以下、本発明に係る車線検出装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る車線検出装置1は、図1に示すように、主に撮像手段2と処理部5とで構成されている。撮像手段2は、本実施形態では、例えばCCDやCMOSセンサ等のイメージセンサが内蔵されたカメラ等の単眼の撮像手段が用いられているが、複数設けられた撮像手段のうちの単数または複数の撮像手段により撮像された単数または複数の画像に対して本発明に係る処理を施すように構成することも可能である。
また、本実施形態では、撮像手段2は、例えば図2に示すような画像Tを撮像する場合、画像Tの各水平ラインjの最も左側の撮像素子から順に右方向に走査し、また、走査する水平ラインjを最も下側のラインから順に上方に切り替えながら撮像するようにして、各撮像素子で撮像された順に輝度Dの各データを変換手段3に順次送信するようになっている。
変換手段3は、A/Dコンバータで構成されており、撮像手段2で各撮像素子(各画素p)ごとに撮像された輝度Dの各データが順次送信されてくると、各画素pの輝度Dのデータをそれぞれ例えば256階調等のグレースケールのデジタル値の輝度Dのデータに変換して画像補正部4に出力するようになっている。画像補正部4は、送信されてきた輝度Dの各データに対してずれやノイズの除去、輝度の補正等の画像補正を順次行い、画像補正した輝度Dの各データを処理部5に順次送信するようになっている。
処理部5は、本実施形態では、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータで構成されている。処理部5は、統合手段6や道路面検出手段7と、車線候補点検出手段8と、車線検出手段9を備えている。
また、処理部5に、車速センサやヨーレートセンサ、ステアリングホイールの舵角を測定する舵角センサ等のセンサ類Qが接続されており、それらから各測定値が入力されるようになっている。なお、処理部5において、さらに、他の処理を行うように構成することも可能である。
なお、以下の説明では、例えば図2に示した画像Tにおける画素について、画像Tの左下隅の画素を原点とし、右向きにi軸、上向きにj軸をとった場合の画素の座標(i,j)を用いて、画素pi,jのように表す。また、画素pi,jの輝度DをDi,jのように表す。
本実施形態では、撮像手段2から画像Tの各画素pの輝度Dのデータが順次入力されてくると、統合手段6は、入力された画素pi,j(以下、入力画素pi,jという。)の輝度Di,jと、入力画素pi,jに隣接する画素pの輝度Dとを比較し、また、入力画素pi,jの輝度Di,jと、それに隣接する画素pが属するグループgに属する全画素pの各輝度Dの平均値とを比較して、後述する条件に適合する場合に入力画素pi,jと隣接する画素pとを1つのグループgに統合するようになっている。
この統合処理は、上記のように画像Tの各画素pの輝度Dのデータが順次入力されてくるごとに行われ、最終的に、送信されてきた1画像分の全画素pについて行われて、画像Tの各画素pが複数のグループgに分割されるようになっている。
また、道路面検出手段7は、統合手段6により統合されたグループgの平均輝度と面積がそれぞれ所定の閾値の範囲内である場合に、当該グループgを道路面グループGとして検出するようになっている。
以下、図3〜図6のフローチャートに従って、統合手段6と道路面検出手段7における処理について説明する。
統合手段6は、撮像手段2により今回のサンプリング周期での撮像が開始されると(図3のステップS1)、まず、その時点でセンサ類Qから入力された自車両の車速Vやヨーレートγ、ステアリングホイールの舵角δ等の情報に基づいて自車両の旋回曲率Cuaを算出し、チェック領域Rを設定するようになっている(ステップS2)。
後述するように、道路面検出手段7はグループgの平均輝度や面積に基づいて道路面グループGを検出するが、その際、空に対応するグループg(後述する図15のグループgsky参照)等を道路面グループGとして検出してしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、統合手段6は、自車両の挙動情報に基づいて今後進行すると推定される進行路領域を算出し、その進行路領域において、ある程度の画素を有するグループgを動路面グループとして検出する。具体的には、まず、自車両の車速Vやヨーレートγ、ステアリングホイールの舵角δ等の情報に基づいて自車両の旋回曲率Cuaを下記(1)式または下記(2)、(3)式に従って算出する。
Cua=γ/V …(1)
Re=(1+Asf・V2)・(Lwb/δ) …(2)
Cua=1/Re …(3)
ここで、上記の各式において、Reは旋回半径、Asfは車両のスタビリティファクタ、Lwbはホイールベースである。
そして、図7に示すように、算出した自車両MCの旋回曲率Cuaに基づいて自車両が今後進行すると推定される推定軌跡Lestを算出し、その推定軌跡Lestを中心として左右方向に所定距離離間した位置までの範囲を自車両MCの進行路として算出する。そして、例えば図8に示すように、上記範囲すなわち自車両MCの進行路を画像T上に割り当てることで、画像T中にチェック領域Rを設定し、チェック領域R内に少なくともある程度の画素を有するグループgを道路面グループGとして検出するようになっている。
なお、チェック領域Rを、例えば、過去のサンプリング周期で検出された車線の位置の情報とその後の自車両の挙動から今回のサンプリング周期における車線の位置を推定し、推定された車線の位置を左右端とする領域として設定することも可能である。また、図8や後述する図15等では、空や街路樹に対応するグループgsky、gtreeがグループ化される可能性があることを示すために、CCDカメラ等の撮像手段2を意図的に上向きに設置して撮像された図が示されている。
続いて、統合手段6は、撮像手段2から最初に画素pi,jの輝度Di,jのデータが送られてくる画像Tのj=0の水平ラインjすなわち水平ライン0における画素数閾値Nth(0)を算出して設定し(図3のステップS3)、iおよびjの値としてそれぞれ0を設定するようになっている(ステップS4)。
ここで、画素数閾値Nthは、道路面上に標示される横断歩道の各白線ブロック等に対応するグループgを道路面グループGとして検出しないようにするための閾値であり、例えば、実空間上の横幅として60cmの横幅に設定される。
この実空間上の横幅を、例えば一対のCCDカメラ等で撮像された一対の画像に基づくステレオマッチング等の手法で算出することも可能であるが、本実施形態では、予め画像Tの水平ラインjごとに1画素あたりの実空間上の横方向の横幅を算出しておき、統合手段6は、水平ラインjごとに実空間上の60cmの横幅に対応する画素数を算出して当該水平ラインjにおける画素数閾値Nthとして割り当てるようになっている。
前述したように、撮像手段2で撮像された水平ライン0上の左端の画素p0,0(すなわち原点の画素)の輝度D0,0のデータの入力が開始されると(ステップS5)、処理部5には画素p1,0、p2,0、p3,0、…の輝度D1,0、D2,0、D3,0、…のデータが順次入力されてくる。そして、統合手段6は、水平ラインjの右端の画素まで統合処理を完了していなければ(ステップS6;NO)、i座標を1ずつインクリメントしながら統合処理を続行する(ステップS7)。
