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JP2010134457A - 赤外線遮断性フィルム及び赤外線遮断性積層フィルム - Google Patents

赤外線遮断性フィルム及び赤外線遮断性積層フィルム Download PDF

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JP2010134457A JP2009253508A JP2009253508A JP2010134457A JP 2010134457 A JP2010134457 A JP 2010134457A JP 2009253508 A JP2009253508 A JP 2009253508A JP 2009253508 A JP2009253508 A JP 2009253508A JP 2010134457 A JP2010134457 A JP 2010134457A
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Abstract

【課題】赤外線遮断性及び可視光線透過性に優れた薄いフィルムを提供する。
【解決手段】(1)(メタ)アクリルアミドとリン酸との反応物又はその加水分解物の重合体に、リチウム、カルシウム、バナジウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛及びインジウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属の化合物を添加してなる第一の赤外線遮断性樹脂、(2)上記反応物又はその加水分解物と、エチレン性不飽和結合を有する化合物との共重合体に、上記金属化合物を添加してなる第二の赤外線遮断性樹脂、又は(3)これらの混合物からなる第三の赤外線遮断性樹脂を含む赤外線遮断性フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、赤外線遮断性及び可視光線透過性に優れた薄いフィルムに関する。
可視光線を透過させるが、赤外線を反射又は吸収するフィルム状材料が、建築物、乗り物等において太陽光の熱線を抑制したり、デジタルカメラの視感度を補正したりするために用いられている。このようなフィルム状材料として、アクリル樹脂に、赤外線吸収剤として銅イオンを添加するとともに、銅イオンの分散性を高めるために燐酸エステルを添加した組成物からなるものが知られている。しかしこの組成物は、アクリル樹脂に対する燐酸エステルの相溶性が良くないため、銅イオンの分散性が不十分であり、十分な赤外線遮断性が得られない。
そこで特開平6-118228号(特許文献1)は、近赤外線を効率よくカットする光学フィルタとして、式:PO(OH)nR3-n[ただし、Rは
Figure 2010134457
(Xは水素原子又はメチル基を示し、mは1〜5の整数である)を示し、nは1又は2である]により表されるリン酸基含有単量体と、アルキルアクリレートとの共重合体、及び銅塩を含む光学フィルタを提案している。
しかし特許文献1のフィルタは、リン酸基含有単量体が分子中にリン酸基を一個のみ有するものであるので、銅塩の分散が十分とはいえず、十分な赤外線遮断性を得るためには厚くする必要があり、そのため可視光線透過性や軽量性に欠けるという問題がある。
特開平6-118228号公報
従って、本発明の目的は、赤外線遮断性及び可視光線透過性に優れた薄いフィルムを提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、(メタ)アクリルアミドとリン酸との反応物又はその加水分解物を必須成分とする重合体に、金属化合物を添加した樹脂を用いると、赤外線遮断性及び可視光線透過性に優れた薄いフィルムが得られることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の赤外線遮断性フィルムは、(1) (メタ)アクリルアミドとリン酸との反応物又はその加水分解物の重合体に、リチウム、カルシウム、バナジウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛及びインジウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属の化合物を添加してなる第一の赤外線遮断性樹脂、(2) 前記反応物又はその加水分解物と、エチレン性不飽和結合を有する化合物との共重合体に、前記金属化合物を添加してなる第二の赤外線遮断性樹脂、又は(3) これらの混合物からなる第三の赤外線遮断性樹脂を含むことを特徴とする。
赤外線遮断性層と、透明性樹脂フィルムとを有する本発明の赤外線遮断性積層フィルムは、前記赤外線遮断性層が、(1) (メタ)アクリルアミドとリン酸との反応物又はその加水分解物の重合体に、リチウム、カルシウム、バナジウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛及びインジウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属の化合物を添加してなる第一の赤外線遮断性樹脂、(2) 前記反応物又はその加水分解物と、エチレン性不飽和結合を有する化合物との共重合体に、前記金属化合物を添加してなる第二の赤外線遮断性樹脂、又は(3) これらの混合物からなる第三の赤外線遮断性樹脂を含むことを特徴とする。前記透明性樹脂フィルムに金属酸化物半導体薄膜が設けられていてもよい。
前記金属化合物は、前記金属の有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド又はアセチルアセトネートであるのが好ましい。前記重合体及び共重合体は(ポリ)ホスホン酸基を有するのが好ましい。前記エチレン性不飽和結合を有する化合物は、酸性基を有する不飽和化合物、及び/又は酸性基を有しない不飽和化合物でよい。前記酸性基を有する不飽和化合物は、スルホン酸基を有する不飽和化合物であるのが好ましい。
前記第一の赤外線遮断性樹脂は、前記重合体に前記金属化合物が分散した構造、前記金属のイオンが前記重合体の(ポリ)ホスホン酸基と塩を形成した構造、又はこれらの両構造を有するのが好ましい。前記第二の赤外線遮断性樹脂は、前記共重合体に前記金属化合物が分散した構造、前記金属のイオンが前記共重合体の(ポリ)ホスホン酸基と塩を形成した構造、又はこれらの両構造を有するのが好ましい。前記第二の赤外線遮断性樹脂は、前記共重合体に前記金属化合物が分散した構造、前記金属のイオンが前記共重合体の(ポリ)ホスホン酸基及び前記酸性基と塩を形成した構造、又はこれらの両構造を有するのがより好ましい。
前記加水分解物は、式(1):
Figure 2010134457
(ただしR1は水素基又はメチル基である)により表されるN, N-ジホスホン酸(メタ)アクリルアミド、及び式(2):
Figure 2010134457
(ただしR1は水素基又はメチル基であり、nは0〜2の整数である)により表される(ポリ)ホスホン酸基含有(メタ)アクリルアミドのいずれか又はこれらの両方を含むのが好ましい。
前記第二の赤外線遮断性樹脂は、前記反応物又はその加水分解物と、式(3):
Figure 2010134457
