JP2011052236A - ハードコート品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)40〜95質量%及びアルキルメタクリレート単位を主成分とする表面硬度向上剤(H)5〜60質量%を含有する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形してなる透明な成形品表面にハードコート層が設けられたハードコート品。
【選択図】なし
Description
しかし特許文献6のハードコート品については、流動性向上効果は確認されるものの表面硬度については言及されていない。
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)は、芳香族ヒドロキシ化合物と、ジフェニルカーボネート等の炭酸ジエステル又はホスゲンとを反応させることによって得られる芳香族ポリカーボネート重合体又は共重合体である。芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)は、分岐状のものであってもよい。分岐状の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の場合、芳香族ヒドロキシ化合物としては、芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族ポリヒドロキシ化合物等とが併用される。
また、2種以上の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)を混合して用いてもよい。
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物には、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)が本来有する、優れた透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、自己消火性(難燃性)等を損なわない範囲、具体的には芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対して50質量部以下の範囲で、必要に応じて他の樹脂及び/又はエラストマーを配合してもよい。
本発明の表面硬度向上剤(H)は、アルキルメタクリレート単位を主成分とする。
アルキルメタクリレート単位を構成するアルキルメタクリレートとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステルが挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、好ましくはメチルメタクリレートである。メチルメタクリレート単位は、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と良分散する効果を有し、成形品の表面硬度を向上させる作用を有する。
なお、本発明において(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。芳香族(メタ)アクリレート単位を構成する芳香族(メタ)アクリレートとは、エステル部分に芳香族基を有するメタクリレート若しくはエステル部分に芳香族基を有するアクリレート、又はこれら双方を含むものである。
上記芳香族(メタ)アクリレート単位を構成する芳香族(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、ナフチルメタクリレートが挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、好ましくはフェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートであり、より好ましくは、フェニルメタクリレートである。かかる芳香族(メタ)アクリレートは成型品の透明性を向上させる作用を有する。
その他の単量体単位を構成するその他の単量体は、特に制限されるものではないが、例えば、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のモノカルボン酸及びジカルボン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミド等のマレイミド単量体、ジビニルベンゼン、1,3−ブチレンジメタクリレート等の架橋剤が挙げられる。これらの単量体は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、表面硬度向上剤(H)は、上記ポリマーの機能を阻害しない範囲において、必要に応じてメルカプタン類といった連鎖移動剤を含有することができる。
これらの重合には、公知の乳化剤、分散剤、連鎖移動剤、開始剤を用いることができる。
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)40〜95質量%及び表面硬度向上剤(H)5〜60質量%を含有する。
表面硬度向上剤(H)の配合量は、所望の物性等に応じて適宜決定すればよい。表面硬度向上剤(H)の配合量が5質量%以上であると、十分な表面硬度の向上効果が得られる傾向にある。表面硬度向上剤(H)の配合量が60質量%以下であると、ハードコート品とした際に耐衝撃性を保ちやすい傾向にある。
