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JP2010138753A - 過給機の軸受装置 - Google Patents

過給機の軸受装置 Download PDF

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Abstract

【課題】オイルフィルムダンパの振動抑制機能を向上させることが可能な過給機の軸受装置を提供する。
【解決手段】過給機1の軸受装置10は、過給機1のタービン軸4上に配置されるベアリング11、12と、ベアリング11、12の外周に嵌め合わされるホルダ20と、ホルダ20の外周側にオイルフィルムダンパ8を形成するための隙間25が生じるようにしてホルダ20が嵌め合わされるベアリングハウジング5と、を具備し、ホルダ20には、潤滑油を排出するためのドレン孔20aが隙間25に通じるようにして形成されるとともに、ドレン孔20aに対してタービン軸4の軸線CLを挟んで反対側の部分と位置を合わせるようにして、上部孔35が設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関に設けられる過給機の軸受装置に関する。
過給機の軸受装置として、回転軸としてのタービン軸上に一対の転がり軸受が配置され、それらの転がり軸受の外周に保持部材が嵌め合わされ、その保持部材が軸受ハウジングのハウジング孔に対して隙間を空けて嵌め合わされ、軸受ハウジングの給油孔から保持部材の外周とハウジング孔の内周との間の隙間に潤滑油が供給されてオイルフィルムダンパが形成される軸受装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2及び3が存在する。
実開平1−127938号公報 実開平3−43534号公報 特許第2794336号公報
従来の軸受け装置では、保持部材にはドレン孔が設けられている。このため、ドレン孔が設けられた部分と、そのドレン孔に対して回転軸の軸線を挟んで反対側の部分との間では、ドレン孔が設けられた分だけオイルフィルムダンパ機能に差が生じ、保持部材が回転軸の軸線から偏心等してオイルフィルムダンパの振動抑制機能が損なわれるおそれがある。
そこで、本発明は、オイルフィルムダンパの振動抑制機能を向上させることが可能な過給機の軸受装置を提供することを目的とする。
本発明の過給機の軸受装置は、過給機の回転軸上に配置される軸受と、前記軸受の外周に嵌め合わされる保持部材と、前記保持部材の外周側にオイルフィルムダンパを形成するための隙間が生じるようにして前記保持部材が嵌め合わされる軸受ハウジングと、を具備し、前記保持部材及び前記軸受ハウジングの少なくともいずれか一方には、潤滑油を排出するためのドレン孔が前記隙間に通じるようにして形成されるとともに、前記ドレン孔に対して前記回転軸の軸線を挟んで反対側の部分と位置を合わせるようにして、穴が設けられている(請求項1)。
この過給機の軸受装置によれば、保持部材及び軸受ハウジングの少なくともいずれか一方に設けられたドレン孔に対して回転軸の軸線を挟んで反対側の部分に穴が存在するため、ドレン孔により生じるドレン孔側とその反対側との間のオイルフィルムダンパ機能の差が緩和される。これにより、オイルフィルムダンパ機能の差から生じる保持部材の偏心等を抑制し、振動抑制機能を向上させることができる。
この発明の一態様において、前記穴の形状及び大きさが前記ドレン孔の形状及び大きさと略等しくされてもよい(請求項2)。この場合、ドレン孔が設けられる側とその反対側との間でオイルフィルムダンパの形状及び大きさが等しくなるので、オイルフィルムダンパ機能の差がさらに緩和され、振動抑制機能が一層向上する。
この発明の一態様において、前記保持部材及び前記軸受ハウジングの少なくともいずれか一方には、前記ドレン孔が設けられた位置から前記回転軸の軸線を中心として略90°ずれた位置に前記回転軸線を挟んで一対の穴が更に設けられていてもよい(請求項3)。この場合、ドレン孔が設けられた側のオイルフィルムダンパ機能とドレン孔が設けられた位置から前記回転軸の軸線を中心として略90°ずれた位置におけるオイルフィルムダンパ機能との差を緩和することができる。これにより、保持部材の四方においてオイルフィルムダンパ機能の差が緩和され、振動抑制機能が一層向上する。