(ただしR2は水素基又はメチル基であり、R3及びR4は水素基又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R5は炭素数1〜3のアルキレン基である)により表されるアクリルアミドアルカンスルホン酸及び/又はビニルスルホン酸との共重合体に、前記金属化合物を添加してなるのが好ましい。
近赤外線に対して一層優れた遮断性を得るために、前記金属化合物として、一価又は二価の銅の有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド又はアセチルアセトネートを用いるのが好ましい。
本発明の赤外線遮断性(積層)フィルムは、金属化合物及び/又はその金属イオンが高分散しているので、厚さが500μm程度であっても、少なくとも中・遠赤外線に対して優れた遮断性を有する。しかも可視光線に対する透過性が高く、軽量である。このような赤外線遮断性(積層)フィルムは、熱線遮断用フィルム等として有用である。特に銅化合物を用いた赤外線遮断性(積層)フィルムは、近赤外線に対する遮断性にも優れているので、カメラの測光用フィルタや視感度補正用フィルタ、プラズマディスプレイ用近赤線カットフィルタ等としても有用である。
アクリルアミドの赤外測定チャートである。 ホスホン酸基含有加水分解物の赤外測定チャートである。 実施例1及び2の赤外線遮断性フィルムの可視光線領域及び近赤外線領域の分光透過率を表すグラフである。 実施例3及び4の赤外線遮断性積層フィルムの可視光線領域及び近赤外線領域の分光透過率を表すグラフである。 実施例5及び6の赤外線遮断性積層フィルムの可視光線領域及び近赤外線領域の分光透過率を表すグラフである。 実施例7及び8の赤外線遮断性積層フィルムの可視光線領域及び近赤外線領域の分光透過率を表すグラフである。 実施例9の赤外線遮断性積層フィルムの可視光線領域及び近赤外線領域の分光透過率を表すグラフである。 実施例9の赤外線遮断性積層フィルムの中・遠赤外線領域の分光透過率を表すグラフである。 実施例10の赤外線遮断性積層フィルムの中・遠赤外線領域の分光透過率を表すグラフである。 実施例11〜13の赤外線遮断性積層フィルムの可視光線領域及び近赤外線領域の分光透過率を表すグラフである。 実施例15及び16の赤外線遮断性積層フィルムの可視光線領域及び近赤外線領域の分光透過率を表すグラフである。 実施例16及び17の赤外線遮断性積層フィルムの可視光線領域及び近赤外線領域の分光透過率を表すグラフである。 実施例18及び19の赤外線遮断性積層フィルムの可視光線領域及び近赤外線領域の分光透過率を表すグラフである。 実施例20〜22の赤外線遮断性積層フィルムの可視光線領域及び近赤外線領域の分光透過率を表すグラフである。 実施例20〜22の赤外線遮断性積層フィルムの中・遠赤外線領域の分光透過率を表すグラフである。 実施例23〜26の赤外線遮断性積層フィルムの可視光線領域及び近赤外線領域の分光透過率を表すグラフである。 実施例23〜26の赤外線遮断性積層フィルムの中・遠赤外線領域の分光透過率を表すグラフである。 実施例27及び28の赤外線遮断性積層フィルムの可視光線領域及び近赤外線領域の分光透過率を表すグラフである。 比較例1及び2の積層フィルムの可視光線領域及び近赤外線領域の分光透過率を表すグラフである。
[1] 第一の赤外線遮断性樹脂
第一の赤外線遮断性樹脂は、(メタ)アクリルアミドとリン酸との反応物又はその加水分解物の重合体に、リチウム、カルシウム、バナジウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛及びインジウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属の化合物を添加してなる。
(1) (メタ)アクリルアミドとリン酸との反応物及びその加水分解物
第一の赤外線遮断性樹脂のマトリックスは、(メタ)アクリルアミドとリン酸との反応物又はその加水分解物の重合体からなる。(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド、メタクリルアミド又はこれらの混合物でよい。リン酸としては、正リン酸及び無水リン酸(五酸化リン=P2O5)のいずれでもよいが、無水リン酸が好ましい。以下無水リン酸を用いる場合について説明する。重合体は、(メタ)アクリルアミドと無水リン酸との反応物の加水分解物を重合してなるのが好ましい。ただし加水分解は反応物を重合する前に行ってもよいし、反応物を重合しながら行ってもよいし、反応物を重合した後に行ってもよいし、これらを組合せて行ってもよいが、好ましくは重合前に行う。
反応及び加水分解の手順及び条件については、例えばWO2005-080454に記載されているので詳細な説明を省略するが、(メタ)アクリルアミドに対して無水リン酸を反応させ、加水分解すると、(メタ)アクリルアミドと無水リン酸とが1:1のモル比で反応する場合、(メタ)アクリルアミドは、例えば式(4):
Figure 2010134457
(ただしR1は水素基又はメチル基である)に示すように、中間生成物としてピロリン酸が(メタ)アクリルアミドにN, N-結合した化合物、及び/又はジピロリン酸を介して2つの(メタ)アクリルアミドが結合した化合物が生成する工程、及び中間生成物が加水分解される工程を経て、N, N-ジホスホン酸(メタ)アクリルアミドになる。
また(メタ)アクリルアミドと無水リン酸とが2:1のモル比で反応する場合、(メタ)アクリルアミドは、例えば式(5):
Figure 2010134457
(ただしR1は水素基又はメチル基であり、x及びyは0〜2の整数である)に示すように、N-(ポリ)ホスホン酸(メタ)アクリルアミドになる。
従って、N, N-ジホスホン酸(メタ)アクリルアミドを主に製造する場合、(メタ)アクリルアミドに対する無水リン酸のモル比は0.9〜1.2の範囲とするのが好ましい。N-(ポリ)ホスホン酸(メタ)アクリルアミドを主に製造する場合、(メタ)アクリルアミドに対する無水リン酸のモル比は0.5〜0.8の範囲とするのが好ましい。N, N-ジホスホン酸(メタ)アクリルアミドとN-(ポリ)ホスホン酸(メタ)アクリルアミドとのモル比は、(50/50)以上が好ましく、(60/40)以上がより好ましく、(70/30)以上が最も好ましい。
(2) 金属化合物
金属化合物は、リチウム、カルシウム、バナジウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛及びインジウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属の有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド又はアセチルアセトネートである。中でも銅の化合物は、中・遠赤外線に対してのみならず、近赤外線に対しても優れた遮断性を有するフィルムが得られるので好ましい。銅は一価及び二価のいずれでもよいが、二価が好ましい。有機酸としては、蟻酸、シュウ酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、ソルビン酸、グルコン酸等を挙げることができる。無機酸としては、硫酸、アミド硫酸、リン酸、硝酸等を挙げることができる。
