JP2010267801A - 集積化半導体光素子及び半導体光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】単一の基板上に集積される半導体光素子間の電気的な分離性能を緩和可能な構造を有する集積化半導体光素子を提供する。
【解決手段】集積化半導体光素子11では、第1のクラッド層15は第1導電型半導体からなる。第1の半導体光素子11aのための第1の活性層17は、主面13aの第1のエリア13c及び第1のクラッド層15上に設けられる。第2の半導体光素子11bのための第2の活性層19は、主面13aの第2のエリア13d及び第1のクラッド層15上に設けられる。第1の活性層17は第2の活性層19に突き当て接合されている。第2のクラッド層21は、第2の活性層19上に設けられ、第2導電型半導体からなる。第3のクラッド層23は、第1の活性層17上に設けられ、第1導電型半導体からなる。第2のクラッド層21及び第3のクラッド層23はpn接合27を構成する。
【選択図】図1
【解決手段】集積化半導体光素子11では、第1のクラッド層15は第1導電型半導体からなる。第1の半導体光素子11aのための第1の活性層17は、主面13aの第1のエリア13c及び第1のクラッド層15上に設けられる。第2の半導体光素子11bのための第2の活性層19は、主面13aの第2のエリア13d及び第1のクラッド層15上に設けられる。第1の活性層17は第2の活性層19に突き当て接合されている。第2のクラッド層21は、第2の活性層19上に設けられ、第2導電型半導体からなる。第3のクラッド層23は、第1の活性層17上に設けられ、第1導電型半導体からなる。第2のクラッド層21及び第3のクラッド層23はpn接合27を構成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、集積化半導体光素子及び半導体光装置に関する。
特許文献1には、半導体光集積素子が記載されている。半導体光集積素子は、DFBレーザと、変調器と、DFBレーザと変調器との間に設けられた結合部とを含む。結合部には高抵抗半導体が形成されている。
特許文献2には、半導体発光装置が記載されている。この半導体発光装置は、DFBレーザ部、分離部及び変調器部を含む。n−InGaAsPガイド層、MQW活性層、MQW吸収層 、p−InGaAsP吸収層、p−InPクラッド層、p−InGaAsPコンタクト層がInP基板上に成長される。DFBレーザ部と変調器部の間の分離部に、Zn、Cu、プロトン、Feのいずれかを注入して、光導波路部に到達する非発光再結合中心を形成する。DFBレーザ部と変調器部との間にある分離部のMQW構造がディスオーダリングされて吸収波長帯が短波長化されている。
特許文献3には、低抵抗接点半導体ダイオードが記載されている。レーザデバイスにおける高度にドープされたp型材料の層を、高濃度にドープされたn型材料の層と高濃度にドープされたp型材料の薄い層とに置き換えている。この構成により、低抵抗接点を容易にしている。
非特許文献1には、AlGaInAs/AlGaInAsトンネルジャンクションを用いた垂直共振面発光レーザが記載されている。
非特許文献2には、p+InGa(Al)As/n+InGa(Al)Asトンネルジャンクションを用いた垂直共振面発光レーザが記載されている。
Elec. Lett. 39(2003) Vol.39 No.5 pp. 437、Electron Letters Online No. 20030288
Jpn. J. Appl. Phys Vol. 39 (2000) pp.1727-1729
基板上に形成された複数の半導体光素子を含む集積半導体光素子では、半導体光素子及び別の半導体光素子が互いに光学的に結合されると共に電気的には互いに分離される。これらの半導体光素子では、活性層は、n型クラッド層とp型クラッド層との間に位置している。活性層に順方向バイアスが印加されるとき、半導体光素子が発光素子として動作する。活性層に逆方向バイアスが印加されるとき、半導体光素子は受光素子または変調素子として動作する。
特許文献1及び2に記載されている集積素子は、2種類の半導体光素子、つまり半導体レーザ及び変調素子を含む。n型半導体基板の表面は、半導体レーザのための活性層及びp型半導体層を含む半導体積層並びに変調素子のための活性層及びp型半導体層を含む半導体積層を搭載する。半導体レーザのためのp型半導体層上には電極が形成されると共に、変調素子のためのp型半導体層上には別の電極が形成される。一方、n型半導体基板の裏面上に共有の電極を形成する。半導体レーザ及び変調素子のための電極は、電気的分離のための特別の構造により電気的に互いに絶縁されている。
特許文献1には、電気的分離のための特別の構造として、高抵抗半導体で埋め込み成長された分離領域が開示されている。この分離領域には、エッチング、埋め込み成長の過程で導波路構造に不連続が形成され、この不連続は光学的な散乱損失を引き起こす。また、この分離領域の形成では、結晶成長の工程が増えて、結果的にプロセスが煩雑になる。
特許文献2では、電気的分離のための特別の構造として、分離領域が開示されている。この分離領域では、p型のキャリアが不活性化されており、このため、当該部分の抵抗値が高い。キャリアの不活性化は、p型クラッドの一部へプロトンやFeイオンをイオン注入して結晶欠陥を形成することによって行われる。しかし、イオン注入は、結晶に欠陥を導入するので、デバイスの信頼性が低下される。
特許文献1及び2に記載されている集積素子では、半導体レーザ及び変調素子は、共通電極と、半導体レーザのための専用電極と、変調素子のための専用電極とを有する。共通電極は半導体レーザ及び変調素子に共通の半導体領域に接続され、半導体レーザの専用電極に接続される半導体領域の導電型は、変調素子の専用電極に接続される半導体領域の導電型と同じになる。この集積素子において、半導体レーザの専用電極と共通電極との間に順方向バイアスが印加されて、半導体レーザ内のpn接合がレーザ光を生成する。また、変調素子の専用電極と共通電極との間に逆方向バイアスが印加されて、変調素子内のpn接合を用いて、半導体レーザからの光が変調される。半導体レーザ及び変調素子には、共通電極を基準にして互いに逆方向にバイアスされるので、半導体レーザの専用電極と変調素子の専用電極との間の電位差が大きくなる。これ故に、特許文献1及び2の集積素子では、半導体レーザと変調素子との間には、大きな絶縁性が求められる。
