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JP2011125826A - 除湿装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】除湿ロータのヒートポンプによる加熱再生を高いCOPで実現可能な除湿装置を提供することを課題とする。
【解決手段】除湿ロータ2と、除湿ロータ2へ再生用の加熱空気を供給する空気加熱器6と、を備え、空気加熱器6は、除湿ロータ2の通気領域のうちパージ状態の領域を経た後に予熱状態の領域を経た空気をヒートポンプ11で加熱したものを、再生用の加熱空気として再生状態の領域へ供給する。
【選択図】図1

Description

本発明は、除湿装置に関する。
除湿装置には、コンプレッサ方式のものやデシカント方式のもの、また、これらを組み合わせたハイブリッド方式のものが考案されている。このうち、デシカント方式のものとしては、例えば、非特許文献1に開示されているように、室内空気を再生用空気として用いるためにCOヒートポンプの空気加熱器で加熱し、更に補助ヒータで加熱して除湿ロータの再生ゾーンに導く構成としたものがある。ヒートポンプの一般的な特性として、空気加熱器の入口空気温度が低いほど空気加熱器での放熱量が増加し、空気加熱器出入口の冷媒のエンタルピ差が大きくなってヒートポンプのCOP(Coefficient Of Performance)が向上する。非特許文献1に開示されている除湿システムは、比較的低温の室内空気を再生用空気としているため、ヒートポンプを高いCOPで運転することができる。
なお、除湿機の再生用空気の加熱源としてヒートポンプを用いたものとしては、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されているような、パージゾーンの出口空気と再生ゾーン出口空気との混合空気を空気加熱器に導入したものがある。この場合、空気加熱器への導入空気が外気や室内空気よりもはるかに高温(例えば60℃以上)なので空気加熱器での放熱が不十分となり、空気加熱器出入口の冷媒のエンタルピ差が小さくなるのでヒートポンプのCOPが低い。ヒートポンプのCOPに関しては、非特許文献2に開示されているように、COヒートポンプを用いて空気を30℃から120℃まで昇温するときの加熱COPが約3.2であるのに対し、60℃から120℃まで昇温するときの加熱COPは約2.2である。
特開2006−125670号公報 特開2007−327693号公報
平成17年度空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集、P.1233-1236 クリーンテクノロジー、Vol.19、No.2(2009)、P.20-23
供給先へ供する空気の湿度を極力低くしたい場合は、再生した領域をインサービスする前にパージすることが肝要である。また、省エネルギーの観点に鑑みれば、パージ後のオフガスに含まれる熱は有効利用されることが望ましい。しかしながら、このようなオフガスは温度が比較的高いため、再生用空気とするためにヒートポンプで加熱しようとするとヒートポンプのCOPが低下する。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、除湿ロータのヒートポンプによる加熱再生を高いCOPで実現可能な除湿装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明では、パージに使った空気を、再生前の吸着剤の予熱
に用いた後にヒートポンプで加熱して再生用の空気にすることとした。
詳細には、空気を除湿する除湿装置であって、吸着剤を担持しており、自身を通過する空気を該吸着剤で除湿する回転式の除湿ロータと、前記除湿ロータへ再生用の加熱空気を供給する空気加熱器と、を備え、前記除湿ロータは、自身が回転すると、該除湿ロータの特定の領域が、空気を除湿処理する処理状態、該除湿処理した領域を再生する前に予熱する予熱状態、予熱された領域を前記空気加熱器から供給される加熱気体で再生する再生状態、加熱再生された領域を冷やすパージ状態の順に遷移した後に再び処理状態に遷移し、前記空気加熱器は、前記除湿ロータの通気領域のうち前記パージ状態の領域を経た後に前記予熱状態の領域を経た空気をヒートポンプで加熱したものを、再生用の加熱空気として前記再生状態の領域へ供給する。
