンピュータのモニター等の画像表示装置(ディスプレイ装置ともいう。)として、例えば、陰極線管(CRT)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置(LCD)、プラズマディスプレイ装置(PDP)、電場発光(EL)ディスプレイ装置等が知られている。これらのディスプレイ装置のうち、大画面ディスプレイ装置の分野で注目されているプラズマディスプレイ装置は、発光にプラズマ放電を利用するため、30MHz〜1GHz帯域の不要な電磁波が外部に漏洩して他の機器(例えば、遠隔制御機器、情報処理装置等)に影響を与えるおそれがある。そのため、プラズマディスプレイ装置に用いられるプラズマディスプレイパネルの前面側(観察者側)に、漏洩する電磁波をシールドするためのフィルム状の電磁波シールド材を設けるのが一般的である。
電磁波シールド材は今までに種々検討されているが、例えば特許文献1には、透明基材上に無電解めっき触媒ペーストをメッシュパターンでスクリーン印刷し、その上に金属層を無電解めっきしてなる電磁波シールド材が提案されている。また、特許文献2には、導電性インキ組成物をメッシュパターンで転写体に凹版オフセット印刷し、転写体上のメッシュパターンを透明基材上に転写し、透明基材上のメッシュパターンに金属層を電気めっきしてなる電磁波シールド材が提案されている。また、特許文献3には、導電性インキ組成物をメッシュパターンで透明基材に直接凹版印刷し、その透明基材上のメッシュパターンに金属層を電気めっきしてなる電磁波シールド材が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の電磁波シールド材は、微細パターンの形成が難しいスクリーン印刷でメッシュパターンを形成するとともに、成膜速度の遅い無電解めっきで金属層を形成するので、生産性の点で劣り、コスト低減を図ることができないという難点がある。また、特許文献2に記載の電磁波シールド材は、凹版オフセット印刷でメッシュパターンを形成するので微細パターンの形成は可能であるが、オフセット印刷を採用するので、凹版から転写体(ブランケット胴)に転写した後に転写体から透明基材に2回目の転写を行うことになり、原版である凹版のメッシュパターンが忠実に透明基材に転写されないことがある。
また、特許文献3に記載の電磁波シールド材は、凹版から透明基材に直接導電性インキ組成物を転写する方式のため、オフセット印刷特有のブランケット胴によるパターン歪みの問題はなく、また、シルクスクリーン印刷に比べて微細パターン形成が可能であったが、流動性の悪い導電性インキを高塗布量で転写(転移ともいう。)させる必要があるため、新たな問題として、導電性インキを転写する際に未転写部が発生したり、密着性に劣る転写不良が発生したりすることがあった。実際、その転移率は最大でも20%程度が限度であり、十分な電磁波シールド性を得ることが困難であった。
本出願人は、上記問題を解決する手段として、紫外線硬化型の樹脂からなる半流動状態のプライマー層を設けた透明基材と、導電性組成物を充填した凹版とを圧着し、その後硬化して、導電性の凸状パターン層を極めて高い転写率で形成してなる電磁波シールド材及びその製造方法を提案している(特許文献4)。
特開平11−170420号公報 特開2001−102792号公報 特開平11−174174号公報 WO2008/149969 A1(国際公開パンフレット) 特開2006−313891号公報
本発明者は、特許文献4に記載の発明についてさらに検討を継続している過程で、導電性の凸状パターン層の抵抗をより一層低減することができれば、電磁波シールド材により高い電磁波シールド特性を付与でき、さらには凸状パターン層の線幅をより一層細線化できるという課題を見出した。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、電磁波シールド特性がよく、凸状パターン層を例えば20μm以下特に10μm以下の線幅への細線化を可能にする電磁波シールド材を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明に係る電磁波シールド材は、透明基材と、該透明基材上に形成された導電性組成物からなる凸状パターン層とを有し、前記導電性組成物が前記凸状パターン層の線幅の1/4以下の長さを平均粒径とする導電性粒子とバインダー樹脂とを含み、前記凸状パターン層の少なくとも1つの横切断面において16個以上の導電性粒子が相互に接触する塊部を有する、ことを特徴とする。
この発明によれば、凸状パターン層の線幅の1/4以下の長さを平均粒径とする導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電性組成物が、凸状パターン層の少なくとも1つの横切断面において16個以上の導電性粒子が相互に接触する塊部を有するので、その塊部によって低抵抗の凸状パターン層を実現でき、電磁波シールド特性を高めることができる。その結果、凸状パターン層の配線幅のより一層の細線化を達成できる。
本発明に係る電磁波シールド材において、前記塊部は、前記導電性粒子が少なくとも縦4個×横4個で相互に接触していることが好ましい。
この発明によれば、塊部は導電性粒子が少なくとも縦4個×横4個で相互に接触しているので、凸状パターン層を例えば20μm以下、特に10μm以下の線幅に細線化させることができる。
本発明に係る電磁波シールド材において、前記凸状パターン層中の導電性粒子の分布が、前記透明基材側で相対的に疎であり、前記透明基材から遠ざかる側に前記塊部を有して相対的に密である。この発明において、前記疎に分布した領域は、相互に接触しないで前記バインダー樹脂中に存在する導電性粒子を有する。
この発明によれば、凸状パターン層中の導電性粒子の分布が、透明基材側で相対的に疎であり、透明基材から遠ざかる側に塊部を有して相対的に密であるので、凸状パターン層の横切断面積に対する塊部の面積割合の大小にかかわらず、仮に塊部の面積割合が小さい場合であっても、限られた添加量の導電性粒子からなる塊部が、凸状パターン層の頂部近傍(透明基材から遠ざかる側)で低抵抗の導通部として存在する。その結果、凸状パターン層による電磁波シールド特性を高めることができ、凸状パターン層の線幅のより一層の細線化を実現できる。一方、導電性粒子が透明基材側で疎であるので、透明基材側にはバインダー樹脂の割合が多く、凸状パターン層と透明基材(透明基材上にプライマー層が設けられている場合にはプライマー層)との密着性が高まり、凸状パターン層の剥離や脱離を抑えることができる。なお、この発明によれば、凸状パターン層の透明基材側の導電性粒子分布が疎であるので、そうした部位に存在する導電性粒子の影響(光の反射等)を少なくすることができ、導電性粒子の分布が疎な面側を外光側(観察者側)に向けた場合には、外光による画像の白化及びコントラスト低下を防止することができ、一方、導電性粒子の分布が疎な面側を画像表示装置側に向けた場合には、画像光の画面への反射による画像の白化とコントラスト低下を防止することができる。
本発明に係る電磁波シールド材において、前記凸状パターン層が10Ω/□以下の表面抵抗率を有する。
この発明によれば、凸状パターン層が10Ω/□以下の表面抵抗率を有するので、電磁波シールド材として好ましい電磁波シールド特性を有し、さらに前記表面抵抗率を有するので、その後に凸状パターン層上に容易に電気めっきすることを可能とし、電磁波シールド特性をより一層高めることもできる。
本発明に係る電磁波シールド材において、前記凸状パターン層が設けられた側の前記透明基材面にプライマー層を有し、該プライマー層のうち前記凸状パターン層が形成されている部分の厚さは、前記凸状パターン層が形成されていない部分の厚さよりも厚い。
この発明によれば、凸状パターン層をより密着性よく設けるためのプライマー層を凸状パターン層の下地層として設けたので、凸状パターン層を密着性よく形成でき、凸状パターン層の剥離や脱離を抑えることができる。さらに、プライマー層のうち凸状パターン層が形成されている部分の厚さは、凸状パターン層が形成されていない部分の厚さよりも厚く形成されているが、こうした形態は製法由来の形態ではあるものの、プライマー層上の凸状パターン層をより密着性よく保持することができる。
本発明によれば、凸状パターン層の線幅の1/4以下の長さを平均粒径とする導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電性組成物が、凸状パターン層の少なくとも1つの横切断面において16個以上の導電性粒子が相互に接触する塊部を有するので、その塊部によって低抵抗の凸状パターン層を実現でき、電磁波シールド特性を高めることができる。その結果、電磁波シールド特性を発現しつつ、凸状パターン層の配線幅のより一層の細線化を達成できる。
本発明に係る電磁波シールド材の一例を示す模式的な平面図である。 凸状パターン層の一例を示す拡大断面図である。 凸状パターン層の他の一例を示す拡大断面図である。 凸状パターン層のさらに他の一例を示す拡大断面図である。 本発明を構成する凸状パターン層中の導電性粒子の塊部の形態例を示す模式的な断面図である。 本発明を構成しない凸状パターン層中の導電性粒子の塊部の形態例を示す模式的な断面図である。 隣り合う導電性粒子同士の接触等の状態を示す説明図である。 凸状パターン層とプライマー層との界面の模式的な断面図であり、(A)は第1の断面形態であり、(B)は第2の断面形態であり、(C)は第3の断面形態である。 凹部内の導電性組成物の凹みにプライマー層を充填し、その導電性組成物が転写する形態を示す模式図である。 電磁波シールド材の製造装置の一例を示す概略構成図である。 電磁波シールド材の製造装置の他の一例を示す概略構成図である。
次に、本発明に係る電磁波シールド材の実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[電磁波シールド材]
本発明に係る電磁波シールド材10(10A〜10C)は、図2〜図4に示すように、透明基材1と、透明基材1上に形成された導電性組成物からなる凸状パターン層2とを有する。凸状パターン層2は、直接透明基材1上に設けられていてもよいし(図2参照)、透明基材1上の全面に設けられたプライマー層6上に設けられていてもよいし(図3参照)、さらに凸状パターン層2上には金属層8が設けられていてもよい(図4参照)。
凸状パターン層2は、所定のパターンで形成された導電性パターンであり、電磁波遮蔽パターンとして一般的な、メッシュ(網乃至格子)状、ストライプ(平行線群乃至縞模様)状、螺旋(乃至は渦巻)状、又は線分群等のパターンである。また、電磁波シールド材10は、図1に示すように、中央部に位置し、ディスプレイ装置の画像表示領域に対峙する電磁波遮蔽パターン部11を有し、その電磁波遮蔽パターン部11の周縁部の少なくとも一部(好ましくは周縁全周)には接地部12を有している。
以下、本発明の構成を詳しく説明する。
(透明基材)
透明基材1は、可視光線領域での透明性(光透過性)、耐熱性、機械的強度等の要求物性を考慮して、公知の材料及び厚さを適宜選択すればよい。そうした透明基材1としては、ガラス、セラミックス等の透明な無機材料からなる板又は透明な樹脂材料からなる板等の板状体の剛直物でもよいが、生産性に優れるロール・トゥ・ロールでの連続加工適性を考慮すると、樹脂材料からなるフレキシブルフィルム(乃至シート)が好ましい。なお、ロール・トゥ・ロールとは、巻取(ロール)から巻き出して供給し、所望の加工(電磁波シールド材の製造)を施し、その後、巻取に巻き取る加工方式をいう。
透明基材1の樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール−テレフタール酸共重合体、エチレングリコール−テレフタール酸−イソフタール酸共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリプロピレン、シクロオレフィン重合体等のポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリイミド(PI)系樹脂;等を挙げることができる。中でも、ポリエチレンテレフタレートの2軸延伸フィルムは、耐熱性、機械的強度、光透過性及びコスト等の点で好ましい。また、無機材料としては、ソーダ硝子、カリ硝子、硼珪酸硝子、鉛硝子等の硝子、PLZT等の透明セラミックス、又は石英等を挙げることができる。
透明基材1の厚さは特に制限はなく、用途等に応じ適宜選択することができる。例えばフレキシブルな樹脂フィルムを透明基材1としたときの厚さは、例えば12〜500μm、好ましくは25〜200μm程度である。また、樹脂材料又は無機材料の板を透明基材1としたときの厚さは、例えば500〜5000μm程度である。透明基材1には、下記の凸状パターン層2又はプライマー層6を密着性よく設けるための表面処理を施したり、易接着層又は下地層を設けたりしてもよい。表面処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等を挙げることができる。また、易接着層としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン等の樹脂層を挙げることができる。
