JP2011056833A - 記録装置および搬送誤差補正値取得方法 - Google Patents
記録装置および搬送誤差補正値取得方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ローラの1周に満たない範囲でしか搬送誤差を測定できなくても、ローラの偏心の影響を受けずに、記録媒体の搬送誤差を補正するための補正値が正確に得られるようにする。
【解決手段】ローラの周長未満の範囲で行われる連続した複数回の記録媒体の搬送に基づいて検出された複数の搬送量データを、周期関数でフィッティングすることにより、ローラの搬送誤差を補正するための補正値を取得する
【選択図】図18
【解決手段】ローラの周長未満の範囲で行われる連続した複数回の記録媒体の搬送に基づいて検出された複数の搬送量データを、周期関数でフィッティングすることにより、ローラの搬送誤差を補正するための補正値を取得する
【選択図】図18
Description
本発明は、記録装置および搬送誤差補正値取得方法に関し、特にインクジェット記録装置で用いる記録媒体の搬送誤差を補正するための補正値を取得する技術に関するものである。
インクジェット記録装置は、微細なノズルを配列してなる記録ヘッドを用い、各ノズルから記録データに応じてインクを吐出してドットを形成することで記録媒体上に画像を記録する。従って、高品位の画像を形成するには、記録媒体上でのドット形成位置のずれが生じないようにすることが重要な課題となっている。ドット形成位置のずれは、記録ヘッドのノズル形状のばらつきや記録動作時における装置の振動などのノイズ成分、記録媒体と記録ヘッドとの距離など、種々の要因によって発生する。そして本発明者らは、ドット形成位置のずれを発生させる大きな要因のひとつに、記録媒体の搬送精度があることを認識した。通常、記録媒体の搬送ユニットにはローラ(搬送ローラ)が用いられており、記録媒体を圧接した状態で搬送ローラを指定した角度分回転させることで、記録媒体を所望の長さ分搬送することが可能となる。
かかる搬送精度を低下させる大きな原因としては、ローラ外周ないし外径の誤差が挙げられる。ローラ外径に誤差があると、ある基準外径を有するローラに関して定めた回転角度だけローラを回転させても、所定の搬送量が得られなくなり、画像の好ましい連続性が確保されないことで、むらが現れることとなる。つまり、基準外径より外径の大きいローラが用いられていれば搬送量は所定の搬送量よりも大きくなり、所謂シリアルプリンタ形態の装置においては、記録ヘッドの移動で記録される画像領域間ですじ状の空白部分(白スジ)が生じることになる。逆に基準外径より外径の小さいローラが用いられていれば搬送量は所定の搬送量よりも小さくなり、画像領域間ですじ状の高濃度部分(黒すじ)が生じることになる。
同様に、ローラの表面状態のばらつきによって記録媒体の搬送量が影響を受けることもわかっている。これはローラの表面状態の違いによってローラと記録媒体の間に働く摩擦力が異なりすべり量の違いが生じるためである。その結果、記録装置の指令値である搬送制御量と実際の搬送量とが異なることがある。
同様に、ローラの表面状態のばらつきによって記録媒体の搬送量が影響を受けることもわかっている。これはローラの表面状態の違いによってローラと記録媒体の間に働く摩擦力が異なりすべり量の違いが生じるためである。その結果、記録装置の指令値である搬送制御量と実際の搬送量とが異なることがある。
以上のようなローラの外径のサイズやローラの表面状態のばらつきに起因する画像の不具合を防ぐために、記録装置個体ごとに特殊なパターンを記録し、そのパターンから搬送誤差を検出し、搬送量の補正を行う方法がある。
しかしながら、記録媒体の搬送精度は、搬送ローラの偏心にも大きく依存する。搬送ローラの断面形状が真円であり、かつその中心軸と回転軸とが一致している場合には、記録媒体搬送のための回転角度が一様であるとすると、角度Rだけ搬送回転体を回転させたときの周方向の長さ(弧の長さ)は一定である。従って、搬送ローラに接して搬送される記録媒体の搬送量はどこをとっても一定である。しかし、搬送ローラの断面形状が楕円となっている場合、同じ角度Rだけ搬送回転体を回転させても、搬送ローラの回転位置により搬送量が異なってしまうのである。また、搬送ローラの回転軸が設計の中心軸よりずれているために、周期に依存した記録媒体搬送変動が生じることもある。つまり回転軸が中心軸よりずれている場合、搬送ローラの所定の回転角度に対して搬送量にばらつきが生じ、搬送回転体の周期に依存した記録媒体搬送変動が生じてしまうのである。
ローラの偏心とは、これらのようにローラの断面形状が真円でない状態や、搬送ローラの中心軸に対して回転軸がずれている状態を言う。
そして、むらのない高品位の画像記録を行うためには、搬送ローラの外径の誤差等の影響を軽減する補正を行うためには、ローラの偏心の影響も低減しなければならない。
搬送ローラの偏心量は通常、一定以下に収まるように工夫されているが、偏心量の規格を厳しくするほど搬送ローラの歩留まりが低下し、記録装置の製造価格の上昇をもたらすことになるので、偏心量の規格が厳格に過ぎることは好ましくない。
そこで、テストパターンをローラの180°毎の回転位置で記録する、もしくはローラの120°毎の回転位置で記録することで、ローラの位相に応じた搬送量の誤差を反映させる技術が提案されている(特許文献1)。すなわち、180°もしくは120°の回転分の間隔をおいて形成される2列もしくは3列のテストパターンから判断される値の平均値をとることで、搬送量を適正に補正するというものである。
特許文献1に開示された技術を用いることにより、ローラの偏心の影響を減らすことは可能である。しかし特許文献1には、テストパターンをローラ1周分に対応した個数だけ記録できない制限がある場合や、180°もしくは120°などの回転位置で記録できない制限がある場合には、ローラの適切な補正値が得られないという問題がある。
図20(a)〜(c)は記録媒体を搬送している状態を示した図である。記録時において、記録媒体Pは、搬送経路上に複数具えられたローラの1つである搬送ローラ1とこれに従動するピンチローラ2との間に挟まれ、搬送ローラ1の回転に応じてプラテン3上に案内、支持されながら図中右側から左側に搬送される。この搬送ローラ1に対しては、ピンチローラ2が不図示のバネ等の押圧部材により弾性的に付勢されている。これらの搬送ローラ1およびピンチローラ2が上流側搬送ユニットの構成要素をなす。プラテン3上に搬送されて記録が行われた記録媒体Pはその後、回転する排出ローラ12とこれに従動する回転体である拍車13との間に挟まれて搬送され、排出される。これらの排出ローラ12および拍車13が下流側搬送ユニットの構成要素をなす。
従って記録媒体Pは、上流側搬送ユニットによってのみ支持搬送される状態、双方の搬送ユニットによって支持搬送される状態、および下流側搬送ユニットによってのみ支持搬送される状態(それぞれ、図20(a)、(b)および(c))の3状態を取り得る。
ローラの偏心等の影響による搬送量誤差は、搬送に関与するローラの組み合わせに応じて異なることから、上記3状態の搬送誤差は別々に測定され、それぞれに対応する搬送量補正値を設定することが好ましい。しかし一般に図20(a)および(c)に対応する記録可能領域は狭い場合が多い、この理由は次のとおりである。同図(a)および(c)に対応する記録可能領域の記録中は記録媒体の片端はローラで挟まれずに自由になっている。これらの記録可能領域の大きさは搬送ローラと排出ローラとの間隔で決まるが、この間隔が広いほど、記録媒体の反りなどによって記録媒体が記録ヘッドに接触してしまうという不都合が生じ易くなるからである。従って、一般的に同図(a)および(c)に対応する記録可能領域を狭くした構成とせざるを得ず、これに伴って搬送量誤差検出パターンをローラ1周分にわたって記録するのに十分な領域を確保できない場合が多い。