非特許文献1及び2には、垂直共振型面発光レーザが記載されている。垂直共振型面発光レーザは、電流閉じ込めのためのトンネル接合を含む。
本発明は、単一の基板上に集積される半導体光素子間の電気的な分離性能を緩和可能な構造を有する集積化半導体光素子を提供することを目的とし、またこの集積化半導体光素子を含む半導体光装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、第1及び第2の半導体光素子を含む集積化半導体光素子である。この集積化半導体光素子は、(a)前記第1の半導体光素子のための第1のエリア及び前記第2の半導体光素子のための第2のエリアを有する主面を有する基板と、(b)前記基板の前記主面上に設けられ、第1導電型半導体からなる第1のクラッド層と、(c)前記基板の前記主面の前記第1のエリア及び前記第1のクラッド層上に設けられた第1の活性層と、(d)前記基板の前記主面の前記第2のエリア及び前記第1のクラッド層上に設けられた第2の活性層と、(e)前記第2の活性層上に設けられ、第2導電型半導体からなる第2のクラッド層と、(f)前記第1の活性層上に設けられ、第1導電型半導体からなる第3のクラッド層と、(g)前記第1の活性層と前記第1のクラッド層との間に設けられたトンネル接合領域とを備える。前記第2のクラッド層及び前記第3のクラッド層はpn接合を構成し、前記トンネル接合領域は、第1導電型半導体層、第2導電型半導体層、及びトンネル接合とを含み、トンネル接合は前記第1導電型半導体層と前記第2導電型半導体層とから構成される。
この集積化半導体光素子では、第1及び第2の半導体光素子が単一の基板上に集積されている。第1及び第2の半導体光素子に共有される第1のクラッド層と第2のクラッド層との間の第2の活性層に変調のための逆バイアスが印加される。この逆バイアスの印加は、第1のクラッド層の電位を基準にして第2のクラッド層へ所定の向きの極性の電位を与えることによって可能である。一方、第1及び第2の半導体光素子に共有される第1のクラッド層と第1の活性層との間に設けられたトンネル接合領域により、電子及び正孔の一方から電子及び正孔の他方にキャリアの変換が行われる。これ故に、第1のクラッド層の伝導型が第3のクラッド層の導電型と同じであるけれども、第1のクラッド層の電位を基準にして第3のクラッド層へ所定の向きの極性と同じ向きの電位を与えることによって、第1の活性層には電子及び正孔が注入可能である。このとき、第1のクラッド層から第2のクラッド層への電位変化の向きと第1のクラッド層から第3のクラッド層への電位変化の向きとが同じであるので、第2のクラッド層と第3のクラッド層との突き当てによるpn接合に加わる電位差が縮小される。したがって、この構造は、第1及び第2の半導体光素子間の電気的な分離に求められる性能を緩和可能である。
本発明の集積化半導体光素子は、前記基板の前記主面上に設けられ、所定の軸の方向に延びる半導体メサと、前記基板の前記主面及び前記半導体メサの側面上に設けられた埋込層とを更に備えることができる。前記埋込層は、半絶縁性の半導体領域を含み、前記半導体メサは、前記第1の活性層及び前記第2の活性層を含み、前記埋込層は前記第1の活性層の側面上に設けられ、前記埋込層は前記第2の活性層の側面上に設けられ、前記所定の軸は、前記第1のエリアと前記第2のエリアとの境界を横切って延びている。
この集積化半導体光素子によれば、半絶縁性の埋込層が基板の主面及び半導体メサの側面上に設けられる。これ故に、第1のクラッド層と第2のクラッド層との間に加わる電圧は半導体メサ内の第2の活性層に効果的に加わり、第1のクラッド層と第3のクラッド層との間に加わる電圧も半導体メサ内の第2の活性層に効果的に加わる。半絶縁性の埋込層は、集積化半導体光素子に流れる電流及び電位分布を半導体メサに閉じ込める。
本発明の集積化半導体光素子では、前記第1の活性層は、半導体発光素子のために設けられており、前記第2の活性層は、半導体変調素子のために設けられており、前記第1の活性層のフォトルミネッセンス波長は、前記第2の活性層のフォトルミネッセンス波長より長い。
この集積化半導体光素子によれば、半絶縁性の埋込層は、半導体発光素子に流れる電流を半導体メサに閉じ込める。また、半導体変調素子は、半導体発光素子からの光を変調する。第2のクラッド層と第3のクラッド層とから構成されるpn接合には、逆バイアスが印加される。半導体変調素子及び半導体発光素子が互いに電気的に分離される。
本発明の集積化半導体光素子では、前記トンネル接合領域は前記第1の活性層に接合を成し、前記第1導電型半導体層がn型導電性を示し、前記第2導電型半導体層がp型導電性を示す。
この集積化半導体光素子によれば、第1のクラッド層から第1の活性層に電子が注入されると共に、トンネル接合領域から第1の活性層に正孔が注入される。
本発明の集積化半導体光素子では、前記第2導電型半導体層が、AlGaInAs層を含み、前記AlGaInAs層には炭素が添加されることができる。
この集積化半導体光素子によれば、炭素ドーパントを用いることにより、トンネル接合領域から活性層へのp型ドーパントの拡散を低減できる。AlGaInAsには高いドーピング濃度で炭素を添加できる。
本発明の集積化半導体光素子では、前記第1導電型半導体層が、GaInAsP層を含み、前記GaInAsP層にはn型ドーパントが添加されており、前記GaInAsP層は、前記第1の活性層を伝搬する光の波長より短いバンドギャップ波長を提供する組成を有することができる。
この集積化半導体光素子によれば、第1導電型半導体層がGaInAsPからなるので、トンネル接合領域のn型領域のバンドギャップを小さくできる。また、第1の活性層を伝搬する光がトンネル接合領域のn型GaInAsP層によって吸収されることを低減できる。
本発明の集積化半導体光素子では、前記第2導電型半導体層は、前記第1導電型半導体層と前記第1の活性層との間に設けられ、前記第2導電型半導体層のバンドギャップは前記第1導電型半導体層のバンドギャップよりも大きいことができる。
