JP2011000982A - 車両制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】横断勾配がある路面を走行中に自車の進路上の障害物を回避する際に、車両挙動制御装置の制御が走行路面の横断勾配の影響を受けることを抑制して、障害物回避能力を向上させる。
【解決手段】車両の挙動を制御するEPSコントローラ1、VSAコントローラ2、RTCコントローラ3、及び左右駆動力配分コントローラ4と、自車の進路上の障害物を検知するレーダー18と、障害物を回避するドライバの操作を判別して各コントローラを制御する障害物回避制御部5とを有し、この障害物回避制御部が、走行路面の横断勾配の方向を判別して、横断勾配の上り方向に進行して障害物を回避しようとする場合には、コントローラの制御値が増大補正されるように制御し、一方、横断勾配の下り方向に進行して障害物を回避しようとする場合には、コントローラの制御値が低減補正されるように制御するものとする。
【選択図】図1
【解決手段】車両の挙動を制御するEPSコントローラ1、VSAコントローラ2、RTCコントローラ3、及び左右駆動力配分コントローラ4と、自車の進路上の障害物を検知するレーダー18と、障害物を回避するドライバの操作を判別して各コントローラを制御する障害物回避制御部5とを有し、この障害物回避制御部が、走行路面の横断勾配の方向を判別して、横断勾配の上り方向に進行して障害物を回避しようとする場合には、コントローラの制御値が増大補正されるように制御し、一方、横断勾配の下り方向に進行して障害物を回避しようとする場合には、コントローラの制御値が低減補正されるように制御するものとする。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両の挙動を制御する車両挙動制御装置を有すると共に、自車の進路上の障害物を回避するドライバによる操作を支援する制御を行う車両制御システムに関するものである。
自動車には、走行安定性の向上などを目的として車体の挙動を制御する各種の車両挙動制御装置が搭載されている。例えばドライバの手動操舵力を補助するアシスト力を制御して走行安定性を向上させる電動パワーステアリング制御を行うもの(特許文献1参照)や、各車輪の制動力を個別に制御して走行安定性を向上させる制動力制御を行うもの(特許文献2参照)や、左右の後輪のトー角を個別に制御して旋回性能や走行安定性を向上させる後輪トー角制御を行うもの(特許文献3参照)や、左右の車輪間での駆動力の配分を変更して旋回性能を向上させる左右駆動力配分制御を行うもの(特許文献4参照)などが知られている。
また、自車の進路上の障害物をレーダーにより検知して、その障害物を回避するためのドライバによる操作がなされると、その障害物回避操作を支援する制御を行うようにした技術が知られている(特許文献1参照)。この技術では、ドライバによる障害物を回避するためのステアリング操作がなされたものと判定されると、電動パワーステアリング装置において、電動モータのアシスト力を増大して、ステアリングホイールを回動操作する際の操舵反力が小さくなるように制御し、これにより障害物を回避する方向へのステアリング操作を円滑且つ迅速に行うことができるようにしている。
しかるに、前記の各種の車両挙動制御装置は、旋回性の向上や旋回時の走行安定性の向上に寄与するものであり、自車の進路上の障害物を回避する能力を高める機能を有するが、横断勾配(横断方向の路面の傾斜)のある道路、いわゆるカント路を走行する際に、その横断勾配によって車両挙動制御装置の制御が影響を受け、車両挙動制御装置の本来の性能を十分に発揮することができないという問題があった。
すなわち、走行路面に横断勾配のある場合、その横断勾配の方向に応じて車両を左右に旋回させる向きの重力成分が車両に作用する。このため、横断勾配の上り方向に進行して障害物を回避しようとした場合には、下り方向に車両に作用する重力成分が上り方向の車両の動きを阻害するため、車両挙動制御装置の制御が不足する傾向がある。一方、横断勾配の下り方向に進行して障害物を回避しようとした場合には、下り方向に車両に作用する重力成分が下り方向の車両の動きを助長するため、車両挙動制御装置の制御が過剰になる傾向がある。