このような構成に対して特許文献1に開示の技術を適用する場合、ローラの1周分未満、すなわち360度未満の領域のいくつかの回転位置で形成したテストパターンから判断される値の平均値をとることになる。しかし上述したような偏心がある場合、領域の位置によって平均値がばらついてしまい、従ってそこから得られる搬送誤差補正値が適切なものではなくなってしまうことになる可能性が高い。
図21は搬送誤差を測定した結果を示す模式図である。図中の(b)はローラ1周分の搬送量誤差を測定した結果であり、どのようなローラも大なり小なりローラの偏心の影響を受け、図に示すようなローラ1周を周期とする周期的な特性を示すのが一般的である。しかるに上述の図20(a)および(c)のように記録媒体の先端領域および後端領域では、それぞれ、搬送ローラおよび排出ローラの1周分に満たない領域しか搬送量誤差を測定できない場合が多い。このため、図21(a)および(c)のように周期的に分布する搬送誤差の一部しか取得できないこととなる。搬送誤差補正値をこれらの搬送量誤差測定データの平均値から求めると、図21(a)、(b)および(c)の場合の平均値は、それぞれ、「3.8」、「3.1」および「2.3」となる。すなわち、図21(a)および(c)は、同図(b)のデータの一部だけをそれぞれ抽出したデータであるにもかかわらず、平均値を求める範囲の違いだけでこのような差が発生してしまうのである。これはつまり、搬送誤差を測定する範囲によって、そこから得られる搬送誤差補正値が適切なものではなくなってしまうことを示している。この場合は、ちょうど1周期分の範囲の搬送誤差測定値が得られている図21(b)のデータから平均値を算出して得られる搬送誤差補正値が最も適正である。
さらに搬送誤差補正値が正確に取得できない例をあげる。図22(a)および(b)は搬送誤差を測定した結果を示す模式図である。ただし、この場合は搬送誤差検出用パターン記録上の制限から、ローラの角度が66度おきにしか検出パターンが記録できないため、正確にローラ1周分の測定値が得られない場合を想定している。そのため、1周分に近いデータを取得しようとすると、図22(a)のように330度までのデータ、もしくは図22(b)のように396度までのデータの平均値から求めることになる。図22(a)および(b)の場合の平均値は、それぞれ、「3.06」および「3.26」となる。すなわち、搬送誤差補正値を求めるための元となるデータの取得の仕方によっても補正値が異なってしまい、搬送誤差補正を適正に行い得なくなってしまうことがわかる。
本発明は、ローラの1周に満たない範囲でしか搬送誤差を測定できなくても、ローラの偏心の影響を受けずに、記録媒体の搬送誤差を補正するための補正値が正確に得られるようにすることで、高品位の画像記録に資することができるようにすることを目的とする。
そのために、本発明は、記録媒体を搬送するためのローラを具えた記録装置であって、前記ローラの周長未満の範囲で行われる連続した複数回の記録媒体の搬送に基づいて、複数の搬送量データを検出する検出手段と、前記複数の搬送量データを周期関数でフィッティングすることにより、前記ローラの搬送誤差を補正するための補正値を取得する取得手段と、を具えたことを特徴とする。
また、本発明は、記録媒体を搬送するためのローラを具えた記録装置における、前記ローラの搬送誤差を補正するための補正値を取得する搬送誤差補正値取得方法であって、前記ローラの周長未満の範囲で行われる連続した複数回の記録媒体の搬送に基づいて、複数の搬送量データを検出する検出工程と、前記複数の搬送量データを周期関数でフィッティングすることにより、前記ローラの搬送誤差を補正するための補正値を取得する取得工程と、を具えることを特徴とする。
本発明によれば、ローラの1周に満たない範囲でしか搬送誤差を測定できなくても、ローラの偏心の影響を軽減して、記録媒体の搬送誤差を補正するための補正値が正確に得られるようになる。これにより、高品位の画像記録に資することができるようになる。
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
(1)装置構成
図1は本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を示す模式的斜視図である。記録時において、記録媒体Pは、搬送経路上に複数具えられたローラの1つである搬送ローラ1とこれに従動するピンチローラ2との間に挟まれ、搬送ローラ1の回転に応じてプラテン3上に案内、支持されながら図中矢印A方向に搬送される。この搬送ローラ1に対しては、ピンチローラ2が不図示のバネ等の押圧部材により弾性的に付勢されている。これらの搬送ローラ1およびピンチローラ2が上流側搬送ユニットの構成要素をなす。
図1は本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を示す模式的斜視図である。記録時において、記録媒体Pは、搬送経路上に複数具えられたローラの1つである搬送ローラ1とこれに従動するピンチローラ2との間に挟まれ、搬送ローラ1の回転に応じてプラテン3上に案内、支持されながら図中矢印A方向に搬送される。この搬送ローラ1に対しては、ピンチローラ2が不図示のバネ等の押圧部材により弾性的に付勢されている。これらの搬送ローラ1およびピンチローラ2が上流側搬送ユニットの構成要素をなす。
プラテン3は、インクジェット記録ヘッド形態の記録ヘッド4の吐出口が形成された面(吐出面)と対向する記録位置に設けられ、記録媒体Pの裏面を支持することで、記録媒体Pの表面と吐出面との距離を一定ないし所定の距離に維持する。
プラテン3上に搬送されて記録が行われた記録媒体Pはその後、回転する排出ローラ12とこれに従動する回転体である拍車13との間に挟まれてA方向に搬送され、プラテン3上から排紙トレイ15上に排出される。これらの排出ローラ12および拍車13が下流側搬送ユニットの構成要素をなす。なお、図1では排出ローラ12および拍車13の対が1つのみ示されているが、後述するように2対設けられていてもよい。
14は記録媒体の一方の側部側に配置され、記録媒体搬送時の搬送基準をなす部材であり、幅方向の寸法によらず、記録媒体は一方の側部がその搬送基準部材14に沿って搬送される。搬送基準部材14は、記録媒体Pが上方すなわち記録ヘッド4の吐出面方向に浮き上がることを規制する目的に兼用されたものでもよい。
記録ヘッド4は、その吐出面をプラテン3ないし記録媒体Pに対向させた姿勢で、キャリッジ7に着脱可能に搭載されている。キャリッジ7は、駆動源であるモータにより2本のガイドレール5,6に沿って往復移動され、その移動の過程で記録ヘッド4にインク吐出動作を行わせることができる。このキャリッジ移動方向は記録媒体搬送方向(矢印A方向)と直交する方向である。そして、キャリッジ7ないし記録ヘッド4の移動と、記録媒体の搬送とを交互に繰り返すことにより、記録媒体Pに対する記録が行われる。
ここで、記録ヘッド4としては、インク吐出のために利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する素子(例えば発熱抵抗素子)を備え、その熱エネルギによりインクの状態変化(膜沸騰)を生起させる方式を用いたものとすることができる。また、エネルギ発生素子としてピエゾ素子などの機械的エネルギを発生する素子を備え、その機械的エネルギによりインクを吐出させる方式を用いたものとすることもできる。