(凸状パターン層)
凸状パターン層2は、図2及び図3に示すように、透明基材1上に所定のパターンで設けられている。図2は、透明基材1上に直接凸状パターン層2が設けられている例であり、図3は、透明基材1の全面に設けられたプライマー層6上に凸状パターン層2が設けられている例である。ここで、「所定のパターン」とは、メッシュ(網目乃至格子)形状が代表的であるが、その他、ストライプ(平行線群乃至縞模様)形状、螺旋形状等も挙げられる。メッシュ形状のパターンの場合における単位格子形状としては、正三角形、不等辺三角形等の三角形、正方形、長方形、台形、菱形等の四角形、六角形、八角形等の多角形、円、楕円等が挙げられる。また、モアレを軽減する目的で、ランダム網目状又は擬似ランダム網目状のパターンであってもよい。
凸状パターン層2の現在までの線幅Wと線間ピッチは、線幅W:20〜50μm、線間ピッチ:100〜500μmであるが、特に最近の画像表示装置では、良好な電磁波シールド特性を有しつつ、透明性向上のために、一層の細線化が要求されている。本発明に係る電磁波シールド材10においては、凸状パターン層2の線幅Wが20μm以下、望ましくは10μm以下のものを提供しようとするものである。より具体的には、線幅Wが5〜20μm、望ましくは5μm〜10μmの範囲のものを提供しようとするものである。
ここで、線幅Wとは、図2及び図3に示すように、凸状パターン層2の横断面における幅のことであり、その凸状パターン層2上に金属層8が形成されている場合においても凸状パターン層2の横断面における幅(金属層8は含まない。)である。なお、凸状パターン層2の横切断面における形状は、通常、図2又は図3等に示すように、高さ方向(厚さ方向でもあり、図2又は図3等においては紙面の上下方向である。)に沿って幅が変化する場合が多い。こうした場合における線幅Wは、本発明が導電性粒子4の凸状パターン層2内での分布と配列状態が重要な要件であることに鑑みると、以下の定義とする。すなわち、凸状パターン層2の横切断面において、透明基材表面と平行方向の長さとして得られる各種の数値(高さ方向の位置の関数)の中で、導電性粒子4の塊部3が存在する領域(図5(E)、図5(G)では密部Qに相当する領域。)における最小の数値を以って「線幅W」と定義する。
凸状パターン層2が形成された電磁波シールド材10の開口率[電磁波遮蔽パターン部11における開口部(凸状パターン層2以外の部分)の占有比率]は、通常、75〜99%程度である。
凸状パターン層2の高さH(厚さT)は、その凸状パターン層2の抵抗値によっても異なるが、透明基材1の面(上面)から凸状パターン層2の中央部(凸状パターン層2の頂部)までの高さH(厚さT)で表され、通常、2μm以上20μm以下であり、望ましくは5μm以上10μm以下である。なお、図2に示す場合において、符号Hは、透明基材1面から凸状パターン層2の中央部(凸状パターン層2の頂部)までの高さを表しており、したがって、凸状パターン層2の厚さTと一致する。一方、図3に示す場合において、符号Hは、プライマー層6の標準面(ほぼ一定の厚さになっている部分)から凸状パターン層2の中央部(凸状パターン層2の頂部)までの高さを表しており、符号Tは、凸状パターン層2の下層として設けられているプライマー層6の盛り上がり部(頂部)7から凸状パターン層2の中央部(凸状パターン層2の頂部)までの厚さを表している。なお、この場合は、T<Hである。
本発明の特徴は、上記範囲の線幅Wの凸状パターン層2を構成する導電性組成物(導電性インキ又は導電性ペーストともいう。)が、凸状パターン層2の線幅Wの1/4以下の長さを平均粒径とする導電性粒子4とバインダー樹脂5とを含み、その凸状パターン層2の少なくとも1つの横切断面において16個以上の導電性粒子4が相互に接触する塊部3を有することにある。ここで、16個以上の導電性粒子4が相互に接触する塊部3とは、導電性粒子4が少なくとも縦4個×横4個で相互に接触している態様である。なお、「横切断面」とは、例えば、凸状パターン層2が特定の方向に延在する線條部を有する場合は、その延在方向と直交する切断面に相当する。
バインダー樹脂5としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用可能である。熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂等の樹脂を挙げることができる。電離放射線硬化性樹脂としては、後述するプライマー層用形成材料を挙げることができ、これらを1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は、必要に応じて光重合開始剤を添加してもよい。熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の樹脂を挙げることができ、これらを1種単独で、又は2種以上混合して用いることができる。熱硬化性樹脂を用いる場合は、必要に応じて硬化触媒を添加してもよい。
導電性粒子4としては、金、銀、白金、銅、ニッケル、錫、アルミニウム等の低抵抗率金属の粒子;高抵抗率金属粒子、樹脂粒子若しくは非金属無機粒子等の芯材粒子の表面を金若しくは銀等の低抵抗率金属で被覆した粒子;黒鉛粒子;導電性高分子粒子;導電性セラミックス粒子;等を挙げることができる。導電性粒子4の形状は、正多面体状及び截頭多面体状等の多面体状、球状、回転楕円体状、鱗片状、円盤状、樹枝状、繊維状等から選ぶことができる。特に、多面体状、球状、又は回転楕円体状が好ましい。これらの材料や形状は適宜混合して用いてもよい。
導電性粒子4の大きさは平均粒径で特定する。その平均粒径は、凸状パターン層2の線幅Wの1/4以下の長さであることが好ましい。例えば、線幅Wが20μmである場合には、導電性粒子4の平均粒径は20μmの1/4の5μm以下であることが好ましく、線幅Wが10μmである場合には、導電性粒子4の平均粒径は10μmの1/4の2.5μm以下であることが好ましい。なお、いずれの場合も、導電性粒子4の平均粒径の下限は1μmであることが好ましい。こうした平均粒径の導電性粒子4を用いることにより、凸状パターン層2の線幅方向に少なくとも4個以上の導電性粒子4を並べることができる。平均粒径が上記の値よりも大きいと、凸状パターン層2の線幅方向に少なくとも4個以上の導電性粒子4を並べることができない。
凸状パターン層2のアスペクト比を「線幅W/高さH(厚さT)」で表した場合、そのアスペクト比は1/2〜8/1の範囲であり、好ましくは1/1〜3/1の範囲である。本発明では、凸状パターン層2の高さ方向(厚さ方向)においても、上記線幅方向と同様、少なくとも4個以上の導電性粒子4を並べることが好ましい。したがって、凸状パターン層2は、図2〜5に示すように、その横切断面において、16個以上の導電性粒子4が相互に接触する塊部3を有し、その塊部3は、凸状パターン層2の少なくとも1つの横切断面において、導電性粒子4が少なくとも縦4個×横4個で相互に接触している態様であることが好ましい。
なお、経験則上、凸状パターン層2の少なくとも1つの横切断面で前記態様の塊部3を有すれば、他の横切断面において、塊部3内の相互接触する導電性粒子4の数が15個以下であっても、当該凸状パターン層2内部に、横切断面と直交方向(凸状パターン層2が線條パターンの場合には該線條の延在方向)においても、凸状パターン層2が、当該電磁波シールド材における該直交方向(延在方向)の一端部から他端部に至るまで連続して導通する経路が1つ以上存在する確率が高い。例えば、図1で言うと、電磁波シールドパターン部11を構成する凸状パターン層2の各線條(2群の線條が相互に交叉してメッシュを構成)は、左端から右端、左端から上端、或いは左端から下端に向かって走行し両端の接地部12間を連結する。そして、これら各線條中には、左端の接地部から右端の接地部(左端の接地部から上端の接地部、或いは左端の接地部から下端の接地部)に向かって連続する導電性粒子4の接触による電流が流れ得る経路が1本以上存在する確率が高いということである。そのため、凸状パターン層2の導電性、さらには電磁波シールド性が、実用上十分なものになることが見出されている。
前記態様の塊部4を有する凸状パターン層2の線幅Wと高さH(厚さT)は、それぞれ、少なくとも導電性粒子4の平均粒径の4倍以上の寸法になっている。そして、上記アスペクト比も、上記した範囲のように、前記塊部3が存在できる比(例えば、1/1〜3/1)であることが望ましい。
導電性粒子4の平均粒径は凸状パターン層2の線幅Wの1/4以下であって且つ1μm以上であればよいので、塊部3は16個以上の導電性粒子4で構成されていても構わない。具体的には、図5に示すように、少なくとも縦4個×横4個以上であれば、5個×4個、4個×5個、6個×4個、4個×6個、5個×5個、…、であってもよい。また、その並びも特に限定されず、例えば図5(A)(C)に示すように4個×4個の態様及び5個×5個の態様で縦横に整列した状態で並んでいてもよいし、例えば図5(B)(D)に示すように4個×4個の態様及び4個×5個の態様で縦横最密充填した態様で並んでいてもよい。このように、塊部3は導電性粒子4が少なくとも縦4個×横4個で相互に接触しているので、凸状パターン層2を例えば20μm以下、望ましくは10μm以下の線幅Wへの細線化を実現できる。
塊部3は、凸状パターン層2が延びる方向(延在方向ともいう。)に連続して連なっている。延在方向に連続して連なる塊部3は安定した低抵抗を示すが、安定した低抵抗は、塊部3が16個以上の導電性粒子4が相互に接触することで実現でき、具体的には図5(A)〜(E)に示すように、少なくとも縦4個×横4個以上の導電性粒子4が相互に接触することで実現できている。図6(A)〜(E)に示すように、塊部3が16個未満の導電性粒子4で構成されている場合は、延在方向に安定した低抵抗を示さない場合がある。
なお、導電性粒子4の平均粒径は、粒度分布計又はTEM(透過型電子顕微鏡)観察で測定した値で評価したものであり、導電性粒子4が球状の場合はその粒径の平均であるが、多面体状の場合は外接球の直径の平均であり、回転楕円体状の場合は長軸方向の直径又は外接球の直径の平均であり、鱗片状、円盤状、樹枝状及び繊維状の場合は外接球の直径の平均である。このように評価された各粒形状の平均粒径が、本発明に係る平均粒径として定義される。
導電性組成物中の導電性粒子4の含有量は、導電性粒子4の形状及び導電性に応じて任意に選択されるが、例えば導電性組成物の固形分100質量部のうち、導電性粒子4を90〜99質量部、好ましくは92〜98質量部の範囲内で含有させる。この範囲とすることにより、導電ペーストの乾燥時に導電性粒子同士が適量のバインダー樹脂5で接触して結着し、前記塊部3を構成できる。導電性粒子4の含有量が90質量部未満では、バインダー樹脂5が未だ十分な量含むので、バインダー樹脂5の間に導電性粒子4がまばらに分布する態様となって上記塊部3を構成できない。一方、導電性粒子4の含有量が99質量部を超えると、バインダー樹脂5の作用により導電性粒子4を固めることができず、導電性粒子4同士のバインダー樹脂5による結着が不完全となり、凸状パターン層2が所定形状に形成不良となったり、或いは形成できたとしても外力によって容易に崩壊し易くなってしまうことがある。
導電性組成物は流動性を有して凹版に充填されるが、熱可塑性樹脂をバインダー樹脂とする導電性組成物の場合は、溶剤を含有する導電ペースト又は導電インキであることが好ましい。溶剤の種類は特に限定されず、一般的な印刷インキに用いられる溶剤の中から適宜選択して使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン類;メチルエーテル、エチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル酪酸メチル、酢酸ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル類;ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ターピネオール等のアルコール類;水;等の中から適宜選択した1種乃至2種以上が用いられる。溶剤の含有量は、透明保護層形成用組成物全体の10重量%〜70重量%程度であるが、必要な流動性が得られる範囲でなるべく少ない方が好ましい。
ただし、後述する製造方法の欄でも説明するように、プライマー層6を設けて転移率をより向上させる場合には、そのプライマー層6の安定硬化を阻害したり、硬化後のプライマー層6を膨潤、白化又は溶解させたりしないものが好ましい。溶剤の含有量は通常、10〜70質量%程度であるが、必要な流動性が得られる範囲でなるべく少ないほうが好ましい。一方、電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、もともと流動性があるため、必ずしも溶剤を必要としない。
また、導電性組成物の流動性及び安定性を改善するために、導電性及びプライマー層6との密着性に悪影響を与えない限りにおいて、適宜充填剤、増粘剤、帯電防止剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、沈降防止剤等を添加してもよい。
