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JP2011122679A - 電磁クラッチ - Google Patents

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JP2011122679A JP2009281397A JP2009281397A JP2011122679A JP 2011122679 A JP2011122679 A JP 2011122679A JP 2009281397 A JP2009281397 A JP 2009281397A JP 2009281397 A JP2009281397 A JP 2009281397A JP 2011122679 A JP2011122679 A JP 2011122679A
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Kenji Korenaga
憲司 是永
Takashi Hosokawa
隆司 細川
Minoru Onitake
稔 鬼武
Hiroshi Takuno
博 宅野
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Abstract

【課題】アーマチュアの摩擦面に作用するカム力を均等化し、もしくはカム力をアーマチュアの摩擦面の内周側の端部よりも外周側に主として作用させることが可能な電磁クラッチを提供する。
【解決手段】電磁クラッチ1は、磁力を発生させる電磁コイル74と、電磁コイル74の磁力によって軸方向移動するアーマチュア60と、アーマチュア60の軸方向移動によりアーマチュア60と当接するリヤハウジング22と、アーマチュア60との相対回転が規制された第1カム部材61と、第1カム部材61との相対回転により、第1カム部材61に、アーマチュア60をリヤハウジング22に向かって押圧するカム力を発生させる第2カム部材62と、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、回転部材間のトルク伝達の制御又は回転部材への制動力の作用を制御する電磁クラッチに関する。
従来、カム溝が形成されたアーマチュアを電磁コイルの磁力によって吸引し、その吸引により発生する他部材との接触部における摩擦によってカム機構を動作させ、カム機構のカム力によってカム部材をより強く他部材に押し付けることによる摩擦力で回転部材間のトルク伝達を制御する電磁クラッチが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された電磁クラッチは、前輪をエンジンで駆動し、後輪を電動モータで駆動するように構成された4輪駆動車両の後輪側の駆動系に適用され、電動モータの停止時に後輪のディファレンシャル装置と電動モータとの連結を遮断して走行抵抗を低減すべく、出力軸と減速ギヤ列を構成するギヤとの間に配置されている。
この電磁クラッチは、電磁コイルと、電磁コイルの磁力によって電磁コイル側に引き寄せられ、出力軸と一体回転する円盤状の部材に摩擦接触するアーマチュアと、アーマチュアとギヤとの間に介在するカムフォロアとを備えている。アーマチュアとギヤとの対向面のそれぞれにはカム溝が形成され、アーマチュア及びギヤはカムフォロアと共にカム機構を構成している。
このアーマチュアは中心部に出力時を挿通させる挿通孔が形成された円板状であり、カム溝が形成された面とは反対側の面に、上記円盤状の部材に摩擦係合する摩擦面が形成されている。この摩擦面は、カム溝よりも外周側に形成されている。
車両の走行時に電磁コイルに通電されると、アーマチュアは上記円盤状の部材に引き寄せられて摩擦接触し、その摩擦力によってギヤと相対回転する。この相対回転によってカムフォロアがカム溝を転動し、カム機構のカム力によってアーマチュアがより強く円盤状の部材に押し付けられて摩擦係合し、電動モータのトルクがディファレンシャル側に伝達されるようになる。
一方、電磁コイルが非通電の状態で電動モータが停止すると、リターンスプリングの力によってカム機構が中立状態(非作動状態)となり、カム部材の摩擦係合が解除される。これにより電動モータとディファレンシャル装置との連結が遮断される。
特開2004−17807号公報
上記のように構成された電磁クラッチのアーマチュアは、摩擦面よりも内周側に形成されたカム溝で軸方向のカム力を受け、摩擦面が摩擦相手部材に摩擦係合する。そのため、カム力によって、摩擦面の内周側を支点として外周側が摩擦相手部材から離間するようにアーマチュアが弾性変形する。このため、アーマチュアを摩擦係合させる押圧力は、主として摩擦面の内周側の端部に作用し、極端な場合には外周側が摩擦相手部材から浮いてしまう。ところで、周知のように、トルクTは物体に加わる力Fと回転の軸からみた力の加わる点までの距離rとの積(T=F×r)で示されるので、アーマチュアを摩擦係合させるカム力が作用する部位は、内周側よりも外周側である方が効果的である。
しかし、上記のように構成された電磁クラッチのアーマチュアでは、カム力が主として摩擦面の内周側の端部に作用するので、トルク伝達時に摩擦面に滑りを発生させないためにはアーマチュアの径を大きくしたり、アーマチュアの周方向に対するカム面の角度を浅くするなどの必要がある。アーマチュアの径を大きくすると、装置の小型軽量化に限界が生じ、カム面の角度を浅くすると、カム機構の中立位置からカム部材にカム力が発生するまでの相対回転角度が大きくなり、レスポンスが低下する。