本実施形態の記録装置は、10色の顔料インクによって画像を形成する。10色とはシアン(C)、ライトシアン(Lc)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(Lm)、イエロー(Y)、第1ブラック(K1)、第2ブラック(K2)、レッド(R)、グリーン(G)およびグレー(Gray)である。なお、Kのインクとは、上述した第1ブラックK1または第2ブラックK2のインクである。ここで、第1ブラックK1および第2ブラックK2のインクとは、それぞれ、光沢紙に対して光沢感の高い記録を実現するフォトブラックインクおよび光沢感のないマット紙に適したマットブラックインクとすることができる。
図2は、本実施形態で採用した記録ヘッド4をノズル形成面側から見た状態を模式的に示している。本例の記録ヘッド4は上記10色のうち5色ずつのノズル列を形成した2つの記録素子基板H3700および記録素子基板H3701を有している。H2700〜H3600は、それぞれ異なる10色のインクに対応するノズル列である。
一方の記録素子基板H3700には、グレー、ライトシアン、第1ブラック、第2ブラックおよびライトマゼンタのインクが供給されて吐出動作を行う各ノズル列H3200、H3300、H3400、H3500およびH3600が形成されている。他方の記録素子基板H3701には、シアン、レッド、グリーン、マゼンタおよびイエローのインクが供給されて吐出動作を行うノズル列H2700、H2800、H2900、H3000およびH3100が形成されている。各ノズル列は、記録媒体の搬送方向に1200dpi(dot/inch)の間隔で並ぶ768個のノズルによって構成され、約3ピコリットルのインク滴を吐出させる。各ノズル吐出口における開口面積は、およそ100平方μmに設定されている。
かかるヘッド構成では、記録媒体上の同一の領域に対する記録を1回の記録走査によって完成させる、いわゆる1パス記録を実行することが可能である。しかしノズルのばらつきなどを低減し、記録品位を向上するために、記録媒体上の同一の記録走査領域に対する記録を複数回の記録走査によって完成させる、いわゆるマルチパス記録を実行することも可能である。マルチパス記録時のパス数は記録モードその他の条件に応じて適宜定められる。
記録ヘッド4に対しては、使用するインクの色に対応して、複数の独立したインクタンクが着脱可能に装着される。あるいは、装置の固定部位に設けたインクタンクから液体供給チューブを介してインクが供給されるものでもよい。
記録ヘッド4の移動方向の移動可能範囲内で、かつ、記録媒体Pないしはプラテン3の側端部外の領域である非記録領域には、記録ヘッド4の吐出面と対面可能に回復ユニット11が配置されている。回復ユニット11は、次に示すような公知の構成を備える。すなわち、記録ヘッド4の吐出面をキャッピングするキャップ部、吐出面をキャッピングした状態で記録ヘッド4から強制的にインクを吸引する吸引機構、およびインク吐出面の汚れを払拭するクリーニングブレード等である。
図3は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の制御系の主要部の構成例を示す。ここで、100は本実施形態に係るインクジェット記録装置の各部の制御を行う制御部である。制御部100は、CPU101、ROM102、EEPROM103およびRAM104を備える。CPU101は、後述する処理手順を含め、記録動作等に関わる処理のための種々の演算および判別を行うほか、印刷データなどについての処理を行う。ROM102は、CPU101が実行する処理手順に対応したプログラムや、その他の固定データなどを格納する。EEPROM103は不揮発性メモリであり、所定の情報を記録装置の電源オフ時にも保持しておくために用いられる。RAM104は、外部から供給された印刷データや、これを装置構成にあわせて展開した記録データを一時的に格納するほか、CPU101による演算処理のワークエリアとして機能する。
インターフェース(I/F)105は、外部のホスト装置1000と接続する機能を有し、ホスト装置1000との間で所定のプロトコルに基づいて双方向の通信を行う。なお、ホスト装置1000はコンピュータその他の公知の形態を有し、本実施形態の記録装置に印刷を行わせる印刷データの供給源をなすとともに、その印刷動作を行わせるためのプログラムであるプリンタドライバがインストールされている。すなわちプリンタドライバからは、印刷データや、これを印刷する記録媒体の種別情報といった印刷設定情報、および記録装置の動作制御を行わせる制御コマンドが送られるようになっている。
リニアエンコーダ106は記録ヘッド4の移動方向上の位置を検出するものである。シートセンサ107は記録媒体搬送経路上の適宜の位置に設けられる。このシートセンサ107を用いて記録媒体の先後端を検出することにより、記録媒体の搬送位置を知ることができる。制御部100にはモータドライバ108,112とヘッド駆動回路109とが接続されている。モータドライバ108は、制御部100の制御のもとで、記録媒体の搬送駆動源をなす搬送モータ110の駆動を行う。搬送モータ110の駆動力はギヤ等の伝動機構を介して搬送ローラ1および排出ローラ2に伝達される。モータドライバ112は、キャリッジ7の移動の駆動源をなすキャリッジモータ114の駆動を行う。キャリッジモータ114の駆動力は、タイミングベルト等の伝動機構を介してキャリッジ7に伝達される。ヘッド駆動回路109は、制御部100の制御のもとで、記録ヘッド4の駆動を行い、吐出動作を行わせる。
ロータリエンコーダ116は、搬送ローラ1および排出ローラ2の軸に取り付けられ、それぞれの回転位置や速度を検出することで、搬送モータの制御を行うために供される。
読み取りセンサ120は、記録媒体Pに記録された画像の濃度を検出する検出器として用いられる。その形態としては、記録ヘッド4とともに、またはこれに代えてキャリッジ7に搭載された読み取りヘッドであってもよいし、図1の記録装置とは別体に構成された画像読取装置であってもよい。
(2)処理の概要
以上のように構成された記録装置において、搬送精度が低下する大きな原因の1つに、ローラ外径の誤差に依存するものが挙げられる。ローラ外径に誤差があると、ある基準外径に対して定めた回転角度だけローラを回転させても、所定の搬送量が得られなくなる。つまり、基準外径より外径の大きいローラが用いられていれば搬送量は大きくなって記録画像に白スジが発生しやすく、逆に基準外径より外径の小さいローラが用いられていれば搬送量は小さくなって記録画像に黒スジが発生しやすくなる。
以上のように構成された記録装置において、搬送精度が低下する大きな原因の1つに、ローラ外径の誤差に依存するものが挙げられる。ローラ外径に誤差があると、ある基準外径に対して定めた回転角度だけローラを回転させても、所定の搬送量が得られなくなる。つまり、基準外径より外径の大きいローラが用いられていれば搬送量は大きくなって記録画像に白スジが発生しやすく、逆に基準外径より外径の小さいローラが用いられていれば搬送量は小さくなって記録画像に黒スジが発生しやすくなる。
そこで、本実施形態は基本的に、搬送ローラおよび排出ローラの外径誤差による搬送精度不足に起因したドット形成位置のずれを抑制できる構成を提供することを目的としている。また本実施形態は、ローラの偏心による影響を軽減し、外径誤差を低減するための補正値(搬送誤差補正値)を精度高く取得して、実際の記録時におけるローラの回転すなわち搬送モータの駆動制御に適用するものである。なお、ローラの偏心とは、上述したように、ローラの中心軸に対して回転軸がずれ、回転中心軸が幾何学的な中心軸に対して偏心している状態や、ローラの断面形状が真円でない状態を言う。
