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JP2010139984A - 定着装置およびこれを備える画像形成装置 - Google Patents

定着装置およびこれを備える画像形成装置 Download PDF

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JP2010139984A JP2008318765A JP2008318765A JP2010139984A JP 2010139984 A JP2010139984 A JP 2010139984A JP 2008318765 A JP2008318765 A JP 2008318765A JP 2008318765 A JP2008318765 A JP 2008318765A JP 2010139984 A JP2010139984 A JP 2010139984A
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Abstract

【課題】周回移動するベルトにローラを圧接させることによって形成される定着ニップのニップ圧を長期にわたって安定的に高くし、また、ウォーミングアップ時間を短縮する。
【解決手段】一対の上流側テンションローラ33および下流側テンションローラ34に周回移動可能に巻き掛けられた押圧ベルト31は、加圧ローラ32と離間した状態としたときに、上流側テンションローラ33および下流側テンションローラ34間における相互に対向するベルト部分が外側に突出した湾曲状態で走行する剛性を備えている。押圧ベルト31における上流側テンションローラ33および下流側テンションローラ34間の一方のベルト部分に加圧ローラ32が圧接されることによって、そのベルト部分は加圧ローラ32の外周面に沿って凹状に湾曲した状態で走行する。押圧ベルト31と加圧ローラ32とが圧接された部分によって定着ニップが形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、記録シート上に形成された未定着画像を記録シートに熱定着させる定着装置およびこれを備える画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等の画像形成装置では、通常、画像データに対応したトナー画像を形成して記録シートに転写し、転写されたトナー画像を定着装置によって記録シートに定着させる構成になっている。
図6は従来の定着装置の一例を示す断面模式図である。図6に示す定着装置70は、周回移動する加圧ベルト72に対して加熱ローラ71を圧接させることによって、定着ニップにおけるニップ圧を高めている。加圧ベルト72は、記録シートSの搬送方向上流側に配置された上流側ローラ73と、記録シートSの搬送方向下流側に配置された下流側ローラ74とに周回移動可能に巻き掛けられている。加熱ローラ71は、加圧ベルト72における上側の周回移動域のベルト部分に圧接されている。加圧ベルト72は、所定のベルトテンションが付与された状態で、矢印Aで示す方向に周回移動される。加熱ローラ71は、上流側ローラ73と下流側ローラ74との間における加圧ベルト72の上側の周回移動域の全域にわたって圧接されており、加圧ベルト72を介して、上流側ローラ73および下流側ローラ74の両方を押圧している。定着ニップは、加圧ベルト72のベルト部分と加熱ローラ71の外周面とが相互に圧接されることによって形成されている。加熱ローラ71の軸心部は、上流側ローラ73の垂直方向の上方に位置しており、その軸心部内に、軸方向に沿って直線状に形成されたヒータランプ75が配置されている。未定着のトナー画像が転写された記録シートSは、定着ニップを通過する間に、ヒータランプ75によって加熱され、これにより、トナー画像が記録シートSに熱定着される。
なお、この定着装置70には、定着ニップを通過した記録シートSを加圧ベルト72から分離するための分離爪76、記録シートSを加熱ローラ71から分離するための分離板77、加熱ローラ71の温度を検出するサーミスタ78、昇温を防止するサーモスタット79等が設けられている。