以上説明したように、本発明によれば、保持部材及び軸受ハウジングの少なくともいずれか一方に設けられたドレン孔に対して回転軸の軸線を挟んで反対側の部分に穴が設けられているため、ドレン孔側とその反対側との間でドレン孔により生じるオイルフィルムダンパ機能の差が緩和される。これにより、オイルフィルムダンパ機能の差から生じる保持部材の偏心等を抑制し、オイルフィルムダンパの振動抑制機能を向上させることができる。
図1は本発明の一形態に係る軸受装置10が組み込まれた過給機1を示している。過給機1は、内燃機関の排気通路に設けられるタービンロータ2と、内燃機関の吸気通路に設けられるコンプレッサインペラ3と、それらを一体回転可能に連結する回転軸としてのタービン軸4とを備えたターボチャージャとして構成されている。タービンロータ2とタービン軸4とは同軸上に一体形成されている。タービン軸4は、タービンロータ2側からコンプレッサインペラ3に向かって、大径部4a、中間部4b及び小径部4cが順次設けられた段付きシャフトである。
中間部4bは過給機1のベアリングハウジング(軸受ハウジング)5内に挿入され、小径部4cはベアリングハウジング5を貫いてコンプレッサハウジング(不図示)内に挿入される。ベアリングハウジング5は、ハウジング本体5Aの一端に、リテーナ5Bがボルト等の固定手段によって結合された構成を備えている。中間部4bの外周には、軸受として、一対のベアリング11、12が嵌め合わされている。ベアリング11、12は、タービン軸4上に嵌め合わされる内輪11a、12aと、それらの外側に配置される外輪11b、12bと、内外輪間に配置される転動体としての多数のボール11c、12cとを備えたアンギュラコンタクト型のボールベアリングである。
ベアリング11の内輪11aと大径部4aとの間にはスリンガ13が設けられ、内輪11a、12aの間には内輪スペーサとしてのスリーブ14が設けられている。小径部4cの外周にはカラー15、16、コンプレッサインペラ3が順次嵌め合わされている。コンプレッサインペラ3からは小径部4cの先端の雄ネジ部4dが突出する。その雄ネジ部4dにナット17が装着されて締め付けられることにより、スリンガ13、内輪11a、スリーブ14、内輪12a、カラー15、16及びコンプレッサインペラ3が大径部4aとナット17との間に挟み込まれてそれらが軸線方向の定位置に拘束される。これにより、タービンロータ2、タービン軸4、スリンガ13、内輪11a、スリーブ14、内輪12a、カラー15、16、コンプレッサインペラ3及びナット17は、タービン軸4の軸線CLの回りに一体回転可能な回転体アッセンブリ6として組み立てられる。なお、大径部4a及びカラー16のそれぞれには、タービンハウジング(不図示)及びコンプレッサハウジングとベアリングハウジングとの間をシールするためのシールリング18、19が取り付けられている。
ベアリング11、12のそれぞれの外輪11b、12bは、保持部材としてのホルダ20に嵌め合わされている。そのホルダ20は、ベアリングハウジング5のハウジング本体5Aに形成されたハウジング孔5aに嵌め合わされている。ベアリングハウジング5のリテーナ5Bは、ハウジング孔5aの開口端部(コンプレッサインペラ3側の端部)に取り付けられている。それにより、ホルダ20は、タービン軸4の軸線方向に関して、ベアリングハウジング5の突起部5bとリテーナ5Bとの間に保持される。
図2により詳しく示すように、ホルダ20は、外輪11b、12bの外周に嵌め合わされる円筒状のケース部22と、そのケース部22の内周側に突出して外輪11b、12bの間に介在する外輪スペーサとしてのスペーサ部23とが一体化された構成を備えている。スペーサ部23の両端には外輪11b、12bが突き当てられている。それにより、外輪11b、12bが軸線方向に位置決めされて外輪11b、12b間の軸線方向の距離が一定に保持される。ベアリング11、12、スリーブ14及びホルダ20が相互に組み立てられることにより、軸受アッセンブリ7が形成される。
ホルダ20とベアリングハウジング5との間には微小量の隙間25が設けられている。隙間25は、ケース部22の外周とハウジング孔5aの内周との間に存在する半径方向隙間25aと、ケース部22の両端面22a、22bとベアリングハウジング5との間に存在する軸線方向隙間25b、25cとを含んでいる。後述するオイルフィルムが形成されていない状態において、ホルダ20は、ベアリングハウジング5に対して半径方向隙間25aに相当する量だけ半径方向に移動可能であり、軸線方向隙間25b、25cに相当する量だけ軸線方向に移動可能である。
