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JP2011190508A - 電子部品用チタン銅及びこれを用いた電子部品 - Google Patents

電子部品用チタン銅及びこれを用いた電子部品 Download PDF

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JP2011190508A JP2010058355A JP2010058355A JP2011190508A JP 2011190508 A JP2011190508 A JP 2011190508A JP 2010058355 A JP2010058355 A JP 2010058355A JP 2010058355 A JP2010058355 A JP 2010058355A JP 2011190508 A JP2011190508 A JP 2011190508A
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Masuo Okada
益男 岡田
Atsunori Kamegawa
厚則 亀川
Yugo Takeda
悠吾 竹田
Masatoshi Eto
雅俊 衛藤
Norio Yuki
典夫 結城
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Abstract

【課題】強度及び導電率の両者が改善された水素含有チタン銅を提供する。
【解決手段】Tiを1〜6質量%、Hを0.01〜0.2質量%含有し、HをTiに対する原子比で0.5〜4含有し、残部銅及び不可避的不純物からなり、TiとCuの金属間化合物からなる析出物のうち、粒径5μm以上のものがないチタン銅であって、水素化チタンのうち、大きさ5〜20nmの水素化チタンの析出物が100nm×100nmの走査透過型電子顕微鏡(STEM)で観察される視野×試料の厚さ70nmにおいて20〜300個であり、大きさ100nm〜5μmの水素化チタンの面積率が走査型電子顕微鏡(SEM)の組成像の視野内において0.25〜11%であるチタン銅。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子部品用のチタン銅及びその製造方法に関する。また、本発明はチタン銅を用いて作製した電子部品及びその製造方法に関する。
チタンを含有する銅合金(以下、「チタン銅」と称する。)は、銅合金中ベリリウム銅に次ぐ強度を有し、ベリリウム銅を凌ぐ応力緩和特性を有していることからコネクタ材等の電子部品に使用され、近年その需要は益々増大の傾向にある。一方で、電子部品の短小軽薄化に伴い、強度及び導電性を高い次元で両立するチタン銅が求められている。
チタン銅の特性を向上させる方法として、チタン銅中に水素を含有させる方法が知られている。特開2008−75174号公報には、熱処理により銅−チタン合金の母相(過飽和固溶体相)からチタン銅化合物(TiCu4)を析出させると同時に、本合金に水素を吸収させることによりチタンハイドライド(TiH2:以後「水素化チタン」という。)としてチタンを析出させ、母相中のチタン(Ti)含有量を低減させることにより、高強度銅−チタン合金の導電率を向上させようとする思想が開示されている。
また、そのような銅−チタン−水素合金を製造する方法として、銅を母材としてチタンを所定分量含有させ、急冷することで、チタンが過飽和に固溶した銅合金を作製し、それを水素雰囲気で時効処理などすることによって水素を含有させる方法が開示されている。
当該文献によれば、チタン銅に水素を含有させることで、強度は保ったままで導電率を高くすることができるとされている。
また、国際公開第2005/098071号パンフレットには、水素との親和力の弱い元素を主とした合金に、水素との親和力の強い元素を含有せしめて、結晶粒微細化効果を発揮せしめる技術が開示されている。当該文献によれば、水素との親和力の弱い元素を主たる構成成分とする合金であって且つ水素との親和力の強い元素を含有せしめた合金に対して、絶対温度で表される金属(又は合金)の融点をTMと表した場合に、該合金を0℃〜0.8TMの温度範囲で水素雰囲気に合金をおくことで、水素が吸収されて、合金に含まれ且つ水素との親和力の強い元素が該吸収された水素と反応するとされ、更に、上記知見による水素を吸収し且つ水素との親和力の弱い元素を主たる構成要素としている合金から、0℃〜0.8TMの温度範囲で水素を放出させることで、該合金の結晶粒径を1μm以下に微細化できるとされる。そして、結晶粒径を微細化した結果、合金の高強度化を図ることができるとされている。
特開2008−75174号公報 国際公開第2005/098071号パンフレット