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物には、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の優れた特性(透明性、耐熱性、耐衝撃性等)を損なわない範囲で、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、熱安定剤等の各種安定剤;無機充填剤、難燃剤、ノンドリップ剤、帯電防止剤、離型剤、光拡散材、ブルーイング剤、染料、赤外線吸収剤、耐衝撃性改質剤等の公知の各種添加剤を配合してもよい。
本発明における成形品は、上述の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物をそのまま、又は溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、ブロー成形法、注型成形法等の公知の溶融成形法で溶融成形することにより得られる。
透明な成形品とは、板厚み2mmで、ヘーズメーターによるヘイズ値が2以下であるものを示す。
本発明のハードコート品は、上述の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形してなる透明な成形品表面にハードコート層が設けられたものである。
ハードコート剤としては、シリコーン樹脂系ハードコート剤、他の有機樹脂系ハードコート剤等が挙げられる。
他の有機樹脂系ハードコート剤のうち、耐熱性、耐薬品性、耐候性、及び成形品との密着性に優れたハードコート層が得られることから、1種類又は2種類の単官能アクリレート及び/又は多官能アクリレートと、1分子内に少なくとも2個以上のラジカル重合性不飽和二重結合を有するウレタンポリ(メタ)アクリレートとを含む組成物が好適である。
プライマー層(第1層)を形成する樹脂としては、例えば、各種ブロックイソシアネート成分及びポリオール成分からなるウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂;ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ホスファゼンアクリレート、メラミンアクリレート、アミノアクリレート等の各種多官能アクリル樹脂を挙げることができ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、アクリル樹脂又は多官能アクリル樹脂を50質量%、好ましくは60質量%以上含有するものが好ましく、アクリル樹脂及びウレタンアクリレートからなるものが特に好ましい。
粘度調整剤としては、ハードコート剤の特性を損なわず、かつ成形品と反応したり、成形品を溶解しないものであればよく、例えば、ハードコート剤に用いられる各種樹脂の低粘度のもの、各種有機溶剤が挙げられる。有機溶剤としては、例えば、n−ブタノール、i−ブタノール等のアルコール、酢酸n−ブチル、酢酸ジエチレングリコール等のエステル類が挙げられる。これらは適宜組み合わせて用いることが好ましい。
ハードコート剤の硬化は、有機溶剤を使用している場合には有機溶媒を揮発させ、その後、これに紫外線、電子線等の活性エネルギー線を照射及び/又は加熱することにより行うことができる。
なお、質量平均分子量については以下の条件に基づき、測定を行った。
カラム:東ソー(株)製 TSKgel SuperHZM−M
(内径4.6mm×長さ15cm) 4本 排除限界:4×106
溶離液:THF
流速 :0.35ml/min
温度 :40℃
サンフ゜ル濃度:0.1%
サンフ゜ル注入量:10μl
検出器:RI(UV)
下記成分を攪拌機及び還流冷却管を備えた反応容器に仕込み、窒素脱気し、80℃に昇温した。
脱イオン水 200部
分散安定剤 0.3部
硫酸ナトリウム 0.5部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.3部
n−オクチルメルカプタン 2.0部
メチルメタクリレート 78.5部
フェニルメタクリレート 20部
メチルアクリレート 1.5部
n−オクチルメルカプタンの使用量を2.0部から5.0部に変更した他は製造例1と同様にして、表面硬度向上剤(H−2)を得た。得られた表面硬度向上剤(H−2)は、質量平均分子量(Mw)6,000、数平均分子量(Mn)3,000、分子量分布(Mw/Mn)2.0であった。
n−オクチルメルカプタンの使用量を2.0部から1.0部に変更した他は製造例1と同様にして、表面硬度向上剤(H−3)を得た。得られた表面硬度向上剤(H−3)は、質量平均分子量(Mw)24,000、数平均分子量(Mn)11,000、分子量分布(Mw/Mn)2.2であった。
n−オクチルメルカプタンの使用量を2.0部から0.5部に変更した他は製造例1と同様にして、表面硬度向上剤(H−4)を得た。得られた表面硬度向上剤(H−4)は、質量平均分子量(Mw)49,000、数平均分子量(Mn)23,000、分子量分布(Mw/Mn)2.1であった。
メチルメタクレートの量を88.5部、フェニルメタクリレートの量を10部に変更した他は製造例1と同様にして、表面硬度向上剤(H−5)を得た。得られた表面硬度向上剤(H−5)は、質量平均分子量(Mw)14,000、数平均分子量(Mn)7,000、分子量分布(Mw/Mn)2.0であった。
メチルメタクレートの量を98.5部、フェニルメタクリレートの量を0部に変更した他は製造例1と同様にして、表面硬度向上剤(H−6)を得た。得られた表面硬度向上剤(H−6)は、質量平均分子量(Mw)14,000、数平均分子量(Mn)7,000、分子量分布(Mw/Mn)2.0であった。
