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JP2011077172A - 封止材シート及び太陽電池モジュール - Google Patents

封止材シート及び太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】構成材料であるEVA層の水蒸気バリア性を向上させた封止材シートを実現することにある。
【解決手段】表面保護部材1と裏面保護部材4との間に配置される光電変換セル3を封止するために挟むように設けられ、全部材(1〜4)を積層した積層体を加熱圧着して一体化して一体化する太陽電池の部材として使用される封止材シート2−1において、当該封止材シート2−1としては、EVA層2−1aとエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー層2−1bとからなる2層で構成したものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュール等の製造工程で太陽電池セルを封止するために使用される封止材シート及び当該封止材シートを用いた太陽電池モジュールに関する。
近年、太陽光を利用してクリーンな状態で電気エネルギーを発電する技術として、太陽電池が注目を集めている。
一般的な太陽電池モジュールは、図3の断面図に示すように、表面保護部材11、封止材12、太陽電池セル13、裏面保護部材14の順で並んだ積層構成を成し、表面保護部材11と裏面保護部材14との間に配置される太陽電池セル13が封止材12で完全に封止された構成となっている。
このような太陽電池モジュールの製造手順としては、図4に示すように、表面保護部材11、封止材シート12−1、所定の間隔で配置される複数の太陽電池セル13、封止材シート12−1、裏面保護部材14の順序で積層された積層構成体を、真空中で加熱して脱気させた後、再度真空中で1気圧の荷重をかけながら加熱し、封止材シート12−1である樹脂を架橋硬化させて接着一体化することにより製造される。
ところで、封止材シート12−1は、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)がメイン樹脂として使用されることが多い。また、耐久性を高める目的から、EVA樹脂に、架橋剤,架橋助剤,シランカップリング剤,光安定剤,紫外線吸収剤といった添加物を一定割合添加することが多い。
封止材シート12−1の製造方法としては、直線状スリットを有するダイから溶融状態の樹脂を押し出し、冷却ロール又は水槽で急冷固化させるTダイ法や数本配列されたロールの回転によって溶融樹脂にずり変形を与えて押し伸ばしていくカレンダー法等を用いることにより、500μm程度の厚みを有する封止材シート12−1を製膜していく。また、これら製膜工程の段階で封止材シート表面に凹凸をつけるエンボス加工を施すこともある(特許文献1)。
特許第3323560号公報
ところで、特許文献1に記載される技術を含む従来の一般的な太陽電池モジュールでは、単層構成の封止材シート12−1が用いられ、その封止材シート12−1の最も主要な組成としてはEVAタイプとなっている。
しかしながら、EVAは、水蒸気透過率が5.1g・mil/100in2・day程度であることから、水蒸気による密着阻害により、太陽電池セル13に接する封止材シート12−1の層に浮きが生じてしまう場合がある。
ここで、水蒸気透過率(MVTR:Moisture Vapor Transmission Rate)は、g・mil/100in2・dayで与えられ、20℃で測定され、米国材料試験規格番号ASTM F1249−99に従う。
その結果、水蒸気透過率が高いと、大気中の湿気が透過し、太陽電池セル13に接するEVAの密着性に悪影響を与え、太陽電池モジュールの均一な品質を確保し難い問題がある。
本発明は以上のような従来技術の課題を解決するものであって、主なる構成材料となるEVA層の水蒸気バリア性を向上させ得る封止材シート及び太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に対応する発明は、表面保護部材と裏面保護部材との間に配置される光電変換セルを封止するために当該光電変換セルを挟むように設けられ、全部材を積層して積層体とし当該積層体を加熱圧着し一体化して得られる太陽電池の部材として使用される封止材シートにおいて、EVA層とエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー層とからなる2層によって構成されている封止材シートである。
請求項2に対応する発明は、前記光電変換セルに接するEVA層の封止側面とは反対側面に、当該光電変換セルに接するEVA層の水蒸気バリア性を向上させるためのエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー層を重ね合わせて、2層構成とした封止材シートである。
請求項3に対応する発明は、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー層としては、10μm以上であって、かつ、前記EVA層の厚さを超えない範囲の厚さに形成するものである。
さらに、請求項4に対応する発明は、前述した封止剤シートを用いて、太陽電池セルを封止することにより太陽電池モジュールを実現する構成である。
本発明によれば、EVA層とエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー層との2層構成とすることにより、光電変換セルに接するEVA層の水蒸気バリア性を向上させることができる封止材シート及び太陽電池モジュールを提供できる。
本発明に係る封止材シートを用いた場合の太陽電池モジュール製造時の各部材の配列構成を示す図。 封止材シートの構成層数、EVA及びアイオノマーの各層膜厚を異ならせたときの加工性及び光電変換セルに接する封止材シートの浮き確認の評価結果を示す図。 従来の太陽電池モジュールの断面図。 従来の太陽電池モジュール製造時の各部材の配列構成を示す図。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る封止材シートを適用した太陽電池モジュールの部材配列構成図である。
