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JP2010118391A - AlxGa1−xN結晶の成長方法 - Google Patents

AlxGa1−xN結晶の成長方法 Download PDF

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Abstract

【課題】結晶性の高いAlxGa1-xN(0≦x≦1)結晶を成長させる方法を提供する。
【解決手段】本AlxGa1-xN結晶の成長方法は、下地基板10を準備する工程と、Alを含有したGa融液3への窒素の溶解5がされた溶液7を下地基板10に接触させて、下地基板10上に少なくとも1層のAlxGa1-xN結晶20を成長させる工程と、を備える。ここで、下地基板10上に、第1層のAlxGa1-xN結晶21としてAlN結晶、第2層のAlxGa1-xN結晶22としてAlx2Ga1-x2N(0<x2<1)結晶、第3層のAlxGa1-xN結晶23としてGaN結晶を順次成長させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、Alを含有したGa融液に窒素を溶解した溶液を下地基板の主面に接触させて、その主面上にAlxGa1-xN(0≦x≦1)結晶を成長させる方法に関する。
AlN結晶、GaN結晶などのAlxGa1-xN(0≦x≦1、以下同じ)結晶は、発光デバイス、電子デバイスなどの半導体デバイスの基板として好ましく用いられる。ここで、半導体デバイスの特性を向上させるために、転位密度が低く結晶性が高いAlxGa1-xN結晶が必要とされている。
ここで、AlおよびGaを含む融液を用いた液相法は、HVPE(ハイドライド気相成長)法、MOCVD(有機金属化学気相堆積)法などの気相法に比べて、転位密度が低く結晶性が高いAlxGa1-xN結晶の成長が可能と期待されている。
たとえば、再公表国際公開WO2006/022302号公報(以下、特許文献1という)は、穏やかな圧力および温度条件(たとえば、0.01〜1000MPaおよび300〜2300℃)でAlN結晶を製造する方法として、窒素含有ガスの存在下、アルカリ金属およびアルカリ土類の少なくとも一方の元素である(A)成分、およびSn、Ga、In、BiおよびHgからなる群から選択される少なくとも一つの元素である(B)成分を含むフラックス中または上記(B)成分を含むフラックス中において、アルミニウムと窒素とを反応させてAlN結晶を成長させる方法を提案する。
また、再公表国際公開WO2006/030718号公報(以下、特許文献2という)は、高品質のAlN単結晶を育成する方法として、少なくともガリウム(Ga)とアルミニウム(Al)とナトリウム(Na)とを含む融液を窒素含有雰囲気中で加圧することによって、好ましくは窒素分圧が50気圧以下または850℃以上1200℃以下の温度で、AlN単結晶を育成する方法を提案する。
また、特開2003−335600号公報(以下、特許文献3という)は、比較的大きなAlN単結晶を簡易かつ低コストで製造しえる方法として、金属aとしてCr、Mn、Fe、Co、CuおよびNiから選択された1種類以上を含み、金属bとしてSc、Ti、V、Y、ZrおよびNbから選択された1種類以上を含み、さらに成分cとしてAlを含むabc系合金の融液を冷却するかまたは金属aとbの少なくともいずれかの蒸発によってAlN単結晶を成長させる方法を提案する。
再公表国際公開WO2006/022302号公報 再公表国際公開WO2006/030718号公報 特開2003−335600号公報
