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JP2010274330A - 表面被覆切削工具 - Google Patents

表面被覆切削工具 Download PDF

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JP2010274330A JP2009125986A JP2009125986A JP2010274330A JP 2010274330 A JP2010274330 A JP 2010274330A JP 2009125986 A JP2009125986 A JP 2009125986A JP 2009125986 A JP2009125986 A JP 2009125986A JP 2010274330 A JP2010274330 A JP 2010274330A
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文雄 対馬
Hitoshi Kunugi
斉 功刀
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Abstract

【課題】 溶着が起こりやすい難削材の断続重切削において、硬質被覆層がすぐれた耐溶着性、耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具を提供する。
【解決手段】工具基体の表面に、硬質被覆層を蒸着形成してなる表面被覆切削工具において、下部層はTi化合物層で構成され、また、上部層は、一層平均層厚0.8〜1.5μmの酸化アルミニウム層と一層平均層厚0.3〜0.5μmのチタン含有酸化アルミニウム層との交互積層構造として構成され、さらに、上記チタン含有酸化アルミニウム層におけるチタン含有割合は、層厚方向に沿って組成が変化し、かつ、層厚方向の中間領域で、最大値2〜5原子%を示す。
【選択図】 なし

Description

この発明は、硬質被覆層の上部層を、酸化アルミニウム層とチタン含有酸化アルミニウム層の交互積層構造として構成し、さらに、該チタン含有酸化アルミニウム層におけるTi含有割合を層厚方向に組成変化させることにより、軟鋼やステンレス鋼等の溶着性の高い難削材の断続重切削加工において、被削材の溶着発生を防止するとともに、切刃部のチッピング(微小欠け)発生を防止することにより、長期に亘ってすぐれた切削性能を発揮する表面被覆切削工具(以下、被覆工具という)に関するものである。
従来、一般に、炭化タングステン基(以下、WC基で示す)超硬合金または炭窒化チタン基(以下、TiCN基で示す)サーメットで構成された基体(以下、これらを総称して工具基体という)の表面に、硬質被覆層として、
Tiの炭化物(以下、TiCで示す)層、窒化物(以下、同じくTiNで示す)層、炭窒化物(以下、TiCNで示す)層、炭酸化物(以下、TiCOで示す)層、および炭窒酸化物(以下、TiCNOで示す)層のうちの1層または2層以上の積層からなるTi化合物層を下部層、また、
チタンを含有する酸化アルミニウム層を上部層、
として形成した被覆工具(特許文献1〜3)が知られている。
さらに、これらの被覆工具において、高速切削加工時における靭性向上を図るため、硬質被覆層の上部層を、例えば、Ti化合物層と、Ti酸化物を固溶する酸化アルミニウム層あるいはTi酸化物がその中に共存する酸化アルミニウム層との積層構造として構成すること(特許文献4、5)、三酸化チタン主体層と酸化アルミニウム層との積層構造として構成すること(特許文献6)も知られている。
特公昭61−15149号公報 特開2002−205205号公報 特開2008−73847号公報 特公昭62−6748号公報 特公平5−49750号公報 特許第3430939号明細書
近年の切削加工の省エネ化および省力化に対する要求は強く、これに伴い、切削条件は一段と厳しいものとなってきており、硬質被覆層の上部層の靭性向上を図った上記従来被覆工具は、鋼や鋳鉄等の通常条件の切削加工では特段の問題は生じないが、これを、溶着性の高い難削材、例えば、軟鋼、ステンレス鋼等、の断続重切削に用いた場合には、切刃への切粉の溶着が発生するとともに、切刃に対して大きな衝撃的・機械的負荷が繰り返し作用することから、靭性が不足し、切刃部にはチッピングが発生し、これを原因として、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、溶着性の高い軟鋼、ステンレス鋼等の難削材の断続重切削においても、耐チッピング性、耐摩耗性にすぐれ、工具寿命の延命化を図るべく、硬質被覆層の上部層に着目し、研究を行なった結果、次のような知見を得た。
