JP2010238907A - 積層板、多層プリント配線板および半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基材と熱硬化性樹脂組成物とから構成される積層板において、前記熱硬化性樹脂組成物が、芳香族骨格を有するエポキシ樹脂を含むものであり、前記積層板は、200℃〜260℃における線膨張係数が1〜11ppm/℃であり、30℃における貯蔵弾性率が22〜40GPaであり、180℃における貯蔵弾性率が10〜18GPaであることを特徴とする積層板。
【選択図】 なし
Description
これに起因して、半導体素子が実装される多層プリント配線板の反りが、半導体装置の信頼性に大きな影響を及ぼすようになってきている。
そのため、半導体装置に用いられる多層プリント配線板の自体の反り、半導体実装時の高温にさらされた状態での多層プリント配線板の反り等、多層プリント配線板の製造工程、及び半導体装置の製造工程において、各工程での基板の反りを低減する積層板が求められている。
しかし、半導体素子を実装する200℃〜280℃の高温では反りを抑えることができない問題点があった。
[1]基材と熱硬化性樹脂組成物とから構成される積層板において、前記熱硬化性樹脂組成物が、芳香族骨格を有するエポキシ樹脂を含むものであり、前記積層板は、200℃〜260℃における線膨張係数が1〜11ppm/℃であり、30℃における貯蔵弾性率が22〜40GPaであり、180℃における貯蔵弾性率が10〜18GPaであることを特徴とする積層板。
[2]前記積層板は、積層板中に、熱硬化性樹脂組成物を40〜55重量%含むものである[1]項に記載の積層板。
[3]前記芳香族骨格を有するエポキシ樹脂の芳香族骨格が、ビフェニル骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、及びジヒドロアントラセン骨格よりなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族骨格を有するものである[1]または[2]項に記載の積層板。
[4]前記熱硬化性樹脂組成物が、シアネート樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物である[1]ないし[3]項のいずれかに記載の積層板。
[5]前記シアネート樹脂は、ノボラック型シアネート樹脂である[4]項に記載の積層板。
[6]前記基材が、Tガラス、Sガラス、及びNEガラスよりなる群から選ばれる少なくとも1種類のガラスを用いたガラス織布である[1]ないし[5]項のいずれかに記載の積層板。
[7][1]ないし[6]項のいずれかに記載の積層板を用いてなる多層プリント配線板。
[8][7]項記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。
芳香族骨格を有するエポキシ樹脂を用いることで、ガラス転移温度を上げることができ、また線熱膨張を下げることができる。
これにより、多層プリント配線板の反りが低減し、前記多層プリント配線板を用いた半導体装置の製造工程において、多層プリント配線板部の反りが小さくなる。
前記樹脂ワニスの固形分は、特に限定されないが、前記樹脂組成物の固形分50〜80重量%が好ましく、特に、60〜78重量% が好ましい。これにより、樹脂ワニスの基材への含浸性を更に向上できる。前記基材に前記樹脂組成物を含浸させる温度は、特に限定されないが、例えば、90〜220℃等で乾燥させることによりプリプレグを得ることが出来る。
前記下限値未満では、熱膨張係数は小さくなるが、樹脂比率が低すぎるため、基材に由来する基板の凹凸が生じ、微細配線形成が困難になり、好ましくない。更に、積層板にボイドを生じ易くなるため、多層プリント配線板の絶縁信頼性が低下する場合がある。一方、前記上限値を超える場合、樹脂比率が高いため、積層板の熱膨張係数が大きくなり、多層プリント配線板の反りが大きくなる。
芳香族骨格を有するエポキシ樹脂は、前記骨格を少なくとも1つ以上有するものであればよい。
これらの中でも、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、ジヒドロアントラセン骨格を有するエポキシ樹脂が、耐熱性に優れる点で好ましい。
またTガラス、またはSガラスを使用した場合は、弾性率を向上させることが出来るため、反りを抑制することが出来る。NEガラスを使用した場合は、Eガラスの弾性率を維持したまま、誘電率、及び誘電正接に優れた積層板を作製することが出来るため、高周波特性にも優れた多層プリント配線板を作製することが出来る。
前記で得られた両面に銅箔を有する積層板を用意し、ドリル等によりスルーホールを形成し、メッキにより前記スルーホールを充填した後、積層板の両面に、エッチング等により所定の導体回路(内層回路)を形成し、導体回路を黒化処理等の粗化処理することにより内層回路基板を作製する。
具体的には、前記樹脂シート、またはプリプレグと内層回路基板とを合わせて、真空加圧式ラミネーター装置などを用いて真空加熱加圧成形させる。その後、熱風乾燥装置等で加熱硬化させることにより内層回路基板上に絶縁層を形成することができる。
ここで加熱加圧成形する条件としては特に限定されないが、一例を挙げると、温度60〜160℃、圧力0.2〜3MPaで実施することができる。また、加熱硬化させる条件としては、特に限定されないが、一例を挙げると、温度140〜240℃、時間30〜120分間で実施することができる。
ここで加熱加圧成形する条件としては、特に限定されないが、一例を挙げると、温度140〜240℃、圧力1〜4MPaで実施することができる。
次に、絶縁層に、炭酸レーザー装置を用いて開口部を設け、電解銅めっきにより絶縁層表面に外層回路形成を行い、外層回路と内層回路との導通を図る。なお、外層回路には、半導体素子を実装するための接続用電極部を設ける。
その後、最外層にソルダーレジストを形成し、露光・現像により半導体素子が実装できるよう接続用電極部を露出させ、ニッケル金メッキ処理を施し、所定の大きさに切断し、多層プリント配線板を得ることができる。