しかし、特許文献1の方法においては、実施例の結晶条件では基板上に2μm程度以下の薄いAlN結晶しか得られず、また多結晶化し易く再現性が低いという問題があった。実施例において、(A)成分として蒸気圧が高いアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を用いているため、(A)成分の蒸発を抑制するために結晶成長温度を低くする(たとえば、実施例においては結晶成長温度は800〜980℃としている)必要があり、このため結晶成長速度が低いと考えられる。また、結晶成長温度が低いため、結晶性が低下し、多結晶化し易く再現性が低いと考えられる。
また、特許文献2の方法においては、フラックスとして蒸気圧の高いNaを用いているため、結晶成長温度を高くするとNaが蒸発して再現性が低下する問題があった。一方、Naの蒸発を抑制するために結晶成長温度を低くすると、結晶性が低下する問題があった。
また、特許文献3の方法においては、実施例の結晶成長条件ではSiC基板のように成長させるAlN単結晶と化学組成が異なる異種基板を用いると、AlN単結晶にクラックが発生する問題があった。結晶成長を開始させる融液の温度が1500〜1850℃と高いため、冷却の際に異種基板とAlN単結晶との熱膨張係数の差により大きな熱応力が発生するためと考えられる。
そこで、上記問題を解決して、結晶性の高いAlxGa1-xN(0≦x≦1)結晶を成長させる方法を提供することを目的とする。かかる目的を達成するために、本発明者らは、フラックスとして蒸気圧の高いNaなどのアルカリ金属またはCaなどのアルカリ土類金属を用いて結晶成長温度を特に低くすることなく、またフラックスとしてCr、Scなどの高融点金属を用いて特に結晶成長温度を高くすることなく、Alを含有したGa融液に窒素を溶解させた溶液を用いて結晶性の高いAlxGa1-xN結晶を成長させることができることを見い出すことにより、本発明を完成させた。
本発明は、下地基板を準備する工程と、Alを含有したGa融液に窒素を溶解させた溶液を下地基板に接触させて、下地基板上に少なくとも1層のAlxGa1-xN(0≦x≦1)結晶を成長させる工程と、を備えるAlxGa1-xN結晶の成長方法である。
本発明にかかるAlxGa1-xN結晶の成長方法のAlxGa1-xN結晶を成長させる工程において、下地基板上に第1層のAlxGa1-xN結晶としてAlN結晶を成長させることができる。また、かかるAlN結晶上に、第2層のAlxGa1-xN結晶としてAlx2Ga1-x2N(0<x2<1)結晶、第3層のAlxGa1-xN結晶としてGaN結晶をさらに順次成長させることができる。ここで、結晶成長温度を1000℃以上1300℃以下とすることができる。
本発明によれば、結晶性の高いAlxGa1-xN(0≦x≦1)結晶を成長させる方法を提供することができる。
図1を参照して、本発明にかかるAlxGa1-xN(0≦x≦1)結晶の成長方法の一実施形態は、下地基板10を準備する工程と、Alを含有したGa融液3に窒素を溶解(融液への窒素の溶解5)させた溶液7を下地基板10に接触させて、下地基板10上に少なくとも1層のAlxGa1-xN結晶20を成長させる工程と、を備える。
本実施形態にかかるAlxGa1-xN結晶の成長方法によれば、Alを含有したGa融液3を用いることにより、蒸気圧の高いアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、または融点の高い遷移金属を用いることなく、融液3に窒素を溶解(融液への窒素の溶解5)させた溶液7を形成し、かかる溶液7を下地基板10に接触させて、下地基板10上に少なくとも1層のAlxGa1-xN結晶20を成長させることができる。
(下地基板を準備する工程)
図1を参照して、本実施形態のAlxGa1-xN結晶の成長方法は、下地基板10を準備する工程を備える。ここで、下地基板10は、その上にAlxGa1-xN結晶20をエピタキシャル成長させることができるものであれば特に制限はないが、下地基板と成長させるAlxGa1-xN結晶との格子定数の不整合を低減して結晶性の高いAlxGa1-xN結晶をエピタキシャル成長させる観点から、サファイア基板、SiC基板、Si基板、GaAs基板、AlsGa1-sN(0≦s≦1)基板などが好ましい。また、同様の観点から、サファイア基板、SiC基板、Si基板またはGaAs基板などの基礎基板上に薄いAltGa1-tN(0≦t≦1)層が形成されたAltGa1-tNテンプレート基板も好ましい。
