JP2011147401A - コーヒー生豆の焙煎方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】より簡便に、且つ、確実にロブスタ種等の低品位コーヒーの不快な香味を低減する焙煎方法。
【解決手段】コーヒー生豆を焙煎釜で、豆表面を多孔質に焼成する第1次焙煎工程と、前記焙煎釜からコーヒー豆を取り出し、散水後、撹拌し、コーヒー豆表面の渋皮を膨張させて、不快な香味の揮発成分を除去する散水撹拌処理工程と、再度焙煎釜内に投入して、目的焙煎温度まで焙煎する第2次焙煎工程とより成ることを特徴とするコーヒー生豆の焙煎方法。
【選択図】図4
【解決手段】コーヒー生豆を焙煎釜で、豆表面を多孔質に焼成する第1次焙煎工程と、前記焙煎釜からコーヒー豆を取り出し、散水後、撹拌し、コーヒー豆表面の渋皮を膨張させて、不快な香味の揮発成分を除去する散水撹拌処理工程と、再度焙煎釜内に投入して、目的焙煎温度まで焙煎する第2次焙煎工程とより成ることを特徴とするコーヒー生豆の焙煎方法。
【選択図】図4
Description
本発明は、例えばロブスタ種に代表される低品位コーヒー豆の不快な香り、苦味を簡便且つ迅速に改善するコーヒー生豆の焙煎方法に関する。
一般に、コーヒーは世界でもっとも飲用されている嗜好品である。コーヒー生豆は、焙煎すると、焙煎時の温度、時間に依存して様々な化学反応が促進され、これら生成された化学物質が焙煎コーヒー豆の色を生じさせると同時に、数百種類もの化学物質が複雑に絡み合い、焙煎コーヒーの独特の香味を形成する。即ち、コーヒー生豆に含まれている化学物質等は、焙煎コーヒー豆の香味を形成する前駆体であり、コーヒー生豆の品種、栽培環境等により含まれる化学物質等に違いが生じることから、品種・産地等により、香味も異なる。
現在、コーヒーの品種の中で、主にアラビカ種とロブスタ種が飲用用として消費されており、その中で、アラビカ種は、酸性でまろやかな香りと、クセのない味等から、一般的には高品位なコーヒー豆として認識されている。
一方、ロブスタ種は、中性で不快臭を発し(ロブ臭)、雑味の強い不快な味覚を有する(ロブ味)ことから、低品位コーヒーとして認識されており、アラビカ種と比較して低価格で取引されているため、ブレンドコーヒーの原料価格を下げるための増量剤として使用されている。
ロブスタ種は、増量剤として使用されているが、その不快な香り・味覚のためにアラビカ種への配合量には制限があることから、その使用範囲を広げるために、現在までに様々な品位改良法が提案されている。
例えば、現在までに、世界のコーヒー製造各社で実施されているコーヒー生豆をスチーム処理を行ってコーヒー生豆を湿らせて焙煎する事により、ロブスタ種のロブ臭を低減する方法がある。この方法は、コーヒー生豆にスチームを噴霧して、香味の前駆体をコーヒー生豆から除去することにより、ロブスタ種焙煎コーヒー豆でのロブ臭の低減に繋がるとしている(例えは、非特許文献1参照)。
また、コーヒー生豆を事前に処理する方法としては、コーヒー生豆にコーヒー生豆重量比5−10%で水を散水し、コーヒー生豆表面にある雑味成分の多い渋皮を膨張させた後、遠心分離で過剰な水分と共に渋皮を除去する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
そして、コーヒー生豆を改良する技術としては、ショ糖溶液をコーヒー生豆に含浸させ、130−160℃飽和蒸気で蒸煮させ、真空冷却乾燥する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
さらに、焙煎終了時に処理する方法として、焙煎終了時にコーヒー生豆重量比20−40%のクエンチング水を焙煎豆に散水し、散水後焙煎豆含有水分に4%以下になるまで焙煎する方法がある(例えば、特許文献3参照)。
また、中性よりのロブスタ種焙煎豆に対して、クエン酸等溶液を噴霧し、ロブ味を中和することによる香味改善方法がある(例えば、特許文献4参照)。
Agric.Food Chem2008,56,5847−5851
ところで、前述の先行技術によるロブスタ種風味改良技術は、コーヒー豆の焙煎前、焙煎後に処理することを特徴とし、これらの処理のために大規模な装置を必要とする問題がある。
