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JP2011157733A - 合成鋼床版橋の施工方法、並びにリブ付き鋼床版、及び合成鋼床版橋 - Google Patents

合成鋼床版橋の施工方法、並びにリブ付き鋼床版、及び合成鋼床版橋 Download PDF

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JP2011157733A JP2010020607A JP2010020607A JP2011157733A JP 2011157733 A JP2011157733 A JP 2011157733A JP 2010020607 A JP2010020607 A JP 2010020607A JP 2010020607 A JP2010020607 A JP 2010020607A JP 2011157733 A JP2011157733 A JP 2011157733A
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Abstract

【課題】従来の合成鋼床版では、縦リブがジベルと主桁機能を兼ね備えることによって桁高を低減させたにもかかわらず、鋼床版の下面に横リブを設けることが橋下空間を侵す結果となっていた。また横リブは、その設置手間のほかに、供用開始後の塗装手間も発生し、維持コストを引き上げる一因となっていた。
【解決手段】本願発明のリブ付き鋼床版は、合成鋼床版を構成するリブ付き鋼床版において、鋼板の一方の面に、平行又は略平行に配置された複数の縦リブが固定され、前記鋼板の前記縦リブが固定された面に、前記縦リブに直交又は略直交して配置された複数の横リブが固定され、前記鋼板の一方の面に、前記縦リブと前記横リブが格子状に配置固定されたものである。
【選択図】図2

Description

本願発明は、鋼床版を有する鉄筋コンクリート合成鋼床版(以下、単に「合成鋼床版」という。)に関するものであり、具体的には、床版を合成鋼床版とする合成鋼床版橋の施工方法、リブ付きの鋼床版、及び合成鋼床版橋に関するものである。
合成鋼床版は、鋼製の板材等からなる鋼床版の上に鉄筋コンクリートを構築する合成構造である。この鋼床版は、完成時に主桁及び床版の一部として抵抗する部材となるとともに、施工時には鉄筋コンクリートの型枠として用いられる極めて合理的な部材である。このように鋼床版が型枠を兼用することから型枠の施工手間が省略され、床版を合成鋼床版とする橋(以下、「合成鋼床版橋」という。)は工期を短縮できる橋梁形式として知られている。また、合成鋼床版橋は、車両通行による騒音や振動が小さいという特長もある。
合成鋼床版は、鉄筋コンクリートと鋼床版が一体となって荷重に抵抗する構造であり、コンクリートとの付着を高める目的で鋼床版にはジベルを設けられることが多い。ジベルには、棒状の突起物であるスタッドジベルや、トラス形状の突起物であるトラス型ジベル、あるいは板状の突起物であるリブをジベルとするものなど、様々な形式のものが採用されている。
また合成鋼床版は、主桁に結合されることによって主桁作用としても機能することができる。ここでいう主桁作用とは、主桁に作用する力(橋軸方向の曲げモーメントなど)に抵抗する作用のことであり、主桁に合成鋼床版を結合すれば床版としての断面力のみならず主桁作用にも寄与する。
一方、近年では、都市河川を跨ぐ橋梁、道路を跨ぐ跨道橋、線路を跨ぐ跨線橋、など橋下空間が制約される橋が増えている。そのため、あるいは景観上の理由から、桁高を低減する要請も強くなってきており、桁高低減のための技術も提案されている。本願の出願人も、橋の桁高を低減する技術として特許文献1を提案している。
特開2004−270270号公報
特許文献1は、底鋼板と縦リブからなる鋼床版を用いた合成鋼床版橋であり、縦リブに複数の貫通孔を設けることでコンクリートとの付着を高めるとともに、縦リブを主桁方向に配置固定することで底鋼板の座屈を防止し、底鋼板と縦リブが主桁作用に寄与することを特徴としている。すなわち、底鋼板に固定された縦リブは、ジベルと主桁機能を兼ね備えた部材である。底鋼板と縦リブに主桁作用を分担させることにより、合成鋼床版や主桁のサイズを小さくすることが可能となり、結果として桁高を低減させることができる。