まず、チタンを含有する酸化アルミニウム層(以下、Ti含有Al23層で示す)は、すぐれた靭性を有することから、酸化アルミニウム層(以下、Al23層で示す)とTi含有Al23層とを交互に積層して硬質被覆層の上部層を構成し、このような上部層を有する被覆工具を難削材の断続重切削に適用したところ、Ti含有Al23層の存在によって、上部層の靭性は向上するものの、その半面、Al23層単層の場合に比して、上部層の高温硬さが低下し、さらに、Al23層とTi含有Al23層との密着強度が十分でなく、層間剥離を生じやすくなるため、高熱による溶着発生、切刃に対する衝撃的・機械的負荷により、耐チッピング性の向上、耐摩耗性の向上を期待できないことがわかった。
そこで、本発明者等は更に研究を進めたところ、上記Ti含有Al23層を均一組成の層として構成するのではなく、層厚方向に沿って、Ti含有割合がなだらかに変化する不均一組成の層となるように構成し、さらに、各Ti含有Al23層の中間領域(例えば、Ti含有Al23層の層厚をt(但し、tは0.3〜0.5μm)とした場合に、t/3の層厚に相当する中間領域)においてTi含有割合が最大値を示すような組成とし、かつ、Ti含有割合の前記最大値が2〜5原子%となる不均一組成のTi含有Al23層(以下、組成変化Ti含有Al23層という)を構成し、Al23層と組成変化Ti含有Al23層とを交互に積層して上部層を形成したところ、この上部層は、高温硬さの低下が生じないばかりか、組成変化Ti含有Al23層に含有されるTiが切削加工時にルチル型Ti酸化物(TiO)を形成することによって潤滑性が高められ、さらに、Al23層と組成変化Ti含有Al23層との層間密着強度も向上することを見出した。
したがって、硬質被覆層として、Ti化合物からなる下部層と、Al23層と組成変化Ti含有Al23層との交互積層からなる上部層を被覆した被覆工具は、溶着性の高い軟鋼、ステンレス鋼等の難削材の断続重切削においても、耐チッピング性、耐摩耗性が向上し、長期の使用にわたってすぐれた切削性能を発揮し、工具寿命の延命化が図られることを見出したのである。
この発明は、上記知見にもとづいてなされたものであって、
「 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、1〜15μmの層厚を有する下部層と、3〜15μmの層厚を有する上部層とで構成された硬質被覆層を蒸着形成してなる表面被覆切削工具において、
上記下部層は、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1種または2種以上からなるTi化合物層で構成され、
また、上記上部層は、一層平均層厚0.8〜1.5μmのAl23層と一層平均層厚0.3〜0.5μmのTi含有Al23層との交互積層構造として構成され、
さらに、上記Ti含有Al23層中のTi含有割合は、層厚方向の中間領域において、Ti含有割合が最大となるような組成変化を示し、かつ、該Ti含有割合の最大値は2〜5原子%であることを特徴とする表面被覆切削工具。」
に特徴を有するものである。
本発明の被覆工具の硬質被覆層について、以下に詳細に説明する。
(a)下部層を構成するTi化合物層:
Tiの炭化物(TiC)層、窒化物(TiN)層、炭窒化物(TiCN)層、炭酸化物(TiCO)層および炭窒酸化物(TiCNO)層のうちの1層または2層以上からなるTi化合物層は、例えば、通常の化学蒸着条件によって蒸着形成することができ、そして、Ti化合物層からなる下部層は、工具基体及び上部層のいずれにも強固に密着し、硬質被覆層の工具基体に対する密着性向上に寄与するとともに、それ自体が高温強度を有し、これの存在によって硬質被覆層が高温強度を具備するようになる。
ただ、下部層全体の層厚が1μm未満では、前記作用を十分に発揮させることができず、一方その層厚が15μmを越えると、切刃に対して大きな衝撃的・機械的負荷が繰り返し作用する断続重切削で熱塑性変形を起し易くなり、これが偏摩耗の原因となることから、下部層全体としての層厚を1〜15μmと定めた。
(b)上部層の交互積層を構成するAl23層:
上部層の交互積層構造を構成するAl23層は、既に良く知られているように、通常の化学蒸着法で蒸着形成することができる。
