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JP2011085393A - 部分放電検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気設備・機器の部分放電が発生したことを簡易に検出でき、しかも環境電磁波と分別して部分放電の発生を確実に同定・評価できる。
【解決手段】電気設備・機器が収納される盤内の電磁波強度が盤外電磁波の強度よりも大きい電磁波のみを部分放電電磁波として検出して部分放電の同定・評価を行う。さらに、電気設備・機器の電源電圧波形の特定の位相範囲内で検出された盤内電磁波を部分放電として検出する。また、電気設備・機器に発生する接地電流検出値と同じタイミングになる盤内電磁波を部分放電として検出する。また、電磁波の絶対値整流波形をエンベロープ波形処理および高速フーリエ変換してフーリエ係数の値(信号強度)から部分放電の発生を同定・評価する。環境電磁波が存在しないフィールドで電磁波を検出する。アンテナ受信電磁波を中間周波信号にダウンコンバート処理して検出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気設備・機器の内部での部分放電発生を検出する部分放電検出装置に係り、特に部分放電発生に伴い放出される電磁波(部分放電電磁波)をアンテナで受信し、この部分放電電磁波から電気設備・機器の外部の環境電磁波を分別して部分放電発生を同定・評価する装置に関する。
電気設備・機器に発生する部分放電(PD)を非接触で検出するものとして、部分放電源から放射される電磁波を複数のアンテナで受信し、電磁波空間位相差法を用いて部分放電発生を検出する手法が提案されている。
例えば、電磁波空間位相差法を用いて4本のアンテナを用いて同時に1回測定後、このデータから電磁波到達時間差を求め双曲線法を用いて電磁波発生位置を特定する方法がある。または、2本のアンテナを準備して1回測定後アンテナ位置を変更し再度測定をすることを数回くり返し、この測定データから同様に電磁波到達時間差を求め双曲線法を用いて電磁波発生位置を特定する方法がある。
これらの電磁波発生位置の特定には、例えば、アンテナにより受信された2つの部分放電電磁波信号をデジタルオシロスコープに取り込み、コンピュータを利用したデジタル処理により時間平均、標準化した後、フーリエ変換による周波数領域に変換し、その後相互関数を求め、適応フィルタを通した後、逆フーリエ変換による時間領域に変換してアンテナ間の到達時間差を求める。
このような方法による部分放電検出装置として、携帯性、精度、経済性の面から改良を図ったものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、例えば、2つのアンテナで受信した電磁波信号から、それぞれバンドパスフィルタで特定の周波数成分の信号を抽出し、これら両信号に基準周波数をミキシングして直交検波を行なった後、低周波成分の信号を取り出してA/D変換し、それらの除算処理で両受信信号の位相差を算出する。
他の装置として、小型化を図るため、アンテナ自体が小さくかつアンテナ間の基線長も短くなるUHF帯を含む超広帯域の電波干渉計システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2006−260870号公報 特開2003−43094号公報
従来の電磁波空間位相差法による部分放電検出手法では、4本のアンテナを一定間隔に配置して測定する場合では、特許文献2のようにUHF帯のアンテナを使用することでその小型化を図るにしても、4本のアンテナを配置するスペースが必要となり、測定装置の大幅な小型化が難しくなる。なお、2本のアンテナ位置を変更しながら複数回測定する方法では、アンテナ本数を半減できるが、アンテナ位置の変更の手間が必要となるし、アンテナ位置にズレを起こしてしまうと測定精度の低下になる。
また、電磁波空間位相差法による検出装置では、電磁波発生源が1つの場合は問題とならないが、部分放電発生機器の周辺にノイズ源が存在するなど、電磁波発生源が複数ある場合には部分放電発生位置の特定が難しい。
なお、アンテナ1つで移動しながら電磁波の出力が大きい場所を探す手法が考えられるが、対象電気機器は通常高電圧が印加されているため、安全面を考えるとあまり近づくことができない。また、部分放電電磁波は常時―定の出力ではなく時間的変化が大きいため、アンテナを移動させている間に電磁波出力が変化し、部分放電位置の特定ができない場合がある。この問題は上記の2本のアンテナ位置を変更しながら複数回測定する場合にもある