そこで、本発明は、アーマチュアの摩擦面に作用するカム力を均等化し、もしくはカム力をアーマチュアの摩擦面の内周側の端部よりも外周側に主として作用させることが可能な電磁クラッチを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の電磁クラッチは、磁力を発生させる電磁コイルと、前記磁力によって軸方向移動するアーマチュアと、前記アーマチュアの軸方向移動により前記アーマチュアと当接する摩擦部材と、前記アーマチュアとの相対回転が規制された第1カム部材と、前記第1カム部材との相対回転により、前記第1カム部材に、前記アーマチュアを前記摩擦部材に向かって押圧するカム力を発生させる第2カム部材と、を有して構成される。
この構成によれば、アーマチュアが、アーマチュアとは別体の第1カム部材を介してカム力を受ける。
また、前記アーマチュアは中心部に貫通孔が形成された環状であり、前記第1カム部材は、前記アーマチュアの内周側端部よりも外周側で前記アーマチュアを押圧するとよい。
この構成によれば、アーマチュアの内周側端部に第1カム部材による押圧力が集中しない。
また、前記摩擦部材は、前記アーマチュア側に開口した環状凹所の内周側及び外周側に形成された摩擦面で前記アーマチュアの一方の側面と摩擦係合し、前記環状凹所内に前記電磁コイルを収容するヨークであるとよい。
この構成によれば、ヨークの内周側及び外周側の摩擦面に当接することでアーマチュアに摩擦力が発生する。
また、前記第1カム部材は、前記ヨークの前記環状凹所の内周側と外周側の摩擦面の間の径方向の領域に前記アーマチュアの他方の側面を押圧する最大荷重を発生させるように構成するとよい。
この構成によれば、第1カム部材の荷重が環状凹所の内周側と外周側の摩擦面に分散される。
本発明によれば、アーマチュアの摩擦面に作用するカム力を均等化し、もしくはカム力をアーマチュアの摩擦面の内周側の端部よりも外周側に主として作用させることができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電磁クラッチが適用された4輪駆動車の駆動力伝達系の構成を示す概略図。 図2は、本発明の第1の実施の形態に係る駆動力伝達装置の構成を示す断面図。 図3は、本発明の第1の実施の形態に係るカム機構の作動状態及び非作動状態を示す説明図。 図4は、比較例としてのアーマチュアカムの作動状態及び非作動状態を示す説明図。 図5は、本発明の第2の実施の形態に係る電磁クラッチの構成を示す概略図。 図6は、本発明の第2の実施の形態に係る電磁クラッチのアーマチュアを示す説明図。 図7は、本発明の第3の実施の形態に係る電磁クラッチの構成を示す概略図。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電磁クラッチが適用された4輪駆動車の駆動力伝達系の概略構成を示す。図1に示すように、4輪駆動車101は、駆動源としてのエンジン102,エンジン102の出力を一対のフロントアクスルシャフト104及びプロペラシャフト106に分配するトランスアクスル103,一対のフロントアクスルシャフト104のそれぞれに連結された一対の前輪105,プロペラシャフト106のトルクをドライブピニオンシャフト108に伝達する駆動力伝達装置1,ドライブピニオンシャフト108に伝達されたトルクを一対のリヤアクスルシャフト110に分配するリヤディファレンシャル109,及び一対のリヤアクスルシャフト110のそれぞれに連結された一対の後輪111を備えている。
駆動力伝達装置1は、4輪駆動車101の車体(図示せず)に固定されたディファレンシャルキャリア107を介してその内部に支持され、プロペラシャフト106とドライブピニオンシャフト108とのトルク伝達を制御可能に構成されている。駆動力伝達装置1がプロペラシャフト106とドライブピニオンシャフト108とをトルク伝達可能に連結すると4輪駆動車101が4輪駆動状態となり、この連結を解除すると4輪駆動車101が2輪駆動状態となる。
また、4輪駆動車101には、駆動力伝達装置1を制御するコントローラ112が搭載されている。コントローラ112は、一対の前輪104及び一対の後輪105の回転速度やアクセル開度等に基づいて駆動力伝達装置1に電流を供給し、駆動力伝達装置1のトルク伝達を制御する。
(駆動力伝達装置1の全体構成)
図2は駆動力伝達装置1の構成を示す断面図である。この駆動力伝達装置1は、ディファレンシャルキャリア107(図1に示す)に対して回転可能なハウジング2と、このハウジング2に対して同軸状で相対回転可能なインナシャフト3と、ハウジング2とインナシャフト3との間に配置されたメインクラッチ4と、ディファレンシャルキャリア107に対して回転不能に保持された電磁コイル5と、電磁コイル5の通電によって作動し、メインクラッチ4を押圧する押圧力を発生するカム機構6とから大略構成されている。電磁コイル5,カム機構6,及び後述するリヤハウジング22は、電磁クラッチ10を構成する。
(ハウジング2の構成)
ハウジング2は、フロントハウジング21、及びフロントハウジング21と一体回転するように結合されたリヤハウジング22からなり、ディファレンシャルキャリア107の内部に軸受(図示せず)を介して支持されている。
フロントハウジング21は、例えば非磁性体材料であるアルミニウム合金からなり、リヤハウジング22側に開口する収容空間21a、及びこの収容空間21aの内面に形成されたストレートスプライン嵌合部21bを有し、プロペラシャフト106(図1に示す)と一体回転するように連結されている。収容空間21aには潤滑油が約80%の充填率で充填されている。
リヤハウジング22は、フロントハウジング21の開口内周面に螺着された炭素鋼(例えばS35C、S10C)等の磁性材料からなる外側部材221と、外側部材221の内側に溶接等によって一体に結合されたステンレス等の非磁性材料からなる中間部材222と、中間部材222の内側に溶接等によって一体に結合された炭素鋼等の磁性材料からなる内側部材223とからなる。
