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JP2010115702A - プレス成形金型調整用プレス機及び金型調整方法 - Google Patents

プレス成形金型調整用プレス機及び金型調整方法 Download PDF

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JP2010115702A
JP2010115702A JP2008292639A JP2008292639A JP2010115702A JP 2010115702 A JP2010115702 A JP 2010115702A JP 2008292639 A JP2008292639 A JP 2008292639A JP 2008292639 A JP2008292639 A JP 2008292639A JP 2010115702 A JP2010115702 A JP 2010115702A
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Takuya Kuwayama
卓也 桑山
Koji Seto
厚司 瀬戸
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規之 鈴木
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Abstract

【課題】金型の調整精度向上、調整期間短縮等のために用いて好適な技術を提供する。
【解決手段】相対移動可能なポンチ1及びダイ2のうち少なくともいずれか一つの形状を修正するプレス成形金型調整用プレス機であって、相対移動可能なポンチ1及びダイ2と、ポンチ1及びダイ2のうち少なくともいずれか一つを測定対象金型としたときに、測定対象金型を複数の領域に分割し、分割した領域のそれぞれの内部及び表面のうち少なくともいずれかに設けられ、ポンチ1及びダイ2の相対移動中に生じる測定対象金型の歪量を測定する歪量測定手段5と、歪量測定手段5により測定した歪量が所定の範囲を外れたか否か、又は、歪量測定手段5により測定した歪量と教師データとの差が所定の範囲を外れたか否かを判定する判定手段9と、判定手段9による判定結果を出力する出力手段10とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属製プレス成形品を製造するための金型の調整用プレス機及び金型調整方法に関し、特に、金型の調整精度向上、調整期間短縮等のために用いて好適な技術に関する。
プレス金型を製作するとき、一般的には生産部品の設計形状と一致するようにプレス金型を加工する。しかし、スプリングバック等によるプレス加工後の生産部品の変形について知見がある場合は、プレス後の部品形状が生産部品の設計形状とできるだけ近くなるように、生産部品の設計形状から少し変形させた形状となるようプレス金型の形状を加工することも行われる。これは金型の形状見込みと呼ばれる。
いずれにしても、一般的にプレス金型を製作した後、その金型を使った一枚目のプレス加工部品の形状が設計形状と完全に一致することは困難であり、実際には何度も金型の形状修正が行われてプレス加工部品の形状と設計形状が一致するように調整される。これを金型調整と呼ぶ。
しかし、プレス成形時において、特に金型に対してはプレス機加圧力又は被加工材変形抵抗の反力等が作用するため、金型は弾性変形を起こす。この弾性変形を金型歪というが、この金型歪のために、金型の調整精度の低下、更には金型調整の期間が増大する等の問題が発生する。そのため、金型歪量の情報に基づいて金型調整をより効果的に実施するための技術が期待されている。
金型ひずみを測定する装置としては、特許文献1に、上ビームに取り付けたパンチ及び下ビームに取り付けたダイを接離動作させることにより前記パンチ及びダイ間でワークを折り曲げ加工するプレスブレーキにおいて、前記上ビームの長手方向に添って設けられ、前記上ビームの歪を検出する複数の上ビーム用歪センサと、前記下ビームの長手方向に添って設けられ、前記下ビームの歪を検出する複数の下ビーム用歪センサと、前記下ビームと下金型の間又は前記上ビームと上金型の間に折り曲げ加工線の方向に添って分散配置され、前記下金型又は上金型に上下方向の加圧力を加える複数のアクチュエータと、加圧開始後加圧完了までの途中で前記上ビームの下降を停止させ、この停止状態のときに前記上ビーム用歪センサおよび前記下ビーム用歪センサの検出出力を取り込み、これらの各検出出力に基づき上ビーム及び下ビームのひずみ量を演算し、該演算値に基づき上ビーム及び下ビームの歪量が適正値になるよう前記複数のアクチュエータの駆動制御を行い、この後加圧制御を再開させる制御を行う制御手段と、を具えるプレスブレーキの中開き補正装置が開示されている。
また、金型の変形を予測するモデルを有する装置として、特許文献2には、プレス成形品のニアネットシェープ化による工程省略を可能にするため、製品の寸法・形状を高精度に自動制御するプレス成形金型を提供することを目的として、金型プレス成形で、荷重検出手段4と、ストローク検出手段5と、プレス回数の検出手段6、金型温度の検出手段7と、金型の摩耗モデル9、金型の熱変形モデル10、金型の荷重変形モデル11、被加工材の熱変形モデル12、被加工材のスプリングバックモデル13の単数または複数のモデルから構成される変形予測モデルと、多変数制御信号発生装置14と、成形凹部3の内壁を変形させる駆動装置15、例えばピエゾ素子、とからなることを特徴とするプレス金型が開示されている。なお、ここで付した符号は同文献において使用されているものである(以下の各文献の説明においても同様)。