この集積化半導体光素子によれば、第1の活性層を伝搬する光が、トンネル接合領域の第2導電型半導体層によって吸収されることを低減できる。
本発明の集積化半導体光素子は、前記第3のクラッド層上に設けられ、第1導電型半導体からなる第1のコンタクト層と、前記第2のクラッド層上に設けられ、第2導電型半導体からなる第2のコンタクト層とを更に備えることができる。前記第1のコンタクト層のエッジは前記第2のコンタクト層のエッジから離れている。
この集積化半導体光素子によれば、第1のコンタクト層のエッジが第2のコンタクト層のエッジから離れているので、第1のコンタクト層は第2のコンタクト層とpn接合を形成しない。
本発明の集積化半導体光素子では、前記第1及び第2のコンタクト層は前記pn接合を覆わないことができる。
この集積化半導体光素子によれば、第1のコンタクト層は第2のクラッド層と接合を形成することなく、第2のコンタクト層は第3のクラッド層と接合を形成することない。
本発明の別の側面に係る半導体光装置は、(a)上記の集積化半導体光素子と、(b)前記集積化半導体光素子に順方向バイアスを印加するための第1の電源と、(c)前記集積化半導体光素子に逆方向バイアスを印加するための第2の電源とを備える。前記集積化半導体光素子は、前記第3のクラッド層上に設けられた第1の電極と、前記第2のクラッド層上に設けられた第2の電極と、前記基板の裏面上に設けられた第3の電極とをさらに備える。前記第1の電源は、前記第1の電極と前記第3の電極との間に接続され、前記第2の電源は、前記第2の電極と前記第3の電極との間に接続される。
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
以上説明したように、本発明の一側面によれば、単一の基板上に集積される半導体光素子間の電気的な分離性能を緩和可能な構造を有する集積化半導体光素子が提供される。また、本発明の別の側面によれば、この集積化半導体光素子を含む半導体光装置が提供される。
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明の集積化半導体光素子及び半導体光装置に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
図1は、本実施の形態に係る集積化半導体光素子を概略的に示す図面である。集積化半導体光素子11は、第1及び第2の半導体光素子11a、11bを含む。この集積化半導体光素子11は、基板13と、第1のクラッド層15と、第1の活性層17と、第2の活性層19と、第2のクラッド層21と、第3のクラッド層23と、トンネル接合領域25とを備える。基板13は主面13a及び裏面13bを有する。裏面13bは主面13aの反対側にある。主面13aは、第1の半導体光素子11aのための第1のエリア13c及び第2の半導体光素子11bのための第2のエリア13dを含む。基板13は、例えば半導体基板からなることができ、半導体基板は、例えばInP基板といったIII−V化合物半導体基板等である。
第1のクラッド層15は第1導電型半導体からなり、また基板13の主面13a上に設けられている。第1の活性層17は、主面13aの第1のエリア13c及び第1のクラッド層15上に設けられる。第2の活性層19は、主面13aの第2のエリア13d及び第1のクラッド層15上に設けられる。第1の活性層17は第2の活性層19に突き当て接合されている。第2のクラッド層21は、第2の活性層19上に設けられ、第2導電型半導体からなる。第3のクラッド層23は、第1の活性層17上に設けられ、第1導電型半導体からなる。トンネル接合領域25は、第1の活性層17と第1のクラッド層15との間に設けられる。また、半導体層22は、第2の活性層19と第1のクラッド層15との間に設けられる。半導体層22が例えば第1のクラッド層15と同じ材料からなるとき、第2の半導体光素子11bの光導波路構造における屈折率分布を、第1の半導体光素子11aの光導波路構造における屈折率分布と実質的に同じにできる。半導体層22は、クラッドの一部として働く。また、半導体層22の導電型は第1のクラッド層15の導電型と同じであることができる。半導体層22の厚さはトンネル接合領域25の厚さとほぼ同じであることができる。これにより、第1の活性層17は第2の活性層19に良好に突き当て接合される。第2のクラッド層21及び第3のクラッド層23はpn接合27を構成する。トンネル接合領域27は、第1導電型半導体層29、第2導電型半導体層31、及びトンネル接合33とを含む。トンネル接合33は、第1導電型半導体層29と第2導電型半導体層31とから構成される。第1導電型半導体層29は第1のクラッド層15と接合を形成し、また第2導電型半導体層31は第1の活性層17と接合を形成する。
この集積化半導体光素子11では、第1及び第2の半導体光素子11a、11bが単一の基板13上に集積されている。第1及び第2の半導体光素子11a、11bに共有される第1のクラッド層15と第2のクラッド層21との間の第2の活性層19に変調のための逆バイアスが印加される。この逆バイアスの印加は、第1のクラッド層15の電位を基準にして第2のクラッド層21へ所定の向きの極性に電位を与えることによって可能である。一方、第1及び第2の半導体光素子11a、11bに共有される第1のクラッド層15と第1の活性層17との間に設けられたトンネル接合領域25により、電子及び正孔の一方から電子及び正孔の他方にキャリアの変換が行われる。第1のクラッド層15の伝導型が第3のクラッド層23の導電型と同じであるけれども、第1のクラッド層15の電位を基準にして第3のクラッド層23へ所定の向きの極性と同じ向きの極性の電位を与えることによって、第1の活性層17には電子及び正孔が注入可能である。このとき、第1のクラッド層21の電位を基準にした第3のクラッド層23への電位の極性の向きは、上記の所定の向きとなる。これ故に、第1のクラッド層15から第2のクラッド層21への電位の極性の向きが第1のクラッド層21から第3のクラッド層23への電位の極性の向きと同じであるので、第2のクラッド層21と第3のクラッド層23とから構成されるpn接合27に加わる電位差が縮小される。したがって、この構造は、第1及び第2の半導体光素子11a、11b間の電気的な分離に求められる性能を緩和可能である。