また、特許文献1には、図7に示すように、周回移動する加圧ベルト81に、定着ベルト83を介して加熱ローラ82を押し付けて定着ニップを形成する定着装置80が開示されている。この定着装置80では、加圧ベルト81は、記録シートSの搬送方向上流側に位置する上流側ローラ84と、記録シートSの搬送方向下流側に位置する下流側ローラ85と、上流側ローラ84の下方に配置された加圧側テンションローラ86とに巻き掛けられて、矢印Mで示す方向に周回移動する。定着ベルト83は、加熱ローラ82と加熱側テンションローラ87とに巻き掛けられて、矢印Nで示す方向に周回移動する。加熱ローラ82は、定着ベルト83を介して、加圧ベルト81における下流側ローラ85に巻き掛けられたベルト部分およびその周回移動方向上流側のベルト部分に押し付けられている。また、加熱ローラ82が定着ベルト83を介して押し付けられた加圧ベルト81のベルト部分は、加圧ベルト81の周回移動域の内部に配置された圧力パッド88によって、定着ベルト83を介して加熱ローラ82に押し付けられている。加熱ローラ82および加熱側テンションローラ87のそれぞれの軸心部には、ハロゲンランプ(ヒータランプ)89および90が設けられている。
特開2005−77834号公報
図6に示す定着装置70では、定着ニップのニップ圧を高めるために、加圧ベルト72に対して加熱ローラ71を高圧力で押し付ける必要がある。この場合、加圧ベルト72における幅方向の全域にわたって所定の高ニップ圧が得られるようにするためには、加熱ローラ71を金属によって構成し、直径を大きくするとともに、ハロゲンランプ75が配置される軸心部の中空部分を小径にして金属部分を厚くする必要がある。しかし、このような構成とすることにより、加熱ローラ71の熱容量が大きくなり、加熱ローラ71の軸心部に配置されたヒータランプ75によって定着ニップを所定の定着温度にまで上昇させるために長時間が必要になり、ウォームアップ時間が長くなるという問題がある。また、上流側ローラ73および下流側ローラ74が加圧ベルト72を介して加熱ローラ71に押し付けられているために、加熱ローラ71の熱が上流側ローラ73および下流側ローラ74に伝導することによって定着ニップの温度上昇効率がさらに低下し、ウォームアップ時間がさらに長くなるおそれもある。しかも、定着ニップにおける温度上昇効率が低下することにより、複数の記録シートSが連続して定着ニップを通過する場合には、記録シートSが通過する毎に定着温度が低下するために温度追従性が悪くなり、定着ニップを連続して通過する記録シートSに対して所定の定着温度を維持することができず、定着不良が発生するおそれもある。
図7に示す定着装置でも、図6に示す定着装置と同様に、加圧ベルト81に対する押圧力を高めるために、加熱ローラ82が大きな直径であって金属部分が厚く構成されており、その結果、大きな熱容量を有している。このために、加熱ローラ82の軸心部に配置されたハロゲンランプ(ヒータランプ)89によって定着ニップを所定の定着温度にまで上昇させるためには長時間が必要であり、ウォームアップ時間が長くなるという問題がある。また、圧力パッド88が加圧ベルト81の内周面に摺動するために、加圧ベルト81を周回移動させるために高トルクが必要になり、加圧ベルト81を円滑に周回移動させることができず、記録シートSが定着ニップを円滑に通過できなくなるおそれもある。さらには、加圧ベルト81のベルトテンションを増加させるために加圧側テンションローラ86を使用しており、これによって、加圧ベルト81の周回移動域が大きくなり、定着装置が大型化するという問題もある。
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、周回移動するベルトにローラが圧接されることによって形成される定着ニップにおいて、ベルト内周面に摺動する部材を設けることなく、高いニップ圧を長期にわたって安定的に確保することができ、また、ウォーミングアップ時間を短縮することができる定着装置およびこれを備える画像形成装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明に係る定着装置は、一対のテンションローラに周回移動可能に巻き掛けられた押圧ベルトと、該押圧ベルトを加圧する加圧ローラとによって形成された定着ニップを記録シートが通過する間に、該記録シート上に形成された未定着画像を加熱および加圧することによって該記録シートに熱定着させる定着装置であって、前記押圧ベルトは、前記加圧ローラと離間状態としたときに、前記一対のテンションローラの間における相互に対向する2か所のベルト部分のそれぞれが外側に突出した湾曲状態で走行することが可能な剛性を有し、前記押圧ベルトの一方のベルト部分と前記加圧ローラとが直接または間接的に圧接されて、前記押圧ベルトが前記加圧ローラの外周面に沿った凹状に湾曲した状態で走行することを特徴とする。
