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JP2010534749A - オレフィンモノマー類の重合用触媒系、ポリマー類の製造法及び当該方法により製造したポリマー類 - Google Patents

オレフィンモノマー類の重合用触媒系、ポリマー類の製造法及び当該方法により製造したポリマー類 Download PDF

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Abstract

本発明はナノファイバーを含む新規な触媒担体、当該担体を含む触媒系、並びにナノコンポジットの製造法及び製造したナノコンポジットに関する。本発明は、特に、ファイバー又はファイバーフリースからなる担体を含む、オレフィン類の重合用担持触媒系であって、ここで。平均ファイバー直径が1000nm未満、好ましくは、500nm未満であり、平均ファイバー長さが200,000nmを超え、好ましくは、500,000nmを超え、そして、特に1,000,000nmを超える、並びに、これらの触媒系の存在下でオレフィン系を重合する方法及び得られるナノコンポジットに関する。

Description

本発明はナノファイバーを含む新規な触媒担体、当該担体を含む触媒系、並びにナノコンポジットの製造法及び製造したナノコンポジットに関する。
新規なポリマー物質についての要求が増加している。ポリオレフィンのコストを減少させるかポリオレフィンの特性を変えるために、異なる充填剤がポリオレフィンマトリックス中に導入されている。一例は米国特許第4,431,788号明細書であり、少なくとも1種のオレフィンを重合させることによりスターチ/ポリオレフィンコンポジットを製造する方法を開示する。ハロゲンを含有しない触媒を使用し、先ずスターチをアルキルアルミニウムで処理し、続いて、メタロセンで処理することにより製造する。
その数年後、ナノコンポジットが開発され、当該コンポジットは、軟質ポリマーマトリックス及びナノサイズの硬質充填材料を含み、非常に強力な材料をもたらした。しかし、これらのナノコンポジットの一般的問題は、ナノ充填剤のポリマーマトリックス中の分布である。ナノ充填剤は、高い表面エネルギーのため、凝集状態を維持する傾向にあるからである。
したがって、Wiemann等は、Macromol. Chem. Phys.2005,206、1472〜1478で、重合前に超音波によりカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーを前処理することを示唆する。彼らは、メタロセン/MAO触媒を用いるプロピレンの現場重合により異種のポリプロピレンナノコンポジットの製造を開示する。この方法はポリマーマトリックス中のナノ充填剤の分布性を増すが、さらに改良した分布に対する要求が依然としてある。
したがって、本発明の目的は、ポリマーマトリックス中で充填剤の改良した分布を示す新規なナノコンポジットを提供することにある。
分布の悪いことの問題は、オレフィンモノマー類の重合用助触媒を担持させた、ナノファイバー又はナノファイバーフリースから製造した担体を含む新規な触媒系のより解決される。
図1は、ナノファイバーフリースを製造する装置を示す。 図2a〜2dはナノファイバーフリースの環境制御型走査電子顕微鏡(ESEM)写真である。 図3a〜3dはナノファイバーフリースの環境制御型走査電子顕微鏡(ESEM)写真である。
ナノファイバーの直径は1000nm未満であり、当該ファイバーの長さは少なくとも200.000nmである。好ましくは、ナノファイバーの直径は500nm未満であり、当該ファイバーの長さは少なくとも500.000nmであり、特に、好ましくは、ナノファイバーの直径は50〜300nmであり、当該ファイバーの長さは1000.000nmを超える。好ましくは、当該ファイバーは、いわゆる、エンドレスファイバーであり、好ましくは、電界紡糸(electrospinning)により製造する。
電界紡糸法は1934年から知られている。1μm未満の直径のナノファイバー及びそのフリース(不織布)を製造できる。紡糸パラメーターに依存して、細ファイバー又は構造化ファイバー及び多孔性ファイバーを得ることができる。特殊紡糸方法が中空ファイバーの製造を可能にし、中空ファイバーの芯に液体が満たされる(芯/シェルファイバー)。多孔度はポロゲン(porogenes) (すなわち、溶媒によりファイバーから除去できる有機又は無機化合物)の添加により制御できる。
電界紡糸の概要は次の文献から入手できる。S.Ramakrishna,K.Fujihara W.−E.Teo, T−C.Lim und Z.Ma,“An Introduction to Electrospinning and Nanofibers”,World Scientific Publishing Company,Singapore 2005。電界紡糸の別の応用は、Greiner,A,Wendorff,J.H.,によるAngewandte Chemie 2007,119,5770−5805に開示されている。
担体は、1種以上の可溶性ポリマー類の電界紡糸により製造される、有機ナノファイバー又はナノファイバーフリースを含むことができる。水溶性ポリマー類、例えば、ポリビニルアルコール、ビニルアルコールコポリマー(例えば、エチレンビニルアルコールコポリマーやエチレンビニルアルコールビニルアセテートコポリマー)、ビニルピロリドンホモポリマー類及びコポリマー類、メタクリル酸ホモポリマー類及びコポリマー類、ポリサッカリド類(例えば、スターチ、セルロース)が好適である。有機溶媒に可溶性のポリマー類、例えば、スチレン、酢酸ビニル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリルホモポリマー類及びコポリマー類がさらに好適である。
無機又は有機/無機ブライン、すなわち、水又は有機溶媒(有機ブライン)中に安定な分散を形成するナノ若しくはミクロ粒子を電界紡糸することもできる。総ての種類のシリケート類、ベーマイト類、アルミナ、二酸化チタン、シリカ、及びその混合物並びにその混合物と可溶性ポリマー類が例である。
有機ブライン又は有機ブライン/ポリマー混合物の電界紡糸により担体を形成する、例えば、アルコキシシラン類(テトラエトキシシラン、モノアルキル若しくはモノアリールトリアルコキシシラン類等)、ジアルキル及びモノアルキルシラン類の加水分解生成物である。
無機若しくは有機ナノファイバー類に触媒を担持でき、当該ナノファイバーはイオン交換ができ、例えば、カチオン交換できる水溶性高分子量ポリマー類及びフィロシリケート類の混合物又は部分的若しくは全部中和したメタクリル酸ホモポリマー類若しくはコポリマー類である。
さらに適切なポリマー類は水溶性ポリマー、例えば、メタノール中のポリビニルアルコール、トルエン中のポリスチレン、キシロール中のポリオレフィン類、アクリロニトリルホモポリマー類及びコポリマー類である。
触媒の担体としてコア/シェルナノファイバー類も使用できる。触媒をシェルの外側に施用でき又は当該ファイバーのコア内に溶液状態で存在できる。
ブラインで満たされた水溶性ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール及び珪酸ナトリウムブライン(例、Levasil、H.C.Starck GmbH、Goslar,Germanyから入手できる)も使用できる。
制御した多孔度は、例えば、ポロゲン、例えば、ポリビニルアルコールについてポリエチレンオキシド、非極性ポリマー類についてシリコン及びポリオレフィン類についてパラフィンワックスのようなポロゲン類の浸出の添加により担体に付与できる。
活性充填剤をポリマー溶液にも添加でき、次いで、ポリマーと共に紡糸できる。重合後、該充填剤はポリオレフィンファイバー又はフリース内にある。
好適な実施態様では、触媒の活性剤として作用する元素の周期表の主族の金属の適切な有機金属化合物を担体に先ず施用し、この担持した化合物を続いて適切な遷移金属化合物若しくは化合物類と接触状態にする。遷移金属化合物類は触媒に施用するか又は重合媒体に添加できる。しかし、特別の場合、先ず、遷移金属化合物を担体に施用し、その後、活性剤を施用する。
活性剤として作用する適切な有機金属化合物は、式(I)、
Figure 2010534749
の化合物であり、式中、
は、元素の周期表の主族の元素、好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は周期表の13族金属、すなわち、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム若しくはタリウムであり、
