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JP2011042561A - 酸化ガリウム粉末の製造方法 - Google Patents

酸化ガリウム粉末の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】凝集がなく分散性のよい酸化ガリウム粉末を簡便に製造する方法を提供する。
【解決手段】凝集粒を含むオキシ水酸化ガリウムの凝集粒を樹脂製部材を用いて解砕した後、該解砕後のオキシ水酸化ガリウムを焼成して酸化ガリウム粉末を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸化ガリウム粉末の製造方法に係り、更に詳細には、凝集がなく分散性のよい酸化ガリウム粉末を簡便に製造する方法に関する。
現在、可視光領域に透明性を示し、また導電性を有する透明導電性薄膜としてITO(Indium Tin Oxide)がフラットパネルディスプレイや太陽電池の電極として広く用いられている。しかしながら近年、原料となるインジウムの価格高騰や供給不安などからITO代替材料の要求が高まっている。ITOの代替としては、酸化亜鉛や酸化スズなどを用いた材料が提案されているが、酸化ガリウムもその一つである。
酸化ガリウムは可視光領域及び250nm程度までの紫外光を透過することが知られている。この性質はITOや、酸化亜鉛、酸化スズ系の透明導電材料にはないものであるため、紫外光を用いたデバイス等への利用も期待されている。また、酸化ガリウム薄膜は高温で動作する酸素センサーとしての利用や、炎感知機としての利用等も提案されている。
これらの酸化ガリウム薄膜を作製するために、スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法、イオンプレーティング法、蒸着法などが用いられるが、この中でも、スパッタリング法は量産が容易との観点より多用されている。スパッタリング法とは、金属やセラミックで構成されたターゲットにプラズマをかけることによりターゲット構成元素を弾き飛ばし、ターゲットの対面に設置された基板上に堆積させることにより薄膜を製造する手法である。
酸化物薄膜をスパッタリング法にて製造する場合、酸化物を構成する金属をターゲットに用い、酸素プラズマによりスパッタリングを行うことにより金属元素を酸素と反応させて酸化物薄膜を得る方法と、目的酸化物で構成されたターゲットを用いて薄膜を得る方法がある。しかしながら金属ガリウムの場合、金属ガリウムの融点が29℃と低く、常温で容易に液化するため、特別にターゲットを強力に冷却する機構を備えた装置でしか用いることができず、一般的ではない。したがって、酸化ガリウムで構成されたターゲットを用いることが一般的である。
酸化ガリウムからなるターゲットを製造する場合、一般的に原料となる酸化ガリウム粉末をプレス等により成型した後、加熱処理により焼結させて酸化物焼結体を得、その酸化ガリウム焼結体を銅などの金属板(バッキング材という)にインジウム等を半田材として用いてボンディングする方法が知られている。
従来、焼結体の原料となる酸化ガリウム粉末としては、ガリウムを含有する酸性水溶液と塩基性溶液を混合し、混合溶液のpHを調整して水酸化ガリウムを生成させ、ついで生成した水酸化ガリウムを該溶液中で加熱保持してオキシ水酸化ガリウムとし、これを濾別、水洗し、乾燥、焼成して酸化ガリウム粉末を製造していた(例えば特許文献1参照)が、オキシ水酸化ガリウムの焼成時に凝集粒が生じ、このまま焼結体用原料として用いる場合には高焼結密度を有する焼結体を得ることができない等、好ましくないため、該方法で得られた酸化ガリウム粉末は、焼成後にボールミル等を用いて凝集粒を解砕、篩別して、焼結体用原料に供しているが、該凝集粒を含む酸化ガリウム粉末の解砕、篩別は作業が煩雑でコスト高になると供に、不純物混入の原因になる等の問題点を有している。