そこで、本発明の目的とする処は、先行技術に鑑み、焙煎方法について鋭意研究した結果、より簡便に、且つ、確実にロブスタ種等の低品位コーヒーの不快な香味を低減する焙煎方法を提供することにある。
本発明は、ロブスタ種に代表される低品位コーヒー豆の不快な香り、味覚を低減させるため、焙煎機等でコーヒー豆を豆温度130−170℃まで加熱し(1次焙煎)、一度焙煎機から排出後、生豆重量比30%以上の水を散水・攪拌後、余分な水分を除去し、再度目的の焙煎度まで焙煎機で焙煎する(2次焙煎)ことを特徴としている。
この構成により、高熱を持ったコーヒー豆に散水することにより、水蒸気蒸留の原理により不快な香味成分が揮発し、且つ、熱により豆表面が多孔質になることにより、迅速に一時的に豆の含有水分値を上昇させることが出来る。
1次焙煎での豆温度は、130−170℃が望ましく、130℃以下であれば水蒸気蒸留が上手く実施出来ないために効果は弱い。また、170℃を超えると苦味が強くなるために実用的ではない。
1次焙煎したコーヒー豆に散水する量は、生豆重量比30−80%が好ましく、30%以下であれば、香味の改善としては不十分であり、80%以上散水した場合は、コーヒー豆に吸収されなかった水が増えるだけでより一層の効果は望めず、製造工程上の手間を増やすことから好ましくない。
散水後攪拌することにより、不快な香味の原因となるコーヒー表面の渋皮を膨張させ、除去することが出来る。攪拌時間は5分から20分が望ましく、5分以下であれば、渋皮の剥離及び、水溶性成分の溶出が少なく香味改善効果としては不十分である。また、20分以上攪拌するとコーヒー豆水分値の上昇により、2次焙煎時間が延びて製造効率が低下し、更に過剰に水溶性成分が溶出することにより、コーヒーの香味が失われてしまう。
攪拌工程では、コーヒー豆水分値が一時的に15−30%程度になる。この水分値上昇したコーヒー豆を2次焙煎することにより、コーヒー豆の不快な香味を揮発させる効果がある。
2次焙煎を行うことにより、目的の焙煎度まで焙煎するが、同時に散水後のコーヒー豆を4%以下にすることにより、過剰な含有水分による品質の劣化を抑えることが出来る。
上記の一連の工程により、ロブスタ種に代表される低品位コーヒー豆の香味の改善が行われ、ブレンドコーヒー等におけるロブスタ種の使用比率を増やすことが出来ることから、原料コストの低減が実現出来る。
即ち、本発明は、以下の通り整理できる。
(1)コーヒー生豆を焙煎釜で、豆表面を多孔質に焼成する第1次焙煎工程と、前記焙煎釜からコーヒー豆を取り出し、散水後、撹拌し、コーヒー豆表面の渋皮を膨張させて、不快な香味の揮発成分を除去する散水撹拌処理工程と、再度焙煎釜内に投入して、目的焙煎温度まで焙煎する第2次焙煎工程とより成ることを特徴とするコーヒー生豆の焙煎方法。
(2)第1次焙煎工程の焙煎温度は、130℃〜170℃であることを特徴とする(1)記載のコーヒー生豆の焙煎方法。
(3)散水撹拌処理工程の散水量は、生豆重量比30〜80%であり、かつ撹拌時間は5分〜20分であることを特徴とする(1)記載のコーヒー生豆の焙煎方法。
本発明によれば、散水時の水蒸気蒸留、及び散水後の再加熱により、コーヒーに含まれる香りを構成する化学物質は揮発し、焙煎コーヒー豆の香りを著しく低下させる。また、水を含み膨張した渋皮を効率よく除去出来ることにより、渋味、雑味が低減され、風味が非常にまろやかになる。
実施例の説明に先立ちコーヒーの香味変化について鋭意研究した結果、以下の推論の得た。以下に、項目を分けて説明する。
<ロブスタ種の味の構成>
ロブスタ種は、苦味成分である「クロロゲン酸類(5−カフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸等>がアラビカ種と比較して多く含まれている。
ロブスタ種は、苦味成分である「クロロゲン酸類(5−カフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸等>がアラビカ種と比較して多く含まれている。
また、苦味成分が多い反面、酸味を構成する糖質や有機酸の含有量が少ない。
このようなことから、ロブスタ種は中性のコーヒーと呼ばれ、酸味成分が少なく、苦味成分が多い、味のアンバランスにより、ロブ味と呼ばれる刺激ある味になる。
即ち、苦味成分を低減させるか、酸味成分を増やすかにより、味のバランスを整えれば、ロブ味が改善されると予想される。