上記除湿装置においては、回転式の除湿ロータを用いることとしているため、処理状態にある領域や再生状態にある領域が同一ロータ上に同時に形成される。また、低露点の空気を供給するため、この除湿装置では除湿ロータの通気領域にパージ状態の領域を形成するようにしている。
ここで、パージ状態の領域を通過した空気をヒートポンプ以外の熱源、例えば、電気ヒータで加熱して再生空気とする場合、電気ヒータに高温の空気が流入してもこの電気ヒータの動作効率は問題とならない。しかし、ヒートポンプで加熱する場合は、流入する空気の温度が低いほどCOPの改善が図られる。ここで、ヒートポンプのCOPを改善する目的でパージ状態の領域のオフガスを放熱させることは熱エネルギーの損失となるため、この除湿装置においては、パージに使った空気を吸着剤の予熱に用いることとした。予熱状態の領域を通過する空気には、再生前の吸着剤に含まれている湿分が持ち込まれて再生空気としては不適となり得るようにも考えられるが、上記除湿装置においては敢えてこのような構成を採ることで、パージ状態の領域のオフガスに含まれる熱エネルギーを有効に利用しつつヒートポンプのCOPの改善をも実現している。なお、パージに使ったオフガスをヒートポンプで吸着剤の再生に適する温度にまで加熱すれば、相対湿度が下がって十分に乾き空気となり、再生領域にある吸着剤を湿らせるようなことは無い。
本発明は、このように、ヒートポンプのCOPが流入空気の温度に依存し且つ再生前の吸着剤を予熱した空気であっても加熱すれば再生空気として用いることができることに着目してなされたものであり、除湿ロータをヒートポンプの熱で再生させるにあたり、このヒートポンプのCOPを高めることができる。
なお、前記空気加熱器には、前記再生状態の領域を経た空気を更に含んだ空気をヒートポンプで加熱したものを、再生用の加熱空気として前記再生状態の領域へ供給してもよい。このように構成される除湿装置であれば、再生状態の領域のオフガスに含まれる熱エネルギーを有効に利用して空気加熱器の加熱量を低減できる。
また、上記除湿装置は、前記空気加熱器に流入する空気の温度を、前記再生状態の領域を経て該空気加熱器へ流入する空気の風量調整により所定の温度に制御する温度制御手段を更に備えるものであってもよい。このように構成される除湿装置であれば、空気加熱器に流入する空気の温度が予期せぬ温度となってヒートポンプのCOPを低下させてしまうことがない。なお、温度制御手段が行う風量調整は、再生状態の領域を経て空気加熱器へ流入する空気と、再生状態の領域を経ていない他から空気加熱器へ流入する空気との混合比を変えることで、風量調整を行なうものを含む概念である。
また、上記除湿装置は、前記空気加熱器へ流入する空気と前記再生状態の領域を経た空気との間で熱交換を行う熱交換手段を更に備えるものであってもよい。このように構成さ
れる除湿装置であれば、再生状態の領域のオフガスに含まれる熱エネルギーを有効に利用して空気加熱器の加熱量を低減できる。なお、この熱交換手段は、例えば、空気加熱器へ流入する空気の温度を、自身の交換熱量の調整により所定の温度に制御するようにしてもよい。このように構成すれば、空気加熱器に流入する空気の温度が予期せぬ温度となってヒートポンプのCOPを低下させてしまうことがない。ここで、前記所定の温度とは、省エネルギーや環境保全等の観点で決定される制御目標値としての温度であり、例えば、前記ヒートポンプの消費エネルギー量、前記除湿装置の消費エネルギー量、該除湿装置の運転コスト、該除湿装置の作動により排出される二酸化炭素排出量の少なくとも何れかが最小となるような温度である。
また、前記ヒートポンプは、作動冷媒が二酸化炭素であってもよい。これによれば、除湿ロータを十分に加熱できる。
また、上記除湿装置は、前記ヒートポンプの作動による前記空気加熱器への温熱の供給により生成される冷熱で、前記処理状態の領域へ流入あるいは該処理状態の領域から流出する空気を冷却する空気冷却器を更に備えるものであってもよい。このように構成される除湿装置であれば、冷熱を有効に利用することが可能である。
除湿ロータのヒートポンプによる加熱再生を高いCOPで実現可能な除湿装置を提供することが可能となる。
