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JP2011011476A - 印刷装置および印刷方法 - Google Patents

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JP2011011476A
JP2011011476A JP2009158100A JP2009158100A JP2011011476A JP 2011011476 A JP2011011476 A JP 2011011476A JP 2009158100 A JP2009158100 A JP 2009158100A JP 2009158100 A JP2009158100 A JP 2009158100A JP 2011011476 A JP2011011476 A JP 2011011476A
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Abstract

【課題】発光素子を有する印刷装置において、インクを適切に硬化させる。
【解決手段】インクジェット方式の印刷装置は、紫外線硬化性のインクの微小液滴を吐出するヘッド211、および、互いに異なる複数の波長帯の紫外線を放射する複数の発光素子を有する紫外線放射部4を備える。また、インクの種類と複数の発光素子のうち点灯する点灯素子とを関連付けた参照テーブル622が準備される。そして、印刷動作の際に、ヘッド211におけるインクの種類を示す選択条件、および、参照テーブル622に従って、複数の発光素子から点灯素子が選択されて点灯される。このように、インクの種類に応じて点灯素子を選択することにより、基材9上のインクを適切に硬化させることができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、インクジェット方式の印刷装置、および、当該印刷装置を用いる印刷方法に関する。
従来より、インクの微小な液滴を吐出する多数の吐出口が配列されたヘッドを、印刷媒体に対して相対的に走査することにより印刷を行うインクジェット方式の印刷装置が用いられており、近年では、紫外線硬化性のインクを用いて撥液性の印刷媒体等に画像を印刷することも行われている。紫外線硬化性のインクを用いる印刷装置として、例えば特許文献1では、光源から出射される光を複数の光路に分割して、記録媒体の搬送経路上における複数の範囲に照射するとともに、各光路において特定の波長の光のみを透過するフィルタを設けることにより、搬送経路上における複数の範囲に互いに異なる波長の光を照射する手法が開示されている。また、特許文献2では、インクジェットプリンタにおいてUVLED(紫外線発光ダイオード)からの紫外線を用いてインクを硬化させる手法が開示されている。
特開2003−200560号公報 特開2007−185852号公報
特許文献1では光路とフィルタを配置するための余地が必要であるため装置を小型化できない、という問題があった。また、発光ダイオードを紫外線放射部として有する特許文献2の印刷装置では、発光ダイオードから放射される紫外線の波長帯は極めて狭いため、当該紫外線とは硬化する波長帯が大幅に異なるインクを用いる場合には、インクを適切に硬化させることができなくなる。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、発光素子を有する印刷装置において、インクを適切に硬化させることを目的としている。
請求項1に記載の発明は、インクジェット方式の印刷装置であって、印刷媒体を保持する保持部と、紫外線硬化性のインクの微小液滴を前記印刷媒体に向けて吐出するヘッドと、互いに異なる複数の波長帯の紫外線を放射する複数の発光素子を有する紫外線放射部と、前記ヘッドからのインクの吐出に同期して、前記ヘッドおよび前記紫外線放射部を前記印刷媒体を走査する方向に前記保持部に対して相対的に移動する走査機構と、前記複数の発光素子のうち、点灯する点灯素子を選択するための選択条件の入力を受け付ける入力受付部と、印刷動作の際に、前記選択条件に従って前記点灯素子を選択して点灯することにより、前記複数の波長帯から選択された少なくとも1つの選択波長帯の紫外線を前記印刷媒体上に吐出されたインクに照射する制御部とを備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の印刷装置であって、前記選択条件が、前記ヘッドから吐出されるインクの種類であり、前記制御部が、インクの種類と点灯素子とを関連付けたテーブルを記憶する記憶部を備える。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の印刷装置であって、前記選択条件が、前記印刷動作の前に行われるテスト印刷の結果である。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の印刷装置であって、前記選択条件が、硬化後のインクの性状であり、前記制御部が、硬化後のインクの性状と点灯素子とを関連付けたテーブルを記憶する記憶部を備える。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の印刷装置であって、前記制御部が、前記印刷動作の際に、前記選択条件に従って各選択波長帯における出力強度も選択する。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の印刷装置であって、前記ヘッドにおいて前記印刷媒体に平行な配列方向に複数の吐出口が配列されており、前記走査機構が、前記印刷媒体に平行かつ前記配列方向に交差する走査方向に前記ヘッドおよび前記紫外線放射部を前記保持部に対して相対的に移動し、前記複数の発光素子において、各波長帯の紫外線を放射する発光素子が、前記配列方向および前記走査方向に2次元に配列されており、前記制御部が、前記各選択波長帯の紫外線を放射する前記発光素子のうち点灯するものを前記配列方向および前記走査方向に関して均一に選択することにより、前記各選択波長帯の紫外線の実際の出力強度を変更する。
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の印刷装置であって、前記ヘッドにおいて前記印刷媒体に平行な配列方向に複数の吐出口が配列されており、前記走査機構が、前記印刷媒体に平行かつ前記配列方向に交差する走査方向に前記ヘッドおよび前記紫外線放射部を前記保持部に対して相対的に移動し、前記複数の発光素子において、各波長帯の紫外線を放射する発光素子が、前記配列方向および前記走査方向に2次元に均一に混在して配列されている。
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の印刷装置であって、一の色のインクを吐出する前記ヘッドと同様の構造であり、前記ヘッドとは異なる他の色のインクを吐出する他のヘッドをさらに備え、前記制御部が、前記印刷動作の際に、前記一の色のインクおよび前記他の色のインクに対する選択条件に従って前記点灯素子を選択して点灯する。