11は、水素、C−C10−アルキル、C−C15−アリール、ハロ−C−C10−アルキル、ハロ−C−C15−アリール、C−C40−アリールアルキル、C−C40−アルキルアリール、C−C10−アルコキシ又はハロ−C−C40−アルキルアリール、ハロ−C−C40−アリールアルキル若しくはハロ−C−C10−アルコキシであり、
12及びR13は、各々、水素、ハロゲン、C−C10−アルキル、C−C15−アリール、ハロ−C−C10−アルキル、ハロ−C−C15−アリール、C−C40−アリールアルキル、C−C40−アルキルアリール、C−C10−アルコキシ又はハロ−C−C40−アルキルアリール、ハロ−C−C40−アリールアルキル若しくはハロ−C−C10−アルコキシであり、
rは、1〜3の整数であり、そして
s及びtは、0〜2の整数であり、r+s+tの総計はMの価数である。
式(I)の金属化合物中、Mがアルミニウムであり、R16、R17及びR18が各々C−C10−アルキルである化合物が好適である。
式(I)の特に好適な金属化合物は、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、及びトリメチルアルミニウム及びその混合物である。
さらに、好適な有機金属化合物はアルミノオキサン類である。例えば、WO 00/31090号に記載されている化合物を使用できる。特に有用なアルミノオキサン類は、一般式(II)又は(III)
Figure 2010534749
Figure 2010534749
の開鎖若しくは環状アルミノオキサンであり、式中、R21−R24は、各々互いに独立して、C−C−アルキル基であり、好ましくは、メチル、エチル、ブチル又はイソブチルであり、lは1〜40、好ましくは、4〜25の整数である。特に有用なアルミノオキサン化合物はメチルアルミノオキサンである。
式(I)の種々の有機金属化合物の混合物又は式(I)の化合物と式(II)若しくは式(III)の化合物との混合物を使用することもできる。少なくとも2種の異なる式(I)の有機金属化合物の混合物は、少なくとも1種のアルミニウム含有有機金属化合物、例えば、アルミニウムアルキル及び少なくとも1種のホウ素含有有機金属化合物、例えば、ボレート若しくはボランの混合物であることもできる。しかし、該混合物は、少なくとも2種のアルミニウム含有有機金属化合物も含むことができる。さらに、種々のアルミニウム含有有機金属化合物とホウ素含有有機金属化合物との混合物も使用できる。
本発明方法の実施態様では、少なくとも2種の有機金属化合物の混合物を触媒系の製造に使用する。これは、少なくとも1種のアルミニウムアルキル化合物と少なくとも1種のアルミノキサンとの混合物であることができる。しかし、触媒系は、少なくとも2種の異なるアルミニウムアルキル類も含むことができる。さらに、種々のアルミニウムアルキル類とアルミノオキサン類との混合物も使用できる。
有機金属化合物で処理したファイバー及びファイバーフリースは、好ましくは、少なくとも1つの活性中心、好ましくは、シングルサイト遷移金属触媒を有する触媒で担持もされている。
本発明の目的のため、触媒は少なくとも1つの活性中心を含む。活性中心は、遷移金属配位化合物から得ることができる。しかし、チグラー触媒又はクロム系触媒(例えば、フィリップス触媒)から誘導される活性中心も使用できる。
本発明は、少なくとも2種類の化学的に異なる出発物質から誘導される少なくとも2種類のタイプの活性中心を含むハイブリッド触媒にも関する。異なる活性中心は、異なる遷移金属配位化合物から得られる活性中心であることができる。しかし、チグラー触媒又はクロム系触媒(例えば、フィリップス触媒)から誘導される活性中心も使用できる。
遷移金属錯体がメタロセンである上述担持触媒系が好適である。メタロセン触媒成分は、例えば、シクロペンタジエニル錯体である。シクロペンタジエニル錯体は、例えば、上述した橋架け若しくは橋架けしていないビスシクロペンタジエニル錯体類であることができ、例えば、EP129368、EP561479、EP545304及びEP576970に、橋架けアミドシクロペンタジエニル錯体類のようなモノシクロペンタジエニル錯体類は、例えば、EP416815に記載され、EP632063に記載されている多核シクロペンタジエニル錯体類、EP659758に記載されているΠ−リガンド−置換テトラヒドロペンタレン類又はEP661300に記載されているΠ−リガンド−置換テトラヒドロインデン類であることができる。
適切なメタロセン類は、一般式(IV)
Figure 2010534749
を有し、式中、置換基及びインデックスは下記の意味を有する、すなわち、
は、元素の周期表の3〜6族の遷移金属、好ましくは、4族、例えば、Ti、Zr、Hfであり、特に、ジルコニウムが好適であり、
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C15−アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、−OR46若しくは−NR4647、又は2つのX基が置換若しくは非置換ジエンリガンド、特に、1,3−ジエンリガンドを形成し、これらのXは同一若しくは異なり、互いに結合してもよく、
41−E45は互いに炭素又は最高で1個までのE41−E45はリン若しくは窒素であり、好ましくは、炭素であり、
tは、1、2若しくは3であり、Mの価数に依存して、一般式(IV)のメタロセン錯体は非荷電であり、ここで、
46及びR47は、各々、C−C10−アルキル、C−C15−アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、フルオロアルキル若しくはフルオロアリールであり、
41〜R45は、各々、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、5〜7員環のシクロアルキル又はシクロアルケニルであり、これらは、順に、置換基としてC−C10−アルキル基を有することができ、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部分に1〜16個の炭素原子、アリール部分に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR48 、N(SiR48 、OR48、OSiR48 、SiR48 であり、ここで、有機基R41−R45はハロゲンにより置換されていてもよく、及び/又は2つのR41−R45基、特にビシナル基は結合して5、6若しくは7員環を形成してもよく、及び/又は2つのビシナル基R41−R45は結合して、N、P、O及びSからなる群から少なくとも1つの原子を含有する5、6若しくは7員複素環を形成でき、
ここで、R48基は、同一若しくは異なり、各々、C−C10−アルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C15−アリール、C−C−アルコキシ若しくはC−C10−アリールオキシであり、そして、
は、X又は
Figure 2010534749
式中、
49〜R413は、各々、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、5〜7員環のシクロアルキル又はシクロアルケニルであり、これらは、順に、置換基としてC−C10−アルキルを有することができ、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部分に1〜16個の炭素原子、アリール部分に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR414 、N(SiR414 、OR414、OSiR414 、SiR414 であり、ここで、有機基R49−R413はハロゲンにより置換されていてもよく、及び/又は2つのR49−R413基は、特にビシナル基が結合して5、6若しくは7員環を形成してもよく、及び/又は2つのビシナル基R49−R413は結合して、N、P、O及びSからなる群から少なくとも1つの原子を含有する5、6若しくは7員複素環を形成でき、
ここで、R414基は、同一若しくは異なり、各々、C−C10−アルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C15−アリール、C−C−アルコキシ若しくはC−C10−アリールオキシであり、