除湿装置の構成図である。 除湿ロータの空気通過域のセクション分割を示した図である。 ヒートポンプサイクルの冷媒の状態を模式的に表したP−h線図である。 従来例に係る除湿装置の構成図である。 従来例に係る除湿装置の構成図である。 従来例に係る除湿装置の構成図である。 従来例に係る除湿装置の構成図である。 消費電力を示した棒グラフである。 ヒートポンプの性能線図である。 プロセス値を示した図である(夏期)。 プロセス値を示した図である(冬期)。 変形例に係る除湿装置の構成図である。 空気加熱器の入口空気温度とヒートポンプの加熱COP、及び消費電力の関係を示したグラフである。 変形例に係る除湿装置の構成図である。 変形例に係る除湿装置の構成図である。 変形例に係る除湿装置の構成図である。 変形例に係る除湿装置の構成図である。 変形例に係る除湿ロータの空気通過域のセクション分割を示した図である。 変形例に係る除湿装置の構成図である。
本発明の実施形態に係る除湿装置の構成を図1に示す。この除湿装置1は、図1に示すように、除湿ロータ2、処理ファン3、第一再生ファン4、第二再生ファン5、空気加熱器6、補助ヒータ7、外気冷却器8、プレクーラ9を備えており、半導体やディスプレイなどの製造工程のように低湿度環境が要求される低露点室に適用されることで生産品質の
向上等が図られる。
除湿ロータ2は、円筒状の部材の内部に合成ゼオライトやシリカゲル等を主成分とする吸着剤を担持しており、内部を軸方向に沿って気体が流れるように構成されている。除湿ロータ2の両端面には図示しないセクション分割カセットが配置されており、このカセットによって除湿ロータ2の空気通過域が4つのセクションに区画される。除湿ロータ2は、このセクション分割カセットと相対的に回転可能なようになっており、このカセットによって除湿ロータ2に処理領域10A、予熱領域10B、再生領域10C、パージ領域10Dが形成される。図2は、除湿ロータ2の空気通過域のセクション分割を示しており、本実施形態では処理領域10A、予熱領域10B、再生領域10C、パージ領域10Dがそれぞれ255°、30°、45°、30°に分割されている。なお、これらの角度は、処理量や吸着能に応じて適宜決定する。
処理領域10Aには処理ファン3から供される空気が通過し、再生領域10Cには空気加熱器6や補助ヒータ7で加熱された被加熱空気が通過する。処理領域10Aは、通気される空気中の水分を吸着し、低露点空気を排出する。排出された低露点空気は、必要に応じて温度調節がなされた後、ダクトを通して給気として低露点室に供給される。また、再生領域10Cは、吸着した水分を離脱する。
予熱領域10Bやパージ領域10Dは、処理領域10Aと再生領域10Cとの間に位置する。パージ領域10Dは、再生直後でインサービス前の高温状態にある吸着剤を冷却するための領域であり、処理ファン3から供される空気の一部が通過する。予熱領域10Bは、アウトサービス直後で再生前の低温状態にある吸着剤を予熱するための領域であり、パージ領域10Dから出た高温のパージガスである空気が通過する。除湿ロータ2が図1の矢印が示す方向に回転することで、除湿ロータ2の定点が処理領域10A、予熱領域10B、再生領域10C、パージ領域10Dの順に繰り返し遷移する。
処理ファン3は、外気冷却器8を経て冷却された外気や室内からの還気を、除湿ロータ2に形成される処理領域10Aやパージ領域10Dへ供給する電動式の空気ファンである。処理ファン3の上流側に設けられる外気冷却器8や下流側に設けられるプレクーラ9は、除湿ロータ2で除湿させる前段階の処理として、被処理空気の温度を下げる。これに伴い外気は結露して湿分が除かれ、除湿効果も期待できる。
吸着剤の性能は、処理空気の温度に大きく左右されるため、この除湿装置1では外気冷却器8やプレクーラ9を設けて処理空気の温度を安定させることで、除湿ロータから出る空気の温度と湿度を安定的に制御している。
空気加熱器6および補助ヒータ7は、第二再生ファン5から除湿ロータ2に形成される再生領域10Cへ供給される空気を途中で加熱して高温にする。空気加熱器6および補助ヒータ7によって加熱された高温の空気が除湿ロータ2の再生領域10Cを通過することによって、当該領域の吸着剤が加熱されて高温になり、吸着剤に吸着されていた水が離脱する。この高温空気は除湿ロータ2の再生領域10Cを通過したのち第一再生ファン4によって機外へ排気される。なお、除湿装置1は、第一再生ファン5と第二再生ファン5の何れか一方を省略し、一つのファンで兼用する構成を採ることもできる。
なお、空気加熱器6は、ヒートポンプ11を構成する機器であり、このヒートポンプ11によって生成される熱で空気を加熱する。このヒートポンプ11は、空気加熱器6の他、外気冷却器8やプレクーラ9、圧縮機12、膨張弁13で構成されており、系内に満たされた冷媒としての二酸化炭素を圧縮機12が昇圧する。このヒートポンプ11は、二酸化炭素を冷媒としているために相変化が生じないため、ここでは、いわゆる“凝縮器”に