この太陽電池モジュールは、表面保護部材(例えば白板ガラス)1、本発明に係る封止材シート2−1、複数の光電変換セル(例えば太陽電池セル)3,…、本発明に係る封止材シート2−1、裏面保護部材(例えばフッ化ビニルポリマー)4の順序で並んだ積層構成である。
本発明に係る封止材シート2−1は、2つの構成部材層2−1a,2−1bからなるが、その主たる構成部材層2−1aにはEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)が用いられる。EVAを用いる理由は、高い透明性を有すること及び安価であること等に基づき、過去の使用実績が膨大であり、十分に信頼性が得られている為である。
封止材シート2−1には、前述したようにEVAの架橋反応を開始させるための架橋剤として有機過酸化物が添加される。有機過酸化物としては、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキシド、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン等が挙げられる。
また、封止材シート2−1には、上記架橋剤の他に架橋反応を促進するための添加剤を添加してもよい。この架橋反応促進用添加剤としては、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等が挙げられる。
また、封止材シート2−1には、保護部材1,4となる白板ガラスやフッ化ビニルポリマーとの接着性を向上させるためにシランカップリング剤としてγ−メタクリロキシプロピルシランが添加される。シランカップリング剤としては、例えば、トリメトキシプロピルシラン、トリメトキシメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリクロロプロピルシラン、トリエトキシフェニルシラン等も挙げられるが、接着促進性能が高いこと、及び、安価であることから、ほとんど全ての場合、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが用いられる。
さらに、封止材シート2−1には、耐光性や熱安定性の観点から、紫外線吸収剤や酸化防止剤を添加してもよい。なお、耐光性を向上させるために用いられる紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等が挙げられる。
熱安定性の向上のために用いられる酸化防止剤としては、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
本発明に係る封止材シート2−1は、前述したように2つの構成部材層2−1a,2−1bからなる。2つの構成部材層2−1a,2−1bには、主たる構成部材層2−1aとなるEVA層と従なる構成部材層2−1bとなるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー層であることが好ましい。これは、EVAのみの単層構成であると、水蒸気バリア性が充分でなく、空気中の水蒸気が透過し、密着性に悪影響を与え、光電変換セル3に接する層の浮きの原因となる。水蒸気バリア性を向上させるために、EVA層の光電変換セル3とは反対側となる面部(外側面部)に、光電変換セル3に接するEVA層の水蒸気バリア性を向上させるためのエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー層が重ね合わされる。
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマーの不飽和カルボン酸の含有量については、低すぎる含有量であれば透過度が低下してしまい、高すぎると融点が低くなるため、5〜25重量%が好ましい。
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などがあり、透過度の観点からはアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
また、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマーの金属種としては、リチウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、アルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウムなどの多価金属などを用いることができる。
アイオノマーとしては、柔軟性等を考慮すると、あまり中和度の高いものを使用するのは得策ではなく、例えば中和度が60% 以下、とくに30% 以下のものを使用するのが好ましい。
前記アイオノマーとしては、透明性、接着性及び耐熱性のバランスを考慮すると、不飽和カルボン酸単位含有量が5〜25重量%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーであって、中和度が1〜30%、融点が90〜110℃のものを使用するのがとくに好ましい。
また、前記EVA又はアイオノマーとしては、190℃ 、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR)( JIS K7210−1999、以下同じ)が0.1〜200g/10分、とくに1〜100g/10分のものを使用するのが好ましい。ここで、MFRとは樹脂の流動性を示す指標である。MFRが低いものを使用した場合には、若干低めの融点のものを使用しても封止材料の流れによるトラブルが生じ難いという利点はあるが、過度にMFRの低いものを使用すると加工性が悪くなる。その一方、過度にMFRの高すぎるものを使用すると、モジュール作成時に端部からはみ出してラミネート内に付着してしまい、付着物を取り除く作業に手間がかかり、生産効率が極端に下がる。
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー層の膜厚は、10μm以上であることが好ましい。10μmに満たない場合には、水蒸気バリア性向上の効果が弱い。またエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー層の膜厚はEVA層の膜厚を超えない範囲であることが好ましい。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー層の膜厚がEVA層の膜厚を超える場合、加工時のフィルムの熱収縮によるカールが著しく、生産性低下の原因となる。