46−E410は各々炭素であり、又は最高で1個までのE46−E410はリン若しくは窒素であり、好ましくは、炭素であり、
又はR44基およびZが共に−R415 −A−基を形成し、
415
Figure 2010534749
=BR416、=BNR416417、=AlR416、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO、=NR416、=CO、=PR416又は=P(O)R416、であり、ここで、
416−R421は、同一若しくは異なり、各々、水素原子、ハロゲン原子、トリメチルシリル基、C−C10−アルキル基、C−C10−フルオロアルキル基、C−C10−フルオロアリール基、C−C10−アリール基、C−C10−アルコキシ基、C−C15−アルキルアリールオキシ基、C−C10−アルケニル基、C−C40−アリールアルキル基、C−C40−アリールアルケニル基若しくはC−C40−アルキルアリール基であり、又は隣接する基が一緒にそれらを結合する原子と共に4〜15個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和環を形成し、
42―M44は、各々、珪素、ゲルマニウム若しくはスズであり、好ましくは、珪素であり、
Aは、−O−、>S−、>NR422、−PR422、=O、=S、=NR422、−O−R422、−NR422 、−PR422 、又は非置換、置換若しくは縮合複素環系であり、ここで、
422基は、各々、互いに独立して、C−C10−アルキル、C−C15−アリール、C−C10−シクロアルキル、C−C18−アリールアルキル又はSi(R423であり、
423は、水素、C−C10−アルキル、C−C15−アリールであり、順に、置換基としてC−C−アルキル基を持つことができ、又はC−C10−シクロアルキルであり、
vは、1又はAが非置換、置換若しくは縮合複素環系のとき、0でもよく、
あるいは、R44及びR412基が一緒に−R415基を形成する。
Aは、例えば、橋架けR415と一緒になって、アミン、エーテル、チオエーテル又はホスフィンを形成できる。しかし、Aは、非置換、置換若しくは縮合した複素環式芳香族環系であることもでき、環炭素に加えて、酸素、硫黄、窒素及びリンからなる群からのヘテロ原子を含有できる。炭素原子に加えて環員として1〜4個の窒素原子及び/又は硫黄若しくは酸素原子を含有できる5員環ヘテロアリール基の例は、2−フリル、2−チエニル、2−ピローリル、3−イソキサゾイル、5−イソキサゾイル、3−イソチアゾイル、5−イソチアゾイル、1−ピラゾイル、3−ピラゾイル、5−ピラゾイル、2−オキサゾイル、4−オキサゾイル、5−オキサゾイル、2−チアゾイル、4−チアゾイル、5−チアゾイル、2−イミダゾイル、4−イミダゾイル、5−イミダゾイル、1,2,4−オキサジアゾル−3−イル、1,2,4−オキサジアゾル−5−イル、1,3,4−オキサジアゾイル−2−イル及び1,2,4−トリアゾル−3−イルである。1〜4個の窒素原子及び/又はリン原子を含有できる6員環ヘテロアリール基の例は、2−ピリジニル、2−ホスファベンゼニル、3−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イル及び1,2,4−トリアジン−3−イル、1,2,4−トリアジン−5−イル及び1,2,4−トリアジン−6−イルである。5員環及び6員環ヘテロアリール基は、C−C10−アルキル、C−C10−アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜10個の炭素原子を有するアリールアルキル、トリアルキルシリル又はフッ素、塩素若しくは臭素のようなハロゲン類により置換されても良く、又は1若しくはそれ以上の芳香族若しくはヘテロ芳香族と縮合しても良い。ベンゾ−縮合5員環ヘテロアリール基の例は、2−インドリル、7−インドリル、2−クマロニル、7−クマロニル、2−チオナフテニル、7−チオナフテニル、3−インダゾリル、7−インダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル及び7−ベンゾイミダゾリルである。ベンゾ−縮合6員環ヘテロアリール基の例は、2−キノリル、8−キノリル、3−チノリル(cinnolyl)、8−チノリル、1−フタラジル、2−キナゾリル、4−キナゾリル、8−キナゾリル、5−キノキサリル、4−アクリジル、1−フェナントリジル及び1−フェナジルである。複素環類の命名及び番号付与は、L.Fieser及びM.FieserのLehrbuch der organischen Chemie、3rd改訂版、Verlag Weinheim 1957による。
一般式(IV)のX基は、好ましくは、同一であり、好ましくは、フッ素、塩素、臭素、C−C−アルキル若しくはアラルキルであり、特に、塩素、メチル若しくはベンジルである。
前記錯体の合成は、それ自身公知の方法により行うことができ、適切に置換された環状炭化水素アニオン類とジルコニウムのハロゲン化物との反応が好適である。適切な製造方法の例は、例えば、Journal of Organometallic Chemistry,369(1989)、359−370に記載されている。
メタロセンはラセミ体又は疑似ラセミ体である。疑似ラセミという用語は、2つのシクロペンタジエニルリガンドが、錯体のその他の総ての置換基を無視したとき、互いにラセミ配列にある錯体に関する。
適切なメタロセン類の例は、とりわけ、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、テトラメチルエチレン−9−フルオレニルシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−tert−ブチル−5−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−tert−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジエチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジブロミド、ジメチルシランジイルビス(3−メチル−5−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−エチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−i−ブチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−4−(9−フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2,7−ジメチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4[p−トリフルオロメチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−[3’,5’−ジメチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジエチルシランジイルビス(2−メチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−n−ブチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−ヘキシル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−フェニルインデニル)(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−(1−ナフチル)インデニル)(2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−メチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−エチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−メチル−4−[3’,5’−ビス−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−メチル−4−[1’−ナフチル]インデニル)ジルコニウムジクロリド及びエチレン(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−メチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリドであり、さらに対応するジメチルジルコニウム、モノクロロモノ(アルキルアリールオキシ)ジルコニウム及びジ(アルキルアリールオキシ)ジルコニウム化合物類及び対応するハフノセン類である。錯体は、ラセミ体、メソ体又はこれらの混合物として使用できる。