本発明の目的は、電気設備・機器に部分放電が発生したことをアンテナ受信により簡易に検出でき、しかも環境電磁波と分別して部分放電の発生を確実に同定・評価できる部分放電検出装置を提供することにある。
本発明は、前記の課題を解決するため、盤外で検出される電磁波は環境電磁波によるものが大部分を占め、盤内で検出される電磁波は盤を収納する金属箱により環境電磁波の強度が減衰していることに着目し、電気設備・機器が収納される盤内および盤外での電磁波を1対のアンテナ受信機で検出し、盤内で検出される電磁波の強度が盤外で検出される電磁波の強度よりも大きい電磁波のみを部分放電による電磁波として検出して部分放電の発生を同定・評価する。
さらに、部分放電は電気設備・機器の電源電圧波形の振幅が上昇するタイミングで発生し易いことに着目し、盤内に発生した電磁波の絶対値整流波形を電気設備・機器の電源電圧波形と位相比較し、電源電圧波形の特定の位相範囲内の電磁波を部分放電として検出し、部分放電の発生を同定・評価する。
さらに、電気設備・機器に部分放電が発生すると、その接地線電流にも部分放電電流が含まれることに着目し、部分放電によるものとして検出された電磁波の絶対値整流波形のうち、電気設備・機器に発生する接地電流検出値との発生タイミングの比較によりそれらが同じタイミングになるか否かで部分放電の発生を同定・評価する。
さらに、部分放電波形がもつ基本周期は、電源電圧周波数の倍の周波数成分になることに着目し、部分放電によるものとして検出された電磁波の絶対値整流波形をエンベロープ(ENV)波形処理および高速フーリエ変換(FFT)し、フーリエ係数の値(信号強度)から部分放電の発生を同定・評価をする。
さらに、環境電磁波スペクトルは、フィールドによって異なることに着目し、放送波などの影響の少ない帯域を選択し、このフィールドにおける電磁波を部分放電電磁波として検出して部分放電の発生を同定・評価する。
さらに、アンテナで受信する部分放電電磁波は高周波帯域になり、その信号処理回路も処理の高速化、高度化が必要となることを考慮し、アンテナ受信する電磁波を基準信号でミキシングして中間周波信号にダウンコンバート処理を行って、部分放電電磁波の検出信号として取り出す。
以上のことから、本発明は以下の構成を特徴とする。
(1)電気設備・機器の内部での部分放電発生を検出する部分放電検出装置であって、
電気設備・機器が収納される盤内および盤外での電磁波を検出する1対のアンテナ受信機と、
前記盤内で検出される電磁波の強度が盤外で検出される電磁波の強度よりも大きい電磁波のみを部分放電による電磁波として検出し、部分放電の同定・評価を行う部分放電検出手段を備えたことを特徴とする。
(2)前記部分放電検出手段は、盤内に発生した電磁波の絶対値整流波形を電気設備・機器の電源電圧波形と位相比較し、電源電圧波形の特定の位相範囲内の電磁波を部分放電として同定・評価する手段を備えたことを特徴とする。
(3)前記部分放電検出手段は、部分放電によるものとして検出された電磁波の絶対値整流波形のうち、電気設備・機器に発生する接地電流検出値との発生タイミングが同じタイミングになるか否かで部分放電の発生を同定・評価する手段を備えたことを特徴とする。
(4)前記部分放電検出手段は、部分放電によるものとして検出された電磁波の絶対値整流波形をエンベロープ波形処理および高速フーリエ変換し、フーリエ係数の値(信号強度)から部分放電の発生を同定・評価する手段を備えたことを特徴とする。
(5)前記部分放電検出手段は、前記環境電磁波のスペクトルが存在しないフィールドにおける電磁波を部分放電電磁波として検出して部分放電の発生を同定・評価する手段を備えたことを特徴とする。
(6)前記アンテナ受信機は、アンテナ受信する電磁波を基準信号でミキシングして中間周波信号にダウンコンバート処理を行って、部分放電電磁波の検出信号として取り出す手段を備えたことを特徴とする。
以上のとおり、本発明によれば、電気設備・機器に部分放電が発生したことをアンテナ受信により簡易に検出でき、しかも環境電磁波と分別して部分放電の発生を確実に同定・評価できる。
具体的には、以下の効果がある。
(1)アンテナ2本と電源電圧波形の取り込みを基本とするため装置構成が簡易である。
(2)電気設備・機器が収納される盤内部と外部のアンテナ受信電磁波から部分放電を検出するため、精度のよい測定が可能である。
(3)環境電磁波の測定を事前に実施し影響の少ない帯域を選定するため、部分放電電磁波の抽出時の環境電磁波との分別が容易である。