また、金型歪を測定する装置として、特許文献3に、ワークの折曲げ角度及びワークの歪を検出することのできる金型及びその歪みセンサユニットを提供することを目的として、以下のような構成を有する発明が開示されている。すなわち、ワークWの成形加工時に歪みを生じる歪発生領域内であって、金型本体3がワークを支持するワーク支持面3Uに垂直な平面内で、前記ワークWの加工位置に近接した位置と離れた位置との2ヶ所以上において、前記金型本体3に歪センサ9が埋設してある。複数の歪センサ9は、前記金型本体3の上面3Uと曲げ溝5を形成した溝形成面5Fとの間に斜め配置に配置してある。そして、歪センサユニットは、絶縁部材よりなる基部材13の複数箇所に、歪を検出するためのセンサ9を備え、前記基部材13は、前記センサ9を備えたセンサ取付面21A,21Bと、当該基部材13を取付穴の内面に一体的に接合する接合面とを備えた構成であって、前記基部材を前記取付穴に取付けたとき、前記センサ取付面と前記取付穴の内面との間に間隙が形成される構成である。
また、金型歪を測定する装置として、特許文献4に、V溝に対するワークの入り込み位置(ストローク)に対応して加圧力が増大するダイを提供することを目的として、以下のような構成を有する発明が開示されている。すなわち、板状のワークWをV字形状に折曲げるためのダイ1であって、V溝3を形成する傾斜面5は凸状の曲面5U,5Lに形成してあり、当該曲面の上部側の曲率半径DR1よりも下部側の曲率半径DR2が大きく、前記曲面5U,5Lは、ワークWの折曲げ加工時にワークWと曲面5Uとの接触関係がころがり接触の態様となる曲面である。また、板状のワークWをV字形状に折曲げるためのダイ1であって、V溝3を形成する傾斜面5は凸状の曲面に形成してあり、この曲面は、楕円9に接する曲面である。そして、前記ダイ1において、前記傾斜面5と近接した位置に、歪を検出するためのセンサ7を備えている。
また、金型歪を測定する装置として、特許文献5に、ダイの歪を検出することによってワークの折曲げ角度を検知する方法及び装置を提供することを目的として、以下のような構成を有する発明が開示されている。すなわち、板状のワークWの折曲げ加工を行う際に、ダイ5に備えた歪センサS1〜S4によって前記ダイ5の歪パターンを測定し、データベース15に予め格納してある複数の歪パターンと測定した前記歪パターンとを比較して歪パターンの推定式を確定し、この確定したパターン推定式により摩擦係数を求め、前記パターン推定式に対応した曲げ角度推定式を用いて、前記歪センサの検出値に基いて前記ワークの折曲げ角度を演算するものである。そして、ワークの折曲げ加工時にダイの歪を検出するための歪センサを複数箇所に備え、制御手段9は、データベース15と、検出したダイ5の歪パターンとデータベース15に格納されている歪パターンとを比較してパターン推定式を確定する推定式確定手段17と、このパターン推定式により摩擦係数を求める演算手段21と、を備えている。
また、金型歪を測定する装置として、特許文献6に、プレス加工を良好に行えるようにすることを目的として、以下のような構成を有する発明が開示されている。すなわち、条件設定用演算装置104は、素材特性データ提供装置101からネットワーク105を介して送信された素材特性の実績値と、標準値とを比較し、比較した結果に応じて、成形速度やしわ押さえ圧等の成形条件を修正する。制御装置300は、前記修正した成形条件で被加工材300のプレス加工を開始させるように、プレス成形装置102を制御する。これにより、被加工材300をプレス加工した際に、われやしわが発生するのを可及的に低減させて、可及的に同一の形状の良品を得ることができるようにする。
また、特許文献7に、ポンチ、ダイス及びしわ押さえ金型と、前記ダイス及び前記しわ押さえ金型の間に取り付けられる摩擦力測定手段と、しわ押さえ荷重調節手段を有することを特徴とする薄板のプレス成形装置が開示されている。摩擦力測定手段により摩擦力を直接測定し、さらに摩擦力が所定の値になるよう、しわ押さえ荷重調節手段によりしわ押さえ力を制御する。これにより、金型と被加工物の間の潤滑性や表面性状などの変動要因によらず、適正な摩擦力を付与することができ、素材特性のばらつきや環境変化によらず、常に良好な成形品を提供しようとしている。
また、特許文献8に、プレス加工中の金型歪を制御することができるプレス成形装置を提供することを目的として、以下のような構成を有する発明が開示されている。すなわち、ポンチと、ポンチに対して相対移動するダイと、ポンチ及びダイのうち少なくともいずれか一つを被制御部材としたときに、前記被制御部材の内部に設けられ、プレス成形に応じて生じる前記該被制御部材のひずみ量を測定する歪量測定手段と、前記被制御部材に設けられ、プレス成形に応じて生じる前記被制御部材の歪量を制御する歪量制御手段とを有する。歪量制御手段は、歪量測定手段によって計測された歪量が成形中において所定範囲となるように、前記被制御部材の駆動量を制御する。
また、本願発明者らは、非特許文献1に、直交する方向の圧縮・引張歪を測定する圧電素子(金型摩擦センサ)をダイ肩近傍に内蔵したプレス成形装置を開示し、金型摩擦センサの情報からスプリングバック、ねじれ等の成形品形状の予測が可能であることを開示している。
特開平5−337554号公報 特開平9−029358号公報 特開2005−199336号公報 特開2005−254300号公報 特開2006−136926号公報 特開2006−075884号公報 特開2004−249365号公報 国際公開第07/080983号パンフレット 自動車技術会学術講演会前刷集No.19-07,pp.17−20(2007)
特許文献1には、金型歪測定機能を有する装置に関する発明が開示されているが、まず、特許文献1にはプレス金型を調整することに関する記述がない。
また、特許文献1には、ビーム用歪センサはプレスブレーキ用ビームの長手方向に沿って設けられること以外、開示されていない。プレスブレーキ用ビームよりも複雑形状を有する金型を使用するプレス成形において、高精度に金型歪を測定するためには、ポンチ、ダイ、しわ押さえ金型等の金型内部に歪測定機能を設置し、発生する金型歪を直接測定することが不可欠であり、そのためには特許文献1に開示されている発明では不十分である。
