JP2010100583A - 脂質代謝改善剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 グルコースを構成糖とするα−グルカンであって、メチル化分析において、下記の特徴を有する分岐α−グルカン:
(1)2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールの比が1:0.6乃至1:4の範囲にある;
(2)2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールとの合計が部分メチル化グルシトールアセテートの60%以上を占める;
(3)2,4,6−トリメチル−1,3,5−トリアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%未満である;及び
(4)2,4−ジメチル−1,3,5,6−テトラアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上である;
ことを特徴とする分岐α−グルカンを含有する脂質代謝改善剤を提供することによって上記課題を解決する。
【選択図】 なし
Description
(1)2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールの比が1:0.6乃至1:4の範囲にある;
(2)2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールとの合計が部分メチル化グルシトールアセテートの60%以上を占める;
(3)2,4,6−トリメチル−1,3,5−トリアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%未満である;及び
(4)2,4−ジメチル−1,3,5,6−テトラアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上である;
ことを特徴とする分岐α−グルカン、及び、マルトース及びグルコース重合度が3以上のα−1,4グルカンに作用し、α−グルコシル転移することによって、当該分岐α−グルカンを生成する分岐α−グルカンを含んでなる脂質代謝改善剤に関する。
メチル化分析において、
(1)2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールの比が1:0.6乃至1:4の範囲にある;
(2)2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールとの合計が部分メチル化グルシトールアセテートの60%以上を占める;
(3)2,4,6−トリメチル−1,3,5−トリアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%未満である;及び
(4)2,4−ジメチル−1,3,5,6−テトラアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上である。
(1)2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールの比が1:0.6乃至1:4の範囲にある;
(2)2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールとの合計が部分メチル化グルシトールアセテートの60%以上を占める;
(3)2,4,6−トリメチル−1,3,5−トリアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%未満である;及び
(4)2,4−ジメチル−1,3,5,6−テトラアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上である;
ことを特徴とする分岐α−グルカンを配合した脂質代謝改善剤、とりわけ、液液の形態の脂質代謝改善剤を提供することによって上記課題を解決するものである。
(1)2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールの比が1:0.6乃至1:4の範囲にある;
(2)2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールとの合計が部分メチル化グルシトールアセテートの60%以上を占める;
(3)2,4,6−トリメチル−1,3,5−トリアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%未満である;及び
(4)2,4−ジメチル−1,3,5,6−テトラアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上である;
ことを特徴とする。
(1)分子量
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法において、90,000±10,000ダルトン;
(2)至適温度
pH6.0、30分間反応の条件下で、50乃至55℃;
(3)至適pH
40℃、30分間反応の条件下で5.0乃至6.3;
(4)温度安定性
pH6.0、60分間保持の条件下で40℃まで安定;及び
(5)pH安定性
4℃、24時間保持の条件下でpH3.5乃至8.4の範囲で安定;
(1)分子量
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法において、90,000±10,000ダルトン;
(2)至適温度
pH6.0、30分間反応の条件下で、約50℃;
(3)至適pH
40℃、30分間反応の条件下で約6.0;
(4)温度安定性
