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JP2011048992A - 炭素材料、電極材料及びリチウムイオン二次電池負極材料 - Google Patents

炭素材料、電極材料及びリチウムイオン二次電池負極材料 Download PDF

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JP2011048992A
JP2011048992A JP2009195716A JP2009195716A JP2011048992A JP 2011048992 A JP2011048992 A JP 2011048992A JP 2009195716 A JP2009195716 A JP 2009195716A JP 2009195716 A JP2009195716 A JP 2009195716A JP 2011048992 A JP2011048992 A JP 2011048992A
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Takuya Toyokawa
卓也 豊川
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池負極材料として好適であり、高いリチウム吸蔵放出容量を発揮できる炭素材料を提供する。
【解決手段】リチウムと合金を形成する金属からなる金属粒子を含有する金属内包炭素粒子を含有する炭素材料であって、前記リチウムと合金を形成する金属からなる金属粒子は、表面から厚み方向に10nm内側部分における酸素原子の含有量が10重量%以下である炭素材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池負極材料として好適であり、高いリチウム吸蔵放出容量を発揮できる炭素材料に関する。
炭素質の焼成体からなる炭素材料は、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ、コンデンサ等の電極材料に用いられている。
例えば、リチウムイオン二次電池においては、負極活物質として炭素材料を用い、電池の充電時にはリチウムをイオン状態で炭素材料中に吸蔵(インターカレーション)し、放電時にはイオンとして放出(デインターカレーション)させるという“ロッキングチェアー型”の電池構成を採用している。
電子機器の小型化あるいは高性能化が急速に進み、リチウムイオン二次電池の更なる高エネルギー密度化に対する要望が高まっている。しかしながら、炭素材料を構成する黒鉛は理論的なリチウムの吸蔵放出容量が372mAh/gに限られているため、リチウムの吸蔵放出容量のより大きい負極材料が求められている。
これに対して、充放電容量の低い炭素材料に、ケイ素等のリチウムと合金を形成する金属からなる金属粒子を複合化させることによりリチウムの吸蔵放出容量を向上することが試みられている。
例えば特許文献1には、珪素含有炭素質粒子と、この珪素含有炭素質粒子を被覆している実質的に珪素を含まない炭素質層とからなるリチウム二次電池負極用炭素質粒子が開示されている。また、特許文献2には、平均粒径(D50)が0.05〜5μmのSi粒子及び複数種の炭素質物質を含み、酸素含有量が5重量%以下であるリチウム二次電池用負極材料が開示されている。更に、特許文献3には、黒鉛、炭素前駆体を焼成してなる炭素、珪素、珪素化合物、又は珪素合金のうちの1種以上、カーボンブラック及び空隙から構成される粒子であって、コアが黒鉛からなり、アスペクト比が1〜2である概略球状の粒子からなるリチウムイオン二次電池用負極活物質が開示されている。
しかしながら、これらのケイ素等のリチウムと合金を形成する金属からなる金属粒子を複合化した炭素材料を用いても、実際にはリチウムの吸蔵放出容量が理論値に比べてごく低いリチウムイオン二次電池負極材料しか得られないという問題があった。
特開2001−345100号公報 特開2008−112710号公報 特開2008−186732号公報
本発明は、リチウムイオン二次電池負極材料として好適であり、高いリチウム吸蔵放出容量を発揮できる炭素材料を提供することを目的とする。
