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JP2011187906A - 太陽電池素子およびその製造方法 - Google Patents

太陽電池素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体基板側と発電電力を取り出すための電極との接合およびキャリアの取り出しの改善を図ることにより、信頼性が高く光電変換効率の優れた太陽電池素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】一導電型の半導体層と逆導電型の半導体層とを有する半導体基板2を備え、半導体基板2の少なくとも一方主面が逆導電型の半導体層であり、前記半導体基板の一方主面に対向する他方主面および前記逆導電型の半導体層のそれぞれの上に、発電電力を取り出すための電極3〜6が形成された太陽電池素子1であって、前記逆導電型の半導体層の上に形成された電極3および電極4が少なくとも銀と銅を含有している。
【選択図】図1

Description

本発明は太陽電池素子とその製造方法に関する。
半導体基板を使用した太陽電池素子において、受光面側およびその裏面側に、銀を主成分とする導電ペーストを、スクリーン印刷法を用いて所定のパターン形状に塗布することにより、銀を主成分とする電極を形成することがある。
例えば、シリコンの基板の裏面上に、アルミニウムを主成分とする導電ペーストを、スクリーン印刷法を用いて塗布し、これを焼成して集電電極を形成する。その後、この集電電極上に銀を主成分とする導電ペーストを塗布後、これを焼成して取出電極を形成する(下記の特許文献1〜3等を参照)。
特開平11−312813号公報 特開2008−109016号公報 特開2007−266649号公報
しかしながら、シリコンの基板と銀を主成分とする電極とはオーミックコンタクト性が悪い。このため、この部分でのキャリアの取り出しができないので、太陽電池素子の光電変換効率低下の一因となっていた。
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、その目的は基板側と発電電力を取り出すための電極との接合およびキャリアの取り出しの改善を図ることにより、信頼性が高く光電変換効率の優れた太陽電池素子およびその製造方法を提供することにある。
本発明の一形態に係る太陽電池素子は、一導電型の半導体層と逆導電型の半導体層とを有する半導体基板を備え、該半導体基板の少なくとも一方主面が逆導電型の半導体層であり、前記半導体基板の一方主面に対向する他方主面および前記逆導電型の半導体層のそれぞれの上に、発電電力を取り出すための電極が形成された太陽電池素子であって、前記逆導電型の半導体層の上に形成された電極が少なくとも銀と銅を含有していることを特徴とする。
また、本発明の一形態に係る太陽電池素子の製造方法は、前記逆導電型の半導体層の上に形成した電極は、銀を表面にコーティングした銅フィラーを多数含有する導電ペーストを塗布して、焼成することにより形成したことを特徴とする。
さらに、本発明の一形態に係る太陽電池素子の製造方法は、前記逆導電型の半導体層の上に形成した電極は、銀フィラーおよび銅フィラーを多数含有する導電ペーストを塗布して、焼成することにより形成したことを特徴とする。
本発明の一形態に係る太陽電池素子およびその製造方法によれば、電極と半導体基板側との接合強度を向上させることができ、信頼性が高く光電変換効率の優れた太陽電池素子
を提供できる。
本発明の一形態に係る両面電極型太陽電池素子の一例を模式的に示す図であり、(a)は太陽電池素子の受光面側外観の一例を示す平面図、(b)は太陽電池素子の裏面側外観の一例を示す平面図である。 (a)〜(e)のそれぞれは、本発明の一形態に係る両面電極型太陽電池素子の製造工程を模式的に示す断面図である。 銀を表面にコーティングした銅フィラーの断面を模式的に示した断面図である。 (a),(b)はそれぞれ、導電ペーストの銀と銅の質量比と、導電ペーストの焼成後における接合強度との関係を示すグラフである。 (a)はテストピースの平面図であり、(b)は導電ペーストの銀と銅の質量比と、導電ペーストの焼成後における抵抗値との関係を示すグラフである。 本発明の一形態に係るバックコンタクト型太陽電池素子の一例を模式的に示す図であり、(a)は太陽電池素子の受光面側外観の一例を示す平面図、(b)は太陽電池素子の裏面側外観の一例を示す平面図である。 本発明の一形態に係るバックコンタクト型太陽電池素子の一例を模式的に示す図であり、(a)は図4(a)のX−X方向断面図、(b)は図4(a)のY−Y方向断面図である。
以下、本発明の一形態に係る太陽電池素子の例について、図面を参照しながら説明する。
<<太陽電池素子の基本的な構成およびその製造方法>>
本実施形態の太陽電池素子の基本構成(以下、タイプ1)は、一導電型の半導体層と逆導電型の半導体層とを有する半導体基板を備え、この半導体基板の少なくとも一方主面が逆導電型の半導体層であり、この半導体基板の少なくとも一方主面に逆導電型の半導体層が形成され、半導体基板の一方主面(以下、第1面という)に対向する他方主面(以下、第2面という)および逆導電型の半導体層のそれぞれの上に、発電電力を取り出すための電極が形成されたものとする。そして、例えば、半導体基板の第2面および逆導電型の半導体層の少なくとも一方の上に形成された電極が銀と銅を含有している。
なお、上記タイプ1に含まれる以下の構成(以下、タイプ2)を採用してもよい。例えば、一導電型の半導体基板と、この半導体基板の少なくとも第1面に形成した逆導電型の半導体層等とを備えた場合、つまり、全体としてタイプ1の半導体基板とみなし、一導電型の半導体層と逆導電型の半導体層とを有する半導体基板(一導電型の半導体基板+逆導電型の半導体層等)を備えた場合でもよく、この場合でも上記と同様な作用・効果を期待できる。
ここで、特に、半導体基板の第2面の上に形成された電極のみが銀と銅を含有していてもよい。また、逆導電型の半導体層の上に形成された電極は、半導体基板の第1面側にのみ形成されていてもよい。また、逆導電型の半導体層の上に形成された電極は、半導体基板の第2面側にも形成されていてもよく、この場合、半導体基板の両主面を貫通する貫通孔を多数有し、逆導電型の半導体層は貫通孔にも形成されており、貫通孔内には導体が設けられ、かつ半導体層の上に形成された電極は、導体を介して、半導体基板の第2面側にも導出されて形成されていてもよい。そして、この場合に、特に貫通孔内に設けた導体が少なくとも銀と銅を含有していてもよい。
また、上記構成の太陽電池素子を製造するために、逆導電型の半導体層の上に形成した
電極は、例えば銀を表面にコーティングした銅フィラーを多数含有する導電ペーストを塗布して、焼成することにより形成する。あるいは、例えば銀フィラー、銅フィラーおよび有機ビヒクル等を混練して、所定の粘度に調整した導電ペーストを塗布して、焼成することにより形成してもよい。