<他社の香味改善方法の原理>
他社の香味改善方法を見ると、概ね二つの方法に分けられる。
他社の香味改善方法を見ると、概ね二つの方法に分けられる。
例えば、水にどぶ漬けする方法、渋皮を取り除く方法は、苦味成分を取り除く方法である。
一方、タンニン酸やクエン酸又はショ糖を添加する方法などは酸味成分を増やし、ロブ味の刺激のある苦味を中和する方法である。
<酸味成分の構成と生成1>
コーヒーの酸味を構成する代表的な物質として「有機酸」クロロゲン酸から生成される「カフェ酸」「キナ酸」などが挙げられ、マイナー分子として「クエン酸」「リンゴ酸」などがある。これらは概ね、コーヒー生豆に含まれている成分が焙煎中に加水分解され生成される(表1参照)。
コーヒーの酸味を構成する代表的な物質として「有機酸」クロロゲン酸から生成される「カフェ酸」「キナ酸」などが挙げられ、マイナー分子として「クエン酸」「リンゴ酸」などがある。これらは概ね、コーヒー生豆に含まれている成分が焙煎中に加水分解され生成される(表1参照)。
尚、長期保存による酸味は、脂質が酸化し、「有機酸」が生成されることにより発生する。
<酸味成分の構成と生成2>
先述した他社の技術はなぜロブスタ種の香味が改善するのかと云えば、まず、タンニンやクエン酸を添加する方法は、単純に酸味成分をロブスタ種に添加し、増加させ苦味を中和し、リバランスする方法であり、一方、ショ糖を加える方法は、焙煎中の酸化により、酸味成分の増加を促し、苦味を中和しリバランスする方法となる。
先述した他社の技術はなぜロブスタ種の香味が改善するのかと云えば、まず、タンニンやクエン酸を添加する方法は、単純に酸味成分をロブスタ種に添加し、増加させ苦味を中和し、リバランスする方法であり、一方、ショ糖を加える方法は、焙煎中の酸化により、酸味成分の増加を促し、苦味を中和しリバランスする方法となる。
<酸味の測定方法>
コーヒーの酸味をカップテスト以外で測定する方法としては、成分をダイレクトで測定するか、若しくは、pHと滴定酸度で測定する。
コーヒーの酸味をカップテスト以外で測定する方法としては、成分をダイレクトで測定するか、若しくは、pHと滴定酸度で測定する。
酸味物質(HA)は、水に溶ける際、イオン化するため水素イオン(H+)を放出し、陰イオン化(A−)する。pHとは、その放出された水素イオンを測定することであるので、水素イオンが多ければ、それだけ酸味物質が多いことになる(図1)。
しかし、コーヒーに含まれているような弱酸性物質では、水に溶けた際にその一部のみが解離し、水素イオンを放出することから、酸味を測定する方法として適さないことが知られている。そのため、コーヒーの酸味を測定するには、H+及びHAの濃度を測定する必要がある。これを測定するのに用いられるのが「酸度」などである。「酸度」の測定方法の一つとして「中和滴定」があるが、これは、酸性溶液にNaOH等のアルカリ溶液を滴定し、酸性溶液が中性(コーヒーの場合はpH6.0程度)にするのにアルカリ物質をどの程度消費したかで測定する(図2)。
コーヒーの場合は、官能と酸度が非常に強い相関関係を持つことから、酸味の測定に使用されている。コーヒーの場合、pHを測定する時、解離したH+は測定出来るがHAは測定出来ない。実際感じる酸味とpHとの間に違いが生じる。一方、滴定酸度は、H+及びHAを測定するため、正確な酸味を測定出来る。
<本発明製法のpHと滴定酸度>
先述したロブスタ種の酸味を増強させる方法では、香味改善の証明として、比較品と比べた場合、「pHの低下」「滴定酸度の増加」「官能試験での苦味の低下」が示される。新製法でも同様の傾向が見られ、酸味が増加したことにより、ロブ味がマスキングされ、味のリバランスが起きていることが確認出来る(表2)。
先述したロブスタ種の酸味を増強させる方法では、香味改善の証明として、比較品と比べた場合、「pHの低下」「滴定酸度の増加」「官能試験での苦味の低下」が示される。新製法でも同様の傾向が見られ、酸味が増加したことにより、ロブ味がマスキングされ、味のリバランスが起きていることが確認出来る(表2)。
<酸味成分が増えた理由>
新製法は、通常のロブスタ種に散水し、過剰水を取り除いた後、焙煎するため、添加物を加えていない。にもかかわらず、酸味成分が増えていることが確認出来る。特に散水・攪拌後の過剰水にも酸味成分が多く確認されており、酸味成分は、表2の結果より実際はより多く生成されていることが確認出来る。