集積化半導体光素子11は、第1のコンタクト層35及び第2のコンタクト層37とを更に備えることができる。第1のコンタクト層35は、第3のクラッド層23上に設けられると共に、第2のコンタクト層37は、第2のクラッド層21上に設けられる。また、第1のコンタクト層35は第1導電型半導体からなる一方で、第2のコンタクト層37は第2導電型半導体からなる。第1のコンタクト層35は第2のコンタクト層37と接合を形成することができる。或いは、第1のコンタクト層35は第2のコンタクト層37から隔置されることができる。
本実施例では、図1に示されるように、第1のコンタクト層35は第2のコンタクト層37から離れている。第1のコンタクト層35のドーパント濃度は第3のクラッド層23のドーパント濃度より大きく、第2のコンタクト層37のドーパント濃度は第2のクラッド層21のドーパント濃度より大きい。第1のコンタクト層35の導電型は第2のコンタクト層37の導電型と反対である。第1のコンタクト層35のエッジ35aは第2のコンタクト層37のエッジ37aから離れているので、第1及び第2のコンタクト層35、37はpn接合を構成しない。これよって、共に高い濃度のp型及びn型半導体層が接合を形成することを避けることができる。
また、pn接合27は第1及び第2のコンタクト層35、37で覆われていない。この集積化半導体光素子11によれば、第1のコンタクト層35は第2のクラッド層21と接合を形成することなく、第2のコンタクト層37は第3のクラッド層23と接合を形成することない。
集積化半導体光素子11は、第3のクラッド層23上に設けられた第1の電極39と、第2のクラッド層21上に設けられた第2の電極41と、基板13の裏面13b上に設けられた第3の電極43とをさらに備えることができる。第1の電極39は、コンタクト層35を覆う絶縁膜の開口を介してコンタクト層35に接触している。第2の電極41は、コンタクト層37を覆う絶縁膜の開口を介してコンタクト層37に接触している。第1の電極39は第2の電極41から隔置されている。
図2(a)は、図1に示された集積化半導体光素子においてI−I線に沿って取られた断面を示す図面であり、また図2(b)は、図1に示された集積化半導体光素子においてII−II線に沿って取られた断面を示す図面である。
集積化半導体光素子11は、半導体メサ45及び埋込層47を更に備えることができる。半導体メサ45は、基板13の主面13a上に設けられ、また所定の軸Axの方向に延びる。所定の軸Axは第1のエリア13aと第2のエリア13bとの境界を越えて延びている。半導体メサ45は、第1の活性層17及び第2の活性層19を含む。半導体メサ45は、第1の半導体光素子11aのための第1のメサ部45a及び第2の半導体光素子11bのための第2のメサ部45bを含む。第1のメサ部45aは、第1のクラッド層(例えばn型)15、第1の活性層17、トンネル接合領域(例えばn+/p+接合)25、第3のクラッド層(例えばn型層)23、及び第1のコンタクト層(例えばn型層)35を含む。第2のメサ部45bは、第1のクラッド層(例えばn型層)15、半導体層22、第2の活性層19、第2のクラッド層(例えばp型層)21、及び第2のコンタクト層(例えばp型層)37を含む。
埋込層47は、第1の活性層17及び第2の活性層19に加わる電圧が半導体メサ45に加わるように作用する。埋込層47は、基板13の主面13a及び半導体メサ45の側面45c上に設けられる。埋込層47は第1のメサ部45a及び活性層17の側面上に設けられ、埋込層47は第2のメサ部45b及び活性層19の側面上に設けられる。埋込層47は、例えば半絶縁性半導体領域を含むことができ、この半絶縁性半導体領域は、基板13の主面13a及び半導体メサ45の側面45c上に設けられる。半絶縁性半導体領域は、FeまたはRu等の添加により作製される。
この集積化半導体光素子11によれば、半絶縁性半導体領域が基板13の主面13a及び半導体メサ45の側面45a上に設けられるので、第1のクラッド層15と第2のクラッド層21との間に加わる電圧は半導体メサ45内の第2の活性層19に実効的に加わり、第1のクラッド層15と第3のクラッド層23との間に加わる電圧も半導体メサ45内の第1の活性層17に実効的に加わる。半絶縁性の半導体領域は、集積化半導体光素子11に流れる電流を半導体メサ45に閉じ込める。
集積化半導体光素子11の一例では、第1の活性層17は半導体発光素子のために設けられると共に、第2の活性層19は半導体変調素子のために設けられる。第1の活性層17のフォトルミネッセンス(PL)波長は、第2の活性層19のPL波長より長い。
第1の電極39と第3の電極43との間には順方向バイアスが印加される。第2の電極41と第3の電極43との間には逆方向バイアスが印加される。第1の電極39は第1のコンタクト層35に接触を成し、第2の電極41は第2のコンタクト層39に接触を成す。
この集積化半導体光素子11によれば、埋込層47は、半導体発光素子に流れる電流を半導体メサ45に閉じ込める。また、半導体変調素子は、半導体発光素子からの光を変調する。共通の基板13と活性層17との間に位置するトンネル接合領域25によってキャリア変換が行われる。第2のクラッド層21と第3のクラッド層23とから構成されるpn接合27には、半導体発光素子及び半導体変調素子に共有の基板13の電位を基準にして同じ極性の方向にそれぞれの電位が印加される。つまり、pn接合27には、これら同極の電位の差に相当するバイアスが印加される。故に、集積化半導体光素子11は、単一の基板13上に集積される半導体光素子11a、11b間の電気的な分離に求められる性能を緩和可能な構造を有する。
集積化半導体光素子11の構成例を以下に示す。この素子は、共通の基板上に設けられた半導体レーザ及び電界吸収型変調器を含む。
基板13:n型InP基板
第1のクラッド層15:SiドープInP
トンネル接合領域25(第1導電型高濃度半導体層/第2導電型高濃度半導体層):高濃度SiドープGaInAsP/高濃度CドープAlGaInAs