リヤハウジング22には、フロントハウジング21の収容空間21aの開口方向と同一の方向に開口する円環状の収容空間22aが形成されている。また、リヤハウジング22の収容空間22aとは反対側の側面には、後述するアーマチュア60と摩擦係合する摩擦面22bが形成されている。
(インナシャフト3の構成)
インナシャフト3は、フロントハウジング21との間に介在するボール軸受210、及びリヤハウジング22との間に介在するニードル軸受220によって、ハウジング2の内側に支持されている。
インナシャフト3は、リヤハウジング22側の端面3aから軸方向に延びる第1の中空部3bが形成され、第1の中空部3bの内面には、ストレートスプライン嵌合部3cが設けられている。第1の中空部3bには、ドライブピニオンシャフト108(図1に示す)の先端部が挿入され、ドライブピニオンシャフト108の先端部に形成されたストレートスプライン嵌合部(図示せず)が第1の中空部3bのストレートスプライン嵌合部3cに嵌合する。
また、インナシャフト3には、フロントハウジング21側の端面3dから軸方向に延びる第2の中空部3eが形成され、この第2の中空部3eには潤滑油が収容される。第1の中空部3bと第2の中空部3eとは壁部3fによって分離されている。
また、インナシャフト3の外面には、フロントハウジング21のストレートスプライン嵌合部21bと対向する部位に、ストレートスプライン嵌合部3gが形成されている。
(メインクラッチ4の構成)
メインクラッチ4は、複数のアウタクラッチプレート41、及びアウタクラッチプレート41と交互に配置された複数のインナクラッチプレート42を有し、潤滑油が充填された収容空間21a内で両クラッチプレートが摺動する湿式の多板クラッチとして構成されている。
アウタクラッチプレート41は、その外周部にスプライン嵌合部41aを有し、スプライン嵌合部41aがフロントハウジング21のストレートスプライン嵌合部21bに嵌合している。これにより、アウタクラッチプレート41は、ハウジング2に対して軸方向移動可能で、ハウジング2と一体回転するように連結されている。
インナクラッチプレート42は、その内周部にスプライン嵌合部42aを有し、スプライン嵌合部42aがインナシャフト3のストレートスプライン嵌合部3gに嵌合している。これにより、インナクラッチプレート42は、インナシャフト3に対して軸方向移動可能で、インナシャフト3と一体回転するように連結されている。また、インナクラッチプレート42には、潤滑油を流通させるための孔42bが周方向の複数の箇所に形成されている。
(電磁コイル5の構成)
電磁コイル5は、ディファレンシャルキャリア107(図1に示す)に固定された炭素鋼等の磁性材料からなるヨーク51に保持されて、リヤハウジング22の収容空間22a内に配置されている。ヨーク51は、リヤハウジング22の外側部材221の内周面との間にエアギャップ51aを、内側部材223との間にエアギャップ51bをそれぞれ介在させて、内側部材223との間に設けられたシール軸受52を介してリヤハウジング22を支持している。
ヨーク51には、収容空間22aの軸方向の底部に向かって開口した環状の収容空間51cが形成され、この収容空間51cに電磁コイル5が保持されている。電磁コイル5の巻線には、ヨーク51に形成された孔51dに挿通された電線5aから供給される電流が通電される。
(カム機構6の構成)
カム機構6は、メインクラッチ4とリヤハウジング22との間に配置され、電磁コイル5への通電により生じる磁力によってリヤハウジング22側に吸引されるアーマチュア60と、アーマチュア60との相対回転が規制された第1カム部材61と、第1カム部材61との相対回転によりカム力を発生させる第2カム部材62と、第1カム部材61及び第2カム部材62の間に介在する球状のカムフォロア63とを有して構成されている。
第1カム部材61はカムフォロア63よりもリヤハウジング22の側に配置され、アーマチュア60は第1カム部材61とリヤハウジング22との間に配置されている。また、第2カム部材62はカムフォロア63よりもメインクラッチ4の側に配置されている。アーマチュア60,第1カム部材61,及び第2カム部材62は、インナシャフト3の回転軸Oと同軸上に配置されている。
(アーマチュア60の構成)
アーマチュア60は、炭素鋼(例えばS35C、S10C)等の磁性材料からなる板状の部材であり、中心部に貫通孔601が形成された環状に成形されている。貫通孔601の内周には、軸方向に延びるスプライン嵌合部602が設けられている。アーマチュア60のリヤハウジング22との対向面には、摩擦面22bと当接する環状の摩擦面60aが形成されている。また、摩擦面60aが形成された側と反対側の側面には、第1カム部材61に押圧される環状の被押圧面60bが形成されている。
アーマチュア60の表面のうち、少なくとも摩擦面60aには、摩擦による摩耗を軽減し、もしくはスティックスリップ現象(相対滑りと引っかかりとの繰り返しにより、びびり振動が発生する現象)の発生を抑制すること等を目的とした、摩擦特性を向上させるための表面処理が施されている。このような表面処理としては、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)の成膜処理や、ナイトロテック処理(ガス軟窒化処理に連続して表面に酸化皮膜を形成する処理(ナイトロテックは登録商標))が挙げられる。
アーマチュア60は、皿バネ64によって第1カム部材61側に付勢されている。皿バネ64は、インナシャフト3の外周面に嵌着されたスナップリング31に軸方向の一端が接触して軸方向移動が規制され、軸方向の他端はアーマチュア60の摩擦面60aよりも内周側の側面60cに接触している。