代えて“空気加熱器”と呼ぶことにする。外気冷却器8は、ヒートポンプ11の蒸発器を構成する。圧縮されて温度上昇した二酸化炭素は、空気加熱器6で空気に冷やされたのちに膨張弁13で減圧される。減圧されて温度降下した二酸化炭素は、外気冷却器8やプレクーラ9で空気に加熱された後、圧縮機12で再び昇圧される。除湿に必要な冷熱と再生に必要な温熱とがヒートポンプ11によって効率的に生成されることで、除湿装置1全体の消費エネルギー量が削減される。
このヒートポンプ11には、図示しない温度センサや制御装置が設けられており、空気加熱器6の出口温度が概ね120℃程度になるように圧縮機12の発停あるいは回転数が調整される。なお、処理ファン3の上流側にある外気と還気の合流部や、処理ファン3の下流側にある処理領域10Aとパージ領域10Dとに分岐する分岐部、第二再生ファン5の上流側にある外気と予熱領域10Bを通過した空気とが合流する合流部にはダンパがそれぞれ設けられており、各ダンパが空気の流量を調整する。なお、ダンパやバルブは分岐後や合流前の各流路に1つずつ設けてもよいが、合流地点や分岐地点に三方ダンパや三方弁を設けても良い。また、空気加熱器6の入口と膨張弁13の出口にはバルブがそれぞれ介装されており、冷媒の流量を調整している。
補助ヒータ7は、ヒートポンプ11の加熱能力を補う目的で設置されており、電気ヒータあるいは蒸気コイル等の加熱機器で構成される。
ここで、ヒートポンプのCOPを高めるという観点に鑑みれば、本発明は、ヒートポンプで生成した冷熱を屋外に放熱するようなシステム構成であってもその目的を十分に達成することができるが、本実施形態に係るヒートポンプ11では、冷熱の有効利用の観点から、処理ファン3の前後に配された外気冷却器8やプレクーラ9で導入外気や還気にヒートポンプ11の冷熱を供給する構成としている。なお、ヒートポンプ11の冷熱は、年間を通して冷却負荷のある還気や外気と還気の混合空気の冷却に利用することが適当である。もっとも、本発明は、このような実施形態に限定されるものでなく、例えば冷熱を空調に利用しないで屋外に放熱するようなシステム構成としてもよいことはいうまでもない。
このように構成される除湿装置1では、各機器が動作することで以下のような処理が実現される。図1に示すように、処理ファン3に吸気される空気は、除湿処理可能な流量を100とすると、還気側が80、外気側が30の割合で構成される。還気が23℃、外気が15℃とすると、外気は外気冷却器8によって12℃程度にまで冷却されて還気と混合される。この混合気は、プレクーラ9によって12℃程度にまで冷却された後に、除湿ロータ2に形成される処理領域10Aへ流量が100、パージ領域10Dへ流量が10の割合で流れる。処理領域10Aへ流れた空気は、除湿ロータ2によって除湿されたのちに目的の部屋へ供給される。なお、処理領域10Aを通過する空気は、吸着作用に伴って生ずる吸着剤の発熱や再生領域10C等の高温領域からの入熱によって少々加熱され、約20℃程度の温度になって目的の部屋へ供給される。
パージ領域10Dを通過した空気は、パージ領域10Dに残留していた再生時の140℃程度の熱によって温度上昇し、約80℃程度にまで加熱される。この空気は、そのまま予熱領域10Bを通過し、予熱領域10Bの吸着剤を加熱しながら約30℃程度にまで降温したのち、外気と合流して第二再生ファン5へ吸引される。なお、第二再生ファン5へ吸引される混合気は、予熱領域10B側が10、外気側が5の割合で構成されており、約25℃程度になって空気加熱器6へ送られる。また、予熱領域10Bを通過した空気の絶対湿度は、5〜10g/kg(DA)程度(概ね夏期の外気の絶対湿度以下)であり、比較的乾燥している。
第二再生ファン5へ吸引された空気は、空気加熱器6で120℃程度にまで昇温され、
更に補助ヒータ7で約140℃程度にまで昇温された後に、再生用の加熱空気として除湿ロータ2の再生領域10Cへ供給される。再生領域10Cを通過する空気は当該領域の吸着剤を加熱して吸着されている多量の吸着水分を放出させながら約70℃程度にまで降温し、第一再生ファン4に吸引されて機外へ排気される。