pH6.0、60分間保持の条件下で40℃まで安定;及び
(5)pH安定性
4℃、24時間保持の条件下でpH4.0乃至8.0の範囲で安定;
1)本酵素は、基質としてマルトース及び/又はグルコース重合度が3以上のα−1,4グルカンに作用し、非還元末端グルコース残基を他のα−1,4グルカンの非還元末端グルコース残基に主としてα−1,4又はα−1,6グルコシル転移することにより、非還元末端グルコース残基の4位又は6位水酸基にグルコースがα−結合したα−1,4グルカン(グルコース重合度が1増加したα−グルカン)と、グルコース重合度が1減じたα−1,4グルカンを生成する。
2)本酵素はさらに、1)で生じたグルコース重合度が1減じたα−1,4グルカンに作用し、1)で生じたグルコース重合度が1増加したα−グルカンに対して、1)と同様に分子間α−1,4又はα−1,6グルコシル転移することにより、1)で生成したグルコース重合度が1増加したα−グルカンの非還元末端グルコース残基の4又は6位水酸基にグルコースをさらに転移し、鎖長を伸長する。
3)上記1)及び2)の反応を繰り返すことにより、マルトース及び/又はグルコース重合度3以上のα−1,4グルカンからα−1,4及びα−1,6結合を有するグルカンを生成する。
4)本酵素は、さらに、頻度は低いながらも、α−1,3グルコシル転移やグルカンの内部にあるα−1,6結合したグルコース残基に対するα−1,4又はα−1,3グルコシル転移を触媒することにより、α−1,3結合、α−1,4,6結合及びα−1,3,6結合をも有するグルカンを生成する。
5)上記1)乃至4)の反応が繰り返される結果として、グルコースが主としてα−1,4結合及びα−1,6結合で結合し、僅かながらα−1,3結合、α−1,4,6結合及びα−1,3,6結合を有する本発明で使用する分岐α−グルカンを生成する。
(1)作用
澱粉を加水分解するとともにグリコシル基の転移を触媒し、シクロデキストリンをも生成する。プルランを加水分解しパノースを生成する;
(2)分子量
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法において、58,000±10,000ダルトン;
(3)至適温度
pH6.0、30分間反応の条件下で、55℃;
(4)至適pH
35℃、30分間反応の条件下で6乃至7;
(5)温度安定性
pH6.0、60分間保持の条件下で40℃まで安定、
pH6.0、1mM Ca2+イオン存在下で50℃まで安定;及び
(6)pH安定性
4℃、24時間保持の条件下でpH6.0〜8.0の範囲で安定;
<実験1−1:バチルス・サーキュランス PP710(FERM BP−10771)由来α−グルコシル転移酵素の調製>
澱粉部分分解物(商品名『パインデックス#4』、松谷化学工業株式会社販売)1.5w/v%、酵母抽出物(商品名『ポリペプトン』、日本製薬株式会社販売)0.5w/v%、酵母抽出物(商品名『酵母エキスS』、日本製薬株式会社販売)0.1w/v%、リン酸二カリウム0.1w/v%、リン酸一ナトリウム・2水和物0.06w/v%、硫酸マグネシウム・7水和物0.05w/v%、硫酸マンガン・5水和物0.001w/v%、硫酸第一鉄・7水和物0.001w/v%及び水からなる液体培地を、500ml容三角フラスコ1本に100ml入れ、オートクレーブで121℃、20分間滅菌し、冷却して、バチルス・サーキュランス PP710(FERM BP−10771)を接種し、27℃、230rpmで48時間回転振盪培養したものを種培養とした。
実験1−1で得たα−グルコシル転移酵素標品100mlを酵素液として用いて、これに終濃度30w/v%になるように澱粉部分分解物(商品名『パインデックス#100』、松谷化学工業株式会社販売)を添加し、72時間、40℃で反応させた後、約100℃で10分間、熱処理することによって反応を停止した。不溶物を濾過して除去した後、三菱化学製イオン交換樹脂『ダイヤイオンSK−1B』と『ダイヤイオンWA30』及びオルガノ製アニオン交換樹脂『IRA411』を用いて脱色、脱塩し、精密濾過した後、エバポレーターで濃縮し、固形分濃度30質量%のグルカン溶液を、基質として用いた澱粉部分分解物から固形物当り85.8%の収率で得た。
バチルス・サーキュランス PP710(FERM BP−10771)に替えてアルスロバクター・グロビホルミス PP349(FERM BP−10770)を接種した以外は実験1−1と同様に培養したものを種培養とした。
実験2−1で得たα−グルコシル転移酵素標品20mlを酵素液として用いて、これに終濃度30w/v%になるように澱粉部分分解物(商品名『パインデックス#100』、松谷化学工業株式会社販売)を添加し、72時間、40℃で反応させた後、約100℃で10分間、熱処理することによって反応を停止した。不溶物を濾過して除去した後、三菱化学製イオン交換樹脂『ダイヤイオンSK−1B』と『ダイヤイオンWA30』及びオルガノ製アニオン交換樹脂『IRA411』を用いて脱色、脱塩し、精密濾過した後、エバポレーターで濃縮し、固形分濃度30質量%のグルカン溶液を、基質として用いた澱粉部分分解物から固形物当り83.6%の収率で得た。
得られたグルカンの水溶性食物繊維含量を、栄養表示基準(平成8年5月厚生省告示第146号)における栄養成分等の分析方法等(栄養表示基準別表第1の第3欄に掲げる方法)、8.食物繊維、(2)高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)記載の方法に準じて下記の方法により調べた。酵素処理用のキットとして、総食物繊維測定キット(Dietary Fiber,Total,Assay,Control Kit、シグマ社製)を用いた。また、グルカンA及びBの調製に用いた基質である澱粉部分分解物(商品名『パインデックス#100』、松谷化学工業株式会社販売)を対照1とし、市販の難消化性グルカン(商品名『パインファイバー』、松谷化学工業株式会社販売)を対照2として、同様にそれぞれの水溶性食物繊維含量を調べた。