また、本発明に係る画像形成装置は、シート上に形成された未定着画像を定着部により熱定着する画像形成装置であって、前記定着部として、前記定着装置を備えることを特徴とする。
本発明の定着装置では、押圧ベルトが、加圧ローラと離間した状態で、テンションローラ間におけるそれぞれのベルト部分が外側に突出した湾曲状態で走行し得る剛性を有しており、このベルト部分に、加圧ローラが直接または間接的に圧接されることによって加圧ローラの外周面に沿った凹状に湾曲されて走行することから、定着ニップでは、押圧ベルト自体の剛性による復元力によって加圧ローラの外周面に圧接されている。従って、押圧ベルトを押圧するための特別な部材を設けることなく、長期にわたって安定的に高いニップ圧を確保することができる。また、押圧ベルト自体の剛性でニップ圧を高めることができることによって、加圧ローラの熱容量を小さくすることができ、これにより、ウォームアップ時間を短縮することができるとともに、記録シートが連続して定着ニップを通過する場合にも、定着不良を起こすおそれがない。
好ましくは、前記記録シートの未定着画像が、前記押圧ベルトの周回移動域の内部における前記一対のテンションローラの間に設けられた加熱手段によって加熱されることを特徴とする。
好ましくは、前記記録シートの未定着画像が、電磁誘導加熱方式の加熱手段によって加熱されることを特徴とする。
好ましくは、前記加圧ローラは、前記一対のテンションローラのいずれか一方に、前記押圧ベルトを介して圧接されていることを特徴とする。
好ましくは、前記加圧ローラは、前記一対のローラの両方に、前記押圧ベルトを介して圧接されていることを特徴とする。
好ましくは、前記加圧ローラは、該加圧ローラと補助ローラとに巻き掛けられて周回移動する補助ベルトを介して、前記押圧ベルトに圧接されていることを特徴とする。
好ましくは、前記補助ローラの内部に第2加熱手段が配置されていることを特徴とする。
以下、本発明に係る定着装置および画像形成装置の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る定着装置が備えられた画像形成装置の構成を示す概略図である。この画像形成装置は、記録用紙、OHPシート等の記録シート上に、所定の色のトナー画像を形成する。
図1に示す画像形成装置は、矢印Aで示す方向に回転駆動される感光体ドラム11を有しており、感光体ドラム11の周囲には、電子写真方式によってトナー画像を記録シートS上に形成するための帯電装置12、露光装置13、現像装置14、転写ローラ15が設けられている。
この画像形成装置では、外部機器から入力される画像データが、図示しない制御部によってレーザダイオードの駆動信号に変換され、その駆動信号によって、露光装置13に設けられたレーザダイオードが駆動される。これにより、露光装置13からは画像データに応じたレーザ光Lが感光体ドラム11の表面に照射される。感光体ドラム11の表面は、予め帯電装置12によって所定電位に帯電されており、露光装置13から照射されるレーザ光Lにて露光されることよって、感光体ドラム11の表面上に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置14においてトナーによって現像されてトナー画像として可視化される。
感光体ドラム11の下方には、記録用紙、OHPシート等の記録シートSを複数枚収容できる記録シートカセット21が設けられており、給紙ローラ22によって記録シートカセット21内の記録シートSが1枚ずつ繰り出される。記録シートカセット21から繰り出された記録シートSは、タイミングローラ対23を介して感光体ドラム11に向って搬送される。感光体ドラム11の側方には矢印B方向に回転する転写ローラ15が設けられており、記録シートSは、転写ローラ15と感光体ドラム11とが圧接されることによって形成された転写ニップ部を通過する。転写ニップ部を記録シートSが通過する際には、転写ローラ15に印加された転写電圧にて発生する転写電界の作用により、感光体ドラム11上に形成されたトナー画像が記録シートS上に転写される。トナー画像が転写された記録シートSは、剥離爪16によって感光体ドラム11から剥離されて定着装置30へ搬送される。