更に、上記特許文献1に開示されている発明では、成形途中に一旦成形を中断し、この停止状態のときに上下ビームの歪量を検出し、上下ビームのひずみ量が適正値となるようアクチュエータによる制御を行い、この後成形を再開させるが、プレスブレーキのような曲げ主体の成形とは異なり、プレス成形においては、途中で成形を中断した場合、被加工材と工具間の摩擦力は成形中の摩擦力とは大きく異なる。そのため、特許文献1に開示されている発明をプレス成形に適用した場合、測定される金型歪量は成形中の金型歪量とは異なり、測定精度は不十分である。
以上より、プレス金型の調整に用いるには、特許文献1に開示されている発明では不十分である。
特許文献2には、金型変形を予測するモデルを有する装置に関する発明が開示されているが、まず、特許文献2にはプレス金型の調整に関する記述がない。
また、特許文献2に開示されている発明は、金型全体に作用する荷重を検出する荷重検出手段と金型の荷重変形モデルを有し、これらを用いて金型の変形を予測するものであるが、プレス金型の調整では、調整前後での金型全体に作用する荷重の変化量は極めて微量であり、その検出は困難である。また、仮に検出できたとしても、3次元的に複雑な調整作業を行う際に必要となる、調整が必要な位置を特定することは不可能である。
以上より、プレス金型の調整に用いるには、特許文献2に開示されている発明では不十分である。
特許文献3には、金型歪を測定する装置に関する発明が開示されているが、まず、特許文献3にはプレス金型の調整に関する記述がない。
また、特許文献3に開示されている発明では、金型本体がワークを支持するワーク支持面に垂直な平面内に歪センサが埋設してあることを特徴とする。ワークの折り曲げ加工用金型である本文中記載の金型本体3においては、ワーク支持面に相当する上面3Uは平面であり、上面3U及び曲げ溝5の長手方向に対して垂直な平面は一意に定まることから、特許文献3に開示されている発明により歪センサを埋設することが可能である。しかし、金型調整が必要となるようなプレス成形用金型は、一般的に折り曲げ加工用金型よりも複雑形状を有している。プレス成形用金型ではワーク支持面は平面でなく複雑な曲面形状であり、その平面に垂直な平面を定義することはできない。また、曲げ溝5のような方向も定義することはできない。そのため、プレス成形用金型では特許文献3に開示されている方法では歪センサを埋設することは不可能である。
以上より、プレス成形金型の調整に用いるには、特許文献3に開示されている発明では不十分である。
特許文献4には、金型歪を測定する装置に関する発明が開示されているが、まず、特許文献4にはプレス金型の調整に関する記述がない。
また、特許文献4には、歪を検出するためのセンサに関する具体的な記述はなく、非特許文献に記載の歪センサを埋設した構成が望ましいことのみ記載があるが、その非特許文献は曲げ加工に関する内容であり、プレス成形用金型では特許文献4に開示されている方法では歪センサを埋設することは不可能である。
以上より、プレス成形金型の調整に用いるには、特許文献4に開示されている発明では不十分である。
特許文献5には、金型歪を測定する装置に関する発明が開示されているが、まず特許文献5には、プレス金型の調整に関する記述がない。
また、上述した特許文献3や特許文献4と同様に、歪センサに関しては非特許文献に記載のセンサと同様の構成であること以外、本文中に具体的な記述はなく、また、その非特許文献は曲げ加工に関する内容であり、プレス成形用金型では特許文献5に開示されている方法では歪センサを埋設することは不可能である。
以上より、プレス金型の調整に用いるには、特許文献5に開示されている発明では不十分である。
特許文献6には、金型歪を測定する装置に関する発明が開示されているが、まず特許文献6には、プレス金型の調整に関する記述がない。
また、歪センサは、同文献の図3に記載があるものの、その構成等について本文中に具体的な記述がなく、特許文献6に開示されている方法では歪センサを埋設することは不可能である。
以上より、プレス金型の調整に用いるには、特許文献6に開示されている発明では不十分である。
特許文献7に開示されている発明では、しわ押さえ金型またはダイスに何らかの構造物を設置し、その摩擦力を計測しようとするものであり、しわ押さえ金型、ダイスの金型ひずみを直接測定するものではない。プレス金型を調整するためには、ポンチ、ダイ、しわ押さえ金型の金型ひずみを直接測定することが不可欠であり、特許文献7に開示されている発明では不十分である。
特許文献8に開示されている発明は、金型歪を測定する装置に関するものであるが、特許文献8には、プレス金型を調整することに関する記述がなく、プレス成形金型を調整するためには、特許文献8に開示されている発明では不十分である。
非特許文献1に開示されている発明は、ダイ肩近傍に摩擦センサを内蔵し、プレス部品の割れも検出可能であるとしているが、プレス金型を調整することに関する記述はなく、実際に金型を調整するには試行錯誤によらなければならないという問題がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、金属製プレス成形品を製造するための金型の調整用プレス機及び金型調整方法に関し、特に、金型の調整精度向上、調整期間短縮等のために用いて好適な技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の手段、手順は下記のとおりである。
(1)相対移動可能なポンチ及びダイのうち少なくともいずれか一つの形状を修正するプレス成形金型調整用プレス機であって、
相対移動可能なポンチ及びダイと、
前記ポンチ及び前記ダイのうち少なくともいずれか一つを測定対象金型としたときに、前記測定対象金型を複数の領域に分割し、分割した領域のそれぞれの内部及び表面のうち少なくともいずれかに設けられ、前記ポンチ及び前記ダイの相対移動中に生じる前記測定対象金型の歪量を測定する歪量測定手段と、