また、水平ラインjの右端の画素まで統合処理を完了すると(ステップS6;YES)、統合手段6は、画像Tの最上段の水平ラインまで統合処理が終了していなければ(ステップS8;NO)、jをインクリメントし、iに0を設定して(ステップS9)、統合処理を行う水平ラインを1行上方の水平ラインjに移行させて統合処理を続行する。その際、統合手段6は、移行させた水平ラインjにおける画素数閾値Nth(j)を算出して設定する(ステップS10)。
次に、図4のステップS11以降の処理について説明する。統合手段6は、まず、入力画素pi,jと、図9に示すように入力画素pi,jが入力するより以前に入力されていて入力画素pi,jの左に隣接する画素pi-1,jについて、下記の条件1や条件2を満たすか否かの判定を行う(ステップS11)。
[条件1]入力画素pi,jの輝度Di,jと、左に隣接する画素pi-1,jの輝度Di-1,jとの差分ΔDleft(i,j)、すなわち、
ΔDleft(i,j)=|Di,j−Di-1,j| …(4)
が、予め設定された第1輝度閾値ΔDth未満である。以下、上記のような隣接する画素間の輝度Dの差分ΔDをエッジ強度という。
[条件2]図10に示すように、入力画素pi,jの輝度Di,jと、左に隣接する画素pi-1,jが属するグループgに属する全画素の輝度Dの平均値Dave-leftとの差分δDleft(i,j)、すなわち、
δDleft(i,j)=|Di,j−Dave-left| …(5)
が、予め設定された第2輝度閾値δDth未満である。以下、上記のように入力画素pi,jの輝度Di,jと隣接する画素が属するグループgの輝度Dの平均値Daveとの差分δDを平均値差分という。
なお、隣接する画素が属するグループgの輝度Dの平均値Daveは、後述する図5のステップS25の算出処理で算出されている。また、左に隣接する画素pi-1,jが属するグループgが当該左に隣接する画素pi-1,jのみで構成されている場合もあり、その場合、グループgに属する全画素の輝度Dの平均値Dave-leftは、当該左に隣接する画素pi-1,jの輝度Di-1,jに等しい。さらに、本実施形態では、第1輝度閾値ΔDthと第2輝度閾値δDthとは同じ値に設定されているが、異なる値に設定されてもよく、適宜設定される。また、第1輝度閾値ΔDthと第2輝度閾値δDthの値を状況に応じて可変させて設定することも可能である。
統合手段6は、条件1と条件2をともに満たすと判定した場合には(ステップS11;YES)、ステップS12の判定処理に進み、条件1と条件2の少なくとも一方を満たさないと判定した場合には(ステップS11;NO)、ステップS15の判定処理に進む。
統合手段6は、ステップS11の判定処理で、条件1と条件2をともに満たすと判定すると(ステップS11;YES)、続いて、入力画素pi,jと、図11に示すように入力画素pi,jが入力されるより以前に入力されていて入力画素pi,jの下に隣接する画素pi,j-1について、上記と同様に、下記の条件3や条件4を満たすか否かの判定を行う(ステップS12)。
[条件3]入力画素pi,jの輝度Di,jと、下に隣接する画素pi,j-1の輝度Di,j-1とのエッジ強度ΔDlower(i,j)、すなわち、
ΔDlower(i,j)=|Di,j−Di,j-1| …(6)
が、予め設定された前述した第1輝度閾値ΔDth未満である。
[条件4]図12に示すように、入力画素pi,jの輝度Di,jと、下に隣接する画素pi,j-1が属するグループgに属する全画素の輝度Dの平均値Dave-lowerとの平均値差分δDlower(i,j)、すなわち、
δDlower(i,j)=|Di,j−Dave-lower| …(7)
が、予め設定された前述した第2輝度閾値δDth未満である。
そして、統合手段6は、条件3と条件4の少なくとも一方を満たさないと判定した場合には(ステップS12;NO)、入力画素pi,jを、下に隣接する画素pi,j-1とは統合しないが、ステップS11の判定処理で上記の条件1と条件2を満たすと判定しているため、入力画素pi,jと左に隣接する画素pi-1,jとを1つのグループに統合する(ステップS13)。
その際、例えば図9に示したように、左に隣接する画素pi-1,jが他の画素とグループ化されていなければ、入力画素pi,jと左に隣接する画素pi-1,jとが1つのグループに統合されて、左右に隣接する2つの画素からなるグループが新たに形成される。また、例えば図10に示したように、左に隣接する画素pi-1,jが他の画素と統合されていてグループgに属していれば、入力画素pi,jがグループgに追加されるように統合され、グループgが入力画素pi,jの分だけ1画素分拡大する。
なお、左に隣接する画素pi-1,jが属するグループgが例えば図13(A)に示すような形状である場合に、ステップS12の判定処理で、条件3と条件4の少なくとも一方を満たさないと判定されて(ステップS12;NO)、入力画素pi,jが下に隣接する画素pi,j-1と統合されない場合でも、図13(B)に示すように、入力画素pi,jが左に隣接する画素pi-1,jと統合されることで(ステップS13)、結果的に、入力画素pi,jが下に隣接する画素pi,j-1と1つのグループgに統合される場合もある。
次に、統合手段6は、ステップS12の判定処理で、条件3と条件4をともに満たすと判定した場合には(ステップS12;YES)、入力画素pi,jと、下に隣接する画素pi,j-1および左に隣接する画素pi-1,jとを1つのグループに統合する(ステップS14)。
その際、例えば図11に示したように、下に隣接する画素pi,j-1や左に隣接する画素pi-1,jがともに他の画素とグループ化されていなければ、入力画素pi,jと下に隣接する画素pi,j-1と左に隣接する画素pi-1,jが1つのグループに統合されて3つの画素からなるグループが新たに形成される。また、例えば図10や図12に示したように、下に隣接する画素pi,j-1または左に隣接する画素pi-1,jのいずれか一方が他の画素と統合されていてグループgに属していれば、入力画素pi,jとグループgに属していない方の画素とがグループgに追加されるように統合されて、グループgが2画素分拡大する。
また、例えば図14(A)に示すように、左に隣接する画素pi-1,jがグループg1に属し、下に隣接する画素pi,j-1が他のグループg2に属している場合、入力画素pi,jと下に隣接する画素pi,j-1および左に隣接する画素pi-1,jとを統合すると(ステップS14)、図14(B)に示すように、入力画素pi,jを介してグループg1とグループg2とが統合されて1つのグループgとなる。
一方、統合手段6は、ステップS11の判定処理で、条件1と条件2の少なくとも一方を満たさないと判定した場合には(ステップS11;NO)、ステップS15の判定処理に進み、上記と同様に、条件3や条件4を満たすか否かの判定を行う(ステップS15)。