(第1カム部材61の構成)
第1カム部材61は、炭素鋼等の金属材料からなる環状の部材であり、焼き入れ焼き戻しやガス軟窒化等の硬化処理が施され、インナシャフト3に外嵌されている。また、第1カム部材61は、カム部611と、カム部611の軸方向の一側(リヤハウジング22側)に設けられたスプライン嵌合部612と、カム部611の外周側に設けられた押圧部613とが一体に形成されている。
カム部611には、カムフォロア63が転動する複数のカム溝611aが形成されている。カム溝611aは、第1カム部材61の周方向に延び、その中央部における軸方向の深さが最も深く、周方向の端部に向かうにつれて浅くなるように形成されている。
スプライン嵌合部612は、その外周面に軸方向に延びる複数のスプライン歯を有し、アーマチュア60のスプライン嵌合部602と嵌合している。このため、アーマチュア60と第1カム部材61とは相対回転が規制され、アーマチュア60は第1カム部材61に対して軸方向移動可能である。
押圧部613は、カム部611の外周側に設けられた環状部614と、環状部614の外周側の端部から軸方向のアーマチュア60側に突出するように形成された鍔部615とを有し、鍔部615の軸方向の先端部には、アーマチュア60の被押圧面60bに当接する押圧面615aが形成されている。
押圧部613は、アーマチュア60の摩擦面60aの内周側の端部600aよりも外周側でアーマチュア60を押圧する。また、押圧部613は、アーマチュア60の摩擦面60aの径方向の中心600bを少なくとも含む径方向の領域でアーマチュア60を押圧する。
(第2カム部材62の構成)
第2カム部材62は、炭素鋼等の金属材料からなる環状の部材であり、インナシャフト3に外嵌されている。また、第2カム部材62は、カム部621と、カム部621の軸方向の一側(メインクラッチ4側)に設けられたスプライン嵌合部622と、スプライン嵌合部622の外周側に設けられた押圧部623とが一体に形成されている。
カム部621には、カムフォロア63が転動する複数のカム溝621aが形成されている。カム溝621aは、第2カム部材62の周方向に延び、その中央部における軸方向の深さが最も深く、周方向の端部に向かうにつれて浅くなるように形成されている。
スプライン嵌合部622は、その内周面に軸方向に延びる複数のスプライン歯を有し、インナシャフト3のストレートスプライン嵌合部3gの一端に嵌合されている。このため、第2カム部材62は、インナシャフト3と軸方向移動可能で、インナシャフト3と一体回転するように連結されている。
押圧部623には、メインクラッチ4の複数のインナクラッチプレート42のうち、最もカム機構6側に位置するインナクラッチプレート42に対向する押圧面623aが形成されている。
スプライン嵌合部622の内周側であって、インナシャフト3のストレートスプライン嵌合部3gのリヤハウジング22側に形成された段差部3hとカム部621との間には、皿バネ65が配置されている。皿バネ65は、第2カム部材62を第1カム部材61側に付勢している。
カムフォロア63は、炭素鋼等の金属材料からなり、第1カム部材61のカム溝611aと第2カム部材62のカム溝621aとの間に挟持されている。第1カム部材61と第2カム部材62が相対回転し、カムフォロア63がカム溝611a及びカム溝621aの周方向の中央部の位置(中立位置)から周方向に転動すると、第1カム部材61と第2カム部材62とを軸方向に離間させるカム力が発生する。
(駆動力伝達装置1の動作)
次に、駆動力伝達装置1の動作を説明する。4輪駆動車101のエンジン102が始動していない状態では、電磁コイル5に通電されておらず、アーマチュア60は皿バネ64の付勢力によってリヤハウジング22と非接触であり、カム機構6は作動していない。
エンジン102が始動し、4輪駆動車101が発進する際には、前輪105及び後輪111を駆動する4輪駆動状態とすべく、コントローラ112が駆動力伝達装置1の電磁コイル5に電流を供給し、通電する。この通電により、図2に点線で示すように、ヨーク51,リヤハウジング22の外側部材221,アーマチュア60,及びリヤハウジング22の内側部材223により形成される磁路に磁束Mが発生する。この磁束Mの磁力によって、アーマチュア60が皿バネ64の付勢力に抗してリヤハウジング22側に引き寄せられるように軸方向移動し、アーマチュア60の摩擦面60aがリヤハウジング22の摩擦面22bに摩擦接触する。
前述のように、アーマチュア60と第1カム部材61はスプライン嵌合により相対回転が規制されており、第2カム部材はインナシャフト3と一体回転するように構成されているので、アーマチュア60とリヤハウジング22が摩擦接触した状態でハウジング2とインナシャフト3が差動回転すると、カムフォロア63がカム溝611a及びカム溝621aを転動し、カム機構6が作動する。すると、第1カム部材61はカム機構6のカム力によってアーマチュア60をリヤハウジング22側に押圧する。これにより、アーマチュア60が磁力によってリヤハウジング22に引き寄せられていたときよりも強くリヤハウジング22に押し付けられて摩擦係合する。
一方、第2カム部材62はカム機構6のカム力によってメインクラッチ4を押圧し、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42と摩擦係合させてトルク伝達可能な状態とする。これにより、プロペラシャフト106を介して伝達されたエンジン102のトルクがドライブピニオンシャフト108に伝達され、4輪駆動状態となる。