定着装置30は、押圧ベルト31と、押圧ベルト31に圧接された加圧ローラ32とを有しており、相互に圧接された押圧ベルト31と加圧ローラ32との間に、記録シートSが通過する定着ニップNが形成されている。押圧ベルト31の周回移動域の内部には、ヒータランプ37が設けられている。ヒータランプ37は、サーミスタ39にて計測される押圧ベルト31の表面温度に基づいて制御される。定着装置30に搬送される記録シートSの未定着のトナー画像は、ヒータランプ37によって表面が所定温度に加熱されて周回移動する押圧ベルト31と、押圧ベルト31に追従して回転する加圧ローラ32との間の定着ニップNを記録シートSが通過する間に、加熱および加圧されることによって記録シートS上に熱定着される。トナー画像が熱定着された記録シートSは、剥離爪38によって押圧ベルト31の外周面から剥離されて、排紙ローラ24に向って搬送され、排紙ローラ24によって排紙トレイ19上へ排出される。
なお、トナー画像が転写された後の感光体ドラム11は、クリーナー17によって表面に残留するトナーが除去された後に、イレーサ18によって残留電荷が消去される。残留電荷が消去された感光体ドラム11は、次の画像形成指示によって、帯電装置12にて表面が帯電され、上述した動作と同様の動作が繰り返されることによってトナー画像が記録シート上に形成される。
このように、感光体ドラム11、帯電装置12、露光装置13、現像装置14、転写ローラ15、記録シートカセット21は、記録シートS上に未定着画像を形成する未定着画像形成部を構成している。
図2は、定着装置30の概略構成を示す断面模式図である。図2に示すように、定着装置30は、転写ローラ15によってトナー画像が転写されて上方に向って搬送される記録シートSを左右方向から挟むように加圧する押圧ベルト31と加圧ローラ32とを備えている。図3は、押圧ベルト31の構成を説明するための模式図であり、押圧ベルト31と加圧ローラ32とを離間させた状態で示している。押圧ベルト31は、自然状態で横断面円形の円筒状を維持する所定の剛性を有する無端ベルトであり、図3に示すように、記録シートSの搬送方向上流側(下側)に配置された上流側テンションローラ33と、この上流側テンションローラ33に平行な状態で記録シートSの搬送方向下流側(上側)に配置された下流側テンションローラ34とに、所定の引っ張り力(ベルトテンション)が加えられた状態で巻き掛けられることによって、楕円形状を維持して周回移動する剛性を有している。上流側テンションローラ33および下流側テンションローラ34は、相互に等しい半径rをそれぞれ有しており、同じX軸座標位置(水平方向位置)になるようにY軸方向(垂直方向)に並んだ状態で、所定の軸間距離Dをあけて配置されている。上流側テンションローラ33および下流側テンションローラ34に所定のベルトテンションで巻き掛けられた押圧ベルト31は、上流側テンションローラ33と下流側テンションローラ34との間における相互に対向するベルト部分が、張架前の自然状態に戻ろうとする力(復元力)により、上流側テンションローラ33および下流側テンションローラ34の各共通接線L1よりもそれぞれ外側に同じ突出量(撓み量)δで外側に突出した湾曲状態で走行する。押圧ベルト31は、記録シートSのトナー画像が転写された面に対向するように配置されており、例えば、下流側テンションローラ34が駆動モータによって回転駆動されることにより、図2に矢印Mで示す方向に周回移動する。
周回移動域が楕円形状になった押圧ベルト31は、図3に示すように、上流側テンションローラ33および下流側テンションローラ34の軸間距離をDとすると、周回移動方向の長さB1が、B1>2D+2πr/2+2πr/2=2D+2πrの関係になっている。