例えば、通常の化学蒸着装置により、
反応ガス組成:容量%で、AlCl:6〜10%、CO:10〜15%、HCl:3〜5%、H2S:0.05〜0.2%、H2:残り、
反応雰囲気温度:900〜1020℃、
反応雰囲気圧力:3〜5kPa、
の条件で蒸着することによってα型Al23層を形成することができる。
上記α型Al23層は、すぐれた高温硬さと耐熱性を備え、断続重切削加工において耐摩耗性を担保するための層として機能する。
ただ、交互積層構造を構成するα型Al23層の一層平均層厚が0.8μm未満であると、上部層に十分な高温硬さと耐熱性を付与することができず、一方、一層平均層厚が1.5μmを超えると、粗大結晶粒の成長により靭性が低下しチッピングが発生しやすくなるので、Al23層の一層平均層厚は0.8〜1.5μmと定めた。
Al23層としては、α型Al23層ばかりでなく、κ型やθ型のAl23層であっても何ら支障はない。
(c)上部層の交互積層を構成する組成変化Ti含有Al23層:
組成変化Ti含有Al23層は、蒸着初期に、
反応ガス組成:容量%で、AlCl:3〜7%、TiCl:0.3〜0.5%、CO:10〜15%、HCl:3〜5%、H2S:0.05〜0.08%、AlI:0.5〜1.0%、H2:残り、
反応雰囲気温度:900〜1020℃、
反応雰囲気圧力:3〜5kPa、
の条件で蒸着を開始し、
次いで、蒸着の進行に伴って、反応ガス中に占めるTiClガス成分の含有割合を高めていき、TiCl:0.8〜1.0%を含有する反応ガスにより、Ti含有割合が最大となる中間領域を蒸着形成し、
次いで、蒸着後期には、TiClガス成分の含有割合を次第に減少させ、TiCl:0.3〜0.5%を含有する反応ガス中で蒸着を終了させ、組成変化Ti含有Al23層を形成することによって、組成変化Ti含有Al23層を蒸着形成することができる。
そして、前記(b)による所定の一層平均層厚のAl23層の形成と、前記(c)による所定の一層平均層厚の組成変化Ti含有Al23層の形成を交互に行い、所定の層厚の交互積層構造からなる上部層を形成する。
組成変化Ti含有Al23層における層厚方向位置におけるTi含有割合は、上記のとおり、蒸着時の反応ガス中のTiClの含有率によって影響されるが、 組成変化Ti含有Al23層における中間領域(例えば、0.3μmの層厚の組成変化Ti含有Al23層にあっては、その厚さの1/3、即ち、層厚方向中央部の0.1μmの厚さの領域)のTi含有割合は、Alとの合量に占める割合(Ti×100/(Al+Ti))で2〜5原子%であることが必要である。組成変化Ti含有Al23層における中間領域における最大Ti含有割合が2原子%未満であると、Ti含有による上部層の靭性向上効果が少ないため耐チッピング性の向上効果が小さく、また、ルチル型Ti酸化物(TiO)の形成も少ないため切削加工時の潤滑性向上効果も期待し難い。一方、組成変化Ti含有Al23層における中間領域における最大Ti含有割合が5原子%を超えると、交互積層を構成するAl23層との密着強度の低下、上部層の高温硬さの低下がみられ、さらに、Al23結晶粒界への粗大なTi化合物の析出が生じ、粒界強度が低下してくることから、耐チッピング性、耐摩耗性の点から不利となる。したがって、Al23層における中間領域における最大Ti含有割合を2〜5原子%と定めた。
また、組成変化Ti含有Al23層に隣接するAl23層の界面へは、組成変化Ti含有Al23層からのTiの拡散が生じるが、Al23層との界面近傍の組成変化Ti含有Al23層におけるTi含有割合は少ない(蒸着初期、後期には、反応ガス中のTiClガス成分の含有割合は少ない)ことから、交互積層における層間密着強度は非常に高く、層間剥離が生じることはない。
交互積層構造を構成する組成変化Ti含有Al23層の一層平均層厚が0.3μm未満であると、靭性向上、潤滑性向上作用が十分でなく、一方、一層平均層厚が0.5μmを超えると、交互積層構造からなる上部層全体としての高温硬さの低下、層間密着強度の低下による、耐摩耗性および耐チッピング性が劣化するので、組成変化Ti含有Al23層の一層平均層厚は0.3〜0.5μmと定めた。
(d)交互積層構造からなる上部層
所定の一層平均層厚のAl23層と、所定の一層平均層厚の組成変化Ti含有Al23層との交互積層構造として上部層は形成されるが、上部層全体としての層厚が3μm未満では、長期の使用にわたってすぐれた耐摩耗性を発揮することができず、一方、層厚が15μmを超えると、チッピング等が発生しやすくなることから、上部層全体としての層厚を3〜15μmと定めた。