前記歪量測定手段により測定した歪量が所定の範囲を外れたか否か、又は、前記歪量測定手段により測定した歪量と教師データとの差が所定の範囲を外れたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えたことを特徴とするプレス成形金型調整用プレス機。
(2)修正した前記測定対象金型に対して前記歪量測定手段により測定した歪量を記録し、その記録した歪量に基づいて、前記所定の範囲を算出する範囲設定手段を更に備えたことを特徴とする(1)に記載のプレス成形金型調整用プレス機。
(3)前記歪量測定手段により測定した歪量と所定の範囲との差、又は、前記歪量測定手段により測定した歪量と教師データとの差と所定の範囲との差に基づいて、前記判定手段により所定の範囲を外れたと判定された前記測定対象金型の領域の研削量を算出する研削量算出手段を更に備えたことを特徴とする(1)又は(2)に記載のプレス成形金型調整用プレス機。
(4)相対移動可能なポンチ及びダイのうち少なくともいずれか一つの形状を修正する金型調整方法であって、
相対移動可能なポンチ及びダイのうち少なくともいずれか一つを測定対象金型としたときに、前記測定対象金型を複数の領域に分割し、分割した領域のそれぞれの内部及び表面のうち少なくともいずれかに設けられた歪量測定手段により、前記ポンチ及び前記ダイの相対移動中に生じる前記測定対象金型の歪量を測定する手順と、
前記歪量測定手段により測定した歪量が所定の範囲を外れたか否か、又は、前記歪量測定手段により測定した歪量と教師データとの差が所定の範囲を外れたか否かを判定する手順と、
前記判定結果を出力する手順とを有することを特徴とする金型調整方法。
(5)修正した前記測定対象金型に対して前記歪量測定手段により測定した歪量を記録し、その記録した歪量に基づいて、前記所定の範囲を算出する手順を更に有することを特徴とする(4)に記載の金型調整方法。
(6)前記歪量測定手段により測定した歪量と所定の範囲との差、又は、前記歪量測定手段により測定した歪量と教師データとの差と所定の範囲との差に基づいて、前記判定手段により所定の範囲を外れたと判定された前記測定対象金型の領域の研削量を算出する手順を更に有することを特徴とする(4)又は(5)に記載の金型調整方法。
本発明によれば、プレス成形金型の調整精度向上、調整期間短縮等が実現可能となる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1に、本実施形態に係るプレス機の概略構成を示す。ポンチ1がプレス機ボルスタ1aに、ダイ2がプレス機スライド2aに取り付けられており、プレス機スライド2aの上下動作によりポンチ1とダイ2は相対移動可能となっている。ポンチ1とダイ2の間には被加工材4があり、ポンチ1とダイ2の相対移動によって被加工材4は塑性変形を受け、プレス成形される。
図1に示すプレス機では、測定対象金型としてダイ2が選定されており、測定対象金型であるダイ2が複数の領域、図示例では5つの領域に分割されている。
更に、分割された測定対象金型の各領域(金型ブロック)のそれぞれの内部及び表面のうち少なくともいずれかには、ポンチ1及びダイ2の相対移動中に生じる測定対象金型の歪量を測定する歪量測定手段5が設置される。図示例では、分割された5つの測定対象金型のそれぞれの内部に歪量測定手段5が1個ずつ設置されている。
測定対象金型の分割数は任意であるが、金型調整作業を行う際に分割された測定対象金型の取り外し/取り付け作業が頻繁に発生するので、その作業を手作業で容易に行えるように、分割された測定対象金型の重量が20kg程度以下となるように分割することが望ましい。
また、左右対称形状を有する部品をプレス成形するための金型では、測定対象金型の分割も部品の対称軸で左右対称とすることが望ましい。
分割された測定対象金型の内部に対する歪量測定手段5の設置方法について、図2を用いて説明する。歪量測定手段5の設置方法の一例としては、図2(a)の模式図に示すように、測定対象金型(ダイ2)に貫通しないきり穴をあけて雌ネジを切り、きり穴の底に歪量測定手段5としての歪センサー8(図2(b)を参照)を入れ、プラグで軸力をかけて圧入する方法がある。この際、歪センサー8として圧電素子センサーを使用すると、周波数応答特性の高い好適な測定が可能となる。
分割された測定対象金型の表面に対する歪量測定手段5の設置方法について、図3を用いて説明する。測定対象金型(ダイ2)の表面にその表面形状を倣うような平板6を設置し、平板6をダイ2と例えばボルト7等で締結する。そして、平板6とダイ2との間に歪量測定手段5としての歪センサー8を挟み込み、ボルト7で軸力をかけて固定する方法がある。この場合にも、歪センサー8として圧電素子センサーを使用すると、周波数応答性の高い好適な測定が可能になる。
分割された測定対象金型のうち、金型調整の対象である金型には、内部及び表面のうち少なくともいずれかには歪量測定手段5を設置しなければならない。
図1に説明を戻して、本実施形態に係るプレス機は、歪量測定手段5により測定した歪量が所定の範囲を外れたか否か、又は、歪量測定手段5により測定した歪量と教師データとの差が所定の範囲を外れたか否かを判定する判定手段9を有する。
まず、判定手段9の動作のうち、歪量測定手段5により測定した歪量が所定の範囲を外れたか否かを判定する動作について、図4を用いて説明する。図4は、歪量測定手段5による歪量測定結果の一例を示すグラフである。横軸は成形ストロークS[mm]であり、被加工材4の成形が開始した時点でのプレス機スライド位置がSstart、成形下死点に達して被加工材4の成形が終了した時点でのプレス機スライド位置がSendである。また、縦軸は歪量を表している。ここで、歪量は圧縮歪をプラスの値で表す。歪量測定手段5により測定した歪量(歪の値)Xとしては、図4に示すように、波形の最大値を、その波形の代表として用いる。