特開2009−29694号公報
本発明は前記問題点を解決したものであり、オキシ水酸化ガリウムの焼成後に実質的に酸化ガリウム粉末の解砕や篩別をせずとも実質的に凝集粒のない酸化ガリウム粉末の製造方法を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記問題点を解決すべく種々検討した結果、ガリウムを含有する酸性水溶液(以下、ガリウム塩水溶液と称する場合がある。)と塩基性溶液を混合し、水酸化ガリウムを生成させ、これを熟成してオキシ水酸化物とし、次いで得られたオキシ水酸化物を、濾過、洗浄、乾燥、焼成する酸化ガリウムの製造において、乾燥後でかつ焼成前のオキシ水酸化ガリウムに含有される凝集粒を解砕処理した後、焼成する場合には、実質的に凝集粒のない酸化ガリウム粉末が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、凝集粒を含むオキシ水酸化ガリウムを焼成して酸化ガリウム粉末を製造するにおいて、オキシ水酸化ガリウムの凝集粒を解砕した後、該解砕後のオキシ水酸化ガリウムを焼成することを特徴とする酸化ガリウム粉末の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記製造方法において、凝集粒を含むオキシ水酸化ガリウムが、ガリウムを含有する酸性水溶液と塩基性溶液を混合して得られた水酸化ガリウムを、80℃以上の温度で1時間以上加熱保持して得たオキシ水酸化ガリウムであることを特徴とする酸化ガリウム粉末の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記製造方法において、凝集粒を含むオキシ水酸化ガリウムの解砕方法が、目開きが40μm以上400μm以下の篩上で凝集粒を押圧して解砕することを特徴と酸化ガリウム粉末の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記製造方法において、解砕時、オキシ水酸化ガリウムに接触する解砕部材が樹脂製であることを特徴とする酸化ガリウム粉末の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記製造方法において、篩上で凝集粒を押圧して解砕する部材が樹脂製ブラシであり、篩を構成する網が樹脂製であることを特徴とする酸化ガリウム粉末の製造方法を提供するものである。
本発明により、凝集がなく分散性のよい酸化ガリウム粉末を簡便に製造することができ、また、解砕部材として樹脂製部材用いる場合には、先の効果に加え純度低下のない酸化ガリウム粉末を簡便に製造することができる。
以下、本発明を更に詳細に説明するが、下記方法は一実施態様であり、本発明の要旨を外れない限り、本発明は以下の記載により制限を受けるものではない。
先ず、本発明に適用される凝集粒を有するオキシ水酸化ガリウムは、通常特許文献1に記載の公知の方法により得ることができる。すなわち、原料であるガリウムを含有する酸性水溶液と、塩基性溶液を混合し、pHを8〜10の範囲に調整して水酸化ガリウムを生成させる。得られた水酸化ガリウムを80℃以上の温度で1時間以上保持し、水酸化ガリウムをオキシ水酸化ガリウムに転移させ、濾別、水洗後、乾燥させた後、焼成することにより酸化ガリウム粉末を得る。
本発明に使用するガリウムを含有する酸性水溶液としては特に限定されるものではないが、不純物の混入防止の観点よりできるだけ高純度のガリウム含有酸性水溶液を使用することが好ましい。製造に際しては、不純物含量の少ない原料を用いることがよく、より具体的には純度99.99%から純度99.9999%の金属ガリウムと電子工業用純度の鉱酸の使用が推奨される。鉱酸としては硝酸、硫酸、塩酸などが挙げられるが、酸化ガリウム製造時の残存不純物イオンを考慮した場合、硝酸を用いることが推奨される。