また、コントローラ112は、例えば4輪駆動車101が一定の車速で直進する定常走行状態となると、燃費向上のために一対の前輪105のみを駆動する2輪駆動状態とすべく、電磁コイル5への通電を遮断する。
電磁コイル5への通電が遮断されると、皿バネ64の付勢力によってアーマチュア60がリヤハウジング22から離間する。すると、第1カム部材61と第2カム部材62とを相対回転させる力がなくなり、カムフォロア63が中立位置に転動してカム機構6が非作動状態となる。そして、皿バネ65の付勢力によって第2カム部材62がメインクラッチ4を押圧しない位置に戻される。これにより、アウタクラッチプレート41とインナクラッチプレート42との摩擦係合が解除され、2輪駆動状態となる。
図3は、アーマチュア60及び第1カム部材61の相対的な位置及び形状を輪郭で示した図であり、カム機構6が作動したときの第1カム部材61を実線で、カム機構6が非作動のときの第1カム部材61を二点鎖線で、それぞれ示す。この図に示すように、カム機構6が作動すると、第1カム部材61は、カム部611のカム溝611aと押圧部613の押圧面615aとの径方向の位置のずれにより、押圧部613に対してカム部611がアーマチュア60側に変位するように撓むが、この撓みはアーマチュア60の姿勢には殆ど影響しない。
また、第1カム部材61がアーマチュア60を押圧する荷重の径方向の分布は、図3のグラフに示すように、押圧部613の内周側の端部で荷重が最も大きく、外周側に向かうにつれて小さくなる。なお、この図では第1カム部材61の変形量を誇張して表現している。
図4は、比較例としての、カム溝と摩擦面とを1つの部材に形成した環状のアーマチュアカム200の径方向断面形状の輪郭を示した図である。この図では、カム力が作用したときのアーマチュアカム200の輪郭を実線で、カム力が作用していないときのアーマチュアカム200の輪郭を二点鎖線で、それぞれ示す。
アーマチュアカム200は、カム部201と押圧部202が一体に形成された炭素鋼等の金属材料からなる環状の部材であり、カム部201にはカム溝201aが、押圧部202には、図示しない摩擦相手部材(例えばリヤハウジング22)と摩擦係合する摩擦面202aが、それぞれ形成されている。押圧部202は、カム部201の外周側に設けられ、カム溝201aと摩擦面202aは、それぞれ軸方向の反対側の面に形成されている。
アーマチュアカム200がカム溝201aを転動するカムフォロア(図示せず)から軸方向のカム力Fを受けると、アーマチュアカム200は、摩擦面202aの内周側端部202bを支点として回転するように変形する。この変形により、摩擦面202aの外周側が摩擦相手部材から軸方向に離間するようになり、カム力Fは摩擦面202aの内周側に集中して作用し、外周側では摩擦相手部材への押し付け力が内周側よりも弱くなってしまう。
(第1の実施の形態の効果)
以上説明した本発明の第1の実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
(1)アーマチュア60と第1カム部材61とが別体であるので、それぞれに適した熱処理や表面処理を施すことができる。例えば、アーマチュア60には摩擦特性を向上させるための表面処理を施し、第1カム部材61には硬化処理を施すことで、摩擦特性の向上と強度とを両立させることができる。
(2)アーマチュア60と第1カム部材61とが別体であるため、カム機構6の作動時における第1カム部材61の撓みがアーマチュア60の姿勢に及ぼす影響が軽減されるので、例えばカム溝とリヤハウジング22に摩擦係合する摩擦面とを有する一体のカム部材によりカム機構を構成した場合に比較して、アーマチュア60の摩擦面60aがリヤハウジング22の摩擦面22aに平行に当接するようになり、アーマチュア60の摩擦面60aに作用するカム力の荷重分布が均等化される。
(3)第1カム部材61の押圧部613は、アーマチュア60の摩擦面60aの内周側の端部600aよりも外周側でアーマチュア60を押圧するので、例えば押圧部613が摩擦面60aの内周側の端部600aを含む径方向の領域でアーマチュア60を押圧する場合に比較して、カム機構6のカム力が摩擦面60aの内周側端部に集中して作用してしまうことを抑制できる。
(4)また、第1カム部材61の押圧部613がアーマチュア60の摩擦面60aの径方向の中心600bを少なくとも含む領域でアーマチュア60を押圧するように構成すれば、より一層カム機構6のカム力が摩擦面60aの内周側端部に集中して作用してしまうことを抑制できる。
[第2の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る電磁クラッチ11及びその周辺部の概略構成を示し、(a)は電磁クラッチ11の作動状態を、(b)は電磁クラッチ11の非作動状態をそれぞれ示す。この電磁クラッチ11は、円筒状の回転部材8を非回転部材であるケーシング9に対して回り止めするためのブレーキ装置として機能し、例えば遊星歯車機構によるトルク伝達の経路を切り替えるため等に用いられる。
電磁クラッチ11は、回転部材8と、回転部材8の鍔部81に形成されたカム溝81aを転動する球状のカムフォロア71と、カム溝81aに対向する面にカム溝72aが形成されたカム部材72と、カム部材72に回り止めされたアーマチュア73と、アーマチュア73を軸方向移動させる磁力を発生する電磁コイル74と、電磁コイル74を保持する磁性材料からなるヨーク75とを備えて構成されている。カム部材72は本発明の第1カム部材の一例であり、回転部材8は本発明の第2カム部材の一例である。
(回転部材8の構成)