本発明の被覆工具は、硬質被覆層の下部層をTi化合物層から構成し、また、その上部層を、Al23層と組成変化Ti含有Al23層との交互積層構造として構成していることにより、上部層が、すぐれた高温硬さ、耐熱性とともに、すぐれた耐チッピング性、耐欠損性、耐剥離性、潤滑性を備え、したがって、これを、溶着性が高く、かつ、切刃に対して大きな衝撃的・機械的負荷が繰り返し作用する軟鋼やステンレス鋼等の難削材の断続重切削加工に用いた場合にも、チッピング、欠損、剥離等の異常損傷を発生することなく、長期の使用にわたって、すぐれた耐摩耗性を発揮するものである。
つぎに、本発明の被覆工具を実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、ZrC粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr3 2 粉末、TiN粉末、およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、98MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を5Paの真空中、1370〜1470℃の範囲内の所定の温度に1時間保持の条件で真空焼結し、焼結後、切刃部にR:0.07mmのホーニング加工を施すことによりISO・CNMG120408に規定するスローアウエイチップ形状をもったWC基超硬合金製の工具基体A〜Fをそれぞれ製造した。
また、原料粉末として、いずれも0.5〜2μmの平均粒径を有するTiCN(質量比でTiC/TiN=50/50)粉末、Mo2 C粉末、ZrC粉末、NbC粉末、TaC粉末、WC粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これら原料粉末を、表2に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、98MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を1.3kPaの窒素雰囲気中、温度:1540℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、切刃部分にR:0.07mmのホーニング加工を施すことによりISO規格・CNMG120412のチップ形状をもったTiCN基サーメット製の工具基体a〜fを形成した。
これらの工具基体A〜Fおよび工具基体a〜fの表面に、通常の化学蒸着装置を用い、表3(表3中のl−TiCNは特開平6−8010号公報に記載される縦長成長結晶組織をもつTiCN層の形成条件を示すものであり、これ以外は通常の粒状結晶組織の形成条件を示すものである)に示される条件にて、表5に示される目標層厚のTi化合物層を硬質被覆層の下部層として蒸着形成した。
ついで、表3に示される条件で、表5に示される一層平均目標層厚でAl層を蒸着するとともに、表4に示される条件で、表5に示される一層平均目標層厚で組成変化Ti含有Al層を蒸着し、
さらに、上記Al層と上記組成変化Ti含有Al層との蒸着を交互に繰り返し行い、交互積層構造からなる上部層を、表5に示される目標層厚になるように蒸着形成し、本発明被覆工具1〜13をそれぞれ製造した。
また、比較の目的で、工具基体A〜Fおよび工具基体a〜fの表面に、表3に示される条件にて、表6に示される目標層厚のTi化合物層を硬質被覆層の下部層として蒸着形成した(本発明被覆工具1〜13の下部層形成と同条件)後、本発明範囲から外れる条件でこれらの上部層を蒸着形成することにより、比較被覆工具1〜13を製造した。
本発明被覆工具1〜13の組成変化Ti含有Al層について、Tiの最大含有割合(原子%)を、層厚方向でのオージェライン分析により測定した。
その結果を、表6に示す。
また、上部層として組成変化Ti含有Al層あるいは均一組成Ti含有Al層を蒸着形成した比較被覆工具について、同様に、Tiの(最大)含有割合(原子%)を、層厚方向でのオージェライン分析により測定した。
その結果を表7に示す。
また、本発明被覆工具1〜13および比較被覆工具1〜13の硬質被覆層の構成層の厚さを、走査型電子顕微鏡を用いて測定(縦断面測定)したところ、いずれも目標層厚と実質的に同じ平均層厚(5点測定の平均値)を示した。