第1の活性層17:アンドープGaInAsP
第2の活性層19:アンドープGaInAsP
第2のクラッド層21:ZnドープInP
半導体層22:SiドープInP、又はアンドープInP
第3のクラッド層23:SiドープInP
第1のコンタクト層35:SiドープGaInAs
第2のコンタクト層37:ZnドープGaInAs
埋込層47:FeドープInP。
基板13:n型InP基板
第1のクラッド層15:SiドープInP
トンネル接合領域25(第1導電型高濃度半導体層/第2導電型高濃度半導体層):高濃度SiドープGaInAsP/高濃度CドープAlGaInAs
第1の活性層17:アンドープGaInAsP
第2の活性層19:アンドープGaInAsP
第2のクラッド層21:ZnドープInP
半導体層22:SiドープInP、又はアンドープInP
第3のクラッド層23:SiドープInP
第1のコンタクト層35:SiドープGaInAs
第2のコンタクト層37:ZnドープGaInAs
埋込層47:FeドープInP。
集積化半導体光素子11では、トンネル接合領域25は第1の活性層17に接合を成す。第1導電型半導体層29が例えばn型導電性を示し、第2導電型半導体層31が例えばp型導電性を示す。第2導電型半導体層31は第1導電型半導体層29と第1の活性層17との間に設けられる。この構造により、第3のクラッド層23から第1の活性層17に電子が注入されると共に、トンネル接合領域25から第1の活性層17に正孔が注入される。
第2導電型半導体層31のバンドギャップは第1導電型半導体層29のバンドギャップよりも大きいことができる。第1の活性層17を伝搬する光がトンネル接合領域25の第2導電型半導体層31によって吸収されることを低減できる。また、トンネル接合領域25では、第2導電型半導体層31がAlGaInAs層を含み、このAlGaInAs層には炭素が添加されることができる。炭素ドーパントを用いることにより、トンネル接合領域25から活性層17へのp型ドーパントの拡散を低減できる。AlGaInAsには高いドーピング濃度で炭素を添加できる。
トンネル接合領域25では、第1導電型半導体層29がGaInAsP層を含み、このGaInAsPにはn型ドーパントが添加されることができる。第1導電型半導体層29がGaInAsPからなるとき、トンネル接合領域25のn型領域を小さいバンドギャップの材料で形成できる。また、GaInAsP層は、第1の活性層17を伝搬する光の波長より短いバンドギャップ波長を提供する組成を有することができる。第1の活性層17を伝搬する光がトンネル接合領域25のn型GaInAsP層によって吸収されることを低減できる。
図3は、本実施の形態に係る集積化半導体光素子を含む半導体光装置を概略的に示す図面である。半導体光装置10は、上記の集積化半導体光素子11と、第1の電源51と、第2の電源53とを備える。第1の電源51は、集積化半導体光素子11の第1の半導体光素子11aに順方向バイアスを印加するために準備される。第1の電源51は例えば電流源であることができる。第2の電源53は、集積化半導体光素子11の第2の半導体光素子11bに逆方向バイアスを印加するために準備される。第1の電源51は第1の電極39と第3の電極43との間に接続されると共に、第2の電源53は第2の電極41と第3の電極43との間に接続される。第2の電源53には例えば変調信号Sを印加することができる。具体的には、第2の電源53は、電極41と電極43との間に直列に接続されたインダクタ及び固定電圧源と、電極41及びインダクタにキャパシタを介して接続された変調信号源とを含む。図3において、抵抗R2は第2のクラッド層21の等価抵抗を示し、抵抗R3は第3のクラッド層23の等価抵抗を示す。電極39と電極41との間には、抵抗R3、pn接合27及び抵抗R2が直列に接続される。
上記の例では、第1の半導体光素子11aは半導体レーザであり、第2の半導体光素子11bは電界吸収素子である。半導体レーザは、SiドープInPクラッド層(共有クラッド層)、高濃度SiドープGaInAsP層/高濃度CドープAlGaInAs層のトンネル接合領域、アンドープGaInAsP活性層、SiドープInPクラッド層(専用クラッド層)を含み、これらはn型InP基板上に順に配置されている。電界吸収素子は、SiドープInPクラッド層(共有クラッド層)、SiドープInP層、アンドープGaInAsP光吸収層、ZnドープInPクラッド層(専用クラッド層)を含み、これらはn型InP基板上に順に配置されている。
図4は、電源51、53に接続された集積化半導体光素子に印加される電圧波形を示す図面である。第1の電源51は半導体レーザに順方向のバイアス(例えばVLD=−1.6ボルト)を供給する。第1のクラッド層15のSiドープInPには第1の電源51の正極からの電位が供給され、第3のクラッド層23のSiドープInPには第1の電源51の負極からの電位が供給される。第2の電源53は電界吸収素子に逆方向のバイアス(例えばVEA=VEA0+VMOD、電圧VEA0は−1.4ボルトの一定の電圧であり、電圧VMODは振幅1ボルトの変調信号である)を供給する。第1のクラッド層15のSiドープInPには第2の電源53の正側からの電位が印加され、第2のクラッド層21のZnドープInPには第2の電源53の負側からの電位が印加される。pn接合27には、電位差(VEA−VLD)が印加される。
図4に示されるように、電圧VLDは電圧VEAより大きくなるとき、第2のクラッド層21のZnドープInPと第3のクラッド層23のSiドープInPとの接合に順方向の電圧が印加される。この接合に該接合のVfを超える順方向電圧が印加されるとき、順方向電流が流れる。
(実施例)