そして、統合手段6は、条件3と条件4をともに満たすと判定した場合には(ステップS13;YES)、ステップS9の判定処理で条件1と条件2の少なくとも一方を満たさないと判定しているため(ステップS9;NO)、入力画素pi,jと、左に隣接する画素pi-1,jとを統合せず、下に隣接する画素pi,j-1のみと1つのグループに統合する(ステップS14)。その際、入力画素pi,jと下に隣接する画素pi,j-1とを1つのグループに統合した結果(ステップS16)、左に隣接する画素pi-1,jと統合される場合があることは図13(A)、(B)に示したケースから容易に類推される。
また、統合手段6は、ステップS15の判定処理で、条件3と条件4の少なくとも一方を満たさないと判定した場合には(ステップS15;NO)、入力画素pi,jを、左に隣接する画素pi-1,jとも下に隣接する画素pi,j-1とも統合せず、入力画素pi,jのみが属する新たなグループgとして登録する(ステップS17)。なお、統合処理の際、統合したグループgの画素数が非常に小さくノイズ等のように無視してよいグループであり、画素数がそれ以上増加しない場合に、そのようなグループgをグループの登録から削除して、道路面グループGであるか否かの判定の対象としないように構成することも可能である。
統合手段6は、入力画素pi,jをグループgに統合すると(ステップS13、S14、S16)、例えば図14(B)に示したように、複数のグループを統合して1つのグループとした場合には、1つに統合したグループgのグループ番号を、統合の対象となった複数のグループの各グループ番号のうちの例えば最も小さい番号を選択する等して必要に応じて更新する。また、入力画素pi,jを新たなグループgとして登録した場合には(ステップS17)、その新規のグループgに新たなグループ番号を付与する(ステップS18)。
また、統合手段6は、入力画素pi,jをグループgに統合したり(ステップS13、S14、S16)、入力画素pi,jを新たなグループgとして登録すると(ステップS17)、当該グループgの当該水平ラインjにおける左端および右端の画素の各座標や、当該グループg全体の左右端および上下端の画素の各座標、当該グループgの中心点の座標等に変更があれば算出して更新し、図示しない記憶手段にそれらの情報を保存するようになっている。
続いて、統合手段6は、入力画素pi,jを新たなグループgとして登録した場合(ステップS17)には、当該グループgに対応付ける後述する条件成立フラグFを0に設定する(図5のステップS19)。
また、入力画素pi,jをグループgに統合したことにより(ステップS14)、複数のグループが統合されて1つのグループとされた場合(例えば図14(B)参照)には、統合手段6は、統合の対象となった複数のグループの中に条件成立フラグFが1のグループがあれば、1つに統合された当該グループgの条件成立フラグFを1に設定し、統合の対象となった複数のグループの条件成立フラグFがすべて0であれば、1つに統合された当該グループgの条件成立フラグFを0に設定する(ステップS19)。
続いて、統合手段6は、現在、統合処理を行った当該グループgの条件成立フラグFが0であれば(ステップS20;YES)、当該グループgの当該水平ラインj(画素行j)における画素数Njを計数する(ステップS21)。そして、図3のステップS3やステップS10の設定処理で設定した当該水平ラインjにおける画素数閾値Nth(j)を参照して、計数した画素数Njが画素数閾値Nth(j)以上であれば(ステップS22;YES)、当該グループgの条件成立フラグFを1に切り替える(ステップS23)。また、計数した画素数Njが画素数閾値Nth(j)以上でなければ(ステップS22;NO)、当該グループgの条件成立フラグFを0のままとする。
あるグループgの水平ラインjにおける画素数Njが画素数閾値Nth(j)以上の場合に当該グループgの条件成立フラグFが1に切り替えられる(ステップS23)ことから分かるように、条件成立フラグが1であることは、当該グループgの各画素行jの中に画素数閾値Nth(j)以上すなわち実空間上の横幅として60cmの横幅以上となる画素行jが存在することを意味する。
そして、グループgに対する道路面上の撮像対象が実空間上で60cm以上の横幅となる部分を有するものであれば、それは道路面上に標示される横断歩道の各白線ブロック等ではなく、道路面の路面領域であると考えられる。そのため、後述するように、条件成立フラグFが1であれば当該グループgは道路面グループGとして検出される可能性があるが、条件成立フラグFが0であれば当該グループgは道路面グループGの検出の対象から排除される。
また、そのため、現在、統合処理が行われた当該グループgの条件成立フラグFが既に1であれば(ステップS20;NO)、当該グループgには画素数閾値Nth(j)以上となる画素行jが既に存在することになるため、ステップS21〜S23の各処理を改めて行う必要がない。そのため、現在、統合処理が行われた当該グループgの条件成立フラグFが1であれば(ステップS20;NO)、ステップS21〜S23の各処理を行わずにスキップするようになっている。
統合手段6は、統合処理を行った当該グループgの画素数Nを算出する(ステップS24)。すなわち、入力画素pi,jを新規のグループgとして登録した場合には当該グループgの画素数Nを1とし、入力画素pi,jをグループgに統合した場合には当該グループgの画素数Nを1だけ増加させ、入力画素pi,jをグループgに統合したことで他の1つの画素pもグループgに統合される場合には当該グループgの画素数Nを2だけ増加させ、また、入力画素pi,jを介して2つのグループg1、g2を統合して1つのグループgとした場合には、当該1つに統合したグループgの画素数Nをグループg1、g2の各画素数の和に入力画素pi,jの1画素を加えた画素数として算出する。
統合手段6は、続いて、当該グループgに属する各画素pの輝度Dの合計を算出し、それを当該グループgの画素数Nで除算して、当該グループgに属する各画素pの輝度Dの平均値Daveを算出して更新する(ステップS25)。この場合、入力画素pi,jが新規のグループgとして登録された場合には、当該グループgの画素数Nは1であるから、入力画素pi,jの輝度Di,jが当該グループgに属する画素pの輝度Dの平均値Daveとなる。
また、統合手段6は、図3のステップS2の設定処理で設定したチェック領域Rに基づいて、入力画素pi,jがチェック領域R内にあるか否かを判定し(ステップS26)、入力画素pi,jがチェック領域R内にあれば(ステップS26;YES)、当該グループgがチェック領域R内に占める画素数Anを面積として算出する(ステップS27)。
すなわち、入力画素pi,jがチェック領域R内にある場合(ステップS26;YES)、入力画素pi,jを新規のグループgとして登録した場合には当該グループgのチェック領域R内に占める画素数Anを1とし、入力画素pi,jのみをグループgに統合した場合には当該グループgのチェック領域R内の画素数Anを1だけ増加させる。