(4)フィールド毎に診断対象周波数を選定可能とすることで、フィールドが異なっても診断を行うことが可能である。
(5)抽出した電磁波を電源電圧波形の位相と比較することで部分放電発生の同定確度を向上することができる。
(6)電気設備・機器が収納される盤の接地電流を利用して部分放電の発生を検出するため、部分放電発生の同定確度を向上することができる。
本発明の実施形態を示す部分放電検出装置の全体構成図。 部分放電電磁波検出の概略構成図。 環境電磁波スペクトルの例。 外部環境電磁波の影響の少ない周波数帯域の例。 部分放電電磁波の低周波変換の例。 部分放電の発生有無判定フロー。 部分放電電磁波の抽出処理例。
(1)部分放電検出装置の全体構成
図1は部分放電検出装置の全体構成を示す。部分放電電磁波の検出手段として、1対のアンテナ受信機、1つの接地線電流検出器および電源電圧位相検出器を設ける。アンテナ受信機は、一方は電気設備・機器が設置される盤内に設置され、他方は盤外に設置され、これらの構成は盤内と盤外周辺で発生する電磁波の基本周波数帯域を受信周波数帯域とするアンテナ1A,1Bと、それぞれのアンテナ1A,1Bで受信した微弱電磁波を増幅するローノイズアンプ(LNA)2A,2Bと、それぞれのアンプ2A,2Bの出力から設定された周波数帯域の電磁波信号を抽出するバンドパスフィルタ(BPF)3A,3Bと、それぞれのフィルタ3A,3Bの出力を適当なレベルまで増幅するアンプ(AMP)4A,4Bを備える。
接地線電流検出器は、電気設備・機器の接地線に流れる部分放電を含む接地電流を変成する高周波変流器5と、この変流器5の出力から設定された周波数帯域のみの波形を抽出するバンドパスフィルタ(BPF)6と、このフィルタ6の出力を適当なレベルまで増幅するアンプ(AMP)7によって構成する。
電源電圧位相検出器は、電気設備・機器の電源として取り込まれる3相または単相の交流電源から降圧した単相の電圧信号を得るトランス(変成器)8と、このトランス8の出力からノイズ成分を除去した電源電圧位相信号(正弦波)を得るローパスフィルタ(LPF)9と、このフィルタ9の出力を適当なレベルまで増幅するアンプ10によって構成する。
次に、部分放電検出手段として、信号処理部11と同定・評価部12を設ける。信号処理部11は、上記の2つのアンテナ受信機と、1つの接地線電流検出器および電源電圧位相検出器の各出力信号に対する測定や分析、信号変換、部分放電電流の同定や評価のための各種データ処理を行う。例えば、信号処理部11は、アンテナ受信機で受信した電磁波のうち、部分放電電流の測定信号の周波数変換と抽出、電源電圧に対する位相検出、アナログ信号のサンプリングによるデジタル値への変換(A/D変換)、位相検出のためのデジタルオシロスコープ、スペクトラムアナライザなどを搭載する。
同定・評価部12は、信号処理部11で処理した結果としての部分放電電流波形や帯域スペクトルをグラフや波形表示し、部分放電の発生有無やその同定・評価に必要な情報を提供する。
以上までの各部構成および信号処理手法の詳細を以下に説明する。
(2)部分放電検出の基本構成・信号処理
部分放電電磁波検出は、図2に概略構成を示すように、2つのアンテナ受信機の一方(アンテナ1Aのみ示す)は電気設備・機器の内部(盤内)に設置し、他方(アンテナ1Bのみ示す)は電気設備・機器の外周部(盤外)に設置し、信号処理部11では両アンテナ受信機で測定した電磁波の強度の比較(金属箱による電磁波遮蔽の影響を応用)により盤内で発生した電磁波を抽出し、これにより盤外の環境電磁波による部分放電電流の検出精度への悪影響を取り除く。
すなわち、電気設備・機器の盤内で発生した電磁波(部分放電電磁波)は、盤内に設置したアンテナ1Aでは感度よく検出されるが、盤外に設置したアンテナ1Bでは盤自体が金属箱であるため信号が減衰して検出される。逆に、放送波などによる環境電磁波は外部アンテナ1Bでは感度よく検出されるが内部アンテナ1Aでは減衰したものが検出される。このことから、盤内で検出される電磁波の振幅が盤外で検出される電磁波の振幅よりも大きい電磁波のみを部分放電による電磁波として検出することで、盤外の環境電磁波による部分放電電流の検出精度への悪影響を取り除く。
次に、信号処理部11では、盤内に発生した電磁波の検出波形について、電源電圧位相検出器(8,9,10)で検出する電源電圧波形と位相比較し、この比較結果から同定・評価部12は部分放電の発生を同定・評価する。すなわち、部分放電は電気設備・機器の電源電圧波形の振幅が上昇するタイミングで発生し易いことを考慮し、部分放電抽出波形と電源電圧位相との関連性から部分放電の検出を同定・評価する。