新製法は、通常のロブスタ種に散水し、過剰水を取り除いた後、焙煎するため、添加物を加えていない。にもかかわらず、酸味成分が増えていることが確認出来る。特に散水・攪拌後の過剰水にも酸味成分が多く確認されており、酸味成分は、表2の結果より実際はより多く生成されていることが確認出来る。
一方で、新製法の豆では、5−カフェオイルキナ酸の含有量に変化無いことが確認されており、且つBRIXにも変化がない。新製法の製造工程を整理してみると、1次焙煎→散水・攪拌→除水→2次焙煎となるが、散水・攪拌時に多くの水溶性成分が溶出すると同時、コーヒー豆の含有水分量は20%前後まで上昇する。更に除水することにより、水溶性成分を不可逆的に除去している。そのため、コーヒー豆に残留した成分が2次焙煎時に加水分解、若しくは酸化したことにより酸味成分を生成することが予想される。例えば、ジカフェオイルキナ酸は5カフェオイルキナ酸が二つ繋がった分子である。これは、熱により代謝されると数多くのカフェ酸、キナ酸を生成する(図3)。即ち、含有水分値の上昇と焙煎による熱で加水分解が於きやすい状況となり、苦味成分のジカフェオイルキナ酸は、酸味成分の2分子のカフェ酸とキナ酸を生成する。このことにより、水蒸気蒸留や散水・攪拌・除水などによりロブ味、ロブ臭の成分を取り除くのと同時に、酸味成分の含有量が上がり、酸味をマスキングする事により香味の改善が出来たと予測出来る。
以上の予備的製法の推論を下に、以下に本発明の実施例を説明する。
最初に本発明方法の概要を図4の製造フローチャートに基づいて説明する。
ステップ1では、コーヒー生豆を準備する。本発明の性格上、代表的な低品位コーヒーのロブスタ種を使用するのが望ましいが、アラビカ種でも香味改善効果は望める。
ステップ2で、コーヒー生豆を一次焙煎により豆温度130−170℃になるまで焙煎する。焙煎機はコーヒー豆を焙煎出来れば特に指定はない。この工程により、豆表面が多孔質になり、水を吸収しやすくなる(第1次焙煎工程)。
豆温度が130−170℃になった時点で焙煎機から排出し、ステップ3の散水を行う。散水はコーヒー豆の入る適当な容器を使用する。容器は、ステンレス等の素材で構わないが、コーヒー豆と水が入り、且つ、攪拌出来るものが望ましい。1次焙煎から散水までの時間は、短時間で行い、少なくとも豆温度110℃以上の時に行う。豆温度が低いと、散水時の水蒸気蒸留が上手く行われず、香味改善効果が低下する。散水量は、使用した生豆重量比30−80%が望ましい。
散水後、ステップ4の攪拌を行う。攪拌は、散水中に同時進行で行っても構わないが、攪拌操作はコーヒー豆を破損させる方法は避ける必要がある。攪拌時間は、5分から20分程度が望ましい。水蒸気蒸留、若しくは豆へ吸収されなかった水は、不快な香味を構成する成分が含まれているため、除去する必要がある。除去する方法は、網等を用いて過剰な水と豆を分離出来ればよい(散水攪拌処理工程)。
また、豆表面が濡れているため、ステップ5の焙煎機までの搬送に支障をきたすのであれば、乾燥させても良い。
尚、ステップ2から4までは、焙煎機内で行えるのであれば、1次焙煎後排出し、適当な容器で散水・攪拌、除水を行う必要はない。
ステップ5より、通常の焙煎コーヒーを製造する工程で行い、ステップ6で排出される。これら一連の工程により、ロブスタ種等の低品位コーヒーの風味の改善が行われる(第2次焙煎工程)。
ベトナム産ロブスタ種25kgをステップ1として用意使用して、Probat社製GN25を用いて、ステップ2の1次焙煎豆温度160℃で行った。その時の豆密度とコーヒー生豆密度とを比較した値を表3で示すと共に、表4で水分吸収率を示す。
水分の吸収率は、コーヒー生豆及び、1次焙煎豆の水分値をそれぞれ100%とし、例としてそれぞれの生豆重量対比で60%の水を散水し(ステップ3)、10分間攪拌(ステップ4)後、それぞれの含有水分値を測定し、散水前と比較した場合の水分値の増加率を算出した。含有水分値の測定は、アズワン社MX−50機を用い、常圧加熱乾燥法105℃恒量になるまで測定した。
その結果、1次焙煎豆はコーヒー生豆と比較して、熱により豆表面が多孔質になったことによる密度の低下が引き起こされ、その結果、水分の吸収率が明確に上昇していることが確認出来た。