凸状パターン層2上には、図4に示すように、後述する金属層8を電気めっきにより設けてもよいが、そのためには、凸状パターン層2の表面抵抗率は低い程好ましい。具体的には、表面抵抗率が10Ω/□以下であることが好ましい。表面抵抗率が10Ω/□以下の場合は、凸状パターン層2に給電することができ、電気めっきすることができる。金属めっきした後の表面抵抗率1.0Ω/□以下であることが好ましく、0.1Ω/□以下であることがより好ましい。一方、凸状パターン層2の表面に金属層8を設けない場合には、その凸状パターン層2自身で良好な電磁波シールド特性を持つ必要がある。例えば線幅が5〜20μmで厚さが5〜20μmの凸状パターン層2である場合には、凸状パターン層2の表面抵抗率は1.0Ω/□以下であることが好ましく、0.1Ω/□以下であることがより好ましい。
このように、凸状パターン層2の線幅Wの1/4以下の長さを平均粒径とする導電性粒子4とバインダー樹脂5とを含む導電性組成物が、凸状パターン層2の横切断面において16個以上の導電性粒子4が相互に接触する塊部3を有するので、凸状パターン層2の表面抵抗率を10Ω/□以下とすることを可能とし、その塊部3によって低抵抗の凸状パターン層2を実現でき、電磁波シールド特性を高めることができる。その結果、凸状パターン層2の配線幅Wのより一層の細線化を達成できる。
次に、凸状パターン層2内での導電性粒子の疎密分布について説明する。
凸状パターン層2中の導電性粒子4の分布は、図5(F)(G)に示すように、透明基材1側で相対的に疎であり、透明基材1から遠ざかる側に塊部3を有して相対的に密であることが好ましい。この場合において、密に分布した領域Qは、導電性粒子4が相互に接触した塊部3が存在する領域であり、透明基材1(又はプライマー層6)から遠ざかる側、すなわち凸状パターン層2の頂部近傍のことである。一方、疎に分布した領域Rは、導電性粒子4が相互に接触した塊部3が存在しない領域であり、透明基材1(又はプライマー層6)に近い側、すなわち凸状パターン層2の底部近傍のことである。疎の領域Rでは、図5(F)(G)に示すように、導電性粒子4が相互に接触せずにバインダー樹脂中で浮いた状態で存在している割合が高い。
密の領域Qと疎の領域Rとの割合は、Q:Rで(10:1〜1:1)程度である。疎の領域Rは、密の領域Qに比べてかなり小さい割合で存在していてもよいが、少なくとも疎の領域Rが存在することにより、透明基材側の材料との密着性が高まるので好ましい。
このように、凸状パターン層2中の導電性粒子4の分布が、透明基材1側で相対的に疎であり、透明基材1から遠ざかる側に塊部3を有して相対的に密であるので、凸状パターン層2の横切断面積に対する塊部3の面積割合の大小にかかわらず、仮に塊部3の面積割合が小さい場合であっても、限られた添加量の導電性粒子4からなる塊部3が、凸状パターン層2の頂部近傍(透明基材1から遠ざかる側)で低抵抗の導通部として存在することになる。その結果、凸状パターン層2による電磁波シールド特性を高めることができ、凸状パターン層2の線幅Wのより一層の細線化を実現できる。一方、導電性粒子4が透明基材1側で疎であるので、透明基材1側にはバインダー樹脂5の割合が多く、凸状パターン層2と透明基材1(透明基材1上にプライマー層6が設けられている場合にはプライマー層6)との密着性が高まり、凸状パターン層2の剥離や脱離を抑えることができる。
一方、凸状パターン層2の透明基材側1の導電性粒子4の分布が疎であるので、そうした領域Rに存在する導電性粒子4の影響(光の反射等)を少なくすることができ、導電性粒子4の分布が疎な面側を外光側(観察者側)に向けた場合には、外光(電燈光又は日光等)による画像の白化及びコントラスト低下を防止することができ、一方、導電性粒子4の分布が疎な面側を画像表示装置側に向けた場合には、画像光の画面への反射(特に鏡面反射)による画像の白化とコントラスト低下を防止することができるという効果もある。
この効果をより一層有効に発現させるためには、鱗片状の導電性粒子4よりも、多面体状、球状又は回転楕円体状の導電性粒子4を選択することが好ましく、凸状パターン層2の透明基材1側又はプライマー層6側の表面に鏡面に近い面が形成されるいのを防ぐことができる。一方、鱗片状の導電性粒子4を用いる場合は、凸状パターン層2中の鱗片状導電性粒子の配向方向(配向方向:ここでは、鱗片の一番広い面の法線方向として定義する。)を乱雑(ランダム)に分布するようにすると、鏡面反射を低減させることができるので好ましい。なお、導電性粒子4が多面体状、球状又は回転楕円体状の場合においても、その配向方向を乱雑化することが好ましく、鏡面反射光を低減させることができる。この場合において、画像表示装置の表示面側に対峙する該導電性粒子4は、緻密に集合した塊部3として存在しているので、各粒子間の電気的接触は良好で、電気抵抗が下がり、電磁波シールド効果は高い。なお、高密度の塊部3として存在する導電性粒子4は、可視光線の反射率も高いが、導電性粒子4は画像観察者の目に触れない側(観察者と反対側の表示面側)の面に位置するため、画像コントラストの低下等の心配はない。
上記の場合とは逆に、凸状パターン層2側が観察者側に向かい、透明基材1側が画像表示装置の表示面側に向かうように、電磁波シールド材10を配置した場合においては、必要に応じて、凸状パターン層2の表面に黒化処理等を施せばよい。
前記の疎密分布とするためには、例えば後述する特定の凹版印刷法で用いる版面33の凹部34内に充填された導電性組成物2’の上面の凹み17(図9(A)参照)に、透明基材1上の流動状態のプライマー層6を押圧する圧力を高めに設定すると共に、未硬化状態の導電性組成物2’の粘度を低めに設定し、さらに導電性組成物2’を凹部34内で固化させずに、版面33から離型した後に固化させることが有効である。その他、これら導電性粒子4の密度分布又は配向状態は、導電性組成物のバインダー樹脂5の種類、導電性粒子4の材料と平均粒径と粒子形状、バインダー樹脂5と導電性粒子4との配合比、及び導電性組成物の塗工条件又は固化条件等に依存する。現実には、これら導電性粒子4の密度分布又は配向状態に影響する各種条件から、実験的に、求める導電性粒子4の密度分布及び配向に合致する条件を決定することになる。
前記の構成とすることにより、(ア)導電性組成物を構成する導電性粒子4が、凸状パターン層2の透明基材1側(又はプライマー層6側)の界面近傍で相対的に疎であり、透明基材1から遠ざかる側の頂部近傍で塊部3として存在して相対的に密であるので、凸状パターン層2の頂部近傍に存在する塊部3が電気抵抗を下げる。その結果、凸状パターン層2の線幅を20μm以下(好ましくは10μm以下)に細線化した場合であっても、断面積の減少にともなう電気抵抗の増加を抑制でき、表面抵抗率の増大を抑制して良好な電磁波シールド特性を有する電磁波シールド材を提供できる。また、(イ)透明基板1側(又はプライマー層6側)の界面近傍では、導電性粒子4が相対的に疎であり、バインダー樹脂5が相対的に多いので、透明基板1(透明基板1上にプライマー層6が設けられている場合にはプライマー層6)への密着性を高めることができる。その結果、凸状パターン層2の界面剥離と脱落を抑制し、高い密着性を確保することができる。また、(ウ)凸状パターン層2の透明基材1側の導電性粒子分布が疎であるので、そうした部位に存在する導電性粒子4の影響(光の反射)を少なくすることができ、導電性粒子4の分布が疎な面側を外光側(観察者側)に向けた場合には、外光による画像の白化及びコントラスト低下を防止することができる。一方、導電性粒子4の分布が疎な面側を画像表示装置側に向けた場合には、画像光の画面への反射による画像の白化とコントラスト低下を防止することができる。さらに、(エ)凸状パターン層2の頂部近傍において導電性粒子が塊部3として存在するという構造は、例えば凸状パターン層2を接地部品と接触させる場合において、その接触抵抗を下げるという効果もある。
(導電性粒子の接触形態又は接合形態)
次に、導電性粒子4の接触形態又は接合形態について詳しく説明する。図7(A)に示す形態は導電性粒子間の接触形態であり、この形態は、隣接する導電性粒子4,4間の接触部18が実質上点接触している形態である。なお、ここで、実質上点接触とは、光学顕微鏡又は電子顕微鏡で観察したとき、接触部18における両粒子4,4が間隙無く連続して繋がって一体化して見える部分の観察者方向の射影長さが、0.1μm未満であるような接触を意味する。この形態は、後述する電気抵抗低減化処理を行わない場合における、塊部3を構成する導電性粒子間の接触形態である。この接触形態であっても、表面抵抗率が0.5〜10Ω/□の範囲とすることができている。
図7(B)に示す形態は導電性粒子間の接合形態である。この形態は、接触部18が実質上面接触している形態である。なお、ここで、実質上面接触とは、光学顕微鏡又は電子顕微鏡で観察したとき、接触部18における両粒子4,4が間隙無く連続して繋がって一体化して見える部分の観察者方向の射影長さが、0.1μm以上であるような接触を意味する。この形態は、後述する電気抵抗低減化処理で詳しく説明するように、凸状パターン層2の硬化工程と同時又は硬化工程以降に、その凸状パターン層2に水又は酸又はその両方を接触させて表面抵抗率を低減させる処理によって実現できる。その結果、凸状パターン層2に対する高温高湿環境での放置、温水洗浄、酸処理等の比較的安価な処理により、高コストな銅めっき処理を用いずに、未処理の場合は0.5〜10Ω/□であった表面抵抗値を、0.1〜5Ω/□以下に低減できるという効果を奏する。そのため、焼成をしないにもかかわらず、図7(B)に示すような隣接する導電性粒子4,4の間に実質上面接触による結合が形成されており、焼成時に起きる基材ダメージや導電性組成物の密着低下による剥落等の懸念がないという利点がある。
図7(C)に示す形態は、粒子から一旦溶解した金属成分が隣接する複数個の粒子表面間を包絡し若しくは各粒子間の隙間を充填するような形態で再度固体化した形態である。粒子からの金属成分の溶解は、凸状パターン層2を構成する導電性粒子4が酸に処理することによって生じるものと考えられるが、その原理は未解明である。
いずれにおいても、電気抵抗低減化処理を行うことによって、図7(A)に示す未処理の場合に比べて、凸状パターン層2の電気抵抗を1/5〜1/2程度に低減することができる。
ここで、導電性組成物からなるパターンの体積抵抗率について言及する。導電性組成物からなるパターンの体積抵抗率は、形成するパターンにより見かけの値が変化する。例えば、市販の導電ペーストをベタ形状(開口部がない形状)で形成した場合の体積抵抗率に比べ、次式のパターンで形成した場合の見かけの体積抵抗率は、形成するパターン形状を微細にするほど大きくなる。「見かけの体積抵抗率〔Ω・cm〕=パターン部の表面抵抗率〔Ω/□〕×パターン部厚さ〔cm〕×パターン占有率 …(式1)」。ここで、パターン部厚さとは、「(パターン形成部の厚さ)−(パターン非形成部(開口部)の全厚さ)」であり、パターン占有率とは、単位面積のうちパターン形成されている部分の面積の割合である。
例えば、市販の乾燥硬化型銀ペーストをベタ塗りし乾燥させた場合の体積抵抗率は、通常10-5〔Ω・cm〕以下であるが、実際にメッシュパターン印刷すると、見かけの体積抵抗率は1桁以上高くなることが多い。これは、銀粒子の充填率や粒子同士の接触の機会が低減することによる。例えば、同じパターン占有率であっても、線幅や厚さが導電性粒子の粒径に近くなるほど抵抗は増大する。ここで、上記した電気抵抗低減化処理を適用すれば、体積抵抗率の上昇を抑えられる。特に、温度と湿度による電気抵抗低減化処理を行うことで、見掛けの体積抵抗率は処理を行う前に比べて80〜50%の値に低減させることができる。また、酸処理によっても、見掛けの体積抵抗率は該処理を行う前に比べて、80〜50%の値に低減させることができる。
(プライマー層)
プライマー層6は任意の層であるが、本発明においては透明基材1上に好ましく設けられる層である。プライマー層6を設ける主目的は、後述の図9に示すように、凸状パターン層2の凹版印刷による形成時に、凹版40から透明基材1への導電性組成物2’の転移性を向上させ、転移後の導電性組成物2’と透明基材1との密着性を向上させるためである。すなわち、透明基材1及び凸状パターン層2の双方に密着性が良く、また開口部(凸状パターン層非形成部B。図3参照。)での良好な光透過性を確保のために透明な層でもある。さらに、このプライマー層6は、流動性を保持できる状態で透明基材1上に設けられ、凹版印刷時の凹版40に接触している間に硬化させる層として形成される。