金属化合物の具体例として、酢酸リチウム、酢酸カルシウム、バナジウムアセチルアセトネート、酢酸コバルト、酢酸ニッケル、酢酸第一銅、硫酸第一銅、リン酸第一銅、硝酸第一銅、塩化第一銅、臭化第一銅、ギ酸第二銅、酢酸第二銅、グルコン酸第二銅、硫酸第二銅、リン酸第二銅、硝酸第二銅、塩化第二銅、臭化第二銅、酢酸亜鉛及び塩化インジウムが挙げられる。
金属化合物の含有量は、(メタ)アクリルアミドとリン酸との反応物又はその加水分解物の重合体1gに対して、1×10-4〜3×10-3モルが好ましく、3×10-4〜2×10-3モルがより好ましい。この含有量が1×10-4モル/g未満だと、赤外線遮断性が不十分である。一方3×10-3モル/g超とすると、可視光線の透過率が低下することがある。
(3) 調製方法
第一の赤外線遮断性樹脂は、(メタ)アクリルアミドとリン酸との反応物又はその加水分解物を重合するか、上記反応物を重合しながら加水分解するか、上記反応物を重合した後加水分解するか、これらを組合せることにより重合体を調製し、重合体に金属化合物を添加することにより調製する。以下上記反応物又はその加水分解物を重合する場合について説明する。
重合反応は、上記反応物又はその加水分解物及び生成する重合体が溶解する共通溶媒中で、アンモニウムパーサルフェート、カリウムパーサルフェート、アセチルパーオキサイド、イソプロピルハイドロパーオキサイド等の無機又は有機の過酸化物系開始剤、2, 2’-アゾビスイソブチロニトリル、2, 2 ’-アゾビス(2, 4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2, 2 ’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、ジメチル2, 2 ’-アゾビスイソブチレート等のアゾ系開始剤、あるいはラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert-ブチルパーオキシ・ピバレート等の過酸化物系開始剤、過酸化水素等の重合開始剤を用いて、ラジカル重合により行う。
溶媒としては水、アルコール及び有機極性溶媒が好ましい。アルコールとしては、脂肪族低級アルコールが好ましい。脂肪族低級アルコールとしてはメタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。また溶解性を損なわない範囲でエステル、ジオキサン、エーテル等を共存させてもよい。有機極性溶媒としては、ジメチルアセトアミド及びジメチルスルホキシドが好ましい。水を使用する場合、脂肪族低級アルコールを併用するのが好ましい。
重合手順について述べる。攪拌器、還流冷却器付き反応器に(上記反応物又はその加水分解物+溶媒)からなる溶液を入れ、反応器内を窒素ガス雰囲気とした後、添加する重合開始剤の分解温度である40℃〜90℃に昇温する。好ましい重合温度は50℃〜90℃である。所定温度到達直後に重合開始剤を添加する。このとき若干の発熱があり、重合開始を確認することができる。所定温度に到達してから約1時間間隔で重合開始剤を2〜3回添加した後、1〜8時間程度重合反応を継続する。反応温度は最初から最後まで一定である必要はなく、重合末期に温度を上げて未反応単量体を極力少なくする方法をとってもよい。
重合溶液は初期固形分濃度が10〜80質量%であるのが好ましく、10〜70質量%であるのがより好ましい。重合開始剤のトータル使用量は、上記反応物又はその加水分解物を100とした場合に質量比で0.1〜5であるのが好ましく、0.1〜2であるのがより好ましい。
重合体に金属化合物を添加する方法としては、上記方法により得られた重合体の溶液に、金属化合物を添加し、攪拌する方法が好ましい。この操作は室温で行えばよいが、必要に応じて加熱してもよい。金属化合物の溶解性を良好にするために、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸を添加してもよい。無機酸の添加量は、金属化合物1モル当たり1〜1.5モルが好ましい。金属化合物が分散又は溶解した後、30分程度攪拌するのが好ましい。得られた溶液から溶媒を蒸発させることにより、第一の赤外線遮断性樹脂が得られる。重合体と金属化合物との反応により生成する酸成分(有機酸成分及び無機酸成分)が酢酸等のように揮発性の場合、溶媒とともに蒸発させればよい。
(4) 構造
第一の赤外線遮断性樹脂は、(メタ)アクリルアミドとリン酸との反応物又はその加水分解物の重合体に金属化合物が分散した構造、金属のイオンが重合体の(ポリ)ホスホン酸基と塩を形成した構造、及びこれらの両構造のいずれを有してもよい。
[2] 第二の赤外線遮断性樹脂
第二の赤外線遮断性樹脂は、(メタ)アクリルアミドとリン酸との反応物又はその加水分解物と、エチレン性不飽和結合を有する化合物との共重合体に、上記金属化合物を添加してなる。エチレン性不飽和結合を有する化合物は、分子内にエチレン性不飽和結合及び酸性基を有する不飽和化合物(1)、及び/又は分子内にエチレン性不飽和結合を有するが酸性基を有しない不飽和化合物(2)でよい。
(1) 酸性基を含有する不飽和化合物
酸性基を含有する不飽和化合物は、分子内にスルホン酸基及び/又はカルボン酸基とエチレン性不飽和結合とを有するのが好ましい。エチレン性不飽和結合を有する骨格としては、(メタ)アクリレート骨格、(メタ)アリルエステル骨格等を挙げることができる。
(i) スルホン酸基を含有する不飽和単量体
スルホン酸基を含有する不飽和単量体として、式(3):
Figure 2010134457
(ただしR2は水素基又はメチル基であり、R3及びR4は水素基又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R5は炭素数1〜3のアルキレン基である)により表されるアクリルアミドアルカンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、p-スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸ブチル-4-スルホン酸、(メタ)アクリロオキシベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
アクリルアミドアルカンスルホン酸としては、式(6):
Figure 2010134457
により表されるターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸が好ましい。
(ii) カルボン酸基を含有する不飽和単量体
カルボン酸基を含有する不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸及びその無水物、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
(2) 酸性基を含有しない不飽和化合物
第二の赤外線遮断性樹脂は、造膜性、耐水性等の向上を目的として、酸性基を含有しない不飽和化合物を共重合成分として含んでもよい。酸性基非含有不飽和化合物としては(メタ)アクリルアミドが好ましい。
(3) 配合割合