以下に、太陽電池素子を、半導体基板の受光面である第1面とこれと対向する裏面である第2面に異なる極性の電極を設けた両面電極型太陽電池素子と、裏面側に異なる両極性の電極を設けたバックコンタクト型太陽電池素子とに分けて説明する。
なお、太陽電池素子の発電部分に使用する材料は、その発電部分からの電力を取り出すための電極の材料を焼結する温度(500℃以上)でも作製が可能なものであれば限定されないが、簡単のため本実施形態ではシリコン系太陽電池素子のタイプ1について説明する。
<<両面電極型太陽電池素子>>
図1(a),(b)に示すように、両面電極型の太陽電池素子1は、光が入射する受光面である第1面2aとこれに対向する裏面である第2面2bとを有する半導体基板2と、この半導体基板2の第1面2a上に設けられたバスバー電極3およびフィンガー電極4と、第2面2b上に設けられた集電電極5と、出力取出電極6と、を有する。
半導体基板2は、例えば単結晶シリコンまたは多結晶シリコンなどから成るシリコンウエハなどから構成され、例えば1辺が150〜160mm程度の矩形の平板状をなす。また、半導体基板2は一導電型の半導体層と逆導電型の半導体層とを有する。すなわち、このシリコンウエハの内部には、p型シリコンの層とn型シリコンの層とがあり、これらの接合(pn接合)部が形成されている。このシリコンウエハは後で説明するように、例えば、一導電型のバルク層と逆導電型の表面層とでpn接合部が形成される。このように、太陽電池素子1は、主に一導電型の半導体基板2を備え、この半導体基板2の少なくとも一方主面に逆導電型の半導体層が形成されている。
第1面2a上に形成される電極は、幅1mm〜3mm程度の幅の広いバスバー電極3と、バスバー電極3に対して略垂直に交わるように設けられており、幅50〜200μm程度の細いフィンガー電極4とから成る。このようなバスバー電極3およびフィンガー電極4の厚みは、10〜20μm程度である。また、第1面2aの全面には、予め反射防止膜8を形成しておくことが望ましい。
第2面2b上に形成される電極は、集電電極5および出力取出電極6である。この出力取出電極6の厚みは10μm〜20μm程度であり、幅は3.5mm〜7mm程度である。また、集電電極5の厚みは15μm〜50μm程度である。
このようなフィンガー電極4および集電電極5は、発生したキャリアを集電する役割を有し、バスバー電極3および出力取出電極6は、フィンガー電極4および集電電極5で集めたキャリア(電力)を集め、外部に出力する役割を有している。
次に、太陽電池素子1の作用について説明する。太陽電池素子1の第1面2a側から光が入射すると、この光は半導体基板2で吸収・光電変換(電子−正孔対(電子キャリアおよび正孔キャリア)が生成される)。この光励起起源の電子キャリアおよび正孔キャリア(光生成キャリア)が上述のpn接合の働きにより、太陽電池素子1の第1面2aおよび第2面2bのそれぞれに設けられた電極に集められ、両電極間に電位差が生ずる。
<<太陽電池素子の製造方法>>
次に、このタイプの太陽電池素子1の製造方法の一例について説明する。
まず、図2(a)に示すように、一導電型の単結晶または多結晶のシリコンから成る半導体基板2を準備する。この半導体基板2は、例えばボロン(B)などのp型の導電型を呈する比抵抗0.2〜2.0Ω・cm程度のp型基板が好適に用いられる。なお、場合によっては一導電型としてn型を呈する基板を用いてもよいが、以下、p型基板を例にとり説明する。
半導体基板2が単結晶シリコンウエハの場合は、チョクラルスキー法などの引き上げ法などによって作製される。半導体基板2が多結晶シリコンウエハの場合は鋳造法などによって作製される。
多結晶シリコンウエハは大量生産が可能であり、製造コスト面で単結晶シリコンウエハよりも有利であるので、以下、半導体基板2として多結晶シリコンを用いた例を説明する。
多結晶シリコンのインゴットは、例えばワイヤーソーなどを用いて350μm以下、より好ましくは200μm以下の厚みにスライスして半導体基板2とする。なお、半導体基板2の表面に付着したスライス時の汚染層を清浄化するために、表面をNaOH、KOH、またはフッ酸とフッ硝酸の混合溶液などを用いて、ごく微量エッチングすることが望ましい。
次に、半導体基板2の第1面2a側に、ドライエッチング方法またはウェットエッチング方法などを用いて、RIE(リアクティブイオンエッチング)装置などを用いて光反射率低減機能を有する凹凸(粗面化)構造を形成するのが好ましい。
その後、図2(b)に示すように、半導体基板2の表面全体にn型層9を形成する。n型化ドーピング元素としてはP(リン)を用いることが好ましく、シート抵抗が30〜300Ω/□程度のn型とする。これによって、n型層9とp型バルク領域10との間にpn接合部が形成される。
n型層9の形成は、例えば、半導体基板2を700〜900℃程度に昇温して、この温度に維持しながら、拡散源22として用いるガス状態にしたPOCl(オキシ塩化リン)雰囲気中で、気相熱拡散法などによって20〜40分程度処理することにより行う。これにより、n型層9は0.2〜0.7μm程度の厚みに形成される。この際に、半導体基板2の表面全体にリンガラスが形成される。そこで、このリンガラスを除去するために、この半導体基板2をフッ酸に浸漬し、洗浄乾燥することが必要になる。
その後、図2(c)に示すように、半導体基板2の第2面2bの端面外周部に形成されているn型層9の部分を除去して、この除去部7によりpn分離を行う。このn型層9の部分の除去は、アルミナまたは酸化シリコンの粒子を高圧でシリコンウエハの第2面2bの端面外周部に吹きつけるサンドブラスト法、またはYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザーなどにより、pn接合部に達する分離溝を形成することで行う。これにより、pn分離を行うことができる。
さらに、このpn分離後に、図2(c)に示すように、第1面2aに反射防止膜8を形成する。反射防止膜8の材料としては、SiNx膜(ただし、組成比「x」はSiストイキオメトリを中心にして幅がある。)、TiO膜、SiO膜、MgO膜、ITO膜、SnO膜またはZnO膜などを用いることができる。反射防止膜8の厚さは、材料によって適宜選択されて、適当な入射光に対して無反射条件を実現できるようにする。例えば半導体基板2の場合、屈折率は1.8〜2.3程度、厚み500〜1200Å程度にすればよい。反射防止膜8の製法としては、PECVD法、蒸着法またはスパッタ法な
どを用いることができる。