(AlxGa1-xN結晶を成長させる工程)
図1を参照して、本実施形態のAlxGa1-xN結晶の成長方法は、Alを含有したGa融液3に窒素を溶解(融液への窒素の溶解5)させた溶液7を下地基板10に接触させて、下地基板10上に少なくとも1層のAlxGa1-xN結晶20を成長させる工程を備える。
ここで、Alを含有したGa融液3への窒素の溶解5の方法には、特に制限なく、融液に、窒素含有気体、窒素含有液体および窒素含有固体の少なくともいずれかを供給することにより行うことができる。融液への窒素の溶解量の調節が容易な観点から、融液に窒素含有ガスを加圧によって供給することが好ましい。窒素含有ガスは、融液への溶解が可能な窒素を含むガスであれば特に制限はなく、窒素(N2)ガス、アンモニア(NH3)ガスなどが用いられる。結晶への不純物の混入を低減する観点から、融液3を形成するためのAl原料およびGa原料のそれぞれの純度は、99mol%以上が好ましく、99.99mol%以上がより好ましく、99.9999mol%以上がさらに好ましい。また、同様の観点から、窒素含有ガスの純度は、99.99mol%以上が好ましく、99.9999mol%以上がより好ましい。
このとき、Ga融液に比べてAl融液への窒素の溶解5は困難であるが、Alを含有するGa融液には窒素が溶解する。また、GaN結晶に比べてAlN結晶は非常に成長しやすい。このため、所定の結晶成長条件において、Alを含有したGa融液に窒素を溶解させた溶液7から、下地基板10上に、まず、第1層のAlxGa1-xN結晶21としてAlN結晶が成長する。かかるAlN結晶の成長とともに、Alを含有したGa融液3中のAl含有量が低減する。
さらに、結晶成長を続けると、AlN結晶(第1層のAlxGa1-xN結晶21)上に、第2層のAlxGa1-xN結晶22としてAlx2Ga1-x2N(0<x2<1)結晶が成長する。かかるAlx2Ga1-x2N結晶(第2層のAlxGa1-xN結晶22)は、AlN結晶(第1層のAlxGa1-xN結晶21)と次に成長するGaN結晶(第3層のAlxGa1-xN結晶23)との間のAlGaN組成遷移結晶層と位置づけられるものである。Alx2Ga1-x2N結晶(第2層のAlxGa1-xN結晶22)の成長とともに、結晶中のAl組成(x2)は低減し、また融液3中のAl含有量はさらに低減して最終的には無くなる。
さらに、結晶成長を続けると、Alx2Ga1-x2N結晶(第2層のAlxGa1-xN結晶22)上に、第3層のAlxGa1-xN結晶23としてGaN結晶が成長する。このようにして、下地基板10上に、少なくとも1層のAlxGa1-xN結晶20として、AlN結晶(第1層のAlxGa1-xN結晶21)、Alx2Ga1-x2N結晶(第2層のAlxGa1-xN結晶22)およびGaN結晶(第3層のAlxGa1-xN結晶23)を順次かつ連続的に成長させることができる。
ここで、上記のAlN結晶(第1層のAlxGa1-xN結晶21)、Alx2Ga1-x2N結晶(第2層のAlxGa1-xN結晶22)およびGaN結晶(第3層のAlxGa1-xN結晶23)の存在およびそれらの厚さは、EPMA(電子プローブ微小分析)法を用いて、得られた結晶の成長方向に平行な断面の化学組成を分析することにより確認することができる。
上記のように、本実施形態のAlxGa1-xN(0≦x≦1)結晶の成長方法によれば、結晶成長とともにAlxGa1-xN結晶中のAl組成(x)を低減させることにより、下地基板上に、AlN結晶、Alx2Ga1-x2N結晶およびGaN結晶を順次かつ連続的に成長させることができるため、下地基板10としてSiC基板またはサファイア基板などのAlxGa1-xNと化学組成が異なる異種基板を用いても、結晶性の高いGaN結晶を得ることができる。