また、信号処理部11では、盤内に発生した電磁波の検出波形について、接地線電流検出器の高周波変流器5で検出する電気設備・機器からの接地電流との発生タイミングを比較し、この比較結果から同定・評価部12は部分放電の発生を同定・評価する。すなわち、電気設備・機器に部分放電が発生すると、その接地線電流にも部分放電電流が含まれることを考慮し、部分放電によるものとして検出された電磁波のうち、電気設備・機器に発生する接地電流検出値との発生タイミングの比較によりそれらが同じタイミングになるか否かで部分放電の発生を同定・評価する。
(3)部分放電電磁波の分離抽出
環境電磁波は、図3の(a)や(b)に示した環境電磁波スペクトルに見られるように、フィールドによって異なる。そこで、本実施形態では、部分放電検出の順序としては、まずフィールド毎に環境電磁波を測定し、放送波などの影響の少ない帯域(図4中の周波数帯域F1〜F4)を選択し、2つのアンテナ検出機で盤内外の電磁波を同時に測定することで、環境電磁波による影響を極力減らして部分放電を検出できるようにする。
この検出手法において、測定される部分放電電磁波の周波数は数百MHzと高い。この場合、信号処理部11における電磁波受信信号をA/D変換するためのサンプリング周波数も高くしなければならないため、処理の高速化、高度化が必要となる。
この対策として、本実施形態では、図5の(a)に示すように、アンテナで受信した部分放電電磁波信号RFと基準信号LOをミキサ21によりミキシングし、中間周波信号IFにダウンコンバート処理を行い、この中間周波信号IFをその周波数帯域をもつローパスフィルタ(またはバンドパスフィルタ)22を通して部分放電電磁波の検出信号として取り出す。このダウンコンバートにより、部分放電電流信号の特徴を保持した状態で周波数を低くし、サンプリング周波数を数MHz(例えば10MHz)まで落とし、信号処理回路での処理負担を軽減させる。ダウンコンバート処理前後の信号例を図5の(b)に示す。
(4)部分放電の有無判定
図6に信号処理部11と同定・評価部12による部分放電の有無判定フローを示す。盤内に設置されるアンテナ受信機A(図1の1A,2A,3A,4A)が受信した電磁波(またはダウンコンバートした信号)は絶対値整流処理S1によって全波整流処理をする。同様に、盤外に設置されるアンテナ受信機B(図1の1B,2B,3B,4B)が受信した電磁波(またはダウンコンバートした信号)は絶対値整流処理S2によって全波整流処理をする。これら整流処理波形WA,WBは、例えば図6中に、横軸を時間軸とし、縦軸を電磁波電流の振幅とする波形イメージ(a)を示すように、盤内部と外部では異なる波形態様を呈する。
比較処理S3は整流処理波形WB,WAの振幅の大小を比較し、波形処理部S4はWB<WAの場合(部分放電電磁波は盤内の信号レベルが高くなる)、波形WAの値を部分放電波形として採用し、そうでない場合は外部の環境電磁波が検出されたものと判定して、値「0」に変換処理する。波形処理後の波形は、例えば波形イメージ(b)に示すようになる。
相別比較処理S5は、波形WAの発生タイミングを電源電圧波形に対する位相として検出する。このとき、電源電圧波形は、電源電圧位相検出器D(図1中の8〜10)で検出する検出波形(V相とする)から、3相波形形成処理S6によって3相波形(U,V,W相波形)を形成する。比較処理時の波形は、例えば波形イメージ(c)に示すようになり、3相波形別に部分放電検出波形の発生タイミングを検出する。
位相関連性評価処理S7は、3相の波形に対する部分放電検出波形のタイミングが適切な位相関係にあるか否かによって部分放電の発生の判定を評価する。すなわち、電源電圧の立ち上がりで部分放電が発生するケースが多いことを考慮して、電源電圧波形の位相0〜90°および180〜270°に信号が検出されているか否かで当該信号が部分放電によるものとみなす。
位相関連性評価処理時の波形は、例えば波形イメージ(d)に示すようになり、電源電圧波形の位相0〜90°および180〜270°の範囲内に、部分放電電流波形WAを構成する一定レベル以上の振幅値(図5の(b)の電磁波波形またはダウンコンバートした波形)をもつスパイク状波形の数の多さで同定・評価をする。
同期性比較処理S8は、波形WAの発生タイミングと接地線電流検出器C(図1中の5〜7)で検出する接地線電流波形とが同期しているかどうかを比較することにより、波形WAが部分放電電流波形であることを同定・評価する。同期性比較処理時の波形は、例えば波形イメージ(e)に示すようになり、前記の波形イメージ(d)に接地線電流波形を発生時刻を合わせて表示し、両波形が同じ時間内にあることで同期性を判定する。