加圧ローラ32は、図2に示すように、上流側テンションローラ33よりも大きな外径を有しており、押圧ベルト31を介して上流側テンションローラ33に圧接されている。加圧ローラ32の軸心位置は、上流側テンションローラ33の軸心位置よりも記録シートS搬送方向下流側に位置しており、従って、上流側テンションローラ33よりも大きな外径を有する加圧ローラ32は、図2に示すように、上流側テンションローラ33と下流側テンションローラ34との間の押圧ベルト31の一方のベルト部分における上流側テンションローラ33に近接した領域を押圧して、この一方のベルト部分を、上流側テンションローラ33と下流側テンションローラ34との各共通接線L1よりもそれぞれ内側において加圧ローラ32の外周面に沿った凹状に湾曲させている。これにより、上流側テンションローラ33と下流側テンションローラ34との間において加圧ローラ32が圧接された押圧ベルト31の一方のベルト部分は、全体にわたって凹状に湾曲した状態で走行する。これに対して、上流側テンションローラ33と下流側テンションローラ34との間の押圧ベルト31の他方のベルト部分は、上流側テンションローラ33および下流側テンションローラ34の各共通接線L1よりもそれぞれ外側に突出した湾曲状態を維持して走行する。
この場合、押圧ベルト31の一方のベルト部分が加圧ローラ32にて押圧されることによって凹状に湾曲すると、押圧ベルト31自体の剛性による復元力によって加圧ローラ32の外周面を押圧するために、相互に圧接された押圧ベルト31のベルト部分と加圧ローラ32の外周面との圧接領域の全域にわたって略一定の高いニップ圧の定着ニップNが形成される。加圧ローラ32は、周回移動する押圧ベルト31が所定のニップ圧で圧接されていることによって、押圧ベルト31に追従して回転する。
押圧ベルト31の周回移動域の内部における上流側テンションローラ33と下流側テンションローラ34との間には、直線状に形成された円柱状のヒータランプ37が、上流側テンションローラ33および下流側テンションローラ34に平行な状態で配置されている。この場合、相互に圧接された押圧ベルト31のベルト部分と加圧ローラ32の外周面とによって形成される定着ニップNが上流側テンションローラ33に近接して形成されていることから、ヒータランプ37も、上流側テンションローラ33に近接して配置することが好ましい。ヒータランプ37としては、ハロゲンヒータ、カーボンヒータ、キセノンランプヒータ等を用いることができる。また、このようなヒータランプ37に限らず、直線状に形成された電熱線ヒータも用いることができる。
押圧ベルト31は、例えば、弾性率(ヤング率)の大きいNi(ニッケル)、鉄、SUS(ステンレス)、W(タングステン)、PI(ポリイミド)等の材料によって所定の厚さに構成された基材を備えており、横断面が所定の外径を有する円形の円筒状に無端化されている。基材の厚さとしては、例えば、20〜400μm、より好ましくは100〜200μmとすることができる。押圧ベルト31は、基材の表面(外周面)に、PFA、PTFA、ETFA等のフッ素系の樹脂、シリコン系のゴム等のチューブを積層した表層を設けて離型性を付与してもよい。表層は導電性であってもよい。表層は、基材にコーティング処理することによって形成してもよい。表層の厚さは5〜100μm程度が望ましい。表層としては、例えば、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製の商品名「PFA350−J」、「451HP−J」、「9541HP Plus」等のフッ素系樹脂が好適に用いられる。さらに、基材と表層との間に中間層を設けてもよい。中間層としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム等のように、弾性を有する耐熱性の高い材質であることが好ましい。中間層の厚さとしては、例えば、30〜150μm程度とされる。押圧ベルト31は、上流側テンションローラ33および下流側テンションローラ34に巻き掛けられない状態では、外径が30〜150mm程度の円筒であることが好ましい。
押圧ベルト31は、ヤング率をE(mN/mm)、押圧ベルト31を上流側テンションローラ33および下流側テンションローラ34に巻き掛けられない状態での円筒形状における横断面の外径をφ(mm)、厚さをt(mm)とすると、次の関係を有していることが好ましい。