(メタ)アクリルアミドとリン酸との反応物又はその加水分解物(a)と酸性基含有不飽和化合物(b)とからなる共重合体の場合、これらの質量比(a)/(b)は(10/90)以上が好ましく、(20/80)以上がより好ましく、(20/80)〜(70/30)が特に好ましい。この比を(20/80)〜(70/30)とすると、一層優れた赤外線遮断性及び造膜性が得られる。上記反応物又はその加水分解物(a)と酸性基非含有不飽和化合物(c)とからなる共重合体の場合、これらの質量比(a)/(c)は(50/50)以上が好ましく、(60/40)以上がより好ましい。上記反応物又はその加水分解物(a)と酸性基含有不飽和化合物(b)と酸性基非含有不飽和化合物(c)とからなる共重合体の場合、(a)及び(b)の合計と(c)との質量比[(a)+(b)]/(c)が(50/50)以上であるのが好ましく、(60/40)以上であるのがより好ましい。この共重合体における質量比(a)/(b)は上記と同じでよい。
(4) 金属化合物の含有量
金属化合物の含有量は、(メタ)アクリルアミドとリン酸との反応物又はその加水分解物と、酸性基含有不飽和化合物(1)及び/又は酸性基非含有不飽和化合物(2)とからなる共重合体1gに対して、1×10-4〜3×10-3モルが好ましく、3×10-4〜2×10-3モルがより好ましい。
(5) 調製方法
第二の赤外線遮断性樹脂は、(メタ)アクリルアミドとリン酸との反応物又はその加水分解物と、酸性基含有不飽和化合物(1)及び/又は酸性基非含有不飽和化合物(2)とを共重合し、共重合体に金属化合物を添加することにより調製するのが好ましい。共重合方法、及び共重合体に金属化合物を添加する方法は、第一の赤外線遮断性樹脂の場合と本質的に同じでよいので、説明を省略する。
(6) 構造
第二の赤外線遮断性樹脂は、上記共重合体に金属化合物が分散した構造、金属のイオンが共重合体の(ポリ)ホスホン酸基及び/又は酸性基と塩を形成した構造、及びこれらの両構造のいずれを有してもよい。
[3] 第三の赤外線遮断性樹脂
第三の赤外線遮断性樹脂は、第一及び第二の赤外線遮断性樹脂の混合物である。これらの配合割合は限定的ではない。
[4] 赤外線遮断性フィルムの組成
赤外線遮断性フィルムは、上記第一〜第三の赤外線遮断性樹脂のいずれか(以下まとめて単に「赤外線遮断性樹脂」とよぶことがある)を主成分とする。赤外線遮断性フィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲で、金属酸化物半導体微粉末、赤外線吸収性色素、透明化剤、架橋剤、紫外線吸収剤、可塑剤、酸化肪止剤、帯電防止剤、界面活性剤、無機充填剤等のその他の添加物を含有してもよい。
(1) 金属酸化物半導体微粉末
金属酸化物半導体微粉末は赤外線吸収性を有する。金属酸化物半導体微粉末としては、酸化インジウム及び酸化スズの複合酸化物(ITO)、酸化アンチモン及び酸化スズの複合酸化物(ATO)等からなる微粉末が挙げられる。
(2) 赤外線吸収性色素
赤外線吸収性色素として、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、特開平9-188689号に記載の式(7):
Figure 2010134457
で示される化合物及びそのブチルアンモニウム塩、特開2005-325292号に記載の式(8):
Figure 2010134457
(R6〜R13のうち少なくとも一つは1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキル基を示し、他は同一又は異なっていてもよいアルキル基、アルキレン基、シアノアルキル基、水酸基、スルホン酸基、アルキルスルホン酸基、ニトロ基、アミノ基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子及びフェニルアルキル基からなる群から選ばれる基を示し、A-は同一又は異なっていてもよいアニオンを示す)で表されるジイモニウム塩、特開平8-3870号に記載の式(9):
Figure 2010134457
(Rは水素原子または炭素数が1〜12のアルキル基を表し、X-はSbF6 -、ClO4 -、PF6 -、BF4 -、NO3 -、CF3COO-、CF3SO3 -、F-、Cl-、Br-又はI-を示し、nは1又は2を示す)等が挙げられる。
(3) 透明化剤
透明化剤として、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオールや、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のイオン溶解溶剤が挙げられる。透明化剤の添加量は限定的ではないが、赤外線遮断性樹脂を100質量%として50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が最も好ましい。
(4) 架橋剤
架橋剤としてはメラミン樹脂(例えばトリメトキシメチルメラミン樹脂等)が好ましい。メラミン樹脂を添加すると、赤外線遮断性樹脂が有する(ポリ)ホスホン酸基が触媒となり、メラミン樹脂の架橋反応が促進され、赤外線遮断性フィルムの機械的強度が一層向上する。架橋剤の添加量は、赤外線遮断性樹脂を100質量%として20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が最も好ましい。
[5] 赤外線遮断性積層フィルムの構成
赤外線遮断性積層フィルムは、上記第一〜第三の赤外線遮断性樹脂のいずれかを主成分とする赤外線遮断性層と、透明性樹脂フィルムとを有する。赤外線遮断性層は、上記の金属酸化物半導体微粉末、赤外線吸収性色素、透明化剤、架橋剤、紫外線吸収剤、可塑剤、酸化肪止剤、帯電防止剤、界面活性剤、無機充填剤等のその他の添加物を含有してもよい。
透明性樹脂フィルムを用いることにより、赤外線遮断性層を保護したり、フィルム強度を向上させたりすることができる。このフィルムを構成する透明性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルピロリドン、セルロース系重合体等が挙げられる。中でもポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンが好ましい。透明性樹脂フィルムは、可塑剤、酸化肪止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤、無機充填剤等の添加剤を適宜含有しても良い。透明性樹脂フィルム上に金属酸化物半導体薄膜が設けられていてもよい。金属酸化物半導体薄膜としてはITO膜及びATO膜が好ましい。
積層構成例として、赤外線遮断性層/透明性樹脂フィルム、赤外線遮断性層/透明性樹脂フィルム/金属酸化物半導体薄膜、透明性樹脂フィルム/赤外線遮断性層/透明性樹脂フィルム、透明性樹脂フィルム/赤外線遮断性層/透明性樹脂フィルム/金属酸化物半導体薄膜等が挙げられる。必要に応じて、赤外線遮断性層と透明性樹脂フィルムとの間に透明接着剤層を設けてもよい。
[6] 赤外線遮断性フィルムの製造方法
赤外線遮断性フィルムは、例えば赤外線遮断性樹脂の溶液を水平なガラス板やトレイ上に流延し、溶媒を蒸発させるキャスト法により製造することができる。赤外線遮断性樹脂の溶液は、赤外線遮断性樹脂を水、アルコール、これらの混合物等の極性溶媒に溶解したものでよい。アルコールは上記と同じでよい。上記のその他の添加物を使用する場合、流延する溶液に添加物を混合すればよい。溶媒を蒸発させた後の製膜したフィルム(皮膜)に対してさらに常圧又は減圧下40〜150℃で3〜30分程度加熱してもよい。