部分放電の発生有無判定処理S9は、前記の位相関連性評価処理S7による評価値と同期性比較処理S8による同期性有りの判定が共に得られたときに盤内に部分放電が発生し、その同定・評価が得られたとする最終的な判定を行う。
図7は部分放電電磁波の抽出処理例を示し、同図の(a)には模擬配電盤内と盤外の検出電磁波信号(絶対値整流信号)波形を示し、(b)には盤内外の電磁波強度比較による内部発生電磁波信号の抽出波形例を示す。
(5)部分放電発生の評価
ENV+FFT処理S10は、波形処理部S4で抽出した絶対値整流波形WAについて、そのエンベロープ(ENV)波形処理を行い、この波形について高速フーリエ変換(FFT)処理を行う。
100Hz成分評価処理S11は、上記の高速フーリエ変換(FFT)処理で得られるフーリエ係数のうち、100Hz成分のフーリエ係数の値(信号強度)から部分放電の発生を同定・評価する。
前記のように、部分放電は電源電圧波形の振幅が上昇する期間、すなわち位相0〜90°および180〜270°に発生し易い。このことから、部分放電波形がもつ基本周期は、電源電圧周波数(50Hzとする)の倍の周波数(100Hz)成分になることから、100Hz成分のフーリエ係数から部分放電発生の大きさを評価することができ、部分放電検出の確信度を高める。
(6)部分放電発生状況の診断
図6等に示す部分放電発生の有無検出を、定期的に同設備に対して同条件で診断を実施し、そのトレンドから各部の判定処理の変化を観測し、部分放電発生状況を診断する。
このような診断は、部分放電検出装置にタイマを持たせ、タイマで設定する一定周期や時間パターンに従って部分放電検出処理を起動し、判定結果を記録するという、部分放電発生状況の自動診断装置とすることができる。
1A,1B アンテナ
2A,2B ローノイズアンプ(LNA)
3A,3B バンドパスフィルタ(BPF)
4A,4B アンプ(AMP)
5 高周波変流器
6 バンドパスフィルタ(BPF)
7 アンプ(AMP)
8 トランス(変成器)
9 ローパスフィルタ(LPF)
10 アンプ
11 信号処理部
12 同定・評価部

Claims (6)

  1. 電気設備・機器の内部での部分放電発生を検出する部分放電検出装置であって、
    電気設備・機器が収納される盤内および盤外での電磁波を検出する1対のアンテナ受信機と、
    前記盤内で検出される電磁波の強度が盤外で検出される電磁波の強度よりも大きい電磁波のみを部分放電による電磁波として検出し、部分放電の同定・評価を行う部分放電検出手段を備えたことを特徴とする部分放電検出装置。
  2. 前記部分放電検出手段は、盤内に発生した電磁波の絶対値整流波形を電気設備・機器の電源電圧波形と位相比較し、電源電圧波形の特定の位相範囲内の電磁波を部分放電として同定・評価する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の部分放電検出装置。
  3. 前記部分放電検出手段は、部分放電によるものとして検出された電磁波の絶対値整流波形のうち、電気設備・機器に発生する接地電流検出値との発生タイミングが同じタイミングになるか否かで部分放電の発生を同定・評価する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の部分放電検出装置。
  4. 前記部分放電検出手段は、部分放電によるものとして検出された電磁波の絶対値整流波形をエンベロープ波形処理および高速フーリエ変換し、フーリエ係数の値(信号強度)から部分放電の発生を同定・評価する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の部分放電検出装置。
  5. 前記部分放電検出手段は、前記環境電磁波のスペクトルが存在しないフィールドにおける電磁波を部分放電電磁波として検出して部分放電の発生を同定・評価する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の部分放電検出装置。
  6. 前記アンテナ受信機は、アンテナ受信する電磁波を基準信号でミキシングして中間周波信号にダウンコンバート処理を行って、部分放電電磁波の検出信号として取り出す手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の部分放電検出装置。
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