プライマー層6を構成する材料としては、熱可塑性樹脂組成物であっても電離放射線硬化性樹脂組成物であってもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、電離放射線で架橋等の反応により重合硬化するモノマー(単量体)、或いはプレポリマーやオリゴマーが用いられる。モノマーとしては、例えば、ラジカル重合性モノマーとして、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。或いは、カチオン重合性モノマーとしては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート等の脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等のオキセタン類、等が挙げられる。また、プレポリマー(乃至はオリゴマー)としては、例えば、ラジカル重合性プレポリマー、具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、等の各種(メタ)アクリレートプレポリマー、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオール系プレポリマー、不飽和ポリエステルプレポリマー等が挙げられる。その他、カチオン重合性プレポリマー、例えば、ノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートという表記は、アクリレート又はメタクリレートという意味である。これらモノマー、或いはプレポリマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で用いる他、モノマーを2種類以上混合したり、プレポリマーを2種類以上混合したり、或いはモノマー1種類以上とプレポリマー1種類以上とを混合して用いたりすることができる。
光重合開始剤としては、ラジカル重合性のモノマー又はプレポリマーの場合には、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系等の化合物が、また、カチオン重合系のモノマー又はプレポリマーの場合には、メタロセン系、芳香族スルホニウム系、芳香族ヨードニウム系等の化合物が用いられる。これら光重合開始剤は、上記モノマー及び/又はプレポリマーからなる組成物100重量部に対して0.1〜5重量部程度添加する。なお、電離放射線としては、紫外線又は電子線が代表的なものであるが、この他、可視光線、X線、γ線等の電磁波、或いはα線等の荷電粒子線を用いることもできる。
必要に応じて適宜添加剤を添加する。該添加剤としては、例えば、熱安定剤、ラジカル捕捉剤、可塑剤、界面活性剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、色素(着色染料、着色顔料)、体質顔料、光拡散剤、溶剤等が挙げられる。
なお、溶剤については、プライマー層用組成物自体の流動性が不十分な場合に、必要に応じて添加するものである。溶剤は、プライマー層6を透明基材1上に塗工形成する際の流動性を増し、塗膜厚さを均一化し、塗膜表面の鏡面平滑性を向上させるために使用される。
プライマー層6を版表面で硬化させた後に剥離する際、剥離が重い(版との密着が良い)材料系を用いる場合には、版表面に離型加工をしたり、離型材を塗布したりする等の方法もとられるが、加工コストや離型能力の寿命等と勘案し、必要に応じてプライマー層6に離型剤を添加する。離型剤とは、電磁波シールド材の製造において、プライマー硬化工程を経た透明基材1上のプライマー層6が、版面からの剥離に要する力(剥離力)を小さくして、円滑に剥がれるように剥離性を向上させるための添加剤をいう。
離型剤としては、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、リン酸エステル、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等が挙げられる。高級脂肪酸エステルとしては、炭素数1〜20の一価又は多価アルコールと炭素数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステル又は完全エステルであるものが好ましい。一価又は多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステル又は完全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。これらの中では、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のステアリン酸エステルが、透明性、離型性の観点から特に好ましい。これらの離型剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。離型剤は、プライマー層6を形成する電離放射線硬化性組成物全量に基づき、0.1〜5質量%添加することが好ましく、0.5〜3質量%が特に好ましい。0.1質量%未満では、プライマー層6の版面からの離型性が向上せず、5質量%を超えて添加しても離型性能は飽和し経済的でない。
電離放射線硬化性組成物は溶剤を含んでもよいが、その場合には塗布後に乾燥工程が必要となる。そのため、コストを考えれば溶剤を含まないノンソルベント型(無溶剤型)であることが好ましい。外観改善や塗工適性改善等のために溶剤を添加する場合には乾燥が必要となるが、溶剤の添加量が数%程度の量であるならば、硬化後に乾燥させてもよい。残留溶剤量はなるべく少ない方が好ましいが、物性、耐久性に影響が無ければ完全にゼロでなくてもよい。
ただし、図9に示すように、導電性組成物2’を凹部34内に充填した凹版40上にプライマー層6が圧着される時点においては、プライマー層6中の溶剤は、実用上支障がない程度に十分に乾燥、除去しておくことが好ましい。また、凹版40と透明基材1との間に挟持されたプライマー層6において、そのプライマー層6中の残留溶剤は逃げ場がなくて気化して、硬化したプライマー層中に気泡が発生するおそれがあるためでもある。なお、ここで使用する溶剤は、前述の透明保護層形成用組成物の溶剤として列記するものと同様のものの中から適宜選択すればよい。
このプライマー層6は、版に圧着された状態で流動状態と硬化(乃至固化)状態の2つの状態を保持できる。具体的には、プライマー層6は、プライマー層用樹脂組成物を塗工した後においては流動性を保持できる状態で透明基材1上に設けられており、その後、プライマー層6上に導電性組成物層2’(図9参照)が転写形成される際においては短時間で流動状態から硬化状態に変化させることができるものである。プライマー層6を透明基材1上に形成することにより、プライマー層6上に導電性組成物層2’を転写する際に、その導電性組成物層2’とプライマー層6との間に空隙がない状態で転写することができるので、従来生じるおそれがあった導電性組成物層2’とプライマー層6との間の隙間の発生をなくすことができ、その隙間の存在による転写不良、密着不良の問題が生じない。
なお、本願で言うプライマー層6の「流動性」又は「流動状態」とは、プライマー層6を導電性組成物が充填された版面に圧着する際の圧力によって流動(変形)する性質又は状態をいい、水のように低粘度である必要はない。また、必ずしもNewton粘性である必要もなく、チキソトロピー性或いはダイラタンシー性のような非Newton粘性を有していてもよい。塗工に適した粘度に調整されたプライマー層が透明基材1上に塗布された後、プライマー層6が熱可塑性樹脂である場合には、版面に圧着する際に流動(変形)すればよく、プライマー層6は圧着時において流動(変形)する温度になっていればよい。この場合、軟化状態と言い換えてもよい。流動状態になっているプライマー層6の粘度は、通常、1mPa・s〜100000mPa・sの範囲内であり、好ましくは、50mPa・s〜2000mPa・sの範囲内である。
プライマー層6の流動性状態は、プライマー層用の樹脂として未硬化状態において室温で液体の電離放射線硬化性樹脂を用いた場合には、電離放射線硬化性を持ったインキを透明基材1上に塗布するだけで得られる。電離放射線硬化型インキは、一般に前記のような電離放射線硬化性を持つモノマーやオリゴマーからなり、必要に応じて、更に、光重合開始剤(紫外線硬化、或いは光硬化の場合)、各種添加剤等を含み、電離放射線で硬化させるまでは流動性を示す。このインキは溶剤を含んでもよいが、その場合、塗布後に乾燥工程が必要であるため、インキは溶剤を含まないタイプ(いわゆるノンソルベントタイプ)であることが好ましい。
また、プライマー層用の樹脂として室温で固体の熱可塑性樹脂組成物を用いた場合には、透明基材1上に熱可塑性樹脂組成物を塗布し、流動性状態になる程度(例えば、50℃〜200℃程度)に加熱して生じさせることができる。流動性状態のプライマー層6を、後述するように導電性組成物が充填された版面に圧着した後、冷却することで硬化させて転写すれば、その導電性組成物層2’とプライマー層6との間に空隙がない状態で転写することができる。ここで、透明基材1上に熱可塑性樹脂組成物を塗布する方法としては、熱可塑性樹脂組成物の溶液を塗布後乾燥する方法や、ホットメルト状態の樹脂を塗布する方法がある。また、透明基材1上に塗布された熱可塑性樹脂組成物の加熱は、導電性組成物が充填された版面に接触する前に行ってもよく、版面に圧着する際に加熱ロール等を用いて圧着と加熱を同時に行ってもよいが、いずれにしろ、導電性組成物層2’をプライマー層6に転移する際にはプライマー層の流動性がなくなる程度まで冷却されている必要がある。
プライマー層6の厚さは特に限定されないが、通常は硬化後の厚さで1μm〜100μm程度(後述の厚さTで評価した数値)となるように形成される。また、プライマー層6の厚さ(T)は、通常は、凸状パターン層2とプライマー層6との合計値(総厚。図3で言うと凸状パターン層2の頂部と透明基材1の表面との高度差)の1〜50%程度、好ましくは1〜30%である。なお、後の製造方法の説明欄で詳述するが、導電性組成物層2’がプライマー層6上に転写され、さらにその導電性組成物層2’を硬化させて電磁波シールド材を製造した後におけるプライマー層6は、図3等に示すように、凸状パターン層2が形成されている部分Aの厚さTが、凸状パターン層2が形成されていない部分Bの厚さTよりも厚い。そして、そのプライマー層6において、厚さの厚い部分Aのサイドエッジ7,7は、図3に示すように、厚さの薄い部分Bの側に凸状パターン層2が回り込んだ形態になっている。
図3等に示す形態は、硬化させる前の流動状態のプライマー層6を、凹版内に設けられた導電性組成物に圧着した後、プライマー層6を硬化させ、そのプライマー層6と導電性組成物を充填した所定のパターンの賦形版面とを圧着して、プライマー層6と導電性組成物とを空隙なく密着(図9に示す凹み17がある場合は、これを充填)した後に、プライマー層6を硬化し、又はプライマー層6と導電性組成物とを同時硬化し、その後に転写したことよって形成することができる。一例として、後述の図9(A)(C)(D)の製造工程図に示すように、透明基材1上に形成したプライマー層6を流動状態とし、そのプライマー層6を、導電性組成物2’を凹部内に充填した版面に圧着し、プライマー層6を硬化することにより形成できる。版面では、ドクターブレードやワイピングロール等によって凹部内以外の余分な導電性組成物が掻き取られるが、その際に、凹部内の導電性組成物の上部には、溶剤の揮発等によって図9に示すような凹み17が生じやすく、その凹み17を有した状態で版面にプライマー層6を圧着することにより、図9(A)(B)のように、流動性のあるプライマー層6がその凹み17内に流入、充填されて、その結果、図3等に示すような形態になる。
このようにして形成された凸状パターン層2がメッシュ形状である場合、互いに方向の異なる2群以上の平行線群がからなる線部が交差して、これら線部に囲繞されて開口部(パターン非形成部B)が形成される。なお、3群以上の平行線群(線部)が交差する場合も、その基本的な設計要領及び作用効果は共通である。各線群の交差角度、すなわち、第一方向線部と第二方向線部との交差角度θは、0°<θ<180°の範囲から選択できるが、θ=90°のものが通常広く用いられている。
(凸状パターン層とプライマー層との断面形態)
導電性組成物からなる凸状パターン層2とプライマー層6との界面は、図8(A)〜(C)に示すように、3つの態様の断面形態をとり得る。具体的には、図8(A)に示すように、プライマー層6と凸状パターン層2との界面が非直線状に入り組んでいる第1の断面形態、図8(B)に示すように、プライマー層6を構成する成分と凸状パターン層2を構成する成分とが混合している層を有する第2の断面形態、及び、図8(C)に示すように、凸状パターン層2を構成する導電性組成物中にプライマー層6に含まれる成分が存在している第3の断面形態を挙げることができる。これらの断面形態(界面形態とも言う)は、密着性、導電性組成物の転移性の点で好ましい結果を与えている。
第1の断面形態は、図8(A)に示すように、プライマー層6と凸状パターン層2との界面13が、プライマー層6側と凸状パターン層2側とに交互に非直線状に入り組んだ形態である。第1の断面形態において、入り組んだ界面は、全体としては中央が高い山型の断面形態となっている。この形態において、その界面13が、プライマー層6を構成する樹脂と凸状パターン層2を構成するバインダー樹脂5又は導電性粒子4との界面であるように構成されていてもよいが、通常は、凸状パターン層2中の導電性粒子4とプライマー層6を構成する樹脂とが入り組んだ非直線状の態様で形成される。このときの入り組みの程度と形態は、導電性粒子4の形状や大きさ、プライマー層6を凹部内に圧着する際の圧力等によって影響を受ける。この界面近傍は、図5(F)(G)に示す疎の領域Rであるので、導電性粒子4はバインダー樹脂5の中で相互に接触している割合は低く、バインダー樹脂中に浮いた状態で存在している態様で存在する。