本発明は、リチウムと合金を形成する金属からなる金属粒子を含有する金属内包炭素粒子を含有する炭素材料であって、前記リチウムと合金を形成する金属からなる金属粒子は、表面から厚み方向に10nm内側部分における酸素原子の含有量が10重量%以下である炭素材料である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、ケイ素等のリチウムと合金を形成する金属からなる金属粒子(以下、単に「金属粒子」ともいう。)を複合化した炭素材料を用いたリチウムイオン二次電池負極材料が、理論値に比べてごく低いリチウムの吸蔵放出容量しか得られない理由について検討した。その結果、従来の炭素材料では、金属粒子の表面が酸化されてしまっており、その結果、リチウムと合金を形成する金属の本来のリチウム吸蔵能力が発揮されないためであることを見出した。更に検討の結果、還元焼成処理を施して金属粒子の表面の酸素原子の含有量を一定以下にすることにより、理論値に近い、高いリチウム吸蔵放出容量を発揮できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の炭素材料は、リチウムと合金を形成する金属からなる金属粒子を含有する金属内包炭素粒子を含有する。
上記リチウムと合金を形成する金属は、例えば、ケイ素、錫、マグネシウム、チタン、バナジウム、カドミウム、セレン、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、白金、硼素等が挙げられる。なかでも、特に高いリチウム吸蔵放出容量を発揮できることから、ケイ素又は錫が好適であり、ケイ素がより好適である。
上記金属粒子の粒子径は特に限定されないが、好ましい下限は10nm、好ましい上限は10μmである。上記金属粒子の粒子径が下限が10nm未満であると、炭素材料中において金属粒子と炭素成分との接触が難しくなり、導電不良になることがあり、10μmを超えると、炭素材料中に金属粒子を含包することが難しくなることがある。
上記金属粒子は、表面から厚み方向に10nm内側部分における酸素原子の含有量が10重量%以下である。上記酸素原子の含有量が10重量%を超えると、高いリチウム吸蔵放出容量を発揮することができない。上記酸素原子の含有量の好ましい上限は10重量%、より好ましい上限は7重量%である。
なお、上記金属粒子の表面から厚み方向に10nm内側部分における酸素原子の含有量は、例えば、上記金属内包炭素粒子をエポキシ樹脂で包埋し、カーボンを蒸着した後、集束イオンビーム(FIB)により切削してサンプルを調製し、該サンプル中の上記金属粒子の断面について電界放出型分析透過電子顕微鏡(FE−TEM/EDS)を用いた元素分析により測定することができる。
上記金属内包炭素粒子における上記金属粒子の含有量の好ましい下限は1重量%である。上記金属粒子の含有量が1重量%未満であると、高いリチウム吸蔵放出容量を発揮できないことがある。上記金属粒子の含有量のより好ましい下限は5重量%である。
上記金属粒子の含有量の上限は特に限定されない。上記金属粒子を大量に含有するほど、高いリチウム吸蔵放出容量を発揮できる。ただし、上記金属粒子の含有量が多くなりすぎると、連続充放電時の上記金属粒子の体積変化により、炭素材料が破損しやすくなる。上記金属粒子の含有量の好ましい上限は95重量%である。
上記金属内包炭素粒子は、内部に空隙のない金属内包中実炭素粒子であってもよく、内部に空隙がある金属内包中空炭素粒子であってもよい。
上記金属内包炭素粒子が金属内包中実炭素粒子であると、高強度の電極材料等を得ることができる。
上記金属内包炭素粒子が金属内包中空炭素粒子であると、軽量の炭素材料を得ることができる。また、連続充放電時に金属粒子が体積変化しても、炭素材料が破損しにくいという優れた効果を発揮することもできる。なお、上記金属内包中空炭素粒子において上記金属粒子は、マトリックス部分に含有されていてもよく、空隙部分に含有されていてもよい。
上記金属内包炭素粒子が金属内包中空炭素粒子である場合、金属内包中空炭素粒子の内部に存在する空隙は、単一の孔であっても(以下、「金属内包単孔中空炭素粒子」ともいう。)、独立した複数の孔であっても(以下、「金属内包多孔中空炭素粒子」ともいう。)、互いに繋がった複数の孔(以下、「金属内包連胞中空炭素粒子」ともいう。)であってもよい。