次に図2(d)に示すように、半導体基板2の第2面2b側に集電電極5を形成する。集電電極5は、アルミニウムを主成分とするペーストを第2面2bの外周辺部1〜5mm程度を除いて、第2面2bの略全面に塗布することで形成する。この塗布法としては、スクリーン印刷法などを用いることができる。この集電電極5の形成に用いるペーストは、アルミニウム粉末と有機ビヒクルなどからなるものであり、これを塗布した後、温度700〜850℃程度で熱処理(焼成)してアルミニウムを半導体基板2に焼き付ける。このアルミニウムペーストを印刷し、焼成する。これにより、p型不純物であるアルミニウムを半導体基板2の塗布部分に高濃度に拡散させることができ、裏面側にも形成されているn型層をp型とすることができる。
次に図2(e)に示すように、第1面2aの電極(バスバー電極3およびフィンガー電極4)と第2面2bの出力取出電極6を形成する。
このようにして、第2面2bの出力取出電極6は、導電ペーストを塗布することにより形成することができる。
以下に、上記導電ペーストとして、コーティングフィラーを用いる場合および混合フィラーを用いる場合のそれぞれについて説明する。
<コーティングフィラーを用いた例>
銀を表面にコーティングした銅フィラーを用いる例について説明する。図3に示すように、銅フィラー13は、銀層15を銅本体14の表面にコーティングしている。ここで、銅フィラー13は、例えば直径0.1〜10μm程度の球状であるが、この形状に限定されるものではなく、例えば断面が楕円となるラグビーボール状、または角部を持つ多面体形状でもよい。なお、銅本体14の表面には微細な凹凸が形成されていてもよい。この銅フィラー14の材料としては、純度99.9質量%以上の銅とすると好適である。特に、太陽電池素子1の直列抵抗成分を低下させるために、抵抗の低い無酸素銅をより好適に用いることができる。
銅本体14の表面には、銀層15を0.005μm〜0.1μm程度の厚みでコーティングする。このコーティングは、均一の厚みでコーティングできるため、置換法で行うことが望ましい。このコーティングする銀層15は、99.9質量%以上の純度を持ったものが望ましい。
第2面2bの出力取出電極6を形成する導電ペーストは、銀層15を表面にコーティングした銅フィラー13の多数と有機ビヒクルとガラスフリットとを、銀層15を表面にコーティングした銅フィラー13の多数からなる100質量部に対して、有機ビヒクルを10〜20質量部とし、ガラスフリットを5〜15質量部としたものを添加したものである。さらに、テレピネオールなどの溶剤を用いて、50〜200Pa・sの程度の粘度に調節したものを用いることができる。
塗布法としては、スクリーン印刷法などを用いることができ、塗布後所定の温度で溶剤を蒸散させて乾燥させることが好ましい。
集電電極5上に銀層15を表面にコーティングした銅フィラー13を含有する導電ペーストを塗布後、焼成炉内にて最高温度が500〜650℃で数十秒〜数十分程度焼成することにより裏面電極(集電電極5、出力取出電極6)を形成する。銀層15を表面にコーティングした銅フィラー13を含有する導電ペーストの焼成においては、銅フィラー13
の酸化を抑制するため、炉内のピーク温度付近の位置の酸素濃度が100ppm〜500ppmになるように、窒素ガスなど不活性ガスを炉内部に導入することが望ましい。
通常、太陽電池素子1の出力取出電極6の形成において、銀を主成分とする導電ペーストを用いた場合、アルミニウムを主成分とする集電電極5と出力取出電極6の接合強度が弱い。なぜなら、アルミニウムを主成分とする集電電極5のアルミニウムの表面酸化により充分な接着力が得られないからである。
このため、太陽電池素子1の完成後の太陽電池モジュール製造工程において、太陽電池素子同士を繋ぐための接続タブの出力取出電極6へのハンダ付けなどで、出力取出電極6の剥離が発生する心配があった。そこで、この対策として、集電電極5を形成するためのアルミニウムを主成分とするペーストを第2面2bに塗布する際、出力取出電極6が配置される箇所に、部分的にアルミニウムを主成分とするペーストが塗布されない部分を故意に作製していた。これにより、半導体基板2と出力取出電極6が直接接する部分を作製し、この部分の強固な接合強度を利用して、後工程での出力取出電極6の剥離を抑制していた。
しかしながら、このような構造にすると、p型シリコンと銀電極はオーミックコンタクト性が悪いため、この部分での光発生キャリアの取り出しができないので、ロスが発生し太陽電池素子の光電変換効率低下の一因となっていた。
これに対して、本実施形態の太陽電池素子においては、第2面2bの出力取出電極6は、銀層15を表面にコーティングした銅フィラー13を含有する導電ペーストを塗布することにより形成する。このため、集電電極5の主成分であるアルミニウムと銅の接合強度を、上述の太陽電池モジュール工程においても、出力取出電極6の剥離の心配が無いほど十分強固にすることが可能になる。これにより、信頼性を向上させることができる。また、集電電極5を形成するときに、部分的にアルミニウムを主成分とするペーストが塗布されない部分を設ける必要が無い。これにより、半導体基板2と出力取出電極6が直接接する部分を無くすことができ、太陽電池素子の光電変換効率を向上させることが可能となる。さらに、導電ペーストにおける高価な銀の使用量を減らせる。
また、第2面2b側の電極形成の工程は、上述のようにアルミニウムペーストを塗布・焼成して集電電極5を形成し、その後、銀を表面にコーティングした銅フィラーを多数含有する導電ペーストを塗布・焼成し出力取出電極6を形成して、焼成工程を別々にしてもよい。あるいは、アルミニウムペーストを塗布・乾燥した後、銀を表面にコーティングした銅フィラーを多数含有する導電ペーストを塗布し、両者を同時に焼成してもよい。
次に、半導体基板2の第1面2aの電極(バスバー電極3とフィンガー電極4)の形成は、同様にして銀層15を表面にコーティングした銅フィラー13を含有する導電ペーストを用いることで可能である。すなわち、反射防止膜8の上にバスバー電極3とフィンガー電極4を、銀層15を表面にコーティングした銅フィラー13を含有する導電ペーストで直接塗布し焼き付けて形成する。この結果、第1面2aの電極の焼成時に電極中のガラス成分が反射防止膜8を突き破ることになり、この電極の直下はn型層9になる。これにより、第1面2aのバスバー電極3およびフィンガー電極4と、n型層9とを電気的に接触させることができる。第1面2aの電極にも、銀層15を表面にコーティングした銅フィラー13を含有する導電ペーストを用いると製造コストの面でよい。
また、第1面2aの電極を通常の銀を主成分とした導電ペーストで形成することも可能である。銀を主成分とした導電ペーストは、銀からなる金属粉末銀100質量部に対して、有機ビヒクルを5〜30質量部、およびガラスフリットを0.1〜10質量部、それぞ
れを添加して、ペースト状にした銀ペーストを所定の電極形状に塗布し、最高温度が600〜850℃で数十秒〜数十分程度焼成することにより形成可能である。塗布法としては、スクリーン印刷法などの周知の方法を用いることができる。
<混合フィラーを用いた電極形成>