判定手段9は、分割された測定対象金型のそれぞれについて上述のように歪の値Xiを求める。ここで、添え字iはn個に分割された測定対象金型を表し、i=1〜nである。また、判定手段9は、X1〜Xnまでのn個の値の平均値Xmeanを算出し、それを中心とした±15%の範囲を所定の範囲と定める。そして、歪の値Xiが所定の範囲であるXmeanを中心とした±15%の範囲内であるときは正常(範囲内)として判定し、範囲外であるときは異常(範囲外)として判定する。
次に、判定手段9の動作のうち、歪量測定手段5により測定した歪量と教師データとの差が所定の範囲を外れたか否かを判定する動作について、図5を用いて説明する。図5は、図4と同様、歪量測定結果の一例を示すグラフである。図中の細線が分割された測定対象金型の歪量測定結果を示し、破線がセンサー出力教師データを示す。ここで、センサー出力教師データは、分割された測定対象金型のそれぞれについて測定した歪量の平均波形である。
判定手段9は、測定対象金型の歪量測定結果からセンサー出力教師データを引き算して歪の差を求める。図5では、太線でその歪の差を示す。そして、歪の差が所定の範囲内であるか否かを判定する。ここで、所定の範囲は、歪量ゼロを中心として、センサー出力教師データの最大値の15%を上下限とする範囲である。
判定手段9は、一般的にアナログ電圧信号である歪量測定結果を読み込むことができるアナログ入力と、判定結果を出力することができるアナログ出力及び/又はディジタル出力を備える計測機器であることが望ましい。
図1に説明を戻して、本実施形態に係るプレス機は、判定手段9による判定結果を出力する出力手段10を有する。具体的には、モニタ等の表示機にその分割領域の設置位置又は分割領域に相当する金型ブロックの部品番号等を表示することで、金型調整を行う作業者に所定の範囲を外れていることをアナウンスする。
(第2の実施形態)
第2の実施形態として、図6に示すように、図1に示すプレス機に加えて、範囲設定手段11を有する例を説明する。なお、第1の実施形態と同様の点については、その詳細な説明は省略する。
範囲設定手段11は、まず以前に修正が完了した測定対象金型について、その測定対象金型に設置された歪量測定手段5により測定した歪量を記録する(データベース化)。そして、新たに金型に対して修正を行うことになったときに、記録したデータを読み出し、判定手段9を用いて判定するための所定の範囲を、読み出した歪量に基づいて算出し、その算出結果を読み出したデータと共に判定手段9に渡す。
まず、判定手段9の動作のうち、歪量測定手段5により測定した歪量が所定の範囲を外れたか否かを判定する動作について、図7を用いて説明する。図7は、図4と同様、歪量測定手段5による歪量測定結果の一例を示すグラフである。歪量測定手段5により測定した歪量(歪の値)Xとしては、図7に示すように、波形の最大値を、その波形の代表として用いる。
判定手段9は、分割された測定対象金型のそれぞれについて上述のように歪の値Xiを求める。ここで、図4においては、判定手段9により、X1〜Xnまでのn個の値の平均値Xmeanを算出し、それを中心とした±15%の範囲を所定の範囲と定めた。それに対して、範囲設定手段11を有する図7においては、記録されたデータの最大値Xtargetを算出し、それを中心とした±10%の範囲を所定の範囲と定める。そして、歪の値Xiが所定の範囲であるXtargetを中心とした±10%の範囲内であるときは正常(範囲内)として判定し、範囲外であるときは異常(範囲外)として判定する。
次に、判定手段9の動作のうち、歪量測定手段5により測定した歪量と教師データとの差が所定の範囲を外れたか否かを判定する動作について、図8を用いて説明する。図8は、図5と同様、歪量測定結果の一例を示すグラフである。図中の細線が分割された測定対象金型の歪量測定結果を示し、破線がセンサー出力教師データを示す。ここで、図5では、センサー出力教師データは、分割された測定対象金型のそれぞれについて測定した歪量の平均波形であるとした。それに対して、範囲設定手段11を有する図7では、センサー出力教師データは、範囲設定手段11のデータベースより読み出されたデータである。
判定手段9は、測定対象金型の歪量測定結果からセンサー出力教師データを引き算して歪の差を求める。図8では、太線でその歪の差を示す。そして、歪の差が所定の範囲内であるか否かを判定する。ここで、所定の範囲は、歪量ゼロを中心として、センサー出力教師データの最大値の10%を上下限とする範囲である。
範囲設定手段11は、一般的にアナログ電圧信号である歪量測定結果を読み込むことができるアナログ入力と、その入力を記憶可能なハードディスクドライブ等の記憶装置、更に必要に応じて記憶装置から記録データを出力することができるアナログ出力及び/又はディジタル出力を備える計測機器であることが望ましい。
第2の実施形態のように範囲設定手段11を使用することにより、範囲設定手段11のデータベースが歪データを有する形状の金型と類似する金型を調整する際に、精度良く判定を行うことが可能となる。特に、同一形状を有するコピー金型を製作する際には高精度に判定を行うことが可能となる。従って、所定の範囲も、第1の実施形態では±15%であったのに対して、本実施形態では±10%と相対的に狭くしても高精度の判定が可能となる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態として、図9に示すように、図8に示すプレス機に加えて、研削量算出手段12を有する例を説明する。なお、第2の実施形態と同様の点については、その詳細な説明は省略する。また、本実施形態では、第2の実施形態に係るプレス機に研削量算出手段12を備えた例を説明するが、範囲設定手段11を備えていない第1の実施形態に係るプレス機に研削量算出手段12を備えるようにしてもよい。
図10は、研削量算出手段12の動作を示すフローチャートである。まず、研削量算出手段12が動作を開始するとき、内部変数J及びKはそれぞれ初期値0を有する。ここで、J及びKは共に0又は正の整数である。Jは判定動作102でYESと判定した回数を示し、処理ループの1回目動作時等は内部変数J=0とする。また、判定動作104でYESと判定したときも内部変数J=0とする。また、Kは判定動作104でYESと判定した回数を示す。