なお、上記金属内包連胞中空炭素粒子には、マトリックス部分の密度が小さくなった結果、分子レベルの大きさの互いに繋がった複数の孔を有するものも含まれる。
上記金属内包単孔中空炭素粒子の構造を説明する模式図を図1に示した。
図1(a)は、金属内包単孔中空炭素粒子において、金属粒子が空隙部分に含有されている例である。金属内包単孔中空炭素粒子1は、炭素からなるマトリックス11と、その内部に形成された単一の孔12とからなる。そして、内部に形成された単一の孔12の内側に、マトリックス11に接触するようにして金属粒子13が含有されている。
図1(b)は、金属内包単孔中空炭素粒子において、金属粒子がマトリックス部分に含有されている例である。金属内包単孔中空炭素粒子1は、炭素からなるマトリックス11と、その内部に形成された単一の孔12とからなる。そして、炭素からなるマトリックス11中に金属粒子13が含有されている。
上記金属内包多孔中空炭素粒子の構造を説明する模式図を図2に示した。
図2(a)は、金属内包多孔中空炭素粒子において、金属粒子が空隙部分に含有されている例である。金属内包多孔中空炭素粒子2は、炭素からなるマトリックス21と、その内部に形成された独立した複数の孔22とからなる。そして、内部に形成された独立した複数の孔22の内側に、炭素からなるマトリックス21に接触するようにして金属粒子23が含有されている。
図2(b)は、金属内包多孔中空炭素粒子において、金属粒子がマトリックス部分に含有されている例である。金属内包多孔中空炭素粒子2は、炭素からなるマトリックス21と、その内部に形成された独立した複数の孔22とからなる。そして、炭素からなるマトリックス21中に金属粒子23が含有されている。
上記金属内包連胞中空炭素粒子の構造を説明する模式図を図3に示した。
図3(a)は、金属内包連胞中空炭素粒子において、金属粒子が空隙部分に含有されている例である。金属内包連胞中空炭素粒子3は、微細なグレイン(炭素からなるマトリックス)31が多数寄せ集まって形成されており、該グレイン31同士の間隙に互いに繋がった複数の孔32が形成されている。そして、互いに繋がった複数の孔32の内側に、微細なグレイン(炭素からなるマトリックス)31に接触するようにして金属粒子33が含有されている。
図3(b)は、金属内包連胞中空炭素粒子において、金属粒子がマトリックス部分に含有されている例である。金属内包連胞中空炭素粒子3は、微細なグレイン(炭素からなるマトリックス)31が多数寄せ集まって形成されており、該グレイン31同士の間隙に互いに繋がった複数の孔32が形成されている。そして、微細なグレイン(炭素からなるマトリックス)31中に金属粒子33が含有されている。
上記金属内包炭素粒子は、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン及びフラーレンからなる群より選択される少なくとも1種の導電助剤を含有することが好ましい。上記導電助剤を含有することにより、本発明の炭素材料の導電性をより向上させることができる。なかでも、上記金属内包炭素粒子が黒鉛を含有する場合には、導電助剤としての役割に加えて、放電容量の増大効果も期待できる。
上記金属内包炭素粒子の粒子径は特に限定されないが、好ましい下限は10nm、好ましい上限は1mmである。上記金属内包炭素粒子の粒子径が10nm未満であると、上記金属内包炭素粒子を製造する際の焼成時に合着が起こり、単粒子化が困難となることがあり、1mmを超えると、電極材料に成形する際に、所望の形状や大きさに成形できないことがある。上記金属内包炭素粒子の粒子径のより好ましい下限は1μm、より好ましい上限は500μmである。
上記金属内包炭素粒子は、粒子径のCV値の好ましい上限が10%である。粒子径のCV値が10%を超えると、得られる炭素材料のロット間のバラツキが大きくなることがある。粒子径のCV値のより好ましい上限は7%である。
上記金属内包炭素粒子は、粒子径分布の異なる2種類以上の金属内包炭素粒子の混合物であってもよい。粒子径分布の異なる2種類以上の金属内包炭素粒子を組み合わせて用いることにより、粒子径の大きな金属内包炭素粒子間の空隙に、粒子径の小さな金属内包炭素粒子が配置され、全体として高充填となることから、本発明の炭素材料の導電性が向上する。
上記金属内包炭素粒子を製造する方法は特に限定されず、金属内包樹脂粒子を調製した後、これを焼成する等の従来公知の方法により製造することができる。