請求項9に記載の発明は、インクジェット方式の印刷装置を用いる印刷方法であって、前記印刷装置が、印刷媒体を保持する保持部と、紫外線硬化性のインクの微小液滴を前記印刷媒体に向けて吐出するヘッドと、互いに異なる複数の波長帯の紫外線を放射する複数の発光素子を有する紫外線放射部と、前記ヘッドおよび前記紫外線放射部を前記印刷媒体を走査する方向に前記保持部に対して相対的に移動する走査機構とを備え、前記印刷方法が、a)前記複数の発光素子のうち、点灯する点灯素子を選択するための選択条件を特定する工程と、b)前記ヘッドから前記保持部に保持された印刷媒体に向けてインクを吐出するとともに前記走査機構を駆動することにより、前記印刷媒体上に印刷を行う工程と、c)前記b)工程と並行して、前記選択条件に従って前記点灯素子を選択して点灯することにより、前記複数の波長帯から選択された少なくとも1つの選択波長帯の紫外線を前記印刷媒体上に吐出されたインクに照射する工程とを備える。
本発明によれば、選択条件に従ってインクを適切に硬化させることができる。
印刷装置の構成を示す図である。 ヘッドユニットを示す図である。 紫外線放射部の底面図である。 発光部を示す図である。 本体制御部の機能構成を示すブロック図である。 参照テーブルを示す図である。 印刷装置が画像を印刷する動作の流れを示す図である。 参照テーブルの他の例を示す図である。 参照テーブルのさらに他の例を示す図である。 発光部を点灯する他の動作例を示す図である。 発光部を点灯するさらに他の動作例を示す図である。 紫外線放射部の他の例を示す図である。
図1は本発明の第1の実施の形態に係るインクジェット方式の印刷装置1の構成を示す図である。印刷装置1は、プラスチックにて形成されるフィルム状の基材9上に複数の色成分の画像を重ねて記録する画像記録装置であり、本実施の形態では、画像が印刷された基材9は広告等を目的とする展示、あるいは、自動車や電車等の車体のラッピングに用いられる。
印刷装置1の本体12は、インクの微小液滴を基材9に向けて吐出するヘッドユニット21、ヘッドユニット21を図1中のX方向へと基材9に沿って移動するヘッド移動機構22、ヘッドユニット21の下方((−Z)側)にてX方向に垂直なY方向へと基材9を移動させる送り機構3、並びに、ヘッドユニット21、ヘッド移動機構22および送り機構3に接続される本体制御部6を備え、本体制御部6には、各種演算処理を行うCPUや各種情報を記憶するメモリ等を有するコンピュータ11が接続される。印刷装置1では、本体12がコンピュータ11からの信号を受けて基材9上に画像を印刷する。
送り機構3は、図示省略のモータに接続された2つのベルトローラ31、および、2つのベルトローラ31の間に掛けられたベルト32を有する。また、送り機構3の(−Y)側かつ(−Z)側には、ロール状の基材9(供給ロール)を保持する供給部51が設けられ、送り機構3の(+Y)側かつ(−Z)側にはロール状の基材9(巻取ロール)を保持する巻取部52が設けられる。供給部51から引き出された基材9は、保持部であるベルト32上にて保持され、ベルト32と共にヘッドユニット21の下方を通過して(+Y)側へと移動し、巻取部52にて巻き取られる。以下の説明では、単に基材9という場合は搬送途上の部位(すなわち、ベルト32上の基材9の部位)を指すものとする。
なお、印刷装置1における印刷媒体(印刷対象)は、紙や布等のロール材や、プラスチック、ガラス、金属等にて形成される板材、あるいは、枚葉紙等であってもよく、板材や枚葉紙等の印刷の際には、印刷媒体は、供給部51および巻取部52を利用することなく、ベルト32上に載置される。
ヘッド移動機構22には、X方向に細長い環状に設けられたタイミングベルト222が設けられ、モータ221がタイミングベルト222を往復移動することにより、基材9の幅に対応するX方向にヘッドユニット21が滑らかに移動する。
図2は、図1中の(+Y)側から(−Y)方向を向いて見た場合のヘッドユニット21を示す図である。図2に示すように、ヘッドユニット21には、互いに同様の構造とされる複数のヘッド211がX方向に配列されており、複数のヘッド211では、紫外線硬化性を有する複数の色のインクがそれぞれ吐出可能とされる。実際には、各ヘッド211には、インクを貯溜するインクボトル(図示省略)が接続されている。
ヘッド211には、それぞれがインクの微小液滴を基材9に向けて(図2中の(−Z)方向に)吐出する複数の吐出口が形成され、複数の吐出口は基材9に平行な面(XY平面に平行な面)上においてY方向に一定のピッチにて配列される。なお、各ヘッド211では、一列に並ぶ複数の吐出口を吐出口列として、X方向に複数の吐出口列が配列されてもよく、この場合、Y方向に関して、一の吐出口列にて互いに隣接する2つの吐出口の間に、他の各吐出口列の1つの吐出口が配置され、基材9上において各吐出口列における吐出口のピッチ以下のピッチにてY方向に一列に並ぶ複数のドットの形成が可能とされる。
実際の印刷時には、図2に示すヘッドユニット21がインクを吐出しつつ、ヘッド211の吐出口の配列方向(Y方向)に交差する(+X)方向に連続的に移動し、基材9の(+X)側へと到達した後に基材9が(+Y)側に所定距離だけ移動する。続いて、ヘッドユニット21がインクを吐出しつつ(−X)方向に連続的に移動し、基材9の(−X)側へと到達した後に基材9が(+Y)側に移動する。このように、印刷装置1ではヘッドユニット21が基材9に対してX方向に相対的に主走査するとともに、主走査が完了する毎に、Y方向に相対的に副走査する。以下、X方向を主走査方向と呼び、Y方向を副走査方向と呼ぶ。
本実施の形態では、ヘッドユニット21が4個のヘッド211を有し、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローのインクを吐出するものとするが、もちろん、ヘッドユニット21はライトシアン、ライトマゼンタ、ホワイト等の他の色のインクも吐出するものであってよい。
ヘッドユニット21において、複数のヘッド211の(−X)側および(+X)側のそれぞれには、基材9に向けて紫外線を放射(すなわち、出射)する紫外線放射部4が設けられる。1つの紫外線放射部4の底面を示す図3のように(ただし、図3では、図2中にて複数のヘッド211が並ぶX方向を縦方向として図示している。)、各紫外線放射部4は複数の(本実施の形態では4個の)発光部41を有し、複数の発光部41はX方向に配列される。各発光部41のY方向の長さは、各ヘッド211における複数の吐出口の配列のY方向の長さとほぼ同じとされる。