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、横断勾配がある路面を走行中に自車の進路上の障害物を回避する際に、車両挙動制御装置の制御が走行路面の横断勾配の影響を受けることを抑制して、障害物回避能力を向上させることができるように構成された車両制御システムを提供することにある。
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、車両の挙動を制御する車両挙動制御装置(EPSコントローラ1、VSAコントローラ2、RTCコントローラ3、及び左右駆動力配分コントローラ4)と、自車の進路上の障害物を検知する障害物検知手段(レーダー装置18)と、この障害物検知手段により検知された障害物を回避するドライバの操作を判別して前記車両挙動制御装置を制御する障害物回避制御手段(障害物回避制御部5)とを有し、この障害物回避制御手段が、走行路面の横断勾配の方向を判別して、横断勾配の上り方向に進行して障害物を回避しようとする上り方向回避の場合には、前記車両挙動制御装置の制御値が増大補正されるように制御する構成とする。
これによると、上り方向回避の場合に、車両挙動制御装置の制御値が増大補正されることで、制御の不足分が補われるため、走行路面の横断勾配による影響を抑制して、車両挙動制御装置の本来の性能を十分に発揮することが可能になり、障害物回避能力を向上させることができる。また、車両挙動制御装置での制御ロジックを変更することなく、車両挙動制御装置から出力される制御値を増大補正するだけで済むため、コストの上昇を抑えることができる。
前記課題を解決するためになされた第2の発明は、前記第1の発明において、前記障害物回避制御手段が、走行路面の横断勾配の大きさを判別して、前記車両挙動制御装置の制御値を増大補正する制御ゲインを横断勾配が大きくなるのに応じて高くなるように設定する構成とする。
これによると、上り方向回避の場合に、走行路面の横断勾配が大きくなるのに応じて増大する制御の不足分が適切に補われるため、障害物回避能力をより一層向上させることができる。
また、前記課題を解決するためになされた第3の発明は、車両の挙動を制御する車両挙動制御装置と、自車の進路上の障害物を検知する障害物検知手段と、この障害物検知手段により検知された障害物を回避するドライバの操作を判別して前記車両挙動制御装置を制御する障害物回避制御手段とを有し、この障害物回避制御手段が、走行路面の横断勾配の方向を判別して、横断勾配の下り方向に進行して障害物を回避しようとする下り方向回避の場合には、前記車両挙動制御装置の制御値が低減補正されるように制御する構成とする。
これによると、下り方向回避の場合に、車両挙動制御装置の制御値が低減補正されることで、制御の過剰分が削減されるため、走行路面の横断勾配による影響を抑制して、車両挙動制御装置の本来の性能を十分に発揮することが可能になり、障害物回避能力を向上させることができる。また、車両挙動制御装置での制御ロジックを変更することなく、車両挙動制御装置から出力される制御値を低減補正するだけで済むため、コストの上昇を抑えることができる。
前記課題を解決するためになされた第4の発明は、前記第3の発明において、前記障害物回避制御手段が、走行路面の横断勾配の大きさを判別して、前記車両挙動制御装置の制御値を低減補正する制御ゲインを横断勾配が大きくなるのに応じて低くなるように設定する構成とする。
これによると、下り方向回避の場合に、走行路面の横断勾配が大きくなるのに応じて増大する制御の過剰分が適切に削減されるため、障害物回避能力をより一層向上させることができる。