E・t/φ≦2000000(mN/mm) ・・・(1)
押圧ベルト31は、ヤング率Eおよび厚さtが大きくなると、楕円形状に変形させるために大きなベルトテンションが必要になるが、円筒形状の外径が大きくなると楕円形状に変形させることが容易になる。このことから、押圧ベルト31を所望の楕円形状に変形させるためには、上記(1)式の関係を有していることが好ましい。2000000mN/mmの値は実験的に求められたものである。
上流側テンションローラ33および下流側テンションローラ34は、Al、SUS、鉄等の中実または中空の円柱状をした芯金の表面に弾性層が積層されて構成されている。芯金の外径は任意であるが、10〜50mmが好ましい。中空(パイプ形状)の場合には、厚さは0.1mm以上が好ましく、上流側テンションローラ33および下流側テンションローラ34のそれぞれのベンディング(湾曲)を考慮すると1.0mm以上がより好ましい。中空(パイプ形状)の場合には、その内部に直線状に形成されたヒータランプを配置してもよい。弾性層としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スポンジ材等の弾性があって耐熱性の高い材質であることが好ましい。弾性層の厚さは任意であるが、例えば、0.05〜20mm程度が好ましく、さらに好ましくは、2〜10mm程度である。弾性層の表面に摺動性(低摩擦性)を付与するために、PFA、PTFA、ETFA等のフッ素系のチューブあるいはコーティング、シリコン系のチューブあるいはコーティング等の表層を設けてもよい。表層は導電性であってもよく、その厚さは5〜200μm程度が好ましく、さらに好ましくは、20〜100μm程度である。フッ素系のチューブとしては、例えば、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製の商品名「PFA350−J」、「451HP−J」、「9541HP Plus」等のフッ素系樹脂が用いられる。上流側テンションローラ33および下流側テンションローラ34の外径は任意であるが、10〜70mm程度が好ましい。
押圧ベルト31の周回移動域内に円柱状のヒータランプ37を配置するためには、通常、上流側テンションローラ33と下流側テンションローラ34との間隙として10mm以上が必要である。
加圧ローラ32は、押圧ベルト31に圧接されることによって定着ニップを形成する構成であるが、押圧ベルト31自体が高剛性であって、外側に突出する湾曲状態になったベルト部分が凹状に湾曲されることによる反力(復元力)によって加圧ローラ32の外周面に圧接されることから、高圧力で押圧ベルト31を押圧する必要がなく、従って、高強度とする必要がない。このことから、例えば、金属部分の厚さが比較的小さな中空ローラを使用することができる。これにより、加圧ローラ32の熱容量を小さくすることができる。
このような構成の定着装置30では、トナー画像が転写された記録シートSが、押圧ベルト31と加圧ローラ32とが相互に圧接された定着ニップ部Nに進入する。この場合、押圧ベルト31は、上流側テンションローラ33と下流側テンションローラ34との間の一方のベルト部分が、加圧ローラ32によって押圧されることによって凹状に湾曲した状態になっているために、加圧ローラ32の外周面に対して、押圧ベルト31自体の復元力によって強い圧力で圧接されており、押圧ベルト31と加圧ローラ32の外周面との相互に圧接された定着ニップNでは全域にわたってほぼ一定の高ニップ圧になっている。
このように、本実施形態の定着装置30では、トナー画像を記録シートS上に定着させる定着ニップNが全体にわたってほぼ一定の高いニップ圧になっていることから、記録シートSが定着ニップNを通過する間に記録シートS上のトナー画像が高いニップ圧によって確実に加圧され、画像ずれが生じることが抑制される。また、定着ニップNを通過する間に記録シートSが振動することも抑制され、定着ニップNにおいて記録シートSにしわが発生することが抑制される。さらには、押圧ベルト31は、周回移動域が外側に突出した湾曲状態を維持して周回移動することができる剛性を有する構成であって、定着ニップNでは加圧ローラ32によって凹状に湾曲するように押圧されているために、押圧ベルト31を加圧ローラ32に圧接するための部材を設けることなく、高いニップ圧を実現することができる。従って、加圧ローラ32による押圧ベルト31に対する加圧力を低減することができるために、加圧ローラ32を高強度に構成する必要がなく、その結果、加圧ローラ32自体の熱容量を小さくすることができ、定着ニップNを所定温度にまで昇温させるためのウォーミング時間を短縮することができる。また、加圧ローラ32自体の熱容量が小さくなることにより、定着ニップNを記録シートSが連続して通過する場合にも、定着温度が低下することを抑制することができ、定着不良が発生することを防止することができる。