使用するガリウム塩水溶液の濃度についても特に限定はされないが、通常、0.1〜4mol/l、より好ましくは0.1〜3.5mol/lの濃度のものが使用される。使用するガリウム塩の濃度が低い場合、容積効率が悪くなるとともに、得られる水酸化ガリウムの粒子径も小さくなり濾過性が悪化する。一方、使用するガリウム塩水溶液の濃度が高い場合はガリウム塩水溶液からガリウム塩が固体として析出することがあり、操作性が悪く、塩基性水溶液との反応に長時間を要するおそれがある。
ガリウム塩として硝酸ガリウムを用い、これを濃度1.5mol/l以下、好ましくは
0.5〜1.2mol/lで用いる場合には、工業的濾過特性を満足し、かつ90%累積粒径(体積基準)が10μm以下、普通には3μm〜8μmの高純度で微粒子の酸化ガリウム粉末を得ることが可能である。
本発明において使用する塩基性水溶液は、特に限定されないが、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などの無機系塩基性水溶液、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液、トリエチルアミン水溶液、尿素など有機系塩基性水溶液が挙げられる。就中、残留不純物が少ない点からアンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウムなどの無機系塩基性水溶液、さらには金属イオンも含まないアンモニア水の使用が推奨される。
塩基性水溶液の濃度についても特に限定はされないが、通常、約5〜約20重量%の濃度の範囲のものが使用される。塩基性水溶液の濃度が低い場合は、容積効率が悪く、得られる水酸化ガリウムの粒子径が小さくなり、濾過性が悪化する。
ガリウム塩水溶液と塩基性水溶液の混合方法は特に限定されるものではなく、塩基性水溶液にガリウム塩水溶液を添加混合しても、ガリウム塩水溶液に塩基性水溶液を添加混合してもよい。また、これらを同時に添加混合してもよいが、混合することにより得られる水酸化ガリウムの液性はpH8〜10の範囲で調整することを必須とする。pHが8より低い場合は、生成した水酸化ガリウムを加熱熟成しても粒子成長が小さく、結果として優れた濾過性が得られない。他方pHが10を超える場合には析出した水酸化ガリウムが再溶解し、収率が悪化する。
上記方法により生成した水酸化ガリウムは、次いで約80℃以上、通常、約80〜約95℃、約1時間以上、通常、約2時間〜約10時間、pH8〜10の範囲で加熱処理する。かかる処理により、水酸化ガリウムは実質的にオキシ水酸化ガリウムに転移し、オキシ水酸化ガリウムは水溶液中で迅速に沈降する。加熱温度、時間が不足すると、濾過性が低下する。ガリウム塩水溶液と塩基性水溶液の混合による水酸化ガリウムの生成と、これを加熱処理しオキシ水酸化ガリウムを生成する工程は、通常同一容器を用い連続で実施するが、必要に応じて夫々の工程を個別の容器で実施してもよい。
本発明においては、加熱処理により生成したオキシ水酸化ガリウムは、速やかに沈降し反応残液と固液分離するので、加熱処理後、オキシ水酸化ガリウムは濾過、洗浄し、オキシ水酸化ガリウムを得ることができる。濾過、洗浄方法はオキシ水酸化ガリウムに付着した金属イオンを除去し得る方法であれば特に制限されるものではないが、通常、オキシ水酸化ガリウムが沈降した後の上澄み液を容器より排出し、代わりに純水を加え、攪拌し、攪拌後の洗浄水を容器外に排出、必要に応じ更に純水を加え攪拌し、攪拌後の洗浄水を容器外に排出してオキシ水酸化ガリウムに付着した金属イオンを除去する。洗浄回数は所望とする純度により適宜選択すればよい。また、金属イオンと錯体を形成して不純物としての金属イオンを除去することが可能なシュウ酸やエチレンジアミンなどのキレート試薬を洗浄水に添加し使用することも可能である。
このようにして得られたオキシ水酸化ガリウムは、次いで乾燥に供する。乾燥は乾燥するオキシ水酸化ガリウムの量、オキシ水酸化ガリウムに含有される水分量により一義的ではないが、通常100〜200℃で1〜20時間実施すればよい。