ベアリングハウジング5のハウジング本体5Aの上部には、タービン軸4の軸線方向に沿って延びる第1油路26aと、一対の第2油路26bとを組み合わせた給油孔26が形成されている。第2油路26bは第1油路26aからハウジング孔5aの内周まで延びている。第2油路26bの軸線は斜めに傾けられており、その第2油路26bを介して半径方向隙間25a及び軸線方向隙間25b、25cに潤滑油が供給されることにより、隙間25が潤滑油で満たされてホルダ20とベアリングハウジング5との間にオイルフィルムが形成される。そのオイルフィルムと、ホルダ20及びベアリングハウジング5とによってオイルフィルムダンパ8が構成される。オイルフィルムダンパ8によりベアリング11、12の外輪11b、12bがそれぞれ支持される。このようにオイルフィルムダンパ8を設けることにより、軸受アッセンブリ7の振動を効率よく吸収することが可能となる。なお、図1〜3では隙間25が誇張して描かれている。隙間25はオイルフィルムの形成に必要な最小限の寸法で足りる。
ホルダ20の外周には、一対の円周溝30が形成されている。これらの円周溝30は、ケース部22の外周を一周するように設けられている。ホルダ20には、各円周溝30からスペーサ部23の内周まで達する導入孔31が形成されている。導入孔31は、半径方向隙間25aに供給された潤滑油をベアリング11、12に導入するためのものである。導入孔31の軸線は内輪11a、12aとスリーブ14との合わせ面に潤滑油が吹き付けられるように斜めに傾けられており、第2油路26bの軸線と一致している。
ホルダ20の下部には、スリーブ14とスペーサ部23との間の隙間から潤滑油を排出するためのドレン孔20aが一対の円周溝30の間に形成されている。ベアリングハウジング5のハウジング本体5Aには、ドレン孔20aと位置を合わせるようにして本体ドレン孔5dが形成されている。なお、ベアリングハウジング5には、タービン軸4の大径部4a側に流れ出た潤滑油を排出するための副ドレン孔5eも形成されている(図1参照)。
一方、ホルダ20の上部には、下部に形成されたドレン孔20aに対してタービン軸4の軸線CLを挟んで反対側の部分に位置を合わせるようにして穴としての上部孔35が設けられている。上部孔35とドレン孔20aとは同一形状及び大きさであり、上部孔35の直径Aは、ドレン孔20aの直径Dと同一である。従って、上部孔35とドレン孔20aとは軸線CLを挟んで上下に対象であり、上部孔35の軸線とドレン孔20aの軸線とは一致している。更に、図3に示すように、ホルダ20の両側面には、上部孔35及びドレン孔20aの軸線と直交する軸線をもつ一対の穴としての側面孔36が設けられている。つまり、側面孔36は、上部孔35及びドレン孔20aが設けられた位置から軸線CLを回転中心として略90°ずれて位置している。一対の側面孔36は軸線CLを挟んで左右に対象である。上部孔35、ドレン孔20a、及び側面孔36は、いずれも一対の円周溝30の間に設けられており、円周溝30には接続されていない。このため、これらの孔20a、35、36と円周溝30との間には半径方向隙間25aが残されている。
以上のように構成された軸受装置10によれば、ドレン孔20aの反対側にドレン孔20aと位置を合わせるようにして上部孔35が互いに対照的に存在するので、ドレン孔20a側とその反対側との間でオイルフィルムダンパ8の長さが等しくなり、ホルダ20が潤滑油から受ける力の差が緩和される。その結果、ホルダ20の軸線CLに対する偏心が抑えられる。そのため、半径方向隙間25aに形成されるオイルフィルムの厚さが全周に亘って均一に維持され、オイルフィルムダンパ8の振動抑制機能を向上させることができる。ホルダ20に設けられたドレン孔20a、上部孔35及び側面孔36と円周溝30との間には半径方向隙間25aが残されているので、これらの孔20a、35、36はオイルフィルムダンパ8の機能を損なわない。従って、タービン軸4の高速回転に対して十分な軸受性能を発揮させることができ、ホルダ20とベアリングハウジング5との金属接触による騒音の発生を抑制できるといった作用効果が得られる。また、内燃機関の回転数が高くなりタービン軸4に高負荷がかかる場合には、供給される潤滑油の油圧が高くなり上部孔35及び側面孔36から潤滑油が流れ出てこの潤滑油によってスリーブ14が冷却される。これにより、ベアリング11、12の温度上昇を抑制することができる。