第1の断面形態は、そもそも平坦面でない山型のプライマー層6上に凸状パターン層2が形成されていることを以ってしても密着性が良いのに加え、上記のように界面13が入り組んだ形態になっており、さらにバインダー樹脂中に導電性粒子4が浮いた態様で存在しているので、いわゆる投錨効果により、プライマー層6と凸状パターン層2との密着性が著しく高くなっている。さらに、こういう断面形態をとる故に、版凹部内に充填された導電性組成物がプライマー層6上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果を備えている。
第2の断面形態は、図8(B)に示すように、プライマー層6と凸状パターン層2との界面13の近傍に、プライマー層6に含まれるプライマー成分と、凸状パターン層2を構成する成分とが混合する混合領域14が存在している形態である。図8(B)では界面が明確に現れているが、実際には、明瞭でない曖昧な界面が現れる。また、図8(B)において、混合領域14は界面13を上下に挟むように存在する。この場合は、プライマー層6中のプライマー成分と凸状パターン層2中の任意の成分とが両層内に相互に侵入する場合である。なお、混合領域14は界面13の上側(透明基材1とは反対側)に存在しても下側(透明基材1側)に存在してもよい。混合領域14が界面13の上側に存在する場合としては、プライマー層6中のプライマー成分が凸状パターン層2内に侵入し、凸状パターン層2中の成分がプライマー層6内に侵入しない場合であり、一方、混合領域14が界面13の下側に存在する場合としては、凸状パターン層2中の任意の成分がプライマー層6内に侵入し、プライマー層6中のプライマー成分が凸状パターン層2内に侵入しない場合である。
第2の断面形態は、そもそも平坦面でない山型のプライマー層6上に凸状パターン層2が形成されていることを以ってしても密着性が良いのに加え、上記のように界面13近傍に混合領域14を有するので、プライマー層6と凸状パターン層2との密着性が著しく高くなっている。さらに、こういう断面形態をとるゆえに、版凹部内に充填された導電性組成物がプライマー層6上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果を備えている。
第3の断面形態は、図8(C)示すように、凸状パターン層2中に広く、プライマー層6に含まれるプライマー成分16が存在している形態である。図8(C)ではプライマー成分16が界面13付近で多く、頂部に向かって少なくなる態様を模式的に表しているが、こうした態様は特に限定されない。プライマー成分16は、凸状パターン層2の頂部から検出される程度に凸状パターン層2内に侵入していてもよいし、主として界面近傍で検出される程度であってもよい。なお、この第3の断面形態において、特に、プライマー成分16が凸状パターン層2内に存在している領域が界面13の近傍に局在化している場合が、上記第2態様において混合領域が界面13の上側にのみ存在する形態に相当するといえる。
第3の断面形態も上記第1及び第2の断面形態の場合と同様、そもそも平坦面でない山型のプライマー層6上に凸状パターン層2が形成されていることを以ってしても密着性が良いのに加え、上記のようにプライマー成分16が凸状パターン層2に侵入しているので、プライマー層6と凸状パターン層2との密着性が著しく高くなっている。さらに、こういう断面形態をとるゆえに、版凹部内に充填された導電性組成物がプライマー層6上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果を備えている。
本発明における導電性組成物からなる凸状パターン層2とプライマー層6の界面13は、上記の第1〜第3の断面形態の特徴を少なくとも1つ有しているが、それらの特徴を2つ以上有していてもよく、3つの全てを有していてもよい。
(金属層)
金属層8は、凸状パターン層2のみでは所望の導電率に不足する場合に、導電率を更に向上させるために必要に応じて形成するものである。凸状パターン層2上にめっきにより形成される。めっきの方法としては、電気(電解)めっき、無電解めっき等の方法があるが、電気めっきは無電解めっきに比べて通電量を増やすことでめっき速度を数倍に上げることができ、生産性を著しく向上させることができるため好ましい。
電気めっきの場合、凸状パターン層2への給電は凸状パターン層2が形成された面に接触させた通電ロール等の電極から行われるが、凸状パターン層2が電気めっき可能な程度の導電性(例えば、10Ω/□以下)を有するので、電気めっきを問題なく行うことができる。金属層8を構成する材料としては、導電性が高く容易にめっき可能な、銅、銀、金、クロム、ニッケル、錫を挙げることができる。金属層8は凸状パターン層2に比べると一般的に体積抵抗率が1桁以上小さいため、凸状パターン層2単体で電磁波シールド性を確保する場合に比べて、必要な導電材料の量を減らせるという利点がある。
なお、金属層8を形成した後においては、必要に応じて、その金属層8を黒化処理したり、表面を粗面化したりしてもよい。黒化処理は、例えば黒化ニッケルめっき、銅−コバルト合金めっき等の処理を例示できるが、必ずしもこれらに限定されない。
(透明保護層)
透明保護層(図示しない)は、凸状パターン層2(金属層8が形成された凸状パターン層2も含む。)を覆う全面に形成されている。透明保護層の形成材料は特に限定されず、電磁波シールド材の透明保護層として従来から用いられている電離放射線硬化性樹脂等が好ましく用いられる。透明保護層の厚さも特に限定されず、通常は凸状パターン層2の高さHよりも厚いことが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、凸状パターン層2の線幅Wの1/4以下の長さを平均粒径とする導電性粒子4とバインダー樹脂5とを含む導電性組成物が、凸状パターン層2の横切断面において16個以上の導電性粒子4が相互に接触する塊部3を有するので、その塊部3によって低抵抗の凸状パターン層2を実現でき、電磁波シールド特性を高めることができる。その結果、凸状パターン層2の配線幅のより一層の細線化を達成できる。
[電磁波シールド材の製造方法]
次に、図9〜図11を参照しつつ電磁波シールド材10の製造方法を説明する。なお、本願では、「転写」と「転移」は同義で用いており、したがって、「転写」を「転移」と置き換え、また、「転写工程」を「転移工程」と置き換えることができる。
電磁波シールド材10の製造方法は、図9に示すように、未硬化の導電性組成物2’が充填された所定パターンの凹部34を有する版面33と、その導電性組成物2’の転写対象である透明基材1の一方の面S1とを、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層6を介して圧着し、その後、その圧着を保持した状態で少なくともプライマー層6を硬化し、その後、透明基材1及びプライマー層6を版面33から剥がして前記の導電性組成物2’をプライマー層6を介して透明基材1の一方の面S1に所定のパターンで転写することを特徴とするものである。
詳しくは、図9(A)は、未硬化の導電性組成物2’が凹部34に充填された凹版40の版面33上に、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層6が設けられた側の透明基材1を圧着しようとする工程である。すなわち、この工程は、先ず、予め流動状態のプライマー層6を透明基材1の面S1上に塗工しておき、一方、未硬化の導電性組成物2’が充填された所定パターンの凹部34を有する凹版40の版面33を用意し、該版面33と、その導電性組成物2’の転写対象である透明基材1の一方の面S1とを、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層6を介して圧着しようとする工程を示している。
なお、プライマー層6の形成を版面33側に対して行うことも可能ではある。すなわち、図9(B)及び図11に示すように、未硬化の導電性組成物2’が充填された凹部34を含む版面33全体を覆うように、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層6を塗工して設け、そのプライマー層6上から未塗工の透明基材1の面S1側を圧着する工程である。ただし、透明基材1上にプライマー層形成用組成物を塗工することは比較的容易なのに対し、版面33上にプライマー層形成用組成物を塗工することは比較的難しい。特に、凹版40が図11に示すような円筒状の場合は、重力によって塗工したプライマー層が垂れ下がるため、均一な膜厚の塗工が困難となる。それゆえ、本発明においては図9(A)及び図10に示すような透明基材1側にプライマー層6を塗工する形態を採用することが好ましい。
図9(A)(B)において、凹部34以外の版面には、導電性組成物2’は全く存在していないか実質的に存在していない。ここでいう「実質的に存在していない」とは、ドクターブレード(図11の符号35を参照。)やワイピングロール(図10の符号44を参照。)等を用いて導電性組成物2’を凹部34内に充填する際、その導電性組成物2’が凹部34以外の版面33(表面のこと。)にも存在してしまうことがある場合において、最終的に得られる図9(D)に示す電磁波シールド材10が、その目的を損なわない程度に凸状パターン層非形成部B(凸状パターン層2が形成されていない部分)での導電性組成物2’の存在を許容できることを意味している。その許容程度としては、例えば、前記のように、導電性組成物2’からなる凸状パターン層2の厚さTや、導電性組成物2’の凸状パターン層非形成部Bにおける被覆率や、凸状パターン層非形成部Bの透過率等の特性、等を挙げることができる。そうした厚さT、被覆率、特性等は、凸状パターン層2を形成する電磁波シールド材10の仕様によっても異なるが、いずれにしても、凸状パターン層非形成部Bには導電性組成物2’が全く存在しないか実質的に存在しないように、版面33上の導電性組成物2’が掻き落とされる。
図9(C)は、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層6を介して、透明基材1と版面33とを圧着する工程である。図9(A)の工程ルートを経た後においては、ドクターブレードやワイピングロール等を用いて導電性組成物2’を版面33から掻き落とす際に、溶剤の揮発等によって「導電性組成物2’の凹み17」が凹部34に生じるが、その凹み17は、圧着時に、硬化するまで流動性のあるプライマー層6で埋められる。なお、図9(B)の工程ルートでは、プライマー層を版面33上に設ける際に、そのプライマー層6が凹み17を埋める。したがって、この図9(C)の工程では、透明基材1と版面33とがプライマー層6を介した態様で圧着し、その結果、硬化するまで流動性のあるプライマー層6は導電性組成物2’の凹み17を埋めた態様となっている。なお、この時点においては、導電性組成物2’も未硬化状態に保っておく。これによって、導電性組成物層とプライマー層との界面に、図8(A)〜図8(C)のような構造が形成される。本発明では、この圧着を保持した状態で少なくともプライマー層6を硬化する。「少なくとも」としたのは、プライマー層6のみを硬化して導電性組成物2’を硬化しない場合と、プライマー層6と導電性組成物2’とを同時に硬化する場合とを含む意味である。そして、その硬化処理は、電離放射線照射又は冷却によって行うことが好ましい。
図9(D)は、その後において、透明基材1及びプライマー層6を版面33から剥がした態様である。得られた電磁波シールド材10においては、導電性組成物2’を、プライマー層6を介した態様で透明基材1の一方の面S1に所定のパターンで転写することができた。ここで、図9(C)(D)は実際の断面観察結果に近い形状で示しているが、図9(D)に示したプライマー層6及び凸状パターン層2の形状が、図9(C)に示したプライマー層6及び導電性組成物2’の形状と完全に一致しないのは、両層の構成材料がいずれも可塑性を有する樹脂材料であることに基づいている。なお、凸状パターン層2は、図9(C)の工程で硬化処理されてもよいし、図9(D)の剥離工程後に硬化処理されてもよい。
次に、図10及び図11に示す製造方法及び製造装置について説明する。図10に示す電磁波シールド材10の製造方法においては、先ず、供給された透明基材1の一方の面にプライマー層6を塗布する。この塗布工程は、ピックアップロール41が容器43内のプライマー層用樹脂組成物42に下方で接触し、そのプライマー層用樹脂組成物42を引き上げて透明基材1に塗布することにより行われる。プライマー層6が塗布された透明基材1は、ニップロール36によってプライマー層6側の基材面(S1)を版面33に圧着させることにより行われる。一方、圧着対象となる版面33には導電性組成物2’が塗布されている。このときの塗布工程は、ピックアップロール31が容器38内の導電性組成物2’に下方で接触し、その導電性組成物2’を引き上げて版面33に塗布することにより行われる。なお、図10においては、版面33上の凹部34以外の部分に導電性組成物2’が乗らないように、ワイピングロール44で掻き落とす。