被験試料として固形分0.1gのグルカンを試験管にとり、0.08Mリン酸緩衝液5mlを添加しpHを6.0に調整した。これに、食物繊維測定キット付属の熱安定α−アミラーゼ(バチルス・リケニホルミス由来耐熱性α−アミラーゼ、シグマ社製)溶液0.01mlを加え、アルミ箔で覆い、沸騰水浴中で5分毎に攪拌しつつ30分間反応させ、冷却した。得られた反応液に、0.275M水酸化ナトリウム溶液約1mlを添加しpHを7.5に調整した後、キット付属のプロテアーゼ(バチルス・リケニホルミス由来、シグマ社製)溶液0.01mlを加え、アルミ箔で覆い、60℃の水浴中で振盪しつつ30分間反応させ、冷却した。得られたプロテアーゼ処理液に0.325M塩酸を約1ml添加し、pHを4.3に調整した後、キット付属のアミログルコシダーゼ(アスペルギルス・ニガー由来、シグマ社製)溶液0.01mlを加え、アルミ箔で覆い、60℃の水浴中で振盪しつつ30分間反応させ、冷却した。次いで、得られた反応液約7mlを、イオン交換樹脂(オルガノ株式会社販売のアンバーライトIRA−67(OH型)とアンバーライト200CT(H型)を1:1で混合)にSV1.0で通液することにより脱塩し、さらに約3倍量の脱イオン水にて溶出し、溶出液の総量を約28mlとした。得られた溶出液をエバポレーターにて濃縮し、孔径0.45μmのメンブランフィルターにて濾過した後、メスフラスコで25mlに定容したものを分析用試料溶液とした。
上記で得られた分析用試料溶液は、下記の条件による高速液体クロマトグラフィーに供した。
カラム :TGKgel G2500PWXL(内径7.8mm×長さ300mm,株式会社東ソー製)2本を直列に連結したもの
溶離液 :脱イオン水
試料糖濃度:0.8質量%
カラム温度:80℃
流 速 :0.5ml/分
検 出 :示差屈折計
注入量 :20μl
分析時間:50分
上記で得られたクロマトグラムにおいて、酵素処理によっても分解されずに残存する未消化グルカンを水溶性食物繊維とした。この水溶性食物繊維と分解されて生成したグルコースのピーク面積をそれぞれ求め、別途、常法のグルコース・オキシダーゼ法にて定量した分析用試料溶液中のグルコース量を用いて、下記の式1により水溶性食物繊維量を求めた。さらに、下記の式2により被験試料の水溶性食物繊維含量を求めた。
<実験4−1:メチル化分析>
実験1−2及び2−2の方法で得たグルカンA及びBについて、常法に従って、メチル化分析を行い、下記の条件によるガスクロマトグラフィー法で部分メチル化物を調べた。結果を表3にまとめた。
<ガスクロマトグラフィー条件>
カラム :DB−5 キャピラリーカラム(内径0.25mm×長さ30m×膜厚1μm,J&W Scientific社製)
キャリアーガス :ヘリウム
カラム温度:130℃で2分間保持した後、250℃まで5℃/分で昇温し、250℃で20分間保持
流 速 :1.0ml/分
検 出 :FID
注入量 :3μl(スプリット1/30)
分析時間:46分
分岐α−グルカンA及びBの構造を特徴づける目的で、イソマルトデキストラナーゼ消化試験を行った。分岐α−グルカンA及びBの水溶液(最終濃度1w/v%)にアルスロバクター・グロビホルミス由来のイソマルトデキストラナーゼ(株式会社林原生物化学研究所内にて調製)を基質固形物1グラム当たり100単位加え、50℃、pH5.0で16時間作用させ、100℃で10分間保持して反応を停止した後、その反応液中の糖組成を高速液体クロマトグラフィー(以下、「HPLC」と略称する。)及びガスクロマトグラフィー(以下、「GC」と略称する)を用いて調べた。HPLCは、カラムに『MCI GEL CK04SS』(株式会社三菱化学製造)2本を用い、溶離液に水を用いて、カラム温度80℃、流速0.4ml/分の条件で行い、検出は示差屈折計RID−10A(株式会社島津製作所製造)を用いて行った。GCは、常法に従って糖質をトリメチルシリル化(TMS化)した後、カラムに『2%シリコンOV−17 Chromosorb W/AW−DMS』(株式会社ジー・エル・サイエンス製造)を用い、1分間当たり7.5℃の昇温速度で温度160℃から320℃まで昇温した。キャリアーガスとして窒素ガスを用い、検出はFID法にて行った。イソマルトデキストラナーゼ消化において、分岐α−グルカンの調製に用いた基質である澱粉部分分解物からはイソマルトースが全く生成しなかったのに対し、分岐α−グルカンAからは糖組成として28.4質量%のイソマルトースが、また、分岐α−グルカンBからは糖組成として27.2質量%のイソマルトースが、それぞれ生成した。この結果は、分岐α−グルカンA及びBがイソマルトース構造をそれぞれ、少なくとも28.4質量%及び27.2質量%程度含んでいることを示しており、分岐α−グルカンではα−1,6結合の割合が増加していることを示した実験4−1におけるメチル化分析の結果を支持するものである。なお、イソマルトデキストラナーゼは、グルカンにおけるイソマルトース構造の還元末端側に隣接するα−グルコシド結合であれば、それがα−1,3、α−1,4及びα−1,6結合のいずれであっても加水分解する特異性を有していることから、得られたイソマルトースが分岐α−グルカンA及びBにおいてどのような結合様式で結合しているのか、その詳細は不明である。