図4は搬送誤差補正値を取得するための処理手順の概要を示すフローチャートである。本手順では、まず記録媒体のセットおよび送給を含む記録動作の開始準備を行い(ステップS9)、記録媒体が所定の記録位置へ搬送されると、テストパターンを記録する(ステップS11)。このテストパターンは、偏心および外径誤差による搬送量の誤差(以下、搬送誤差とも言う)を同時に検出できるものであり、これについては後述する。次に、読み取りセンサ120を用いてテストパターンを読取り、その濃度情報を取得する(ステップS13)。そしてこの濃度情報に基づき、記録媒体の搬送誤差を補正するための補正値を取得する処理(ステップS15)を実行する。
(3)テストパターン
図5は本実施形態で用いるテストパターンの一例を示す。本実施形態では、記録媒体搬送方向に対応した方向に、搬送ローラ1の搬送誤差を検出するためのテストパターンと排出ローラ12の搬送誤差を検出するためのテストパターンとが並んで形成される。すなわち、図において、FRは搬送ローラ1の搬送誤差を検出するためのテストパターン、ERは排出ローラ12の搬送誤差を検出するためのテストパターンである。
図5は本実施形態で用いるテストパターンの一例を示す。本実施形態では、記録媒体搬送方向に対応した方向に、搬送ローラ1の搬送誤差を検出するためのテストパターンと排出ローラ12の搬送誤差を検出するためのテストパターンとが並んで形成される。すなわち、図において、FRは搬送ローラ1の搬送誤差を検出するためのテストパターン、ERは排出ローラ12の搬送誤差を検出するためのテストパターンである。
ここで、搬送ローラ1および排出ローラ12のテストパターンを記録する理由は次のとおりである。
本実施形態の記録装置は、記録ヘッド4によって記録が行われる位置(記録位置)よりも記録媒体搬送方向の上流側および下流側にそれぞれ搬送ユニットが設けられている。従って、記録媒体Pは、上述したように3状態を取り得る。すなわち、上流側搬送ユニットによってのみ支持搬送される状態、双方の搬送ユニットによって支持搬送される状態、および下流側搬送ユニットによってのみ支持搬送される状態(それぞれ、図20(a)、(b)および(c))である。
ここで、搬送ローラ1と排出ローラ12とでは、その主な役割の違いから、搬送精度に若干の差が生じていることが多い。搬送ローラ1については、記録走査毎に、記録媒体を記録ヘッド4に対する適切な位置に位置決めすることが主な役割である。よって、充分に大きいローラ径を有し、比較的高い精度で搬送動作を行うことができる。これに対し、排出ローラ12は、記録後の記録媒体を確実に排出することが主な役割となっている。よって、搬送ローラ1に比べて、記録媒体の搬送精度も劣っていることが多い。
このため、記録媒体の搬送誤差には、搬送ローラ1が搬送動作に関与している状態ではその搬送精度が関わり、排出ローラ12のみが搬送動作に関与している状態ではその搬送精度が関わることになる。
そこで本実施形態では、図6に示すように搬送ローラ1が搬送動作に関与している領域Iと、記録媒体が排出ローラ12のみで搬送されている領域IIとの2つに分けている。そして、それぞれの搬送動作に主に関与しているローラで搬送を行わせながらテストパターンを記録し、それぞれのテストパターンから濃度情報を取得して、各領域での実際の記録時に適用する補正値を取得する。本実施形態の記録装置は、記録媒体の先後端部に余白のない画像、所謂「余白無し記録」を実現可能な記録装置として構成されており、記録媒体が排出ローラ12のみで搬送されている場合の補正値を取得することは、後端部に余白無し記録を行う際に有効である。
ここで、実際の記録装置の動作で下流側搬送ユニットのみでの搬送を伴いながら記録する領域IIは狭く、図5において破線より下に示すように、排出ローラ12の1周分に満たない領域でしかテストパターンを形成できないことがある。このため、本実施形態では、後述するような処理を行って適切な搬送誤差補正値が得られるようにする。
なお、本実施形態では、搬送ローラ1および排出ローラ12の双方で搬送を行う場合でも、搬送ローラ1の搬送精度が搬送誤差に対して支配的であるため、上述のように領域を2つに分けるものとした。しかし搬送ローラ1のみが搬送に関与している場合(記録媒体先端部)と、搬送ローラ1および排出ローラ12の双方が搬送に関与している場合とで搬送誤差が異なってくるのであれば、さらに領域を分けて処理を行うことができる。この場合、搬送ローラ1の1周分に満たない領域でしかテストパターンを形成できないのであれば、記録媒体先端部についても後述するような処理を適用し、適切な搬送誤差補正値を得ることができる。
(4)テストパターンの詳細
図5に示した各テストパターンは次のように形成される。
図5に示した各テストパターンは次のように形成される。
図7はテストパターン形成時のノズル使用態様の説明図である。テストパターンの形成には、例えば第2ブラック用ノズル列H3500に含まれる768個のノズルのうち、相対的に搬送方向上流側に位置して連続する一部のノズル群NUと、相対的に下流側に位置して連続する他の一部のノズル群NDとを使用する。
本例では、下流側のノズル群NDを基準ノズル群とし、最下流に位置するノズルから数えて1〜120番目の範囲にある120個のノズルを固定的に使用して、複数の基準パッチ要素(第一のパッチ要素)を記録する。一方、上流側のノズル群NUは調整用ノズル群とし、使用するノズル数は下流側ノズル群NDと同じ120個のノズルを使用する。この際、最下流に位置するノズルから数えて129〜248番目の範囲にあるノズル群を中心として、使用する範囲を記録走査中に1ノズルずつずらしながら複数の調整用パッチ要素(第二のパッチ要素)を記録する。
図8は上流側ノズル群NUおよび下流側ノズル群NDを用いたテストパターンないしこれを構成するパッチの形成態様の説明図である。ある搬送位置での記録走査(スキャン0)において調整用パッチ要素を形成し、次に128ノズル分の媒体搬送を行い、次の記録走査調整用パッチ要素を形成するという動作を繰り返す。2記録走査目(スキャン1)には下流側ノズル群NDの位置に最初に形成した調整用パッチ要素が至るので、そこで基準パッチ要素を形成することで、濃度情報を取得するためのパッチ(1行目)が完成する。
同様に、3記録走査目(スキャン2)には下流側ノズル群NDの位置に2記録走査目で形成した調整用パッチ要素が至ることになる。そこで基準パッチ要素を形成することで、2行目のパッチが完成する。3行目以降のパッチも同様にして形成され、搬送方向に複数行のパッチが完成する。
つまり、パッチを完成するには、調整用パッチ要素を形成する走査と基準パッチ要素を形成する走査との間に、本実施形態では1回の媒体搬送を介在させるものである。従って、本実施形態のテストパターンが複数有するパッチのそれぞれは、調整用パッチ要素が形成された記録走査と基準パッチ要素が形成された記録走査との間に介在する1回の媒体搬送に使用されたローラ領域の搬送誤差を反映することになる。
図9(a)および(b)は、それぞれ、ある1回の記録走査で記録される基準パッチ要素群および調整用パッチ要素群を示している。同図(a)に示すように、基準パッチ要素RPEは記録走査方向に整列して記録されるのに対して、同図(b)に示すように、調整用パッチ要素APEは1ノズルピッチ分ずつずれて記録されることになる。調整用パッチ要素APEの群には、最下流に位置するノズルから数えて129〜248番目の範囲にある120個のノズルを使用して記録される調整用標準パッチ要素APErを含んでいる。