出力取出電極6を形成するための導電ペーストは、例えば、多数の銀フィラーと多数の銅フィラーと有機ビヒクルとガラスフリットを銀と銅の合計100質量部に対してそれぞれ5〜30質量部、0.1〜15質量部配合、混練し、溶剤を用いて、50〜200Pa・sの程度の粘度に調節したものを用いてもよい。
この混練は、多数の銀フィラーと有機ビヒクルとガラスフリットを上記の割合で混練しペースト状にする。この作業と並行して多数の銅フィラーと有機ビヒクルとガラスフリットを上記の割合で混練しペースト状にする。そして、これら2つのペーストを予め用意しておき、これらペーストを所定の割合で混練し、その後溶剤を用いて所定の粘度の調整する。これにより、銀と銅のフィラーがより均一に混ざり合うため好ましい。
塗布法としては、スクリーン印刷法などを用いることができ、塗布後所定の温度で溶剤を蒸散させて乾燥させることが好ましい。
集電電極5上に銀と銅を含有する導電ペーストを塗布、乾燥後、焼成炉内にて最高温度が500〜650℃で数十秒〜数十分程度焼成することにより出力取出電極6を形成する。この銀と銅を含有する導電ペーストの焼成においては、含有している銅フィラーの酸化を防止するため、炉内のピーク温度付近の位置の酸素濃度が500ppm未満になるように、窒素ガスなど不活性ガスを炉内部に導入することが望ましい。
通常、太陽電池素子の出力取出電極6形成において、銀のみを主成分とする導電ペーストを用いた場合、アルミニウムを主成分とする集電電極5と出力取出電極6の接合強度が弱くなる。このため該太陽電池素子の完成後の太陽電池モジュール製造工程において、太陽電池素子同士を繋ぐための接続タブの出力取出電極6へのハンダ付けなどで、出力取出電極6の剥離が発生する心配があった。このための対策として、集電電極5を形成するためのアルミニウムを主成分とするペーストを第2面2bに塗布するときに、出力取出電極6が配置されるところに、部分的にアルミニウムを主成分とするペーストが塗布されない部分を故意に造っていた。これにより半導体基板2と出力取出電極6が直接接する部分を作製し、この部分の強固な接合強度を利用して、後工程での出力取出電極6の剥離を防止していた。
しかしながらこのような構造にすると、p型シリコンと銀電極はオーミックコンタクト性が悪いため、この部分での光発生キャリアの取り出しができないので、ロスが発生し太陽電池素子の光電変換効率低下の一因となっていた。
これに対し本発明に係る太陽電池素子においては、第2面2bの出力取出電極6は、銀と銅を含有する導電ペーストを塗布することにより形成するため、集電電極5の主成分であるアルミニウムと銅の接合強度を、上述の太陽電池モジュール工程においても出力取出電極6の剥離の心配が無いほど十分強固にすることが可能となり、その信頼性を向上させることができる。
また、集電電極5を形成するときに、部分的にアルミニウムを主成分とするペーストが塗布されない部分を故意に造る必要が無く、半導体基板2と出力取出電極6が直接接する部分を無くすことができ、太陽電池素子の光電変換効率を向上させることが可能となる。さらに導電ペーストにおける銀の使用量を減らせるため、製造コストの面でよい。
さらに、発明者らが繰り返し行ったテストの結果では、この導電ペーストに含有される銀と銅の質量比は、銀:銅=2:8〜7:3の範囲であることが望ましい。
図4(a)は、半導体基板2上に上記のようにアルミニウムを主成分とするペーストを、スクリーン印刷法を用いて第2面2bの略全面に塗布、焼成することで形成した集電電極5上に、銀と銅の質量比を変えた導電ペーストをスクリーン印刷法を用いて所定の電極パターンに塗布し、最高温度約600℃程度で焼成することで形成した出力取出電極6の集電電極5との接合強度を測定した結果である。
図4(a)に示すように、第2面2bの集電極5上の出力取出電極6においては、銀と銅の質量比である銀:銅が、10:0から8:2の範囲では接合強度は銅とアルミニウムの合金の生成が不充分のため弱く、銀:銅が10:0から7:3までは、銅とアルミニウムの合金の生成が増加するために急激な上昇がみられるものと考えられる。さらに銀:銅=2:8から0:10の範囲では、酸化した銅の割合が大きくなるため、銀:銅=2:8から0:10まで急激に低下するものと思われる。
またこの第2面2b側の電極形成の工程は、上述のようにアルミニウムペーストを塗布・焼成して集電電極5を形成し、その後銀と銅を含有する導電ペーストを塗布・焼成して出力取出電極6を形成して焼成工程を別々にしても良いし、アルミニウムペーストを塗布・乾燥した後、銀を表面にコーティングした銅フィラーを含有する導電ペーストを塗布し、両者を同時に焼成してもよい。
次に半導体基板2の第1面2aの電極(バスバー電極3とフィンガー電極4)を形成する。このバスバー電極3とフィンガー電極4の形成においても、本発明に係る銀と銅を含有する導電ペーストを塗布することにより形成することが望ましい。
バスバー電極3とフィンガー電極4を形成するための導電ペーストは、例えば銀のフィラーと銅のフィラーと有機ビヒクルとガラスフリットを銀と銅の合計100質量部に対してそれぞれ5〜30質量部、0.1〜15質量部配合、混練し、溶剤を用いて、50〜200Pa・sの程度の粘度に調節したものである。
塗布法としては、スクリーン印刷法などを用いることができ、塗布後所定の温度で溶剤を蒸散させて乾燥させることが好ましい。
バスバー電極3とフィンガー電極4を形成するための導電ペーストを塗布、乾燥後、焼成炉内にて最高温度が500〜650℃で数十秒〜数十分程度焼成することによりバスバー電極3とフィンガー電極4を形成する。この銀と銅を含有する導電ペーストの焼成においては、含有している銅フィラーの酸化を防止するため、炉内のピーク温度付近の位置の酸素濃度が500ppm未満になるように、窒素ガスなど不活性ガスを炉内部に導入することが望ましい。
また、バスバー電極3とフィンガー電極4を形成するための導電ペーストの焼成は、上述の出力取出電極6を形成するための導電ペーストの焼成と同時に行うことが、別々に焼成するよりもバスバー電極3、フィンガー電極4と出力取出電極6とも焼成が1回になり、銅の酸化を抑制できるため望ましい。
このように反射防止膜8の上にバスバー電極3とフィンガー電極4の所定形状に銀と銅を含有する導電ペーストを直接塗布し、焼成することによって第1面のバスバー電極3、フィンガー電極4とn型層9を電気的に接触させる。
これにより銀と銅の両方の粒子がn型層9と接触することにより、オーミックコンタクト性が改善され、完成した太陽電池素子の光電変換効率を向上させることが可能となる。さらに銀と銅を含有する導電ペーストを用いることにより、製造コストの面で望ましい。
また、銀と銅を含有する導電ペーストを、バスバー電極3とフィンガー電極4の形成に用いる場合、発明者らが繰り返し行ったテストの結果では、図4(b)に示すように、導電ペーストに含有される銀と銅の質量比は、銀:銅=9:1〜3:7の範囲であることが望ましい。