特開2008−75174号公報によれば、チタン銅に水素を含有させることで、強度は保ったままで導電率を高くすることができるとされているが、強度までも向上することは記載されていない。むしろ、当該文献の図3及び図5に記載のデータから明らかなように、強度は水素を含有させたものの方が低い傾向にある。
一方、国際公開第2005/098071号パンフレットには、「水素を吸収させることにより、合金中に水素化物または水素固溶体相が形成され、水素放出後は水素吸収反応前と同様の出現相に一部または全てが再形成されることにより、結晶粒が1μm以下に微細化される」(段落0028)と記載されており、合金の強度向上効果は水素を合金から放出させて初めて得られると考えられていた。
また、古くから、金属中に水素が含有していると、水素脆性と呼ばれる金属材料の延性靱性が低下する現象が生じることが知られており、金属材料の強度を高める目的で水素を積極的に添加することはなかった。
従って、チタン銅に水素を含有させることにより、導電率のみならず、強度までも向上させることができれば画期的であろう。また、導電率においても、前記の通り水素化によって向上するものの、チタン銅の導電率は純銅に比べればまだまだ低く、さらなる改善が望まれる。本発明は、強度及び導電率の両者が改善された水素含有チタン銅を提供することを主たる課題とする。
発明者は、上記課題を解決するために検討したところ、特開2008−75174号公報に記載の技術では水素がチタン銅の表面付近に多く分布し、チタン銅の内部に充分に水素が拡散しておらず、チタン銅中で水素の分布が不均一であることを見出した。水素は内部に拡散せずに表面付近に過剰に存在するため、逆に強度に悪影響を与えていた可能性がある。
そこで、本発明者は、水素は結晶粒界や転位を通って内部に拡散すると考えられることから、チタン銅の製造過程において、チタン銅内部に水素が容易に拡散できるように結晶粒界及び転位を増やし、均一に水素を分散させることで特性改善ができると考えた。また、当該公報に記載の技術ではTiH2と共にCu4Tiも析出させているが、Tiを安定相であるCu4Tiとして析出するのではなく、できるだけTiH2を析出させることで特性改善に結びつく可能性があると考えた。
本発明者は上記仮説に基づいて引き続き検討を行ったところ、チタン銅の製造過程において、結晶粒界及び転位を増やして水素を内部拡散させ、また、析出するTiの形態として、安定なCuとTiの金属間化合物(例えばCu4Ti及びCu3Ti)、とりわけ粗大なCuとTiの金属間化合物の析出を抑制し、その代わり水素化チタン(TiH2やTiH4等)を析出させる比率を多くすると、チタン銅は導電率のみならず強度までも向上することを見出した。
さらには、前記の粗大なCuとTiの金属間化合物の析出を回避しつつも、特定範囲以下の大きさであるCuとTiの金属間化合物を一定程度析出させ、それを水素化することにより、更なる導電率の向上が得られることを見出した。
上記知見を基礎として完成した本発明は、一側面において、Tiを1〜6質量%、Hを0.01〜0.2質量%含有し、HをTiに対する原子比で0.5〜4含有し、残部銅及び不可避的不純物からなり、TiとCuの金属間化合物からなる析出物のうち、粒径5μm以上のものが実質的にないチタン銅であって、水素化チタンのうち、大きさ5〜20nmの水素化チタンの析出物が100nm×100nmの走査透過型電子顕微鏡(STEM)で観察される視野×試料の厚さ70nmにおいて20〜300個であり、大きさ100nm〜5μmの水素化チタンの面積率が走査型電子顕微鏡(SEM)の組成像の視野内において0.25〜11%であるチタン銅である。
本発明に係るチタン銅の一実施形態においては、平均結晶粒径が30μm以下である。
本発明に係るチタン銅の更に一実施形態においては、板厚方向に測定した硬さの標準偏差が10以下である。
本発明に係るチタン銅の更に別の一実施形態においては、更に第3元素群としてMg、Mn、Fe、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Zr、Si、B、P及びAgよりなる群から選択される1種又は2種以上を合計で0.5質量%以下含有する。
本発明は、別の一側面において、Cuに、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Zr、Si、B、P及びAgよりなる群から選択される1種以上を合計で0.5質量%以下含有するように随意に添加した後、Tiを1〜6質量%含有するように添加してインゴットを製造する工程1と、
前記インゴットを熱間圧延して冷間圧延する工程2と、
次いで、Ti含有量に応じた固溶限温度に比べて30〜100℃高い温度に加熱して溶体化処理する工程3と、
加工度50%〜90%で冷間圧延する工程4と、
Ti含有量に応じた固溶限温度に比べて0〜20℃低い温度で加熱して溶体化処理する工程5と、
次いで10%〜70%で冷間圧延する工程6と、
次いで250〜450℃で1〜100時間時効処理する工程7と、
を含み、