この調整用標準パッチ要素APErから搬送基準部材14の側(図の左側)にある調整用パッチ要素は、搬送基準側に向かうにつれて、1ノズルずつ搬送方向下流側に調整用ノズル群NUの使用範囲をずらして記録されたものとなっている。逆に、調整用標準パッチ要素APErから非搬送基準側(図の右側)にある調整用パッチ要素は、搬送基準から遠ざかるにつれて、1ノズルずつ搬送方向上流側に調整用ノズル群NUの使用範囲をずらして記録されたものとなっている。ずらす範囲は搬送基準側に3ノズル分、非搬送基準側に4ノズル分であり、上流側にずらす場合を正とすると、全体のずらし範囲は−3〜+4である。
ここで、各記録走査間で1200dpiのピッチで配列された128ノズル分の範囲に相当する距離(128/1200×25.4=2.709[mm])だけ、記録媒体が誤差なく搬送されるものとする。すると、ある記録走査で記録された調整用標準パッチ要素APEr(ずらし量0)に対し、1回の媒体搬送を経た2回目の記録走査で記録される基準パッチ要素RPEがちょうど重なることになる。また、正のずらし量はその距離よりも搬送量が大きく、負のずらし量は搬送量が小さくなっていることに対応する。
図10はテストパターンFRの形成態様を、また図11はその詳細を示す。テストパターンFRは図6の領域Iに形成されるものであり、その領域は広く、その搬送方向の長さは、搬送ローラ1の周長以上の範囲にわたるものとすることができる。
調整用標準パッチ要素APErに対し、調整用パッチ要素APEが−3〜+4ノズル分の範囲で1ノズルずつずらして記録されることから、1つのテストパターンについてパッチは記録走査方向に8つ形成されることになる。また、本実施形態では、各記録走査間の媒体搬送量(理想値)を2.709mmとし、13回の記録走査を繰り返すことで、搬送方向の範囲にわたって14個のパッチが形成されるようにする。このため、テストパターンFRの搬送方向の長さは2.709×14=37.93mm(理想量)となり、公称37.19mmの外周をもつローラが用いられている場合、これはその1周分超に相当する。
図10および図11において符号Aで示すパッチ列は、調整用標準パッチ要素APErを含んだパッチ列である。また、A+1〜A+4で示すパッチ列は、それぞれ、調整用標準パッチ要素APErに対して調整用ノズル群NUの使用範囲を搬送方向上流側に1〜4ノズル分ずらして記録した調整用パッチ要素を含んだパッチ列である。またA−1〜A−3で示すパッチ列は、それぞれ、調整用標準パッチ要素APErに対して調整用ノズル群NUの使用範囲を搬送方向下流側に1〜3ノズル分ずらして記録した調整用パッチ要素を含んだパッチ列である。
また、符号B1からB14で示す各パッチ行は、調整用パッチ要素を作成する走査と基準パッチ要素を作成する走査との間の媒体搬送に使用されるローラ領域をそれぞれ異ならせて形成されるものである。パッチ行B1の調整用パッチ要素を記録した後の媒体搬送がローラの基準位置から行われたとする。この場合、パッチ行B1では、調整用パッチ要素を作成した走査から基準パッチ要素を作成した走査までにローラの基準位置から1回の媒体搬送に相当する領域(0〜2.709mm)が使用されたことになる。また、パッチ行B2では、次の1回の媒体搬送に相当する領域(2.709〜5.418mm)が使用されたことになる。同様に、パッチ行B3ではローラの領域(5.418〜8.127mm)、パッチ行B4ではローラの領域(8.127〜10.839mm)が使用されたことになる。このように、各パッチ行では、調整用パッチ要素を作成した走査から基準パッチ要素を作成した走査までに、それぞれ異なるローラの領域が使用される。
図12はテストパターンERの詳細を示す。テストパターンERは図6の領域IIに形成されるものであり、その領域は一般的に狭いため、排出ローラ1周分の搬送方向長さを持つテストパターンが形成できないことが多い。記録走査間の搬送量は上述と同様に128ノズル長(2.709[mm])としたとき、図12の例では、符号B1〜B8で示すパッチ行しか形成できていない。ここで、テストパターンERの搬送方向長さは、公称34.56mmの外周をもつ排出ローラが用いられているものとすればその5分の3程度である。
(5)パッチの詳細
図13は基準パッチ要素および調整用パッチ要素を拡大して示す図である。また、図14はこれらパッチ要素をさらに拡大して示す図である。パッチ要素は、搬送方向2ドット×記録走査方向10ドットの大きさの記録ブロックを基本単位とした階段状のパターンとして形成される。また、使用ノズル群をずらす範囲を勘案して階段状パターン間の搬送方向の距離を確保する。図示の例示では、搬送方向上流側に1〜4ノズル分(+1〜+4)、搬送方向下流側に1〜3ノズル分(−1〜−3)をずらすことに対応して、6ノズル(6ドット)分の間隔を空けている。
図13は基準パッチ要素および調整用パッチ要素を拡大して示す図である。また、図14はこれらパッチ要素をさらに拡大して示す図である。パッチ要素は、搬送方向2ドット×記録走査方向10ドットの大きさの記録ブロックを基本単位とした階段状のパターンとして形成される。また、使用ノズル群をずらす範囲を勘案して階段状パターン間の搬送方向の距離を確保する。図示の例示では、搬送方向上流側に1〜4ノズル分(+1〜+4)、搬送方向下流側に1〜3ノズル分(−1〜−3)をずらすことに対応して、6ノズル(6ドット)分の間隔を空けている。
本実施形態では、上流側ノズル群NUおよび下流側ノズル群NDとも、この図に示すようなパッチ要素を記録する。このため、搬送誤差の程度に応じて基準パッチ要素と調整用パッチ要素との重なりの状態が変化し、テストパターンFRおよびERには図10および図12に示したように様々な濃度のパッチが形成されることになる。
すなわち、上流側ノズル群NUで記録した調整用パッチ要素と、下流側ノズル群NDで記録した基準パッチ要素とが図15(a)に示すように重なっていれば、濃度(OD値)は低くなる。一方、これらがずれれば、同図(b)に示すように空白部分が埋められ、濃度は高くなる。
なお、本実施形態では、基準パッチ要素と調整用パッチ要素とがより重なっているほどエリアファクタが小さくなり、低い濃度のパッチが形成されるようにした。基準パッチ要素と調整用パッチ要素とがより重なっているほどエリアファクタが大きくなり、高い濃度のパッチが形成されるようにするものでもよい。要は、基準パッチ要素と調整用パッチ要素との重なりないしはずれの程度(すなわち搬送誤差)に対し、濃度情報が敏感に変化するものであればよい。
また、本実施形態では各パッチ要素を階段状に配列される記録ブロックで形成するものとしたが、記録ブロックが記録走査の方向に連続せず、吐出不良の影響を有効に低減できるものであれば、その他の配列を用いることも可能である。例えば、記録ブロックが斑状に配列されるものであってもよいし、ランダムに配列されるものでもよい。
また、本実施形態ではテストパターンの形成にマットブラックのインクを用いるものとした。しかし読み取りセンサを用いた濃度情報の取得が良好に行なわれるものであれば、使用されるインクは他の色のものであってもよい。また、基準パッチ要素と調整用パッチ要素とで異なる色のインクが用いられてもよい。
さらに、搬送誤差に対する濃度情報の変化を良好に取得でき、かつノズルの吐出不良の影響を受けにくいものであれば、使用するノズル群の数および使用ノズル位置は上例に限らない。例えば、ノズル群NUおよびNDは、それらの間の距離が、パッチ要素が重なるまでに行なわれる記録走査の回数を、記録走査間で行われる搬送の量に乗じた位置関係にあればよい。