[7] 赤外線遮断性積層フィルムの製造方法
赤外線遮断性積層フィルムは、例えば金属酸化物半導体薄膜が設けられた又は設けられていない透明性樹脂フィルムに、赤外線遮断性樹脂の溶液を流延又は塗布し、乾燥することにより製造することができる。必要に応じて、赤外線遮断性層上に、金属酸化物半導体薄膜が設けられた又は設けられていない透明性樹脂フィルムをさらに積層する。
[8] 赤外線遮断性(積層)フィルムの特性
赤外線遮断性フィルム、及び赤外線遮断性積層フィルムの赤外線遮断性層は、金属化合物又はその金属イオンが高分散した赤外線遮断性樹脂を主成分とするので、厚さが500μm程度であっても、少なくとも中・遠赤外線に対して優れた遮断性を有する。しかも可視光線に対する透過性が高く、軽量である。特に銅化合物を用いた赤外線遮断性(積層)フィルムは、近赤外線に対する遮断性にも優れている。赤外線遮断性フィルム、及び赤外線遮断性積層フィルムの赤外線遮断性層の厚さは限定的ではないが、通常100〜2,000μm、好ましくは100〜1,200μm程度とする。
以上のような赤外線遮断性(積層)フィルムは、熱線遮断用フィルム等として有用である。特に銅化合物を用いた赤外線遮断性(積層)フィルムは、カメラの測光用フィルタや視感度補正用フィルタ、プラズマディスプレイ用近赤線カットフィルタ等としても有用である。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
(1) ホスホン酸基含有加水分解物の調製
WO2005-080454の実施例4と同様にして、アクリルアミド及び無水リン酸を用いてホスホン酸基を有する加水分解物を調製した。このホスホン酸基含有加水分解物を含む反応溶液に貧溶媒を添加し、濾別したホスホン酸基含有加水分解物を100℃で1時間加熱乾燥した。ホスホン酸基含有加水分解物の酸価を測定した結果、925 mg/gであった(N, N-ジホスホン酸アクリルアミドの理論酸価:969.7 mg/g、N-モノホスホン酸アクリルアミドの理論酸価:741.7 mg/g)。
(2) 元素分析
ホスホン酸基含有加水分解物の窒素含有量をCHNコーダ法により測定し、リン含有量をICP発光分光分析法により測定し、窒素とリンの質量比を求めた結果、1:4.4であり、N, N-ジホスホン酸アクリルアミドにおける理論比と同じであった。
(3) 赤外スペクトル測定
アクリルアミド及びホスホン酸基含有加水分解物について、フーリエ変換赤外分光装置(形式:Nexus 670、ニコレー社製)を用いて、赤外スペクトル測定を行った。結果を図1及び図2に示す。アクリルアミドでは、3,170 cm-1付近にN-H結合によるピークが検出された(図1)が、ホスホン酸基含有加水分解物では、このピークが検出されなかった(図2)。またホスホン酸基含有加水分解物では、700〜1,300 cm-1の範囲に、ホスホン酸基による幅広いピークが検出された(図2)。これらのことから、大部分のアクリルアミドの窒素原子に、2つのホスホン酸基が導入されたことが確認された。
(4) 液体クロマトグラフィー分析
ホスホン酸基含有加水分解物を液体クロマトグラフィーにより分析した結果、N, N-ジホスホン酸アクリルアミドのピークと、N-モノホスホン酸アクリルアミドのピークの面積比は80/20であった[液体クロマトグラフィーの分析条件は以下の通りである。測定機器:株式会社島津製作所製SPD-10A(UV検出器使用)、カラム温度:室温、溶媒:メタノール/水=7/3(質量比)、濃度:0.01 質量%(インジェクション量:2.5μl)、カラム:HAMILTON社製PRP-1、溶媒流速:0.3 ml/分。]。
元素分析、赤外スペクトル測定及び液体クロマトグラフィー分析の結果から、ホスホン酸基含有加水分解物は、N, N-ジホスホン酸アクリルアミド及びN-モノホスホン酸アクリルアミドを含み、N, N-ジホスホン酸アクリルアミドを主成分とする混合物であることが確認された。
(4) 共重合体の調製
還流冷却管、触媒投入口等を有する自動合成反応装置に、16.1 gのホスホン酸基含有加水分解物、32.0 g(0.154モル)のターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸(分子量207.25)、及び70.0 gの30質量%メタノール水溶液を入れ、窒素ガスを導入しながら攪拌し、80℃まで昇温した後、2.5 gの10質量%アンモニウムパーサルフェート(APS)水溶液を入れた。その1時間後及び2時間後に、2.5 gの10質量%APS水溶液をさらに入れた。その後3時間80℃に保持し、固形分濃度が49.3質量%のホスホン酸基含有加水分解物及びターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸の共重合体溶液を得た。共重合体溶液の粘度(18℃)を測定した結果、16,940 cpsであった。共重合体溶液を水で希釈して10質量%溶液とした。
(5) 赤外線遮断性樹脂の調製
共重合体溶液(10質量%)に、共重合体10.0 g当たり3.27 g(0.0180モル)の酢酸第二銅を室温で溶解し、30分間攪拌した。
(6) 赤外線遮断性フィルムの作製
得られた赤外線遮断性樹脂の溶液をガラス板に流延し、50℃で3日間乾燥し、厚さ500μmの赤外線遮断性フィルムを作製した。
実施例2
赤外線遮断性樹脂の溶液に、赤外線遮断性樹脂を100質量%として4質量%のトリメトキシメチルメラミン樹脂を添加した以外実施例1と同様にして、赤外線遮断性フィルムを作製した。
実施例3
348 gの60質量%メタノール水溶液を溶媒として、165.0 gのホスホン酸基含有加水分解物のみを重合した以外実施例1と同様にして、固形分濃度が37.0質量%のホスホン酸基含有加水分解物の重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の粘度(28℃)を測定した結果、2,640 cpsであった。
7.0質量%硫酸水溶液30.00 gに、3.09 g(0.0170モル)の酢酸第二銅を溶解させた。得られた酢酸第二銅の溶液33.09 gを、上記のホスホン酸基含有加水分解物の重合体溶液40.0 gに、室温で除々に添加し、30分間攪拌した。
得られた赤外線遮断性樹脂の溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ100μm)製容器(底面;10 cm × 10 cm)に流延し、50℃で3日間乾燥し、厚さ1mmの赤外線遮断性層を形成した。この容器から、赤外線遮断性層を設けた底部のみを切り出し、赤外線遮断性層上に厚さ45μmのポリエチレンフィルムを積層し、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例4
赤外線遮断性層の厚さを500μmとした以外実施例3と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例5
実施例1と同様にして調製した7.50 gのホスホン酸基含有加水分解物、及び22.50 gのターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸を、70.0 gの30質量%メタノール水溶液に溶解した。得られた混合液を、窒素ガスを導入しながら攪拌し、80℃まで昇温した後、2.5 gの10質量%APS水溶液を入れた。その1時間後及び2時間後に、2.5 gの10質量%APS水溶液をさらに入れた。その後3時間80℃に保持し、ホスホン酸基含有加水分解物及びターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸の共重合体を含む溶液を得た。