乾燥設備としては公知のものであればよいが、通常、自然対流式乾燥器、送風循環式乾燥器、真空乾燥器等が使用される。
このようにして得られた乾燥後のオキシ水酸化ガリウムにはゆるく凝集したオキシ水酸化ガリウムの凝集体が混じっており、これをそのまま焼成し酸化ガリウム粉末となす場合には、焼成時に該凝集体部分が強固に凝集、凝結した塊状物を生成する。それ故これを焼結体用原料として適用する場合には、焼成後にボールミル等で解砕、篩別して、塊状物を除去しなければならないが、凝集粒を有するオキシ水酸化ガリウムを予め解砕処理し、焼成する場合には、焼成後の酸化ガリウム粉末の解砕処理に比較し、極めて容易に、解砕物であるオキシ水酸化ガリウムを汚染することなく、かつ歩留まりの低下を招くことなく、焼成後に実質的に凝集粒のない酸化ガリウム粉末を得ることができることを本発明者等は見出した。
上記製法において生成するオキシ水酸化ガリウムの凝集粒はゆるく凝集したもので、凝集粒を手で押圧する程度で、容易に解砕することができる。それゆえ、解砕法としては、特に制限されないが、目開きが40μm以上400μm以下、好ましくは70μm〜150μmの篩上で凝集粒を押圧し、篩目を通過させることにより解砕する方法が挙げられる。該目開きの篩を用いる場合には、実質的に凝集粒が解砕されたオキシ水酸化ガリウムを得ることができる。
解砕に際しては、解砕時、オキシ水酸化ガリウムに接触する解砕部材が樹脂製であることが好ましく、例えば、篩上で凝集粒を押圧して解砕する部材が樹脂性ブラシであり、篩を構成する網も樹脂製であることがより好ましい。また、押圧部材として板等のオキシ水酸化ガリウムの焼成時に消失して何ら不純物とはならない木製部材であってもよい。
樹脂としては篩として充分な強度を有し、また篩操作時にその成分がオキシ水酸化ガリウム中に混入しても、その後の加熱処理時(焼成時)に消失等により取り除くことができるものならば、いかなるものを用いても構わない。一般的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、フッ素樹脂などを用いることができる。
解砕処理後のオキシ水酸化ガリウムは次いで焼成し酸化ガリウムとする。焼成方法や焼成条件は特に制限されるものではなく、得られる酸化ガリウムの使用目的にもよるが、通常、焼成温度約600〜約1500℃、時間は約1〜約10時間、焼成炉としては発熱体を用いた電気炉、発熱体を用いたマッフル炉、マイクロ波を用いた電気炉、高周波誘導加熱型電気炉等が使用される。焼成時に不純物の混入がないようオキシ水酸化ガリウムを高純度アルミナ製のトレー等に入れ焼成に供する、更には窒素等の不活性ガスを導入、導出しつつ焼成を実施すること等は、必要に応じ選択実施すればよい。
このようにして得られた酸化ガリウム粉末は実質的に凝集粒がなく、従来法の如く焼成後に得られた酸化ガリウム粉末をボールミル等の粉砕機で粉砕する必要はなく、このためボールミル等の粉砕媒体や粉砕機壁からの不純物の混入がないとのメリットを有する。
尚、本発明の実施に際し、ガリウムを含有する酸性水溶液と塩基性溶液を添加混合し水酸化ガリウムを得る工程、およびこの反応により得られたを水酸化ガリウムをpH8〜10の範囲で、80℃以上の温度で1時間以上保持し、水酸化ガリウムをオキシ水酸化ガリウムとなす熱処理工程において、熱処理に供する水酸化ガリウムと接触する部位にフッ素含有樹脂を用いる、更には該熱処理工程で攪拌棒や攪拌翼等の攪拌治具を用いる場合には、かかる攪拌治具をもフッ素含有樹脂製品を用いることが推奨される。かかる場合には、Si≦5ppm、Na≦2ppm、K≦2ppm、Ca≦1ppm、Fe≦0.2ppm、Mg≦0.1ppm、Zn≦0.5ppm、Al≦1ppmと極めて不純物の少ない高純度を有する酸化ガリウム粉末が得られる。また、酸性ガリウム塩水溶液として硝酸ガリウムを特定濃度で使用することにより、90%累積粒径(体積基準)が10μm以下の焼結特性等に優れた微粒で高純度を有する酸化ガリウム粉末を得ることが出来る。