工程7において又は工程7よりも前段階で材料中に水素を導入する工程を実施する、
チタン銅の製造方法である。
本発明は別の一側面において、上記チタン銅からなる伸銅品である。
本発明はまた別の一側面において、上記チタン銅を備えた電子部品である。
本発明はまた別の一側面において、上記チタン銅を備えたコネクタである。
本発明によれば、強度及び導電率の両者が改善された水素含有チタン銅を得ることができる。
Tiの水素化物(C1:大きさ 5nm〜20nm) Tiの水素化物(C2:大きさ 100nm〜5μm 走査型電子顕微鏡(SEM)5000倍で観察) Tiの水素化物(C2:大きさ 100nm〜5μm 走査透過型電子顕微鏡(STEM)10万倍で観察)
(1)銅合金の組成について
(a)Ti
Tiが1質量%未満ではチタン銅本来の変調構造の形成による強化機構を充分に得ることができないことから充分な強度が得られず、逆に5質量%を超えると粗大な安定相(TiCu4やTiCu3に代表されるCuとTiの金属間化合物)が析出し易くなるが、溶体化処理を適切に行うことで6質量%近くまで安定相を大きさ5μm未満に制御することができる。但し、6質量%を超えるとその制御が困難となり、強度及び曲げ加工性が劣化する。従って、本発明に係るチタン銅中のTiの含有量は、1.0〜6.0質量%であり、好ましくは、3.0〜5.5質量%であり、より好ましくは3.5〜5.0質量%である。このようにTiの含有量を適正化することで、電子部品用に適した強度及び曲げ加工性を共に実現することができる。
(b)H
チタン銅は、溶体化工程でTiを充分に固溶させた後時効処理時にTi濃度の周期的変動である変調構造を発達させることで強度及び導電率が向上する合金である。しかしながら、変調構造を発達させる時効処理時にはTiCu4やTiCu3等のTiとCuの金属間化合物も不可避的に析出してしまう。TiとCuの金属間化合物が析出すると、固溶Ti量の減少によって導電率は向上するものの、強度にはほとんど寄与しない。特に時効温度が高い或いは時効時間が長い等の過時効の状態では、粗大なTiCu4やTiCu3等のTiとCuの金属間化合物となる。粗大な金属間化合物は強度を低下させるので好ましくない。
そこで、高強度・高導電性を有するチタン銅として本発明では、時効処理時の母相中に水素を存在させることで、時効処理時に固溶Tiと水素を反応させ超微細な水素化物を析出させ導電率を向上させるとともに、強度を低下させる粗大なTiとCuとの金属間化合物の析出を抑制することで高強度化を図ることを見出した。さらには、強度を低下させない程度の大きさの微細なTiとCuとの金属間化合物を逆に析出させ、それを微細な水素化チタンとすることにより更なる導電性の向上を図ることを見出した。なお、水素はCuよりもTiとの親和性が高く、水素化銅を形成することはほとんどない。
また、超微細な水素化チタンの析出が強度の向上に寄与することもできる。これは強化に寄与するHは、変調構造の中で超微細な水素化チタンを形成していることによると考えられる。
本発明において水素化チタンは、チタンの水素化合物TiHxとしてX=0.2〜2(または0.5〜2)からなると考えられる。
Hの含有量としては、少なすぎると前述した効果が充分に得られないので、チタン銅中にはHをTiに対する原子比で少なくとも0.5は含有させるべきである。一方、過剰に添加すると、変調構造に寄与するTiがHと反応して過剰の水素化チタンを析出するため、強度を低下させてしまう。また、未反応Hを多量に残留させることも好ましくない。水素は、原子半径が小さく軽いので、材料内部を比較的自由に移動し、母材中に微量混入しているOやCと反応して水やメタンを形成する。このような液又はガス状の化合物がチタン銅中に存在すると、母相中に微細な空隙や亀裂を生じさせて強度を低下させる原因となる。従って、チタン銅中のH濃度は、添加されたすべてのHがTiと化合物を作るのに必要な濃度よりも少なくすべきであり、具体的には、最大でもTiの原子数の4倍を超えて含有させるべきではなく、水素化チタンが主としてTiH2として析出することを考えればTiの原子数の2倍を超えて含有しないのが好ましい。
そこで、チタン銅中に含まれるHの含有量はTiに対する原子比で0.5〜4である。より好ましくは0.5から2である。具体的なH濃度としては0.01〜0.2質量%とするのが好ましく、0.01〜0.1質量%とするのがより好ましい。
(c)第3元素群
チタン銅中には、更に第3元素群としてMg、Mn、Fe、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Zr、Si、B、P及びAgよりなる群から選択される1種又は2種以上を合計で0.5質量%以下含有させてもよい。これらの元素の効果は、微量の添加によりTiが充分に固溶する温度で溶体化処理をしても結晶粒が容易に微細化すること、後述するプレス加工後の低温での熱処理により硬化してばね性が向上することである。ここで、チタン銅において本発明の効果が最も高いのがFeである。Mg、Mn、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Zr、Si、B、P及びAgにおいても、Feに準じた効果が期待でき、単独の添加でも効果が見られるが、2種以上を複合添加してもよい。