共重合体溶液に5.99 g(0.0330モル)の酢酸第二銅を室温で溶解し、30分間攪拌した。得られた赤外線遮断性樹脂の溶液を用いて、厚さ500μmの赤外線遮断性層を形成した以外、実施例3と同様にして赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例6
ホスホン酸基含有加水分解物及びターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸をそれぞれ10.0 g及び20.0 g用いた以外実施例5と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例7
ホスホン酸基含有加水分解物及びターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸をそれぞれ15.0 g及び15.0 g用いた以外実施例5と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例8
ホスホン酸基含有加水分解物及びターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸をそれぞれ20.0 g及び10.0 g用いた以外実施例5と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例9
溶媒としてイオン交換水を用い、かつ固形分濃度を10.0質量%とした以外実施例1と同様にして、1.00:2.00の質量比のホスホン酸基含有加水分解物及びターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸の共重合体を含む溶液を調製した。共重合体溶液に、共重合体10.0 g当たり3.09 g(0.0170モル)の酢酸第二銅を室温で溶解し、30分間攪拌した。得られた赤外線遮断性樹脂の溶液を、上記PETフィルム容器に流延し、50℃で3日間乾燥し、厚さ500μmの赤外線遮断性層を形成した。この容器から、赤外線遮断性層を設けた底部のみを切り出し、赤外線遮断性層上に厚さ100μmのPETフィルムを積層し、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例10
一方のPETフィルムを、厚さ10μmのITO膜を有するPETフィルム(厚さ100μm)に代え、積層構成をPETフィルム/赤外線遮断性層/PETフィルム/ITO膜とした以外実施例9と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例11
共重合体10.0 g当たり3.27 g(0.0180モル)の酢酸第二銅を添加した以外実施例9と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例12
共重合体10.0 g当たり8.17 g(0.0180モル)のグルコン酸第二銅を添加した以外実施例9と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例13
共重合体10.0 g当たり2.87 g(0.0180モル)のリン酸第二銅を添加した以外実施例9と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例14
共重合体10.0 g当たり4.06 g(0.0180モル)の蟻酸第二銅を添加した以外実施例9と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例15
共重合体10.0 g当たり2.66 g(0.0110モル)の硝酸第二銅・3水和物を添加した以外実施例9と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例16
共重合体10.0 g当たり0.545 g(0.0055モル)の塩化第一銅を添加した以外実施例9と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例17
共重合体10.0 g当たり0.297 g(0.0030モル)の塩化第一銅を添加した以外実施例9と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例18
共重合体10.0 g当たり1.48 g(0.0110モル)の塩化第二銅を添加した以外実施例9と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例19
共重合体10.0 g当たり1.75 g(0.0110モル)の硫酸第二銅を添加した以外実施例9と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例20
共重合体10.0 g当たり2.02 g(0.0110モル)の酢酸亜鉛を添加した以外実施例9と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例21
共重合体10.0 g当たり0.726 g(0.0110モル)の酢酸リチウムを添加した以外実施例9と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例22
共重合体10.0 g当たり2.74 g(0.0110モル)の酢酸ニッケルを添加した以外実施例9と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例23
共重合体10.0 g当たり1.94 g(0.0110モル)の酢酸カルシウムを添加した以外実施例9と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例24
共重合体10.0 g当たり1.95 g(0.0110モル)の酢酸コバルトを添加した以外実施例9と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例25
共重合体10.0 g当たり3.23 g(0.0110モル)の塩化インジウムを添加した以外実施例9と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例26
共重合体10.0 g当たり3.83 g(0.0110モル)のバナジウムアセチルアセトネートを添加した以外実施例9と同様にして、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例27
WO2005-080454の実施例1と同様にして、アクリルアミド及び無水リン酸を用いてホスホン酸基を有する加水分解物を調製した。このホスホン酸基含有加水分解物を含む反応溶液に貧溶媒を添加し、分液ロートにより分離したホスホン酸基含有加水分解物を100℃で1時間加熱乾燥した。ホスホン酸基含有加水分解物の酸価を測定した結果、635 mg/gであり、生成物の主成分はN-モノアクリルアミドホスホン酸(理論酸価:741.7 mg/g)であることが確認された。