図4は、1つの発光部41の一部を拡大して示す図である。図4に示すように、各発光部41では、同種の多数の発光素子(例えば、発光ダイオード)411がX方向およびY方向に2次元に配列されている。本実施の形態では、図3中の最も(+X)側の発光部41は、強度が最大となるピーク波長がUVV(すなわち、390ナノメートル(nm)以上445nm未満の波長域)に含まれる紫外線を放射する発光素子411の集合とされ(以下、当該発光部41を「UVVの発光部41」という。以下同様。)、UVVの発光部41の(−X)側の発光部41は、ピーク波長がUVA(すなわち、320nm以上390nm未満の波長域)に含まれる紫外線を放射する発光素子411の集合とされる。また、UVAの発光部41の(−X)側の発光部41は、ピーク波長がUVB(すなわち、280nm以上320nm未満の波長域)に含まれる紫外線を放射する発光素子411の集合とされ、最も(−X)側の発光部41は、ピーク波長がUVC(すなわち、200nm以上280nm未満の波長域)に含まれる紫外線を放射する発光素子411の集合とされる。このように、紫外線放射部4は、互いに異なる複数の波長帯の紫外線を放射する複数の発光素子411を有している。
既述のように、UVVの発光部41に含まれる発光素子411はピーク波長がUVVに含まれる紫外線を放射するものであり、当該発光素子411から放射される紫外線の波長帯(例えば、強度スペクトルの半値幅として特定される。)が必ずしもUVVに一致する訳ではない(UVAの発光部41、UVBの発光部41およびUVCの発光部41、並びに、後述のUVVの発光素子411、UVAの発光素子411、UVBの発光素子411およびUVCの発光素子411において同様)。
図5は、本体制御部6の機能構成を示すブロック図である。図5に示すように、本体制御部6は、印刷制御部61、紫外線放射部4に接続される放射制御部62、および、入力受付部63を備える。印刷制御部61は、複数のヘッド211(ただし、図5では1つのヘッド211のみを示している。紫外線放射部4において同様。)、ヘッド移動機構22および送り機構3に接続される。また、印刷制御部61は、複数のヘッド211からのインクの吐出制御に用いられる印刷データを生成する印刷データ生成部611を有し、コンピュータ11から入力される元画像のデータが印刷データに変換される。入力受付部63では、本体制御部6に接続されたキーボードやマウス、あるいは、バーコードリーダ等である入力部13からの信号が受け付けられる。放射制御部62は、参照テーブル622を記憶する記憶部621を有し、入力受付部63にて受け付けられた入力信号に従って参照テーブル622が示す紫外線放射部4の制御に係る条件が特定され、紫外線放射部4が制御される。
図6は、参照テーブル622を示す図である。本実施の形態における参照テーブル622は、各ヘッド211から吐出されるインクの種類を、いずれかの発光部41、および、その出力強度(例えば、最大出力に対する割合として示される。)に対応付けたものである。実際には、各インクの硬化波長(すなわち、当該インクに含まれる光重合開始剤が反応する波長)を含む波長帯の紫外線を放射する発光部41が当該インクに対応付けられる。以下、インクの種類に対応付けられる発光部41、および、当該発光部41の出力強度の組合せを「放射条件」という。
図6の参照テーブル622では、インクの種類を識別番号(図6中にて「ID」として示す。)にて示し、各放射条件において、発光部41をUVV、UVA、UVBまたはUVCにて示し、発光部41の出力強度をカッコ内に記している。後述する印刷動作の際には、複数のヘッド211から吐出される複数のインクの種類に対応する発光部41から、当該インクの種類に対応する出力強度にて紫外線が放射される。以下の説明では、印刷動作にて実際に紫外線を放射する(すなわち、ONとされる)発光部41の発光素子411を「点灯素子411」といい、点灯素子411が放射する紫外線の波長帯を「選択波長帯」という。
次に、印刷装置1が画像を印刷する動作について図7を参照しつつ説明する。なお、図6の参照テーブル622は事前処理にて予め作成され、記憶部621にて記憶されている。
印刷装置1では、まず、紫外線放射部4の複数の発光素子411のうち、印刷動作にて実際に点灯する点灯素子411を選択するための選択条件が特定される(ステップS10)。具体的には、本実施の形態における選択条件は、複数のヘッド211から吐出される複数のインクの種類となっており、一のヘッド211におけるインクの種類を変更する場合には、当該ヘッド211に接続されたインクボトルが、実際に使用する予定のインクが貯溜されたインクボトルに交換されるとともに、当該インクボトルに貼付されたラベル上のバーコードを図5の入力部13であるバーコードリーダにて読み取ることにより、当該インクの種類の入力が、入力受付部63にて受け付けられる。これにより、本体制御部6において当該ヘッド211に対する選択条件が特定される。
また、印刷装置1では、使用中のインクボトル内のインクが減少したことにより、同種のインクのインクボトルから使用中のインクボトル内にインクを補充する場合や、使用中のインクボトルを同種のインクのインクボトルに交換する場合に、上記のインクの種類の入力が確認的に行われてもよい。なお、インクの種類が直前の印刷動作から変更されない、または、インクの補充が行われないヘッド211では、直前の印刷動作と同じ選択条件が用いられるため、本実施の形態におけるステップS10の処理は、原則としてインクの種類を変更する場合、および、インクの補充を行う場合にのみ行われる。
印刷装置1では、選択条件が特定された状態において、図5の本体制御部6に設けられたモニタ(タッチパネルとなっている。)を介して、操作者により基材9の種類や大きさ、あるいは、印刷枚数(同じ画像を印刷する領域の数)等の印刷ジョブが指定されると(ステップS11)、放射制御部62において、各ヘッド211に対する選択条件を用いて放射条件が特定される。例えば、一のヘッド211におけるインクの種類が、「ID101」である場合には、「ID101」を用いて図6の参照テーブル622を参照することにより、UVVの発光部41と出力強度PV1との組合せを示す放射条件が特定される。これにより、UVVの発光部41から放射される紫外線の波長帯が選択波長帯とされ、UVVの発光部41に含まれる各発光素子411が点灯素子411として選択される(ステップS12)。以下の説明では、特定された放射条件に含まれる発光部41を「選択発光部41」という。
実際には、印刷装置1には異なる色のインクを吐出する複数のヘッド211が設けられるため、複数のヘッド211にそれぞれ対応する複数の放射条件が特定される。例えば、複数のヘッド211におけるインクの種類が「ID101」および「ID103」である場合には、UVVの発光部41およびUVBの発光部41が選択発光部41とされ(「ID101」および「ID103」に対応する発光部41の論理和(OR)と捉えることもできる。)、これらの発光部41から放射される紫外線の波長帯のそれぞれが選択波長帯として選択されるとともに、UVVの発光部41の出力強度、および、UVBの発光部41の出力強度が、それぞれPV1およびPB1とされる。