加えて、パッチの構成についても、上述のような干渉パターンに限定されるものではない。
(6)搬送誤差補正値の取得
(6−1)領域Iに対する処理
まず本実施形態では、読み取りセンサ120を用いてテストパターンを構成するパッチの濃度の測定を行う。読み取りセンサ120は、発光部と受光部とを有する光学センサをテストパターン上で走査させることにより、基準パターンと調整用パターンとが干渉しているパッチ(図15(a),(b))の濃度を測定する。つまり、パッチの濃度は、パッチに対して光を照射したときの反射光量(反射光強度)として検出される。この検出動作は被検出領域に対して1回のみ行われるものでもよいが、複数回の検出動作を行うことにより検出誤差の影響を低減させることが可能となる。
(6−1)領域Iに対する処理
まず本実施形態では、読み取りセンサ120を用いてテストパターンを構成するパッチの濃度の測定を行う。読み取りセンサ120は、発光部と受光部とを有する光学センサをテストパターン上で走査させることにより、基準パターンと調整用パターンとが干渉しているパッチ(図15(a),(b))の濃度を測定する。つまり、パッチの濃度は、パッチに対して光を照射したときの反射光量(反射光強度)として検出される。この検出動作は被検出領域に対して1回のみ行われるものでもよいが、複数回の検出動作を行うことにより検出誤差の影響を低減させることが可能となる。
各パッチ行について、記録走査方向に複数記録されたA−3〜A+4列の各パッチの濃度を検出し、最も濃度が低いものを特定する。次に、その両隣を含めた3つのパッチの濃度をプロットすると、図16に示すように2次曲線的に分布する。そこで、この2次曲線の極小ポイントとなるドットずれ量を求め、これに基づいて搬送誤差を算出する。
例えば、図16に示すようにA列のパッチの濃度が最小であった場合、その濃度値と、その両隣のA−1列およびA+1列のパッチの濃度値との3点について2次曲線近似を行う。これに対応する関数において極小となるのは、およそ−0.17ドットのずれ量であることがわかる。このように2次曲線に近似することにより、1200dpi単位(21.17ミクロン単位)でずらしたパッチから、さらに細かい精度で搬送誤差を算出することが可能となる。すなわち、−0.17を極小値とする場合は、21.17×(−0.17)=−3.60μmが理想搬送長からのずれ量(搬送誤差)となる。
領域Iに形成されたテストパターンFRに対しては、この処理を搬送方向に複数形成された14個のパッチ行毎に行う。これにより、各パッチ行における1回の媒体搬送で用いられるローラの周長(2.709mm)ごとの搬送誤差を検出する。
図17(a)は、以上の手順により求められる媒体搬送(LF)毎の搬送誤差をプロットした例である。1回の媒体搬送量が128ノズル分(128/1200×25.4=2.709[mm])、搬送ローラ1の外周長が37.19mmであることから、パッチ行B1〜B14で搬送ローラ1周分超をカバーできる。搬送量のデータは、振幅の大きさには個体差があるものの、一般的に搬送に用いているローラのうちのいずれかのローラの外周長を周期とした分布を示す。記録装置の構成によってどのローラに対応した周期を示すかは異なるが、本実施形態においては、領域Iでは搬送ローラ1が主として搬送に関与し、従って搬送誤差に影響を与えている。すなわち、搬送誤差は搬送ローラ1の外周長を周期とした分布となっている。これは搬送ローラ、エンコーダスケールやギアなどの偏心に起因する。
搬送誤差補正値を求めるために必要なのは補正前の媒体搬送長の平均値であり、周期の整数倍のデータから平均値を求めれば補正前の媒体搬送長の平均値が算出できる。しかし、本実施形態におけるテストパターン記録時の搬送長(テストパターンの搬送方向の長さ)と搬送ローラ1の外周長との関係から取得できる補正前の媒体搬送長のデータは周期の整数倍にはなっていない。搬送ローラ1の外周長が37.19mmであるのに対し、パッチ行B1〜B13の副走査方向の長さは128/1200×25.4×13=35.22mm、パッチ行B1〜B14の搬送方向の長さは128/1200×25.4×14=37.93mmである。
従って、パッチ行B1〜B14のデータから平均値を求めてしまうと、搬送ローラ1の1周を超えた端数分が誤差要因として平均値算出に反映されてしまう。これに対し、本実施形態では、取得したデータの平均を算出するのではなく、取得したデータを周期関数でフィッティングし、得られた関数の1周期の平均値を算出するものとする。ローラの偏心が原因で発生する搬送誤差は、通常、正弦関数的に分布することから、本実施形態では正弦関数をフィッティングに用いるものとする。フィッティングの際には、領域Iにおいて支配的となる搬送ローラ1の周期を正弦関数の周期に設定することにより、効率的にフィッティング関数が得られる。
図17(b)は、一般的な正弦関数
y=a×sin(2π/L×x−b)+c (1)
の周期にあたるLを37.19mmとしてフィッティングを行った例を示す。そして、フィッティングの結果得られたcが今求めようとしている正弦関数の1周期分の平均値に該当する。
y=a×sin(2π/L×x−b)+c (1)
の周期にあたるLを37.19mmとしてフィッティングを行った例を示す。そして、フィッティングの結果得られたcが今求めようとしている正弦関数の1周期分の平均値に該当する。
フィッティングの手法について例示する。今回テストパターンから取得した14パッチ行のそれぞれの搬送量を順に
{Y(1),Y(2),Y(3),・・・,Y(14)}
とする。フィッティング関数を上述のような正弦関数とした場合、n番目のパッチ行の搬送量は
y(n) = a×sin(2π/L×x(n)−b)+c (2)
となり、14回分の搬送量は
{y(1),y(2),y(3),・・・,y(14)}
と示すことができる。
{Y(1),Y(2),Y(3),・・・,Y(14)}
とする。フィッティング関数を上述のような正弦関数とした場合、n番目のパッチ行の搬送量は
y(n) = a×sin(2π/L×x(n)−b)+c (2)
となり、14回分の搬送量は
{y(1),y(2),y(3),・・・,y(14)}
と示すことができる。
ここで、Y(n)とy(n)との2乗平均値S(n)を定義すると、
S(n)2=(Y(1)−y(1))2+(Y(2)−y(2))2
+(Y(3)−y(3))2+・・・+(Y(n)−y(n))2 (3)
となる。このSが最小となるようなa,b,cを求めることにより、最適な正弦関数が求められる。有効な範囲内で(a,b,c)の数値の組み合わせを様々に設定した状態でS(n)を算出し、最もS(n)が小さくなるような(a,b,c)の組み合わせを見つけることにより求められる正弦関数のうち、今求めたいのはcの値である。本実施形態においては図17(b)のデータをフィッティングした結果得られたcの値は12.5μmとなる。従って、搬送量補正値としてはその逆符合の−12.5μmとなる。
S(n)2=(Y(1)−y(1))2+(Y(2)−y(2))2
+(Y(3)−y(3))2+・・・+(Y(n)−y(n))2 (3)
となる。このSが最小となるようなa,b,cを求めることにより、最適な正弦関数が求められる。有効な範囲内で(a,b,c)の数値の組み合わせを様々に設定した状態でS(n)を算出し、最もS(n)が小さくなるような(a,b,c)の組み合わせを見つけることにより求められる正弦関数のうち、今求めたいのはcの値である。本実施形態においては図17(b)のデータをフィッティングした結果得られたcの値は12.5μmとなる。従って、搬送量補正値としてはその逆符合の−12.5μmとなる。