また、入力画素pi,jをグループgに統合したことにより他の1つの画素pもグループgに統合された場合には、当該他の1つの画素pがチェック領域R内にあれば当該グループgのチェック領域R内の画素数Anを2だけ増加させ、当該他の1つの画素pがチェック領域R内になく、入力画素pi,jのみがチェック領域R内にある場合には、当該グループgのチェック領域R内の画素数Anを1だけ増加させる。
また、入力画素pi,jを介して2つのグループg1、g2を統合して1つのグループgとした場合には、当該1つに統合したグループgのチェック領域R内の画素数Anを、グループg1、g2の各面積Aの画素数Anの和に入力画素pi,jの1画素を加えた画素数として算出する。
そして、統合手段6は、画像Tの最上段の水平ラインの統合処理が終了するまで(図3のステップS8)、上記の各処理を入力画素pi,jに対して繰り返すようになっている。
統合手段6により画像Tの最上段の水平ラインまで統合処理が終了すると(ステップS8;YES)、各画素pが各グループgに統合され、最終的に、画像Tの各画素pが複数のグループgに分割される。例えば図8に示した画像Tの各画素pは、統合処理により、図15に濃淡で分けて表されるような複数のグループgにそれぞれ統合される。
次に、道路面検出手段7は、図5のステップS24の算出処理で算出されたグループgに属する全画素数Nをグループgの縦方向の画素行jの行数で除算して画素数の平均値Naveを算出し、この画素数の平均値Naveとして各グループgの横幅の平均値Waveを算出する(図6のステップS28)。この横幅の平均値Waveは、前述した横断歩道の各白線ブロック等よりもさらに細く標示される車線等の標示に対応するグループgを道路面グループGとして検出しないようにするために用いられる情報である。
上記の画素数閾値Nth(j)のみを用いて、当該グループgの各画素行jの中に実空間上の横幅として60cmの横幅以上となる画素行jが存在するグループgを道路面グループGの検出の対象とすると、例えば図16に示すように、画像T中に車線LL、LRに連続して標示される停止線SL等が撮像されているような場合に、車線LL、LRに対応するグループgの水平ラインjにおける画素数Njが停止線SLの部分で大きくなって画素数閾値Nth(j)以上となる。そのため、当該グループgは画素数閾値Nth(j)に基づく判定処理(図5のステップS22)をクリアして条件成立フラグFが1とされ、道路面グループGとして検出されてしまう可能性が生じる。
そこで、これを回避するため、本実施形態では、道路面検出手段7は、上記のようにグループgの横幅の平均値Waveを算出し(図6のステップS28)、横幅の平均値Waveが、道路面上に15cm程度の横幅で標示される車線よりやや大きめの横幅に相当する画素数に設定された平均値閾値Nave_th未満であれば(後述するステップS31;NO)、当該グループgは車線LL、LR等に対応するグループgである可能性がある。そのため、グループgを道路面グループGとして検出しないようになっている。
なお、画像T中に撮像された車線LL、LR等の横幅は、道路面の横幅に比べれば非常に小さく画素数も少ない。そのため、本実施形態では、この横幅の平均値Waveを算出する算出処理では、処理の単純化を図ることを目的として、実空間上の横幅を算出する代わりに上記のようにグループgに属する全画素数Nをグループgの縦方向の画素行jの行数で除算した画素数として横幅の平均値Naveを算出するようになっている。
道路面検出手段7は、続いて、各グループgについて、当該グループgが道路面グループGであるか否かを判定し、条件を満たす場合には、当該グループgを道路面グループGとして検出して登録するようになっている。
具体的には、道路面検出手段7は、まだ判定していないグループgがあれば(ステップS29;YES)、まず、当該グループgの条件成立フラグFが1であるか否かを判定して(ステップS30)、条件成立フラグFが0であれば(ステップS30;NO)、当該グループgには実空間上で60cm以上の横幅の部分がなく、横断歩道の各白線ブロック等に対応するグループgである可能性があるため、当該グループgを道路面グループGの検出の対象から排除し、当該グループgについての判定処理を終了する。
道路面検出手段7は、続いて、上記ステップS28の算出処理で当該グループgについて算出した画素数として横幅の平均値Naveが、設定された平均値閾値Nave_th以上であるか否かを判定し(ステップS31)、横幅の平均値Naveが平均値閾値Nave_th以上でなければ(ステップS31;NO)、上記のように当該グループgを道路面グループGの検出の対象から排除し、当該グループgについての判定処理を終了する。
道路面検出手段7は、続いて、図5のステップS25の算出処理で算出した当該グループgの各画素pの輝度Dの平均値Daveが予め設定された輝度平均閾値Dave_th以下であれば(ステップS32;NO)、当該グループgを道路面グループGの検出の対象から排除し、当該グループgについての判定処理を終了する。
通常、道路面の路面領域は暗い輝度に撮像される。そのため、この輝度平均閾値Dave_thは、道路面の路面領域の画素pの輝度Dとして検出される程度の低い輝度に設定される。そして、仮に上記のステップS30やステップS31の判定処理で横断歩道や停止線、車線、数字、文字、矢印等の路面上の標示に対応するグループgが道路面グループGの検出の対象から排除されなかった場合でも、このステップS32の判定処理で判定対象から排除される。
また、図15に示したように、空に対応するグループgskyが画像T中に撮像されている場合、空に対応するグループgskyは高輝度であるため、グループgskyも、このステップS32の判定処理で道路面グループGの検出の対象から排除される。しかし、曇天や雨天等の場合には、空に対応するグループgskyも低い輝度に撮像される場合がある。また、図15に示したように、道路脇の街路樹に対応するグループgtreeも上記の各ステップS30〜S32の判定処理をクリアしてしまう場合がある。
そこで、道路面検出手段7は、続いて、図5のステップS27の算出処理で算出した当該グループgのチェック領域R内に占める面積としての画素数Anが、予め設定された面積閾値Ath以上であるか否かを判定し(ステップS33)、画素数Anが面積閾値Ath以上でなければ(ステップS33;NO)、当該グループgを道路面グループGの検出の対象から排除し、当該グループgについての判定処理を終了する。
このように構成すれば、図15に示した空や街路樹に対応するグループgsky、gtreeのチェック領域R内に占める画素数Anは0になるため、それらのグループgsky、gtreeをこのステップS33の判定処理で道路面グループGの検出の対象から排除することが可能となる。
道路面検出手段7は、当該グループgが上記のステップS30〜S33の判定処理をすべてクリアすると、当該グループgを道路面グループGとして検出して記憶手段に登録する(ステップS34)。そして、判定していないグループgがあれば(ステップS29;YES)、ステップS30〜S34の処理を繰り返すようになっている。