なお、上記実施の形態では、押圧ベルト31に加圧ローラ32を直接圧接する構成であったが、このような構成に限らず、例えば、図4に示すように、加圧ローラ32と補助ローラ36とに巻き掛けられた補助ベルト35を介して加圧ローラ32を押圧ベルト31に圧接させるようにしてもよい。この場合、補助ベルト35は、補助ローラ36によってテンションが加えられた状態で周回移動するようになっている。補助ローラ36は中空のパイプ形状になっており、その内部にはハロゲンランプ等の直線状に形成されたヒータランプ41が補助ローラ36の軸心部に沿って設けられている。その他の構成は、図2に示す定着装置30と同様の構成になっている。
このような構成の定着装置30では、補助ローラ36の内部に設けられたヒータランプ41によって補助ベルト35が加熱され、補助ベルト35が押圧ベルト31に圧接されることによって、定着ニップにおける定着温度を高めることができる。これにより、記録シートSに対するトナー画像の定着性を向上させることができるとともに、連続して搬送される記録シートSのそれぞれに対してトナー画像を熱定着させる際にも、定着温度が低下することをさらに効果的に抑制することができ、定着不良が発生することを確実に防止することができる。
さらには、図2に示す定着装置30において、図5に示すように、上流側テンションローラ33のみならず、上流側テンションローラ33および下流側テンションローラ34の両方が、押圧ベルト31を介して加圧ローラ32によって圧接される構成としてもよい。これにより、定着ニップNのシート搬送方向長さを、上流側テンションローラ33によって相互に圧接された押圧ベルト31と加圧ローラ32との間の部分から、下流側テンションローラ34によって相互に圧接された押圧ベルト31と加圧ローラ32との間の部分までと、より長く形成することができ、記録シートSに対するトナー画像の定着性をより向上させることができる。この場合も、押圧ベルト31が剛性を有するために、加圧ローラ32を、図6に示す従来の定着装置のように、高ニップ圧を得るために高剛性とする必要がなく、熱容量の低い部材を用いることによってウォーミングアップ時間の短縮化を図ることもできるようになる。
また、上記の実施形態では、定着装置30の加熱手段としてのヒータランプ37を、押圧ベルト31の周回移動域内における上流側テンションローラ33と下流側テンションローラ34との間にのみ設ける構成であったが、ヒータランプ37とともに別の加熱手段を設けるようにしてもよい。例えば、上流側テンションローラ33および下流側テンションローラ34の軸心部をそれぞれ中空に構成して、それぞれの軸心部内または、いずれか一方の軸心部内にヒータランプ、電熱線ヒータ等を配置してもよい。
なお、加熱手段としては、ヒータランプ37、電熱線ヒータ等に限るものではなく、例えば、押圧ベルト31に誘導発熱体を設けるとともに、押圧ベルト31における加圧ローラ32の遠方側に位置するベルト部分に対向して、電磁誘導加熱方式の加熱手段としての励磁コイルを設けて、押圧ベルト31に設けられた誘導発熱体を電磁誘導によって発熱させて押圧ベルト31を加熱するようにしてもよい。
また、本発明に係る定着装置では、下流側テンションローラ34を回転駆動させることによって押圧ベルト31を周回移動させて、その周回移動に追従させて加圧ローラ32を回転させる構成であったが、このような構成に限らず、加圧ローラ32を駆動モータによって回転させて、この加圧ローラ32の周回移動に追従させて押圧ベルト31を周回移動させるようにしてもよい。また、記録シートSにおけるトナー画像が定着された面に対向させて押圧ベルト31を配置する構成であったが、加圧ローラ32を記録シートSにおけるトナー画像が定着された面に対向させて配置するようにしてもよい。