また、複数のヘッド211におけるインクの種類が、「ID105」および「ID106」である場合には、UVVの発光部41、UVAの発光部41およびUVBの発光部41が選択発光部41とされ、これらの発光部41から放射される紫外線の波長帯のそれぞれが選択波長帯として選択されるとともに、UVVの発光部41の出力強度、UVAの発光部41の出力強度、および、UVBの発光部41の出力強度が、それぞれPV1、PA1およびPB1とされる。実際には、「ID105」に対応するUVVの発光部41の出力強度PV1と、「ID106」に対応するUVVの発光部41の出力強度PV2とは相違しているが、本実施の形態では、PV1がPV2よりも高いため、UVVの発光部41の出力強度としてPV1が用いられる。
ところで、複数のヘッド211のインクの種類によっては、同一の発光部41が選択発光部41とされ、この発光部41から放射される紫外線の波長帯が唯一の選択波長帯として選択される場合もある。したがって、放射制御部62では、複数の発光部41にそれぞれ対応する複数の波長帯から、選択条件に従って少なくとも1つの選択波長帯が選択されることとなる。なお、複数種類のインクにて放射条件が同じである場合には、これらのインクに同じIDが付与されていてもよい。また、記憶部621では、インクの色(ヘッド211)毎に参照テーブル622が準備されてもよい。
点灯素子411が選択されると、図1の印刷装置1に印刷対象の基材9がセットされ(ステップS13)、操作者が本体制御部6のモニタを介して基材9のロードを指示することにより、基材9上にて画像が印刷されるべき領域の端部が、ヘッドユニット21に対する所定の印刷開始位置に配置される。なお、基材9が板材や枚葉紙等である場合には、その先端が印刷開始位置に配置される。
そして、操作者が本体制御部6のモニタを介して印刷の開始を指示すると、放射制御部62により紫外線放射部4からの紫外線の放射が開始される(ステップS14)。この段階では、ヘッドユニット21の最初の主走査の際の進行方向の後側の紫外線放射部4のみにおいて選択波長帯の紫外線を放射する点灯素子411がONにされる(すなわち、点灯される。)。実際には、点灯素子411に入力する電圧を調整することにより、選択波長帯の紫外線は選択された出力強度にて選択発光部41から放射される(他方の紫外線放射部4の点灯素子411をONにする場合において同様)。
紫外線の放射の開始とほぼ同時に、図5の印刷制御部61がヘッド移動機構22および送り機構3を駆動することにより、ヘッドユニット21の基材9に対する相対移動(すなわち、主走査および間欠的な副走査)が開始される(ステップS15)。このとき、印刷データ生成部611では、コンピュータ11から入力される元画像のデータが、各色成分においてヘッド211の複数の吐出口からのインクの吐出のON/OFFを指示する画像のデータ(すなわち、印刷データ)に順次変換されており、ヘッドユニット21の1回の主走査にて印刷される画像の部分のデータをデータブロックとして、最初の主走査に対応するデータブロックが特定されて読み出され(ステップS16)、ヘッド211に設けられるバッファ(メモリ)に転送される(ステップS17)。そして、ヘッドユニット21の主走査に同期しつつ、バッファ内のデータブロックが示す値に従って各ヘッド211に含まれる複数の吐出口からインクが吐出される(ステップS18)。
また、基材9上に吐出された直後のインクに対して、図2のヘッドユニット21の基材9に対する進行方向の後側に配置された紫外線放射部4から選択波長帯の紫外線が照射され、当該紫外線により基材9上のインクが硬化する。なお、紫外線放射部4は、複数のヘッド211から主走査方向に比較的離れて配置されているため、紫外線放射部4から放射される紫外線の基材9表面における反射光はヘッド211の吐出口近傍にはほとんど到達せず、当該反射光により吐出口にてインク詰まりが生じることはない。
ヘッドユニット21が、基材9のX方向の端部まで到達すると、ヘッドユニット21の主走査が停止されるとともに、基材9がY方向に移動し(すなわち、ヘッドユニット21が副走査し)、ヘッドユニット21が次の主走査の開始位置に配置される。また、最初の主走査の際に紫外線の放射が行われた紫外線放射部4がOFFにされ(すなわち、点灯素子411が消灯され)、他方の紫外線放射部4において選択波長帯の紫外線を放射する点灯素子411がONにされる。さらに、ヘッドユニット21の副走査の間に、次の主走査に対応するデータブロックが特定されて読み出され(ステップS19,S16)、ヘッド211のバッファに転送される(ステップS17)。そして、ヘッドユニット21の主走査に同期しつつ複数の吐出口からインクが吐出されるとともに、インクの吐出動作に並行して基材9上に吐出されたインクに点灯素子411からの紫外線が照射される(ステップS18)。
印刷装置1では、各色に着目した場合に、1回の主走査にて副走査方向に並ぶ複数のドットの間に他の主走査にてドットを形成するインタレース印刷が行われる。なお、ヘッド211にて複数の吐出口が副走査方向に密に配列される場合等には、必ずしもインタレース印刷が行われる必要はない。
印刷装置1では、ヘッドユニット21の主走査、および、ヘッドユニット21の間欠的な副走査が、ONにする紫外線放射部4を主走査毎に切り替えつつ繰り返されるとともに、各主走査においてインクの吐出制御が行われる(ステップS16〜S19)。そして、元画像の全体が基材9上に印刷されると(ステップS19)、ヘッドユニット21の基材9に対する相対移動が停止されるとともに(ステップS20)、全ての発光素子411をOFFにして紫外線の放射が停止され(ステップS21)、印刷装置1における印刷動作が終了する。
ところで、一般的な紫外線ランプにてインクの硬化を行う場合には、紫外線以外の広い波長域の光が放射されるため、基材9が過度に加熱されて変形等が生じる可能性があり、消費電力も大きくなってしまう。また、一の種類の発光ダイオードのみを有する印刷装置(以下、「比較例の印刷装置」という。)では、発光ダイオードから放射される光の波長帯は極めて狭いため(例えば、強度スペクトルにおける半値幅が50nm以下であり、単一波長と捉えることもできる。)、様々な種類のインクを適切に硬化させることが困難である。
これに対し、本実施の形態に係る印刷装置1では、互いに異なる複数の波長帯の紫外線を放射する複数の発光素子411が設けられ、インクの種類と点灯素子411とを関連付けた参照テーブル622が準備される。そして、印刷動作の際に、複数のヘッド211におけるインクの種類を示す複数の選択条件、および、参照テーブル622に従って、複数の発光素子411から点灯素子411が選択されて点灯される。このように、複数のヘッド211におけるインクの種類(または、インクの硬化特性)に応じて点灯素子411を選択することにより、複数の色のインクを用いる印刷装置1において、基材9上のインクを適切に硬化させ、比較例の印刷装置に比べて好ましい印刷画像を形成することができる。また、印刷装置1では、選択条件に基づいて必要な点灯素子411のみが選択されて点灯されることにより、印刷におけるエネルギー効率を向上することができ、基材9が過度に加熱されることも防止することができる。