図4(b)は、半導体基板2上に反射防止膜として厚さ700〜900Å程度の窒化シリコン膜をプラズマCVD装置を用いて成膜し、この反射防止膜上に銀と銅の質量比を変えた導電ペーストをスクリーン印刷法を用いて所定の電極パターンに塗布し、最高温度約600℃程度で焼成することで形成した出力取出電極6の集電電極5との接合強度を測定した結果である。
図4(b)に示すように、第1面2aのバスバー電極3とフィンガー電極4においては、銀と銅の質量比である銀:銅が、10:0では接合強度はガラスフリットのシリコンへの浸透が不充分のため弱く、銀:銅が10:0から9:1の範囲では銅によりガラスフリットのシリコンへの浸透が促進されるために急激な上昇がみられるものと考えられる。さらに銀:銅=3:7から0:10の範囲では、酸化した銅の割合が大きくなるため、銀:銅=3:7から0:10まで急激に低下するものと思われる。
図5(a)は、この電極とn型層9との接合部の抵抗を測定するために作製したテストピースの平面図である。これは、約150mm角のp型多結晶シリコン基板2の表面に、リンをシート抵抗が50〜100Ω/□程度になるように拡散させてn型層9とし、そのほぼ中央部に約50mmの間隔Dを開けて、長さ約130mm、幅約2mmで銀と銅の質量比を変えた導電ペーストをスクリーン印刷し、その後焼成して、電極12a,12bを形成したものである。焼成後、電極12a,12bのそれぞれの厚みは、約13μmであった。その後に、電極12a,12b間の抵抗を測定した。
図5(b)は、使用した導電ペーストに含有される銀と銅の質量比と、導電ペーストの焼成後の抵抗値との関係を示すグラフである。
これより明確なように、銀と銅の質量比が、9:1〜3:7の範囲では、抵抗値は100mΩ未満の小さい値であり、オーミックコンタクト性は良好であるが、この範囲外では急激に上昇していることがわかる。
その理由は、銀と銅の質量比が0:10〜2:8の範囲では酸化した銅の割合が大きくなるための影響と考えられ、また、銀と銅の質量比10:0では銅によるオーミックコンタクト性の改善の効果が見られないためと考えられる。
<<バックコンタクト型太陽電池素子>>
次に、バックコンタクト型の太陽電池素子について説明する。
図6,7に示すように、本実施形態の太陽電池素子21は、太陽光の受光面となる第1面21aと、その裏面となる第2面21bとを含み、第1面21aと第2面21bとを貫通する複数の貫通孔28を有する半導体基板25から成る。
また、この貫通孔28の内部には導体である導電性充填材Gが充填され、貫通孔電極2
2bが形成されている。
太陽電池素子21の第1面21a上に形成された受光面電極22aは、図6(a)に示すように、複数本の直線細線状の電極がほぼ等間隔に設けられ、さらに各々1本の受光面電極22aには貫通孔電極22bをほぼ同じ位置にそれぞれ1〜5個程度接続されている。このように、一本の受光面電極22aに一つ以上の貫通孔電極22bを備えることになり、一つの貫通孔電極22bにおける光電流の密度を小さくすることができ、太陽電池素子の抵抗成分を下げることができる。
この第1面21aの電極に対応する第2面21bに形成された電極の形状は、図6(b)に示すように、まず貫通孔電極22bの直下に、これと電気的に接続された矩形状の第1電極22cが複数個、一直線上にほぼ一定間隔で配置される。この第1電極22cの一つには、貫通孔電極22bが一つまたは複数個、接続されている。
さらに、第2面21bには、第1電極22cとは異なる極性を持った第2電極23が設けられる。この第2電極23は集電電極23aと出力取出電極23bから成る。
すなわち、上記の直線状に配置された第1電極22cとその周辺部以外の部分に、集電電極23aが配置され、この集電電極23a上に出力取出電極23bが形成される。
出力取出電極23bは、各々集電電極23a上の対向する位置に設けられる。この対向する出力取出電極23bの2つの領域は、第3電極24で電気的に接続されている。
半導体基板25は一導電型を有し、この半導体基板25の第1面21aおよび裏面1bには、図7(a),(b)に示すように、半導体基板25の導電型と異なる逆導電型半導体層26(第1逆導電型層26a、第3逆導電型層26c)を有する。また半導体基板25の電極用貫通孔28の内面には、第2逆導電型層26bが設けられている。
一導電型を示す半導体基板25としてp型のシリコン基板を使用する場合、このような逆導電型層26はn型となり、例えばリンなどのn型不純物を半導体基板25表面と電極用貫通孔28の内面に拡散することで形成される。
また図7(a),(b)において、集電電極23aの電極材料として主としてアルミニウムが用いられた場合、これを塗布、焼成して集電電極23aを形成する際に、高濃度ドープ層30を同時に形成することができる。すなわち集電電極23aは、高濃度ドープ層30上に形成されることになる。これにより、半導体基板25中で生成されたキャリアが効率よく集電される。ここで、高濃度とは半導体基板25における一導電型不純物の濃度よりも不純物濃度が大きいことを意味する。
このように、本実施形態の太陽電池素子21では、その第1面21aおよび貫通孔28内部には、受光面電極22aと貫通孔電極22bが設けられ、その第2面21b上においては、逆導電型半導体層26上に第1電極22cが設けられ、また逆導電型半導体層26の非形成部には、第2電極23として集電電極23aと出力取出電極23bが設けられる。
また、半導体基板25の一導電型(例えばp型)と逆導電型層(例えばn型)を電気的に分離(pn分離)するため、図4(a)に示すように、第1電極22cを取り囲むように、その周辺部に分離溝29aが設けられ、さらに半導体基板25の裏面21bの外周端部に分離溝29bが設けられる。
本実施形態の集電電極23a上の出力取出電極23bは、銀を表面にコーティングした銅フィラーを多数含有する導電ペーストをプリント印刷法などにより塗布し、焼成することで形成される。これにより、集電電極2と出力取出電極23bの接合強度を向上することができ、より信頼性の高い太陽電池素子21を提供することが可能となる。
<<バックコンタクト型太陽電池素子の製造方法>>
次に、本実施形態の太陽電池素子21の製造方法について説明する。
<半導体基板の準備工程>
まず、一導電型を示す半導体基板25として、例えばボロンなどがドープされたp型のシリコン基板を準備する。このシリコン基板は、シリコンインゴットから切り出された単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板からなるシリコン基板を用いればよく、シリコン基板の大きさは例えば一辺140〜180mm程度の正方形または矩形で、その厚みは150μm〜300μm程度にすればよい。
<貫通孔の形成工程>