図5〜図8を参照しながら、本実施の形態に係る集積化半導体光素子を作製する方法を説明する。図5〜図8には、直交座標系Sが示されている。図5(a)に示すように、トンネル注入構造を有するレーザを構成する半導体積層63を成長する。以下の作製において、結晶成長のための有機金属気相成長法を用いる。n型InP基板61を準備する。具体的には、n型InP基板61の主面61a上に、SiドープInP下部クラッド層65、トンネル接合領域69(SiドープAlGaInAs69a及びCドープGaInAsP69bからなる領域)、GaInAsP活性層67、SiドープInP上部クラッド層71、SiドープGaInAsコンタクト層73を順に成長する。下部クラッド層65は、半導体レーザ部のための第1の半導体領域65a及び変調器部のための第2の半導体領域65bを含む。CドープAlGaInAs69aの厚さは例えば2nm以上であることができ、また例えば30nm以下であることができる。SiドープGaInAsP69bの厚さは例えば5nm以上であることができ、また例えば100nm以下であることができる。
図5〜図8を参照しながら、本実施の形態に係る集積化半導体光素子を作製する方法を説明する。図5〜図8には、直交座標系Sが示されている。図5(a)に示すように、トンネル注入構造を有するレーザを構成する半導体積層63を成長する。以下の作製において、結晶成長のための有機金属気相成長法を用いる。n型InP基板61を準備する。具体的には、n型InP基板61の主面61a上に、SiドープInP下部クラッド層65、トンネル接合領域69(SiドープAlGaInAs69a及びCドープGaInAsP69bからなる領域)、GaInAsP活性層67、SiドープInP上部クラッド層71、SiドープGaInAsコンタクト層73を順に成長する。下部クラッド層65は、半導体レーザ部のための第1の半導体領域65a及び変調器部のための第2の半導体領域65bを含む。CドープAlGaInAs69aの厚さは例えば2nm以上であることができ、また例えば30nm以下であることができる。SiドープGaInAsP69bの厚さは例えば5nm以上であることができ、また例えば100nm以下であることができる。
図5(b)に示されるように、半導体レーザ部のための半導体積層63の表面の一部分をマスク75で覆う。マスク75を用いて半導体積層63をエッチングして、半導体積層63aを形成すると共に変調器のための第2の半導体領域65bを露出させる。半導体積層63aは、SiドープInP下部クラッド層65a、トンネル接合領域69c、活性層67c、SiドープInP上部クラッド層71c、SiドープGaInAsコンタクト層73cを含む。
ドライエッチングを用いて下部クラッド層65が露出するまで変調器のための半導体積層63をエッチングした後に、図6に示されるように、変調器部のための半導体積層63bを成長する。具体的には、SiドープInP半導体層66、変調器部の光吸収層であるGaInAsP活性層75、ZnドープInPクラッド層77、Znドープコンタクト層79を成長する。活性層67cと活性層75が互いに光学的に結合した突き当て接合(バットジョイント)構造を形成する。
図7及び図8は集積化半導体光素子の半導体レーザ部におけるIII−III線にそって取られた断面を示す。変調器部においては活性層及び該活性層上の半導体層が半導体レーザ部と異なるけれども、以下の工程によって同様に加工される。図7(a)に示されるように、半導体積層63a、63b上に、ストライプ状の絶縁体マスク81を作製する。絶縁体マスク81の幅は例えば1.5マイクロメートルであり、また例えばシリコン酸化膜からなる。次いで、図7(b)に示されるように、絶縁体マスク81を用いて、半導体積層63a、63bをエッチングして、半導体メサ83を形成する。このエッチングは下部クラッド層65に達するように行われる。半導体メサ83は、半導体レーザ部のために第1のメサ部83cと変調器部のための第2のメサ部83dとを含む。メサ部83cは、下部クラッド層65c、トンネル接合領域69d、活性層67d、上部クラッド層71d、コンタクト層73dを含む。メサ部83dは、下部クラッド層65d、SiドープInP半導体層66d、活性層75d、上部クラッド層77d、コンタクト層79dを含む。
この後に、図8(a)に示されるように、マスク81を用いて、有機金属気相成長法を用いて、鉄ドープInP層を成長して、半導体メサ83を埋め込む。InPにドーピングされたFeは電子トラップを生成するので、電子に対しては高抵抗を有する。半導体メサ83の上のマスク81を除去した後に、図8(b)に示されるように、表面保護膜87を形成する。表面保護膜87は例えばシリコン酸化膜である。
半導体レーザ部及び変調器部の上面の表面保護膜87にそれぞれ開口87a、87bを形成する。これらの開口87a、87bには、それぞれ、コンタクト層73d、79dを露出される。コンタクト層73d、79d上に、それぞれ、半導体レーザ部及び変調器部のために第1及び第2の電極89a、89bを形成する。第1及び第2の電極89a、89bは、それぞれ、開口87a、87bを介してコンタクト層73d、79dに接触する。第1及び第2の電極89a、89bは、例えばTi/Pt/Auからなる。また、基板61の裏面61bの全面上に、第3の電極89cを形成する。第3の電極89cは、例えばAuGe/Niからなる。
これらの工程によって、集積化半導体光素子のための基板生産物Pが作製された。この基板生産物Pを劈開することによって、個々に分離された集積半導体光素子が作製される。
この実施例では、活性層がGaInAsPからなるけれども、互いに異なる組成のGaInAsP/GaInAsP積層を含む多重量子井戸構造を用いることができ、また量子細線構造の活性層も使用可能である。また、半導体レーザ部は、分布帰還のために回折格子層を形成することができ、回折格子層は活性層の上または下に設けられることができる。
集積化半導体光素子において組み合わせる半導体光素子として、半導体レーザの他に、光変調器等が使用される。集積化半導体光素子は、3つ以上の半導体光素子を含むことができる。