一般式(IV)のメタロセン類のうち、式(IVB)
Figure 2010534749
のメタロセン類が特に好適である。
さらに、適切なCp−フリー錯体は一般式(VA)〜(VE)
Figure 2010534749
からなる少なくとも1つのリガンドを有し、ここで、遷移金属は、元素Ti、Zr、Hf、Sc、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ni、Pd、Pt及び希土類金属中の元素から選択される。ニッケル、鉄、コバルト又はパラジウムを中心金属として有する化合物が好適である。
51は元素の周期表の15族の元素、好ましくは、N又はPであり、特に、Nが好ましい。分子中の2個又は3個の原子E51は同一であっても異なってもよい。式(VE)中の元素E52は、各々、互いに独立して、炭素、窒素又は燐であり、特に、炭素である。
リガンド系(VA)〜(VE)内で同一又は異なることのできるR51〜R525基は下記の基である:
51及びR54は、各々、互いに独立して、C−C10−アルキル、5−〜7員シクロアルキル若しくはシクロアルケニル、C−C22−アルケニル、C−C40−アリール若しくはアルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、有機基R51及びR54はハロゲンにより置換されていてもよく、元素E51に隣接する炭素原子が少なくとも2個の炭素原子に結合する炭化水素基が好ましく、
52及びR53は、各々、互いに独立して、水素、C−C10−アルキル、5−〜7員シクロアルキル若しくはシクロアルケニル、C−C22−アルケニル、C−C40−アリール若しくはアルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、有機基R52及びR53はハロゲンにより置換されていてもよく、そして、R52及びR53も一緒で環系を形成でき、該環中1又はそれ以上のヘテロ原子も存在でき、
55〜R59は、各々、互いに独立して、水素、C−C10−アルキル、5−〜7員シクロアルキル若しくはシクロアルケニル、C−C22−アルケニル、C−C40−アリール若しくはアルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、有機基R55及びR59はハロゲンにより置換されていてもよく、そして、R56及びR55又はR58及びR59又は2個のR57は一緒で環系を形成でき、
510及びR514は、各々、互いに独立して、C−C10−アルキル、5−〜7員シクロアルキル若しくはシクロアルケニル、C−C22−アルケニル、C−C40−アリール若しくはアルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、有機基R510及びR514はハロゲンにより置換されていてもよく、
511、R512、R512’及びR513は、各々、互いに独立して、水素、C−C10−アルキル、5−〜7員シクロアルキル若しくはシクロアルケニル、C−C22−アルケニル、C−C40−アリール若しくはアルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、有機基R511、R512、R512’及びR513はハロゲンにより置換されていてもよく、そして、2つ若しくはそれ以上のジェミナル若しくはビシナル基R511、R512、R512’及びR513は一緒で環系を形成でき、
515〜R518及びR520〜R524は、各々、互いに独立して、水素、C−C10−アルキル、5−〜7員シクロアルキル若しくはシクロアルケニル、C−C22−アルケニル、C−C40−アリール若しくはアルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル又はSiR526 であり、有機基R515〜R518及びR520〜R524はハロゲンにより置換されていてもよく、そして、2つビシナル基R15D〜R518及びR520〜R524は結合して、5−若しくは6員環も形成でき、
519及びR525は、各々、互いに独立して、C−C40−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル又は−NR526 であり、有機基R519及びR525はハロゲン又はSi、N、P、O若しくはSを含む基により置換もでき、
520〜R524は、各々、互いに独立して、水素、C−C10−アルキル、5−〜7員シクロアルキル若しくはシクロアルケニル、C−C22−アルケニル、C−C40−アリール若しくはアルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR526 、−SiR526 であり、有機基R520〜R525はハロゲンにより置換されてもよく及び/又は2つのジェミナル基若しくはビシナル基R520〜R525は結合して5−、6−若しくは7−員複素環を形成してもよく、ここで、当該複素環は、N、P、O及びSからなる群から少なくとも1原子を含み、
526基は、各々、互いに独立して、水素、C−C20−アルキル、5−〜7−員シクロアルキル若しくはシクロアルケニル、C−C20−アルケニル、C−C40−アリール若しくはアルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル及び2個のR526基が結合して5−若しくは6員環を形成でき、
uはE52が窒素又は燐のとき0であり、E52が炭素のとき1であり、
指標vは、各々、互いに独立して、1又は2であり、vが1のとき、1つの基を持つ炭素と隣接するE1D元素との間の結合は二重結合であり、vが2のとき、2つの基を持つ炭素と連接するE51元素との間の結合が単結合であり、
xは0又は1であり、xが0のとき、式(IVC)の錯体が陰電荷を帯び、そして、
yは1〜4、好ましくは、2又は3の整数である。
中心金属としてFe、Co、Ni、Pd若しくはPtを有するCpのない錯体及び式(VA)のリガンドが特に有用である。
式(VI)の鉄又はコバルト配位化合物が特に好適である。
Figure 2010534749
ここで、
は鉄又はコバルトであり、特に、鉄であり、
62〜E64は、各々、互いに独立して、炭素、窒素又は燐であり、特に、炭素であり、
61〜R63は、各々、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部中に1〜10個の炭素原子及びアリール部中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、ハロゲン、NR618 、OR618、SiR619 であり、有機基R61〜R63はハロゲンにより置換されることもでき、及び/又は2個のビシナル基R61〜R63は結合して、5−、6−若しくは7員環を形成することもでき、及び/又は、2個のビシナル基R61〜R63は結合して、N、P、O及びSからなる群からの少なくとも1つの原子を含有する5−、6−若しくは7員複素環であり、
64〜R65は、各々、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部中に1〜10個の炭素原子及びアリール部中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR618 、SiR619 であり、有機基R4C〜R5Cはハロゲンにより置換されることもでき、
uはE62〜E64が窒素又は燐のとき0であり、E62〜E64が炭素のとき1であり、
61〜L62は、各々、互いに独立して、窒素又は燐であり、特に、窒素であり、
68〜R611は、各々、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部中に1〜10個の炭素原子及びアリール部中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、ハロゲン、NR618 、OR618、SiR619 であり、有機基R68〜R611はハロゲンにより置換されることもでき、及び/又は2個のビシナル基R68〜R617は結合して、5−、6−若しくは7員環を形成することもでき、及び/又は、2個のビシナル基R68〜R617は結合して、N、P、O及びSからなる群からの少なくとも1つの原子を含有する5−、6−若しくは7員複素環であり、ただし、R68〜R611の少なくとも1つは水素であり、