ただし、得られる炭素材料中における上記金属粒子の表面から厚み方向に10nm内側部分における酸素原子の含有量を10重量%以下とするためには、還元焼成を行うことが重要である。
還元焼成とは、上記金属粒子を酸化させている酸素原子を、還元性物質をもって還元しながら反応焼成、又は、反応焼成と炭素化焼成とを行うことを意味し、大気雰囲気下や窒素雰囲気下で行う一般的な焼成(以下、「通常焼成」ともいう。)とは明確に区別されるものである。上記還元焼成では、例えば、窒素体積97%水素体積3%雰囲気下、500〜3000℃の温度にて焼成を行う。
上記金属内包樹脂粒子を焼成して上記金属内包炭素粒子を製造する際、上記還元焼成のみを行ってもよく、通常焼成を行った後に還元焼成を行ってもよい。
本発明の炭素材料は、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン及びフラーレンからなる群より選択される少なくとも1種の導電助剤を更に配合することが好ましい。上記導電助剤を配合することにより、本発明の炭素材料の導電性をより向上させることができる。
上記導電助剤の配合量の好ましい下限は1重量%、好ましい上限は90重量%である。上記導電助剤の配合量が1重量%未満であると、充分な導電性向上効果が得られないことがあり、90重量%を超えると、リチウム吸蔵容量が低下してしまうことがある。
なお、上記導電助剤をある程度以上配合すると、上記金属内包炭素粒子同士を結合させる結着剤の役割を発揮することもできる。上記導電助剤が結着剤の役割を発揮する場合には、後述するバインダー樹脂を用いる必要がなくなり、より高い導電性を発揮することができる。
本発明の炭素材料は、バインダー樹脂を更に配合してもよい。バインダー樹脂は、上記金属内包炭素粒子同士を結合させる結着剤の役割を果たすことから、炭素材料の成形性が向上する。ただし、大量にバインダー樹脂を添加すると、得られる炭素材料の導電性が低下する恐れがある。
上記バインダー樹脂は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素含有樹脂や、スチレンブタジエンゴム等が挙げられる。
本発明の炭素材料を製造する方法は、例えば、上記金属内包炭素粒子、導電助剤、バインダー樹脂を混合して混合物を得た後、成型する方法等が挙げられる。
上記混合物は、容易に成型できるように、有機溶剤を含有してもよい。
上記有機溶剤は、上記バインダー樹脂を溶解可能であれば特に限定されず、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
本発明の炭素材料は、上記金属粒子を含有する。上記金属粒子の表面の酸素原子の含有量が一定以下であることから、これをリチウムイオン二次電池負極材料に用いれば、理論値に近い、高いリチウム吸蔵放出容量を発揮できる。
本発明の炭素材料は、電極材料、特にリチウムイオン二次電池負極材料に好適に用いることができる。また、電気二重層キャパシタ用電極材料、コンデンサ用電極材料にも好適に用いることができる。
本発明によれば、リチウムイオン二次電池負極材料として好適であり、高いリチウム吸蔵放出容量を発揮できる炭素材料を提供することができる。
金属内包単孔中空炭素粒子の構造を説明する模式図である。 金属内包多孔中空炭素粒子の構造を説明する模式図である。 金属内包連胞中空炭素粒子の構造を説明する模式図である。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
(1)金属内包連胞中空炭素粒子の調製
油相成分として、モノマーであるジビニルベンゼン100重量部と、中空剤であるノルマルヘプタン100重量部、金属粒子であるシリコン粒子(アルドリッチ社製、シリコンナノパウダー、平均粒子径50nm)5重量部、ポリビニルピロリドン5重量部を混合し、超音波分散した後、更に重合開始剤として有機過酸化物を添加し、モノマー混合物を調製した。一方、水相成分として、純水500重量部、分散剤としてポリビニルアルコール5重量部を混合した。
得られた油相成分と水相成分とを混合し、ホモジナイザーで撹拌分散して懸濁液を調製した。得られた懸濁液を窒素還流下に、80℃で12時間、撹拌、保持し、粒子を重合した。得られた粒子を、洗浄し、粒径に従って分級した後、乾燥して、金属内包連胞中空樹脂粒子を得た。