処理動作101では、歪量測定手段5による歪量測定結果、判定手段9による判定結果を受け取る。
判定動作102では、歪量測定手段5により測定された歪量が所定の範囲の上限を超える測定対象金型の領域があるか否かを判定する。領域が無い場合は判定動作104へ、領域がある場合は処理動作103へ進む。
処理動作103では、まず所定の範囲の上限を超える領域のうち、所定の範囲の中央値との偏差Yが最大である領域をPm、領域Pmの偏差YをYmとする。mは、N個に分割した金型のうちのm番目を示す(N、mは正の整数)。
続いて、J>0(2回目以降の処理ループの場合等)、かつ、領域Pmj-1に対して領域Pmjが変化したとき、J=0とする。但し、
領域Pmj-1:(j−1)回目のループにおいて、偏差Yが最大である領域m
領域Pmj:j回目のループにおいて、偏差Yが最大である領域m
とする。
続いて、研削量係数Aを算出する動作を行う。ここで、例えば処理ループの1回目動作時等は内部変数J=0であるので、そのときは研削量係数A=1とする。また、J>0のときは、例えば、以下の(1)、(2)式によりAの値を決定する
Figure 2010115702
続いて、領域Pmの表面を、A×Z[μm]だけ研削する。ここで、Aは先に算出した研削量係数、Zは研削量単位であり、例えばZ=1[μm]とする。研削加工時の機械的制約等によりZ=1[μm]とすることが困難な場合は、変更しても構わない。
更に、内部変数Jの値として、元の値に1をプラスした値を代入する。すなわち、もともとJ=4であった場合は、この処理動作104によってJ=5が新たな内部変数の値となる。
処理動作103を終了した後は、処理動作101に戻り、もう一度、歪量測定手段5による測定、判定手段9による判定を行う。
判定動作104では、歪量測定手段5により測定された歪量が所定の範囲の下限を下回る測定対象金型の領域があるか否かを判定する。領域が無い場合はENDへ進み、全体処理を終了する。領域がある場合は処理動作105へ進む。
処理動作105では、判定手段9での処理に用いる所定の範囲の中央値に、例えば0.9を掛けることで、所定の範囲の修正を行う。更に、内部変数Jを0、内部変数KはK+1に更新する。
処理動作105を終了した後は、処理動作101に戻り、もう一度、歪量測定手段5による測定、判定手段9による判定を行う。
(実施例1)
本発明を適用した実施例1として、図1に示すプレス機を試作し、プレス成形金型の調整を行った。
部品形状、すなわち調整を行った金型形状を図11に示す。また、表1に被加工材として用いた鋼板の特性を示す。板厚1.8[mm]、引張強さ590MPa級の鋼板を使用した。
Figure 2010115702
実施例1では、測定対象金型としてダイ2が選定されている。測定対象金型は複数の領域に分割されるが、実施例1では図1に示すように5つに分割されている。
更に、分割された測定対象金型の各領域(金型ブロック)のそれぞれの内部及び表面のうち少なくともいずれかには、ポンチ1及びダイ2の相対移動中に生じる測定対象金型の歪量を測定する歪量測定手段5が設置されるが、実施例1では図1に示すように分割された5つの測定対象金型のそれぞれの内部に歪量測定手段5が設置されている。
分割された測定対象金型の内部に対する歪量測定手段5の設置方法については、図2に示す方法を用いた。すなわち、図2(a)の模式図に示すように、ダイ2に貫通しないきり穴をあけて雌ネジを切り、きり穴の底に歪センサー8(図2(b)を参照)を入れ、プラグで軸力をかけて圧入した。歪センサー8としては圧電素子センサーを使用した。
実施例1では、歪量測定手段5により測定した歪量が所定の範囲を外れたか否かを判定するようにした。実施例1において、歪量測定手段5による歪量測定結果は図4に示すとおりである。横軸は成形ストロークS[mm]であり、被加工材4の成形が開始した時点でのプレス機スライド位置がSstart、成形下死点に達して被加工材4の成形が終了した時点でのプレス機スライド位置がSendである。実施例1では、金型形状が図11に示すとおりであるので、Send−Sstart=105[mm]である。また、縦軸は歪量を表している。ここで、歪量は圧縮歪をプラスの値で表す。歪量測定手段5により測定した歪量(歪の値)Xとしては、図4に示すように、波形の最大値を、その波形の代表として用いる。
判定手段9は、分割された測定対象金型のそれぞれについて上述のように歪の値Xiを求める。ここで、添え字iは5分割された測定対象金型を表し、i=1〜5である。また、判定手段9は、X1〜X5までの5個の値の平均値Xmeanを算出し、それを中心とした±15%の範囲を所定の範囲と定める。そして、歪の値Xiが所定の範囲であるXmeanを中心とした±15%の範囲内であるときは正常(範囲内)として判定し、範囲外であるときは異常(範囲外)として判定する。判定手段9としては、アナログ電圧信号である歪量測定結果を読み込むことができるアナログ入力と、判定結果を出力することができるディジタル出力を備える計測機器を用いた。
表2に、実施例1での判定結果を示す。表2に示すように、判定手段は、5つに分割された測定対象金型のそれぞれについて、範囲外であるか、範囲内であるかを判定できていることが分かる。
Figure 2010115702
図1に示すプレス機は、判定手段9による判定結果を出力する出力手段10を有するが、実施例1では、図12に示すように、モニタ画面上にその分割領域の位置、分割領域に相当する金型ブロックの部品番号、判定結果(範囲内か範囲外か)等を表示することで、金型調整を行う作業者にアナウンスできていることがわかる。
(実施例2)
本発明を適用した実施例2として、図6に示すプレス機を試作し、プレス成形金型の調整を行った。なお、範囲設定手段11に関する点以外については実施例1と同様にして行った。