ここで、Alを含有したGa融液3中のAl含有量は、特に制限はないが、AlN結晶の成長を促進させる観点から、Ga含有量に対して、0.01mol%以上10mol%以下が好ましい。Ga含有量に対するAl含有量が、0.01mol%より小さいとAlN結晶がほとんど成長せず、10molより大きいと融液中への窒素の溶解が減少しAlN結晶の成長が抑制される。ここで、Al組成比の増加に伴うGa組成比低下により融液への窒素の溶解が低下する一方、窒化物を形成しやすいAlの組成増加によって基板上以外の融液液面でもAlN結晶が発生し成長しやすくなる。これを抑制するためには窒素圧力を低くする必要があり、この窒素圧力の低減が融液中に溶解する窒素の量を低下させてしまう。
また、Alを含有したGa融液3中のAl含有量を調節することにより、上記のAlN結晶(第1層のAlxGa1-xN結晶21)、Alx2Ga1-x2N結晶(第2層のAlxGa1-xN結晶22)およびGaN結晶(第3層のAlxGa1-xN結晶23)のそれぞれの結晶成長の厚さを調節することができる。すなわち、Alを含有したGa融液3中のAl含有量を増大させることによりAlN結晶(第1層のAlxGa1-xN結晶21)の厚さを大きくすることができる。Alを含有したGa融液3中のAl含有量を減少させることによりAlN結晶(第1層のAlxGa1-xN結晶21)およびAlx2Ga1-x2N結晶(第2層のAlxGa1-xN結晶22)の厚さを小さくしてGaN結晶(第3層のAlxGa1-xN結晶23)の厚さを大きくすることができる。
本実施形態のAlxGa1-xN結晶において、AlxGa1-xN結晶を成長させる工程における結晶成長温度は、特に制限はないが、層状に連続したAlN結晶の形成が容易な観点から、1000℃以上1300℃以下が好ましい。結晶成長温度が、1000℃より低いと層状に連続したAlN結晶の成長が困難となり、1300℃より高いと成長する結晶(AlxGa1-xN結晶)と化学組成が異なる下地基板(下地異種基板)との熱膨張係数の差により層状のAlN結晶にクラックが発生しやすくなる。
また、AlxGa1-xN結晶を成長させる工程における結晶成長圧力は、特に制限はないが、結晶性の高いAlxGa1-xN結晶を効率よく成長させる観点から、100気圧(10.1MPa)以上2000気圧(202.7MPa)以下が好ましい。結晶成長圧力が、100気圧より低いと結晶成長速度が低くなりすぎ、2000気圧より高いと融液の液面に結晶が成長してしまい下地基板上への選択的な結晶成長ができなくなってしまう。ここで、AlN結晶は、GaN結晶に比べて結晶成長しやすく、GaN結晶の結晶成長圧力より低い圧力においても、結晶性の高い結晶が成長する。そこで、第1層のAlxGa1-xN結晶21としてAlN結晶を成長させる際にGaN結晶の成長を確実に防止してAlN結晶にGa混入を防止する観点から、GaN結晶の結晶成長圧力より十分に低い圧力でAlN結晶を成長させる必要がある。このようなAlN結晶の結晶成長圧力は、結晶成長温度によって変わるため、結晶成長温度に応じて探索すれば良い。
また、結晶性の高いAlxGa1-xN結晶を成長させる観点から、1000℃以上好ましくは1100℃以上の温度で成長させることが好ましい。ただし下地異種基板上にAlxGa1-xN結晶を成長させる場合は、下地異種基板とAlxGa1-xN結晶との熱膨張係数の差によりクラックが発生するため、結晶成長温度を高くしすぎることは好ましくない。この観点から1300℃以下の結晶成長温度が好ましい。
(実施例1)
1.下地基板の準備工程
図1を参照して、下地基板10として、主面の面方位が(0001)で6Hタイプの直径3インチ(7.62cm)×厚さ300μmのSiC基板を準備した。
2.AlxGa1-xN結晶の成長