また、印刷装置1では、印刷動作の際に、選択条件に従って各選択波長帯における紫外線の出力強度も選択することにより、一定の高い強度にて紫外線を放射する場合に比べて、印刷におけるエネルギー効率をさらに向上することができる。さらに、参照テーブル622に基づいて点灯素子411を選択することにより、誤った発光素子411が選択されて不適切な印刷が行われ、基材9が無駄に消費されることを防止することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態に係る印刷装置1の動作例では、ヘッド211におけるインクの種類を変更する場合や、インクを補充する場合に、紫外線放射部4からの紫外線の放射条件を様々に変更しつつテスト用の基材上にテスト印刷が行われる。
具体的には、インクの種類の変更やインクの補充が行われたヘッド211を含む全てのヘッド211を用いて、全ての色のインク(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のパッチを含むテストチャートの印刷が行われる。このとき、UVAの発光部41のみを出力強度PA1にて点灯する放射条件にてテストチャートが印刷され、続いて、UVAの発光部41のみを出力強度PA2にて点灯する放射条件にてテストチャートが印刷される。このように、UVAの発光部41の出力強度を複数通りに変更しつつ複数のテストチャートが印刷される。また、UVVの発光部41、UVBの発光部41およびUVCの発光部41のそれぞれにおいても、同様に、出力強度を複数通りに変更しつつ複数のテストチャートが印刷される。さらに、UVVの発光部41、UVAの発光部41、UVBの発光部41およびUVCの発光部41のうちの任意の2以上の発光部41の組合せ(実際には、複数の組合せのそれぞれ)においても、同様に、出力強度を複数通りに変更しつつ複数のテストチャートが印刷される。
そして、各テストチャートが印刷された基材の上に所定のシートを被せ、シート上から各パッチに対してひっかき試験を行い、硬化したインクがシートに転写された場合に(すなわち、裏写りした場合に)、当該パッチの印刷が行われたヘッド211において、当該パッチの印刷時における紫外線の放射条件が不合格(NG)とされ、インクがシートに転写されない場合に放射条件が合格(OK)とされる。これにより、各ヘッド211に対して、図8に示すように、紫外線の各放射条件(すなわち、発光部41とその出力強度との組合せ)に対するテスト印刷の結果が参照テーブル622aとして作成される。図8では、各放射条件にて使用する発光部41をUVA、UVBまたはUVCにて示し、発光部41の出力強度をカッコ内に記している。また、テスト印刷の結果(図8にて「テスト結果」と記す。)の列において、「1」は合格を示し、「0」は不合格を示している。なお、図8の参照テーブル622aの作成時には、UVVの発光部41は使用されていない。
また、テスト印刷における紫外線の放射条件には、消費するエネルギーが少ない放射条件ほど番号が小さくなる(すなわち、優先度が高くなる)優先順位が設定されており(図8中の最も右側の列参照)、通常、複数の発光部41を含む放射条件は優先順位が低くなる。テスト印刷の結果は、ひっかき試験以外に(または、ひっかき試験の結果に加えて)、測色機による測色結果に基づくものであってもよい。
印刷装置1では、インクの種類の変更やインクの補充が行われた際に、テスト印刷を行って各ヘッド211に対して上記参照テーブル622aが作成される。そして、複数のヘッド211に対する複数の参照テーブル622aが、図5の入力部13を介して選択条件として本体制御部6に入力され、入力受付部63にて受け付けられる(図7:ステップS10)。ここでは、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体から情報の読み取りを行う読取装置や、他のコンピュータと通信を行う通信部等が入力部13であり、作成された参照テーブル622aが、記録媒体や通信部を介して本体制御部6に入力される。インクの種類の変更やインクの補充が行われない場合には、直前の印刷動作と同じ選択条件が用いられるため、本実施の形態におけるステップS10の処理は、原則としてインクの種類の変更やインクの補充が行われる場合にのみ行うものとなっている。
本体制御部6にて印刷ジョブが指定されると(ステップS11)、放射制御部62では、各ヘッド211に対する参照テーブル622aにおいて、テスト印刷の結果が合格となる放射条件のうち優先順位が最も高いものが特定される。図8の参照テーブル622aでは、UVAの発光部41と出力強度PA1との組合せを示す放射条件が特定される。これにより、UVAの発光部41から放射される紫外線の波長帯が選択波長帯とされ、UVAの発光部41に含まれる各発光素子411が点灯素子411として選択される(ステップS12)。実際には、上記第1の実施の形態と同様に、複数のヘッド211にそれぞれ対応する複数の放射条件が特定され、選択発光部41およびその出力強度が選択される。なお、放射条件の選択に際して、インクの発色等を考慮して一定の条件が追加されてもよく、例えば、UVBの発光部41を含むという条件を追加する場合には、テスト印刷の結果が合格であり、UVBの発光部41を含み、かつ、優先順位が最も高い放射条件であるUVAの発光部41とUVBの発光部41との組合せ(出力強度はそれぞれPA1およびPB1である。)が特定される。
続いて、印刷対象の基材9が印刷装置1にセットされると(ステップS13)、一方の紫外線放射部4の点灯素子411がONとされて紫外線の放射が開始されるとともに(ステップS14)、ヘッドユニット21の基材9に対する相対移動(すなわち、主走査および間欠的な副走査)が開始され(ステップS15)、ヘッドユニット21の相対移動に同期して、各ヘッド211に対するインクの吐出制御が行われる(ステップS16〜S19)。元画像の全体が基材9上に印刷されると(ステップS19)、ヘッドユニット21の基材9に対する相対移動が停止されるとともに(ステップS20)、紫外線の放射が停止され(ステップS21)、印刷装置1における印刷動作が終了する。
以上に説明したように、第2の実施の形態に係る印刷装置1では、各ヘッド211に対して、印刷動作の前に行われる複数の放射条件でのテスト印刷の結果が選択条件として入力されて、入力受付部63にて受け付けられる。そして、印刷動作の際に選択条件に従って点灯素子411が選択されて点灯される。このように、テスト印刷の結果に応じて点灯素子411を選択することにより、印刷装置1においてインクを適切に硬化させることができる。また、放射条件に紫外線の出力強度も含められ、消費するエネルギーに応じた優先順位が複数の放射条件に対して設定されることにより、印刷におけるエネルギー効率を向上することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態に係る印刷装置1の動作例においても、ヘッド211におけるインクの種類を変更する場合や、インクを補充する場合に、紫外線放射部4からの紫外線の放射条件を様々に変更しつつテスト用の基材上にテスト印刷が行われる。