予熱領域を通さない場合は約80℃のパージ領域のオフガスを更に加熱することとなるが、上記のように構成される除湿装置1であれば、空気加熱器6に流入する空気が約25℃程度にまで低下している。このため、パージ領域10Dを通過した空気を、予熱領域10Bを通さないでそのまま空気加熱器6で加熱する場合に比べて、ヒートポンプ11の加熱COPの向上を図ることができる。
ヒートポンプ11のCOPに関し、以下に詳述する。図3は、ヒートポンプサイクルの冷媒の状態を模式的に表したP−h線図であり、予熱領域を設けないでパージ領域のオフガスをそのままヒートポンプで加熱した場合(以下、パターン1という)の状態図を(a)に、予熱領域を設けないでパージ領域のオフガスをそのままヒートポンプで加熱した場合において、空気加熱器を出た冷媒を外気放熱器で更に冷却させてから空気冷却器へ流した場合(以下、パターン2という)の状態図を(b)に、そして本実施形態の場合(以下、パターン3という)の状態図を(c)に示す。
図3の各P−h線図において、符号Aで示される部分が冷却器を出て圧縮機に吸入される冷媒の状態を示し、符号Bで示される部分が圧縮機を出て空気加熱器に入る冷媒の状態を示し、符号Cが空気加熱器で冷却された冷媒の状態を示し、符号Dが膨張弁を通過して空気加熱器に入る前の冷媒の状態を示す。また、図3の各P−h線図において、符号B−Cで示される部分の長さが空気加熱器の出入口の冷媒エンタルピ差であり、符号D−Aで示される部分の長さが冷却器出入口の冷媒エンタルピ差である。
周知のように、加熱の際のCOPおよび冷却の際のCOPは以下の式で表される。
Figure 2011125826
ここで、パターン1の場合、空気加熱器の入口空気温度が高いために空気加熱器出入口、空気冷却器出入口ともに冷媒エンタルピ差が小さく、加熱COP、冷却COPともにパターン3よりも小さいことが判る。また、パターン2の場合、外気放熱器を設けていることでエンタルピ差(D−A)が大きくなって冷却COPが向上するものの、外気放熱器で発生した温熱(C−C’のエンタルピ差分)は外気に捨ててしまうので、除湿ロータの再生に有効な空気加熱器出入口の冷媒のエンタルピ差(B−C)はパターン1と同等であり、有効な加熱量に着目したときの加熱COPは向上しない。
一方、本実施形態であるパターン3では、予熱ゾーンを設けた効果として空気加熱器の入口空気温度が低くなっているので、空気加熱器の出入口の冷媒エンタルピ差(B−C)、冷却器出入口の冷媒エンタルピ差(D−A)ともに、パターン1やパターン2よりも向上している。その結果、加熱COPは3つのシステムの中で最も大きくなり、冷却COPはパターン2と同等になる。したがって、本発明の実施形態である上述の除湿装置1は、
これら3つのシステムの中で最も効率良くヒートポンプを運転することのできるシステムだといえる。
なお、上述した実施形態に係る除湿装置1では、ヒートポンプ11の冷媒として地球温暖化係数が極めて小さい二酸化炭素を適用しているが、これは空気加熱器6で100℃以上の高温空気を供給しているからであり、このような高温の空気が供給できるものであればその他の如何なる冷媒を用いてもよい。
本実施形態に係る除湿装置1の省エネルギー効果を確かめるため、比較例として図4,6に示すような従来からある構成の除湿装置(以下、それぞれ比較例1,2という)、図4,6の除湿装置にCOヒートポンプを組込んだ構成とした、図5,7に示すような従来からある構成の除湿装置(以下、それぞれ比較例3,4という)を挙げる。本実施形態に係る除湿装置1(図1)と比較例1〜4とについて、消費電力を示した棒グラフを図8に示す。図8(a)が夏期(外気温度30℃、外気絶対湿度16g/kg(DA))の消費電力を示し、図8(b)が冬期(外気温度5℃、外気絶対湿度3.2g/kg(DA))の消費電力を示す。図8のグラフにおいて、消費電力は、夏期条件の比較例1との比を百分率で表している。図8に示す各グラフより、夏期、冬期ともに、本実施形態に係る除湿装置1の消費電力(ヒートポンプの消費電力+電気ヒータの消費電力)が最も少ないことがわかる。なお、図8のグラフで示すヒートポンプの加熱COPは、図9Aのグラフが示すヒートポンプの性能線図に基づいて設定した。なお、図8(a)に示す消費電力となるときの実施例のプロセス値を図9Bに、図8(b)に示す消費電力となるときの実施例のプロセス値を図9Cに示す。なお、図9Bや図9Cに示すプロセス値について補足する。図9Bや図9Cの各セクションに記載した面風速(m/s)は、20℃の標準空気換算での通気面風速を示す。また、ヒートポンプの蒸発温度は20℃で一定と仮定している。また、外気冷却器8やプレクーラ9(PC−1・2)の冷熱は、ヒートポンプの蒸発器からではなく、別途設けたチラーから供給されている状況を想定している。