回転部材8は、内面にシャフト(図示せず)が挿通される貫通孔が形成された円筒部80と、円筒部80の軸方向の一端から径方向外側に突出して形成された環状の鍔部81とが一体に形成されている。円筒部80の内周面の軸方向一側には、シャフトと回転部材8との相対回転を規制するための、回転軸Oに沿って形成されたストレートスプライン嵌合部80aが設けられている。ストレートスプライン嵌合部80aの外側にあたる円筒部80の外周面には、ボール軸受77の内輪771が嵌合されている。
鍔部81の軸方向の一方(ストレートスプライン嵌合部80aが形成された側)の側面に形成されたカム溝81aは、回転部材8の周方向に延び、その中央部における軸方向の深さが最も深く、周方向の端部に向かうにつれて浅くなるように形成されている。
(カム部材72の構成)
カム部材72は、炭素鋼等の金属材料からなる環状の部材であり、焼き入れ焼き戻しやガス軟窒化等の硬化処理が施され、回転部材8の円筒部80に外嵌されている。
カム部材72は、第1の実施の形態における第1カム部材61と同様の形状であり、カム溝81aと対向する面に形成されたカム溝72aを有するカム部721と、カム部721の軸方向の一側に設けられ、軸方向に延びる複数のスプライン歯を外周部に有するスプライン嵌合部722と、カム部721の外周側に設けられた押圧部723とが一体に形成されている。
押圧部723は、カム部721の外周側に設けられた環状部724と、環状部724の外周側の端部から軸方向のアーマチュア73側に突出するように形成された鍔部725とを有し、鍔部725の軸方向先端部には、アーマチュア73を押圧する押圧面725aが形成されている。
回転部材8の鍔部81には、カム溝81aが周方向の少なくとも3箇所に形成され、カム部材72のカム部721にも同数のカム溝72aが形成されている。カムフォロア71は、各カム溝81aとそれに対応するカム溝72aとの間に介在し、鍔部81とカム部材72との間に配置されたリテーナ710によって保持されている。カム部材72は、カム溝72a及び回転部材8のカム溝81aをカムフォロア71が転動する範囲において、回転部材8との相対回転が可能である。
(アーマチュア73の構成)
アーマチュア73は、炭素鋼(例えばS35C、S10C)等の磁性材料からなる板状の部材である。アーマチュア73は、第1の実施の形態におけるアーマチュア60と同様の形状であり、中心部に貫通孔731が形成され、貫通孔731の内周に設けられた軸方向に延びる複数のスプライン歯を有するスプライン嵌合部732を有している。スプライン嵌合部732は、カム部材72のスプライン嵌合部722と嵌合している。これにより、アーマチュア73とカム部材72とは相対回転が規制され、かつ軸方向に相対移動が可能である。
アーマチュア73の軸方向両側面のうち、カム部材72の押圧部723に面する側面には、押圧部723の押圧面725aが当接する被押圧面73cが形成されている。また、この反対側の側面には、後述するヨーク75の内周側摩擦面75a及び外周側摩擦面75bとそれぞれ摩擦係合する内周側摩擦面73a及び外周側摩擦面73bが形成されている。アーマチュア73の表面のうち、少なくとも内周側摩擦面73a及び外周側摩擦面73bには摩擦特性を向上させるための表面処理が施されている。
アーマチュア73は、皿バネ76によってカム部材72側に付勢されている。皿バネ76は、ボール軸受77の内輪771との間に配置されたスペーサ78により軸方向移動が規制されている。
(ヨーク75の構成)
ヨーク75は、炭素鋼等の磁性材料からなり、アーマチュア73の軸方向に対向して配置され、ボルト91によってケーシング9に相対回転不能かつ軸方向移動不能に固定されている。ヨーク75には、軸方向のアーマチュア73側に開口した断面コの字状の環状凹部750が形成され、環状凹部750に電磁コイル74が保持されている。環状凹部750の内周側におけるアーマチュア73との対向面に環状の内周側摩擦面75aが形成され、環状凹部750の外周側におけるアーマチュア73との対向面に環状の外周側摩擦面75bが形成されている。
ヨーク75の内周面には、ボール軸受77の外輪772が嵌合されており、ヨーク75は、回転部材8を回転可能に支持している。なお、ボール軸受77は、回転部材8の円筒部80の外周面に設けられた段差部80bとスナップリング773により内輪771の軸方向の位置が固定され、ヨーク75の内周面に設けられた段差部75cとスナップリング774により外輪772の軸方向の位置が固定されている。
電磁コイル74は、ヨーク75の環状凹部750に保持され、スナップリング751によって抜け止めされている。電磁コイル74には、図略の電線によって電流が供給される。
(カム部材72によるアーマチュア73の押圧構造)
図6は、アーマチュア73を軸方向のヨーク75の側から見た状態を示す図である。この図では、アーマチュア73の裏面にあたる被押圧面73cの外周円73d及び内周円73eを破線で示している。
この図に示すように、アーマチュア73の被押圧面73cは、内周側摩擦面73aと外周側摩擦面73bの間の径方向の領域に環状に形成されている。すなわち、カム部材72は、ヨーク75の内周側摩擦面75aと外周側摩擦面75bとの間の径方向の領域でアーマチュア73を軸方向に押圧する。これにより、カム部材72が受けるカム力が、アーマチュア73の内周側摩擦面73aと外周側摩擦面73bに分散する。
また、図3に示したのと同様に、カム部材72がアーマチュア73を押圧する荷重の径方向の分布は、押圧部723の内周側の端部で最も大きくなるので、カム部材72は、ヨーク75の内周側摩擦面75aと外周側摩擦面75bとの間の径方向の領域にアーマチュア73の被押圧面73cを押圧する最大荷重を発生させる。
(電磁クラッチ11の動作)