本実施の形態におけるテストチャートは、多数の色(複数の色のインクの混色を含む。)のパッチを含んでおり、第2の実施の形態の場合と同様にして、複数の放射条件に対応する複数のテストチャートが作成される。続いて、光沢計を用いて全てのテストチャートのパッチの光沢度が取得され、全てのテストチャートにおいて互いに対応するパッチの光沢度を比較することにより、各パッチが光沢度が高いグループと、低いグループとに分類される。そして、光沢度が高いグループに属するパッチを最も多く含むテストチャートが特定され、このテストチャートの印刷時における放射条件が、光沢感が最も高い仕上がりとなる条件とされる。また、光沢度が高いグループに属するパッチをN番目(Nは2以上の整数)に多く含むテストチャートも特定され、このテストチャートの印刷時における放射条件が、光沢感がN番目に高い仕上がりとなる条件とされる。これにより、図9に示すように、光沢感が最も高い仕上がり、および、光沢感がN番目に高い仕上がり(図9中の最上段にて「仕上がり」と示す列にて、それぞれ「光沢感1」および「光沢感2」と記す。)に対して、紫外線の放射条件を対応付けた参照テーブル622bが作成される。
図9の参照テーブル622bでは、「仕上がり」の列に「延性1」および「延性2」も設けられており、これらに対する放射条件を特定する際には、まず、基材上の各パッチの部分が所定の曲率半径となるように曲げられ、当該パッチの部分にクラックが生じるか否かが確認される。そして、全てのテストチャートにおいて、クラックが生じるパッチの個数が最小となるテストチャートが特定され(複数のテストチャートが特定される場合には、さらに小さい曲率半径となるように曲げた場合にクラックが生じるパッチの個数が比較される。)、このテストチャートの印刷時における放射条件が、延性が最も高い仕上がりとなる条件とされる。また、光沢感の場合と同様に、クラックが生じるパッチの個数がN番目に少ないテストチャートも特定され、このテストチャートの印刷時における放射条件が、延性がN番目に高い仕上がりとなる条件とされる。図9の参照テーブル622では、最上段にて「仕上がり」と示す列にて、延性が最も高い仕上がり、および、延性がN番目に高い仕上がりをそれぞれ「延性1」および「延性2」と記している。
参照テーブル622bの作成の際には、作業者が全てのテストチャートを見比べることにより、「光沢感1」および「光沢感2」にそれぞれ対応する放射条件が特定されてもよい(延性において同様)。また、延性の場合と同様に、各パッチを一定の曲率半径となるように曲げた場合における剥離の有無を確認することにより、密着力が最も高くなる放射条件等が特定され、参照テーブル622bに含まれてもよい。後述するように、図9の「仕上がり」の列に示す各項目が、本実施の形態における選択条件となっており、選択条件は硬化後のインクの様々な性状とされる。なお、基材9を自動車や電車等の車体のラッピングに用いる際には、基材9が曲面に貼り付けられるため、硬化後のインクの延性や、密着力が重要となる。
印刷装置1では、インクの種類の変更やインクの補充が行われた際に、テスト印刷を行って図9の参照テーブル622bが作成され、参照テーブル622bは放射制御部62の記憶部621にて記憶される。印刷装置1における印刷動作の際には、印刷ジョブの指定と共に、操作者により参照テーブル622bにおける「仕上がり」の列のいずれかの項目が、本体制御部6のモニタを介して選択条件として選択され、項目の選択の入力が入力受付部63にて受け付けられる(図7:ステップS10,S11)。本実施の形態では、本体制御部6のモニタが入力部13となっている。
例えば、参照テーブル622bにて「光沢感1」が選択条件として入力された場合には、放射制御部62では、UVVの発光部41および出力強度PV1、UVBの発光部41および出力強度PB1、並びに、UVCの発光部41および出力強度PC1の組合せを示す放射条件が参照テーブル622bから特定される。このようにして、選択発光部41およびその出力強度が決定され、UVVの発光部41、UVBの発光部41およびUVCの発光部41から放射される紫外線の波長帯が選択波長帯とされるとともに、これらの発光部41に含まれる各発光素子411が点灯素子411として選択される(ステップS12)。
続いて、印刷対象の基材9が印刷装置1にセットされると(ステップS13)、紫外線の放射、および、ヘッドユニット21の基材9に対する相対移動が開始され(ステップS14,S15)、各ヘッド211に対するインクの吐出制御が行われる(ステップS16〜S19)。全ての画像の印刷が完了すると(ステップS19)、ヘッドユニット21の基材9に対する相対移動、および、紫外線の放射が停止され(ステップS20,S21)、印刷装置1における印刷動作が終了する。
ところで、一の種類の発光ダイオードのみを有する比較例の印刷装置において、硬化後のインクの光沢感や延性を変更しようとすると、インクの種類を変更する、あるいは、インクを改良することが必要となるが、この場合に、新たなインクが硬化する波長が変化すると、比較例の印刷装置にて当該インクを適切に硬化させることができなくなる。また、インクの改良には時間やコストが必要となる。
これに対し、第3の実施の形態に係る印刷装置1では、本体制御部6が、複数の色のインクの硬化後の性状と点灯素子411とを関連付けた参照テーブル622bを記憶しており、印刷動作の際に、硬化後のインクの性状を示す選択条件に従って点灯素子411が選択されて点灯される。このように、硬化後のインクの性状に応じて点灯素子411を選択することにより、複数の色のインクを用いる印刷装置1においてインクを適切に硬化させることができる。また、放射条件に紫外線の出力強度も含められることにより、硬化後のインクの性状を示す選択条件をより細分化することができる。
なお、本実施の形態において、図8の参照テーブル622aの作成時と同様に、複数のヘッド211のインクの色(すなわち、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のパッチのみを含むテストチャートの印刷が行われ、各色のヘッド211に対して硬化後のインクの性状と点灯素子411とを関連付けた参照テーブルが作成されてもよい。
上記第1ないし第3の実施の形態における動作例では、選択発光部41に含まれる全ての発光素子411が選択された出力強度にて点灯されるが、選択発光部41に含まれる発光素子411のうち(最大出力にて)点灯する発光素子411の個数を制限することにより、選択発光部41から選択された出力強度の紫外線が放射されてもよい。