なお、車両挙動制御装置は、障害物回避時の旋回性の向上や旋回時の走行安定性の向上に寄与するものであり、例えばドライバの手動操舵力を補助するアシスト力を制御して走行安定性を向上させる電動パワーステアリング制御を行うものや、各車輪の制動力を個別に制御して走行安定性を向上させる制動力制御を行うものや、左右の後輪のトー角を個別に制御して旋回性能や走行安定性を向上させる後輪トー角制御を行うものや、左右の車輪間での駆動力の配分を変更して旋回性能を向上させる左右駆動力配分制御を行うものなどがある。
このように本発明によれば、上り方向回避の場合には、車両挙動制御装置の制御値が増大補正されることで、制御の不足分が補われ、一方、下り方向回避の場合には、車両挙動制御装置の制御値が低減補正されることで、制御の過剰分が削減されるため、走行路面の横断勾配の影響を抑制して、車両挙動制御装置の本来の性能を十分に発揮することが可能になり、障害物回避能力を向上させる上で大きな効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
本発明による車両制御システムは、4輪自動車に適用されるものであり、図1に示すように、車両挙動制御装置として、EPS、VSA、RTC、及び左右駆動力配分の各コントローラ1〜4と、障害物回避制御部5とを有している。
EPSコントローラ1は、車速センサ11、舵角センサ12、操舵トルクセンサ13、及びヨーレートセンサ14により検出される車速、操舵角(前輪舵角)、操舵トルク、及びヨーレートなどに基づいて、ドライバの手動操舵力を補助するアシスト力を発生するアクチュエータ6、具体的には、ステアリングホイールから左右の前輪のナックルに至る操舵機構上に設けられた電動モータを制御するものであり、これによりアシスト力を制御して走行安定性を向上させることができる。
VSAコントローラ2は、車速センサ11、舵角センサ12、ヨーレートセンサ14、及び横加速度センサ15により検出される車速、操舵角、ヨーレート、及び横加速度などに基づいて、車輪の制動力を発生するアクチュエータ7、具体的には、前後左右の各車輪ごとのブレーキシリンダにブレーキ液圧を供給する液圧ユニットを制御するものであり、これにより各車輪の制動力を個別に制御して走行安定性を向上させることができる。
RTCコントローラ3は、車速センサ11、舵角センサ12、ヨーレートセンサ14、及び横加速度センサ15により検出される車速、操舵角、ヨーレート、及び横加速度などに基づいて、後輪の操舵力を発生するアクチュエータ8、具体的には、左右の後輪のサスペンションに設けられて押し引き動作により後輪を転舵させる直動アクチュエータなどを制御するものであり、これにより左右の後輪のトー角を個別に制御して旋回性能や走行安定性を向上させることができる。
左右駆動力配分コントローラ4は、車速センサ11、舵角センサ12、ヨーレートセンサ14、及び横加速度センサ15により検出される車速、操舵角、ヨーレート、及び横加速度などに基づいて、左右駆動力配分ユニットを駆動するアクチュエータ9、具体的には、左右駆動力配分ユニット内の電磁クラッチなどを制御するものであり、これにより左右の車輪間での駆動力の配分を変更して旋回性能を向上させることができる。
EPS、VSA、RTC、及び左右駆動力配分の各コントローラ1〜4では、制御値算出部21〜24にてアクチュエータ6〜9の制御値(制御目標値)が算出され、この制御値に基づいてアクチュエータ6〜9が制御されるが、特にここでは、制御値算出部21〜24から出力される制御値に制御ゲインK1〜K4を乗じる乗算器26〜29が設けられている。制御ゲインK1〜K4は、以下に詳しく説明するように障害物回避制御部5で求められる。
障害物回避制御部5は、障害物回避判定部31と、横断勾配判定部32と、制御ゲイン算出部33とを有している。
障害物回避判定部31は、レーダー装置18により自車の進路上に障害物があることが検知された場合に(図3参照)、舵角センサ12により検出される操舵角の変化に基づいて、ドライバによる障害物を回避するためのステアリング操作がなされたか否かを判定するものであり、この障害物回避判定部31でドライバによる障害物回避操作がなされたものと判定されると、EPSコントローラ1においてそのドライバによる障害物回避操作を支援する制御が行われる。