ここで得られた補正値は、テストパターンFR記録時の搬送制御指令値である128ノズル分の搬送を行う際のものであり、それ以外の搬送量の制御を行う場合には別の補正値を設定し、通常、搬送制御指令値に比例して搬送制御補正値を増減させることが望ましい。これらを考慮すると、テストパターンから求めるC(単位搬送長あたりの搬送制御補正値)とB(補正前搬送制御指令値)を用いて、A(補正後搬送制御指令値)は以下のように求められる。
A=B×(1+C) (4)
以上の手順が、本実施例における搬送ローラを用いた図5および図6に示す領域Iにおける搬送制御補正値を算出する手順である。
A=B×(1+C) (4)
以上の手順が、本実施例における搬送ローラを用いた図5および図6に示す領域Iにおける搬送制御補正値を算出する手順である。
(6−2)領域Iに対する処理
次に、記録媒体の後端が上流側搬送ユニット(搬送ローラ1およびピンチローラ2)を抜けて、下流側搬送ユニット(排出ローラ12および拍車13)のみによる搬送に切り替わった後(図20(c))の搬送制御補正値の取得手順について説明する。上述したように、上流側搬送ユニットを記録媒体の後端が抜けた後の記録可能範囲は一般的に狭いため、排出ローラ1周分の記録ができないことが多く、本実施形態においては、排出ローラの周長未満である半周分程度しか記録ができない場合について説明する。ここで、排出ローラの外周長は34.56mmであり、テストパターンERの記録時の搬送量は搬送ローラ1についてのテストパターン記録時と同様に128ノズル長(128/1200×25.4=2.709[mm])とする。
次に、記録媒体の後端が上流側搬送ユニット(搬送ローラ1およびピンチローラ2)を抜けて、下流側搬送ユニット(排出ローラ12および拍車13)のみによる搬送に切り替わった後(図20(c))の搬送制御補正値の取得手順について説明する。上述したように、上流側搬送ユニットを記録媒体の後端が抜けた後の記録可能範囲は一般的に狭いため、排出ローラ1周分の記録ができないことが多く、本実施形態においては、排出ローラの周長未満である半周分程度しか記録ができない場合について説明する。ここで、排出ローラの外周長は34.56mmであり、テストパターンERの記録時の搬送量は搬送ローラ1についてのテストパターン記録時と同様に128ノズル長(128/1200×25.4=2.709[mm])とする。
図5に示したとおり、本実施形態においては、領域Iは広いため、搬送ローラの1周期長にわたって搬送ローラ1についてのテストパターンFRを記録することが可能である。排出ローラ12のみで記録媒体を搬送する領域IIにおいても、測定精度の上では排出ローラの1周期分のテストパターンを記録することが望ましいが、そのためには搬送ローラ1と排出ローラ12とを遠ざけて配置しなければならない場合が多い。しかしこれらを遠ざけるほど、記録媒体後端部の記録領域において記録媒体を排出ローラ12のみで支持する状態で記録する領域が増えてしまう。そのため、記録媒体が反っている場合などに記録ヘッドとの接触が生じ、記録画像を汚してしまう恐れが高くなる。
本実施形態では、図12に示したような、排出ローラの1周期分に満たない8回の搬送分に対応したテストパターンERの記録を行い、搬送量データを周期関数にフィッティングすることで精度を確保する。換言すれば、搬送ローラ1と排出ローラ12との間隔を最低限に設定し、記録媒体後端部における記録ヘッドとの接触を極力回避しつつ、精度高い搬送制御を実現する。
図18(a)は、領域IIにおける媒体搬送(LF)毎の搬送誤差をプロットした例である。これは、排出ローラの1周期分に満たない8回の媒体搬送を伴うテストパターンER(パッチ行B1〜B8を含むもの)に対応したものであり、領域Iの場合と同様にして搬送量補正値を取得することができる。すなわち、図18(b)に示すように、排出ローラ12の周期を正弦関数の周期に設定し、上記式(1)〜(3)と同様の処理を行うことで、搬送量補正値を取得することができる。
ここで、パッチ行B1〜B8に対応した8つのデータの平均値を求めてしまうと、図21について前述したように、偏心の影響を強く受けてしまう。しかし本実施形態に係る手法によれば、このような場合においても好ましい補正値を得ることができる。つまり、図18に示す8つのデータを単純に平均すると−10.1μmとなるのに対し、フィッティングから得られる結果は−8μmであり、より好ましい搬送誤差補正値を取得することができる。
なお、以上のように得られた2つの搬送誤差補正値(搬送ローラ1が搬送に関与する場合の補正値および排出ローラ12のみが搬送に関与する場合の補正値)は、例えばEEPROM103(図3)に格納するものとすることができる。そして、記録の進捗に応じ、領域IとIIとで、両者を使い分けるようにすればよい。また、図4のような手順を実行した際には、EEPROMの格納内容を更新するようにすればよい。
(7)その他
以上の処理は、ユーザの指示に応じて行うものでも、サービスマンまたはサービスセンターへの持込によって行われるものでもよい。いずれにしても、EEPROMに格納するものとすれば、適宜に補正値を更新可能であり、ローラなどの経時変化に対応できるものとなる。
以上の処理は、ユーザの指示に応じて行うものでも、サービスマンまたはサービスセンターへの持込によって行われるものでもよい。いずれにしても、EEPROMに格納するものとすれば、適宜に補正値を更新可能であり、ローラなどの経時変化に対応できるものとなる。
しかしそれほど経時変化が問題とならず、出荷後の補正値の更新が必要ないのであれば、工場出荷時の検査工程で補正値のデフォルト値を決定し、これを格納したROM102を記録装置に搭載すればよい。この意味で、搬送誤差補正値の決定によって特徴づけられる本発明の搬送誤差補正値取得方法は、必ずしも記録装置で実現される場合のみならず、記録装置とは別体の装置または検査システムで実現可能なものである。
このような場合、フィッティングの結果得られた定数a,b,cのうち定数aに着目し、この数値があらかじめ決められた所定の数値より大きい場合はエラーを報知するものとすることができる。正弦関数においてaは振幅にあたり、この数値が大きいほど周期的なむらが画像に現れやすくなる。図19はローラの偏心によって生じるむらの模式図である。そこで、予めaの値がいくつより大きくなるとむらが許容できないレベルに到達するかを調べた上でaの閾値Aを所定の値に設定し、ROM等に記憶させる一方、フィッティングの結果得られたaの値を閾値Aと比較するようにする。そして、閾値Aを超えていたらエラーを発生させて作業者に通知するようにすることができる。この結果に応じて作業者はこの記録装置の出荷を停止し、搬送に関わる部品を交換するようにすることができる。なお、閾値Aとしては。搬送ローラに対する閾値と排出ローラに対する閾値とを異なる値に設定してもよい。
また、他の実施形態として、搬送誤差補正値の取得は、キャリッジに記録ヘッドとともに搭載された読み取りセンサ120を用いてテストパターンをスキャンすることで濃度情報を得、これに基づいて行われるものでもよい。または、記録ヘッドと交換して搭載された読み取りヘッド形態の読み取りセンサ120を用いてテストパターンをスキャンすることで濃度情報を得、これに基づいて行われるものでもよい。つまり、まず記録媒体をセットし、上述したようなテストパターンを形成し、その形成後に記録媒体を装置に再セットし、テストパターンの読み取り動作を行って、濃度情報を取得するものとすることもできる。