これらの元素はチタン銅中の固溶量が少なく、僅かな添加量で結晶粒が微細化する。そして、チタン銅の強度を引き出す変調構造の発達に対して悪影響を及ぼさない元素である。また、BとPは、単独の添加では効果が殆どないが、他の元素と複合添加することにより、それらの元素の働きを助長する効果がある。第3元素群の効果は、合計で0.05質量%以上含有すると有意に現れだすため、第3元素群は合計で0.05質量%以上含有させるのが好ましい。ただし、あまり添加し過ぎるとTiの固溶度を低くし、粗大な第2相粒子を析出し易くなり、強度は若干向上するが、曲げ加工性が劣化する。具体的には、第3元素群は、合計0.5質量%を越えると第2相粒子の析出が過剰となり、曲げ加工性に悪影響を与える。
(2)TiとCuの金属間化合物および水素化チタンからなる析出物
(a)析出物の構成
本発明で得られるチタン銅における析出物として、TiとCuの金属間化合物及び水素化チタンが挙げられる。水素化チタンは、主に「超微細な」水素化チタンと「微細な」水素化チタンに分けられ、両者は以降具体的に述べるように、それぞれ異なった形でチタン銅の強度及び導電性に寄与する。
(b)チタン銅と「超微細な」水素化チタンの関係
チタン銅において、時効処理時に析出する安定相であるTiとCuの金属間化合物(TiCu4やTiCu3等)は先述したように、強度への向上がほとんどないばかりか、粗大なものは強度に悪影響を及ぼす。本発明では、超微細な水素化チタンとして析出させることにより、粗大なTiとCuの金属間化合物の析出を抑制して、TiがCuの金属間化合物として析出する比率を下げることができる。その結果、粗大なTiがCuの金属間化合物による強度への悪影響が軽減され、チタン銅本来の変調構造由来の強度向上効果、および変調構造組織に分散した水素化チタンによる一層の強度向上効果がより鮮明に現れる。これは、変調構造中にTiを超微細な水素化チタンとして析出させるようにしたことによるためと考えられ、析出した超微細な水素化チタンが、変調構造からTiとCuの金属間化合物への発達を抑制する、すなわち、TiとCuの金属間化合物の数が減少し、粗大な析出物の発生が抑えられるためと考えられる。
具体的には、TiとCuの金属間化合物からなる析出物のうち、粒径5μm以上のものが実質的になく、大きさ5〜20nmの水素化チタンが、100nm×100nmの走査透過型電子顕微鏡(STEM)の視野×試料の厚さ70nmにおいて、20〜300個であり、好ましくは30〜300個、より好ましくは50〜300個である。ここで「実質的になく」とは、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)の組成像を1000倍で単位視野(85μm×115μmの視野)あたりの粒子個数を10視野について計数し、大きさ5μm以上の1視野あたりの平均個数が0.2未満のことを言う。
なお、TiとCuの金属間化合物とは、SEM、EPMA、STEM(HAADF)などの電子顕微鏡で観察される析出物で、Cuが50質量%以上かつTiが6質量%以上検出される析出物で、具体的にはTiCu4やTiCu3とが挙げられるが、これに限らない。
(c)チタン銅と「微細な」水素化チタンとの関係
一方で、前記のような粗大なTiとCuの金属間化合物の析出を抑制しながらも、強度に影響しない程度の微細なTiとCuの金属間化合物を析出させ、水素雰囲気下で時効処理することにより微細な水素化チタンの析出物が得られる。このように微細なTiとCuの金属間化合物を水素化チタンとすることにより、強度を損なうことなく、更なる導電性の向上が得られる。これは、微細なTiとCuの金属間化合物が析出されることにより、母相中のTiが減少し、また微細な析出物中の金属間化合物のCu4Ti等が水素化してCuが生じるためと考えられる(例えばCu4Ti+H2→4Cu+TiH2)。
ここで、上記微細な水素化チタンについては、特定視野で観察される特定の大きさの水素化チタンの面積率を求めることによって、その生成量を特定することができる。具体的には、走査型電子顕微鏡(SEM)の組成像において、水素化チタンは黒色部として表れ、画像処理をすることによってその面積率を算出することができる。面積率が大きくなりすぎると、強度に悪影響を及ぼすようになり、逆に面積率が小さすぎると、導電性の向上効果が得られない。具体的には、上記微細な水素化チタンにおいて、大きさ100nm〜5μmの水素化チタンの面積率(%)が、0.25〜11.00%であり、好ましくは0.75〜9.00%である。
(3)板厚方向に測定した硬さの標準偏差