上記除湿装置1の省エネルギー効果は、下記に示す効果が組み合わさって生み出されたものである。
例えば、第1の効果としてヒートポンプのCOPの向上効果が挙げられる。すなわち、上記除湿装置1では、高温のパージ領域10Dを通過した空気を予熱領域10Bで冷やし、比較的低温になった空気を空気加熱器6に導入しているため、比較例2のように高温の空気を空気加熱器に導入する構成のシステムと比較して、高いCOPでヒートポンプを運転することができる。
また、第2の効果として再生風量の低減効果が挙げられる。すなわち、上記除湿装置1では、予熱領域10Bにおいて再生前のロータの予熱が行われるため、再生領域10Cでの加熱再生に要する熱量が従来システムよりも減少し、従来システムよりも少ない再生風量(再生領域の通過風量)で再生を行うことができる。今回の比較検討では、比較対象の従来システムでは処理風量の約20%の再生風量が必要であったのに対し、上記実施形態に係る除湿装置1では処理風量の15%の再生風量で従来システムと同等の充分な加熱再生を行うことができた。また、再生風量を低減させることにより、比較例3や比較例4よりも再生側への外気導入量を減少させることができ、特に冬期の加熱負荷を削減することができる。
また、第3の効果として補助ヒータの負荷削減効果が挙げられる。すなわち、比較例4では再生用空気の一部のみをヒートポンプで加熱しているが、上記除湿装置1では再生用空気の全量をヒートポンプで加熱しているので、全加熱負荷の大部分をCOPの高いヒートポンプが負担しており、補助ヒータの負荷を削減できる。比較例4と本実施形態に係る
除湿装置1について、全加熱負荷Qに対するヒートポンプの加熱負荷QHPの占める割合を算出して比較すると、比較例4ではQに対するQHPの割合が夏期で55%、冬期で60%であるのに対し、上記除湿装置1では夏期、冬期ともにQに対するQHPの割合が80%以上となった。
更に、図8(a)、(b)に直接は表れないものの無視できない以下のような重要な効果がある。一つは、ヒートポンプの発生冷熱量の増大効果である。すなわち、上記除湿装置1では、比較例2よりも高いCOPでヒートポンプを運転できるので、ヒートポンプの容量あたりの冷熱発生量が増大する。また、上記除湿装置1では、全加熱負荷のうちの相対的に大きな割合をヒートポンプに負担させることができるので、比較例4よりもヒートポンプの蒸発器における冷熱発生量が増大する。
もう一つの効果としては、ヒートポンプの負荷率の安定化効果がある。すなわち、上記除湿装置1では、夏期よりも冬期のほうが予熱領域10Bから出る空気の温度が高くなる。予熱領域10Bでは、水分の脱着に伴う空気冷却効果が生じるが、冬期には、夏期よりも吸着水分量が少ない状態で処理領域10Aから予熱領域10Bへロータが遷移するため、予熱領域10Bでの脱着による冷却効果が小さくなり、結果として予熱領域10Bの出口空気温度が上昇するためである。今回の運転条件では、夏期の予熱領域10Bの出口空気温度が31.2℃であるのに対し、冬期の予熱ゾーン出口空気温度は34.4℃であった。従って、予熱領域の出口空気を外気と混合させてヒートポンプの空気加熱器に導入する上記除湿装置1のような構成とすれば、空気加熱器の入口空気温度の変動幅は外気温度の変動幅よりも小さくなり、外気を直接ヒートポンプの空気加熱器で加熱する構成のシステムよりも年間を通したヒートポンプの加熱負荷の安定化を図ることができる。また、これに伴い、蒸発器での発生冷熱量も年間を通して安定する。
以下、上記実施形態に係る除湿装置1の変形例について説明する。
図10は、変形例に係る除湿装置1’の構成図である。上記除湿装置1は、例えば図10に示す顕熱交換ロータ14(本発明でいう熱交換手段の一態様である)のような顕熱交換手段を取り付けることで、更なる省エネルギーを図ることが可能な場合がある。この顕熱交換ロータ14は、第二再生ファン5に吸込まれる外気と第一再生ファン4から機外へ排気される空気との間で熱交換を行う。顕熱交換ロータ14は、例えば、第二再生ファン5を出て空気加熱器6へ流入する空気の温度を温度センサ15で測り、これが所定の温度になるように温度調節器16(本発明でいう温度制御手段の一態様である)が顕熱交換ロータ14の回転数を調整するインバータ17を制御する。このように構成される除湿装置1’であれば、顕熱交換ロータ14において適正な量の熱交換が行われる。