ついで、ステップ5で2次焙煎を行い、焙煎されたコーヒーを排出する(ステップ6)。
明らかに1次焙煎攪拌した方が処理しない方より水分の吸収率が高いことが分った。
なお、本試験は3回行い、値はその平均値を採用した。そして、密度の測定方法はJ.Food Sci.(2000)65,3に記載している方法で行った。
ステップ1では、ベトナム産ロブスタ種25kgを使用して、Probat社製GN25を用いてステップ2の1次焙煎を行い、豆温度160℃時に排出する。その後、豆温度130℃で生豆重量対比60%(15kg)の水を散水し(ステップ3)、10分間攪拌を行った。ステップ4の攪拌後、蒸発または吸収されなかった水を除去し、ステップ5で2次焙煎を行い焙煎度L=21になるまで焙煎し、ステップ6で排出する。
本試験は2回実施し、各工程での水分値、密度、焙煎度、液性試験、官能試験に大きな違いがなかった。図5では、本実施例における豆温度、水分値、密度、焙煎度を示す。
得られた焙煎豆から3kg抜き取り、粉砕後、ビーカーの中で粉砕したコーヒー10gに対して120gの95℃の熱湯を加え1分間放置。放置後、ペーパーフィルターで濾過することにより、抽出液を得た。
得られた抽出液は、官能試験者8名により官能試験、及び液性試験(pH、酸度)を行った。尚、pHは、25℃抽出液をMETTLE TOLEDOを用いて、ガラス電極法にて測定した。
酸度(中和滴定)は、試料50mlを用いて0.1N NaOH でpH7.0までの滴定量とした。焙煎豆をディッティングミルにて微粉末(目盛り1.5)にし、日本電色ZE−2000にて測定した。
なお、本実施例の製法に基づくコーヒーと、比較品としてベトナム産ロブスタ種を従来法で散水,攪拌工程を行わないコーヒーとを対比した結果を表5に示す。
本発明に基づく上記実施例による豆温度の推移を確認すると、2次焙煎時に焙煎直後、散水工程により豆水分値が15−30%に上昇しているため、豆温度が上がりにくい。しかし、焙煎度L=21では、水分値が1.52%と比較品と比べて違いがない。また、豆密度も1.83g/cm3と比較品と比べて変化がないことから、本発明方法により焙煎したコーヒー豆は、物性的に通常焙煎と違いがないことが確認出来た。
本発明方法で焙煎したコーヒー豆の抽出方法は、比較品と比べてpHが低下し、酸度が上昇していることから、本発明方法の焙煎豆は、中性から酸性に変化し、ロブ味を低減させていることが確認出来る(表6)。
官能試験の結果、焙煎豆を粉砕したコーヒーの香りは、比較品と比べて、明らかにロブ臭が低減していることが確認出来た。味に関しても、コーヒー本来の甘味、酸味を残しながら、ロブ味の特徴である苦味、渋味、後味が明らかに改善されていることが確認出来た(表7)。
以上のことから、本発明方法を用いると、コーヒーの物性特性を維持しながらも、ロブスタ種等の特徴である、不快な香味が低減され、著しく香味が改善されることが確認出来た。
<別実施形態>
上記の実施形態では、コーヒー豆のロブスタ種を例に挙げ説明したが、本発明に適応されるコーヒー豆の品種は、これに限定されるものではない。
上記の実施形態では、コーヒー豆のロブスタ種を例に挙げ説明したが、本発明に適応されるコーヒー豆の品種は、これに限定されるものではない。
Claims (3)
- コーヒー生豆を焙煎釜で、豆表面を多孔質に焼成する第1次焙煎工程と、前記焙煎釜からコーヒー豆を取り出し、散水後、撹拌し、コーヒー豆表面の渋皮を膨張させて、不快な香味の揮発成分を除去する散水撹拌処理工程と、再度焙煎釜内に投入して、目的焙煎温度まで焙煎する第2次焙煎工程とより成ることを特徴とするコーヒー生豆の焙煎方法。
- 第1次焙煎工程の焙煎温度は、130℃〜170℃であることを特徴とする請求項1記載のコーヒー生豆の焙煎方法。
- 散水撹拌処理工程の散水量は、生豆重量比30〜80%であり、かつ撹拌時間は5分〜20分であることを特徴とする請求項1記載のコーヒー生豆の焙煎方法。
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Legal Events
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130121 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20140325 |