612〜R617は、各々、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部中に1〜10個の炭素原子及びアリール部中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、ハロゲン、NR618 、OR618、SiR619 であり、有機基R612〜R617はハロゲンにより置換されることもでき、及び/又は2個のビシナル基R68〜R617は結合して、5−、6−若しくは7員環を形成することもでき、及び/又は、2個のビシナル基R68〜R617は結合して、N、P、O及びSからなる群からの少なくとも1つの原子を含有する5−、6−若しくは7員複素環であり、
指標vは、各々、互いに独立して、0又は1であり、
基は、各々、互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル部中に1〜10個の炭素原子及びアリール部中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR618 、OR618、SR618、SO618、OC(O)R618、CN、SCN、β−ジケトネート、CO、BF 、PF 若しくは嵩高かな非配位アニオンであり、そしてX基は互いに結合することができ、
618は、各々、互いに独立して、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル部中に1〜10個の炭素原子及びアリール部中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、SiR619 であり、有機基R618はハロゲン並びに窒素含有基及び酸素含有基により置換されることもでき、そして2個の基R618基は結合して、5−、若しくは6員環を形成することもでき、
619は、各々、互いに独立して、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル部中に1〜10個の炭素原子及びアリール部中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、有機基R19Cはハロゲン又は窒素含有基及び酸素含有基により置換されることもでき、そして2個の基R619基は結合して、5−、若しくは6員環を形成することもでき、
sは1、2、3又は4であり、特に、2若しくは3であり、
Dは未変化供与体であり、そして
tは0〜4、特に、0、1若しくは2である。
実施態様及び同様に上述した好適な実施態様は、E62〜E64、R61〜R63、X、R618及びR619に同様に適用する。
置換基R64〜R65は広い範囲内で変動できる。可能な炭素有機置換基(carboorganic substituents)R64〜R65は、例えば、次の:水素、線状若しくは分枝状C−C22−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル若しくはn-ドデシル、置換基としてC−C10−アルキル基及び/又はC−C10−アリール基を有することができる5−〜7員環シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル若しくはシクロドデシル、線状、環状若しくは分枝状であることができ、中間若しくは末端に二重結合であることができるC−C22−アルケニル、例えば、ビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル若しくはシクロオクタジエニル、さらにアルキル基により置換され得るC−C22−アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル,o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−若しくは2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−若しくは3,4,5−トリメチルフェニル、又はさらにアルキル基により置換され得るアリールアルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−若しくは2−フェニルエチルであり、ここで、有機基R64〜R65は、フッ素、塩素若しくは臭素のようなハロゲンにより置換されることもできる。さらに、R64〜R65は、アミノNR618 又はN(SiR619 、例えば、ジメチルアミノ、N−ピロリジニル若しくはピコリニルであることができる。有機珪素置換基SiR619 の可能性のある基R619はR61〜R63について上述したのと同じ炭素有機基であり、ここで、2つのR619基は結合して5−若しくは6員環、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ブチルジメチルシリル、トリブチルシリル、トリtert−ブチルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルしリス若しくはジメチルフェニルシリルも形成できる。これらのSiR619 基は、窒素を介してそれらを有する炭素に結合できる。
好適なR64〜R65基は水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル又はベンジルであり、特にメチルである。
置換基R68〜R617は広い範囲内で変動できる。可能な炭素有機置換基R68〜R617は、例えば、次の:線状若しくは分枝状であることができるC−C22−アルキルであり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル若しくはn−ドデシル、5〜7員環シクロアルキルであり、置換基としてC−C10−アルキル基及び/又はC−C10−アリール基を有することができ、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル若しくはシクロドデシル、線状、環状若しくは分枝状であり、二重結合が中間若しくは末端にあることができるC−C22−アルケニル、例えば、ビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル若しくはシクロオクタジエニル、さらにアルキル基により置換できるC−C22−アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−若しくは2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−若しくは3,4,5−トリメチルフェニル、さらにアルキル基により置換できるアリールアルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−若しくは2−フェニルエチルであり、ここで、2つのビシナル基R68〜R617は結合して5−、6−若しくは7員環も形成でき及び/又はビシナルR68〜R617基のうちの2つは結合して、N、P、O及びSからなる群からの少なくとも1原子を含有する5−、6−若しくは7員複素環を形成でき及び/又は有機基R68〜R617はフッ素、塩素若しくは臭素のようなハロゲンにより置換されることもできる。さらに、R68〜R617はフッ素、塩素、臭素のようなハロゲン、アミノNR618 若しくはN(SiR619 、アルコキシ若しくはアリ−ルオキシOR618、例えば、ジメチルアミノ、N−ピロリジニル、ピコリニル、メトキシ、エトキシ若しくはイソプロポキシである。有機珪素置換基SiR619 中の可能なR619基は、R61〜R63について上述したのと同じ炭素有機基であり、ここで、2つのR619基は結合して5−若しくは6員環を形成することもでき、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ブチルジメチルシリル、トリブチルシリル、トリtert−ブチルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルシリル又はジメチルフェニルシリルである。これらのSiR19C 基は酸素又は窒素を介して結合することもでき、例えば、トリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、ブチルジメチルシリルオキシ、トリブチルシリルオキシ又はトリtertブチルシリルオキシがある。