次に、半導体基板25の第1面21aと裏面21bとの間に貫通孔28を形成する。この貫通孔28は、機械的ドリル、ウォータージェットあるいはレーザー装置等を用いて、例えば半導体基板25の第2面21b側から第1面21a側に向けて形成される。特に、貫通孔28の形成時またはその形成後のマイクロクラックの発生抑制のために、レーザーなどが好適に用いられる。このようなレーザーとしては、例えばエキシマレーザー、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザーまたはYVO(イットリウム・バナデイト)レーザー等を使用することができる。なお形成される貫通孔28の直径は20〜50μm程度が好ましい。
<表面エッチング>
貫通孔28を設けた半導体基板25を、水酸化ナトリウムが10〜30質量%程度で、60〜90℃の水酸化ナトリウム水溶液で5〜20μm程度エッチングする。これにより、貫通孔28内部の側面もエッチングされ、その表面が粗面化される。この粗面化により導電性充填材Gとの接触面積を増加させることができ、両者の接着強度を向上せせることが可能となる。また、このエッチングにより、上述のシリコンインゴットから切り出し時に生じたダメージ層をも除去することができる。さらに、第1面21aも粗面化でき、太陽電池素子21に入射した光の反射を抑えることができ、その光電変換効率をより向上させることができる。
<逆導電型層の形成工程>
次に、半導体基板25の表面に逆導電型層26を形成する。逆導電型層26を形成するためのn型化ドーピング元素としてはリン(P)を用い、シート抵抗が60〜300Ω/□程度のn型とする。これにより、逆導電型層26とp型バルク領域との間にpn接合部が形成される。
さらに、この逆導電型層26に例えば気相拡散法が用いられた場合、半導体基板25の両面および貫通孔28内壁に、同時に逆導電型層26を形成することができる。この貫通孔28の内壁に逆導電型層26bが形成されたことにより、この部分のリーク電流を抑えることが可能になる。
<反射防止膜の形成工程>
次に、第1逆導電型層26aの上に、反射防止膜27を形成することが好ましい。この反射防止膜27の材料としては、窒化珪素膜または酸化チタン膜などを用いることができる。反射防止膜27の形成方法としては、PECVD法、蒸着法またはスパッタ法などを
用いることができる。
<受光面電極と貫通孔電極の形成工程>
次に、半導体基板25に、受光面電極22aと貫通孔電極22bを形成する。これらの電極は、半導体基板5の第1面1cにスクリーン印刷法などの塗布法を用いて銀を表面にコーティングした銅フィラーを多数含有する導電ペーストを塗布し、焼成することにより形成される。
また、通常の銀を主成分とする導電ペーストを用いて、これを塗布、焼成することで受光面電極22aと貫通孔電極22bを形成してもよい。
<集電電極の形成工程>
次に、半導体基板25の裏面21b上に、集電電極23aを形成する。これは、スクリーン印刷法を用いて、半導体基板25の裏面21b上にアルミニウムを主成分とする導電性ペーストを所定の電極形状に塗布し、その後、上述のように焼成することにより集電電極23aを形成する。また、これにより一導電型半導体不純物が高濃度に拡散された高濃度ドープ層30を形成することも可能となる。
<第1電極と出力取出電極と第3電極の形成工程>
次に、半導体基板25の第2面21b上に第1電極22cと出力取出電極23bと第3電極24とを形成する。本実施形態の太陽電池素子21においては、第1電極22cと出力取出電極23bと第3電極24を、両面電極型太陽電池素子で説明したように、銀層を表面にコーティングした銅フィラーを多数含有する導電ペーストを用いて行う。
すなわちスクリーン印刷法を用いて、半導体基板25の裏面21bに、例えば、図1(a)に示されたような第1電極22cと出力取出電極23bと第3電極24の形状に、図3に示すように、銀層15を表面にコーティングした銅フィラー13を多数含有する導電ペーストを塗布し、その後上述のように焼成することで第1電極2cと出力取出電極3bと第3電極4とを形成する。
<pn分離工程>
例えば、上述の気相拡散法を用いて逆導電型層の形成を行った場合、半導体基板25の両面および貫通孔28内壁に、同時に逆導電型層26が形成される。このため、半導体基板25の第1面21aと裏面21bの逆導電型層を分離(pn分離)する。このpn分離は、裏面21bの周辺部のみに酸化珪素やアルミナなどの粉末を高圧で吹きつけ裏面21bの周辺部の逆導電型層を削り取るブラスト加工法や裏面21bの周辺端部に分離溝29bを形成するレーザー加工法で可能である。
次に、第1電極22c周囲部分のpn分離を行う。第1電極22cの周辺部、すなわち第1電極22cと集電電極23a、第3電極24の間にできた半導体基板25の部分にYAGレーザー(波長1064nm)などを用いてレーザー光を照射し、矩形状に分離溝29aを形成することで行う。
以上により、両面電極型太陽電池素子と同様な効果を奏することができるバックコンタクト型太陽電池素子が完成する。なお、バックコンタクト型太陽電池素子は上述の太陽電池素子に限定されるものではなく、貫通孔を形成しないIBC(Interdigitated Back Contact)構造のバックコンタクト型太陽電池素子においても応用可能である。
<<タイプ2について>>
タイプ2の場合については詳しく述べなかったが、例えば、n型のシリコン基板の一方
主面上に、i型およびp型のアモルファスシリコン層をこの順で製膜し、他方主面上に例えばi型およびn型のアモルファスシリコン層をこの順で製膜して、全体として1つの半導体基板を構成するような場合、いわゆるヘテロ構造を有する太陽電池素子に対しても、本実施形態を適用することは可能であり、タイプ1と同様な作用・効果を期待することができる。
以下に、両面電極型太陽電池素子の実施例について説明する。
<実施品1の作製>
まず、鋳造法で作製した多結晶シリコンからなる半導体基板2を準備した。この半導体基板2は、p型不純物であるボロン(B)を1×1016〜1018atoms/cm程度含有したものであり、その大きさは約150mm角、厚さは約0.2mm程度のものである。
この半導体基板2の表面を清浄化するために、その表面を濃度が20%程度の水酸化ナトリウム水溶液でごく微量エッチングし洗浄した。
次に、光入射面となる半導体基板2の第1面2a側に、RIE(リアクティブイオンエッチング)装置を用いて、光反射率低減機能を有する微細な凹凸(粗面化)構造を形成した。
その後、半導体基板2の表面全体にn型層9を形成した。n型化ドーピング元素としてはリン(P)を用い、シート抵抗が50〜100Ω/□程度のn型とした。これによって、上述のn型層9とp型バルク領域との間にpn接合部が形成された。
このn型層9の形成は、次のようにして行った。半導体基板2を700〜900℃程度に昇温して維持しながら、拡散源としてガス状態にしたオキシ塩化リン(POCl)雰囲気中で20〜40分程度処理する気相熱拡散法によって、n型層9が0.3〜0.6μm程度の深さに形成した。この場合、半導体基板2の表面全体にリンガラスが形成されるので、このリンガラスを除去するために、この半導体基板2をフッ酸に10秒程度浸漬し、洗浄乾燥した。