本発明に係るチタン銅では、結晶粒界や転位を増やし、水素の拡散経路を増加することで水素が内部まで均一に拡散しているため、従来のように表面付近に水素が過剰分布していたことによる弊害がなくなる。
ただし、水素濃度の板厚方向の分布を測定することは困難なため、本発明では、材料の硬さによって規定した。具体的には、ビッカース硬度を測定することによって板厚方向に複数回測定した硬さ(Hv)の標準偏差が10以下であり、より好ましくは5以下である。
(4)平均結晶粒径
チタン銅の強度を向上させるためには、結晶粒が小さいほどよい。さらに本発明においては、結晶粒界も多くなって水素の内部拡散にも有利となる。そこで、好ましい平均結晶粒径は30μm以下、より好ましくは10μm以下、更により好ましくは7μm以下である。下限については、最終圧延の加工度が高いと結晶粒径の判別が困難となるため、そのような状況を1μm未満(<1μm)とし、本発明の範囲に含める。ただし、極端に小さくなると応力緩和特性が低下してしまうので、応力緩和特性が必要な場合には、1μm以上が好ましい。
(5)本発明に係るチタン銅の特性
上述したように、本発明に係るチタン銅には水素が適切な形態及び分布状態で存在し、かつ粗大なTiとCuの金属間化合物の析出が抑制されているため、水素を添加しない場合に比べて、導電率に加えて強度までも向上するという特徴を有している。また微細なTiとCuの金属間化合物を析出させ、水素化することにより、単に水素を添加する場合に比べて、更に導電性が向上するという特徴を有している。例えば、引張強度が800MPa以上、好ましくは1000MPa以上、かつ、導電率(%IACS)が30%以上、好ましくは35%以上、とすることができる。
本発明に係るチタン銅は種々の板厚の伸銅品に加工することができ、各種の電子部品の材料として有用である。本発明に係るチタン銅は、限定的ではないが、スイッチ、コネクタ、ジャック、端子、リレー等の材料として好適に使用することができる。
(6)製造方法
本発明に係るチタン銅を製造する上では、先述したように、水素が材料内部に均一に拡散できるように結晶粒界及び転位を増やし、また、変調構造を形成するスピノーダル変態中に水素化チタンを析出させること、粗大なCuとTiの金属間化合物の析出を抑制させること、及び微細なCuとTiの金属間化合物を析出させ水素化することが必要である。そのためには、第一容体化処理においてCu中にTiを充分に固溶させること、最終の溶体化処理において再結晶粒の粗大化を防止しつつも微細なCuとTiの金属間化合物を生成、残存させるような温度で溶体化すること、時効処理直前に適度な冷間圧延を実施すること、時効処理を比較的低温側で行うことが重要となる。なお、チタン銅への水素の導入は、時効処理前或いは時効処理中に行なえばよい。
以下に、好適な製造例を工程毎に順次説明する。
1)インゴット製造工程
溶解及び鋳造によるインゴットの製造は、基本的に真空中又は不活性ガス雰囲気中で行う。溶解において添加元素の溶け残りがあると、強度の向上に対して有効に作用しない。よって、溶け残りをなくすため、FeやCr等の高融点の添加元素は、添加してから充分に攪拌した上で、一定時間保持する必要がある。一方、TiはCu中に比較的溶け易いので第3元素群の溶解後に添加すればよい。従って、溶製に関しては、適当量のCuに、必要に応じて第3元素群としてFe、Mn、Mg、Mo、Co、Ni、Si、Cr、V、Nb、Zr、B、P及びAgよりなる群から選択される1種以上を合計で0.50質量%以下含有するように添加し、充分保持した後にTiを1〜6質量%添加する。
2)均質化焼鈍及び熱間圧延
ここでは凝固偏析や鋳造中に発生した晶出物をできるだけ無くすことが望ましい。後の溶体化処理において、TiとCuの金属間化合物及び水素化チタンに代表される第二相粒子の析出を微細かつ均一に分散させる為であり、混粒の防止にも効果があるからである。
インゴット製造工程後には、900〜960℃で、3時間以上、典型的には3〜5時間の均質化焼鈍を行った後に、熱間圧延を実施する。チタン銅は900℃以上では拡散速度及び塑性流動性が高く、Ti濃度の違いによる変形抵抗に差異が生じないので、偏析層が分断されて均質化が助長される。また、偏析部ではチタンが濃化して低融点となっているため、960℃を超える加熱をすると、液相が出現して、そのまま熱間圧延をするとその部分で割れるという液体金属脆性が生じてしまう。
3)第一溶体化処理
その後、冷延と焼鈍を適宜繰り返してから溶体化処理を行うことが望ましい。ここで予め溶体化を行っておく理由は、Ti及びTiCu化合物を完全に固溶させるためである。ここで温度が高すぎると合金が局所的に溶融したり、表面から進入、拡散してきた酸素によって表層部から酸化してしまうので好ましくない。低すぎるとTiCu化合物が固溶しないので好ましくない。Cu-Ti合金の平行状態図において、Tiの固溶限温度はTi含有量によって異なり、1質量%Tiで約590℃、2質量%Tiで約680℃、3質量%Tiで約760℃、4質量%Tiで約820℃、5質量%Tiで約860℃、6質量%Tiで約880℃である。そのため、これらの温度以上で30〜100℃、より好ましくは30〜90℃高い温度の範囲で、2〜10分間、好ましくは5〜7分間行うと良い。