好適なR612〜R617基は、水素、メチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビニル、アリル、ベンジル、フェニル、フッ素、塩素及び臭素であり、特に、水素である。特に、R613及びR616は、各々、メチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビニル、アリル、ベンジル、フェニル、フッ素、塩素又は臭素であり、R612、R614、R615及びR617は、各々、水素である。
好適なR68〜R611基は、水素、メチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビニル、アリル、ベンジル、フェニル、フッ素、塩素及び臭素である。
特に、R612、R614、R615及びR617は同一であり、R613及びR616は同一であり、R69及びR611は同一であり、そしてR68及びR610は同一である。これは、上述した好適な実施態様においても好適である。
クロムを基礎とする触媒、例えば、フィリプス触媒又はチグラー・ナッタ触媒は遷移金属成分としても適しており、それから、オレフィン類を重合する本発明方法に使用する触媒を得ることができる。
チグラー・ナッタ触媒は、一般に、チタン化合物又はバナジウム化合物を使用して製造するチタン含有固体成分又はバナジウム含有固体成分を含み、無機若しくは重合微細分割担体、マグネシウム化合物、ハロゲン化合物及び電子供与化合物も含む。本発明の目的のため、チグラー触媒という用語はチグラー・ナッタ触媒として文献に言及されているものを包含する。知られているチグラー・ナッタ触媒と対照的に、担体は電解紡糸ファイバーの形態で与えられる。担体を製造する試薬を合わせ、次いで電解紡糸する。紡糸プロセスの前に担持させる触媒の製造に必要な総ての試薬を合わせることもできる。
フィリップス触媒は、普通、クロム化合物を無機担体に施用し、次いで、これを350〜950℃の温度でか焼し、6よりも低い価数で存在するクロムを6価状態に変換する。クロムはさておき、Mg、Ca、B、Al、P、Ti、V、Zr及びZnのような別の元素も使用できる。Ti、Zr又はZnの使用が特に好適である。本発明では、上記元素の組合せも可能であることが強調できる。触媒前駆体をか焼前又はか焼中にフッ素でドープすることもできる。フィリップス触媒用の担体の例は、酸化アルミニウム、二酸化珪素(シリカゲル)、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム又はそれらの混合酸化物若しくは共ゲル、あるいは電解紡糸により製造したリン酸アルミニウムファイバーがある。さらに好適な担体材料は、例えば、ホウ素原子、アルミニウム元素、珪素元素又は燐元素の化合物により、孔表面積を改質することにより得ることができる。活性化したクロム触媒を続いて予備重合若しくは予備還元させる。予備還元は、普通、COあるいは水素により、250〜500℃、好ましくは300〜400℃で、活性化剤中で行う。
触媒系は担体と活性化剤として1種以上の有機金属化合物とを含む。それは、ナノファイバー又はナノファイバーフリースが、例えば、アルキルアルミニウム若しくはアルミノオキサンでのみ担持でき、触媒、例えば、遷移金属錯体と接触状態でオレフィンモノマー類の重合を可能とすることを意味する。
しかし、特に好適なものは、可溶性ポリマー、例えば、ポリビニルアセテートのナノファイバーを含む触媒系であり、これに、先ずアルミノオキサン、好ましくは、メチルアルミノオキサン(MAO)を施用する。続いて触媒系を形成するために、触媒化合物、1種又はハイブリッド触媒の場合、2種以上の上述触媒化合物を施用できる。
ヒドロキシ基を含む有機ポリマーナノファイバー担体と、金属アルキル類、例えば、アルミニウムアルキル類、メチルアルミノオキサン、マグネシウムアルキル類、遷移金属アルキル類、例えば、テトラベンジルジルコニウム又はテトラネオフィルチタニウム(ここで、アルキル類はβ−水素を含まない)との反応により担体を与えることもできる。
無機成分と交換可能金属イオンを含む化合物から製造したファイバーは、遷移金属カチオンで部分的に又は全部荷電できる。これらの担体の例は、ポリメタクリル酸又はカルボキシメチルセルロース繊維から製造される担体であり、ここで、ナトリウムカルボキシレートのナトリウムカチオンをMg(II+)、Al(III+)又はZn(II+)により交換できる。
別の可能な担体は無機材料、例えば、MgCl又はSiOから製造される繊維であり、Elmarco s.r.o.Liberec,CZ(www.elmarco.com)及びGreiner,A,Wendorff,J.H.,Angewandte Chemie 2007,119,5770−5870により記載されている。
担体は、水溶性ポリマーとカチオン交換可能無機材料(例:フィロシリケート)との電解紡糸によっても製造でき、紡糸前に遷移金属カチオン(例:Cr(III))により部分的若しくは全部修飾される。触媒系は、適切な活性化剤及びリガンドの添加により形成される。
本発明方法は、オレフィン不飽和モノマー類の重合に適している。適切なモノマー類は、アクリル酸若しくはメタクリル酸のエステル若しくはアミド誘導体のような官能化処理したオレフィン不飽和化合物、例えば、アクリレート類、メタクリレート類又はアクリロニトリルであることができる。アリール−置換α−オレフィン類を含む非極性オレフィン化合物類が好適である。特に好適なα−オレフィン類は線状又は分枝状C−C12−1−アルケン類であり、特に、線状C−C10−1−アルケン類、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン又は分枝状C−C10−1−アルケン類、例えば、4−メチル−1−ペンテン、共役及び非共役ジエン、例えば1,3−ブタジエン、1,4−ヘキサジエン若しくは1,7−オクタジエン又はビニル芳香族化合物、例えば、スチレン若しくは置換スチレンである。種々のα−オレフィン類の混合物を重合することもできる。適切なオレフィン類には、二重結合が、1以上の環系を含むことのできる環状構造の一部であるもの等がある。例は、シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロデセン若しくはメチルノルボルネン又は5−エチリデン−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン若しくはエチルノルボルナジエンのようなジエン類である。2種以上のオレフィン類の混合物を重合することも可能である。
特に、本発明の触媒は、エチレン又はプロピレンの重合又は共重合に使用することができる。エチレンの重合におけるコモノマー類として、C−C−α−オレフィン類、特に、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン及び/又は1−オクテン等を使用するのが好適である。プロピレンの重合に好適なコノマー類はエチレン及び/又はブテンである。エチレンが1−ヘキセン又は1−ブテンと共重合するのが特に好適である。
オレフィン類を重合させる本発明方法は、0〜200℃、好ましくは、25〜150℃、そして特に好ましくは40〜130℃の温度、0.05〜10MPa、特に好ましくは、0.3〜4MPaの圧力下で、総て産業的に知られている重合プロセスを使用して行うことができる。重合は、1以上の段階で回分式又は連続的に行うことができる。溶液法、懸濁法、攪拌気相法又は気相流動法総てが可能である。この種の方法は一般に当業者に知られている。
担持されている又は担持されていない触媒成分又は触媒は、使用前に予備重合に付すことができる。予備重合は懸濁中で又はモノマー(バルク)中で又は気相中で行うことができ、重合反応器の上流に設置した予備重合装置中で連続的に、又は反応器操作から独立した不連続予備重合装置中で行うことができる。
懸濁重合の場合、重合を、普通、懸濁媒体中、好ましくは、イソブタンや炭化水素類の混合物あるいはモノマー自身のような不活性炭化水素中で行う。懸濁重合温度は、普通、−20〜115℃の範囲であり、圧力は0.1〜10MPaの範囲である。懸濁中の固形分は、一般に10〜80%の範囲である。重合は、回分式で、例えば攪拌オートクレーブ中で、又は連続式、例えば、管反応器若しくはループ反応器中で、例えば、米国特許第3,242,150号明細書及び米国特許第3,248,179号明細書に記載されているPhillips−PFプロセスにより行うことができる。