ここで、上記所定の温度は、以下のようにして決定される。図11は、空気加熱器6の入口空気温度とヒートポンプ11の加熱COP、及び消費電力の関係を示したグラフである。ヒートポンプ11には、図11に示すように、消費電力を最小にする最適な空気加熱器6の入口空気温度条件が存在する。空気加熱器6の入口空気温度が常に最適な温度条件になるように、温度調節器16が顕熱交換ロータ14の回転数を調整して交換熱量を自動制御することで、省エネルギー化が図られる。この制御は、予熱領域10Bの出口空気や外気の温度が最適温度よりも低く、再生領域10Cの出口空気温度が最適温度よりも高い場合に対して特に効果的である。なお,空気加熱器6の入口空気の温度条件は、除湿装置1’全体の使用エネルギー、ランニングコスト、CO排出量などを最小化するように設定してもよい。また、この顕熱交換は、例えば、再生領域10Cを出た空気と予熱領域10Bを出て第二再生ファン5へ流れる空気との間で行ってもよいし、或いは第一再生ファン4の排気と空気加熱器6の入口空気であって外気と予熱領域10Bのオフガスとが合流した空気との間で行ってもよい。
図12A〜Dは、上記除湿装置1の変形例を示した図である。図12A〜Dにおいては、送風機を図示せずに省略しているが、必要に応じて適切な位置に配置する。ここで、図12A〜Dに示す“加熱装置”としては、ヒートポンプ11の空気加熱器6のみとしてもよいし、空気加熱器6と補助ヒータ7とを組み合わせたものであってもよい。また、“被処理空気”とは、外気や室内空気などの除湿対象の空気のことである。被処理空気は、冷水コイル等によって冷却/除湿処理がなされていてもよい。また、例えば2段ロータ方式を採用したような場合は、1段目の除湿ロータ2の処理領域10Aの出口空気を2段目の除湿ロータ2の処理領域10Aを通過する被処理空気として用いてもよい。また、“OA”は、除湿装置の再生用空気として除湿装置外部から導入される空気であり、外気や室内空気を用いられる。“OA”は、冷水コイル等によって冷却/除湿処理がなされていてもよい。また、例えば2段ロータ方式を採用したような場合は、2段目の除湿ロータ2の処理領域10Aの排気を1段目の除湿ロータ2の再生用空気として用いてもよい。
処理領域10Aにおける除湿ロータ2内の気流方向を「順方向」としたとき、図12A〜Dにおいて、(a)で示す構成図は、被処理空気の一部をパージ領域10Dに導入し、パージ領域10Dの気流方向を順方向、予熱領域10Bの気流方向を逆方向とした場合の構成図である。また、(b)で示す構成図は、処理領域10Aの出口空気の一部をパージ領域10Dに導入し、パージ領域10Dの気流方向を逆方向、予熱領域10Bの気流方向を逆方向とした場合の構成図である。また、(c)で示す構成図は、処理領域10Aの出口空気の一部をパージ領域10Dに導入し、パージ領域10Dの気流方向を逆方向、予熱領域10Bの気流方向を順方向とした場合の構成図である。
また、図12Aの(a)〜(c)に示す構成図は、OAおよび再生領域10Cの出口空気の少なくとも何れかを、予熱領域10Bの出口空気に混合させた後に加熱装置に導入した場合のシステムである。再生領域10Cの出口空気は、通常は外気や予熱領域10Bの出口空気よりも高温(たとえば60℃以上)だが、少量を混合させることによって、ヒートポンプの消費電力を小さくできる場合がある。このような場合としては、例えば、加熱装置の入口空気温度の最適値(図10参照)が外気や予熱領域10Bの出口空気よりも高温であるケースなどが挙げられる。
図12Aの(a)〜(c)に示すシステム構成においては、加熱装置の入口空気温度が常に最適温度(図10参照)になるようにOAと再生領域10Cの出口空気の混合比をモータダンパ等によって制御することで、既述した除湿装置1’のような顕熱交換を行わずとも、それと同等の省エネルギー効果を得ることができる。この制御は、予熱領域10Bの出口空気やOAの温度が最適温度よりも低く、再生領域10Cの出口空気温度が最適温度よりも高い場合に対して特に効果的である。なお、加熱装置の入口空気温度条件は、除湿装置全体の使用エネルギー、ランニングコスト、CO排出量などを最小化するように設定してもよい。
また、図12Bの(a)〜(c)に示す構成図は、予熱領域10Bの出口空気のみを加熱装置に導入する構成のシステムである。パージ風量と再生風量を等しくできる場合に本システム構成を採用することができる。