圧着は、ニップロール36によってプライマー層6側の基材面を版面33に所定の圧力で付勢して密着させることにより行われる。この圧着により、凹部34内の導電性組成物2’とプライマー層6とを空隙なく密着させることができる。プライマー層6は未だ硬化しておらずに流動性を有しているので、図9(A)で示した凹み17内にプライマー層用樹脂組成物が充填され、透明基材1及び導電性組成物2’の間は全てプライマー層6で隙間なく満たされる。
図10に示すニップロール36での圧着工程後、プライマー層6と導電性組成物2’とが空隙なく密着し、その後、図10に「UVゾーン」と記された領域において、高圧水銀燈等の紫外線光源(図示しない)から輻射される紫外線を照射して、プライマー層6を硬化させることにより硬化工程を行い、次いでニップロール37(剥離ロール)を介して透明基材1及び硬化したプライマー層6を版面33から剥離する転写工程を経ることにより、版面内に充填された導電性組成物2’の透明基材1への転移(転写)が高い転移率のもとで確実に行われる。そして、得られた電磁波シールド材10が有する凸状パターン層パターンは、図8に示したように、プライマー層6と凸状パターン層2との界面12が単純な界面構造にならず、両層の密着性が向上する。なお、硬化工程及び転写工程、及びその後に必要に応じて設けられる乾燥処理、硬化処理、めっき工程等、また、プライマー層6の厚さ、得られた所定パターンからなる凸状パターン層2の断面形態、転移率、アスペクト比等は、上記した電磁波シールド材10の説明欄で示したものと同様であるので、ここではその説明を省略する。
一方、本発明で採用する図10に示す態様の代わりに、版面上に直接プライマー層6を塗工する製造方法及び製造装置も可能である。図11に示す製造方法は、圧着工程までの工程が図10に示した製造方法とは異なっている。すなわち、先ず、透明基材1は、ニップロール36によって版面33に圧着されるように供給される。その透明基材1が圧着される版面33には、図11に示すように、最初に導電性組成物2’が塗布され、その後にプライマー層6が塗布形成される。導電性組成物2’の塗布工程は、ピックアップロール31が容器38内の導電性組成物2’に下方で接触し、その導電性組成物2’を引き上げて版面33に塗布することにより行われ、その後引き続いて、版面33上の凹部34以外の部分に導電性組成物2’が乗らないように、ドクターブレード35で掻き落としている。また、プライマー層6の塗布工程も同様、ピックアップロール41が容器43内のプライマー層用樹脂組成物42に下方で接触し、そのプライマー層用樹脂組成物42を引き上げて、凹部34内に導電性組成物2’が充填されてなる版面33上に所定の厚さで塗布することにより行われる。プライマー層用樹脂組成物は未だ硬化しておらずに流動性を有しているので、図9(B)で示すように、凹み17内にプライマー層用樹脂組成物が空隙なく充填される。
圧着は、ニップロール36によって、透明基材1を版面33に所定の圧力で付勢して密着させることにより行われる。この圧着により、透明基材1はプライマー層6に密着する。圧着工程以後の工程、及びニップロール36等その他の構成については、図10での説明と同じであるので、ここでは詳しい説明を省略するが、図11に示すニップロール36での圧着工程後、プライマー層6と導電性組成物2’とが空隙なく密着し、その後に硬化工程や転写工程を経ることにより、版面内に充填された導電性組成物2’の透明基材1への転移(転写)が高い転移率のもとで確実に行われる。そして、得られた電磁波シールド材10が有する凸状パターン層パターンは、電磁波シールド材10の説明欄で示した図8に示すように、プライマー層6と凸状パターン層2との界面12が単純な界面構造にならず、両層の密着性が向上する。
図10と図11においては、ドラム型の版を用いているが、必ずしもドラム型の版でなくてもよく、平版であってもよい。平版を用いた場合には図10や図11のようなロール・トゥ・ロールのような連続製造はできないが、固定された平版に導電性組成物2’を塗布し、その後、ドクターブレード等で掻き取り、その後、プライマー層用樹脂組成物42をその上に塗布した後に例えば枚葉の透明基材1を圧着したり、プライマー層6を設けた枚葉の透明基材1をその上に圧着したりした後、透明基材1とプライマー層6とを剥がすことにより凸状パターン層2を基材側に転写することができる。そして、こうした工程を繰り返すことにより、透明基材1上にプライマー層6及び凸状パターン層2を少なくとも有する枚葉の電磁波シールド材10を連続的に製造することができる。
特に本発明の特徴的な塊部3は、導電性組成物の固形分100質量部のうち導電性粒子4を90〜99質量部、好ましくは92〜98質量部の範囲内で含有させてなる導電性組成物を用い、且つ上記した製造方法によって形成できる。すなわち、そうした導電性組成物2’を版面33の凹部34に充填し、その後にプライマー層6上に転移させると、凸状パターン層2の頂部近傍に塊部3が設けられる。塊部3が凸状パターン層2の頂部側に存在する理由は、プライマー層6が未硬化の導電性組成物を頂部側に押し込み、その状態でプライマーが硬化することによるものと考えられる。こうして、16個以上の導電性粒子4が相互に接触し、好ましくは少なくとも縦4個×横4個以上からなる塊部3が、凸状パターン層2の頂部側に形成される。
(電気抵抗低減化工程)
ここで、凸状パターン層2の電気抵抗を低減させる工程について詳しく説明する。本発明に係る電磁波シールド材10を得るために、凸状パターン層2の電気抵抗を低減させる処理を行うことが好ましい。例えば、凸状パターン層2の硬化工程と同時に、又はその硬化工程以降に、凸状パターン層2を水又は酸又はその両方と接触させて表面抵抗率を低減させる処理を施す表面抵抗率低減処理工程を追加することが好ましい。この処理によって、凸状パターン層2の体積抵抗率を低下させることができ、高い導電性を凸状パターン層2の塊部3に与える結果となって、高い電磁波シールド特性を付与できる。なお、特許文献5には、基板の少なくとも片面に網目状に金属微粒子層が積層された導電性基板の製造において、金属微粒子層を酸で処理する導電性基板の製造方法が提案されている。
水に接触させて凸状パターン層2の表面抵抗率を低減させる処理は、(1)凸状パターン層2の硬化工程と同時に又はその硬化工程以降に、温度50〜90℃、相対湿度50〜95%の高温高湿環境下に所定時間に亘ってその凸状パターン層2を暴露する処理、又は、(2)凸状パターン層2の硬化工程後に、所定温度の温水にその凸状パターン層2を所定時間浸漬する処理、である。一方、酸に接触させて凸状パターン層2の電気抵抗を低減させる処理は、硬化工程後の凸状パターン層2を酸の溶液に浸漬させる処理、又は、硬化工程後の凸状パターン層2に酸の溶液を塗布する処理、である。
これらの処理は、特に導電性粒子4が銀粒子又は銀を含む粒子である場合に観察されるものである。この処理はいわゆる焼成処理とは異なり、PETなど一般のフィルム基材にダメージを与えるような長時間の加熱処理ではなく、また低温焼成用印刷インキとして知られたナノメートルサイズ粒子の分散液に対しては使用できない。しかし、本発明で用いる、1μm以上で凸状パターン層の線幅の1/4以下の長さを平均粒径とする導電性粒子4と、バインダー樹脂5とからなる導電性組成物については好ましく適用することができる手段である。
より詳しく説明すれば、前者の水を接触させて電気抵抗を低減させる処理は、凸状パターン層2を透明基材側に転写し且つ硬化せしめた後、電磁波シールド材10を水分と接触させた状態の下で、室温(約25℃)よりも高温状態に適宜時間放置する処理である。水分存在下の条件としては、水蒸気を含む空気中への放置、水滴の噴霧、又は水中への浸漬のいずれでもよい。水蒸気を含む空気中への放置の場合、放置する空気の相対湿度は70%RH以上、好ましくは85%RH以上とする。温度(水蒸気又は水滴を含む空気中への放置の場合は雰囲気温度、水中への浸漬の場合は水温)は、30℃以上、好ましくは60℃以上である。ただし、あまり高温になるとバインダー樹脂5や透明基材1の変質、変更を生じることになるため、通常、120℃以下とする。処理時間は、表面抵抗が低下した後に一定になる時間を予め試験した後に設定することが好ましいが、余裕をみても、48時間以降はほぼ一定となるので、48時間程度とするのがよい。
温水への接触による電気抵抗低減化処理によって、凸状パターン層全体の表面抵抗率を、処理前の20〜50%程度に減少させることができる。なお、見かけの体積抵抗率も同様、処理前の20〜50%程度となる。特に本発明で用いる、1μm以上で凸状パターン層の線幅の1/4以下の長さを平均粒径とする導電性粒子4(特に銀粒子)と、バインダー樹脂5とからなる導電性組成物(銀ペースト)については、処理後の表面抵抗率を小さくできる。また、金属層8を電解めっきで形成する場合にも、この処理で表面抵抗値を下げることにより、めっき処理速度を上げることができ、生産性を向上させることができる。
前記処理で体積抵抗率が減少する理由は現時点では未解明であるが、例えば導電性粒子4として銀粒子を用い、処理前後の銀粒子の状態変化をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察すると、塊部3を構成している16個以上の銀粒子の形状変化、隣接粒子同士の融着、粒子間距離の減少等が観察され、処理前の図7(A)に示す導電性粒子間が実質上点接触している形態(符号18は接触部)から、図7(B)に示すように隣接する銀粒子同士が融合(符号19は接合部)し実質上面接触した態様の塊部3となって体積抵抗率が低減したのが直接の原因と推定される。
一方、後者の酸を接触させて電気抵抗を低減させる処理は、凸状パターン層2を透明基材側に転写した後、電磁波シールド材を酸と接触させて、凸状パターン層2の体積抵抗率を低下させる処理である。酸としては、特に限定されず、種々の無機酸、有機酸から選択することができる。無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等が挙げられる。有機酸としては、酢酸、クエン酸、蓚酸、プロピオン酸、乳酸、ベンゼンスルホン酸等が挙げられる。これらは強酸であっても弱酸であってもよい。好ましくは酢酸、塩酸、硫酸、及びその水溶液であり、より好ましくは塩酸、硫酸、及びその水溶液である。酸への接触時間は、数分以下で十分であり、時間を長くしても導電性の向上効果が高まらず、むしろ導電性の向上効果が悪化する場合がある。酸への接触時間は、15秒〜60分であることが好ましく、より好ましくは15秒〜30分であり、さらに好ましくは15秒から2分であり、特に好ましくは15秒〜1分である。接触させる酸の温度は、常温で十分である。高温で処理を行うと、酸の蒸気が発生して周辺の金属装置を腐蝕、劣化させる原因となったり、透明基材として熱可塑性樹脂フィルムを用いた場合には、透明基材を白化させ、透明性を損ねる場合があったりしたため、好ましくない。好ましい処理温度は40℃以下であり、より好ましくは30℃以下であり、さらに好ましくは25℃以下である。
酸に接触させる方法は特に限定されず、例えば、酸や酸の水溶液の中に凸状パターン層2を浸したり、酸や酸の水溶液を凸状パターン層2上に塗布したり、酸の液滴を噴霧したり、或いは酸や酸の水溶液の蒸気を凸状パターン層2にあてたりする方法が用いられる。これらの中でも、酸の水溶液の中に凸状パターン層2を浸したり、酸や酸の水溶液を凸状パターン層2上に塗布したりする方法が、導電性向上効果に優れるため好ましい。すなわち、酸への接触処理条件としては、40℃以下の温度で、酸の水溶液の中に凸状パターン層2を浸したり、酸や酸の水溶液を凸状パターン層2上に塗布したりすることが好ましい。
酸の水溶液を用いる場合、酸の濃度は、好ましくは10mol/L以下であり、より好ましくは5mol/L以下であり、さらに好ましくは1mol/L以下である。酸の水溶液の濃度が高いと、作業性が低下し、生産性が悪化する場合があったり、透明基材として熱可塑性樹脂フィルムを用いた場合には、透明基材を白化させ、透明性を損ねる場合があったりしたため、好ましくない。また、酸の濃度が低すぎる場合にも、酸による処理の効果が得られないため、好ましくは0.05mol/L以上、より好ましくは0.1mol/L以上であることが好ましい。なお、酸の水溶液を用いる場合は、酸の残渣による悪影響が懸念されるため、処理後に水による濯ぎ及び乾燥工程が必要となる。温水や蒸気を用いる場合には、すすぎ工程は省略できる。
また、電気抵抗低減化工程としての、水との接触処理や酸との接触処理は、各々の何れか一方のみを単独で選択してもよいが、両処理を順次実施(併合、組合せ)してもよい。この場合、特に、先に酸との接触処理を実施し、その後、温水との接触処理を実施すると、電気抵抗低減化の効果が大きく、好ましい。
このように、凸状パターン層2の硬化と同時に又は硬化後に、水との接触処理(高温湿熱処理)又は酸との接触処理を行うことによって、導電性粒子間の融合がなぜ起こり、体積抵抗率が低下するかについては、(ア)粒子表面が洗浄されることによる銀粒子同士の金属拡散の促進(図7(B)参照)、(イ)水分若しくは酸によるバインダー樹脂の収縮、(ウ)溶剤成分の減少、(エ)粒子から一旦溶解した金属成分が隣接する複数個の粒子表面間を包絡し若しくは各粒子間の隙間を充填するような形態で再度固体化(符号4’)すること(図7(C)参照)等も考えられるが、真の理由は未だ確認できていない。なお、80℃で単に熱処理しただけでは、体積抵抗率は低減しないことが確認されており、また、酸処理した後に十分な乾燥をしないと抵抗率の減少率が小さいことも確認されている。しかしながら、電気抵抗低減化処理によって、凸状パターン層2の電気抵抗を1/5〜1/2程度に低減することができる。