範囲設定手段11は、まず以前に修正が完了した測定対象金型について、その測定対象金型に設置された歪量測定手段5により測定した歪量を記録する(データベース化)。そして、新たに金型に対して修正を行うことになったときに、記録したデータを読み出し、判定手段9を用いて判定するための所定の範囲を、読み出した歪量に基づいて算出し、その算出結果を読み出したデータと共に判定手段9に渡す。
表3に、修正が完了した金型について、歪量測定手段により測定された歪量を示す。まず、範囲設定手段11はこの表3のデータを保存する。
Figure 2010115702
実施例2でも、歪量測定手段5により測定した歪量が所定の範囲を外れたか否かを判定するようにした。実施例2において、歪量測定手段5による歪量測定結果は図7に示すとおりである。図7は、図4と同様、歪量測定手段5による歪量測定結果の一例を示すグラフである。歪量測定手段5により測定した歪量(歪の値)Xとしては、図7に示すように、波形の最大値を、その波形の代表として用いる。
判定手段9は、分割された測定対象金型のそれぞれについて上述のように歪の値Xiを求める。ここで、添え字iは5分割された測定対象金型を表し、i=1〜5である。範囲設定手段11を有する図7においては、記録されたデータの最大値Xtargetを算出し、それを中心とした±10%の範囲を所定の範囲と定める。そして、歪の値Xiが所定の範囲であるXtargetを中心とした±10%の範囲内であるときは正常(範囲内)として判定し、範囲外であるときは異常(範囲外)として判定する。範囲設定手段11は、アナログ電圧信号である歪量測定結果を読み込むことができるアナログ入力と、その入力を記憶可能な記憶装置としてハードディスクドライブ、さらに必要に応じて記憶装置から記録データを出力することができるアナログ出力とディジタル出力を備える計測機器を用いた。
表4に、実施例2での判定結果を示す。表4に示すように、判定手段9は、5つに分割された測定対象金型のそれぞれについて、範囲外であるか、範囲内であるかを判定できていることが分かる。その際に、範囲設定手段11を用いたことにより、分割された測定対象金型毎に所定の範囲を設定することができ、また、分割された各測定対象金型の歪量Xの調整目標値が明確となるので、高精度かつ効率的な判定が可能となっている。
Figure 2010115702
(実施例3)
本発明を適用した実施例3として、図9に示すプレス機を試作し、プレス成形金型の調整を行った。なお、研削量算出手段12に関する点以外については実施例2と同様にして行った。
図10に示すフローチャートに従って、研削量算出手段12を動作させた場合について図13〜図19に示す。まず、図13は、1回目のループにおける処理を示している。初期状態ではX1が上限超過、X4が下限以下という状態である。X1が所定の範囲の上限を超えるので、判定動作102の動作はYESとなり、処理動作103へ進む。処理動作103では、偏差Yの最大領域PmはX1に対応する分割領域となる。また、J=0であることから、研削量係数A=1となり、Pmに対する研削量は1[μm]とした。
次に、図14は、2回目のループにおける処理を示している。図13に示したループでX1に対応する分割領域を研削したが、まだX1が上限超過、X4が下限以下という状態のままである。X1が所定の範囲の上限を超えるので、判定動作102の動作はYESとなり、処理動作103へ進む。処理動作103では、偏差Yの最大領域PmはX1に対応する分割領域であり、1回目のループから変更はない。しかし、J>0であることから、研削量係数Aは、下式のように計算の結果0.52となり、Pmに対する研削量は0.52[μm]とした。
A=0.6(Ymj/ΔY)
=0.6(Ymj/((Ymj−1)−(Ymj))
=0.6(Y11/(Y10−Y11)
=0.6(13.0)/(28.0−13.0)=0.52
次に、図15は、3回目のループにおける処理を示している。図14に示したループでX1に対応する分割領域を研削した結果、X1はOK、X4が下限以下という状態となった。所定の範囲の上限を超える領域が存在しないので、判定動作102の動作はNOとなり、処理動作104へ進む。判定動作104では、歪量測定手段5により測定された歪量が所定の範囲の下限を下回る測定対象金型の領域があるか否かを判定するが、X4が下限以下という状態であるから、処理動作105へ進む。処理動作105では、判定手段9での処理に用いる所定範囲の中央値に0.9を掛けることで、所定の範囲の修正を行った。図15の最右列に、所定の範囲の中央値である調整完了金型の歪量[με]に0.9をかけた結果を示す。
次に、図16は、4回目のループにおける処理を示している。図15に示したループで、所定の範囲の中央値である調整完了金型の歪量[με]に0.9が掛けられ、値が修正されたことにより、判定手段9による判定結果も変化し、X1、X2、X5が上限超過という状態となった。所定の範囲の上限を超える領域が存在するので、判定動作102の動作はYESとなり、処理動作103へ進む。処理動作103では、偏差Yの最大領域PmはYmが最も大きな値であるX2に対応する分割領域となる。J=0であることから、研削量係数A=1となり、Pmに対する研削量は1[μm]とした。
次に、図17は、5回目のループにおける処理を示している。図16に示したループで、X2に対応する分割領域を研削したが、まだX1、X5が上限超過という状態のままである。所定の範囲の上限を超える領域が存在するので、判定動作102の動作はYESとなり、処理動作103へ進む。処理動作103では、偏差Yの最大領域PmはYmが最も大きな値であるX1に対応する分割領域となる。領域Pmj-1(すなわち4回目のループにおけるX2)に対して領域Pmj(すなわち5回目のループにおけるX1)が変化したことから、J=0であり、従って研削量係数A=1となり、Pmに対する研削量は1[μm]とした。