底鋼板と縦リブからなる鋼床版に主桁作用を分担させた場合、この鋼床版に橋軸方向(主桁方向)の曲げ圧縮や軸圧縮が作用することとなり、座屈する恐れがある。そこで通常は、補剛材として横リブを底鋼板に固定し、鋼床版の座屈を防いでいる。
図5は従来の合成鋼床版を示す斜視図であり、橋軸方向に平行に配置された複数の縦リブAが底鋼板Bの上に固定されている。なおそれぞれの縦リブAには、床版コンクリートとの付着のため多数の貫通孔が設けられている場合もある。図5や図6に示すように、底鋼板Bの下面であって主桁と主桁の間には、橋軸直角方向に配置された横リブCが固定されている。また図6に示すように横リブCは、底鋼板Bに取り付けられるとともに主桁に固定され、一般的には橋軸方向に2〜3m間隔で配置される。
このように従来の横リブCは、底鋼板の下面にあって主桁に固定されるため、床版コンクリートが硬化するまでその自重を支持し、そのうえ橋梁供用後の活荷重によって生じる断面力に対抗し得るものとして設計され、設置されていた。特に、供用後の活荷重(輪荷重など)によるせん断力を負担させるため、従来の横リブCは下フランジにウェブを取り付けた逆T型の断面とするなど比較的大きな断面抵抗力を有する部材とされていた。
横リブCの部材断面の軽減化を図るため、硬化するまでのコンクリート自重と供用後の活荷重を横リブCに負担させないよう、横リブCを主桁に固定せずせん断力に対して寄与しない構造(図7)とすることも考えられる。しかしながらこの場合、橋下空間の制約や景観上の要請により桁高を低減させたとしても、鋼床版の下面に横リブCを設けるため、橋下空間を侵し、景観を損ねる結果となる。さらに鋼床版の下面に横リブCを設置すると、その設置手間がかかるほか、供用開始後に横リブCの塗装手間も発生し、維持コストを引き上げる一因となってしまう。
本願発明の課題は、前記問題点を解決すべく、桁高を軽減し、かつ横リブの部材断面を軽減化するとともに、鋼床版の下面に横リブを設けない合成鋼床版橋の施工方法を提供し、このような合成鋼床版橋を可能にするリブ付き鋼床版、及び合成鋼床版橋を提供することにある。
本願発明の合成鋼床版橋の施工方法は、主桁と、鋼床版及び床版コンクリートを有する合成鋼床版と、を備えた合成鋼床版橋の施工方法において、平行又は略平行に配置された複数の縦リブと、この縦リブに直交又は略直交して配置された複数の横リブが、底鋼板の同一面に固定されてなるリブ付き鋼床版を、主桁に結合するリブ付き鋼床版設置工程と、前記リブ付き鋼床版上に、鉄筋を配置する配筋工程と、前記リブ付き鋼床版上にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、を備えた工法によって合成鋼床版を形成する方法である。
本願発明のリブ付き鋼床版は、合成鋼床版を構成するリブ付き鋼床版において、底鋼板の一方の面に、平行又は略平行に配置された複数の縦リブが固定され、前記底鋼板の前記縦リブが固定された面に、前記縦リブに直交又は略直交して配置された複数の横リブが固定され、前記底鋼板に、前記縦リブと前記横リブが格子状に配置固定されたものである。
この場合、それぞれの縦リブに、複数の貫通孔が設けられたものとすることもできるし、横リブが板材を用いた板リブとしたものとすることもできる。
本願発明の合成鋼床版橋は、主桁と、鋼床版及び床版コンクリートを有する合成鋼床版と、を備えた合成鋼床版橋において、前記鋼床版を請求項2乃至請求項4のいずれかに記載のリブ付き鋼床版としたものである。
本願発明の合成鋼床版橋の施工方法には、次のような効果がある。
(1)横リブの固定を含め、鋼床版の製作を工場で行うこともできるため、現場での横リブ固定作業を省略することが可能となり、現場における施工期間を短縮することができる。
(2)現場で橋面下に横リブを取り付ける作業を省略すると、施工手間が低減するばかりでなく、橋下周辺を往来する第三者に対する安全性も向上する。
本願発明の合成鋼床版橋のリブ付き鋼床版、及び合成鋼床版橋には、次のような効果がある。
(1)底鋼板と縦リブが主桁作用を分担することにより、主桁のサイズを小さくし、桁高を低減させることができる。