EPSコントローラ1では、車両に生じるヨーレートに応じてアクチュエータ6が発生するアシスト力を調整する操舵力アシスト制御(ヨーレート反力制御)が行われており、ドライバによる障害物を回避するステアリング操作がなされたものと判定されると、アクチュエータ6のアシスト力を増大して、ステアリングホイールを回動操作する際の操舵反力を小さくなるように制御し、これにより障害物を回避する方向へのステアリング操作を円滑且つ迅速に行うことができる。
なお、EPSコントローラ1の他に、VSA、RTC、及び左右駆動力配分の各コントローラ2〜4でもドライバによる障害物回避操作を支援する制御が行われるように構成することも可能である。
横断勾配判定部32は、操舵トルクセンサ13により検出されるドライバの保舵力に基づいて路面の横断勾配を判定するものである。図2(A)に示すように、横断勾配(図2(A)に示す傾斜角A)のある路面41を走行する際には、その横断勾配に応じて車両42を左右に旋回させる向きの重力成分が車両42に作用するため、車両42を直進させるには、図2(B)に示すように、ステアリングホイール51が一定の角度位置に保持されるようにドライバはステアリングホイール51を支える必要があり、このときのドライバの保舵力は、横断勾配の方向及び大きさに応じて変化する。このため、保舵力の方向から横断勾配の方向を判別することができ、また、保舵力の大きさから横断勾配の大きさを判別することができる。
図1に示した制御ゲイン算出部33は、横断勾配判定部32で判定された横断勾配の方向及び大きさに基づいて、EPS、VSA、RTC、及び左右駆動力配分の各コントローラ1〜4ごとに制御ゲインを算出するものであり、ここで算出された制御ゲインK1〜K4が各コントローラ1〜4に向けて出力される。
図3に示すように、横断勾配のある路面41を走行中に車両42の進路上に障害物43を発見した場合、横断勾配の上り方向に進行して障害物43を回避しようとする上り方向回避の場合には、下り方向に車両42に作用する重力成分が上り方向の車両42の動きを阻害するため、車両42の動きが過小になる傾向にある。そこで、上り方向回避の場合には、各コントローラ1〜4の制御値算出部21〜24で算出された制御値が増大補正されるように、制御ゲイン算出部33にて制御ゲインK1〜K4が設定される(K1〜K4>1)。
一方、横断勾配の下り方向に進行して障害物43を回避しようとする下り方向回避の場合には、下り方向に車両42に作用する重力成分が下り方向の車両42の動きを助長するため、車両42の動きが過大になる傾向にある。そこで、下り方向回避の場合には、各コントローラ1〜4の制御値算出部21〜24で算出された制御値が低減補正されるように、制御ゲイン算出部33にて制御ゲインK1〜K4が設定される(K1〜K4<1)。
これにより、上り方向回避の場合には、各コントローラ1〜4の制御値が増大補正されることで、制御の不足分が補われ、一方、下り方向回避の場合には、各コントローラ1〜4の制御値が低減補正されることで、制御の過剰分が削減されるため、各コントローラ1〜4の本来の性能を十分に発揮することが可能になり、障害物回避能力を向上させることができる。
特にここでは、上り方向回避の場合に各コントローラ1〜4の制御値を増大補正する制御ゲインK1〜K4が、横断勾配が大きくなるのに応じて高くなるように設定される。また、下り方向回避の場合に各コントローラ1〜4の制御値を低減補正する制御ゲインK1〜K4が、横断勾配が大きくなるのに応じて低くなるように設定される。
これにより、上り方向回避の場合には、横断勾配が大きくなるのに応じて増大する制御の不足分が適切に補われ、一方、下り方向回避の場合には、走行路面の横断勾配が大きくなるのに応じて増大する制御の過剰分が適切に削減されるため、障害物回避能力をより一層向上させることができる。
具体的には、まず制御ランク関数を用いて横断勾配の大きさと相関する保舵力の大きさから制御ランクが決定され、また横断勾配の方向と相関する保舵力の方向に基づいて制御ゲイン算出関数が選択され、ついで制御ゲイン算出関数を用いて制御ランクから制御ゲインが求められる。