既述のように、各発光部41では、同じ波長帯の紫外線を放射する複数の発光素子411が、図10に示すようにX方向およびY方向に2次元に配列されており、例えば、出力強度が60%であるときには、X方向に並ぶ5個の発光素子411を素子列410として、各素子列410において最も(+X)側から1、3、5番目の3個の発光素子411のみが点灯素子411(図10中にて平行斜線を付す。後述の図11において同様。)として選択される。そして、印刷動作の際には、点灯素子411のみが100%の出力強度にて点灯されることにより、選択発光部41から出力強度60%の紫外線が基材9に向けて放射される。
また、出力強度が50%である場合に、図11に示す各素子列410において、最も(+X)側から1、3、5番目の3個の発光素子411が点灯素子411とされる素子列410と、2、4番目の2個の発光素子411が点灯素子411とされる素子列410とがY方向に交互に設けられてもよい。この場合も、印刷動作の際に、点灯素子411のみが100%の出力強度にて点灯されることにより、選択発光部41から出力強度50%の紫外線が基材9に向けて放射される。
以上のように、本動作例では、各選択波長帯の紫外線を放射する発光素子411のうち点灯するものをX方向およびY方向に関して均一に選択する(例えば、1または数個(2〜5個)の連続する素子列410にて点灯素子の配置がX方向におよそ均等であり、このような点灯素子の配置がY方向に繰り返される)ことにより、当該選択波長帯の紫外線の実際の出力強度が変更される。これにより、発光素子411のON/OFF制御のみにより実際の出力強度を容易に変更することが実現される。なお、発光部41では、実際の出力強度が変化しても、光の強度分布の中心位置はほとんど変化しない。
図12は、紫外線放射部の他の例を示す図である。図12の紫外線放射部4aでは、ピーク波長がUVVに含まれる紫外線を放射する発光素子411(以下、「UVVの発光素子411」という。以下同様。)、ピーク波長がUVAに含まれる紫外線を放射するUVAの発光素子411、ピーク波長がUVBに含まれる紫外線を放射するUVBの発光素子411、および、ピーク波長がUVCに含まれる紫外線を放射するUVCの発光素子411が2次元に混在して配列される。なお、図12では、矩形内に「V」、「A」、「B」および「C」をそれぞれ記すことにより、UVVの発光素子411、UVAの発光素子411、UVBの発光素子411およびUVCの発光素子411を示している。
具体的には、X方向に並ぶ複数の発光素子411である各素子列410aが、1つのUVVの発光素子411、1つのUVAの発光素子411、1つのUVBの発光素子411および1つのUVCの発光素子411を含んでおり、Y方向に並ぶ複数の素子列410aにおいて、UVVの発光素子411、UVAの発光素子411、UVBの発光素子411およびUVCの発光素子411の配列順序が順次変更される。すなわち、一の素子列410aにおいて(+X)側から1、2、3、4番目に配置される発光素子411と同種の4個の発光素子411が、この素子列410aの(+Y)側に隣接する素子列410aにおいて、2、3、4、1番目にそれぞれ配置される。このようにして、図12の複数の発光素子411の配列では、各波長帯の紫外線を放射する複数の発光素子411が、X方向およびY方向に関して均一に、かつ、他の波長帯の紫外線を放射する発光素子411と混在して配列される。なお、図12の紫外線放射部4aでは、同じ波長帯の紫外線を放射する発光素子411の集合が1つの発光部と捉えることができる。
印刷動作の際には、上記第1ないし第3の実施の形態と同様にして選択波長帯および当該選択波長帯に対する出力強度が選択され、選択波長帯の紫外線を放射する発光素子411が、点灯素子411として選択される。そして、各点灯素子411が選択された出力強度にて点灯されることにより、紫外線放射部4aから選択波長帯の紫外線が所望の出力強度にて基材9に向けて放射される。なお、基材9上のインクの硬化に必要な紫外線の強度によっては、図12の複数の発光素子411の配列が主走査方向(X方向)に繰り返し配置されて、1つの紫外線放射部が構成されてもよい。
ところで、図3に示す紫外線放射部4のように、同種の複数の発光素子411のみを2次元に配列して1つの発光部41を形成しつつ、複数の波長帯にそれぞれ対応する複数の発光部41を設ける場合には、(図12の紫外線放射部4aに比べて)紫外線放射部4を容易に作製することが可能となるが、複数の発光部41においてヘッド211との間の距離(主走査方向の距離)が相違するため、基材9上に吐出されたインクにおいて硬化を開始するまでの時間が、使用する発光部41に依存し、硬化後のインクの形状が相違する可能性がある。
これに対し、図12に示す紫外線放射部4aでは、数個の連続する素子列410aにて各波長帯の紫外線を放射する発光素子411の配置がX方向におよそ均等であり、このような発光素子411の配置がY方向に繰り返されている。このように、各選択波長帯の紫外線を放射する発光素子411がX方向およびY方向に均一に混在して配置されることにより、複数の波長帯の発光素子411において、ヘッド211との間の距離の相違による印刷画像の質への影響を低減することができる。なお、図12の紫外線放射部4aにおいて、各選択波長帯の紫外線を放射する発光素子411のうち点灯するものをX方向およびY方向に関して均一に選択することにより、当該選択波長帯の紫外線の出力強度が変更されてもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
図3の紫外線放射部4では、一の波長帯の紫外線を放射する各発光部41において複数の発光素子411が設けられるが、例えば、各発光部41において発光素子である1つの半導体レーザが設けられ、当該半導体レーザから放射される一の波長帯の紫外線が光学系によりライン状にエクスパンドされて基材9上に照射されてもよい。この場合も、紫外線放射部では、互いに異なる複数の波長帯の紫外線をそれぞれ放射する複数の半導体レーザを設け、選択条件に従って点灯する半導体レーザを選択することにより、インクを適切に硬化させることが可能となる。印刷装置1にて用いられる発光素子は、一の波長帯の光のみを放射するものであるならば、発光ダイオードや半導体レーザ以外であってもよい。
様々な種類のインクを適切に硬化させるという観点では、紫外線放射部4,4aにおいて3以上(紫外線放射部4,4aの過度の大型化を防止するには、8以下)の波長帯の紫外線を放射する複数の発光素子411が設けられることが好ましく、より好ましくは、4以上の波長帯の紫外線を放射する複数の発光素子411が設けられる。
印刷装置1では、2つの紫外線放射部4,4aがヘッド211の主走査方向の両側にそれぞれ設けられ、点灯する紫外線放射部4,4aが主走査毎に切り替えられるが、印刷装置1の設計によっては、双方の紫外線放射部4,4aが印刷動作の間、常時点灯されてもよい。
図1の印刷装置1において、各ヘッド211の複数の吐出口が基材9の幅の全体に亘ってX方向に配列されるとともに、複数のヘッド211がY方向に並べられ、基材9がY方向に移動してヘッドユニット21の下方を1回通過するだけで、基材9上に画像の全体が印刷されてもよい。この場合、複数のヘッド211の基材9に対する相対的な進行方向の後側のみに紫外線放射部4,4aが設けられる。