(2)横リブが鋼床版の上面に設けられるので、さらに桁高を低減させることが可能であり、橋下空間が有効に活用できる。
(3)横リブが供用後の活荷重を負担する必要がないので、横リブの部材断面を軽減化することができる。
(4)横リブが橋面下に露出することがなく、景観的に優れる。
(5)横リブが床版内に埋没する結果、塗装などの維持費用が発生しない。
本願発明の橋梁を示す全体図。 本願発明の合成鋼床版の一部を切り欠いた斜視図。 本願発明の鋼床版と、主桁との連結状体を示す橋軸直角方向の断面図。 (a)は横リブを設けない合成鋼床版について線形座屈解析した結果図、(b)は横リブを設けた本願発明の合成鋼床版について線形座屈解析した結果図。 従来の合成鋼床版の一部を切り欠いた斜視図。 従来の鋼床版と、主桁との連結状体を示す橋軸直角方向の断面図。 従来の横リブを主桁に固定しない構造とした場合を示す橋軸直角方向の断面図。
(実施形態)
本願発明の合成鋼床版橋の施工方法、並びにリブ付き鋼床版、及び合成鋼床版橋の一実施形態を図に基づいて説明する。
図1は、河川を跨ぐ鈑桁形式の橋梁1を示す全体図である。この図に示すように橋梁1は、河川の両岸にそれぞれ設置された橋台2を備えるとともに、この橋台2と橋台2の間に渡された橋桁3を備えており、この橋桁3に舗装が施されて道路橋として供用されている。
図2を参照して、橋梁1を構成する各部材について説明する。橋台2上で支持される橋桁3は、主桁4と合成鋼床版5で構成されており、この合成鋼床版5は、鋼床版6と床版コンクリート7で構成されている。さらに鋼床版6は、底鋼板8と縦リブ9と横リブ10で構成され、床版コンクリート7は、コンクリート11と鉄筋12からなる。なお鉄筋12は、橋軸直角方向に配置された主筋12aと、橋軸方向に配置された配力筋12bを組み合わせたものである。合成鋼床版5の上面にはアスファルト舗装13が施され、合成鋼床版5の橋軸直角方向における両端にはそれぞれ地覆14が設けられ、この地覆14には防護柵15が設置されている。このように橋梁1は、橋台2、橋桁3、アスファルト舗装13、地覆14、防護柵15で構成されている。なお、本実施形態の橋梁1は単純梁の鈑桁形式であるが、これは一例であって、橋台2及び橋脚を有する連続桁橋の場合や、その他トラス橋や吊り橋など他の橋梁形式であっても、本願発明の鋼床版6を用いた合成鋼床版5を備える限り本願発明の橋梁1である。また、合成鋼床版5の下面に横桁を設けたり、主桁を箱桁など他の形状としたり、アスファルト舗装13や地覆14、防護柵15を備えない道路橋以外の橋とする場合であっても、本願発明の鋼床版6を用いた合成鋼床版5を備える限り本願発明の橋梁1に含まれる。
(鋼床版)
鋼床版6は、底鋼板8上に縦リブ9と横リブ10が溶接で固定されたものである。なお、縦リブ9と横リブ10が底鋼板8上に固定されれば溶接に限らず他の従来技術を用いても構わない。底鋼板8は薄肉の板材であり、また縦リブ9及び横リブ10は長尺の薄肉の板材であり、一例として、底鋼板8の板厚を9mm、縦リブの寸法を幅140mm×板厚14mm、横リブ10の寸法を幅120mm×板厚9mmとすることができる。もちろんこれらの寸法は一例であって、各部材の寸法や規格は、設計荷重やスパン長など種々の与条件のもと計算によって設計されるものである。
縦リブ9は、板幅方向を底鋼板8に対して略垂直(垂直含む)となる姿勢で、略平行(平行も含む)に複数配置されて溶接固定される。鋼床版6を主桁4に結合する際には、縦リブ9が配列された方向(縦リブ9の長手方向)が主桁4方向つまり橋軸方向に略一致するように鋼床版6は配置される。縦リブ9の配置の一例として、その配置間隔を375mmとすることができる。当然ながらこの間隔寸法も設計計算によって適宜設定されるものであってこの寸法に限定されるものではない。
縦リブ9は、図2に示すように、板材の長手方向に間隔をあけて複数の貫通孔9aを設けることもできる。この貫通孔9aを設けることによって、床版コンクリート7と縦リブ9の付着力が増大するので、鋼床版6と床版コンクリート7がより一体の構造として機能することができる。なお図2に示す貫通孔9aは円形であるが、円形に限らず他の任意の形状とすることもできる