集積化半導体光素子の駆動時に、順方向に電流を流す半導体光素子の活性層の下部にトンネル注入構造を設けることにより、本実施例における技術的な利点が得られる。トンネル注入構造は、高濃度にドープされたp型半導体層と、高濃度にドープされたn型半導体層で構成される。このp型半導体層には、埋込層の鉄と相互拡散をおこさない炭素(C)ドーパントを添加することが好ましい。また、p型半導体層の材料としては、バンドギャップの大きなAlGaInAs及びAlAs等を用いることができる。また、高濃度にドープされたn型半導体層には、GaInAsP等を用いることができ、このGaInAsPは、光素子の動作波長よりも大きいバンドギャップ波長を有すると共に、InPよりも小さいバンドギャップを有する。これによって、このn型半導体層による光吸収を低減できる。トンネル注入構造のp型半導体層及びn型半導体層の厚みは、いずれも10nm程度であることが好ましい。半導体レーザ部のSiドープGaInAsコンタクト層の一部及び変調器部のZnドープGaInAsコンタクト層の一部の少なくともいずれか一方を両素子のジョイント部において除去して、両GaInAsコンタクト層の接触を避けると、集積化半導体光素子内の両素子間における電気的絶縁を高めることができる。
半導体レーザ部では、活性層はn型下部クラッド層とn型上部クラッド層との間に設けられている。FeドープInP層は、活性層、n型下部クラッド層及びn型上部クラッド層の側面を覆っているので、電流閉じ込めを確実に行うことができる。また、半導体メサ内にトンネル接合領域が含まれるので、トンネル接合領域におけるpn接合の面積が縮小される。活性層およびトンネル接合領域をエッチングしないリッジ構造では、高濃度にドーピングされたトンネル接合領域による寄生キャパシタンスが増大しリーク電流が増大するけれども、寄生キャパシタンスやリーク電流による性能低下は、本実施例における埋込半導体メサ構造によれば改善される。
集積化半導体光素子においては、集積された半導体光素子間の光結合の損失を減らすと共に、電気的な絶縁性を高める必要がある。特に、順方向にバイアスする半導体光素子LDと逆方向にバイアスする半導体光素子EAの集積においては、両者の電位差が大きくなるので、素子間の絶縁性をより高める必要がある。本実施の形態によれば、素子間の電位差が小さくなり、リーク電流が大幅に低減される。さらに、本実施の形態によれば、第2及び第3のクラッドの突き当てによるpn接合が形成されるので、素子間の抵抗を増大させることができる。図9は、トンネル接合領域を含まない構造(活性層がp型クラッド層とn型クラッド層との間に形成される構造)の概略的な素子構造とその等価回路Bとを示す図面である。この等価回路Bを図3に示された等価回路Aと比べるとき、等価回路Bの電気的な絶縁性が十分でないことが理解される。これ故に、半導体レーザ部に流れる電流が、変調素子部からの漏れ電流により変調を受ける。
等価回路Bでは、変調器部に印加された変調信号により、素子間抵抗Rを介して電流が変調器部から半導体レーザ部に流れて、半導体レーザ部に電位変動を引き起こす。一方、等価回路Aでは、図3及び図4に示すように変調器部と半導体レーザ部との間にはpn接合ダイオードが接続される。この集積化半導体光素子11において、変調器部への逆バイアスの電位の向きが、半導体レーザ部への順バイアスの電位の向きと同じになるので、変調器部と半導体レーザ部との間のpn接合ダイオードに印加される電圧を小さくできる。これ故に、集積素子におけるpn接合ダイオードには、小さい逆方向電圧と小さい順方向電圧が印加される。したがって、変調器部のクラッド層と半導体レーザ部のクラッド層との間には、良好な電気的分離が得られる。
既に説明したように、順方向にバイアスされる半導体光素子と逆方向にバイアスされる半導体素子の集積においては、電気的な分離性を高める必要がある。等価回路Bでは、順方向電圧の印加と逆方向電圧の印加とにより両半導体光素子間の電位差が大きくなるので、素子間の絶縁性により高い性能が必要である。先行技術文献に記載された構造においては、絶縁性が十分でない。例えば、逆方向にバイアスされた光変調器に印加された変調信号に起因する漏れ電流により、レーザに流れる電流が変調を受ける。これ故に、レーザの発振波長が揺らぎ、光伝送特性が劣化する。しかし、本実施の形態においては、図3及び図4に示される等価回路Aの半導体レーザ部では、上方から活性層に電子が注入され、下方からはトンネル接合部を介して活性層に正孔が注入される構造になっているので、トンネル接合領域の働きにより、半導体レーザ部の活性層を含むダイオードの極性を反転できる。したがって、本実施の形態における光集積素子は、その半導体レーザ部及び変調器部にそれぞれ順方向及び逆方向のバイアスを印加することができる構造を有するので、半導体レーザ部及び変調器部どちらにも、共通の基板を負極側にバイアスすることが可能になる。この構造により、半導体レーザ部及び変調器部の両素子の間の電位差が小さくなり、素子間のリーク電流を低減することができる。
トンネル接合領域は高濃度にドーピングする必要があるが、Znなどのドーピングに比べて拡散しにくいドーピング材料として炭素(C)でAlGaInAsにドーピングすることにより高濃度のp型層を実現できる。また、高濃度のn型層にはバンドギャップが小さな材料が適しているけれども、半導体レーザ部の発光波長よりも小さなバンドギャップの層を用いると、このn型層の光吸収による損失が生じるので、集積素子の動作波長よりもわずかに大きなバンドギャップを用いることが良い。
本実施の形態に係る構造では、半導体レーザ部のための上部クラッド層及び変調器部のための上部クラッド層に互いに逆導電型の半導体層が用いられている。この構造を有する光導波路に効果的な電流閉じ込めを提供することも重要である。例えばpn接合を用いた埋め込み構造では、この構造の光導波路で効果的な電流狭窄を行うことが難しい。また、活性層及びトンネル接合領域をエッチングしないリッジ構造では、高濃度にドーピングされたトンネル接合層による容量の増大やリーク電流の増大が生じる。これらの技術的課題を解決して良好な光閉じ込めと電流閉じ込めを提供するための埋め込む構造として、絶縁性の埋込領域が好適である。埋め込み構造は、半絶縁性InPの埋め込み層を含む。半絶縁性InPは、半導体レーザ部のための上部クラッ層及び変調器部のための上部クラッド層の側面に接触している。
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明がそのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