さらに、内部に読み取りセンサを持たない記録装置の場合(スキャナ装置部を一体に有する多機能装置として記録装置が構成されている場合を含む)、テストパターンを形成した記録媒体を外部のスキャナ装置にセットし、読み取りを行わせるようにしてもよい。つまり、テストパターンを形成した記録媒体を外部のスキャナ装置にセットし、そこで読み取った濃度情報の入力に応じて、搬送誤差補正値の取得を行うものでもよい。また、補正値の演算を記録装置側の処理として行うのではなく、記録装置に接続されたコンピュータ形態のホスト装置1000で稼動するプリンタドライバの処理として行うこともできる。つまり、外部のスキャナ装置で読み取った濃度情報がホスト装置1000に提供されて補正値が演算され、記録装置はその補正値の入力があった場合にこれをEEPROM103に格納(更新)するものとしてもよい。
加えて、上例では記録媒体搬送方向の上流側および下流側にそれぞれ搬送ローラおよび排出ローラが設けられた構成について説明した。しかし記録媒体は、これが給紙されて記録が終了するまで、様々な搬送ユニットにより搬送される。記録時において上述したローラ以外のものも搬送に関与し、その偏心や外径ばらつきに起因した搬送誤差の影響が懸念されるのであれば、それらのローラに対して個別に、または他のローラとの組み合わせにおいて、搬送誤差の補正値を取得することができる。この場合も、上述と同様にしてテストパターンを記録し、その濃度情報から搬送誤差補正値を取得することができる。つまりテストパターンの記録および補正値の取得は、記録時に搬送に関与する搬送ユニットの個数および組み合わせに応じて実行可能なものであり、これによって記録媒体全体に対し一様でかつ高画質な記録を実現可能となる。
例えば、搬送に用いるローラが2本ある場合は、上述のように搬送ローラが搬送に関与している場合と、排出ローラのみが搬送に関与している場合とについて処理を行うことができる。さらに、搬送ローラのみが搬送に関与している場合と、排出ローラと協働して搬送に関与している場合とに分けて処理を行うこともできる。そして、前者の場合においてその領域の寸法が小さい場合にも、排出ローラのみが搬送に関与している場合と同様の処理を行うことで、精度高く搬送誤差補正値を得ることができる。またローラが3本である場合は、同様にして最大で5つの場合(領域)に分けて処理を行うことができる。一般化すれば、n個(n≧2)のローラを用いて搬送を実施する場合、最大で3+1/2[n(n−1)]個の領域に分割して処理を行うことができる。
なお、正弦関数で効果的にフィッティングを行う場合、少なくとも周期の1/4以上の搬送長データがあることが好ましく、データ取得範囲を広げることによりフィッティングの信頼性を向上させることができる。また、データの取得ピッチ(テストパターン記録時の搬送ピッチ)は短いほどデータ量が増えるため、フィッティングの信頼性を向上させることができる。
さらに加えて、用いるインクの色調(色や濃度など)の数、インクの種類、ノズルの数、使用ノズル範囲や記録媒体の搬送量の設定の態様、および各種数値などは、あくまでも例示であり、適宜のものを採用することができるのは言うまでもない。
また、上例では所謂シリアルタイプのインクジェット記録装置に本発明を適用した場合について説明した。しかし本発明は、記録媒体の幅に対応した範囲にわたってノズルを整列させてなるライン型ヘッドを用いる所謂ラインプリンタ形態のインクジェット記録装置にも適用可能である。この場合、そのようなライン型ヘッドを搬送方向の上流側と下流側とに配置したものとすることができる。そして、一方で上述したような基準パッチ要素を記録し、他方で記録タイミングをずらしながら調整用パッチ要素を記録してテストパターンを得ることで、ローラの搬送誤差を知り、その補正値を得ることができる。
1 搬送ローラ
4 記録ヘッド
12 排出ローラ
103 EEPROM
120 読み取りセンサ
1000 ホスト装置(コンピュータ)
FR、ER テストパターン
P 記録媒体
4 記録ヘッド
12 排出ローラ
103 EEPROM
120 読み取りセンサ
1000 ホスト装置(コンピュータ)
FR、ER テストパターン
P 記録媒体
Claims (9)
- 記録媒体を搬送するためのローラを具えた記録装置であって、
前記ローラの周長未満の範囲で行われる連続した複数回の記録媒体の搬送に基づいて、複数の搬送量データを検出する検出手段と、
前記複数の搬送量データを周期関数でフィッティングすることにより、前記ローラの搬送誤差を補正するための補正値を取得する取得手段と、
を具えたことを特徴とする記録装置。 - 前記周期関数として正弦関数が用いられることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記周期関数の周期には、前記搬送誤差の支配的な要因である前記ローラの周長を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
- 前記検出手段は、前記搬送誤差を検出するためのテストパターンを記録媒体上に形成させ、前記テストパターンに基づいて前記複数の搬送量データを検出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の記録装置。
- インクを吐出するノズルが配列された記録ヘッドを前記配列の方向とは異なる方向に記録媒体に対して移動させながら記録を行う記録走査と、該記録走査の方向と直交する方向への前記記録媒体の搬送とを行うことにより画像を記録することを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
- 前記テストパターンは、2つのパッチ要素からなり、該2つのパッチ要素の重なりの状態によって濃度が変化するパッチを複数有し、
一方の前記パッチ要素は、前記ノズルのうち連続する一部のノズル群を固定的に用いて形成され、他方の前記パッチ要素は、前記一部のノズル群とは異なる他の一部のノズル群を、位置を異ならせながら用いて形成されることを特徴とする請求項5に記載の記録装置。 - 前記ローラを複数具え、該複数のローラによる前記記録媒体の搬送への関与の状態に応じて、前記検出手段は、前記ローラの周長未満の範囲で行われる連続した複数回の記録媒体の搬送に基づく前記複数の搬送量データの検出と、前記ローラの周長以上の範囲で行われる連続した複数回の記録媒体の搬送に基づく複数の搬送量データの検出とを行い、前記取得手段は、前記複数のローラによる前記記録媒体の搬送への関与の状態に応じた前記搬送誤差の補正値を取得することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の記録装置。
- 記録媒体を搬送するためのローラを具えた記録装置における、前記ローラの搬送誤差を補正するための補正値を取得する搬送誤差補正値取得方法であって、
前記ローラの周長未満の範囲で行われる連続した複数回の記録媒体の搬送に基づいて、複数の搬送量データを検出する検出工程と、
前記複数の搬送量データを周期関数でフィッティングすることにより、前記ローラの搬送誤差を補正するための補正値を取得する取得工程と、
を具えることを特徴とする搬送誤差補正値取得方法。 - 前記複数の搬送量データにフィッティングした周期関数に応じて、エラーを報知する工程をさらに具えたことを特徴とする請求項8に記載の搬送誤差補正値取得方法。
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JP2013111777A (ja) * | 2011-11-25 | 2013-06-10 | Canon Inc | 記録装置および搬送誤差量取得方法 |
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