異なる、あるいは同一の重合プロセスを、所望の場合、Hostalenプロセスの例のように、重合カスケードを形成するように連続して連結することもできる。2又はそれ以上の同一又は異なるプロセスを使用する平行反応器配列も可能である。しかし、重合は、好ましくは、単一反応器内でのみで行う。
本発明のプロセスでは、ポリマーマトリックス中のナノファイバー又はナノファイバーフリースの分布を改良できる。ポリマーは、コア/シェルファイバー又はファイバーフリースを形成するナノファイバー上析出する。重合化処理したナノファイバーはバルク材料に対して非常に良好な接着性を示す。
驚いたことに、触媒として単純メタロセンを使用して超高分子量ポリオレフィン類を得ることができ、一方、均一な慣用担持触媒は、一般に、それより相当低分子量のポリオレフィン類をもたらす。一般に、超高分子量ポリオレフィン類の分子量(MW)は1,000,000g/モルを超える。
さらに、ポリマー類の形態を制御することが可能である。それは、超高分子量からなるファイバー又はポリマーファイバーフリースとして得ることが可能であることを意味する。
本発明のナノファイバー担持触媒類を使用して得られるポリマーは、4dl/gを超える、好ましくは、6dl/gを超える、そして、特に8dl/gを超える非常に高い極限粘度を示す。
触媒活性中心が唯一のタイプのようなシングルサイト触媒を使用して得られるポリマーは、分子量、コモノマー分布、及び適切な場合、立体規則性の点で、ポリマー鎖の相対的に均一な分布を示す。しかし、多くの用途について、非常に均一なポリマーを使用することは有利でない。
目標とするような相対的に広い分布を示すモノマー類を製造する1つの可能な方法は、異なる、別々に製造したポリマーを互いに混合することである。ポリマー類について工業規模でしばしば使用される別の可能な方法は、多段階重合プロセス(カスケード)でポリマー類を製造することであり、重合は異なる段階で異なる条件下で行う。このようにしても、目標とするような相対的に広い分布を有するポリマーを製造することが可能である。
しかし、経済的理由のため及びこのような反応器のより広い利用性の観点で、単一の反応器を使用する連続プロセス内でもポリマーブレンドを調製するためにしばらくの間努力がなされて来た。この課題を達成するために、異なる活性中心を示す触媒混合物若しくは触媒類(ハイブリッド触媒として知られている)が、しばしば従来技術で記載されてきた。ハイブリッド触媒は、触媒の異なる種類の活性中心を含む触媒であることができる。ハイブリッド系を形成するために、上で議論した2以上の触媒のいずれかの組合せを使用することができる。
例えば、好適な触媒は、本発明のシングルサイト触媒で担持させたナノファイバーの組合せであり、慣用的に、例えば、非担持触媒又は慣用的に担持させた触媒である。一例は、ナノファイバー、例えば、ポリビニルアルコールファイバーに担持させたメタロセンとMgCl粒子材料に担持させたチグラー・ナッタ触媒との組合せである。
さらに好適な系は2種のメタロセン触媒の組合せである。両メタロセン触媒は、活性剤で予め担持させたナノファイバー担体に施用できる。しかし、第1のメタロセンのみを担体と活性剤を含む触媒成分に施用し、第2触媒を重合媒体に加えることも可能である。
ハイブリッド触媒は、少なくとも1つの最高分子量ポリマー成分及びより低い分子量ポリマー成分を含む2峰性又は多峰性ポリマーを製造するのに適している。2つの異なるポリマー成分を有するときポリマーは2峰性であり、3以上の異なるポリマー成分を有するときポリマーは多峰性である。ポリマー成分は、論理的に、複数の成分を含む重合触媒中の活性成分の1特定タイプにより製造されたポリマーである。
1,000,000g/モルを超える分子量(Mw)を有する高分子量ポリオレフィンナノファイバー類及び500,000g/モル未満の分子量(Mw)を有するポリオレフィン類を含む反応器ブレンドを製造することが可能である。
本発明の触媒系及び慣用触媒系の混合物であることのできるハイブリッド触媒系を2峰性又は多峰性分子量分布を有する反応器ブレンドの製造のために使用できる。
新しい反応器ブレンドを、ポリオレフィン類及びポリオレフィンナノファイバー類から製造できる。これらのナノコンポジットのマトリックスはポリオレフィン類から構成され、したがって、総て再循環できる。
勿論、異なる、別々に調製した、均一なポリマー類を互いに(これらのうちの少なくとも1つは本発明のナノコンポジットである)混合することによる、ブレンド、例えば、押出用ブレンドも製造できる。ポリオレフィンのために工業規模でしばしば使用されるさらに可能な方法は、多段階重合プロセスでポリマー類を製造することであり(カスケード)、重合は、異なる段階で異なる条件で行い、それは本発明のナノコンポジット化合物を製造する第1段階及び第2段階及び究極的に別の分子量分布を有するポリマーを形成する段階に続く。このようにして、相対的に広い又は多峰性分布を示すポリマーを製造できる。
ナノファイバーは幾つかの利点、例えば、ポリマーの耐摩耗性改善、延伸(ブロー成形、ホイル押出、深絞り)中のナノファイバーの配向の可能性、ナノファイバー及びナノファイバーフリースによる添加剤の導入、例えば、接着性を含む接合剤等を与えることができる。
炭素化ナノファイバー類は導電性と電磁遮蔽を含むことができる。
次に、本発明を実施例、添付図面に言及して詳細に説明する。図中、
図1は、ナノファイバーフリースを製造する装置を示す。
環境制御型走査電子顕微鏡(ESEM)によりPVAナノファイバーフリースの写真を作成した(実施例1)。PVAナノファイバーとMAO及びビス(ペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドとを装填し、触媒系の共存下オレフィン類の不均一重合を行った後に環境制御型走査電子顕微鏡(ESEM)によりPVAナノファイバーフリースの写真を作成した(実施例3)。
本特許出願に使用するパラメータは下記の方法により決定した。
極限粘度[dl/g] ポリマー濃度をゼロに外挿した粘度数の極限値である極限粘度の決定は、ISO 1628に準拠して、溶媒として135℃デカリンを使用し、自動ウベローデ粘度計(Lauda PVS 1)で行った。
分子量分布 分子量分布Mwの決定は、WATERS 150Cで高温ゲル浸透クロマトグラフィーにより、DIN55672に基づく方法を使用して行った。直列に連結した次のカラム、すなわち、3×SHODEX AT 806MS、1×SHODEX UT 807及び1×SHODEX AT−Gを使用し、次の条件下、すなわち、溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン(0.025重量%の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールで安定化)、流量:1ml/分、500μl注入量、温度:135℃、PE Standardsを使用する較正、の条件下で行った。評価をWIN−GPCを使用して行った。
ファイバーの平均直径 平均ファイバー直径を、ESEM写真において50〜100本のファイバーの厚さを測定し、算術平均することにより決定した。
上述資料の内容を本特許出願に参照として含める。特記しない限り、量及び比率は常に重量に基づく。
PVAナノファイバーに担持させたシングルサイト触媒を用いるポリエチレンの製造
重合は基本的に3段階に分けられる:すなわち、
1.PVAナノファイバーフリースの製造
2.MAO/触媒系の担体
3.エチレン重合
である。
(実施例1)
先ず、PVA溶液(Mw=16.000g/モル、98〜99モル%加水分解(Aldrichから入手できる))を電解紡糸することによりPVAファイバーフリースを製造した。PVAファイバーの平均直径は100〜250nmである。
図1に概略を示した紡糸装置を用いて電解紡糸試行を行った。ポリマー溶液を2mlシリンジ4中に充填する。このシリンジを50ml灌流シリンジ5の底部孔に通し、底部とピストンとの間に固定する。シリンジのストレートカット針中の溶液の連続流を、Fa.Fresenius Fial Infusion TechnologyのシリンジポンプPilot A2により確保する。溶液の流速は、シリンジポンプの輸送速度の1/8だった。
Eltexの電圧発生器KNH34/P2Aにより、シリンジの針に電圧をかける。金属板は背面板電極(backplate electrode)として作用し、金属板上に導電コレクター面1も固定する。このコレクター面1は15×15cmの1片のアルミニウムホイルである。ファイバーを、シリンジに対して変動し得る距離に配置されている、背面版電極上に水平に紡糸する。