分岐α−グルカンA又はBの水溶液(最終濃度1w/v%)にアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来α−グルコシダーゼ(商品名『トランスグルコシダーゼアマノL』、天野エンザイム製)及びリゾプス属(Rhizopus sp.)由来グルコアミラーゼを同時に作用させ消化試験を行った。基質固形物1グラム当たりα−グルコシダーゼを5,000単位とグルコアミラーゼを100単位加え、50℃、pH5.0で16時間作用させ、100℃で10分間保持して反応を停止した後、その酵素反応液の糖組成を実験4−2と同じ条件でHPLCを用いて調べた。その結果、グルカンA及びBはいずれも、基質である澱粉部分分解物の場合と同様に、実質的に全てグルコースにまで分解された。この結果は、分岐α−グルカンA及びBがいずれもグルコースを構成糖とするα−グルカンであることを示すものである。
分岐α−グルカンA及びBについて、分子量分布を常法のゲル濾過HPLC法にて分析した。ゲル濾過HPLCは、カラムに『TSK GEL α−M』(株式会社東ソー製)を2本連結したものを用い、溶離液に10mMリン酸緩衝液(pH7.0)を用いて、カラム温度40℃、流速0.3ml/分の条件で行い、検出は示差屈折計RID−10A(株式会社島津製作所製造)を用いて行った。なお、試料中のグルカンの分子量は、分子量測定用プルラン標準品(株式会社林原生物化学研究所販売)を同様にゲル濾過分析に供して作成した分子量の検量線に基づき算出した。図1に分岐α−グルカンA及びBのゲル濾過HPLCクロマトグラム(図1における符号b及びc)を、基質として用いた澱粉部分分解物(商品名『パインデックス#100』)のそれ(図1における符号a)と比較しつつ、それぞれ示した。なお、図1における符号イ、ロ、ハ、ニ及びホは、それぞれ、分子量1,000,000、100,000、10,000、1,000及び100ダルトンに相当する溶出位置を意味する(後述する図15乃至19においても同様)。また、ゲル濾過HPLCで得たクロマトグラムに基づき各試料の分子量分布を分析した結果を表4に示した。
澱粉部分分解物(商品名『パインデックス#4』、松谷化学工業株式会社製造)1.5w/v%、酵母抽出物(商品名『ポリペプトン』、日本製薬株式会社製造)0.5w/v%、酵母抽出物(商品名『酵母エキスS』、日本製薬株式会社製造)0.1w/v%、リン酸二カリウム0.1w/v%、リン酸一ナトリウム・2水和物0.06w/v%、硫酸マグネシウム・7水和物0.05w/v%、硫酸マンガン・5水和物0.001w/v%、硫酸第一鉄・7水和物0.001w/v%及び水からなる液体培地を、500ml容三角フラスコ2本に100mlずつ入れ、オートクレーブで121℃、20分間滅菌し、冷却して、バチルス・サーキュランス PP710(FERM BP−10771)を接種し、27℃、230rpmで48時間回転振盪培養したものを種培養とした。
実験5で得た培養上清のうち、約4L(総活性約10,400単位)に、80%飽和となるように硫安を添加、溶解し、4℃、24時間放置することにより塩析した。沈殿した塩析物を遠心分離(11,000rpm、30分間)にて回収し、これを20mM酢酸緩衝液(pH4.5)に溶解後、同緩衝液に対して透析し、粗酵素液約65mlを得た。粗酵素液中のα−グルコシル転移酵素活性は約74単位/mlであった(総活性約4,780単位)。この粗酵素液を東ソー株式会社製『CM−トヨパール 650S』ゲルを用いた陽イオン交換カラムクロマトグラフィー(ゲル容量70ml)に供した。α−グルコシル転移酵素活性は、20mM酢酸緩衝液(pH4.5)で平衡化した『CM−トヨパール 650S』ゲルに吸着し、食塩濃度0Mから0.5Mのリニアグラジエントで溶出させたところ、食塩濃度約0.4M付近に溶出した。この活性画分を回収し、終濃度1Mとなるように硫安を添加して4℃、24時間放置した後、遠心分離して不溶物を除き、東ソー株式会社製『ブチル−トヨパール 650M』ゲルを用いた疎水カラムクロマトグラフィー(ゲル容量9ml)に供した。α−グルコシル転移酵素活性は、1M硫安を含む20mM酢酸緩衝液(pH6.0)で平衡化した『ブチル−トヨパール 650M』ゲルに吸着し、硫安濃度1Mから0Mのリニアグラジエントで溶出させたところ、硫安濃度約0.2M付近に溶出した。この活性画分を回収し、これを20mM酢酸緩衝液(pH4.5)に対して透析後、東ソー株式会社製『CM−5PW』ゲルを用いた陽イオン交換カラムクロマトグラフィー(ゲル容量3.3ml)に供した。α−グルコシル転移酵素活性は、20mM酢酸緩衝液(pH4.5)で平衡化した『CM−5PW』ゲルに吸着し、食塩濃度0Mから0.5Mのリニアグラジエントで溶出させたところ、食塩濃度約0.4M付近に溶出した。この活性画分を回収し、これを20mM酢酸緩衝液(pH6.0)に対して透析した。各精製の各工程におけるα−グルコシル転移酵素活性、α−グルコシル転移酵素の比活性及び収率を表5に示す。
<実験7−1:分子量>
実験6の方法で得たバチルス・サーキュランス PP710由来のα−グルコシル転移酵素精製標品をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(5乃至20w/v%濃度勾配)に供し、同時に泳動した分子量マーカー(日本バイオ・ラッド・ラボラトリーズ株式会社製)と比較して分子量を測定したところ、本α−グルコシル転移酵素の分子量は90,000±10,000ダルトンであることが判明した。
実験6の方法で得たバチルス・サーキュランス PP710由来α−グルコシル転移酵素精製標品を用いて、酵素活性に及ぼす温度、pHの影響を活性測定の方法に準じて調べた。これらの結果を図3(至適温度)及び図4(至適pH)に示した。本α−グルコシル転移酵素の至適温度はpH6.0、30分間反応の条件下で50乃至55℃であり、至適pHは40℃、30分間反応の条件下で5.0乃至6.3であることが判明した。