図1を参照して、結晶成長室110内に配置された内径10cm×高さ5cmのカーボン製の坩堝(結晶成長容器1)内に、上記SiC基板(下地基板10)、450gの純度99.9999mol%の金属Gaおよび1.7gの純度99.9999mol%の金属Al(金属Gaに対して1mol%の金属Al)を配置した。
次に、結晶成長室110内を1×10-5気圧(1.01Pa)まで真空排気しながらヒータ120を用いて室温から700℃まで昇温し、700℃で1時間保持した後、ガス供給口110eから結晶成長室110内に純度99.9999mol%の窒素ガスを供給して、坩堝(結晶成長容器1)を大気圧から10気圧(1.01MPa)まで加圧した。次いで、坩堝を10気圧に保持してヒータ120を用いて1時間かけて700℃から1200℃まで昇温した。次いで、坩堝を1200℃に保持して10気圧から500気圧(50.7MPa)まで加圧した。このとき、坩堝内に配置された金属Gaおよび金属Alが融解してAlを含有したGa融液3(Ga含有量に対するAl含有量は1mol%)となり、融液3への窒素の溶解5により得られた溶液7がSiC基板(下地基板10)に接触している。ここで、溶液7の表面7mから下地基板10の主面10mまでの深さは約5mmである。次いで、坩堝を1200℃および500気圧で10時間保持した。次いで、坩堝を500気圧に保持して1時間かけて1200℃から100℃まで降温した。次いで、坩堝を100℃に保持して500気圧から大気圧に減圧し、その後100℃から室温(30℃)まで降温した。
こうして、SiC基板(下地基板10)の主面10mの全面上に層状に広がって成長した厚さ5〜10μmのAlxGa1-xN単結晶(AlxGa1-xN結晶20)が得られた。得られたAlxGa1-xN単結晶の成長方向に平行な断面の化学組成をEPMA法により分析したところ、AlN単結晶(第1層のAlxGa1-xN結晶21)が形成されていた。かかるAlN単結晶は、(0002)面に関するロッキングカーブにおけるX線回折ピークの半値幅が150〜200arcsecであり、高い結晶性を有していた。また、AlN単結晶にクラックの発生は認められなかった。
(実施例2)
1.下地基板の準備
図1を参照して、下地基板10として実施例1と同様のSiC基板を準備した。
2.AlxGa1-xN結晶の成長
図1を参照して、結晶成長室110内に配置された内径10cm×高さ5cmのカーボン製の坩堝(結晶成長容器1)内に、上記SiC基板(下地基板10)、450gの純度99.9999mol%の金属Gaおよび0.17gの純度99.9999mol%の金属Al(金属Gaに対して0.1mol%の金属Al)を配置した。
次に、結晶成長室110内を1×10-5気圧(1.01Pa)まで真空排気しながらヒータ120を用いて室温から700℃まで昇温し、700℃で1時間保持した後、ガス供給口110eから結晶成長室110内に純度99.9999mol%の窒素ガスを供給して、坩堝(結晶成長容器1)を大気圧から10気圧(1.01MPa)まで加圧した。次いで、坩堝を10気圧に保持してヒータ120を用いて1時間かけて700℃から1200℃まで昇温した。次いで、坩堝を1200℃に保持して10気圧から500気圧(50.7MPa)まで加圧した。このとき、坩堝内に配置された金属Gaおよび金属Alが融解してAlを含有したGa融液3(Ga含有量に対するAl含有量は0.1mol%)となり、融液3への窒素の溶解5により得られた溶液7がSiC基板(下地基板10)に接触している。ここで、溶液7の表面7mから下地基板10の主面10mまでの深さは約5mmである。次いで、坩堝を1200℃および500気圧で10時間保持した。次いで、坩堝を1200℃に保持して500気圧から1950気圧(197.6MPa)まで3時間かけて加圧した。次いで、坩堝を1200℃および1950気圧で20時間保持した。次いで、坩堝を1950気圧に保持して1時間かけて1200℃から100℃まで降温した。次いで、坩堝を100℃に保持して1950気圧から大気圧に減圧し、その後100℃から室温(30℃)まで降温した。