得られた金属内包連胞中空樹脂粒子を、大気雰囲気下、300℃で3時間熱処理した後、窒素雰囲気下、1000℃で3時間焼成した。その後、更に、窒素体積97%水素体積3%雰囲気下、600℃で6時間還元焼成して、金属内包連胞中空炭素粒子を得た。
得られた金属内包連胞中空炭素粒子について電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社製、S−4300SE/N)を用いて任意の粒子100個について観測することにより平均粒子径及び粒子径のCV値を求めたところ、平均粒子径は20μm、粒子径のCV値は5%であった。
(2)炭素材料の製造
得られた金属内包連胞中空炭素粒子100重量部に対して、導電助剤としてカーボンブラック(三菱化学社製、♯3230B)10重量部、バインダー樹脂としてポリフッ化ビニリデン10重量部、有機溶剤としてN−メチルピロリドンを混合して混合液を調製した。
得られた混合液を、厚さ18μmのCu箔の片面に塗布し、乾燥した後、プレスロールで加圧成形して負極シートを得た。得られた負極シートを直径14mmの大きさに打抜き、炭素材料を作製した。
(3)リチウムイオン二次電池の作製
得られた炭素材料をリチウムイオン二次電池負極材料として用いコイン型モデルセルを作製した。
即ち、リチウムイオン二次電池負極材料と直径16mmの対極リチウム金属とをセパレータを介して積層した。セパレータに電解液を含浸した後、これらを上部缶と下部缶によりガスケットを介してかしめ付けた。上部缶と下部缶には、負極及び対極リチウムがそれぞれ接触して導通がとられるようにした。
なお、セパレータとしては、厚さ25μm、直径24mmのポリエチレン製微孔膜を用い、電解液としては、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの体積比1:2の混合溶媒に、電解質としてLiPFを濃度1mol/Lとなるように溶解した溶液を用いた。
(実施例2)
油相成分における、金属粒子であるシリコン粒子(アルドリッチ社製シリコンナノパウダー)の配合量を10重量部、ポリビニルピロリドンの配合量を10重量部に変更し、かつ、黒鉛(SECカーボン社製、SNO−3)10重量部と、顔料分散剤1重量部とを追加した以外は実施例1と同様の方法により金属内包連胞中空炭素粒子を調製し、炭素材料、リチウムイオン二次電池を作製した。
得られた金属内包連胞中空炭素粒子は、平均粒子径が20μm、粒子径のCV値が5%であった。
(実施例3)
焼成方法を、大気雰囲気下、300℃で3時間熱処理した後、更に、窒素体積97%水素体積3%雰囲気下、1000℃で3時間還元焼成することとした以外は実施例2と同様の方法により、金属内包連胞中空炭素粒子を調製し、炭素材料、リチウムイオン二次電池を作製した。
得られた金属内包連胞中空炭素粒子は、平均粒子径が20μm、粒子径のCV値が5%であった。
(実施例4)
油相成分における、金属粒子であるシリコン粒子(アルドリッチ社製シリコンナノパウダー)の配合量を20重量部、ポリビニルピロリドンの配合量を20重量部に変更した以外は実施例1と同様の方法により金属内包連胞中空炭素粒子を調製し、炭素材料、リチウムイオン二次電池を作製した。
得られた金属内包連胞中空炭素粒子は、平均粒子径が20μm、粒子径のCV値が5%であった。
(実施例5)
ステンレス製容器(容積80mL)にステンレス製ボール(直径10mm)を投入し、ポリアクリル酸ブチル10重量部、ポリスチレン90重量部、シリコン粒子(アルドリッチ社製シリコンナノパウダー)10重量部、黒鉛粒子80重量部、を投入し、アルゴンガスでパージ後、密閉し、遊星型ボールミル(P−6、ドイツフリッチュ社製)で400min−1で10時間メカニカルアロイング処理後、粉砕、分級を行い金属内包樹脂粒子を得た。
得られた金属内包樹脂粒子を、窒素体積97%水素体積3%雰囲気下、370℃で2時間還元焼成して、金属内包炭素粒子を得た。
得られた金属内包炭素粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして炭素材料、リチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例6)