例えば、X方向に長い複数のローラがY方向に配列され、これらのローラが保持部として、ヘッドユニット21の下方において基材9を保持してもよい。この場合、ヘッド211および紫外線放射部4,4aを基材9に対して相対的に移動する機構は、ローラを回転するモータにより実現される。また、基材9が板材や枚葉紙等である場合に、平板状のステージが保持部として設けられ、ヘッド211および紫外線放射部4,4aを基材9に沿う方向に移動する走査機構が設けられてもよい。このように、基材9を保持する保持部、並びに、ヘッド211からのインクの吐出に同期して、ヘッド211および紫外線放射部4,4aを保持部に対して相対的に移動する走査機構は様々な態様にて実現することが可能である。また、図1の印刷装置1における主走査方向は、基材9に平行、かつ、X方向に対して僅かに傾斜した方向であってもよく、主走査方向は、基材9に平行、かつ、ヘッド211における複数の吐出口の配列方向(Y方向)に交差する方向であればよい。
上記実施の形態では、印刷装置1にて複数の色のインクが用いられるため、印刷動作の際に、複数の色のインクに対する選択条件に従って点灯素子411が選択されるが、もちろん、一の色のインクのみを用いる印刷装置にて、当該インクに対する選択条件に従って点灯素子411が選択されてもよい。また、印刷装置1にて求められる印刷の精度等によっては、放射条件において出力強度が省略され、選択条件に従って選択波長帯のみが特定されてもよい。
1 印刷装置
3 送り機構
4,4a 紫外線放射部
6 本体制御部
9 基材
22 ヘッド移動機構
32 ベルト
63 入力受付部
211 ヘッド
411 発光素子
621 記憶部
622,622a,622b 参照テーブル
S10,S12,S14〜S21 ステップ

Claims (9)

  1. インクジェット方式の印刷装置であって、
    印刷媒体を保持する保持部と、
    紫外線硬化性のインクの微小液滴を前記印刷媒体に向けて吐出するヘッドと、
    互いに異なる複数の波長帯の紫外線を放射する複数の発光素子を有する紫外線放射部と、
    前記ヘッドからのインクの吐出に同期して、前記ヘッドおよび前記紫外線放射部を前記印刷媒体を走査する方向に前記保持部に対して相対的に移動する走査機構と、
    前記複数の発光素子のうち、点灯する点灯素子を選択するための選択条件の入力を受け付ける入力受付部と、
    印刷動作の際に、前記選択条件に従って前記点灯素子を選択して点灯することにより、前記複数の波長帯から選択された少なくとも1つの選択波長帯の紫外線を前記印刷媒体上に吐出されたインクに照射する制御部と、
    を備えることを特徴とする印刷装置。
  2. 請求項1に記載の印刷装置であって、
    前記選択条件が、前記ヘッドから吐出されるインクの種類であり、
    前記制御部が、インクの種類と点灯素子とを関連付けたテーブルを記憶する記憶部を備えることを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項1に記載の印刷装置であって、
    前記選択条件が、前記印刷動作の前に行われるテスト印刷の結果であることを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項1に記載の印刷装置であって、
    前記選択条件が、硬化後のインクの性状であり、
    前記制御部が、硬化後のインクの性状と点灯素子とを関連付けたテーブルを記憶する記憶部を備えることを特徴とする印刷装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記制御部が、前記印刷動作の際に、前記選択条件に従って各選択波長帯における出力強度も選択することを特徴とする印刷装置。
  6. 請求項5に記載の印刷装置であって、
    前記ヘッドにおいて前記印刷媒体に平行な配列方向に複数の吐出口が配列されており、
    前記走査機構が、前記印刷媒体に平行かつ前記配列方向に交差する走査方向に前記ヘッドおよび前記紫外線放射部を前記保持部に対して相対的に移動し、
    前記複数の発光素子において、各波長帯の紫外線を放射する発光素子が、前記配列方向および前記走査方向に2次元に配列されており、
    前記制御部が、前記各選択波長帯の紫外線を放射する前記発光素子のうち点灯するものを前記配列方向および前記走査方向に関して均一に選択することにより、前記各選択波長帯の紫外線の実際の出力強度を変更することを特徴とする印刷装置。
  7. 請求項1ないし5のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記ヘッドにおいて前記印刷媒体に平行な配列方向に複数の吐出口が配列されており、
    前記走査機構が、前記印刷媒体に平行かつ前記配列方向に交差する走査方向に前記ヘッドおよび前記紫外線放射部を前記保持部に対して相対的に移動し、
    前記複数の発光素子において、各波長帯の紫外線を放射する発光素子が、前記配列方向および前記走査方向に2次元に均一に混在して配列されていることを特徴とする印刷装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の印刷装置であって、
    一の色のインクを吐出する前記ヘッドと同様の構造であり、前記ヘッドとは異なる他の色のインクを吐出する他のヘッドをさらに備え、
    前記制御部が、前記印刷動作の際に、前記一の色のインクおよび前記他の色のインクに対する選択条件に従って前記点灯素子を選択して点灯することを特徴とする印刷装置。
  9. インクジェット方式の印刷装置を用いる印刷方法であって、
    前記印刷装置が、
    印刷媒体を保持する保持部と、
    紫外線硬化性のインクの微小液滴を前記印刷媒体に向けて吐出するヘッドと、
    互いに異なる複数の波長帯の紫外線を放射する複数の発光素子を有する紫外線放射部と、
    前記ヘッドおよび前記紫外線放射部を前記印刷媒体を走査する方向に前記保持部に対して相対的に移動する走査機構と、
    を備え、
    前記印刷方法が、
    a)前記複数の発光素子のうち、点灯する点灯素子を選択するための選択条件を特定する工程と、
    b)前記ヘッドから前記保持部に保持された印刷媒体に向けてインクを吐出するとともに前記走査機構を駆動することにより、前記印刷媒体上に印刷を行う工程と、
    c)前記b)工程と並行して、前記選択条件に従って前記点灯素子を選択して点灯することにより、前記複数の波長帯から選択された少なくとも1つの選択波長帯の紫外線を前記印刷媒体上に吐出されたインクに照射する工程と、
    を備えることを特徴とする印刷方法。
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