つぎに、上記の各種の被覆工具をいずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、本発明被覆工具1〜13および従来被覆工具1〜13のそれぞれについて、次の切削条件A、Bで断続重切削試験を行った。
[切削条件A]
被削材:JIS・S10Cの長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒
切削速度: 200 m/min、
切り込み: 2.0 mm、
送り: 0.3 mm/rev.、
切削時間: 20 分、
の条件での軟鋼の湿式断続高切り込み切削試験(通常の切り込みは、1.5mm)、
[切削条件B]
被削材:JIS・SUS304の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒
切削速度: 150 m/min、
切り込み: 1.7 mm、
送り: 0.45 mm/rev.、
切削時間: 18 分、
の条件でのステンレス鋼の乾式断続高送り切削試験(通常の送りは、0.3mm/rev.)、
を行い、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表6に示した。
Figure 2010274330
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表5〜7に示される結果から、本発明被覆超硬切削工具1〜13は、硬質被覆層の上部層が、Al2 3層と組成変化Ti含有Al2 3層の交互積層構造として構成され、上部層が、すぐれた高温硬さ、耐熱性とともに、すぐれた耐チッピング性、耐欠損性、耐剥離性、潤滑性を備え、したがって、これを、溶着性が高く、かつ、切刃に対して大きな衝撃的・機械的負荷が繰り返し作用する軟鋼やステンレス鋼等の難削材の断続重切削加工に用いた場合にも、チッピング、欠損、剥離等の異常損傷を発生することなく、長期の使用にわたって、すぐれた耐摩耗性を発揮するものである。
これに対して、硬質被覆層の上部層が本発明範囲外の組成変化Ti含有Al2 3層、均一組成Ti含有Al2 3 層、Al2 3 層のみ等で構成されている比較被覆工具1〜13は、耐チッピング、耐摩耗性等が劣り、工具寿命が短いものであった。
上述のように、この発明の被覆工具は、すぐれた高温硬さ、耐熱性とともに、すぐれた耐チッピング性、耐欠損性、耐剥離性、潤滑性を備えるので、通常の条件での鋼や鋳鉄の連続切削および断続切削は勿論のこと、きわめて苛酷な切削条件である難削材の断続重切削においても、チッピング等の異常損傷を発生することもなく、長期に亘ってすぐれた切削性能を発揮するものであり、切削加工の省エネ化および省力化に十分満足に対応できるものである。

Claims (1)

  1. 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、1〜15μmの層厚を有する下部層と、3〜15μmの層厚を有する上部層とで構成された硬質被覆層を蒸着形成してなる表面被覆切削工具において、
    上記下部層は、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1種または2種以上からなるTi化合物層で構成され、
    また、上記上部層は、一層平均層厚0.8〜1.5μmの酸化アルミニウム層と一層平均層厚0.3〜0.5μmのチタン含有酸化アルミニウム層との交互積層構造として構成され、
    さらに、上記チタン含有酸化アルミニウム層中のチタン含有割合は、層厚方向の中間領域において、チタン含有割合が最大となるような組成変化を示し、かつ、該チタン含有割合の最大値は2〜5原子%であることを特徴とする表面被覆切削工具。
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JP2013129030A (ja) * 2011-12-22 2013-07-04 Mitsubishi Materials Corp 硬質被覆層が高速断続切削ですぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具
JP2016087709A (ja) * 2014-10-30 2016-05-23 三菱マテリアル株式会社 高速断続切削加工においてすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具

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