制御ランク関数は、図4(A)に示すように、保舵力が大きくなるのに応じて制御ランクが高くなる特性に設定されている。
制御ゲイン算出関数は、図4(B)に示すように、上り方向回避の場合と下り方向回避の場合とで別々に用意され、上り方向回避の場合に選択される制御ゲイン算出関数αは、制御ランクが高くなる、すなわち横断勾配が大きくなるのに応じて制御ゲインが高くなる特性に設定されている。一方、下り方向回避の場合に選択される制御ゲイン算出関数βは、制御ランクが高くなる、すなわち横断勾配が大きくなるのに応じて制御ゲインが低くなる特性に設定されている。この制御ゲイン算出関数α・βは各コントローラ1〜4ごとに用意され、各コントローラ1〜4ごとに制御ゲインが算出される。
また、操舵トルクセンサ13により検出されるドライバの保舵力に基づいて、横断勾配の大きさに応じた適切な制御ランクを求めるために、所定時間における保舵力の積算値または平均値に基づいて制御ランクを決定すると良い。この場合、保舵力の平均値から制御ランクを求める制御ランク関数と、保舵力の積算値から制御ランクを求める制御ランク関数とを別々に用意し、必要に応じて使い分けるようにすると良い。
また、横断勾配の方向及び大きさは、GPSによるカーナビゲーション装置で取得することも可能であり、また自車の前方を撮影するカメラによる撮影画像の画像処理により取得することも可能であり、このようにして取得した横断勾配の大きさから制御ランクを求める制御ランク関数を、前記の保舵力の制御ランク関数とは別に用意し、必要に応じて使い分けるようにしても良い。
ところで、図3に示したように、障害物を回避した後に元の直進走行状態に戻る際に、車両の安定性が低下した状態になることがあり、この場合、EPS、VSA、RTC、及び左右駆動力配分の各コントローラ1〜4による車両安定化制御が行われるが、この車両安定化制御においても、前記の障害物回避制御と同様に、各コントローラ1〜4による制御が横断勾配の影響を受ける。
特に、横断勾配の下り方向に操舵した場合には、下り方向に車両に作用する重力成分が下り方向の車両の動きを助長するため、車両の動きが過大になる傾向にある。そこで、下り方向操舵の場合には、各コントローラ1〜4の制御値算出部21〜24で算出された制御値が低減補正されるように制御ゲインK1〜K4が設定される(K1〜K4≦1)。
一方、横断勾配の上り方向に操舵した場合には、下り方向に車両に作用する重力成分が上り方向の車両の動きを阻害するため、車両42の動きが過小になる傾向にあるが、この場合、必ずしも車両の安定性を低下させるものではない。そこで、上り方向操舵の場合には、各コントローラ1〜4ごとの制御ゲインK1〜K4が1に設定され、制御値算出部21〜24で算出された制御値が補正されることなく出力される。
次に、障害物回避制御部5で行われる処理の手順について説明する。障害物回避制御部5では、図5に示すように、横断勾配判定部32による横断勾配判定(ST101)と、障害物回避判定部31による障害物回避判定(ST102)と、制御ゲイン算出部33による制御ゲイン算出(ST103)の各処理が順次行われる。
横断勾配判定(ST101)では、図6に示すように、直進状態と判定され(ST201でYes)、且つ保舵状態と判定されると(ST202でYes)、保舵力(積算値または平均値)から制御ランク関数を用いて制御ランクが求められる(ST203)。直進状態の判定(ST201)では、車速が所定のしきい値以上で且つヨーレートが所定のしきい値以下となる状態が、所定時間継続した場合に直進状態と判定する。また、保舵状態の判定(ST202)では、所定のしきい値を超える大きさの保舵力が一定の方向に作用した状態が、所定時間継続した場合に保舵状態と判定する。
一方、直進状態でないと判定されると(ST201でNo)、直進状態判定タイマが初期化されると共に、制御ランクが初期化される(ST205)。また、保舵状態でないと判定されると(ST202でNo)、保舵状態判定タイマが初期化されると共に、制御ランクが初期化される(ST204)。