油相成分として、モノマーであるアクリル酸ブチル10重量部とポリスチレン90重量部、シリコン粒子(アルドリッチ社製シリコンナノパウダー)10重量部、黒鉛粒子80重量部、ポリビニルピロリドン5重量部を混合し、超音波分散した後、さらに重合開始剤として有機過酸化物を添加し混合液を調製した。一方、水相成分として、純水500重量部、分散剤としてポリビニルアルコール5重量部を混合した。
得られた油相成分と水相成分とを混合し、ホモジナイザーで攪拌分散して懸濁液を調製した。得られた懸濁液を窒素還流下、80℃で12時間、攪拌保持し、粒子を重合した。得られた粒子を洗浄し、粒径に従って分級した後、乾燥して金属内包樹脂粒子を得た。
得られた金属内包樹脂粒子を、窒素体積97%水素体積3%雰囲気下、370℃で2時間還元焼成して、金属内包炭素粒子を得た。
得られた金属内包炭素粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして炭素材料、リチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例7)
コールタールピッチ50重量部、シリコン粒子(アルドリッチ社製シリコンナノパウダー)10重量部、高分子量ポリエステル酸塩10重量部、黒鉛粒子40重量部、メチルナフタレン40重量部を、二軸加熱ニーダーを用いて100℃で1時間混合した後、200℃でメチルナフタレンを蒸発させた。次に、これを、窒素雰囲気下、1000℃で3時間焼成した後、解砕し、粒子を得た。得られた粒子を、更に、窒素体積97%水素体積3%雰囲気下、600℃で6時間還元焼成して、金属内包炭素粒子を得た。
得られた金属内包炭素粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして炭素材料、リチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例8)
コールタールピッチ50重量部、シリコン粒子(アルドリッチ社製シリコンナノパウダー)10重量部、高分子量ポリエステル酸塩10重量部、黒鉛粒子40重量部、メチルナフタレン40重量部を、二軸加熱ニーダーを用いて100℃で1時間混合した後、200℃でメチルナフタレンを蒸発させた。次に、窒素体積97%水素体積3%雰囲気下、1000℃で3時間還元焼成した後、解砕し、金属内包炭素粒子を得た。
得られた金属内包炭素粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして炭素材料、リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例1)
焼成方法を、大気雰囲気下、300℃で3時間熱処理した後、更に、窒素雰囲気下、1000℃で3時間焼成することとした以外は実施例1と同様の方法により、金属内包連胞中空炭素粒子を調製し、炭素材料、リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例2)
焼成方法を、大気雰囲気下、300℃で3時間熱処理した後、更に、窒素雰囲気下、1000℃で3時間焼成することとした以外は実施例2と同様の方法により、金属内包連胞中空炭素粒子を調製し、炭素材料、リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例3)
焼成方法を、大気雰囲気下、300℃で3時間熱処理した後、更に、窒素雰囲気下、1000℃で3時間焼成することとした以外は実施例4と同様の方法により、金属内包連胞中空炭素粒子を調製し、炭素材料、リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例4)
焼成方法を、窒素雰囲気下、300℃で2時間熱処理して焼成することとした以外は実施例5と同様の方法により、金属内包炭素粒子を調製し、炭素材料、リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例5)
焼成方法を、窒素雰囲気下、370℃で2時間熱処理して焼成することとした以外は実施例6と同様の方法により、金属内包炭素粒子を調製し、炭素材料、リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例6)