また、統合手段6と道路面検出手段7は、全てのグループgについての処理が終了すると(ステップS29;NO)、今回のサンプリング周期で撮像手段2から入力された1画像分の画像Tに対する処理を終了し、撮像手段2により次のサンプリング周期での撮像が開始されると(図3のステップS1)、改めてステップS2からの各処理を実行するようになっている。
例えば、図15に示した各グループgのうち、図17に示すようにグループG1〜G4が道路面グループGとして検出される。そして、これらのグループG1〜G4を画像T上でつなぎ合わせることで、画像Tから道路面の路面領域を抽出することが可能となる。これらの道路面グループGとしてのグループG1〜G4の各情報等は、必要に応じて外部装置に出力されるようになっている。
次に、車線候補点検出手段8は、上記のように各グループgに分割された画像T(図15や図17参照)において道路面グループG(G1〜G4)以外の画像部分を探索して、車線のエッジ部分に対応する車線候補点cl、crを検出するようになっている。
本実施形態では、車線候補点検出手段8は、道路面グループG(G1〜G4)以外の画像部分の画素pのうち、道路面グループGの輝度D(すなわち上記の道路面グループGの各画素pの輝度Dの平均値Dave)との差が所定の閾値以上であり、かつ、隣接する画素pとの輝度差が所定の閾値以上に変化する画素cl、crを車線候補点cl、crとして検出するようになっている。道路面グループGの輝度Dの平均値Daveは、上記のように統合手段6により算出されている(図5のステップS25参照)。
前述した統合手段6における条件2に基づく判定処理の場合と同様に、ここでも、所定の対象となっている画素(以下、探索画素という。)pi,jの輝度Di,jと、道路面グループGの輝度Dの平均値Daveとの差を平均値差分といい、δDで表すが、統合手段6における処理の場合と異なり、車線候補点検出手段8の処理では、探索画素pi,jと道路面グループGが隣接しているとは限らない。また、平均値差分δDに対する閾値は、統合手段6における条件2に基づく判定処理の場合の第2輝度閾値δDthには関わりなく適宜の値に設定されるため、ここではδDth1と表す。
また、探索画素pi,jと隣接する画素pとの輝度差を、前述した統合手段6における条件1に基づく判定処理の場合と同様にエッジ強度ΔDというが、エッジ強度ΔDに対する閾値は、統合手段6における条件1に基づく判定処理の場合の第1輝度閾値ΔDthには関わりなく適宜の値に設定されるため、ここではΔDth1と表す。
以下、本実施形態の車線候補点検出手段8における車線候補点cl、crの検出処理について具体的に説明する。
車線候補点検出手段8は、まず、前述したように統合手段6でチェック領域Rの設定のために上記(1)式または(2)、(3)式を用いて旋回曲率Cuaを算出し、それに基づいて自車両の推定軌跡Lestを算出していればそれを用い、算出されていなければ、上記と同様にして推定軌跡Lestを算出して、図18に示すように、画像T上での推定軌跡Lestの位置を算出する。
なお、図18では、車線検出装置1が立体物検出手段を備え、立体物検出手段により、道路面の上方に存在する立体物O、Sが画像T中に検出されている場合が示されている。車線は道路面に標示されており、道路面の上方にはない。そのため、車線検出装置1に立体物検出手段を設けておけば、車線検出では、画像T中で立体物が検出された画像領域は探索しないで済むため、車線の探索範囲を狭めることが可能となる。
車線候補点検出手段8は、続いて、画像Tの1ライン分の水平ラインjの各画素pの輝度Dのデータを記憶手段から読み出して、画像Tの推定軌跡Lestの位置から左右方向に水平ラインjを探索し、車線候補点cl、crを検出する。そして、この処理を、画像Tの下端の水平ラインjすなわち水平ライン0から始め、水平ラインjを上方に1画素分ずつ移動させながら行うようになっている。なお、水平ラインj上の左右方向への探索は、推定軌跡Lestの位置から行ってもよく、また、画像Tの中心の位置等から行うように構成することも可能である。
また、車線候補点検出手段8は、上記のように道路面検出手段7が検出した道路面グループGの情報すなわち上記の場合は道路面グループG1〜G4の情報を記憶手段から読み出し、この水平ラインj上の探索においては、水平ラインj上の道路面グループG1〜G4に属する画素については探索を行わずにスキップするようになっている。
道路面グループGに属する画素は少なくとも車線に対応する画素ではないからである。また、このように構成することで、無駄な探索を行うことが回避され、処理時間を格段に短縮することが可能となる。推定軌跡Lestの位置の画素pは道路面グループGに属していることが多いため、大抵の場合、探索開始直後は探索がスキップされる。なお、以下、水平ラインjを右方向に探索した場合について説明するが、左側に探索した場合も同様に説明される。
車線候補点検出手段8は、水平ラインj上の道路面グループGに属する画素pの右に隣接する探索画素pi,jから、上記のように、道路面グループGの輝度Dの平均値Daveとの差すなわち平均値差分δDが閾値δDth1以上であり、かつ、左に隣接する画素pとの輝度差すなわちエッジ強度ΔDが閾値ΔDth1以上であるか否かの判定を開始する。水平ラインj上に複数の道路面グループG1〜G4が存在する場合には、判定を開始した探索画素pi,jの左に隣接する道路面グループGの輝度Dの平均値Daveが用いられる。
探索画素pi,jの輝度Di,jを探索していくと例えば図19に示すように推移し、車線候補点検出手段8は、上記の条件を満たす探索画素pi,jを車線候補点crとして検出するようになっている。そして、車線候補点crが属するグループgやその右方に存在するグループgを車線グループGlineとして検出して記憶手段に登録するようになっている
また、本実施形態では、車線候補点検出手段8は、水平ラインj上で検出した車線候補点crに対応する車線の終了点(以下、車線終了点という。)creを検出するようになっている。
なお、車線候補点検出手段8は、本実施形態では、車線候補点crが属するグループg(車線グループGline)については車線終了点creの探索を行わずにスキップし、水平ラインj上を探索して画素が他のグループgに属するものとなった時点で下記の判定を行い、当該画素が車線終了点creでなければ当該他のグループgを車線グループGlineとして登録し、そのグループg(車線グループGline)についても車線終了点creの探索を行わずにスキップするようにして車線終了点creを探索するようになっている。
また、このように車線グループGlineでの車線終了点creの探索を行わずにスキップすることで、無駄な探索を行うことが回避され、処理時間のさらなる短縮を図ることが可能となる。
本実施形態では、探索画素pi,jと車線グループGlineとの輝度の差すなわち平均値差分δDが負の値に設定された所定の閾値δDth2以下であり、かつ、左に隣接する画素pとの輝度差ΔDが負の値に設定された所定の閾値ΔDth2以下である場合に、当該探索画素pi,jを車線終了点creとして検出するようになっている。