実験6の方法で得たα−グルコシル転移酵素精製標品を用いて、本酵素の温度安定性及びpH安定性を調べた。温度安定性は、酵素溶液(20mM酢酸緩衝液、pH6.0)を各温度に60分間保持し、水冷した後、残存する酵素活性を測定することにより求めた。pH安定性は、本酵素を各pHの20mM緩衝液中で4℃、24時間保持した後、pHを6.0に調整し、残存する酵素活性を測定することにより求めた。これらの結果を図5(温度安定性)及び図6(pH安定性)に示した。図5及び図6から明らかなように、本α−グルコシル転移酵素は40℃まで安定であり、また、pH3.5乃至8.4の範囲で安定であった。
実験6の方法で得たα−グルコシル転移酵素精製標品を用いて、酵素活性に及ぼす金属塩の影響を濃度1mMの各種金属塩存在下で活性測定の方法に準じて調べた。結果を表6に示す。
バチルス・サーキュランス PP710に替えてアルスロバクター・グロビホルミス PP349(FERM BP−10770)を接種した以外は実験5と同様に培養して種培養とした。
実験8で得た培養上清約18L(総活性約7,560単位)に、80%飽和となるように硫安を添加、溶解し、4℃、24時間放置することにより塩析した。沈殿した塩析物を遠心分離(11,000rpm、30分間)にて回収し、これを20mM酢酸緩衝液(pH6.0)に溶解後、同緩衝液に対して透析し、遠心分離して不溶物を除き、粗酵素液約500mlを得た。粗酵素液中のα−グルコシル転移酵素活性は約14単位/mlであった(総活性約7,000単位)。この粗酵素液に終濃度2Mとなるように硫安を添加し、遠心分離して不溶物を除き、2M硫安を含む20mM酢酸緩衝液(pH6.0)で平衡化した東ソー株式会社製『フェニル−トヨパール 650M』ゲルを用いた疎水カラムクロマトグラフィー(ゲル容量300ml)に供した。α−グルコシル転移酵素活性は、ゲルに吸着し、硫安濃度2Mから0Mのリニアグラジエントで溶出させたところ、硫安濃度約0.6M付近に溶出した。この活性画分を回収し、20mM酢酸緩衝液(pH6.0)に対して透析後、東ソー株式会社製『DEAE−トヨパール 650S』ゲルを用いた陰イオン交換カラムクロマトグラフィー(ゲル容量100ml)に供した。α−グルコシル転移酵素活性は、20mM酢酸緩衝液(pH6.0)で平衡化した『DEAE−トヨパール 650S』ゲルに吸着し、食塩濃度0Mから0.5Mのリニアグラジエントで溶出させたところ、食塩濃度約0.1M付近に溶出した。各精製の各工程におけるα−グルコシル転移酵素活性、α−グルコシル転移酵素の比活性及び収率を表7に示す。
<実験10−1:分子量>
実験9の方法で得たアルスロバクター・グロビホルミス PP349由来のα−グルコシル転移酵素精製標品をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(5乃至20w/v%濃度勾配)に供し、同時に泳動した分子量マーカー(日本バイオ・ラッド・ラボラトリーズ株式会社製)と比較して分子量を測定したところ、本α−グルコシル転移酵素の分子量は90,000±10,000ダルトンであることが判明した。
実験9の方法で得たアルスロバクター・グロビホルミス PP349由来のα−グルコシル転移酵素精製標品を用いて、酵素活性に及ぼす温度、pHの影響を活性測定の方法に準じて調べた。これらの結果を図7(至適温度)及び図8(至適pH)に示した。本α−グルコシル転移酵素の至適温度はpH6.0、30分間反応の条件下で約50℃であり、至適pHは40℃、30分間反応の条件下で約6.0であることが判明した。
実験9方法で得たα−グルコシル転移酵素精製標品を用いて、本酵素の温度安定性及びpH安定性を調べた。温度安定性は、酵素溶液(20mM酢酸緩衝液、pH6.0)を各温度に60分間保持し、水冷した後、残存する酵素活性を測定することにより求めた。pH安定性は、本酵素を各pHの20mM緩衝液中で4℃、24時間保持した後、pHを6.0に調整し、残存する酵素活性を測定することにより求めた。これらの結果を図9(温度安定性)及び図10(pH安定性)に示した。図9及び図10から明らかなように、本発明のアルスロバクター・グロビホルミス由来α−グルコシル転移酵素は、40℃まで安定であり、pH4.0乃至8.0の範囲で安定であった。
実験9の方法で得たα−グルコシル転移酵素精製標品を用いて、酵素活性に及ぼす金属塩の影響を濃度1mMの各種金属塩存在下で活性測定の方法に準じて調べた。結果を表8に示す。
各種糖質を用いて、α−グルコシル転移酵素の基質特異性を調べた。メチル−α−グルコシド、メチル−β−グルコシド、パラニトロフェニル−α−グルコシド、パラニトロフェニル−β−グルコシド、グルコース、スクロース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、コージビオース、ニゲロース、ネオトレハロース、セロビオース、ラクトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオース、イソマルトトリオース又はイソパノースを含む水溶液を調製した。これらの基質溶液に、最終濃度20mM酢酸緩衝液(pH6.0)を加えた後、実験6の方法で得たバチルス・サーキュランス PP710由来α−グルコシル転移酵素精製標品を基質固形物1グラム当たりそれぞれ10単位ずつ加え、基質濃度を1w/v%になるように調製し、これを40℃、pH6.0で24時間作用させた。酵素反応前後の反応液の糖質を調べるため、展開溶媒としてn−ブタノール、ピリジン、水混液(容量比6:4:1)を、また、薄層プレートとしてメルク社製『キーゼルゲル60』(アルミプレート、10×20cm)を用い、2回展開するシリカゲル薄層クロマトグラフィー(以下、TLCと略す)を行い、10%硫酸−メタノール溶液を噴霧した後、加熱することにより糖質を検出した。TLCにおける基質糖質以外の反応生成物の生成の有無を調べ、それぞれの糖質に対する酵素作用の有無又は強さの程度を確認した。結果を表9に示す。なお、アルスロバクター・グロビホルミス PP349由来のα−グルコシル転移酵素についても基質特異性を同様にして調べた結果、バチルス・サーキュランス PP710由来α−グルコシル転移酵素と同様であった。