さらには、本発明に係る定着装置が適用される画像形成装置は、1つの現像器しか設けられていないモノクロ画像形成装置に限らず、周回移動する中間転写ベルトに沿って4つの現像装置を配置して各現像装置によってフルカラー画像を形成するタンデム型カラーデジタルプリンタ、あるいは、回転軸の周囲に4つの現像装置を配置し、これら4つの現像装置を、順次、静電潜像担持体に対向させてフルカラー画像を形成する、いわゆる4サイクル方式の画像形成装置であってもよい。また、複写機、FAX、MFP(Multiple Function Peripheral)等にも適用できる。
本発明は、相互に対向する一対のベルトを用いる定着装置において、ニップ圧を長期にわたって安定的に確保することができ、また、ウォーミングアップ時間を短縮することができる。
本発明の実施の形態に係る定着装置が搭載されたプリンタの全体の構成を示す模式図である。 そのプリンタに配される本発明の実施の形態に係る定着装置の構成を示す断面模式図である。 その定着装置の押圧側ベルトの構成を示す模式図である。 本発明の定着装置における他の例を示す断面模式図である。 本発明の定着装置におけるさらに他の例を示す断面模式図である。 従来の定着装置の概略構成を示す模式図である。 従来の定着装置のさらに他の例における概略構成を示す模式図である。
符号の説明
30 定着装置
31 押圧ベルト
32 加圧ローラ
33 上流側テンションローラ
34 下流側テンションローラ
35 補助ベルト
36 補助ローラ
37 ヒータランプ
41 ヒータランプ

Claims (8)

  1. 一対のテンションローラに周回移動可能に巻き掛けられた押圧ベルトと、該押圧ベルトを加圧する加圧ローラとによって形成された定着ニップを記録シートが通過する間に、該記録シート上に形成された未定着画像を加熱および加圧することによって該記録シートに熱定着させる定着装置であって、
    前記押圧ベルトは、前記加圧ローラと離間状態としたときに、前記一対のテンションローラの間における相互に対向する2か所のベルト部分のそれぞれが外側に突出した湾曲状態で走行することが可能な剛性を有し、
    前記押圧ベルトの一方のベルト部分と前記加圧ローラとが直接または間接的に圧接されて、前記押圧ベルトが前記加圧ローラの外周面に沿った凹状に湾曲した状態で走行することを特徴とする定着装置。
  2. 前記記録シートの未定着画像が、前記押圧ベルトの周回移動域の内部における前記一対のテンションローラの間に設けられた加熱手段によって加熱されることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記記録シートの未定着画像が、電磁誘導加熱方式の加熱手段によって加熱されることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  4. 前記加圧ローラは、前記一対のテンションローラのいずれか一方に、前記押圧ベルトを介して圧接されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の定着装置。
  5. 前記加圧ローラは、前記一対のローラの両方に、前記押圧ベルトを介して圧接されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の定着装置。
  6. 前記加圧ローラは、該加圧ローラと補助ローラとに巻き掛けられて周回移動する補助ベルトを介して、前記押圧ベルトに圧接されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の定着装置。
  7. 前記補助ローラの内部に第2加熱手段が配置されていることを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
  8. シート上に形成された未定着画像を定着部により熱定着する画像形成装置であって、
    前記定着部として、請求項1〜7のいずれか一項に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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