4)中間圧延
最終の溶体化処理前の中間圧延における加工度を高くするほど、最終の溶体化処理における第二相粒子が均一かつ微細に析出する。それは、集積した加工ひずみが再結晶の核生成サイトとなるので、加工度を高くしてひずみをためた方が、多数の再結晶核が生成するため、結晶粒が微細化するのである。但し、加工度をあまり高くして最終の溶体化処理を行うと、再結晶集合組織が発達して、塑性異方性が生じ、プレス成形性を害することがある。従って、中間圧延の加工度は50〜90%である。加工度は{(圧延前の厚み−圧延後の厚み)/圧延前の厚み)×100%}で定義される。
5)最終の溶体化処理
溶体化処理時の加熱速度が高いほど結晶粒は微細化する。そして溶体化という目的においては、第2相粒子を完全に固溶させることが望ましいが、完全に固溶するまで高温に加熱すると、結晶粒が粗大化し、また微細なTiとCuの金属間化合物の所望とする析出が得られないので、加熱温度は第2相粒子が固溶する固溶度線付近で且つ固溶度線付近よりも低い温度とする。典型的には、Ti含有量に応じた固溶限付近温度に比べて0〜20℃低い温度、好ましくは0〜10℃低い温度で加熱する。
また、最終の溶体化処理での加熱時間は短いほうが結晶粒は微細化する。加熱時間は15秒〜90秒、例示的には20〜45秒である。この時点で第2相粒子が発生しても微細かつ均一に分散していれば、強度と曲げ加工性に対してほとんど無害である。しかし粗大なものは最終の時効処理で更に成長する傾向にあるので、この時点での第2相粒子は生成してもなるべく少なく、小さくしなければならない。冷却速度は高い方が好ましく、操業安定性の観点からは水冷を使用するのが有利である。
6)最終の冷延加工度
上記溶体化処理工程後、最終の冷間圧延を行う。最終の冷間加工によってチタン銅の強度を高めることができるほか、転位の生成により水素の拡散経路を増加させる。この際、加工度が10%未満では充分な効果が得られないので加工度を10%以上とするのが好ましい。但し、加工度が高いほど次の時効処理でCuとTiの金属間化合物が形成され易いので、加工度を70%以下、好ましくは50%以下とする。
7)時効処理
時効処理は、添加元素によっても適正な時効条件は異なってくるが、通常は250〜450℃で1〜100時間である。低温の時効ほどTiとCuの金属間化合物の成長を抑制しながら水素化チタンの析出を助長できるが、長い時効時間を要する。例えば、300℃以上400℃未満では12〜75hとすることが望ましく、更に望ましくは330〜370℃で30〜60hとする。時効温度が450℃を超えると水素の吸収が進まず、放出が始まるので、水素化が困難となる。よって400℃を超える温度域は極力避け、短時間で実施することが好ましい。
チタン銅への水素の導入は時効処理前、あるいは時効処理時に行うことができる。例えば水素雰囲気下で時効処理することにより、水素がチタン銅内部へ拡散しながら時効処理時の熱によって材料中のチタンと反応して微細な水素化チタンとして析出する。例えば、0.1〜20MPaの水素分圧として時効処理すればよい。また、時効処理時の雰囲気ガスとしては可能な限り純度の高い水素を使用することが望ましい。材料中での水素の予期せぬ挙動を防止するためである。その他、時効処理前に電解チャージする方法によっても水素を導入することが可能である。
ただし、時効処理後のチタン銅への水素の導入、例えば従来のようなAr雰囲気化での時効処理後に水素を導入してもTiとCuの金属間化合物の成長は抑制できず、本発明の効果は得られない。また、水素雰囲気下での時効処理時であっても、時効温度が水素放出の始まる温度である450℃を超えている場合には水素が導入できずにTiとCuの金属間化合物の成長が進んでしまうため、その後に水素が導入されても導電率は向上するが強度までは向上しない。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
実施例及び比較例で得られたチタン銅の試験片に対しては、下記の特性を測定した。
A.H含有量
H含有量は、熱伝導度方式を用いた水素分析装置LECO社製RH402により求めた。
B.平均結晶粒径
平均結晶粒径の測定は、圧延方向に平行な断面の組織を、エッチング(水(100mL)−FeCl3(5g)−HCl(10mL))により現出させ、単位面積当たりの結晶粒の数をカウントして、結晶粒の平均の円相当径を求めた。具体的には、100μm×100μmの枠を作成し、この枠の中に存在する結晶粒の数をカウントした。なお、枠を横切っている結晶粒については、すべて1/2個としてカウントした。枠の面積10000μm2をその合計で除したものが結晶粒1個当たりの面積の平均値である。その面積を持つ真円の直径が円相当径であるので、これを平均結晶粒径とした。