PVA−溶液を製造するために、対応量のPVA(2g)を水(8ml)に加えた。数時間フラスコを回転させながら(ロータリエバポレーター)、80℃に懸濁液を加熱することによりPVAを溶解した。蒸留により除去した水の量を決定し、続いて、溶液に加えた。室温でさらに半時間フラスコを回転させた後、均一溶液を得た。
流速0.1ml/時でPVA溶液を紡糸し、針先とコレクター面の距離を20cmにし、約2時間25kVの電圧をかけた。得られたファイバーフリースは24時間アルミニウムホイル上で乾燥させた。コレクター面からファイバーフリースを除去し、続いて、反応管中に入れた。約50mgのPVA−ファイバーを1試料に使用した。次いで、ファイバーフリースの構造を、ESEMを用いて分析した。ファイバーの直径は約100〜250nmである
(実施例2)
MAO及び触媒の担持
触媒:Cp ZrCl(M:432.58g/モル)
Figure 2010534749
6mlの無水トルエンを実施例1.1で得られたPVAファイバーに加えた。フリースのいくらかの膨張が観察されたが、構造は変わらなかった。
6mlの無水トルエンを実施例1.1で得られたPVAファイバーに加えた。フリースのいくらかの膨張が観察されたが、構造は変わらなかった。次いで、1.5mlのMAO溶液(c(al−w%):4.84g/ml)をファイバーに加えた。わずかな水素の生成が観察できた。
ガスの生成が終了後、追加の0.5ml MAO−溶液を分散物に加えた。ガスの発生は観察できず、さらに30分間攪拌を続け、続いて、溶媒を真空下で除去し、10mlトルエンで2回洗浄した。次いで、さらに5mlトルエンを加えた。
2番目の反応管中で、5mlトルエン中にビス−(ペンタメチル シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド触媒(Sigma−Aldrichから入手できる)を溶解した。溶液を5分間攪拌した。次いで、1mlの触媒溶液を、MAO−PVA−ファイバー分散物に加えた。さらに、5分間攪拌を続けた。ファイバーがわずかに黄色に着色するのが観察されたが、溶液は澄明だった。次いで、2回、1mlの触媒溶液を加えた。3回の添加後、全く脱色が検出されなかった。真空下、溶媒を除去し、残留物を5mlトルエンで洗浄した。続いて、10mlトルエンをファイバーに加えた。
(実施例3)
エチレンの重合
実施例2から得られた担持触媒を含有する反応管の栓を隔壁(septum)により置き換えた。0.2バールの圧力でエチレン(Air Liquide)をスチール製カニューレにより分散物中に供給した。エチレンパイプの予備フラシュは、パイプ中に空気残留を残さないで確保する。エチレンの過圧を、隔壁中の第2カニューレにより除去した。1バールのエチレン圧力で重合を行った。約2分後、ファイバー上にポリエチレン形成が観察された。別の30分間エチレンを供給した。100mlメタノールを添加して重合反応を停止させ、それに0.5ml濃塩酸及びスパチュラ先端量の安定剤(Irganox 1010)を加えた。メタノール/HCl溶液中の分散物をさらに30分間攪拌し、続いて、濾別した。PEを16時間真空下60℃で乾燥させた。
ファイバー構造をESEMで評価し、300〜700nmの平均繊維直径であると決定された。
収量:450mg
極限粘度:8.34dl/g。
初めて、PVAファイバーがポリオレフィン類の製造用担体として適していることが示された。さらに、担体のファイバー様構造が、製造されたポリエチレンの形態に影響を与える。ファイバー構造、したがって、フリースの構造は、基本的に変化しないで維持されることが示された。
純粋PVA−ファイバーの平均直径の増加が100〜250nmからPE−ファイバーの直径300〜700nmであると観察できた。

Claims (13)

  1. ファイバー又はファイバーフリースからなる担体を含む、オレフィン類の重合用担持触媒系であって、平均ファイバー直径が1000nm未満、好ましくは、500nm未満であり、平均ファイバー長さが200,000nmを超え、好ましくは、500,000nmを超え、そして、特に好ましくは、1,000,000nmを超えることを特徴とする、オレフィン類の重合用担持触媒系。
  2. ファイバー又はファイバーフリースからなる担体を含み、ファイバー又はファイバーフリースを電界紡糸により製造することを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン類の重合用担持触媒系。
  3. ファイバーを可溶性ポリマーの電界紡糸により製造されるポリマーから製造することを特徴とする、請求項1に記載の担持触媒系。
  4. 可溶性ポリマーを、有機、無機又は有機/無機化合物からなる群から選択することを特徴とする、請求項2に記載の担持触媒系。
  5. 可溶性ポリマーを、ポリビニルアルコール、ビニルアルコールコポリマー類、ビニルピロリドンホモポリマー類及びコポリマー類、メタクリル酸ホモポリマー類、及びコポリマー類、ポリサッカリドからなる群から選択することを特徴とする請求項3に記載の担持触媒系。
  6. ナノファイバー担体に担持された、少なくとも1種の有機金属化合物をさらに含み、ここで、金属を元素の周期表の主族から選択する、請求項1〜3のいずれかに記載の担持触媒系。
  7. 各有機金属化合物が、独立して、式(I)の有機金属化合物類、式(II)のアルミノキサン化合物類及び式(III)のアルミノオキサン化合物類から選択されることを特徴とし、ここで、化合物は下記のように定義:すなわち、
    有機金属化合物が、式(I)
    Figure 2010534749
    の化合物であり、式中、Mは、元素の周期表の主族の元素、好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は周期表の13族金属、すなわち、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム若しくはタリウムであり、
    11は、水素、C−C10−アルキル、C−C15−アリール、ハロ−C−C10−アルキル、ハロ−C−C15−アリール、C−C40−アリールアルキル、C−C40−アルキルアリール、C−C10−アルコキシ又はハロ−C−C40−アルキルアリール、ハロ−C−C40−アリールアルキル若しくはハロ−C−C10−アルコキシであり、
    12及びR13は、各々、水素、ハロゲン、C−C10−アルキル、C−C15−アリール、ハロ−C−C10−アルキル、ハロ−C−C15−アリール、C−C40−アリールアルキル、C−C40−アルキルアリール、C−C10−アルコキシ又はハロ−C−C40−アルキルアリール、ハロ−C−C40−アリールアルキル若しくはハロ−C−C10−アルコキシであり、
    rは、1〜3の整数であり、そして
    s及びtは、0〜2の整数であり、r+s+tの総計はMの価数である、
    アルミノキサン化合物が、一般式(II)又は(III)
    Figure 2010534749
    Figure 2010534749
    の化合物であり、式中、R21−R24は、各々互いに独立して、C−C−アルキル基であり、好ましくは、メチル、エチル、ブチル又はイソブチル基であり、lは1〜40、好ましくは、4〜25の整数である、請求項6に記載の担持触媒系。
  8. ナノファイバー担体が、遷移金属化合物でさらに添加されている、請求項6に記載の担持触媒系。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の触媒系の存在下でオレフィンを重合することを特徴とする、ポリオレフィンナノコンポジットの製造法。
  10. ナノファイバー又はナノファイバーフリースを含む、請求項9に記載の方法により得られたポリオレフィンナノコンポジット。
  11. 1000nm未満の平均ファイバー直径有するファイバーからなるナノファイバー又はナノファイバーフリースを含む、請求項10に記載のポリオレフィンナノコンポジット。
  12. ポリオレフィンの極限粘度が4dl/gを超える、好ましくは、6dl/gを超える、そして、特に好ましくは8dl/gを超える、請求項10又は11に記載のポリオレフィンナノコンポジット。
  13. 請求項12に記載のポリオレフィンナノコンポジット及び少なくとも1種の別のポリオレフィンを含むブレンド。
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