10…半導体光装置、11…集積化半導体光素子、13…基板、15…第1のクラッド層、17…第1の活性層、19…第2の活性層、21…第2のクラッド層、22…半導体層、23…第3のクラッド層、25…トンネル接合領域、27…pn接合、29…第1導電型高濃度半導体層、31…第2導電型高濃度半導体層、35…第1のコンタクト層、37…第2のコンタクト層、39…第1の電極、41…第2の電極、43…第3の電極、45…半導体メサ、47…埋込層、51…第1の電源、53…第2の電源、61…n型InP基板、65…SiドープInP下部クラッド層、66…SiドープInP半導体層、67…GaInAsP活性層、69…トンネル接合領域、69a…CドープAlGaInAs、69b…SiドープGaInAsP、71…SiドープInP上部クラッド層、73、79…SiドープGaInAsコンタクト層、81…マスク、83…半導体メサ、87…表面保護膜、87a、87b…開口、89a、89b…電極
Claims (10)
- 第1及び第2の半導体光素子を含む集積化半導体光素子であって、
前記第1の半導体光素子のための第1のエリア及び前記第2の半導体光素子のための第2のエリアを有する主面を有する基板と、
前記基板の前記主面上に設けられ、第1導電型半導体からなる第1のクラッド層と、
前記基板の前記主面の前記第1のエリア及び前記第1のクラッド層上に設けられた第1の活性層と、
前記基板の前記主面の前記第2のエリア及び前記第1のクラッド層上に設けられた第2の活性層と、
前記第2の活性層上に設けられ、第2導電型半導体からなる第2のクラッド層と、
前記第1の活性層上に設けられ、第1導電型半導体からなる第3のクラッド層と、
前記第1の活性層と前記第1のクラッド層との間に設けられたトンネル接合領域と
を備え、
前記第1の活性層は前記第2の活性層に突き当て接合されており、
前記第2のクラッド層及び前記第3のクラッド層はpn接合を構成し、
前記トンネル接合領域は、第1導電型半導体層、第2導電型半導体層、及びトンネル接合を含み、前記トンネル接合は、前記第1導電型半導体層と前記第2導電型半導体層とから構成される、ことを特徴とする集積化半導体光素子。 - 前記基板の前記主面上に設けられ、所定の軸の方向に延びる半導体メサと、
前記基板の前記主面及び前記半導体メサの側面上に設けられた埋込層と
を更に備え、
前記埋込層は、半絶縁性の半導体領域を含み、
前記半導体メサは、前記第1の活性層及び前記第2の活性層を含み、
前記埋込層は前記第1の活性層の側面上に設けられ、
前記埋込層は前記第2の活性層の側面上に設けられ、
前記所定の軸は、前記第1のエリアと前記第2のエリアとの境界を横切って延びている、ことを特徴とする請求項1に記載された集積化半導体光素子。 - 前記第1の活性層は、半導体発光素子のために設けられており、
前記第2の活性層は、半導体変調素子のために設けられており、
前記第1の活性層のフォトルミネッセンス波長は、前記第2の活性層のフォトルミネッセンス波長より長い、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された集積化半導体光素子。 - 前記トンネル接合領域は前記第1の活性層に接合を成し、
前記第1導電型半導体層がn型導電性を示し、
前記第2導電型半導体層がp型導電性を示す、ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載された集積化半導体光素子。 - 前記第2導電型半導体層が、AlGaInAs層を含み、
前記AlGaInAs層には炭素が添加されている、ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載された集積化半導体光素子。 - 前記第1導電型半導体層が、GaInAsP層を含み、
前記GaInAsP層にはn型ドーパントが添加されており、
前記GaInAsP層は、前記第1の活性層を伝搬する光の波長より短いバンドギャップ波長を提供する組成を有する、ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載された集積化半導体光素子。 - 前記第2導電型半導体層は、前記第1導電型半導体層と前記第1の活性層との間に設けられ、
前記第2導電型半導体層のバンドギャップは前記第1導電型半導体層のバンドギャップよりも大きい、ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載された集積化半導体光素子。 - 前記第3のクラッド層上に設けられ、第1導電型半導体からなる第1のコンタクト層と、
前記第2のクラッド層上に設けられ、第2導電型半導体からなる第2のコンタクト層と
を更に備え、
前記第1のコンタクト層のエッジは前記第2のコンタクト層のエッジから離れている、ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載された集積化半導体光素子。 - 前記第1及び第2のコンタクト層は前記pn接合を覆わない、ことを特徴とする請求項8に記載された集積化半導体光素子。
- 請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載された集積化半導体光素子と、
前記集積化半導体光素子に順方向バイアスを印加するための第1の電源と、
前記集積化半導体光素子に逆方向バイアスを印加するための第2の電源と
を備え、
前記集積化半導体光素子は、前記第3のクラッド層上に設けられた第1の電極と、前記第2のクラッド層上に設けられた第2の電極と、前記基板の裏面上に設けられた第3の電極とをさらに備え、
前記第1の電源は、前記第1の電極と前記第3の電極との間に接続され、
前記第2の電源は、前記第2の電極と前記第3の電極との間に接続される、ことを特徴とする半導体光装置。
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JP2009117861A JP2010267801A (ja) | 2009-05-14 | 2009-05-14 | 集積化半導体光素子及び半導体光装置 |
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