以上説明したように、本発明に係る電磁波シールド材10を製造する方法によれば、導電性組成物の固形分100質量部のうち導電性粒子4を90〜99質量部、好ましくは92〜98質量部の範囲内で含有させてなる未硬化の導電性組成物2’が充填された所定パターンの凹部34を有する版面33と、導電性組成物2’の転写対象である透明基材1の一方の面S1とを、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層6を介して圧着するので、凹部34内の導電性組成物2’上部に生じやすい凹み17に流動性のあるプライマー層6が充填される。その結果、プライマー層6が導電性組成物2’の凹み17に空隙なく密着するので、凹部34内の導電性組成物2’を透明基材1側に未転写部のない状態で正確に転写させることができる。しかも、形成された凸状パターン層2の頂部側には特定の粒子の集合形態を持った導電性粒子4の塊部3を有し、その塊部3によって凸状パターン層2の延在方向に連続した電流の経路が形成され得るので、安定で且つ低い表面抵抗率を有する凸状パターン層2を形成できる。その結果、十分な電磁波シールド特性が得られる。また、必要に応じて、更に電気めっきで設ける金属層8の形成も容易な電磁波シールド材10を、良好な電磁波シールド特性を付与した態様で提供できる。さらに、導電性組成物2’の転写不良に基づく断線、形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド材10を製造することができる。
また、電磁波シールド材10の製造方法によれば、転移後の凸状パターン層2の断面形状は、凹版の凹部形状を比較的良好に再現する。例えば、凹版の深さが20μmの版を用いれば、転移後の凸状パターン層2の乾燥時の体積収縮はあるものの、約20μm近い厚さTの凸状パターン層パターンを形成することができる。この方法による凹版凹部形状の転移率([転移し硬化した凸状パターンの高さ/版凹部の深さ]×100〔%〕で定義する。)は、導電性組成物の硬化収縮率にも依存するため、一概には言えないが、通常、90%程度以上の値が得られる。これらの現象は、従来の凹版(グラビア)印刷では考えられないことである。従来の凹版印刷の場合、同じ導電性組成物を用いて印刷しても、凹版凹部形状の転移率は、本発明で用いるような流動性の低い導電性組成物の場合は、通常、最大でも20%程度である。
本発明において、こうした転移性改善効果が見られる原因についてはまだはっきりとはわからないが、実験結果を調査した結果では、断面のTEM分析において、プライマー層6と凸状パターン層2とを染色して観察したところ、既述のように、転移後の凸状パターン層2とプライマー層6との界面がはっきりと2層に分かれておらず、お互いに入り組んだ状態で相溶している形態を確認できた。なお、凸状パターン層2の頂部側とは異なり、その界面では導電性粒子4の分布は疎になっており、導電性粒子4が相互に接触せず、あたかも樹脂中に浮いた態様で存在していた。
また、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)により、(1)導電性組成物2’が転移した凸状パターン層パターンの表面、(2)導電性組成物2’が転移していない部分(開口部又は凸状パターン層非形成部B)のプライマー層表面、(3)導電性組成物2’のみを透明基材1上にベタ塗りし、乾燥させた塗工膜の表面、(4)プライマー層6のみを透明基材1上にベタ塗りし、固化させた塗膜の表面、を分析した。その結果、前記(3)の導電性組成物2’の塗工膜には見られず、前記(4)は見られるフラグメント(分子の断片)が、前記の(1)(2)でも共に検出され、プライマー層6の成分が導電性組成物2’中を拡散していることが示唆された。これらの状況から考えると、流動性があるプライマー層6を導電性組成物2’と接触させた際に境界部分の相溶及び/又は境界の乱れが生じ、この状態でプライマー層6を固化させると、境界部分から導電性組成物2’の方向に向かう領域で、導電性組成物2’の増粘やゲル化などの現象が起こり、導電性組成物2’を版から引き抜きやすくなっているのではないかと推測される。
また、流動性のあるプライマー層6を構成する成分の一部が凹版凹部にある未硬化の導電性組成物2’と混ざり、プライマー層6を固化させた際に導電性組成物2’の粘度を全体的に上げている可能性もある。いずれにしろ、流動性のあるプライマー層6を導電性組成物2’に接触させて、少なくともプライマー層6を固化させた後に剥離すれば、導電性組成物2’が完全に固化していないにもかかわらずほぼ100%近い転移が可能であった。
[光学フィルタ]
本発明に係る電磁波シールド材10は、単品で用いることもできるが、電磁波シールド材10の表面、裏面又は表裏両面に各種の機能層を積層してもよい。そうした機能層として光学機能層を挙げることができ、電磁波シールド機能と光学機能との両機能を備えた光学フィルタとして利用することができる。光学機能層としては、従来公知の近赤外線吸収層、ネオン光吸収層、調色層、紫外線吸収層、特開2007−272161号公報等に記載のいわゆる薄膜ミクロルーバ層、反射防止層及び防眩層等を挙げることができる。また、必要に応じて、耐衝撃層、帯電防止層、ハードコート層、抗菌層、防黴層及び防汚層等の機能層を複合することができる。
各機能層は、前記した透明保護層(図示しない)自体に各機能を持たせてもよいし、透明保護層上に設けてもよいし、或いは凸状パターン層上又は透明基材上に直接設けてもよい。各機能層は、直接形成する方法及び別途形成した機能層を貼合する方法によって形成される。直接形成する場合には、機能を発現する材料を透明保護層に含有させ、又は透明保護層等の被形成面上に、コーティング装置を用いて塗布形成する方法、又は、スパッタ又は蒸着等の一般的な手法が適用できる。
塗布形成する方法としては、グラビア(ロール)コート、ロールコート、コンマコート、孔版印刷、ダイコート等の一般的な装置が使用可能であり、材料の性状や必要な塗布精度に合わせて適宜選定する。また、面内において一部領域に形成する場合は、孔版パターン印刷、間欠塗工、ストライプ塗工等の塗工時にパターン形成する方法や、形成しない箇所をマスクして全面塗工した後マスクを剥がす方法、又は不要な箇所の機能層を除去する等の方法を使用可能である。
機能層は単層で機能を発現するようにしてもよいし、複数の層で機能を発現するようにしてもよい。単層の場合の例としては、ハードコート機能、平坦化機能、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、紫外線吸収機能、調色機能、反射防止機能、防眩機能、耐衝撃機能、帯電防止機能、防汚機能等の1つあるいは複数の機能を発現させてもよく、複数層の場合は、例えば平坦化層+反射防止層、ハードコート層+反射防止層、近赤外線吸収層+紫外線吸收層+ハードコート層等といった機能分担をさせることが可能である。
機能層が耐擦傷機能(ハードコート)層である場合は、JIS K 5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものであることが好ましく、このような硬度と前述の透明基材と同様な透明性を実現できるものであれば、材料は特に限定されない。用いる硬化性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂等を要求性能等に応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂の例としては、前記プライマー層の材料の記載箇所に例示されているのでここでは省略する。
[用途]
本発明に係る電磁波シールド材10は、各種用途に使用可能である。特に、各種の、テレビジョン受像装置、測定機器、計器類、事務用機器、医療機器、遊戯機器、電算機器、電話機、電飾看板等の表示部等に用いられるPDP、CRT、LCD、EL等の画像表示装置の前面フィルタ用として好適である。特にPDP用として好適である。また、その他、住宅、学校、病院、事務所、店舗等の建築物の窓、車輛、航空機、船舶等の乗物の窓、電子レンジ等の各種家電製品の窓等の電磁波遮蔽用途にも使用可能である。
実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
[実施例1]
(凹版の準備)
先ず、凹版ロールとして、線幅(凹部幅)が10μmで線ピッチ(凹部ピッチ)が300μm、線高さ(凹部深さ)10μmの格子状のメッシュパターンとなる凹部が形成された凹版版胴を準備した。
(透明基材の準備)
透明基材1として、片面にポリエステル樹脂系の易接着処理がされた幅1000mmで厚さ100μmの1000mロール巻のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。図10に示す形態の装置を用い、供給部にセットした巻取ロールからPETフィルムを繰り出し、易接着処理面にプライマー層用の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化後に厚さ14μmとなるように塗布した。塗布方式は、通常のグラビアリバース法を採用した。紫外線硬化性樹脂組成物としては、エポキシアクリレート35質量部、ウレタンアクリレート12質量部、フェノキシエチルアクリレートからなる単官能モノマー44質量部、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレートからなる3官能モノマー9質量部、さらに光開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:イルガキュア184、製造メーカ:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社)3質量部を添加したものを使用した。なお、揮発乾燥型の溶剤は無添加とした。このときの粘度は約1300cps(at25℃、B型粘度計)であり、塗布後のプライマー層6は、触ると流動性を示すものの、PETフィルム上から流れ落ちることはなかった。こうして塗布厚さ約14μmのプライマー層6が形成された透明基材を準備した。
(電磁波シールド材の製造)
準備した上記凹版ロールの版面に、図10に示すように、導電性組成物をピックアップロールで塗布し、ドクターブレードで凹部内以外の導電性組成物を掻き取って凹部内のみに導電性組成物を充填させた。なお、この時、凹部内に充填した導電性組成物は図9(A)に示すように、その表面に凹み17を生じていた。導電性組成物を凹部内に充填させた状態の凹版ロールと、ニップロールとの間に、プライマー層が形成された透明基材(PETフィルム)を、プライマー層側が凹版側を向く向きにて供給し、凹版ロールに対するニップロールの押圧力(付勢力)によって、プライマー層を凹部内に存在する導電性組成物の凹みに流入させ、導電性組成物とプライマー層とを隙間なく密着させると共に、該プライマー層の樹脂の一部を凹部内の該導電性組成物内に浸透させた。なお、用いた導電性組成物は、以下の組成の銀ペーストを用いた。
銀ペースト:導電性粒子として平均粒径1μmの球状銀粒子を83質量部、バインダー樹脂として熱可塑性のアクリル樹脂を5質量部、溶剤としてブチルカルビトールを12質量部配合し、十分に攪拌混合した後、3本ロールで混練りして導電性組成物として作製した銀ペースト。なお、ここでの平均粒径は、レーザー光回折散乱法で評価した値である。
その後、図10に示すように、凹版ロールを回転しながら高圧水銀灯の紫外線ランプで紫外線を照射し、紫外線硬化性樹脂組成物からなるプライマー層を硬化させた。プライマー層の硬化により、凹版ロールの凹部内の未硬化の導電性組成物はプライマー層に密着し、その後、出口側のニップロールによってPETフィルムを凹版ロールから離版した。離版させたPETフィルムのプライマー層上には、未硬化の導電性組成物層が凸状パターン層として転移し、印刷された。このようにして得られた印刷フィルムを、110℃の乾燥ゾーンを通過させて銀ペーストの溶剤を蒸発させて固化させ、プライマー層上に導電性組成物層からなる凸状パターン層を形成してなる電磁波シールド材を製造した。
(評価及び結果)
形成された凸状パターン層の寸法は、線幅が10μmで線ピッチが300μmで線高さHが10μmであった。このとき、凸状パターン層2が存在するパターン部分Aの高さH(凸状パターン層が形成されているメッシュパターン部分とそれ以外の部分との厚さの差)は9μmで、版の深さ(10μm)の90%の厚さで版から転移しており、版の凹部内の銀ペーストが90%の転移率で転移していた。転移後の凹部内を観察したところ、銀ペーストの版残りは極めて少なく、また、メッシュパターンの断線や形状不良も見られなかった。