本形態の軸受装置10によれば、さらに一対の側面孔36が設けられているため、ホルダ20の両側面においてもオイルフィルムダンパ8の形状及び大きさが等しくなる。このため、ドレン孔20a及び上部孔35の軸線方向と、この軸線と直交する方向、つまり側面孔36の軸線方向との間のオイルフィルムダンパ8機能の差が緩和される。これにより、オイルフィルムダンパ8の機能を一層向上させることができる。また、ホルダ20にドレン孔20a、上部孔35及び側面孔36が設けられているので、これら4つの孔20a、35、36が設けられていない場合と比較してホルダ20が軽量化される。そのため、内燃機関の燃料が停止して油圧が低下した状態でタービン軸4が慣性により回転を続けても、ホルダ20がオイルフィルム上に浮き易い。この点でも振動、騒音の発生を抑制する効果が期待できる。上部孔35及びドレン孔20aは同時加工が可能であり、一対の側面孔36も同時加工が可能であるので、少ない工程で加工が可能である。
但し、本発明は上述の形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の形態にて実施できる。例えば、軸受はアンギュラコンタクト型のボールベアリングに限らず、各種の構造の軸受を使用することができる。軸受の個数も適宜に変更可能である。本発明の軸受装置は、ターボチャージャの回転軸に限らず、内燃機関の出力軸によって駆動される機械式の過給機の回転軸に対しても適用することができる。
また、一対の側面孔36を省略した構成であってもよい。この場合にも軸線CLに対する偏心が抑えられ、オイルフィルムダンパの振動抑制機能を向上させることができ、また、ドレン孔20a及び上部孔35が設けられていない場合と比較してホルダが軽量化されるのでオイルフィルム上に浮き易い。また、上述の形態では、ホルダ20にドレン孔20a、上部孔35及び側面孔36が設けられているが、これらのドレン孔及び穴はオイルフィルムダンパ機能を確保できる限りにおいてベアリングハウジングに設けられていてもよい。
また、上部孔35及び側面孔36はホルダ20を貫通する穴として構成されているが、ホルダ20を貫通していなくてもよい。この場合にもホルダ20の左右に形成されるオイルフィルムダンパ機能の差が緩和され、オイルフィルムダンパの振動抑制機能を向上させることができるとともに、軽量化を図ることがきる。
本発明の一形態に係る軸受装置が組み込まれた過給機の軸線方向断面図。 図1の過給機の軸受アッセンブリを拡大して示した図。 図1のIII−III線に沿った断面図。
符号の説明
1 過給機
4 タービン軸(回転軸)
5 ベアリングハウジング(軸受ハウジング)
5a ハウジング孔
5d 本体ドレン孔
8 オイルフィルムダンパ
10 軸受装置
11、12 ベアリング(軸受)
20 ホルダ(保持部材)
20a ドレン孔
22 ケース部
23 スペーサ部
25 隙間
25a 半径方向隙間
25b、25c 軸線方向隙間
35 上部孔
36 側面孔
A 上部孔の軸線方向の長さ
CL タービン軸の軸線
D ドレン孔の直径

Claims (3)

  1. 過給機の回転軸上に配置される軸受と、前記軸受の外周に嵌め合わされる保持部材と、前記保持部材の外周側にオイルフィルムダンパを形成するための隙間が生じるようにして前記保持部材が嵌め合わされる軸受ハウジングと、を具備し、前記保持部材及び前記軸受ハウジングの少なくともいずれか一方には、潤滑油を排出するためのドレン孔が前記隙間に通じるようにして形成されるとともに、前記ドレン孔に対して前記回転軸の軸線を挟んで反対側の部分と位置を合わせるようにして、穴が設けられている過給機の軸受装置。
  2. 前記穴の形状及び大きさが前記ドレン孔の形状及び大きさと略等しい請求項1に記載の過給機の軸受装置。
  3. 前記保持部材及び前記軸受ハウジングの少なくともいずれか一方には、前記ドレン孔が設けられた位置から前記回転軸の軸線を中心として略90°ずれた位置に前記回転軸線を挟んで一対の穴が更に設けられている請求項1又は2に記載の過給機の軸受装置。
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