製造例1〜6により得られた表面硬度向上剤(H)と、市販の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)(商品名「ユーピロンS−2000F」三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、粘度平均分子量 2.2万)とを、表1に示す質量比で混合し、二軸押出機(機種名「PCM−30」(株)池貝製)に供給し、240℃で溶融混練し、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を得た。表中、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)、表面硬度向上剤(H)の欄の数値は、質量%を示す。
得られた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を用い、成形温度280℃、金型温度90℃の条件で100t射出成形機(機種名「SE100DU」、住友重機械工業(株)製)を用い、厚さ2mm、100mm角の平板成形品(成形試験片)を得た。
ステンレス容器に以下の材料を計量した。DPHA(商品名「カヤラッドDPHA」、日本化薬(株)製)25部、トリメチロールプロパントリアクリレート5部(商品名「NKエステルA−TMPT」、新中村化学工業(株)製)、ウレタンアクリレート10部(商品名「ダイヤビームUK−6053」、三菱レイヨン(株)製)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1.5部(商品名「イルガキュア184」、チバジャパン(株)製)、トルエン8.5部、酢酸ブチル20部及びイソブタノール30部。その後、均一になるまで攪拌しハードコート剤を調製した。
次いで、上述で得られた成形試験片に、前述したハードコート剤を硬化後の膜厚が約15μmとなるようにスプレー塗装した。この後、塗装された樹脂成形品の成形試験片を、60℃の温風乾燥器中に5分間保持して有機溶剤を揮発させた。次いで、得られた成形試験片を、高圧水銀灯により、波長340〜380nm、積算光量1,000mJ/cm2の活性エネルギー線を照射した。
得られた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物及びハードコート品について、後述の評価を行った。その結果を表1に示す。
PhMA:フェニルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
MA:メチルアクリレート
JIS K7210に準拠し、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を賦型して得られたペレットのメルトフローレート(MFR)を測定することにより、流動性を評価した。MFRの測定条件は下記の通りである。
測定温度250℃、荷重5.0kgf
ヘーズメーターHR−100(村上色彩技術研究所(株)製)を用い、上記成形試験片/ハードコート品について、JIS−K7105に準じてヘイズを測定した。
上記成形試験片/ハードコート品のエッジ部での白化を目視にて確認した。
○:白スジが見られない。
△:側面から見て白スジが見られる
×:正面から見て明らかに白スジが見られる
上記成形試験片のプレッシャークッカーテスト前後におけるΔヘイズを、ヘーズメーターHR−100(村上色彩技術研究所(株)製)を用いて測定した。プレッシャークッカーテスト条件は以下の通りである。
温度:105℃ 湿度:100RH% 試験時間:60分
上記ハードコート品を、JIS K5400に準じて測定を行った。
上記ハードコート品を3枚重ねて、JIS K7202−2に準じてMスケールで測定を行った。
比較例1は表面硬度向上剤(H)を含有していないため、表面硬度が劣っていた。比較例2は表面硬度向上剤(H)の含有率が多すぎるため、ロックウェル硬度測定で割れが生じてしまった。ハードコートを行っていない例(比較例5,6)では、表面硬度がさらに劣っていた。
比較例3,4は透明性を損なっていた。
表面硬度向上剤(H)の分子量が好ましい範囲にある実施例1〜5は、さらに耐温水白化性にも優れていた。
これに対し本発明のハードコート品は、実施例2と比較例5の比較からわかるように、表面硬度向上剤(H)を含有する成形品にハードコートを行うことにより、鉛筆硬度が2Bから3Hに向上していた。本発明は、ハードコートによる効果と表面硬度向上剤(H)による効果の単なる足し合わせよりも、鉛筆硬度が1ランク高くなるという顕著な相乗効果を有している。
Claims (2)
- 芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)40〜95質量%及びアルキルメタクリレート単位を主成分とする表面硬度向上剤(H)5〜60質量%を含有する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形してなる透明な成形品表面にハードコート層が設けられたハードコート品。
- 前記表面硬度向上剤(H)が、質量平均分子量が10,000以上30,000以下であり、芳香族(メタ)アクリレート単位5〜50質量%及びメチルメタクリレート単位50〜95質量%を含有する、請求項1記載のハードコート品。
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