横リブ10は、底鋼板8の縦リブ9が固定された面に固定される。言い換えれば、底鋼板8の一方の面には、縦リブ9と横リブ10が固定されるが、底鋼板8の他方の面には、縦リブ9も横リブ10も固定されない。横リブ10は、縦リブ9と同様、板幅方向を底鋼板8に対して略垂直(垂直含む)となる姿勢で、略平行(平行も含む)に複数配置されて溶接固定される。また横リブ10が配列される方向は、縦リブ9に対して略垂直(垂直含む)であり、つまり底鋼板8の同一面に縦リブ9と横リブ10が格子状に配置固定されることとなる。横リブ10の配置の一例として、その配置間隔を2〜3mとすることができる。当然ながらこの間隔寸法も設計計算によって適宜設定されるものであってこの寸法に限定されるものではない。また横リブ10の長さ(長手方向の寸法)は、底鋼板8を主桁4に配置したとき横リブ10の両端部が主桁4上に掛かる程度とすることが望ましい。これによって底鋼板8とともに横リブ10が、硬化するまでの床版コンクリート7の自重による曲げモーメントやせん断力に対抗し得るものとなる。
格子状に配置された縦リブ9及び横リブ10の交差部分については、横リブ10を縦リブ9の配置間隔(例えば375mm)より若干短い寸法として横リブ10の端部を縦リブ9に突き合わせて形成したり、縦リブ9に横リブ10の配置間隔(例えば2m)に合わせた切り欠き部(横リブ10の板厚と略同じ幅を有する)を設けてこの切り欠き部を横リブ10の上から被せて組み合わせて形成したり、あるいは縦リブ9と横リブ10の交差箇所となる箇所に縦リブ9と横リブ10それぞれ切り欠き部を設けて切り欠き部同士を組み合わせて形成するなど、種々の手段を用いることができる。なお、交差部分における縦リブ9及び横リブ10は、溶接によって相互を固定することが望ましい。
鋼床版6は、現場状況に応じて現場で縦リブ9及び横リブ10を底鋼板8に溶接することもできるが、通常は工場において製作され、製品としての鋼床版6が現場まで輸送される。そのため鋼床版6は、橋面を分割した、輸送に適した大きさで製作される。鋼床版6の平面的な大きさは、橋軸直角方向の寸法(幅)を主桁のフランジに係る程度の幅(つまり略主桁間隔、又はこれよりも若干狭い幅)とし、橋軸方向の寸法(長さ)を輸送可能な長さ(例えば5〜10m)とすることができる。このように分割製作された鋼床版6は、現場にて並べられて主桁4に固定される。もちろん橋面の大きさによっては、分割することなくひとつの鋼床版6を作成して、これを現場にて主桁4に固定することもできる。
従来、鋼床版に横リブを設ける場合には、工場で底鋼板と縦リブを溶接固定した半完成品を現場にて主桁上に固定し、その後に、底鋼板と横リブをボルトで固定していた。このような構造から必然的に横リブは、床版コンクリートが硬化するまでの自重を支持し、かつ橋梁供用後の活荷重によって生じる断面力に対抗し得るものとして設計されていた。特に、供用後の活荷重によるせん断力については、横リブが負担する比率が比較的大きく、その結果横リブは、下フランジにウェブを取り付けた逆T型の断面が採用されるなど、相当の断面抵抗力を有する部材となっていた。一方、本願発明の鋼床版6に用いられる横リブ10は、床版コンクリート7が硬化するまでのコンクリート自重を支持することと、鋼床版6の座屈を防止することを目的とした補剛材であり、横リブ10が床版コンクリート7内に埋設され主桁4等に固定されることもないことから、橋梁供用後の活荷重によるせん断力等を負担する必要がなく、比較的小さな断面抵抗力の部材とすることができる。そのため、本願発明の鋼床版6に用いられる横リブ10を、従来では採用されることがなかった板リブとすることが可能となる。
また、従来の横リブ付き鋼床版は横リブが床版の下面に突出していることから、橋下空間を阻害するばかりでなく、景観を損ねるものでもあった。一方、本願発明の鋼床版6は、横リブ10が床版コンクリート7内に埋設されるため、橋下空間を阻害することはなく、景観を損ねることもない。
さらに、従来の横リブ付き鋼床版は、工場で底鋼板と縦リブを溶接固定した半完成品を現場にて主桁上に固定し、その後に、底鋼板下面と横リブをボルトで固定していた。そのため、横リブとの固定作業が現場におけるクリティカルな工程となるばかりでなく、この固定作業中に橋下を通過する第三者に対しても安全性が低下する。一方、本願発明の鋼床版6は、縦リブ9と横リブ10を交差させる手間が生じるものの、底鋼板8と縦リブ9、横リブ10の固定作業は通常工場で実施されるため、従来に比べると横リブ10を底鋼板8に固定する作業の分だけ現場での工期が短縮され、第三者に対する安全性も高くなっている。