また、図17等に示したように、車線グループGlineの右側に道路面グループGが検出されている場合がある。そして、そのような場合、水平ラインj上で車線グループGlineを探索した後、再度、道路面グループGが見出された場合には、車線グループGlineから道路面グループGに切り替わる画素を車線終了点creとして検出することができる。
そのため、本実施形態では、車線候補点検出手段8は、画像Tの水平ラインj上を探索し、車線グループGlineには属さなくなった画素が道路面グループGに属する場合には、当該画素が上記の車線終了点creの検出条件を満たすか否かに関わりなく、当該画素を車線終了点creとして検出するようになっている。
しかし、車線候補点crと車線終了点creの間に存在する車線グループGlineとして登録された単数または複数の高輝度のグループgが、実際には車線に対応する車線グループGlineではない場合もある。
そこで、例えば、車線終了点creを検出した時点で、車線候補点crと車線終了点creの間の画素数をカウントし、それと前述した水平ラインjごとの1画素あたりの実空間上の横方向の横幅とを乗算する等して車線候補点crと車線終了点creの間の実空間上の間隔を推定し、その間隔が広すぎたり狭すぎたりする場合に車線候補点crや車線終了点creの登録を抹消して削除するように構成することも可能である。なお、ステレオマッチング等の手法で車線候補点crと車線終了点creの実空間上の間隔を検出するように構成することも可能である。
また、本実施形態では、車線候補点検出手段8は、統合手段6により算出されている当該車線グループGlineの画像T中の上端と下端の画素の各座標から当該車線グループGlineの画像T中の縦方向の最大長さを算出し、その最大長さが所定の閾値以下であり小さい場合には、当該車線グループGlineの登録を抹消するとともに、当該車線候補点crや車線終了点creの登録を削除するようになっている。
これは、水平ラインj上で上記の検出条件を満たす車線候補点crや車線終了点creが検出されても、それらの間に存在するグループgの画像T中の縦方向の最大長さが短ければ当該グループgは画像T中に写り込んだ高輝度のノイズ等と考えられ、その場合には、グループgの車線グループGlineとしての登録や車線候補点cr、車線終了点creの登録を抹消して削除することで、車線候補点cr等の誤検出を防止することが可能となるためである。
また、本実施形態では、車線候補点検出手段8は、統合手段6により算出されている当該車線グループGlineの各水平ラインjでの左右端の画素の各座標等から当該車線グループGlineの実空間上の面積と横方向の長さを算出し、車線候補点crと車線終了点creの間に存在する車線グループGlineのうち、面積が最大のグループgのみを車線グループGlineとして登録する。そして、登録した車線グループGlineの面積や横方向の長さが所定の閾値以上である場合には、車線グループGlineの登録を抹消するとともに、車線候補点crや車線終了点creの登録を削除するようになっている。
これは、水平ラインj上で上記の検出条件を満たす車線候補点crや車線終了点creが検出されても、それらの間に存在する面積が最大のグループgが上記の条件を満たす場合、そのグループgは車線に対応する車線グループGlineではなく、例えば道路脇に堆積された雪等であると考えられるためである。そして、そのような場合に、グループgの車線グループGlineとしての登録や車線候補点cr、車線終了点creの登録を抹消して削除することで、車線候補点cr等の誤検出を防止することが可能となるためである。
従って、この場合の面積や横方向の長さに関する閾値は、そのような堆積された雪等を的確に排除しつつ、連続線状に標示された車線に対応するグループgは的確に車線グループGlineとして検出できるような値に設定される。
なお、本実施形態では、この条件を満たして車線グループGlineとしての登録を抹消されたグループgに対して雪等であることを表す特定の情報を対応付けて記憶手段に登録するようになっている。そして、これ以降の処理で車線候補点crが検出されても、それに対応するグループgにこの特定の情報が対応付けられている場合には、即座に車線候補点crの登録を抹消して削除するようになっている。
車線候補点検出手段8は、本実施形態では、水平ラインj上に車線候補点crや車線終了点creを検出しても、当該水平ラインj上の探索を続行し、水平ラインj上に複数の車線候補点crが検出されれば、その全てを検出して登録するようになっている。
また、車線候補点検出手段8は、当該水平ラインj上で最後に道路面グループGを検出した後、少なくとも1本の走行路の幅分は探索を続行するようになっている。走行路の幅は、過去のサンプリング周期で検出された自車両の走行路の左右の車線の間隔に基づいて設定されてもよく、また、予め走行路の幅に相当する値が設定されてもよい。
前述したように、車線候補点検出手段8は、画像Tの1ライン分の水平ラインj上の探索を終了すると、水平ラインjを上方に1画素分移動させて、再度、例えば画像Tの推定軌跡Lestの位置から左右方向に水平ラインj上を探索し、車線候補点crや車線終了点creを検出するようになっている。その際、上記と同様にして探索が行われ、例えば、道路面グループGや車線グループGlineに属する画素については探索が行われずにスキップされる。
また、車線候補点検出手段8は、上記のように、水平ラインj上の道路面グループG以外のグループgに属する探索画素pi,jが上記の検出条件を満たす場合に探索画素pi,jを車線候補点crとして検出するが、水平ラインj上を探索して車線グループGを検出した場合には、上記の検出条件に基づく判定を行わずに、他のグループgから車線グループGに移行した時点での探索画素pi,jを即座に車線候補点crとして検出するように構成することも可能である。このように構成すれば、処理のさらなる高速化を図ることが可能となる。
また、車線候補点検出手段8は、水平ラインj上を探索して雪等であることを表す上記の特定の情報が対応付けたグループgを検出した場合には、上記の検出条件に基づく判定を行わずに、当該グループgに属する画素については探索が行わずにスキップする。
車線候補点検出手段8により、上記のようにして、例えば図26に示した画像Tを用いて車線候補点crの検出を行うと、図20に示すように、右折レーンに分岐する車線に対応する車線候補点crだけでなく、自車両が本来走行しようとしている本線すなわち自車両の走行路に標示された車線に対応する車線候補点crも検出される。なお、図20に示したシーンでは、前述したように、左側の車線が雪に覆われていて左側の車線候補点clが検出されていない。
車線検出手段9は、車線候補点検出手段8が検出した車線候補点cl、crに基づいて、画像T中に自車両の走行路に標示された車線LL、LRを検出するようになっている。
具体的には、車線検出手段9は、車線候補点検出手段8が画像Tの水平ラインj上を探索して車線候補点cl、crを検出するごとに、当該車線候補点cl、crに基づいてハフ変換を行うようになっている。すなわち、車線候補点検出手段8が、例えば水平ラインj上の(Ij,Jj)の位置に車線候補点crを検出すると、車線検出手段9は、車線候補点crが、画像T上の