C1.Tiの水素化物(5〜20nm)の個数
Tiの水素化物のうち、5〜20nmの大きさのものの個数を走査透過型電子顕微鏡(STEM)による観察を行い判定した。具体的には、試料をFIB(Focused Ion Beam)加工装置で厚さ50〜80nm、幅5μm、長さ6μmに加工し、STEMの試料ホルダーに取り付けた。次に、STEMで高角度散乱暗視野像(High Angle Annular Dark Field)を120万倍で観察し、黒い点でTiの水素化物の有無、大きさを評価した(図1)。個数を計測する範囲を100nm×100nmの視野×試料の厚さ70nmとした。大きさについては、析出物を囲む最小円の直径をその析出物の大きさとした。
C2.Tiの水素化物(100nm〜5μm)の面積率(図2−1)
Tiの水素化物のうち、100nm〜5μmの大きさのものの面積率は、走査型電子顕微鏡(SEM)の組成像(5000倍〜20000倍)で観察し、観察視野(5000倍:17μm×23μm、20000倍:4.4μm×6μm)に占める、当該大きさの黒点部を画像処理して面積率を算出した。大きさについては、析出物を囲む最小円の直径をその析出物の大きさとした。TiとCuの金属間化合物(粒径約500nm)が水素中熱処理によってTiの水素化物に変化したものを走査透過型電子顕微鏡(STEM)により、10万倍で観察した。(図2−2)
C3.TiとCuの金属間化合物(粒径5μm以上)
TiとCuの金属間化合物からなる析出物のうち、粒径5μm以上のものの個数密度は以下の方法で算出した。
供試材を電解研磨後、走査型電子顕微鏡(SEM)の組成像を1000倍で単位視野(85μm×115μmの視野)当りの粒子個数を10視野について計数することで求めた。また、粒径については、析出物を囲む最小円の直径をその析出物の粒径とした。ここで、前記視野で観察される該当物の平均個数が0.2未満の場合には、粒子個数を実質的に0とみなした。TiとCuの金属間化合物であることを同定するために、EDX、WDXなどの分析装置が付属した電子顕微鏡を使用した。計数にあたっては、観察視野に分布する個数を目視で計数する他に、EPMAなどの元素マッピング情報から計数することも可能である。
D.Hの拡散状態
硬さの標準偏差はJIS Z-2244に従って、板厚方向断面のビッカース硬さを測定し、統計処理した。
E.強度
強度については圧延平行方向での引張試験を行って引張強度を測定した。
F.導電率
導電率(EC;%IACS)についてはダブルブリッジによる体積抵抗率測定により求めた。
チタン銅の試験片を製造するに際しては、活性金属であるTiが第2成分として添加されるから、溶製には真空溶解炉を用いた。また、本発明で規定した元素以外の不純物元素の混入による予想外の副作用が生じることを未然に防ぐため、原料は99.99%以上の純度の高いものを厳選して使用した。
[No.1〜21]
Ar雰囲気下、高周波溶解炉中のCuに、Tiを添加して1200℃で溶製し、Cu−4.5質量%Tiの組成を有する厚さ30mmのインゴットに鋳造した。上記インゴットに対して960℃で3時間の均質化焼鈍、及びそれに続く熱間圧延を行い、板厚10mmの熱延板を得た。面削による脱スケール後、冷間圧延して素条の1mm板厚とし、表1記載の条件で第1次溶体化処理を行って、表1に記載の終圧延前の板厚まで冷間圧延した。その後、急速加熱が可能な焼鈍炉に挿入して表1に記載の条件で最終の溶体化処理を行い、酸洗による脱スケール後、表1に記載の条件で最終の冷間圧延をして最終の板厚とし、最後に表1に記載の条件で時効処理して各種試験片を得た。また、時効処理を水素雰囲気下で行う場合、水素分圧7.5MPaとした。得られた試験片の各種特性を表2に示す。
最終圧延前の最終の溶体化処理が適正に行われ、最終圧延にて適正な加工度で行われ、水素雰囲気化での時効処理がなされた発明例No.1〜8はHが0.01%以上を含有し、Ti/Hが0.5を超えており、充分なチタンの水素化がなされ、粗大なTiとCuの化合物の析出が抑えられている。一方で、微細なTiとCuの化合物が析出し、水素化がなされている。その結果、高強度かつ高導電率を得ることができている。
比較例No.9はアルゴン中で時効処理を行っているため、水素化物(C1)が確認されず、引張強さと導電率が劣っている。
比較例No.10は最終の圧延加工度が高すぎるため、水素雰囲気下の時効処理で発明例と同じ熱処理を行ってもTiとCuの化合物及び水素化物が析出しやすい。その結果、本願発明の上限を超える過剰な水素化物の析出(C2)が起こり、強度が発明例より劣っている。
比較例No.11は最終圧延を行っていないため、材料中の転位の数が少ないため充分に水素が拡散せず、水素含有量が少なく、水素化物が確認されず、発明例に比較して強度不足である。