次に、図18は、6回目のループにおける処理を示している。図17に示したループで、X1に対応する分割領域を研削したが、まだX5が上限超過という状態のままである。所定の範囲の上限を超える領域が存在するので、判定動作102の動作はYESとなり、処理動作103へ進む。処理動作103では、偏差Yの最大領域PmはYmが最も大きな値であるX5に対応する分割領域となる。領域Pmj-1(すなわち5回目のループにおけるX1)に対して領域Pmj(すなわち6回目のループにおけるX5)が変化したことから、J=0であり、従って研削量係数A=1となり、Pmに対する研削量は1[μm]とした。
最後に、図19は、6回目のループを終えた後の状態を示している。これまでの6回にわたる研削処理により、X1〜X5のいずれも所定の範囲内となったことから、判定動作102、判定動作104ともにNOとなり、全体処理を終了した。
上記の処理により、通常は30回程度の処理回数が必要となる金型調整作業が6回の処理回数で実現することができ、調整機関の短縮が実現できた。
この金型を用いて、引張強さ780MPa級の鋼板を対象に1000回プレス成形を連続して実施した結果、割れの発生率0%、図11に示す金型の両端に対応する成形品の両端がなす開き角が1度以下と精度の高いプレス成形を行うことができた。
なお、判定手段9、出力手段10、範囲設定手段11、研削量算出手段12は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータシステム(或いはコンピュータ装置)において、CPUがROMに記憶されているデンドライト傾角測定プログラムを実行することにより実現可能である。
第1の実施形態に係るプレス機の概略構成を示す図である。 測定対象金型の内部への歪量測定手段設置方法を説明するための図である。 測定対象金型の表面への歪量測定手段設置方法を説明するための図である。 歪量測定手段による歪量測定結果の一例を示した特性図である。 歪量測定手段による歪量測定結果の一例を示した特性図である。 第2の実施形態に係るプレス機の概略構成を示す図である。 歪量測定手段による歪量測定結果の一例を示した特性図である。 歪量測定手段による歪量測定結果の一例を示した特性図である。 第3の実施形態に係るプレス機の概略構成を示す図である。 研削量算出手段の動作を示すフローチャートである。 実施例1〜3で製作した金型形状を示す図である。 出力手段への出力例を示す図である。 実施例3における特性を示す図である。 実施例3における特性を示す図である。 実施例3における特性を示す図である。 実施例3における特性を示す図である。 実施例3における特性を示す図である。 実施例3における特性を示す図である。 実施例3における特性を示す図である。
符号の説明
1 ポンチ
1a プレス機ボルスタ
2 ダイ
2a プレス機スライド
4 被加工材
5 歪量測定手段
6 平板
7 ボルト
8 歪センサー
9 判定手段
10 出力手段
11 範囲設定手段
12 研削量算出手段

Claims (6)

  1. 相対移動可能なポンチ及びダイのうち少なくともいずれか一つの形状を修正するプレス成形金型調整用プレス機であって、
    相対移動可能なポンチ及びダイと、
    前記ポンチ及び前記ダイのうち少なくともいずれか一つを測定対象金型としたときに、前記測定対象金型を複数の領域に分割し、分割した領域のそれぞれの内部及び表面のうち少なくともいずれかに設けられ、前記ポンチ及び前記ダイの相対移動中に生じる前記測定対象金型の歪量を測定する歪量測定手段と、
    前記歪量測定手段により測定した歪量が所定の範囲を外れたか否か、又は、前記歪量測定手段により測定した歪量と教師データとの差が所定の範囲を外れたか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えたことを特徴とするプレス成形金型調整用プレス機。
  2. 修正した前記測定対象金型に対して前記歪量測定手段により測定した歪量を記録し、その記録した歪量に基づいて、前記所定の範囲を算出する範囲設定手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のプレス成形金型調整用プレス機。
  3. 前記歪量測定手段により測定した歪量と所定の範囲との差、又は、前記歪量測定手段により測定した歪量と教師データとの差と所定の範囲との差に基づいて、前記判定手段により所定の範囲を外れたと判定された前記測定対象金型の領域の研削量を算出する研削量算出手段を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のプレス成形金型調整用プレス機。
  4. 相対移動可能なポンチ及びダイのうち少なくともいずれか一つの形状を修正する金型調整方法であって、
    相対移動可能なポンチ及びダイのうち少なくともいずれか一つを測定対象金型としたときに、前記測定対象金型を複数の領域に分割し、分割した領域のそれぞれの内部及び表面のうち少なくともいずれかに設けられた歪量測定手段により、前記ポンチ及び前記ダイの相対移動中に生じる前記測定対象金型の歪量を測定する手順と、
    前記歪量測定手段により測定した歪量が所定の範囲を外れたか否か、又は、前記歪量測定手段により測定した歪量と教師データとの差が所定の範囲を外れたか否かを判定する手順と、
    前記判定結果を出力する手順とを有することを特徴とする金型調整方法。
  5. 修正した前記測定対象金型に対して前記歪量測定手段により測定した歪量を記録し、その記録した歪量に基づいて、前記所定の範囲を算出する手順を更に有することを特徴とする請求項4に記載の金型調整方法。
  6. 前記歪量測定手段により測定した歪量と所定の範囲との差、又は、前記歪量測定手段により測定した歪量と教師データとの差と所定の範囲との差に基づいて、前記判定手段により所定の範囲を外れたと判定された前記測定対象金型の領域の研削量を算出する手順を更に有することを特徴とする請求項4又は5に記載の金型調整方法。
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