α−グルコシル転移酵素の作用メカニズムを検討するため、最小の基質であるマルトースに作用させた場合の生成糖の構造を調べた。なお、バチルス・サーキュランス PP710由来α−グルコシル転移酵素を用いた場合と、アルスロバクター・グロビホルミス PP349由来のα−グルコシル転移酵素を用いた場合の結果は同等であった。本実験では、バチルス・サーキュランス PP710由来α−グルコシル転移酵素精製標品を用いた結果を示す。
最終濃度1w/v%のマルトース水溶液に、最終濃度10mM酢酸緩衝液(pH6.0)を加えた後、実験6の方法で得たα−グルコシル転移酵素精製標品を、基質固形分1グラム当たり10単位加え、40℃、pH6.0で作用させ、経時的にサンプリングを行い、100℃で10分間保持して反応を停止した。その酵素反応液の糖組成をHPLC及びGCを用いて測定した。HPLC及びGCは、実験4−2に記載の条件を用いて行った。結果を表10に示す。
最終濃度1w/v%のマルトペンタオース水溶液に、最終濃度10mM酢酸緩衝液(pH6.0)を加えた後、実験6の方法で得たα−グルコシル転移酵素精製標品を、基質固形分1グラム当たり10単位加え、40℃、pH6.0で作用させ、経時的にサンプリングを行い、100℃で10分間保持して反応を停止した。その酵素反応液の糖組成を、HPLCを用いて測定した。HPLCは、実験4−2に記載の条件を用いて行った。また、酵素反応液について、常法に従って、メチル化分析を行いガスクロマトグラフィー法で部分メチル化物を調べた。生成する部分メチル化物の組成からグルコースの結合様式における各グルコシド結合の存在比を求めた。また、実験4−2と同様にイソマルトデキストラナーゼ消化試験も行った。反応中の糖組成の変化を表11に、反応生成物のメチル化分析とイソマルトデキストラナーゼ消化試験の結果を表12に示す。
1)本酵素は、基質としてマルトース及び/又はグルコース重合度が3以上のα−1,4グルカンに作用し、非還元末端グルコース残基を他のα−1,4グルカンの非還元末端グルコース残基に主としてα−1,4又はα−1,6グルコシル転移することにより、非還元末端グルコース残基の4位又は6位水酸基にグルコースがα−結合したα−1,4グルカン(グルコース重合度が1増加したα−グルカン)と、グルコース重合度が1減じたα−1,4グルカンを生成する。
2)本酵素はさらに、1)で生じたグルコース重合度が1減じたα−1,4グルカンに作用し、1)で生じたグルコース重合度が1増加したα−グルカンに対して、1)と同様に分子間α−1,4又はα−1,6グルコシル転移することにより、1)で生成したグルコース重合度が1増加したα−グルカンの非還元末端グルコース残基の4又は6位水酸基にグルコースをさらに転移し、鎖長を伸長する。
3)上記1)及び2)の反応を繰り返すことにより、マルトース及び/又はグルコース重合度3以上のα−1,4グルカンからα−1,4及びα−1,6結合を有するグルカンを生成する。
4)本酵素は、さらに、頻度は低いながらもα−1,3グルコシル転移やグルカンの内部にあるα−1,6結合したグルコース残基に対するα−1,4又はα−1,3グルコシル転移を触媒することにより、α−1,3結合、α−1,4,6結合及びα−1,3,6結合をも有するグルカンを生成する。
5)上記1)乃至4)の反応が繰り返される結果として、グルコースが主としてα−1,4結合及びα−1,6結合で結合し、僅かながらα−1,3結合、α−1,4,6結合及びα−1,3,6結合を有する分岐α−グルカンを生成する。
マルトース水溶液(最終濃度1又は30w/v%)に、最終濃度20mM酢酸緩衝液(pH6.0)を加えた後、実験6の方法で得たバチルス・サーキュランス PP710由来α−グルコシル転移酵素精製標品を、基質固形物1グラム当たり4単位加え、40℃、pH6.0で作用させ、経時的にサンプリングを行い、100℃で10分間保持して反応を停止した。反応液中に残存するマルトース量を実験4−2に記載のHPLC法及びGC法で定量した。また、酵素反応液の還元糖量をソモギー・ネルソン法で、全糖量をアンスロン法で定量し、次式、 還元力=(還元糖量/全糖量)×100 で還元力を算出した。結果を表13に示す。
分岐α−グルカンの工業的生産を考慮した場合、α−グルコシル転移酵素の粗酵素が使用できれば酵素を精製する手間と労力が省けることとなり、より好適である。そこで、バチルス・サーキュランス PP710由来α−グルコシル転移酵素の粗酵素を用いて、実験1−2で調製したグルカンAと同等の分岐α−グルカンが得られるか否かを検討した。実験1−1に記載した方法でバチルス・サーキュランス PP710を培養し、培養上清を硫安塩析し、20mM酢酸緩衝液(pH4.5)に対して透析したものをα−グルコシル転移酵素の粗酵素液とした。この粗酵素液を実験1−2に記載した方法で澱粉部分分解物(商品名『パインデックス#100』、松谷化学工業株式会社販売)に作用させ、固形分濃度30%のグルカン溶液を、基質として用いた澱粉部分分解物から固形物当り88.2%の収率で得た。得られた分岐α−グルカンを「グルカンC」と名付け、そのメチル化分析を行った結果を表14に、また、実験4及び実験3に記載した方法によって分子量分布及び水溶性食物繊維含量を測定した結果を表15にそれぞれ示す。なお、表14及び表15には、比較のため表3及び表4より調製の原料とした澱粉部分分解物と部分精製α−グルコシル転移酵素を用いて調製したグルカンAのデータをそれぞれ再掲した。