このようにして得られた酸化ガリウム粉末は、更なる粉砕工程を加えることなくターゲット用焼結体の原料として一軸プレスやCIP(Cold Isostatic Press)により所望とする形状に成型した後、1200℃から1500℃程度で加熱処理を加えて焼結させる、或いはホットプレスにより成型と焼結を同時に行い酸化ガリウム焼結体を得ることができる。得られた酸化ガリウム焼結体は、インジウム等を半田として用い、銅などの金属板上にボンディングすることで、酸化ガリウムスパッタリングターゲットとして適用することができる。
以下、本発明を実施例で更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、実施例および比較例において示すオキシ水酸化ガリウム、及び酸化ガリウムの不純物濃度は酸化ガリウム、オキシ水酸化ガリウムを混酸で溶解し、標準試料添加による誘導結合プラズマ発光分析法(ICP発光分光分析法----使用機器:セイコー製SPS3000)により定量した。また水酸化ガリウムの液性はpHメーター(HORIBA pHメーターD−52)を用いて測定した。また、焼結体の密度は、ペレット形の焼結体の直径、および厚みをノギスを用いて測定し、その値から焼結体の体積を算出し、また焼結体の重量を電子天秤により測定し、密度を求めた。相対密度は、酸化ガリウムの密度である5.95g/cm3を理論密度とし、焼結体の密度を除することにより求めた。
[実施例1]
1000mlのガラス製3つ口フラスコに、アルゴン気流下、純度99.9999%の金属ガリウム133.0gと電子工業用の69%濃硝酸772.3mlを投入し、4日間攪拌しながら溶解させた。次いでこのガラス製3つ口フラスコを95℃の湯浴で加熱することにより3.30mol/lの硝酸ガリウム水溶液600mlを得た。
次いで、1000mlのガラス製三角フラスコに電子工業用の28%アンモニア水480mlと純水240mlを加え、18%アンモニア水720mlを調整した。
このようにして調整して得た硝酸ガリウム水溶液270mlとアンモニア水560mlおよび純水870mLを2000mlのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製フラスコに供給し、室温下、PTFE製の攪拌棒、攪拌羽根を用い120r.p.m.で30分間攪拌し、pHが9.3の水酸化ガリウム懸濁液1700mlを得た。次いで、得られた懸濁液を95℃の湯浴で加熱攪拌を5時間行ない、オキシ水酸化ガリウムの懸濁液を得た。この懸濁液を静置し、オキシ水酸化ガリウムを沈殿させた後、上澄み液を除去し、ついでオキシ水酸化ガリウムに純水900mLを添加し、攪拌洗浄後、洗浄水を排出した。純水900mlによる洗浄操作を4回行なった。4回目の洗浄後、オキシ水酸化ガリウムを懸濁する洗浄水全量を直径150mmの桐山ロート(桐山濾紙No.6)を用いて、吸引濾過した。次いで、吸引濾過後のオキシ水酸化ガリウム全量を140℃で15時間乾燥し、オキシ水酸化ガリウム83.6gを得た。得られたオキシ水酸化ガリウムの純度を表1に示す。尚表1中の不純物濃度の単位はwtppmである。
上記方法で得られたオキシ水酸化ガリウム83.6gをポリエチレン製、目開き112μmの篩に載せ、ナイロン製ブラシで擦りながら篩い分けを行うことにより得られた篩下の粉末を純度99.9%以上の高純度アルミナ製ルツボに入れ、800℃で4時間焼成し、酸化ガリウム粉末73.4gを得た。得られた酸化ガリウム粉末中に含まれる凝集体の量を調査するために、該粉末を目開き90μmの篩に載せて篩い分けを行い、篩上の残量を調べたところ、篩上に残った重量は原料重量の0%であった。またICP発光分析法により分析した、粉末中に含まれる金属不純物濃度の結果を表1に示すが、すべての項目で検出限界以下であった。