還元焼成を行わなかった以外は実施例7と同様の方法により、金属内包炭素粒子を調製し、炭素材料、リチウムイオン二次電池を作製した。
(評価)
実施例及び比較例で得られた金属内包炭素粒子、炭素材料及びリチウムイオン二次電池について、下記のように評価を行った。
結果を表1及び表2に示した。
(1)金属粒子表面の酸素原子の含有量の測定
得られた金属内包炭素粒子をエポキシ樹脂で包埋し、カーボンを蒸着した後、集束イオンビーム(FIB)により切削してサンプルを調製し、該サンプル中の上記金属粒子の断面について電界放出型分析透過電子顕微鏡(FE−TEM/EDS)を用いた元素分析により金属粒子の表面から厚み方向に10nm内側部分における酸素原子の含有量を測定した。
(2)初期放電容量、初期充放電効率
得られたリチウムイオン二次電池を、電圧、電流を0とした状態で8時間放置した。放置後、まず0.2Cに相当する電流で0.002Vまで電圧が降下した後、3時間保持し、充電した。次いで、10分間休止した後、電流0.2Cで電圧が1.2Vになるまで放電した。この充電と放電とのサイクル(第1サイクル)における通電量から初期放電容量を求めた。また、下記式から初期充放電効率を計算した。なお、この試験では、リチウムを炭素材料へ吸蔵する過程を充電、離脱する過程を放電とした。
初期充放電効率(%)=(第1サイクルの放電容量/第1サイクルの充電容量)×100
(3)10サイクル目の容量維持率
更に10分間の休止を挟みながら充電と放電とのサイクルを10回繰り返し、下記式を用いて10サイクル目の容量維持率(%)を計算した。
10サイクル目の容量維持率(%)=(第10サイクルにおける放電容量
/第1サイクルにおける放電容量)×100
Figure 2011048992
Figure 2011048992
本発明によれば、リチウムイオン二次電池負極材料として好適であり、高いリチウム吸蔵放出容量を発揮できる炭素材料を提供することができる。
1 金属内包単孔中空炭素粒子
11 炭素からなるマトリックス
12 単一の孔
13 リチウムと合金を形成する金属からなる金属粒子
2 金属内包多孔中空炭素粒子
21 炭素からなるマトリックス
22 独立した複数の孔
23 リチウムと合金を形成する金属からなる金属粒子
3 金属内包連胞中空炭素粒子
31 微細なグレイン(炭素からなるマトリックス)
32 互いに繋がった複数の孔
33 リチウムと合金を形成する金属からなる金属粒子

Claims (8)

  1. リチウムと合金を形成する金属からなる金属粒子を含有する金属内包炭素粒子を含有する炭素材料であって、
    前記リチウムと合金を形成する金属からなる金属粒子は、表面から厚み方向に10nm内側部分における酸素原子の含有量が10重量%以下である
    ことを特徴とする炭素材料。
  2. 金属内包炭素粒子は、リチウムと合金を形成する金属からなる金属粒子の含有量が1〜95重量%であることを特徴とする請求項1記載の炭素材料。
  3. リチウムと合金を形成する金属は、ケイ素であることを特徴とする請求項1又は2記載の炭素材料。
  4. 金属内包炭素粒子は、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン及びフラーレンからなる群より選択される少なくとも1種の導電助剤を含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の炭素材料。
  5. バインダー樹脂を更に配合することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の炭素材料。
  6. 黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン及びフラーレンからなる群より選択される少なくとも1種の導電助剤を更に配合することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の炭素材料。
  7. 請求項1、2、3、4、5又は6記載の炭素材料を用いてなる電極材料。
  8. 請求項1、2、3、4、5又は6記載の炭素材料を用いてなるリチウムイオン二次電池負極材料。
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