比較例No.12、18、19及び20は、最終溶体化処理の時間が長かったり、温度が高いため、結晶粒径が大きい。また、比較例No.12では、本願発明の下限以上の水素化物(C1)が得られていない。その結果、強度が低いものとなっている。また、比較例No.18、19及び20は、本願発明の下限以上の水素化物(C2)が得られず、結果導電率が発明例よりも劣っている。
比較例No.13では溶体化処理1の温度が低いため、No.14は最終溶体化処理の温度が低く、時間が長いため、大きさ5μm以上の粗大なCuとTiの金属間化合物(C3)が残存し、強度が低いものとなる。
比較例No.15とNo.16は時効処理の温度が450℃を超えるため、水素雰囲気下で熱処理しても水素化物が生成されず、強度、導電率ともに劣っている。
比較例No.17では、最終圧延が不充分であり、添加されているTiの量に対して水素の取り込みが不充分となって、強度及び導電率が劣っている。
比較例No.21では、時効処理の熱処理温度が低いため、水素化されず、強度及び導電率が劣っている。
[No.22〜49]
Ar雰囲気下、高周波溶解炉中のCuに、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、Cr、Mo、V、Nb、Zr、Si、B、P及びAgを表3に示す組成でそれぞれ添加した後、同表に示す組成のTiをそれぞれ添加して1230℃で溶製し、厚さ30mmのインゴットに鋳造した。上記インゴットに対して960℃で3時間の均質化焼鈍、及びそれに続く熱間圧延を行い、板厚10mmの熱延板を得た。面削による脱スケール後、冷間圧延して素条の板厚(1mm)とし、表4に記載の条件での第1次溶体化処理を行って、中間の板厚(0.1mm)まで冷間圧延した。その後、急速加熱が可能な焼鈍炉に挿入して表4に記載の条件で最終の溶体化処理を行い、酸洗による脱スケール後、表4に記載の条件で最終の冷間圧延をして板厚0.05mmとし、最後に表4に記載の条件で時効処理して各種試験片を得た。得られた試験片の各種特性を表5に示す。
発明例No.22〜42はTiの含有量を変更又はTi以外の第3元素を添加した場合の例であり、水素化による強度かつ導電率の向上は、発明例No.1〜8と同様な結果が得られた。比較例No.43〜49はAr雰囲気下で時効処理を行っているため、水素化物が得られず、引張強さと導電率が劣っている。

Claims (8)

  1. Tiを1〜6質量%、Hを0.01〜0.2質量%含有し、HをTiに対する原子比で0.5〜4含有し、残部銅及び不可避的不純物からなり、TiとCuの金属間化合物からなる析出物のうち、粒径5μm以上のものがないチタン銅であって、水素化チタンのうち、大きさ5〜20nmの水素化チタンの析出物が100nm×100nmの走査透過型電子顕微鏡(STEM)で観察される視野×試料の厚さ70nmにおいて20〜300個であり、大きさ100nm〜5μmの水素化チタンの面積率が走査型電子顕微鏡(SEM)の組成像の視野内において0.25〜11%であるチタン銅。
  2. 平均結晶粒径が30μm以下である請求項1に記載のチタン銅。
  3. 板厚方向に測定した硬さの標準偏差が10以下であることを特徴とする、請求項1〜2何れか一項記載のチタン銅。
  4. 第3元素群としてMg、Mn、Fe、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Zr、Si、B、P及びAgよりなる群から選択される1種又は2種以上を合計で0.5質量%以下更に含有する請求項1〜3何れか一項記載のチタン銅。
  5. Cuに、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Zr、Si、B、P及びAgよりなる群から選択される1種以上を合計で0.5質量%以下含有するように随意に添加した後、Tiを1〜6質量%含有するように添加してインゴットを製造する工程1と、
    前記インゴットを熱間圧延して冷間圧延する工程2と、
    次いで、Ti含有量に応じた固溶限温度に比べて30〜100℃高い温度に加熱して溶体化処理する工程3と、
    加工度50%〜90%で冷間圧延する工程4と、
    Ti含有量に応じた固溶限温度に比べて0〜20℃低い温度で加熱して溶体化処理する工程5と、
    次いで10%〜70%で冷間圧延する工程6と、
    次いで250〜450℃で1〜100時間時効処理する工程7と、
    を含み、
    工程7において又は工程7よりも前段階で材料中に水素を導入する工程を実施する、
    チタン銅の製造方法。
  6. 請求項1〜4何れか一項記載のチタン銅からなる伸銅品。
  7. 請求項1〜4何れか一項記載のチタン銅を備えた電子部品。
  8. 請求項1〜4何れか一項記載のチタン銅を備えたコネクタ。
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