還流冷却管、触媒投入口等を有する自動合成反応装置に、23.3質量部の上記ホスホン酸基含有加水分解物、46.7質量部のビニルスルホン酸(分子量108.12)、及び30質量部のジメチルアセトアミドを入れ、窒素ガスを導入しながら攪拌し、80℃まで昇温した後、ホスホン酸基含有加水分解物及びビニルスルホン酸の合計を100として質量比で1.5のアンモニウムパーサルフェートを添加した。その後6時間80℃に保持し、固形分濃度が66.7質量%のホスホン酸基含有加水分解物及びビニルスルホン酸の共重合体溶液を得た。共重合体溶液の粘度(25℃)を測定した結果、1,470 cpsであった。共重合体溶液を水で希釈して20質量%溶液とした。
希釈後の共重合体溶液(20質量%)に、共重合体10.0 g当たり1g(0.0055モル)の酢酸第二銅を溶解し、攪拌した。得られた赤外線遮断性樹脂の溶液(固形分23.0質量%)に、赤外線遮断性樹脂を100質量%として30質量%のグリセリンを添加した。
得られた溶液を、PETフィルム(厚さ100μm)製容器(底面;10 cm × 10 cm)に流延し、50℃で24時間乾燥し、厚さ134μmの赤外線遮断性層を形成した。この容器から、赤外線遮断性層を設けた底部のみを切り出し、赤外線遮断性層上に厚さ50μmのポリエチレンフィルムを積層し、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
実施例28
還流冷却管、触媒投入口等を有する自動合成反応装置に、23.3質量部の実施例1と同じN, N-ジホスホン酸アクリルアミドを主成分とするホスホン酸基含有加水分解物、46.7質量部のビニルスルホン酸、及び30質量部のジメチルアセトアミドを入れ、窒素ガスを導入しながら攪拌し、80℃まで昇温した後、ホスホン酸基含有加水分解物及びビニルスルホン酸の合計を100として質量比で1.5のアンモニウムパーサルフェートを添加した。その後6時間80℃に保持し、固形分濃度が70質量%のホスホン酸基含有加水分解物及びビニルスルホン酸の共重合体溶液を得た。共重合体溶液の粘度(25℃)を測定した結果、230 cpsであった。共重合体溶液を水で希釈して20質量%溶液とした。
希釈後の共重合体溶液(20質量%)に、共重合体10.0 g当たり1g(0.0055モル)の酢酸第二銅を溶解し、攪拌した。得られた赤外線遮断性樹脂の溶液(固形分21.3質量%)に、赤外線遮断性樹脂を100質量%として30質量%のグリセリンを添加した。
得られた溶液を、上記PETフィルム製容器に流延し、50℃で24時間乾燥し、厚さ100μmの赤外線遮断性層を形成した。この容器から、赤外線遮断性層を設けた底部のみを切り出し、赤外線遮断性層上に厚さ50μmのポリエチレンフィルムを積層し、赤外線遮断性積層フィルムを作製した。
比較例1
赤外線遮断性層に代えてホスホン酸基含有加水分解物の重合体層を設けた以外実施例3と同様にして、ポリエチレンフィルム(45μm)/ホスホン酸基含有加水分解物の重合体層(1mm)/PETフィルム(100μm)からなる積層構成のフィルムを作製した。
比較例2
ポリエチレンフィルム(45μm)/PETフィルム(100μm)からなる積層構成のフィルムを作製した。
実施例1〜28の赤外線遮断性(積層)フィルム及び比較例1,2の積層フィルムについて、分光光度計(形式:U-2900、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)及び上記フーリエ変換赤外分光装置を用いて、300〜1,100 nmの波長範囲(実施例1〜9,11〜28,比較例1及び2)及び2,500〜20,000 nmの波長範囲(実施例9,10,20〜26)の分光透過率を測定した。結果を図3〜図19に示す。
図3〜7,10〜13,18から、実施例1〜9,11〜19,27及び28の銅化合物を含む赤外線遮断性(積層)フィルムは、780〜1,100 nmの波長範囲の近赤外線に対して40%以下の優れた遮断性を有し、かつ380〜600 nmの波長範囲(実施例16〜18ではほぼ480 nm〜ほぼ620 nmの波長範囲、実施例27ではほぼ410 nm〜ほぼ600 nmの波長範囲)の可視光線に対して60%以上の優れた透過性を有することが分かった。特に実施例3,9,13,14,18,27及び28では、上記波長範囲の近赤外線に対して10%以下の一層優れた遮断性を有することが分かった。図8及び9から、酢酸第二銅を含む赤外線遮断性(積層)フィルムは、2,500〜20,000 nmの波長範囲の中・遠赤外線に対して1%以下の優れた遮断性を有することが分かった。
図14〜17から、実施例20〜26の順に亜鉛、リチウム、ニッケル、カルシウム、コバルト、インジウム及びバナジウムの各化合物を含む赤外線遮断性積層フィルムは、近赤外線に対する遮断性は良好ではないが、上記波長範囲の中・遠赤外線に対して2%以下の優れた遮断性を有し、380〜780 nmの波長範囲(実施例24ではほぼ480 nm〜ほぼ560 nmの波長範囲)の可視光線に対して60%以上の優れた透過性を有することが分かった。
図19から、比較例1の積層フィルムでは、金属化合物を有さないホスホン酸基含有加水分解物の重合体を用いており、比較例2の積層フィルムでは、赤外線遮断性層を設けていないので、いずれも近赤外線に対する遮断性を有さなかった。

Claims (21)

  1. (1) (メタ)アクリルアミドとリン酸との反応物又はその加水分解物の重合体に、リチウム、カルシウム、バナジウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛及びインジウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属の化合物を添加してなる第一の赤外線遮断性樹脂、(2) 前記反応物又はその加水分解物と、エチレン性不飽和結合を有する化合物との共重合体に、前記金属化合物を添加してなる第二の赤外線遮断性樹脂、又は(3) これらの混合物からなる第三の赤外線遮断性樹脂を含むことを特徴とする赤外線遮断性フィルム。
  2. 請求項1に記載の赤外線遮断性フィルムにおいて、前記金属化合物が、前記金属の有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド又はアセチルアセトネートであることを特徴とする赤外線遮断性フィルム。
  3. 請求項1又は2に記載の赤外線遮断性フィルムにおいて、前記重合体及び共重合体が(ポリ)ホスホン酸基を有することを特徴とする赤外線遮断性フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の赤外線遮断性フィルムにおいて、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物が、酸性基を有する不飽和化合物、及び/又は酸性基を有しない不飽和化合物であることを特徴とする赤外線遮断性フィルム。
  5. 請求項4に記載の赤外線遮断性フィルムにおいて、前記酸性基を有する不飽和化合物がスルホン酸基を有する不飽和化合物であることを特徴とする赤外線遮断性フィルム。