また、図12Cの(a)〜(c)に示す構成図は、OAのみを加熱装置に導入し、予熱領域10Bの出口空気を排気する構成のシステムである。例えば、既述した除湿装置1’のような顕熱交換ロータ14でOAを昇温させて加熱装置の入口空気温度を最適化する場合には、予熱領域10Bの出口空気を加熱装置に導入しなくても十分な省エネルギー効果が得られる。なお、予熱領域10Bの出口空気は、排気せずに処理領域10Aへの空気導入経路へ循環させ、被処理空気の一部として用いてもよい。
また、図12Dの(a)〜(c)に示す構成図は、OAおよび再生領域10Cの出口空気の少なくとも何れかを、パージ領域10Dの出口空気に混合させた後に予熱領域10Bに導入する構成のシステムである。
なお、上記実施形態や変形例は、2段以上の多段ロータ方式の除湿装置としてもよい。また、上記実施形態や変形例は、例えば、図13に示す除湿ロータ2’のような、2つの再生領域10C−1,2に区分された2段階の再生方式を採用してもよい。このような除湿ロータ2’を適用した除湿装置の構成図を図14に示す。図14に示す除湿装置1”が既述した除湿装置1と相違する点は、パージ領域10Dを出た空気が再生ヒータ18で加熱された後に再生領域10C−2を通過してから予熱領域10Bに流入する。再生ヒータ18は、補助ヒータ7と同様、電気ヒータや蒸気コイルで構成される。補助ヒータ7を出た空気は、再生領域10C−1を通過した後、第一再生ファン4によって機外へ排気される。このように構成される除湿装置1”であっても、ヒートポンプのCOPを上げることができる。なお、上記実施形態や変形例は、このような2段階の再生方式のみならず、3段以上であってもよい。
1,1’,1”・・除湿装置
2,2’・・・除湿ロータ
3・・・処理ファン
4・・・第一再生ファン
5・・・第二再生ファン
6・・・空気加熱器
7・・・補助ヒータ
8・・・外気冷却器
9・・・プレクーラ
10A・・処理領域
10B・・予熱領域
10C,10C−1,10C−2・・再生領域
10D・・パージ領域
11・・ヒートポンプ
12・・圧縮機
13・・膨張弁
14・・顕熱交換ロータ
15・・温度センサ
16・・温度調節器
17・・インバータ
18・・再生ヒータ

Claims (7)

  1. 空気を除湿する除湿装置であって、
    吸着剤を担持しており、自身を通過する空気を該吸着剤で除湿する回転式の除湿ロータと、
    前記除湿ロータへ再生用の加熱空気を供給する空気加熱器と、を備え、
    前記除湿ロータは、自身が回転すると、該除湿ロータの特定の領域が、空気を除湿処理する処理状態、該除湿処理した領域を再生する前に予熱する予熱状態、予熱された領域を前記空気加熱器から供給される加熱空気で再生する再生状態、加熱再生された領域を冷やすパージ状態の順に遷移した後に再び処理状態に遷移し、
    前記空気加熱器は、前記除湿ロータの通気領域のうち前記パージ状態の領域を経た後に前記予熱状態の領域を経た空気をヒートポンプで加熱したものを、再生用の加熱空気として前記再生状態の領域へ供給する、
    除湿装置。
  2. 前記空気加熱器には、前記再生状態の領域を経た空気を更に含んだ空気をヒートポンプで加熱したものを、再生用の加熱空気として前記再生状態の領域へ供給する、
    請求項1に記載の除湿装置。
  3. 前記空気加熱器に流入する空気の温度を、前記再生状態の領域を経て該空気加熱器へ流入する空気の風量調整により所定の温度に制御する温度制御手段を更に備える、
    請求項2に記載の除湿装置。
  4. 前記空気加熱器へ流入する空気と前記再生状態の領域を経た空気との間で熱交換を行う熱交換手段を更に備える、
    請求項1から3の何れか一項に記載の除湿装置。
  5. 前記熱交換手段は、前記空気加熱器へ流入する空気の温度を、自身の交換熱量の調整により所定の温度に制御する、
    請求項4に記載の除湿装置。
  6. 前記ヒートポンプは、作動冷媒が二酸化炭素である、
    請求項1から5の何れか一項に記載の除湿装置。
  7. 前記ヒートポンプの作動による前記空気加熱器への温熱の供給により生成される冷熱で、前記処理状態の領域へ流入あるいは該処理状態の領域から流出する空気を冷却する空気冷却器を更に備える、
    請求項1から6の何れか一項に記載の除湿装置。
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