図5の障害物回避判定(ST102)では、レーダー装置18の検知結果と、舵角センサ12により検出される操舵角の変化に基づいて、ドライバによる障害物を回避するためのステアリング操作がなされたか否かが判定される。
図5の制御ゲイン算出(ST103)では、図7に示すように、安定化フラグが0である、すなわち安定化制御中でないと判定され(ST301でYes)、さらに障害物回避フラグが1である、すなわち障害物回避制御中であると判定されると(ST302でYes)、ドライバのステアリング操作が保舵方向への回避、すなわち横断勾配の上り方向に操舵して障害物を回避するものか否かの判定が行われる(ST304)。
ここで、保舵方向への回避であると判定されると(ST304でYes)、各デバイス、すなわちEPS、VSA、RTC、及び左右駆動力配分の各コントローラ1〜4ごとの制御ゲイン算出関数α1〜α4を用いて、各コントローラ1〜4ごとの制御ゲインK1〜K4が、図6のST203で求めた制御ランクから算出される(ST305)。これにより、各コントローラ1〜4では制御値算出部21〜24で算出された制御値が乗算器26〜29にて増大補正される。
一方、保舵方向への回避でない、すなわち横断勾配の下り方向に進行して障害物を回避するものと判定されると(ST304でNo)、各コントローラ1〜4ごとの制御ゲイン算出関数β1〜β4を用いて、各コントローラ1〜4ごとの制御ゲインK1〜K4が制御ランクから算出される(ST306)。これにより、各コントローラ1〜4では制御値算出部21〜24で算出された制御値が乗算器26〜29にて低減補正される。
ついで、障害物を回避した後の車両安定化制御が必要か否かの判定が行われる(ST307)。ここでは、例えば車両の不安定性を示すヨーレートや舵角が所定のしきい値より大である場合に車両の安定性が低下した状態にあるものと判断して車両安定化制御が必要と判定する。ここで、車両安定化制御が必要と判定されると(ST307でYes)、次にドライバのステアリング操作が保舵方向への安定化、すなわち横断勾配の上り方向に操舵するものか否かの判定が行われる(ST308)。
ここで、保舵方向への安定化であると判定されると(ST308でYes)、各コントローラ1〜4ごとの制御ゲインK1〜K4が1に設定される(ST309)。これにより各コントローラ1〜4では制御値算出部21〜24で算出された制御値が補正されずに出力される。
一方、保舵方向への安定化でない、すなわち横断勾配の下り方向に操舵するものと判定されると(ST308でNo)、各コントローラ1〜4ごとの制御ゲイン算出関数β1〜β4を用いて、各コントローラ1〜4ごとの制御ゲインK1〜K4が制御ランクから算出される(ST310)。これにより、各コントローラ1〜4では制御値算出部21〜24で算出された制御値が乗算器26〜29にて低減補正される。
また、安定化フラグが0でない、すなわち車両安定化制御中であると判定されると(ST301でNo)、障害物回避フラグの判定(ST302)及び障害物回避制御(ST304〜ST306)は行われずに、車両安定化制御の要否判定(ST307)に進む。
また、障害物回避フラグが1でない、すなわち障害物回避制御中でないと判定されると(ST302でNo)、図5の障害物回避判定(ST102)でドライバによる障害物回避操作ありの判定がなされたか否かが判定され(ST303)、ここで障害物回避操作ありの判定がなされていれば(ST303でYes)、障害物回避フラグが1に設定されて、障害物回避制御(ST304〜ST306)に進む。一方、障害物回避操作ありの判定がなされていなければ(ST303でNo)、各コントローラ1〜4ごとの制御ゲインが1に設定されると共に、障害物回避フラグが初期化される(ST311)。これにより各コントローラ1〜4では制御値算出部21〜24で算出された制御値が補正されずに出力される。
なお、この例では、制御値算出部21〜24から出力される制御値に制御ゲインK1〜K4を乗じる乗算器26〜29を設けて、乗算により制御値を補正する構成としたが、加減算により制御値を補正する構成も可能である。