半導体装置は、上述した方法にて製造された多層プリント配線板に半導体素子を実装し、製造することができる。半導体素子の実装方法、封止方法は特に限定されない。例えば、半導体素子と多層プリント配線板とを用い、フリップチップボンダーなどを用いて多層プリント配線板上の接続用電極部と半導体素子の半田バンプとの位置合わせを行う。その後、IRリフロー装置、熱板、その他加熱装置を用いて半田バンプを融点以上に加熱し、多層プリント配線板と半田バンプとを溶融接合することにより接続する。そして、多層プリント配線板と半導体素子との間に液状封止樹脂を充填し、硬化させることで半導体装置を得ることができる。
2官能ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、HP−4032D)18.2重量部、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(明和化成株式MEH−7851−3H)21.7重量部、イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、2P4MZ)0.1重量部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(株式会社アドマテックス社製、球状溶融シリカ、SO−25R、平均粒径0.5μm)60重量部を添加し、高速攪拌機を用いて10分攪拌して、樹脂ワニスを得た。
ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC−3000H)22.8重量部、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、MEH−7851−3H)17.1重量部、イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、2P4MZ)0.1重量部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(株式会社アドマテックス社製、球状溶融シリカ、SO−25R、平均粒径0.5μm)60重量部を添加し、高速攪拌機を用いて10分攪拌して、樹脂ワニスを得た。その後、実施例1と同様な方法で、厚さ0.12mmの両面銅張積層板を得た。
4官能ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、HP−4700)16.4重量部、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、MEH−7851−3H)23.5重量部、イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、2P4MZ)0.1重量部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(株式会社アドマテックス社製、球状溶融シリカ、SO−25R、平均粒径0.5μm)60重量部を添加し、高速攪拌機を用いて10分攪拌して、樹脂ワニスを得た。その後、実施例1と同様な方法で、厚さ0.12mmの両面銅張積層板を得た。
ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、YX−8800)17.1重量部、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、MEH−7851−3H)22.8重量部、イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、2P4MZ)0.1重量部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(株式会社アドマテックス社製、球状溶融シリカ、SO−25R、平均粒径0.5μm)60重量部を添加し、高速攪拌機を用いて10分攪拌して、樹脂ワニスを得た。その後、実施例1と同様な方法で、厚さ0.12mmの両面銅張積層板を得た。
ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30)10.0重量部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC−3000H)10.0重量部、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、MEH−7851−3H)19.9重量部、イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、2P4MZ)0.1重量部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(株式会社アドマテックス社製、球状溶融シリカ、SO−25R、平均粒径0.5μm)60重量部を添加し、高速攪拌機を用いて10分攪拌して、樹脂ワニスを得た。その後、実施例1と同様な方法で、厚さ0.12mmの両面銅張積層板を得た。
2官能ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、HP−4032D)18.2重量部、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、MEH−7851−3H)21.7重量部、イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、2P4MZ)0.1重量部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(株式会社アドマテックス社製、球状溶融シリカ、SO−25R、平均粒径0.5μm)60重量部を添加し、高速攪拌機を用いて10分攪拌して、樹脂ワニスを得た。
前記樹脂ワニスをガラス織布(厚さ94μm、日東紡績製Tガラス織布、WTX−2116)に含浸し、150℃の加熱炉で2分間乾燥して、プリプレグ中のワニス固形分が約50重量%のプリプレグを得た。
上述のプリプレグに、両面に12μmの銅箔を重ねて、圧力3MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形し、厚さ0.12mmの両面銅張積層板を得た。
ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30)20.0重量部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC−3000H)11.0重量部、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、MEH−7851−3H)9.0重量部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(株式会社アドマテックス社製、球状溶融シリカ、SO−25R、平均粒径0.5μm)60重量部を添加し、高速攪拌機を用いて10分攪拌して、樹脂ワニスを得た。その後、実施例1と同様な方法で、厚さ0.12mmの両面銅張積層板を得た。
ビフェニルエポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC−3000H)35.0重量、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、エピクロン830)15.0重量部、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、HP−4700)9.9重量部、イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、2P4MZ)0.1重量部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(株式会社アドマテックス社製、球状溶融シリカ、SO−25R、平均粒径0.5μm)40重量部を添加し、高速攪拌機を用いて10分攪拌して、樹脂ワニスを得た。その後、実施例1と同様な方法で、厚さ0.12mmの両面銅張積層板を得た。
2官能ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、HP−4032D)13.0重量、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、エピクロン830)7.5重量部、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、MEH−7851−3H)24.4重量部、イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、2P4MZ)0.1重量部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(株式会社アドマテックス社製、球状溶融シリカ、SO−25R、平均粒径0.5μm)55重量部を添加し、高速攪拌機を用いて10分攪拌して、樹脂ワニスを得た。その後、実施例1と同様な方法で、厚さ0.12mmの両面銅張積層板を得た。
積層板中の樹脂組成物の割合をRCとし、10cm角の積層板の重量(A)と、10cm角のガラスクロス織布の重量(B)から以下の計算式にて、樹脂組成物の割合(RC)を求めた。
RC=((B)−(A))/(A)×100(%)
前記実施例、及び比較例で得られた両面銅張積層板の銅箔を全面エッチングし、得られた積層板から10mm×3mmのテストピースを切り出して、TMA(TAインスツルメント社製)を用いて、熱機械分析を行い、200℃〜260℃における平均膨張率を測定作製した。
作製した両面銅張積層板の銅箔を全面エッチングし、得られた積層板から2mm×2mmのテストピースを切り出し、動的粘弾性測定(TAインスツルメント社製 DMA2980)を用い測定を行い、30℃と180℃とにおける弾性率の測定を行った。
作製した銅張積層板を用いて、配線パターン、レジストを有するインターポーザーを作製した。前記インターポーザーに半導体素子をマウントし、ボンディングワイヤで接続した後、封止樹脂で半導体素子、及びボンディングワイヤを0.6mmの厚みで封止し、180℃で4時間加熱硬化させるポストモールドキュア処理を行った。その後、インターポーザーの半導体素子搭載面と反対側にPbフリーの半田ボールを載せ、リフロー装置を用いてリフロー処理を行うことによりインターポーザーに半田ボールを接合して、半導体装置を作製した。このリフロー処理において、リフロー装置は、最高温度が260度となるように温度設定した。リフロー処理前後のインターポーザーの半導体素子搭載面と反対側の面の反りを、レーザースキャンにより測定した。反り量は、インターポーザーの両端を基準位置とした時の表面の最高点の高さとし、5個のサンプルの平均値から算出した。反りが小さいものを○、反りが大きいものを×とした。
前記半導体装置をマザーボードに二次実装して150℃で8時間乾燥させる処理を行った。前記二次実装が出来たものを○、二次実装が出来なかったものを×とした。
一方、比較例1から3は、反りが大きく、2次実装性も低下した。
Claims (8)
- 基材と熱硬化性樹脂組成物とから構成される積層板において、前記熱硬化性樹脂組成物が、芳香族骨格を有するエポキシ樹脂を含むものであり、前記積層板は、200℃〜260℃における線膨張係数が1〜11ppm/℃であり、30℃における貯蔵弾性率が22〜40GPaであり、180℃における貯蔵弾性率が10〜18GPaであることを特徴とする積層板。
- 前記積層板は、積層板中に、熱硬化性樹脂組成物を40〜55重量%含むものである請求項1に記載の積層板。
- 前記芳香族骨格を有するエポキシ樹脂の芳香族骨格は、ビフェニル骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、及びジヒドロアントラセン骨格よりなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族骨格を有するものである請求項1または2に記載の積層板。
- 前記熱硬化性樹脂組成物が、シアネート樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物である請求項1ないし3のいずれかに記載の積層板。
- 前記シアネート樹脂は、ノボラック型シアネート樹脂である請求項4に記載の積層板。
- 前記基材が、Tガラス、Sガラス、及びNEガラスよりなる群から選ばれる少なくとも1種類のガラスを用いたガラス織布である請求項1ないし5のいずれかに記載の積層板。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の積層板を用いてなる多層プリント配線板。
- 請求項7に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。
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