ρ=isinθ+jcosθ …(8)
上に存在すると仮定し、(Ij,Jj)を代入する。
ρ=Ijsinθ+Jjcosθ …(9)
そして、上記(9)式をρ、θの関数として捉え、図21に例示するように、上記(9)式で表される関数曲線が通過するハフ平面の各升目のカウント数を1増加させる。車線検出手段9は、このようにして、車線候補点crが検出されるごとに当該車線候補点crに基づいてハフ変換を行い、関数曲線が通過するハフ平面の各升目のカウント数を1増加させていく。また、画像Tの左側の車線候補点clについても車線候補点crとは別にハフ平面を作成して同様に各升目ごとにカウントする。
カウント数が多い升目が多くの関数曲線が通過する升目であり、その升目に対応するρ、θを上記(8)式に代入して得られる直線が、多くの車線候補点cl、crを通る直線となる。そのため、車線検出手段9は、車線候補点検出手段8による車線候補点cl、crの検出が終了した時点で、ハフ平面の各升目のカウント数をチェックし、カウント数がピークとなる升目のρとθを検出する。
このカウント数がピークとなる升目のρとθを上記(8)式に代入して直線を算出すると、その直線の近傍には多数の車線候補点cl、crが集まる状態となる。そして、このようにして直線を算出すると、例えば図22に示すように、上記の各車線候補点crに関するハフ変換の結果から車線の候補としての直線r1〜r3が抽出される。
本実施形態では、車線検出手段9は、各直線r1〜r3の近傍に存在する車線候補点crの連続性に基づいて各直線r1〜r3の種別を判定するようになっており、さらに、各直線r1〜r3の種別や各直線r1〜r3の近傍に存在する車線候補点crの数等に基づいて各直線r1〜r3の各信頼度を算出し、それらの各信頼度に基づいて各直線r1〜r3の中から車線を表す直線を選択するようになっている。
また、本実施形態では、直線の種別は、各直線r1〜r3の近傍に集まっている車線候補点crの連続性に基づいて、直線が連続線状か、破線状か、それ以外の状態(例えば車線分岐の状態)か、またはそれらの組み合わせとして判定されるようになっている。例えば、直線r1は破線状、直線r2は連続線状、直線r3は車線分岐の状態と判定される。
また、直線の種別に基づく信頼度としては、直線が連続線状である場合が最も高く、破線状である場合が中程度の信頼度、それ以外の状態(例えば車線分岐の状態)である場合が最も低い信頼度が各直線r1〜r3に付与されるようになっている。従って、直線の種別に基づく信頼度だけから見れば、直線r1〜r3の中では、直線r2の信頼度が最も高くなる。
しかし、図22の場合には、各直線r1の近傍に存在する車線候補点crの数が直線r2、r3の近傍に存在する車線候補点crの数よりも格段に多いため、直線r1の信頼度が最も高くなる。そのため、車線検出手段9は、直線r1〜r3の中から車線としてふさわしい直線として直線r1を選択し、図23に示すように、自車両の走行路に標示された車線LRとして検出するようになっている。
なお、図22等では、車線候補点crが数個しか検出されていないように表現されているが、実際には多数の車線候補点cl、crが検出される。また、図22等では、画像Tの左側に車線候補点clが検出されていないが、車線候補点clが検出されている場合には、車線検出手段9は、同様にして、車線候補点clに対するハフ変換の結果から直線を抽出し、信頼度が最も高い直線を選択して、自車両の走行路に標示された車線LLとして検出する。
また、直線r1〜r3等から直線r1等を選択する際、自車両の位置、挙動等や左右両側の直線の平行度等に基づいて、車線としてふさわしくない直線を選択の対象から除外する等の処理を行うように構成することも可能である。また、本実施形態では、上記のように車線としてふさわしい直線として自車両の左右にそれぞれ直線を1本ずつ選択する場合について説明したが、信頼度や連続性等の情報を対応付ける等して自車両の左右にそれぞれ複数の直線を車線として検出するように構成することも可能である。
さらに、直線の連続線状、破線状等の種別を判定する基準となる車線候補点cl、crの連続性は、車線候補点cl同士或いは車線候補点cr同士の画像T上での距離すなわち画素数やステレオマッチング等の手法で算出した実空間上の距離等に基づいて判定され、例えば、車線候補点cl、cr同士の画素数や実空間上の距離が所定の閾値以内で連続する場合には直線は連続線状であると判定され、画素数や距離が所定の閾値以上に離間した部分があるような場合には破線状であると判定される。
また、車線候補点cl同士或いは車線候補点cr同士が、統合手段6により統合された同一のグループgに属する場合には、上記の画素数や距離に基づく判定に関わらず、連続であると判定するように構成することが可能である。このように、車線候補点clや車線候補点crが同一のグループgに属する場合に連続であると判定することで、直線の種別を容易かつ的確に判定することが可能となる。
次に、本実施形態に係る車線検出装置1の作用について説明する。
従来の車線検出では、検出処理の実行時間を短縮してリアルタイム性を確保し、また、車線候補点cl、crの誤検出を抑制するために、車線候補点cl、crの探索領域を例えば過去のサンプリング周期で検出された車線の位置から推定される探索領域内に限定した。そのため、図26に示したように、右折レーンに分岐する車線のみが検出されてしまい、自車両が本来走行しようとしている本線に対応する車線候補点(図中の白丸参照)を検出することができなくなる虞があった。
それに対し、本実施形態に係る車線検出装置1では、まず、統合手段6で撮像手段2から各画素pの輝度Dのデータが入力されるとそれと並行して同様の輝度Dを有する画素pを統合してグループ化していき、画像Tの1画像分の全画素pの輝度Dのデータが入力された時点でそれとほぼ同じタイミングで統合処理が完了する。
そして、統合手段6で既に算出されている各グループgの平均輝度Daveや面積に応じて道路面検出手段7で道路面グループG(例えば図17の道路面グループG1〜G4)を検出し、車線候補点検出手段8では、道路面グループG以外の画像部分で車線候補点cl、crを探索して検出する。
その際、高輝度の車線に対応する車線候補点cl、crは暗い輝度の路面領域に対応する道路面グループG内には属していないため、道路面グループGに属する画素については探索を行う必要がない。そのため、道路面グループGでは探索を行わずにスキップすることが可能となる。また、車線候補点cl、crを検出する際に用いられる道路面グループGの平均輝度Daveは統合手段6で既に算出しているため、改めて算出する必要がない。
そのため、車線候補点cl、crを非常に高速に検出することが可能となり、車線検出手段9でそれらの車線候補点cl、crに基づいて車線LL、LRを高速に検出することが可能となる。そのため、例えば1秒間に数フレームから数十フレーム分の画像が撮像されてデータが入力されてくるような場合でも、車線LL、LRを迅速に検出することが可能となり、車線検出をリアルタイムで実行することが可能となる。