(主桁)
主桁4は、図3に示すように断面I型であって、両端の橋台2に係る程度すなわち略桁かかり長である。図3に示す主桁4は、腹版(ウェブ)に上フランジと下フランジを取り付けたもので、鋼材を材料として工場製作(ビルトアップ)されたものである。よって、上フランジを道路横断勾配(例えば2%)だけ傾斜させて取り付けるなど、比較的自由度をもって製作することができる。この主桁4は、工場製作品に限らず、図2に示すように主桁間隔が短い場合など、市販の形鋼(I形鋼、H形鋼、溝形鋼など)を用いることもできる。主桁4の配置数や配置間隔、あるいは規格等は、設計荷重やスパン長など種々の与条件のもと計算によって設計される。
(主桁と鋼床版の結合)
図2や図3に示すように、鋼床版6は主桁4の上フランジに載せられて配置される。幅方向を主桁間隔で分割して製作された鋼床版6は、隣接する主桁4と主桁4に渡されて配置される(図3)。また、橋軸直角方向に加え橋軸方向にも分割して製作された鋼床版6は、隣接する二つの主桁4の上で順次橋軸方向に並べられる。なおこの場合、橋軸方向に突き合わされる鋼床版6同士は、その接合部において添接板などを用いて連結される。
主桁4の上フランジ上に配置された鋼床版6は、主桁4にボルト固定される。もちろん主桁に固定することができれば、ボルト固定に限らず溶接など他の従来手法を用いることができる。なお、鋼床版6は隣接する二つの主桁4の上に配置される場合に限らず、三つ以上の主桁4の上に配置し固定することもできるし、鋼床版6を分割することなく橋面全体を覆う一つの鋼床版6を製作して主桁4の上に配置し固定することもできる。
(床版コンクリート)
図2に示すように、主桁4に固定された鋼床版6上で、設計されたかぶりを確保したうえで、橋軸直角方向に主筋12a、橋軸方向に配力筋12bを所定の間隔をもって配置していく。このとき、かぶりを確保するためいわゆる馬筋を設置することもできるが、かぶりによっては縦リブ9上に直接主筋12aを乗せたり、横リブ10上に直接配力筋12bを乗せたり、縦リブ9に設けられた貫通孔9aの中に主筋12aを通して配置することもできる。
鉄筋12を配筋した後、橋軸方向の両端部面(妻面)と橋軸直角方向の両端部面(側面)に型枠を組んで、コンクリート11を打設する。このとき、鋼床版6の底鋼板8が型枠の役割を果たすため底面の型枠は省略することができる。また、鋼床版6の橋軸直角方向両端面に、橋軸方向に延びて上方に立設される側鋼板を固定しておけば側面の型枠が省略できるとともに、この側鋼板によって鋼床版6が補強(補剛)される。なお、コンクリート11を打設する際に、合わせて地覆14部分もコンクリート11を打設することもできるし、一旦床版コンクリート7を施工した後に地覆14部分にコンクリートを打設することもできる。
床版コンクリート7のコンクリート11が硬化した後、表層にアスファルト舗装13を施し、地覆14に防護柵15を設置する。
(合成鋼床版の構造)
合成鋼床版5は、鋼床版6と床版コンクリート7を備え、主桁4に連結される。そのため合成鋼床版5は、主桁4を支点とする橋軸直角方向の単純梁(又は連続梁)として曲げモーメントやせん断力を受ける(ただしコンクリート11が硬化するまでは、鋼床版6のうち底鋼板8と横リブ10が死荷重による曲げモーメントやせん断力を負担する)。また、主桁4が橋軸方向における曲げモーメントやせん断力を受けるとともに、主桁4に連結された合成鋼床版5の有効幅(橋軸直角方向)も橋軸方向における曲げモーメントやせん断力負担することができる。この際、床版コンクリート7(鉄筋コンクリート)、底鋼板8、及び縦リブ9が、曲げモーメント等に対して有効に作用する。このように、橋軸方向における曲げモーメントやせん断力に対しては、主桁4及び合成鋼床版5の有効幅で抵抗することができる。