バチルス・サーキュランス PP710由来α−グルコシル転移酵素の粗酵素に混在し、分岐α−グルカンにおけるα−1,6結合の増加、1,3結合と1,6結合の両方にあずかるグルコース残基の増加、低分子化、及び、水溶性食物繊維含量の増加に関与する酵素を同定し、単離・精製する実験を行った。
実験1−1と同じ方法でバチルス・サーキュランス PP710(FERM BP−10771)を培養し、得られた培養上清約3Lを硫安塩析した後、1mMの塩化カルシウムを含む20mMトリス−塩酸緩衝液に対して透析して得た透析液約40mlを粗酵素液とした。この粗酵素液を、2w/v%可溶性澱粉溶液又は2w/v%プルラン溶液にpH6.0、40℃で16時間作用させ、100℃、10分間加熱して反応を停止させた後、縦10cm、横20cmのシリカゲル60F254(メルク社製)TLCプレートを用いたTLCに供した。展開溶媒としてn−ブタノール:ピリジン:水(容量比6:4:1)を用いて2回展開を行い、20%硫酸−メタノール溶液を噴霧した後、100℃で5分間加熱して生成物のスポットを検出した。その結果、可溶性澱粉からは、マルトース及びグルコース重合度3以上のマルトオリゴ糖の生成が、また、プルランからは僅かなイソマルトースとパノースの生成が認められた。バチルス・サーキュランス PP710(FERM BP−10771)のα−グルコシル転移酵素の粗酵素には澱粉を分解し、さらにプルランをも分解するアミラーゼが混在していることが判明した。
実験15−1で調製した粗酵素液を東ソー株式会社製『DEAE−トヨパール 650S』ゲルを用いた陰イオン交換カラムクロマトグラフィー(ゲル容量70ml)に供した。アミラーゼは、1mMの塩化カルシウム20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化した『DEAE−トヨパール 650S』ゲルに吸着せず、非吸着画分に溶出した。この活性画分を回収し、終濃度1.5Mとなるように硫安を添加して4℃、24時間放置した後、遠心分離して不溶物を除き、ファルマシアバイオテク製『リソース PHE』ゲルを用いた疎水カラムクロマトグラフィー(ゲル容量1ml)に供した。目的のアミラーゼは、1.5M硫安、1mM塩化カルシウムを含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化した『リソース PHE』ゲルに吸着し、硫安濃度1.5Mから0Mのリニアグラジエントで溶出させたところ、硫安濃度約0.3M付近に溶出した。この活性画分を回収し、濃縮した後、ファルマシアバイオテク製『スーパーデックス 200pg』ゲルを用いたゲル濾過カラムクロマトグラフィー(ゲル容量118ml)に供し、0.2M食塩、1mM塩化カルシウムを含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)にて溶出した。活性画分を回収し、ファルマシアバイオテク製『リソース Q』ゲルを用いた陰イオン交換カラムクロマトグラフィー(ゲル容量1ml)に供した。アミラーゼは、1mMの塩化カルシウム20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化した『リソース Q』ゲルに吸着せず、非吸着画分に溶出した。得られた活性画分をアミラーゼ精製標品とした。各精製の各工程におけるアミラーゼ活性、アミラーゼの比活性及び収率を表16に示す。
<実験16−1:分子量>
実験15−2の方法で得たアミラーゼ精製標品をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(5乃至20w/v%濃度勾配)に供し、同時に泳動した分子量マーカー(日本バイオ・ラッド・ラボラトリーズ株式会社製)と比較して分子量を測定したところ、当該アミラーゼの分子量は58,000±10,000ダルトンであることが判明した。
実験15−2の方法で得たバチルス・サーキュランス PP710由来アミラーゼ精製標品を用いて、アミラーゼ活性に及ぼす温度、pHの影響を活性測定の方法に準じて調べた。これらの結果を図11(至適温度)及び図12(至適pH)に示した。当該アミラーゼの至適温度はpH6.0、30分間反応の条件下で55℃であり、至適pHは35℃、30分間反応の条件下で6.0乃至7.0であることが判明した。
実験15−2の方法で得たアミラーゼ精製標品を用いて、温度安定性及びpH安定性を調べた。温度安定性は、酵素溶液(20mM酢酸緩衝液、pH6.0又は1mM塩化カルシウムを含む同緩衝液)を各温度に60分間保持し、水冷した後、残存する酵素活性を測定することにより求めた。pH安定性は、本酵素を各pHの20mM緩衝液中で4℃、24時間保持した後、pHを6.0に調整し、残存する酵素活性を測定することにより求めた。これらの結果を図13(温度安定性)及び図14(pH安定性)に示した。図13及び図14から明らかなように、当該アミラーゼはカルシウムイオン非存在下では40℃まで安定であり、1mMカルシウムイオン存在下では50℃まで安定であった。また、当該アミラーゼはpH6.0乃至8.0の範囲で安定であった。
実験15−2の方法で得たアミラーゼ精製標品を用いて、当該アミラーゼの各種基質への作用を調べたところ、当該アミラーゼは、澱粉、マルトース及びグルコース重合度3以上のα−1,4グルカンを加水分解するとともに、グリコシル転移をも触媒することが判明した。また、当該アミラーゼは、澱粉からシクロデキストリンを生成し、プルランを加水分解してパノースを生成する作用を有することも判明した。