Figure 2011042561
得られた酸化ガリウム粉末7グラムを、さらに粉砕等の処理を加えることなく、直径30mmの金型を用いた一軸プレス機を用いて721kgf/cmの圧力によりペレット形の成型体を作製し、次に1400℃、10時間加熱処理を加えることにより、直径23.41ミリメートル、厚さ2.79ミリメートル、重量6.78グラムの焼結体を作製した。得られた焼結体は割れや欠けを含んでおらず、その焼結体の相対密度は94.9%であった。
[実施例2]
実施例1と同一方法で得られた凝集体を含むオキシ水酸化ガリウムを、ステンレス製、目開き90μmの篩に載せ、ナイロン製ブラシで擦りながら凝集体を解砕した。得られた篩下の粉末を実施例1と同じ方法、条件で焼成を行い酸化ガリウム粉末を得た。得られた酸化ガリウム粉末中に含まれる凝集体の量を調査するために、該粉末を目開き90μmの篩に載せて篩い分けを行い、篩上の残量を調べたところ、篩上に残った重量は原料重量の0%であった。またICP発光分析法により分析した酸化ガリウム粉末中に含まれる金属不純物濃度の結果を表2に示す。
Figure 2011042561
[比較例1]
実施例1と同一の方法において得られた凝集体を含むオキシ水酸化ガリウムを樹脂性篩とブラシで解砕処理することなく、実施例1と同じ方法、条件で焼成を行い酸化ガリウム粉末を得た。得られた酸化ガリウム粉末に含まれる凝集粒を測定する目的で目開き90μmの篩に載せて篩い分けを行い、篩上の残量を調べたところ、篩上残量は13.1%であった。
焼成により作製した凝集体を含む酸化ガリウム粉末を、ボールミルにより粉砕を行った。ボールミルは、容積250ミリリットルのポリプロピレン製容器に粉末を20グラム、直径2ミリメートルのジルコニアボールを400グラム、エタノールを25グラム入れ、128r.p.m.の回転速度で8時間行った。得られた酸化ガリウム粉末に含まれる凝集粒を測定する目的で目開き90μmの篩に載せて篩い分けを行い、篩上の残量を調べたところ、篩上残量は0%であった。またICP発光分析法により分析した酸化ガリウム粉末中に含まれる金属不純物濃度の結果を表3に示すが、特にZrが不純物として多量に存在した。
Figure 2011042561
ボールミルにより粉砕した酸化ガリウム粉末7グラムを、直径30mmの金型を用いた一軸プレス機を用いて721kgf/cmの圧力によりペレット形の成型体を作製し、次に1400℃、10時間加熱処理を加えることにより、直径22.06ミリメートル、厚さ3.25ミリメートル、重量6.95グラムの焼結体を作製した。得られた焼結体の相対密度は94.0%であった。

Claims (5)

  1. 凝集粒を含むオキシ水酸化ガリウムを焼成して酸化ガリウム粉末を製造するにおいて、オキシ水酸化ガリウムの凝集粒を解砕した後、該解砕後のオキシ水酸化ガリウムを焼成することを特徴とする酸化ガリウム粉末の製造方法。
  2. 凝集粒を含むオキシ水酸化ガリウムが、ガリウムを含有する酸性水溶液と塩基性溶液を混合して得られた水酸化ガリウムを、80℃以上の温度で1時間以上加熱保持して得たオキシ水酸化ガリウムであることを特徴とする請求項1記載の酸化ガリウム粉末の製造方法。
  3. 凝集粒を含むオキシ水酸化ガリウムの解砕方法が、目開きが40μm以上400μm以下の篩上で凝集粒を押圧して解砕することを特徴とする請求項1または2記載の酸化ガリウム粉末の製造方法。
  4. 解砕時、オキシ水酸化ガリウムに接触する解砕部材が樹脂製であることを特徴とする請求項1〜3いずれかの酸化ガリウム粉末の製造方法。
  5. 篩上で凝集粒を押圧して解砕する部材が樹脂製ブラシであり、篩を構成する網が樹脂製であることを特徴とする請求項1〜4いずれかの酸化ガリウム粉末の製造方法。
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