また、この例では、ミリ波レーダーなどのレーダー装置18により自車の進路上の障害物を検知するようにしたが、自車の前方を撮影するカメラによる撮影画像の画像処理により取得した障害物情報や、GPSによるカーナビゲーション装置から提供される障害物情報に基づいて障害物を検知する構成も可能であり、さらにこれらの手法を適宜に組み合わせるようにしても良い。
また、この例では、車両挙動制御装置としてのEPS、VSA、RTC、及び左右駆動力配分の各コントローラ1〜4の全てで走行路面の横断勾配に応じた制御値の補正を行う構成としたが、これらの一部のみで制御値の補正を行う構成や、ここに例示されない車両挙動制御装置で制御値の補正を行う構成も可能である。
1 EPSコントローラ(車両挙動制御装置)
2 VSAコントローラ(車両挙動制御装置)
3 RTCコントローラ(車両挙動制御装置)
4 左右駆動力配分コントローラ(車両挙動制御装置)
5 障害物回避制御部(障害物回避制御手段)
6〜9 アクチュエータ
18 レーダー装置
21〜24 制御値算出部
26〜29 乗算器
31 障害物回避判定部
32 横断勾配判定部
33 制御ゲイン算出部
41 路面
42 車両
43 障害物
51 ステアリングホイール
2 VSAコントローラ(車両挙動制御装置)
3 RTCコントローラ(車両挙動制御装置)
4 左右駆動力配分コントローラ(車両挙動制御装置)
5 障害物回避制御部(障害物回避制御手段)
6〜9 アクチュエータ
18 レーダー装置
21〜24 制御値算出部
26〜29 乗算器
31 障害物回避判定部
32 横断勾配判定部
33 制御ゲイン算出部
41 路面
42 車両
43 障害物
51 ステアリングホイール
Claims (4)
- 車両の挙動を制御する車両挙動制御装置と、
自車の進路上の障害物を検知する障害物検知手段と、
この障害物検知手段により検知された障害物を回避するドライバの操作を判別して前記車両挙動制御装置を制御する障害物回避制御手段とを有し、
この障害物回避制御手段が、走行路面の横断勾配の方向を判別して、横断勾配の上り方向に進行して障害物を回避しようとする上り方向回避の場合には、前記車両挙動制御装置の制御値が増大補正されるように制御することを特徴とする車両制御システム。 - 前記障害物回避制御手段が、走行路面の横断勾配の大きさを判別して、前記車両挙動制御装置の制御値を増大補正する制御ゲインを横断勾配が大きくなるのに応じて高くなるように設定することを特徴とする請求項1に記載の車両制御システム。
- 車両の挙動を制御する車両挙動制御装置と、
自車の進路上の障害物を検知する障害物検知手段と、
この障害物検知手段により検知された障害物を回避するドライバの操作を判別して前記車両挙動制御装置を制御する障害物回避制御手段とを有し、
この障害物回避制御手段が、走行路面の横断勾配の方向を判別して、横断勾配の下り方向に進行して障害物を回避しようとする下り方向回避の場合には、前記車両挙動制御装置の制御値が低減補正されるように制御することを特徴とする車両制御システム。 - 前記障害物回避制御手段が、走行路面の横断勾配の大きさを判別して、前記車両挙動制御装置の制御値を低減補正する制御ゲインを横断勾配が大きくなるのに応じて低くなるように設定することを特徴とする請求項3に記載の車両制御システム。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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-
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JP2013078999A (ja) * | 2011-10-04 | 2013-05-02 | Jtekt Corp | 操舵支援装置 |
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