次に、反射防止膜5を形成した。すなわち第1面2a側の表面に反射防止膜8として、窒化シリコン(SiNx)膜をPECVD装置で、約450℃程度の温度でモノシランガスまたはアンモニアガスを用いて成膜した。この窒化シリコン(SiNx)膜は、反射防止効果を発現させるために、屈折率は2.0程度、膜厚は80nm程度とした。
その後、pn分離を行うため、半導体基板2の第2面2b側の外周端部にレーザービームを照射し、pn接合部に達する深さ以上に分離溝を形成した。このレーザー装置はYAGレーザー装置で行った。 その後、半導体基板2の第2面2b側に集電電極5を形成した。この集電電極5は、アルミニウムを主成分とするペーストを第2面2bの外周辺部1〜3mm程度を除いて、第2面2bの略全面にスクリーン印刷法を用い塗布することで形成した。
この集電電極5の形成に用いるペーストは、アルミニウム粉末と有機ビヒクルからなるものであり、これを塗布した後、温度800〜850℃程度で焼成してアルミニウムを半導体基板(シリコンウエハ)2に焼き付けた。焼成後の集電電極5の厚みは約30〜50μmであった。
次に、反射防止膜8の上に、導電ペーストをスクリーン印刷法を用いて、所定のパターンに直接塗布し、焼成することによって受光面側バスバー電極3と受光面側フィンガー電極4を形成した。
これに使用する導電ペーストは、銀粉末と有機ビヒクルとガラスフリットを銀100質量部に対してそれぞれ5〜30質量部、0.1〜10質量部を添加したものである。焼成は、導電ペーストを塗布・乾燥させた後、焼成炉内にて最高温度が700〜850℃で数秒程度焼成することにより行った。このような焼成後の受光面側バスバー電極3および受光面側フィンガー電極4の厚みは、10〜20μm程度であった。
次に、第2面2b側の集電電極5上に、銀層を表面にコーティングした銅フィラーを多数含有する導電ペーストを所定のパターンに塗布し、焼成することによって、出力取出電極6を形成した。
この導電ペーストは、上述の通り銀層を表面にコーティングした銅フィラーと有機ビヒクルとガラスフリットを、銀を表面にコーティングした銅フィラー13を100質量部に対して、有機ビヒクル15質量部、ガラスフリット12質量部を添加したものである。さらにテルピネオールを用いて、150Pa・s程度の粘度に調節したものを用いた。
塗布法としては、スクリーン印刷法を用い、塗布後乾燥炉で80〜120℃程度で10〜20分程度、溶剤を蒸散させて乾燥させた。
集電電極5上に銀層を表面にコーティングした銅フィラーを多数含有する導電ペーストを塗布後、焼成炉内にて最高温度が500〜600℃で数十秒〜数十分程度焼成した。この銀を表面にコーティングした銅フィラーを多数含有する導電ペーストの焼成においては、銅フィラーの酸化を抑制するため、炉内のピーク温度付近の位置の酸素濃度が180ppm〜370ppmになるように、窒素ガスを炉内部に導入した。焼成後の出力取出電極6の厚みは約10〜20μmであった。
<実施品2の作製>
半導体基板2の準備から集電電極5の形成までは、実施品1と同一の工程で行った。集電電極5の形成後、反射防止膜5を形成した。すなわち第1面2a側表面に反射防止膜8として、窒化シリコン(SiNx)膜をPECVD装置で、約450℃程度の温度でモノシランガスやアンモニアガスを用いて成膜した。この窒化シリコン(SiNx)膜は、反射防止効果を発現させるために、屈折率は2.0程度、膜厚は80nm程度とした。
その後、pn分離を行うため、半導体基板2の第2面2b側外周端部にレーザービームを照射し、PN接合部に達する深さ以上に分離溝を形成する。このレーザー装置はYAGレーザー装置で行った。
その後、半導体基板2の第2面2b側に集電電極5を形成した。この集電電極5は、アルミニウムを主成分とするペーストを第2面2bの外周辺部1mm程度を除いて、第2面2bの略全面にスクリーン印刷法を用い塗布することで形成した。
この集電電極5の形成に用いるペーストは、アルミニウム粉末と有機ビヒクルからなるもので、これを塗布した後、最高温度800〜850℃程度で焼成してアルミニウムを半導体基板(シリコンウエハ)2に焼き付けた。焼成後の集電電極5の厚みは約30〜50μmであった。
次に、反射防止膜8の上に、導電ペーストを所定のパターンに直接塗布し、焼成することによって受光面側バスバー電極3と受光面側フィンガー電極4を形成した。
これに使用する導電ペーストは、銀と銅の質量比が6:4であり、銀と銅の合計量100質量部に対して、有機ビヒクル15質量部、ガラスフリット12質量部を添加したものである。さらにテレピネオールを用いて、150Pa・sの程度の粘度に調節したものを用いた。塗布法としては、スクリーン印刷法を用い、塗布後乾燥炉で約80〜90℃程度で20分程度、溶剤を蒸散させて乾燥させた。
次に、第2面2b側の集電電極5上に、導電ペーストを所定のパターンに塗布し、焼成することによって、出力取出電極6を形成した。
これに使用する導電ペーストは、銀と銅の質量比が5:5であり、銀と銅の合計量100質量部に対して、有機ビヒクル15質量部、ガラスフリット12質量部を添加したものである。さらにテレピネオールを用いて、150Pa・sの程度の粘度に調節したものを用いた。塗布法としては、スクリーン印刷法を用い、塗布後乾燥炉で約80〜90℃程度で20分程度、溶剤を蒸散させて乾燥させた。
その後反射防止膜8上に塗布した導電ペーストと集電電極5上に塗布した導電ペーストを焼成した。この焼成は、導電ペーストを塗布・乾燥させた後、焼成炉内にて最高温度が500〜600℃で数分程度、炉内のピーク温度付近の位置の酸素濃度が180ppm〜370ppmの雰囲気で焼成することにより行った。この焼成後の受光面側バスバー電極3および受光面側フィンガー電極4、出力取出電極6の厚みは、10〜20μm程度であった。
<実施品3の作製>
半導体基板2の準備から集電電極5の形成までは、実施品1と同一の工程で行った。集電電極5の形成後、反射防止膜8の上に、導電ペーストをスクリーン印刷法を用いて、所定のパターンに直接塗布し、焼成することによって受光面側バスバー電極3と受光面側フィンガー電極4を形成した。
これに使用する導電ペーストは、銀粉末と有機ビヒクルとガラスフリットを銀100質量部に対してそれぞれ15質量部、12質量部を添加したものであり、さらにテレピネオールを用いて、150Pa・sの程度の粘度に調節したものを用いた。塗布後乾燥炉で約80〜90℃程度で20分程度、溶剤を蒸散させて乾燥させた。
次に、第2面2b側の集電電極5上に、導電ペーストを所定のパターンに塗布し、焼成することによって、出力取出電極6を形成した。