また、車線候補点検出手段8では、車線候補点cl、crの探索領域を限定せず、道路面グループG以外の画像部分すなわちアスファルト面等の道路面の地の部分以外の道路面(すなわち道路面上に標示された車線等の標示部分)を探索して車線候補点cl、crを検出する。
そのため、例えば図26と同じ画像Tである図20に示したように、右折レーンに分岐する車線に対応する車線候補点crだけでなく、自車両が走行しようとしている本線に対応する車線候補点crも的確に検出することが可能となる。そして、図23に示すように車線が分岐するような場合であっても、それらの車線候補点crに基づいて自車両が走行しようとしている本線に対応する車線LRを的確に検出することが可能となる。
また、本実施形態のように構成すると、例えば図24に示すように、車線が二重車線である場合でも車線LRを的確かつ安定的に検出することが可能となる。
すなわち、従来の車線検出では、上記のように車線候補点cl、crの探索領域が限定されるため、図25に示すように、例えば二重車線のうちの内側の車線のエッジ部分を検出するようになるが、内側の車線は車両のタイヤに踏まれて薄くなっている場合が多く、消えてしまっている場合もある。
そのような場合に、二重車線の内側の車線に探索領域が限定されると、内側の車線が薄くなったり消えていたりするため、車線候補点cl、crが検出されなかったり、検出された位置が不安定になる等して、検出される車線LL、LRの位置も不安定になり、検出された車線LL、LRの信頼性が低下してしまう場合があった。
それに対して、本実施形態に係る車線検出装置1では、上記のように車線候補点cl、crの探索領域を限定せずに、道路面グループG以外の画像部分を探索して車線候補点cl、crを検出する。そのため、図24に示したように、二重車線の内側の車線に対応する車線候補点cl、crだけでなく、薄くなっていない外側の車線に対応する車線候補点cl、crも検出される。
そして、内側の車線が踏まれて薄くなったり消えていたりして、内側の車線に対応する車線候補点cl、crが検出されなかったり検出された位置が不安定になる等しても、外側の車線に対応する車線候補点cl、crが的確かつ安定的に検出されるため、図24に示したように、外側の車線LL、LRを的確かつ安定的に検出することが可能となる。また、そのため、検出された車線LL、LRの信頼性を向上させることが可能となる。
なお、二重車線の内側の車線が薄くなっておらず白色で明確に標示されているような状況では、本実施形態に係る車線検出装置1でも内側の車線に対応する車線候補点cl、crに基づいて内側の車線が車線LL、LRとして検出される場合もある。そのような場合には、車線候補点cl同士や車線候補点cr同士の画素数や実空間上の距離、或いは車線候補点clや車線候補点crが属するグループgの大きさや形状等に基づいて、車線LL、LRの種別が「それ以外の状態(二重車線の内側の車線)」として分類されるため、二重車線の内側の車線が検出されていることが明確となる。
また、本実施形態に係る車線検出装置1において、自車両の左右にそれぞれ複数の直線を車線として検出するように構成すれば、上記のように二重車線の内側の車線も外側の車線も明確に標示されているような状況で、二重車線の両側の車線をともに検出することが可能となる。
そして、その場合も、車線の種別として、二重車線の内側の車線は「それ以外の状態(二重車線の内側の車線)」として分類し、外側の車線は、図24等の右側の車線では「破線状」、左側の車線では「連続線状」として分類することで、検出した車線の種別が明確にされた状態で二重車線を検出することが可能となる。なお、二重車線の外側の車線の種別として「それ以外の状態(二重車線の外側の車線)」等として分類するように構成することも可能である。
以上のように、本実施形態に係る車線検出装置1によれば、車線候補点検出手段8で、車線候補点cl、crを探索するための探索領域を設定せず、道路面グループG以外の画像部分すなわちアスファルト面等の道路面の地の部分以外の道路面部分を探索して車線候補点cl、crを検出する。
そのため、例えば、右折レーンに分岐する車線に対応する車線候補点cl、crや、二重車線における内側の車線に対応する車線候補点cl、cr等だけでなく、自車両が走行しようとしている本線に対応する車線候補点cl、crや、二重車線における外側の車線に対応する車線候補点cl、cr等も的確に検出することが可能となる。
そのため、車線が分岐するような場合であっても、それらの車線候補点cl、crに基づいて自車両が走行しようとしている本線に対応する車線LRを的確に検出して、撮像された画像T中から自車両の走行路に標示された車線を的確に検出することが可能となる。また、車線が二重車線であるような場合には、消えかかっている内側の車線ではなく、或いはそれとともに外側の車線を的確かつ安定的に検出することが可能となり、撮像された画像T中から自車両の走行路に標示された車線を的確に検出することが可能となる。
また、車線候補点検出手段8では、道路面検出手段7で検出した道路面グループG(例えば図17の道路面グループG1〜G4)以外の画像部分で車線候補点cl、crを探索して検出する。その際、高輝度の車線に対応する車線候補点cl、crは暗い輝度の路面領域に対応する道路面グループG内には属していないため、道路面グループGに属する画素については探索を行う必要がない。そのため、道路面グループGでは探索を行わずにスキップすることが可能となる。
また、車線候補点cl、crを検出する際に用いられる道路面グループGの平均輝度Daveは統合手段6で既に算出しているため、従来の車線検出のように、膨大な量のヒストグラムを作成して、改めて道路面に対応する画素の輝度の平均値等を算出する必要がない。
そのため、車線候補点cl、crを高速に検出することが可能となり、車線検出手段9でそれらの車線候補点cl、crに基づいて車線LL、LRを高速に検出することが可能となる。そのため、例えば1秒間に数フレームから数十フレーム分の画像が撮像されてデータが入力されてくるような場合でも、車線LL、LRを迅速に検出することが可能となり、車線検出をリアルタイムで実行することが可能となる。
さらに、統合手段6で画像Tの各画素pをグループ化する際、撮像手段2から各画素pの輝度Dのデータが入力されるとそれと並行して同様の輝度Dを有する画素pを統合してグループ化していき、画像Tの1画像分の全画素pの輝度Dのデータが入力された時点でそれとほぼ同じタイミングで統合処理が完了するように構成すれば、車線候補点cl、crをさらに迅速に検出することが可能となり、車線検出をリアルタイムで実行することが可能となる。
また、統合手段6で画像Tの各画素pをグループ化することで、各グループgの画素数や画像T中の縦方向の最大長さ等の大きさがグループ化した時点で判明するため、車線候補点検出手段8で車線候補点cl、crを検出しても、それに対応する車線グループGlineの大きさが小さい場合にはその車線候補点cl、crを画像T中に写り込んだ高輝度のノイズ等に対応するものとして登録を抹消することができる。
そのため、車線候補点cl、crの誤検出を的確に防止することが可能となり、最終的に検出された車線LL、LRの検出の信頼性を向上させることが可能となる。