電磁コイル74に通電されると、図5(a)に破線で示すように、ヨーク75及びアーマチュア73により形成される磁路に磁束Mが発生し、アーマチュア73がヨーク75の側に引き寄せられ、アーマチュア73の内周側摩擦面73aがヨーク75の内周側摩擦面75aに、アーマチュア73の外周側摩擦面73bがヨーク75の外周側摩擦面75bに、それぞれ摩擦接触する。
この状態で回転部材8が回転すると、カムフォロア71がカム溝81a及びカム溝72aを転動し、回転部材8の鍔部81に対してカム部材72を軸方向に離間させるカム力が発生する。このカム力を受けてカム部材72が押圧面725aを介してアーマチュア73の被押圧面73cを押圧する。
これにより、アーマチュア73がより強くヨーク75に押し付けられ、内周側摩擦面73aと内周側摩擦面75a、及び外周側摩擦面73bと外周側摩擦面75bの摩擦力が増大する。前述のようにヨーク75はケーシング9に対して相対回転不能であるので、回転部材8がケーシング9に対して回り止めされる。
一方、電磁コイル74への通電が遮断されると、図5(b)に示すように、皿バネ76の付勢力によってアーマチュア73がヨーク75から離間し、アーマチュア73とヨーク75との摩擦係合が解除される。すると、カムフォロア71がカム溝72a及びカム溝81aの最も深い部位(中立位置)に移動し、カム力が消滅する。これにより、回転部材8は、カムフォロア71,カム部材72,アーマチュア73,及び皿バネ76と共に回転可能となる。
(第2の実施の形態の効果)
以上説明した本発明の第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果(1)から(3)と同様の効果に加え、アーマチュア73がヨーク75に直接摩擦係合するので、少ない部品数で電磁クラッチ11を構成できる。また、カム部材72は、ヨーク75の内周側摩擦面75aと外周側摩擦面75bとの間の径方向の領域でアーマチュア73を軸方向に押圧するので、カム部材72が受けるカム力が、アーマチュア73の内周側摩擦面73aと外周側摩擦面73bにほぼ均等に作用する。
[第3の実施の形態]
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る電磁クラッチ12の概略構成を示す。上記第2の実施の形態では、アーマチュア73とカム部材72との相対回転がスプライン嵌合により規制されていたが、本実施の形態に係る電磁クラッチ12では、後述するピン79によってアーマチュア73Aとカム部材72Aとの相対回転が規制されている。その他の構成要素については、第2の実施の形態に係る電磁クラッチ11と共通するので、図5と同一の符号を付して説明を省略する。
カム部材72Aは、炭素鋼等の金属材料からなる環状の部材であり、焼き入れ焼き戻しやガス軟窒化等の硬化処理が施され、回転部材8の円筒部80に外嵌されている。
また、カム部材72Aは、回転部材8の鍔部81に形成されたカム溝81aと対向する面に形成されたカム溝72bを有するカム部721Aと、カム部721Aの外周側に設けられた押圧部722Aとが一体に形成されている。押圧部722Aは、カム部721Aの外周側に設けられた環状部723Aと、環状部723Aの外周側の端部から軸方向のアーマチュア73A側に突出するように形成された鍔部724Aとを有し、鍔部724Aの軸方向先端部には、アーマチュア73Aを押圧する押圧面724bが形成されている。
押圧部722Aには、押圧面724bから軸方向に形成された軸方向穴724cが設けられ、軸方向穴724cにピン79が圧入されて固定されている。
アーマチュア73Aは、炭素鋼(例えばS35C、S10C)等の磁性材料からなる板状の部材であり、中心部に貫通穴731Aが形成された環状に成型されている。アーマチュア73Aのヨーク75に対向する面には、ヨーク75の内周側摩擦面75aと摩擦係合する内周側摩擦面73fと、ヨーク75の外周側摩擦面75bと摩擦係合する外周側摩擦面73gとが形成されている。
アーマチュア73Aの内周側摩擦面73fと外周側摩擦面73gとの間には、軸方向に貫通する貫通孔73hが設けられ、貫通孔73hにはカム部材72Aの軸方向穴724cに固定されたピン79が挿通されている。この構成により、アーマチュア73Aとカム部材72Aとの相対回転が規制され、アーマチュア73Aはカム部材72Aに対して軸方向移動可能である。
また、アーマチュア73Aは、その内周側端部に接する皿バネ76により、カム部材72Aに向かって軸方向に付勢されている。
カム部材72Aの押圧面724bの径方向中心724dの回転軸Oからの半径rは、ヨーク75の環状凹部750の径方向中心750aの回転軸Oからの半径rよりも大きい。すなわち、カム部材72Aは、ヨーク75の内周側摩擦面75aよりも外周側摩擦面75bの側に偏った位置でアーマチュア73Aを押圧する。これにより、カム部材72Aが受けるカム力は、内周側摩擦面75aと内周側摩擦面73fとの間よりも、外周側摩擦面75bと外周側摩擦面75bとの間により強く作用する。
(第3の実施の形態の効果)
以上説明した本発明の第3の実施の形態によれば、上記の第2の実施の形態の効果と同様の効果がある。また、カム部材72Aが受けるカム力が主として外周側摩擦面73gと外周側摩擦面75bとの間に作用するので、アーマチュア73Aとヨーク75との間の摩擦トルクを大きくすることができる。
[他の実施の形態]
以上、本発明の電磁クラッチを上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
(1)上記各実施の形態では、第1カム部材と第2カム部材との間、又は回転部材の鍔部とカム部材との間に球状のカムフォロアを介在させたが、これに限らず、第1カム部材と第2カム部材との間、又は回転部材の鍔部とカム部材との間にそれぞれに軸方向に対して傾斜した傾斜面を形成し、傾斜面同士の摺動によりカム力を発生させるようにしてもよい。