合成鋼床版5を構成する鋼床版6に固定された横リブ10は、縦リブ9の座屈防止を目的の一つとする補剛材である。図4(a)(b)は、横リブ10の補剛効果を確認する解析結果図である。本解析は、合成鋼床版についてシェル要素でモデル化して線形座屈解析により座屈固有値と座屈モードを解析したものである。図4(a)は、横リブ10を設けない合成鋼床版の計算結果であり、図4(b)は、横リブ10を設けた合成鋼床版5の計算結果である。図4(a)に比べると、図4(b)では横リブ10が縦リブ9の座屈に対する節となっており、解析からも図4(b)の座屈強度が図4(a)の3.2倍であるという結果が算出され、横リブ10が縦リブ9の座屈防止に貢献していることが確認された。
(施工例)
本願発明の合成鋼床版橋の施工方法の一例を以下に示す。
(1)河川の両岸の所定位置に、それぞれ橋台2のための掘削を行う。
(2)設計上の支持地盤を確認した後、型枠作業、配筋作業を行い、コンクリートを打設し、2体(右岸側と左岸側)の橋台2を完成させる。
(3)橋台2工事と並行して(あるいは橋台2工事の事前に)、工場にて鋼床版6を製作する。鋼床版6は、橋軸方向及び橋軸直角方向に分割されたピース(ユニット)であり、底鋼板8の片面(同一面)に縦リブ9と横リブ10を溶接固定して製作される。
(4)橋台2に設けられた桁かかり部に主桁4を乗せ、主桁4を橋台2に設置する。
(5)工場から現場まで輸送された鋼床版6は、隣接する二つの主桁4間に配置されて、橋軸方向に並べられていく。
(6)所定位置に配置された鋼床版6は、主桁4にボルト固定されていき、橋軸方向に隣接する鋼床版6同士も添接板を当ててボルト固定していく。
(7)鋼床版6上に鉄筋12を組み、側面(橋軸方向の両端部面)と妻面(橋軸直角方向の両端部面)に型枠を設置し、コンクリート11を打設する。
(8)コンクリート11の養生後に型枠を脱型して、アスファルト舗装13、地覆14、防護柵15などの工事を行い、橋梁1を完成させる。
本願発明の合成鋼床版橋の施工方法、並びにリブ付き鋼床版、及び合成鋼床版橋は、河川を跨ぐ橋梁に限られず、道路を跨ぐ跨道橋、線路を跨ぐ跨線橋、その他の高架橋など様々な橋梁に利用することができる。
1 橋梁
2 橋台
3 橋桁
4 主桁
5 合成鋼床版
6 鋼床版
7 床版コンクリート
8 底鋼板
9 縦リブ
9a (縦リブの)貫通孔
10 横リブ
11 コンクリート
12 鉄筋
12a 主筋
12b 配力筋
13 アスファルト舗装
14 地覆
15 防護柵
A (従来の)縦リブ
B (従来の)底鋼板
C (従来の)横リブ

Claims (5)

  1. 主桁と、鋼床版及び床版コンクリートを有する合成鋼床版と、を備えた合成鋼床版橋の施工方法において、
    平行又は略平行に配置された複数の縦リブと、この縦リブに直交又は略直交して配置された複数の横リブが、底鋼板の同一面に固定されてなるリブ付き鋼床版を、主桁に結合するリブ付き鋼床版設置工程と、
    前記リブ付き鋼床版上に、鉄筋を配置する配筋工程と、
    前記リブ付き鋼床版上にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、を備えた工法によって合成鋼床版を形成することを特徴とする合成鋼床版橋の施工方法。
  2. 合成鋼床版を構成するリブ付き鋼床版において、
    底鋼板の一方の面に、平行又は略平行に配置された複数の縦リブが固定され、
    前記底鋼板の前記縦リブが固定された面に、前記縦リブに直交又は略直交して配置された複数の横リブが固定され、
    前記底鋼板に、前記縦リブと前記横リブが格子状に配置固定されたことを特徴とするリブ付き鋼床版。
  3. 請求項2記載のリブ付き鋼床版において、
    それぞれの縦リブに、複数の貫通孔が設けられたことを特徴とするリブ付き鋼床版。
  4. 請求項2又は請求項3記載のリブ付き鋼床版において、
    横リブが、板材を用いた板リブであることを特徴とするリブ付き鋼床版。
  5. 主桁と、鋼床版及び床版コンクリートを有する合成鋼床版と、を備えた合成鋼床版橋において、
    前記鋼床版が、請求項2乃至請求項4のいずれかに記載のリブ付き鋼床版であることを特徴とする合成鋼床版橋。
JP2010020607A 2010-02-01 2010-02-01 合成鋼床版橋の施工方法、並びにリブ付き鋼床版、及び合成鋼床版橋 Active JP4585614B1 (ja)

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