これに使用する導電ペーストは、銀と銅の質量比が5:5であり、銀と銅の合計量100質量部に対して、有機ビヒクル15質量部、ガラスフリット12質量部を添加したものである。さらにテレピネオールを用いて、150Pa・sの程度の粘度に調節したものを用いた。塗布法としては、スクリーン印刷法を用い、塗布後乾燥炉で約80〜90℃程度で20分程度、溶剤を蒸散させて乾燥させた。
その後、反射防止膜8上に塗布した導電ペーストと集電電極5上に塗布した導電ペーストを焼成した。この焼成は、導電ペーストを塗布・乾燥させた後、焼成炉内にて最高温度が500〜600℃で数分程度、炉内のピーク温度付近の位置の酸素濃度が180ppm〜370ppmの雰囲気で焼成することにより行った。この焼成後の受光面側バスバー電極3および受光面側フィンガー電極4、出力取出電極6の厚みは、10〜20μm程度であった。
すなわち実施品2と実施品3の差異は、第1面2a側に配置される受光面側バスバー電極3と受光面側フィンガー電極4が、実施品2では銀と銅を含有する導電ペーストにより形成されるのに対し、実施品3では銀のみを含有する導電ペーストにより形成されることである。
<比較品の作製>
半導体基板2の準備からpn分離まで、上述した実施品1の場合と同一の工程で行った。
集電電極5は、テスト品2,3と同様のアルミニウムを主成分とするペーストを用い、第2面2bの外周辺部1〜3mm程度と、出力取出電極6の剥離防止のためにシリコンウエ2と出力取出電極6が直接接する部分を作る為の部分を除いて、第2面2bの略全面にスクリーン印刷法を用い塗布、焼成することで形成した。この半導体基板2と出力取出電極6が直接接する部分の面積は半導体基板2の第2面2b側の全面積の7〜8%程度である。
次に反射防止膜8の上に、銀を主成分とする導電ペーストをスクリーン印刷法を用いて、所定のパターンに直接塗布し、焼成することによって受光面側バスバー電極3と受光面側フィンガー電極4を形成した。
次に集電電極5上に、銀を主成分とする導電ペーストを所定のパターンに塗布し、焼成することによって、出力取出電極6を形成した。
これらの導電ペーストは、銀粉末と有機ビヒクルとガラスフリットを銀100質量部に対してそれぞれ15質量部、8質量部を添加したものである。焼成は、導電ペーストを塗布・乾燥させた後、焼成炉内にて最高温度が500〜600℃で数分程度焼成することにより行った。このような焼成後の受光面側バスバー電極3および受光面側フィンガー電極4の厚みは、10〜20μm程度であった。
<実施品と比較品の評価>
このようにして作製した実施品1、実施品2、実施品3および比較品の4種の太陽電池素子の出力特性を、25℃の素子温度、AM1.5、100mW/cmの擬似太陽光で測定したところ、表1の通りであった。なお、表1においては、短絡電流(Isc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)、光電変換効率(η)について、テスト品を100としたときの指数として表したものである。
Figure 2011187906
表1に示すように、実施品1〜3の太陽電池素子では、比較品に比べ短絡電流、開放電圧、曲線因子で向上が観られ、これにより光電変換効が向上し、その効果が確認された。
また、実施品1のように、集電電極5上に、銀を表面にコーティングした銅フィラーを
多数含有する導電ペーストにより形成した出力取出電極6では剥離は一切無く、十分な接合強度を有していることを確認した。
また、実施品2と実施品3の比較において、実施品2が、特に曲線因子で向上が観られ、第1面2a側に配置されるバスバー電極3とフィンガー電極4を銀と銅を含有する導電ペーストにより形成することによるオーミックコンタクト性の改善の効果が確認された。
実施品3の太陽電池素子では、比較品に比べ特に曲線因子の向上が観られ、これにより光電変換効率が向上し、その効果が確認された。
また、実施品2および実施品3のように、集電電極5上に、銀フィラーと銅フィラーを多数含有する導電ペーストにより形成した出力取出電極6でも、剥離は一切無く、十分な接合強度を有してことを確認した。
1、21:太陽電池素子
2、25:半導体基板
2a、21a:第1面
2b、21b:第2面
3:バスバー電極
4,22a:フィンガー電極
5、23a:集電電極
6、23b:出力取出電極
7:除去部
8、27:反射防止膜
9、26:逆導電型層(半導体層)
10:p型バルク領域
13:銅フィラー
14:銅本体
15:銀層
22b:貫通孔電極
22c:第1電極
23:第2電極
24:第3電極
26a:第1逆導電型層
26b:第2逆導電型層
26c:第3逆導電型層
28:電極用貫通孔
29a、29b:分離溝
30:高濃度ドープ層

Claims (8)

  1. 一導電型の半導体層と逆導電型の半導体層とを有する半導体基板を備え、該半導体基板の少なくとも一方主面が逆導電型の半導体層であり、前記半導体基板の一方主面に対向する他方主面および前記逆導電型の半導体層のそれぞれの上に、発電電力を取り出すための電極が形成された太陽電池素子であって、前記半導体基板の他方主面および前記逆導電型の半導体層の少なくとも一方の上に形成された電極が銀と銅を含有していることを特徴とする太陽電池素子。
  2. 前記半導体基板の他方主面の上に形成された電極のみが銀と銅を含有していることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池素子。
  3. 前記逆導電型の半導体層の上に形成された電極は、前記半導体基板の一方主面側にのみ形成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池素子。
  4. 前記逆導電型の半導体層の上に形成された電極は、前記半導体基板の他方主面側にも形成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池素子。
  5. 前記半導体基板の両主面を貫通する貫通孔を多数有し、前記逆導電型の半導体層は前記貫通孔にも形成されており、前記貫通孔内には導体が設けられ、かつ前記逆導電型の半導体層の上に形成された電極は、前記導体を介して、前記半導体基板の他方主面側にも導出されて形成されていることを特徴とする請求項4に記載の太陽電池素子。
  6. 前記貫通孔内に設けた導体が少なくとも銀と銅を含有することを特徴とする請求項5に記載の太陽電池素子。
  7. 請求項1に記載の太陽電池素子の製造方法であって、前記逆導電型の半導体層の上に形成した電極は、銀を表面にコーティングした銅フィラーを多数含有する導電ペーストを塗布して、焼成することにより形成したことを特徴とする太陽電池素子の製造方法。
  8. 請求項1に記載の太陽電池素子の製造方法であって、前記逆導電型の半導体層の上に形成した電極は、銀フィラーおよび銅フィラーを多数含有する導電ペーストを塗布して、焼成することにより形成したことを特徴とする太陽電池素子の製造方法。
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