封止材シート12−1の製造方法の一例としては、主材料・添加剤を混合して加熱溶融させた樹脂を、直線状スリットを有するTダイを用いて、共押し出し法にて製膜し、封止材シート12−1の製造を行う。
また、ブロッキング防止のため、該製膜工程の中で、加熱溶融した状態の樹脂シートを表面に凹凸パターンが施されているロール(金属またはゴム製)にかけることにより、封止材シート片面もしくは両面に該ロールの凹凸パターンを転写させ、封止材シート12−1にエンボス加工を施しても良い。
各実施例及び比較例について、図2を参照して説明する。図2は、構成部材層数、EVA及びアイオノマーの各層膜厚を異ならせたときの加工性及び光電変換セル3に対する封止材シート12−1の浮き確認の評価結果を示す図である。
(実施例1)
実施例1では、先ず、EVA樹脂としては、酢酸ビニル含有量が30重量%のものを用いた。また、架橋剤(有機過酸化物)としては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンを用いた。架橋助剤としては、トリアリルイソシアヌレートを用いた。シランカップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを用いた。
一方、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマーの樹脂としては、不飽和カルボン酸はアクリル酸で含有量については15重量%、金属種は亜鉛で中和度は20%のものを用いた。
以上のような組成物について、押し出し成型機を用いて、各層の膜厚が図2の実施例1の厚みとなるように共押し出しによりシートを成型した。各層の膜厚は電子マイクロメーター(アンリツ製K351C)により測定した。
その結果、実施例1では、2つの構成部材層としたことにより、加工性はもとより、光電変換セル3と封止材シート2−1との間に浮きは確認されなかった。これに対し、比較例5〜7のような単層構成の場合には、EVA層の膜厚を変化させただけでは、「×印」で示すように光電変換セル3と封止材シート12−1との間に浮きが生じていることが確認された。
また、(実施例2)〜(実施例5)、(比較例1)〜(比較例7)においては、図2に示す各実施例及び各比較例に記載の構成部材層数とし、実施例1と同様の材料組成及び成型方法などに従ってシートを成型した。
そして、以上のように成型した実施例及び比較例で得られた封止材シートについて、「加工性」(加工時のフィルムの熱変化によるカールの発生)と、「浮き確認」(水蒸気の影響で密封性が低下し光電変換セルに接する層に浮き部分が発生したか否か)とを基準として評価を行った。以下にその評価基準の詳細を示す。
「加工性」
実施例及び比較例で得られた封止材シート2枚と、表面保護部材1及び裏面保護部材4を図1のように重ね合わせ、1気圧で加圧しながら150℃で10分キュアして擬似モジュールを作成した。表面保護部材1としては白板ガラス(3mm厚)を、裏面保護部材4としてはフッ化ビニルポリマー(38μm厚)を用いた。
150℃への昇温過程で2層構成のサンプルではそれぞれの層の線膨張係数の差により、カールが発生してしまう。モジュール作成加工の工程でカールによる寸法変化で問題が生じる場合「×印」、問題が確認されなかった場合「○印」とした。
「浮き確認」
実施例及び比較例で得られたモジュールを蛍光灯下目視で確認した。光電変換セル3に5mmφ以上の抜けがA4サイズ中1個以上確認された場合「×印」、確認されなかった場合「○印」とした。
従って、以上のような実施例からも明らかなように、比較例5〜7のようにEVA一層の場合には、EVA層の膜厚を変えても、光電変換セル3に接するEVA層の浮きが確認され、EVA層の水蒸気バリア性を向上させることができない。
次に、EVA層とアイオノマー層との2層構成であっても、アイオノマー層の膜厚が10μm以下の場合には光電変換セル3に接するEVA層の浮きが確認された。
従って、EVA層とアイオノマー層との2層構成であっても、アイオノマー層が10μm以上であって、EVA層の厚みを超えない厚さであれば、加工性及び浮き確認の評価について高いことが証明できる。
その他、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
1…表面保護部材(例えば白板ガラス)、2−1…封止材シート、2−1a…主なる構成部材層(EVA層)、2−1b…従なる構成部材層(エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー層)、3…光電変換セル、4…裏面保護部材(例えばフッ化ビニルポリマー)。

Claims (4)

  1. 表面保護部材と裏面保護部材との間に配置される光電変換セルを封止するために当該光電変換セルを挟むように設けられ、
    全部材を積層して積層体とし、当該積層体を加熱圧着し一体化して得られる太陽電池の部材として使用される封止材シートにおいて、
    EVA層とエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー層とからなる2層によって構成されていることを特徴とする封止材シート。
  2. 前記光電変換セルに接するEVA層の封止側面とは反対側面に、当該光電変換セルに接するEVA層の水蒸気バリア性を向上させるためのエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー層を重ね合わせて、2層構成としたことを特徴とする請求項1に記載の封止材シート。
  3. 前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー層は、10μm以上であって、かつ、前記EVA層の厚さを超えない範囲の厚さであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の封止材シート。
  4. 太陽電池セルを封止するために、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の封止剤シートを用いたことを特徴とする太陽電池モジュール。
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