この段階での電磁波シールド材について、その凸状パターン層2のパターン部分Aの異なる10箇所における横切断面の透過型電子顕微鏡(TEM)による観察を行った。凸状パターン層2は、図5に示す態様で、横方向に少なくとも8個×高さ方向に少なくとも8個の少なくとも計48個の導電性粒子4が相互に接触した塊部3を有していた。さらに、その塊部3は、全て、凸状パターン層2の頂部方向に位置しており、その塊部3を含んだ導電性粒子4の密領域Qを構成していた。一方、凸状パターン層2のプライマー層側は、導電性粒子4の疎領域Rがあり、導電性粒子4が相互に接触しない態様で存在していた。一方、密な領域Qは、塊部3を含むが、塊部3を構成しない導電性粒子4も、図7(A)に示すように比較的粒子間接触した態様で存在しているのが確認された。疎領域Rは、凸状パターン層2の厚さTのプライマー層側から1/4の厚さであり、その厚さTの残りの3/4は密領域Qであった。また、密領域Qの体積のうち、塊部3は60%を占めていた。
また、凸状パターン層2の断面をオスミウム染色液で染色したとき、プライマー層と染色した凸状パターン層との界面が、図8(C)に示すようにグラデーション(濃淡階調)のようになっており、また、図8(A)に示すように細かく入り組んだ両層界面の構造も観察され、境界部分が一部なじんでいる(相溶)ことが明確に確認された。
また、凸状パターン層側の表面部分を二次イオン質量分析(SIMS分析)したところ、導電性組成物には含まれないがプライマー層には含まれる樹脂組成物成分が観測され、プライマー層の樹脂組成物成分の一部が硬化前に導電性組成物層中に侵入していることが確認された。これらの状況から考えると、流動性があるプライマー層が導電性組成物に接触した際に、その境界部分の相溶及び/又は境界の乱れが生じ、この状態でプライマー層を固化させると、境界部分から導電性組成物内部に向かう領域で、導電性組成物の増粘又はゲル化などの現象が起こり、導電性組成物を版から引き抜きやすくなっているのではないかと推測された。又は、流動性のあるプライマー層の樹脂組成物成分の一部が版内の導電性組成物と混ざり、プライマー層を固化させた際に導電性組成物の粘度を全体的に上げていることが推察された。いずれにしろ、流動性のあるプライマー層を導電性組成物に接触させて、プライマー層を固化させた後に剥離すれば、導電性組成物が版凹部内で完全に固化していないにもかかわらず、100%に近い転移が可能であった。
凸状パターン層2の電気抵抗について、室温雰囲気(気温23℃、相対湿度50%)中で表面抵抗率(Ω/□)で評価した。凸状パターン層2の頂部に測定プローブを接触させて表面抵抗率を測定したところ、3.0Ω/□であった。結果を表1に示した。なお、使用した表面抵抗計の最大目盛(測定範囲の上限)が1900000(1.9×10)Ω/□のため、測定値が同最大目盛を超える値を表示した場合は、「1.9×10)Ω/□超過」と表記した。
[実施例2]
実施例1において下記の銀ペーストを用いた他は、実施例1と同様にして、実施例2の電磁波シールド材を製造した。結果を表1に示した。粒子間の結合形態は、図7(A)の態様であった。
銀ペースト:導電性粒子として平均粒径2μmの鱗片状銀粒子を83質量部、バインダー樹脂として熱可塑性のアクリル樹脂を5質量部、溶剤としてブチルカルビトールを12質量部配合し、十分に攪拌混合した後、3本ロールで混練りして導電性組成物として作製した銀ペースト。なお、鱗片状銀粒子の平均粒径は、レーザー光回折散乱法で評価した値である。
[実施例3]
実施例1において、プライマー層上に導電性組成物層からなる凸状パターン層を形成してなる電磁波シールド材を製造した後、引き続いて、下記の高温高湿条件で電気抵抗低減化処理を行った。それ以外は実施例1と同様にして、実施例3の電磁波シールド材を製造した。結果を表1に示した。粒子間の結合形態は、図7(B)の態様であった。
高温高湿条件:得られた電磁波シールド材を、気温80℃、相対湿度90%の雰囲気中で48時間放置し、室温雰囲気(気温23℃、相対湿度50%)中に取り出した。
[実施例4]
実施例2において、プライマー層上に導電性組成物層からなる凸状パターン層を形成してなる電磁波シールド材を製造した後、引き続いて、下記の酸処理条件で電気抵抗低減化処理を行った。それ以外は実施例2と同様にして、実施例4の電磁波シールド材を製造した。結果を表1に示した。粒子間の結合形態は、図7(C)の態様であった。
酸処理条件:得られた電磁波シールド材を、希塩酸(0.12mol/L)で1分間処理し、水洗・乾燥した後に取り出した。
[実施例5]
実施例1において、凹版ロールとして、線幅(凹部幅)が19μmで線ピッチ(凹部ピッチ)が300μm、線高さ(凹部深さ)19μmの格子状のメッシュパターンとなる凹部が形成された凹版版胴を準備し、銀ペーストとして、下記の銀ペーストを用いた他は、実施例1と同様にして、実施例5の電磁波シールド材を製造した。結果を表1に示した。粒子間の結合形態は、図7(A)の態様であった。
銀ペースト:導電性粒子として平均粒径4μmの球状銀粒子を83質量部、バインダー樹脂として熱可塑性のアクリル樹脂を5質量部、溶剤としてブチルカルビトールを12質量部配合し、十分に攪拌混合した後、3本ロールで混練りして導電性組成物として作製した銀ペースト。
[実施例6]
実施例1において、凹版ロールとして、線幅(凹部幅)が6μmで線ピッチ(凹部ピッチ)が300μm、線高さ(凹部深さ)6μmの格子状のメッシュパターンとなる凹部が形成された凹版版胴を準備し、銀ペーストとして、下記の銀ペーストを用いた他は、実施例1と同様にして、実施例6の電磁波シールド材を製造した。結果を表1に示した。粒子間の結合形態は、図7(A)の態様であった。
銀ペースト:導電性粒子として平均粒径1μmの球状銀粒子を83質量部、バインダー樹脂として熱可塑性のアクリル樹脂を5質量部、溶剤としてブチルカルビトールを12質量部配合し、十分に攪拌混合した後、3本ロールで混練りして導電性組成物として作製した銀ペースト。
[実施例7]
実施例5において、電磁波シールド材を製造した後、引き続いて、下記の条件で電気抵抗低減化処理を行った。それ以外は実施例5と同様にして、実施例7の電磁波シールド材を製造した。結果を表1に示した。粒子間の結合形態は、図7(B)の態様であった。
温水処理条件:得られた電磁波シールド材を、80℃の温水に6分間の浸漬処理をし、取り出した後、乾燥した。
[実施例8]
実施例5において、電磁波シールド材を製造した後、引き続いて、下記の条件で電気抵抗低減化処理を行った。それ以外は実施例5と同様にして、実施例8の電磁波シールド材を製造した。結果を表1に示した。粒子間の結合形態は、図7(C)の態様であった。
酸処理条件:得られた電磁波シールド材を、希塩酸(0.25mol/L)で1分間処理し、水洗・乾燥した後に取り出した。
[実施例9]
実施例5において、凹版ロールとして、線幅(凹部幅)が19μmで線ピッチ(凹部ピッチ)が300μm、線高さ(凹部深さ)10μmの格子状のメッシュパターンとなる凹部が形成された凹版版胴を準備し、それ以外は実施例5と同様にして、実施例9の電磁波シールド材を製造した。結果を表1に示した。粒子間の結合形態は、図7(A)の態様であった。
[実施例10]
実施例9において、電磁波シールド材を製造した後、引き続いて、下記の条件で電気抵抗低減化処理を行った。それ以外は実施例9と同様にして、実施例10の電磁波シールド材を製造した。結果を表1に示した。粒子間の結合形態は、図7(C)の態様であった。
酸処理条件:得られた電磁波シールド材を、希硫酸(0.15mol/L)で1分間処理し、水洗・乾燥した後に取り出した。
[実施例11]
実施例10において、電磁波シールド材を製造した後、引き続いて、下記の条件で電気抵抗低減化処理を行った。それ以外は実施例10と同様にして、実施例11の電磁波シールド材を製造した。結果を表1に示した。粒子間の結合形態は、図7(B)の態様であった。
温水処理条件:得られた電磁波シールド材を、90℃の温水で10分間処理し、取り出した後、乾燥した。
[比較例1]
実施例1において下記の銀ペーストを用いた他は、実施例1と同様にして、比較例1の電磁波シールド材を製造した。結果を表1に示した。粒子間の結合形態は、図7(A)の態様であった。
銀ペースト:導電性粒子として平均粒径3μmの球状銀粒子を83質量部、バインダー樹脂として熱可塑性のアクリル樹脂を5質量部、溶剤としてブチルカルビトールを12質量部配合し、十分に攪拌混合した後、3本ロールで混練りして導電性組成物として作製した銀ペースト。
[比較例2]
実施例1において下記の銀ペーストを用いた他は、実施例1と同様にして、比較例2の電磁波シールド材を製造した。結果を表1に示した。粒子間の結合形態は、図7(A)の態様であった。
銀ペースト:導電性粒子として平均粒径5μmの球状銀粒子を83質量部、バインダー樹脂として熱可塑性のアクリル樹脂を5質量部、溶剤としてブチルカルビトールを12質量部配合し、十分に攪拌混合した後、3本ロールで混練りして導電性組成物として作製した銀ペースト。
[比較例3]
実施例1において、凹版ロールとして、線幅(凹部幅)が19μmで線ピッチ(凹部ピッチ)が300μm、線高さ(凹部深さ)19μmの格子状のメッシュパターンとなる凹部が形成された凹版版胴を準備し、銀ペーストとして、下記の銀ペーストを用いた他は、実施例1と同様にして、比較例3の電磁波シールド材を製造した。結果を表1に示した。粒子間の結合形態は、図7(A)の態様であった。
銀ペースト:導電性粒子として平均粒径4μmの球状銀粒子を83質量部、バインダー樹脂として熱可塑性のアクリル樹脂を5質量部、溶剤としてブチルカルビトールを12質量部配合し、十分に攪拌混合した後、3本ロールで混練りして導電性組成物として作製した銀ペースト。
[比較例4]
実施例9において、導電性粒子の平均粒径を3μmとした他は、実施例9と同様にして、比較例4の電磁波シールド材を製造した。結果を表1に示した。粒子間の結合形態は、図7(A)の態様であった。
[比較例5]
比較例4において、凹版ロールとして、線幅(凹部幅)が6μmで線ピッチ(凹部ピッチ)が300μm、線高さ(凹部深さ)6μmの格子状のメッシュパターンとなる凹部が形成された凹版版胴を準備した他は、比較例4と同様にして、比較例5の電磁波シールド材を製造した。結果を表1に示した。粒子間の結合形態は、図7(A)の態様であった。
[比較例6]
比較例4において、凹版ロールとして、線幅(凹部幅)が19μmで線ピッチ(凹部ピッチ)が300μm、線高さ(凹部深さ)19μmの格子状のメッシュパターンとなる凹部が形成された凹版版胴を準備した他は、比較例4と同様にして、比較例6の電磁波シールド材を製造した。結果を表1に示した。粒子間の結合形態は、図7(A)の態様であった。
Figure 2011134869
1 透明基材
2 凸状パターン層
2’ 導電性組成物(導電性組成物層)
3 塊部
4 導電性粒子
5 バインダー樹脂
6 プライマー層
7 盛り上がり部
8 金属層
9 サイドエッジ
10(10A〜10C) 電磁波シールド材
11 電磁波シールドパターン部
12 接地部
13 界面
14 混合領域
16 プライマー成分
17 凹み
18 接触部
19 接合部
31 ピックアップロール
32 凹版ロール
33 版面
34 凹部
35 ドクターブレード
36 ニップロール
37 ニップロール
38 充填容器
40 凹版
41 ピックアップロール
42 プライマー層用樹脂組成物
43 容器
44 ワイピングロール
H 凸状パターン層の高さ(厚さ)
A 導電性材料層が形成されている部分
Aの厚さ
B 導電性材料層が形成されていない部分
Bの厚さ
凸状パターン層の高さ(厚さ)
Q 密部
R 疎部
W 線幅

Claims (6)

  1. 透明基材と、該透明基材上に形成された導電性組成物からなる凸状パターン層とを有し、前記導電性組成物が前記凸状パターン層の線幅の1/4以下の長さを平均粒径とする導電性粒子とバインダー樹脂とを含み、前記凸状パターン層の少なくとも1つの横切断面において16個以上の導電性粒子が相互に接触する塊部を有する、ことを特徴とする電磁波シールド材。
  2. 前記塊部は、前記導電性粒子が少なくとも縦4個×横4個で相互に接触している、請求項1に記載の電磁波シールド材。
  3. 前記凸状パターン層中の導電性粒子の分布が、前記透明基材側で相対的に疎であり、前記透明基材から遠ざかる側に前記塊部を有して相対的に密である、請求項1又は2に記載の電磁波シールド材。
  4. 前記疎に分布した領域は、相互に接触していないで前記バインダー樹脂中に存在する導電性粒子を有する、請求項3に記載の電磁波シールド材。
  5. 前記凸状パターン層が10Ω/□以下の表面抵抗率を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁波シールド材。
  6. 前記凸状パターン層が設けられた側の前記透明基材面にプライマー層を有し、該プライマー層のうち前記凸状パターン層が形成されている部分の厚さは、前記凸状パターン層が形成されていない部分の厚さよりも厚い、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電磁波シールド材。
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