こうして、SiC基板(下地基板10)の主面10mの全面上に層状に広がって成長した厚さ10〜15μmのAlxGa1-xN単結晶(AlxGa1-xN結晶20)が得られた。得られたAlxGa1-xN単結晶の成長方向に平行な断面の化学組成をEPMA法により分析したところ、SiC基板側から、厚さ2〜3μmのAlN単結晶(第1層のAlxGa1-xN結晶21)、厚さ2〜3μmのAlx2Ga1-x2N(0<x2<1)単結晶(第2層のAlxGa1-xN結晶22)および厚さ5〜10μmのGaN単結晶(第3層のAlxGa1-xN結晶23)が順次形成されていた。ここで、Alx2Ga1-x2N単結晶(第2層のAlxGa1-xN結晶22)のAl組成(x2)は、AlN単結晶(第1層のAlxGa1-xN結晶21)側の主面からGaN単結晶(第3層のAlxGa1-xN結晶23)側の主面にかけて、1近傍の値から0近傍の値に減少していた。
また、GaN単結晶(第3層のAlxGa1-xN結晶23)は、(0002)面に関するロッキングカーブにおけるX線回折ピークの半値幅が120〜150arcsecであり、極めて高い結晶性を有していた。また、AlN単結晶(第1層のAlxGa1-xN結晶21)、Alx2Ga1-x2N(0<x2<1)単結晶(第2層のAlxGa1-xN結晶22)およびGaN単結晶(第3層のAlxGa1-xN結晶23)のいずれにもクラックの発生は認められなかった。
本発明で得られるAlxGa1-xN結晶は高品質であり、本発明によれば数十以上の多数のAlxGa1-xN結晶を同時に成長させることも可能であることから、多数の高品質のAlxGa1-xN結晶を効率よく低コストで作製することができる。本発明で得られたAlxGa1-xN結晶を下地基板として、目的に応じて単層もしくは多層のIII族窒化物系薄膜を成膜して、半導体デバイスを作製することが出来る。この場合低コストで高品質のAlxGa1-xN結晶を使用するので、低コストで高品質の半導体デバイスを作製することができる。ここで、必要に応じて、III族窒化物系薄膜を成膜する前に、下地基板として用いるAlxGa1-xN結晶の表面を研磨加工して表面平坦性を向上させる工程を導入しても良い。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
本発明にかかるAlxGa1-xN結晶の成長方法の一実施形態を示す概略断面図である。
符号の説明
1 結晶成長容器、3 融液、5 融液への窒素の溶解、7 溶液、7m 表面、10 下地基板、10m 主面、20 AlxGa1-xN結晶、21 第1層のAlxGa1-xN結晶、22 第2層のAlxGa1-xN結晶、23 第3層のAlxGa1-xN結晶、110 結晶成長室、110e ガス供給口、120 ヒータ。

Claims (4)

  1. 下地基板を準備する工程と、
    Alを含有したGa融液に窒素を溶解させた溶液を前記下地基板に接触させて、前記下地基板上に少なくとも1層のAlxGa1-xN(0≦x≦1)結晶を成長させる工程と、を備えるAlxGa1-xN結晶の成長方法。
  2. 前記AlxGa1-xN結晶を成長させる工程において、前記下地基板上に第1層のAlxGa1-xN結晶としてAlN結晶を成長させる請求項1に記載のAlxGa1-xN結晶の成長方法。
  3. 前記AlxGa1-xN結晶を成長させる工程において、前記AlN結晶上に、第2層のAlxGa1-xN結晶としてAlx2Ga1-x2N(0<x2<1)結晶、第3層のAlxGa1-xN結晶としてGaN結晶をさらに順次成長させる請求項2に記載のAlxGa1-xN結晶の成長方法。
  4. 前記AlxGa1-xN結晶を成長させる工程における結晶成長温度が1000℃以上1300℃以下である請求項1から請求項3までのいずれかに記載のAlxGa1-xN結晶の成長方法。
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