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載の赤外線遮断性フィルムにおいて、前記第一の赤外線遮断性樹脂は、前記重合体に前記金属化合物が分散した構造、前記金属のイオンが前記重合体の(ポリ)ホスホン酸基と塩を形成した構造、又はこれらの両構造を有し、前記第二の赤外線遮断性樹脂は、前記共重合体に前記金属化合物が分散した構造、前記金属のイオンが前記共重合体の(ポリ)ホスホン酸基と塩を形成した構造、又はこれらの両構造を有することを特徴とする赤外線遮断性フィルム。
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載の赤外線遮断性フィルムにおいて、前記第二の赤外線遮断性樹脂は、前記共重合体に前記金属化合物が分散した構造、前記金属のイオンが前記共重合体の(ポリ)ホスホン酸基及び前記酸性基と塩を形成した構造、又はこれらの両構造を有することを特徴とする赤外線遮断性フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の赤外線遮断性フィルムにおいて、前記加水分解物が、式(1):
    Figure 2010134457
    (ただしR1は水素基又はメチル基である)により表されるN, N-ジホスホン酸(メタ)アクリルアミド、及び式(2):
    Figure 2010134457
    (ただしR1は水素基又はメチル基であり、nは0〜2の整数である)により表される(ポリ)ホスホン酸基含有(メタ)アクリルアミドのいずれか又はこれらの両方を含むことを特徴とする赤外線遮断性フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の赤外線遮断性フィルムにおいて、前記第二の赤外線遮断性樹脂が、前記反応物又はその加水分解物と、式(3):
    Figure 2010134457
    (ただしR2は水素基又はメチル基であり、R3及びR4は水素基又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R5は炭素数1〜3のアルキレン基である)により表されるアクリルアミドアルカンスルホン酸
    及び/又はビニルスルホン酸
    との共重合体に、前記金属化合物を添加してなることを特徴とする赤外線遮断性フィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の赤外線遮断性フィルムにおいて、前記金属化合物が、一価又は二価の銅の有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド又はアセチルアセトネートであることを特徴とする赤外線遮断性フィルム。
  11. 赤外線遮断性層と、透明性樹脂フィルムとを有する赤外線遮断性積層フィルムであって、前記赤外線遮断性層が、(1) (メタ)アクリルアミドとリン酸との反応物又はその加水分解物の重合体に、リチウム、カルシウム、バナジウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛及びインジウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属の化合物を添加してなる第一の赤外線遮断性樹脂、(2) 前記反応物又はその加水分解物と、エチレン性不飽和結合を有する化合物との共重合体に、前記金属化合物を添加してなる第二の赤外線遮断性樹脂、又は(3) これらの混合物からなる第三の赤外線遮断性樹脂を含むことを特徴とする赤外線遮断性積層フィルム。
  12. 請求項11に記載の赤外線遮断性積層フィルムにおいて、前記金属化合物が、前記金属の有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド又はアセチルアセトネートであることを特徴とする赤外線遮断性積層フィルム。
  13. 請求項11又は12に記載の赤外線遮断性積層フィルムにおいて、前記重合体及び共重合体が(ポリ)ホスホン酸基を有することを特徴とする赤外線遮断性積層フィルム。
  14. 請求項11〜13のいずれかに記載の赤外線遮断性積層フィルムにおいて、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物が、酸性基を有する不飽和化合物、及び/又は酸性基を有しない不飽和化合物であることを特徴とする赤外線遮断性積層フィルム。
  15. 請求項14に記載の赤外線遮断性積層フィルムにおいて、前記酸性基を有する不飽和化合物がスルホン酸基を有する不飽和化合物であることを特徴とする赤外線遮断性積層フィルム。
  16. 請求項13〜15のいずれかに記載の赤外線遮断性積層フィルムにおいて、前記第一の赤外線遮断性樹脂は、前記重合体に前記金属化合物が分散した構造、前記金属のイオンが前記重合体の(ポリ)ホスホン酸基と塩を形成した構造、又はこれらの両構造を有し、前記第二の赤外線遮断性樹脂は、前記共重合体に前記金属化合物が分散した構造、前記金属のイオンが前記共重合体の(ポリ)ホスホン酸基と塩を形成した構造、又はこれらの両構造を有することを特徴とする赤外線遮断性積層フィルム。
  17. 請求項14〜16のいずれかに記載の赤外線遮断性積層フィルムにおいて、前記第二の赤外線遮断性樹脂は、前記共重合体に前記金属化合物が分散した構造、前記金属のイオンが前記共重合体の(ポリ)ホスホン酸基及び前記酸性基と塩を形成した構造、又はこれらの両構造を有することを特徴とする赤外線遮断性積層フィルム。
  18. 請求項11〜17のいずれかに記載の赤外線遮断性積層フィルムにおいて、前記加水分解物が、式(1):
    Figure 2010134457
    (ただしR1は水素基又はメチル基である)により表されるN, N-ジホスホン酸(メタ)アクリルアミド、及び式(2):
    Figure 2010134457
    (ただしR1は水素基又はメチル基であり、nは0〜2の整数である)により表される(ポリ)ホスホン酸基含有(メタ)アクリルアミドのいずれか又はこれらの両方を含むことを特徴とする赤外線遮断性積層フィルム。
  19. 請求項11〜18のいずれかに記載の赤外線遮断性積層フィルムにおいて、前記第二の赤外線遮断性樹脂が、前記反応物又はその加水分解物と、式(3):
    Figure 2010134457
    (ただしR2は水素基又はメチル基であり、R3及びR4は水素基又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R5は炭素数1〜3のアルキレン基である)により表されるアクリルアミドアルカンスルホン酸
    及び/又はビニルスルホン酸
    との共重合体に、前記金属化合物を添加してなることを特徴とする赤外線遮断性積層フィルム。
  20. 請求項11〜19のいずれかに記載の赤外線遮断性積層フィルムにおいて、前記金属化合物が、一価又は二価の銅の有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド又はアセチルアセトネートであることを特徴とする赤外線遮断性積層フィルム。
  21. 請求項11〜20のいずれかに記載の赤外線遮断性積層フィルムにおいて、前記透明性樹脂フィルムに金属酸化物半導体薄膜が設けられていることを特徴とする赤外線遮断性積層フィルム。
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