(2)上記各実施の形態では、電磁コイルへの通電時にアーマチュアがリヤハウジング又はヨークに摩擦係合し、非通電時には皿バネの付勢力によって摩擦係合が解除されるように構成したが、これとは逆に、電磁コイルへの非通電時に皿バネ等の弾性部材の付勢力によってアーマチュアが他の部材に摩擦係合し、電磁コイルへの通電時に磁力によって摩擦係合が解除されるように構成してもよい。
(3)第1カム部材又はカム部材がアーマチュアを押圧する位置は、上記各実施の形態に示したものに限らない。第1カム部材又はカム部材がアーマチュアの内周側端部を含む領域を押圧するように電磁クラッチを構成しても、カム力による第1カム部材又はカム部材の撓みがアーマチュアに直接影響しないので、本発明の効果が奏される。
(4)第1カム部材又はカム部材とアーマチュアとを回り止めするための構成は、上記各実施の形態に示したものに限らず、様々な回り止め構造を適用することができる。
(5)第1カム部材又はカム部材、及びアーマチュアに施す表面処理又は熱処理は、上記各実施の形態に示したものに限らず、表面処理又は熱処理をしなくともよい。
(6)第1カム部材又はカム部材はアーマチュアを直接押圧するものに限らず、他の部材を介してアーマチュアを押圧するように構成してもよい。
(7)電磁クラッチの用途及び適用対象についても特に制限はない。
1…駆動力伝達装置、2…ハウジング、3…インナシャフト、3a…端面、3b…中空部、3c…ストレートスプライン嵌合部、3d…端面、3e…中空部、3f…壁部、3g…ストレートスプライン嵌合部、3h…段差部、4…メインクラッチ、5…電磁コイル、5a…電線、6…カム機構、8…回転部材、8a…端部、9…ケーシング、9a…凹部、10,11,12…電磁クラッチ、21…フロントハウジング、21a…収容空間、21b…ストレートスプライン嵌合部、22…リヤハウジング、22a…収容空間、22b…摩擦面、31…スナップリング、41…アウタクラッチプレート、41a…スプライン嵌合部、42…インナクラッチプレート、42a…スプライン嵌合部、42b…孔、51…ヨーク、51a,51b…エアギャップ、51c…収容空間、51d…孔、52…シール軸受、60…アーマチュア、60a…摩擦面、60b…被押圧面、60c…側面、61…第1カム部材、62…第2カム部材、63…カムフォロア、64,65…皿バネ、71…カムフォロア、72,72A…カム部材、72a,72b…カム溝、73,73A…アーマチュア、73a…内周側摩擦面、73b…外周側摩擦面、73c…被押圧面、73d…外周円、73e…内周円、73f…内周側摩擦面、73g…外周側摩擦面、73h…貫通穴、74…電磁コイル、75…ヨーク、75a…内周側摩擦面、75b…外周側摩擦面、75c…段差部、76…皿バネ、77…ボール軸受、78…スペーサ、79…ピン、80…円筒部、80a…ストレートスプライン嵌合部、80b…段差部、81…鍔部、81a…カム溝、91…ボルト、101…4輪駆動車、102…エンジン、103…トランスアクスル、104…フロントアクスルシャフト、105…前輪、106…プロペラシャフト、107…ディファレンシャルキャリア、108…ドライブピニオンシャフト、109…リヤディファレンシャル、110…リヤアクスルシャフト、111…後輪、112…コントローラ、、200…アーマチュアカム、201…カム部、201a…カム溝、202…押圧部、202a…摩擦面、210…ボール軸受、220…ニードル軸受、221…外側部材、222…中間部材、223…内側部材、600a…端部、600b…中心、601…貫通孔、602…スプライン嵌合部、611…カム部、611a…カム溝、612…スプライン嵌合部、612a…カム溝、613…押圧部、614…環状部、615…鍔部、615a…押圧面、621…カム部、621a…カム溝、621a…押圧面、622…スプライン嵌合部、622a…カム溝、623…押圧部、711…リテーナ、721,721A…カム部、722…スプライン嵌合部、722A,723A…環状部、724…環状部、724A…鍔部、724b…押圧面、724c…軸方向穴、724d…径方向中心、725…鍔部、725a…押圧面、731,731A…貫通穴、732…スプライン嵌合部、750…環状凹部、750a…径方向中心、751…スナップリング、771…内輪、772…外輪、773,774…スナップリング、M,M…磁束、O,O…回転軸、r1,r2…半径

Claims (4)

  1. 磁力を発生させる電磁コイルと、
    前記磁力によって軸方向移動するアーマチュアと、
    前記アーマチュアの軸方向移動により前記アーマチュアと当接する摩擦部材と、
    前記アーマチュアとの相対回転が規制された第1カム部材と、
    前記第1カム部材との相対回転により、前記第1カム部材に、前記アーマチュアを前記摩擦部材に向かって押圧するカム力を発生させる第2カム部材と、
    を備えた電磁クラッチ。
  2. 前記アーマチュアは中心部に貫通孔が形成された環状であり、
    前記第1カム部材は、前記アーマチュアの内周側端部よりも外周側で前記アーマチュアを押圧する請求項1に記載の電磁クラッチ。
  3. 前記摩擦部材は、前記アーマチュア側に開口した環状凹所の内周側及び外周側に形成された摩擦面で前記アーマチュアの一方の側面と摩擦係合し、前記環状凹所内に前記電磁コイルを収容するヨークである請求項1又は2に記載の電磁クラッチ。
  4. 前記第1カム部材は、前記ヨークの前記環状凹所の内周側と外周側の摩擦面の間の径方向の領域に前記アーマチュアの他方の側面を押圧する最大荷重を発生させる請求項3に記載の電磁クラッチ。
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