実験6の方法で得たバチルス・サーキュランス PP710由来α−グルコシル転移酵素精製標品と実験15−2の方法で得たアミラーゼ精製標品を用いて、実験14に記載したバチルス・サーキュランス PP710由来α−グルコシル転移酵素の粗酵素を用いたグルカンCの調製が再現できるか否かを検討した。すなわち、澱粉部分分解物(商品名『パインデックス#100』、松谷化学株式会社販売)を濃度30質量%になるよう水に溶解し、これをpH6.0に調整し、実験6の方法で得たバチルス・サーキュランス PP710由来α−グルコシル転移酵素精製標品を固形物1グラム当たり10単位加え、さらに、実験15―2の方法で得たアミラーゼを固形物1グラム当たり0、0.1、0.2、0.5又は1.0単位加え、40℃、pH6.0で72時間作用させた後、その反応液を10分間煮沸して反応を停止させた。各反応条件によりそれぞれ得た分岐α−グルカンを実験4−4記載のゲル濾過HPLC法に供して得たクロマトグラムを、基質として用いた澱粉部分分解物のそれとともに図15に示した。図15において、符号aは基質とした澱粉部分分解物のゲル濾過HPLCクロマトグラムであり、符号b、c、d及びeは、それぞれ、α−グルコシル転移酵素をいずれも10単位とし、アミラーゼを0.1単位、0.2単位、0.5単位及び1.0単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラムである(α−グルコシル転移酵素のみ10単位作用させた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラムは図1に示したグルカンAのクロマトグラムとほぼ同様であり、図15では省略した。後述する図17〜20についても同様)。これらゲル濾過HPLCで得たクロマトグラムに基づく各分岐α−グルカンの分子量分布分析の結果と、実験3記載の酵素−HPLC法にて調べた水溶性食物繊維含量を併せて表17に示す。また、基質として用いた澱粉部分分解物について調べた分子量分布分析と水溶性食物繊維含量の結果(α−グルコシル転移酵素0単位、アミラーゼ0単位)を表17に併記した。
本発明で使用するα−グルコシル転移酵素と他の公知のアミラーゼを併用して、澱粉部分分解物に作用させて分岐α−グルカンを調製し、その構造的な特徴及び水溶性食物繊維含量を検討した。なお、バチルス・サーキュランス PP710由来α−グルコシル転移酵素を用いた場合と、アルスロバクター・グロビホルミス PP349由来のα−グルコシル転移酵素を用いた場合の結果は同等であったことから、本実験では、バチルス・サーキュランス PP710由来α−グルコシル転移酵素精製標品を用いた結果を示す。
バチルス・サーキュランス PP710由来アミラーゼに変えて、シュードモナス・アミロデラモサ(Pseudomonas amyloderamosa)由来のイソアミラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製)を固形物1グラム当たり0、50、200、500又は1,000単位加えた以外は実験17と同様に反応させた。各反応条件によりそれぞれ得た分岐α−グルカンを実験4−4記載のゲル濾過HPLC法に供して得たクロマトグラムを、基質として用いた澱粉部分分解物のそれとともに図16に示した。図16において、符号aは基質とした澱粉部分分解物のゲル濾過HPLCクロマトグラムであり、符号b、c、d及びeは、それぞれ、α−グルコシル転移酵素をいずれも10単位とし、イソアミラーゼを50単位、200単位、500単位及び1,000単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラムである。また、これらゲル濾過HPLCで得たクロマトグラムに基づく各分岐α−グルカンの分子量分布分析の結果と、実験3記載の酵素−HPLC法にて調べた水溶性食物繊維含量を併せて表18に示す。
シュードモナス・アミロデラモサ由来のイソアミラーゼに変えて市販のα−アミラーゼ(商品名「ネオスピターゼPK2」、ナガセ生化学工業株式会社製)を固形物1グラム当たり0、0.1、0.2、0.5又は1.0単位加えた以外は実験18−1と同様に反応させた。各反応条件によりそれぞれ得た分岐α−グルカンを実験4−4記載のゲル濾過HPLC法に供して得たクロマトグラムを、基質として用いた澱粉部分分解物のそれとともに図17に示した。図17において、符号aは基質とした澱粉部分分解物のゲル濾過HPLCクロマトグラムであり、符号b、c、d及びeは、それぞれ、α−グルコシル転移酵素をいずれも10単位とし、α−アミラーゼを0.1単位、0.2単位、0.5単位及び1.0単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラムである。また、これらゲル濾過HPLCで得たクロマトグラムに基づく各分岐α−グルカンの分子量分布分析の結果と、実験3記載の酵素−HPLC法にて調べた水溶性食物繊維含量を併せて表19に示す。
シュードモナス・アミロデラモサ由来のイソアミラーゼに変えてバチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus thermophilus)由来のCGTase(株式会社林原生物化学研究所製)を固形物1グラム当たり0、0.1、0.2、0.5又は1.0単位加えた以外は実験18−1と同様に反応させた。各反応条件によりそれぞれ得た分岐α−グルカンを実験4−4記載のゲル濾過HPLC法に供して得たクロマトグラムを、基質として用いた澱粉部分分解物のそれとともに図18に示した。図18において、符号aは基質とした澱粉部分分解物のゲル濾過HPLCクロマトグラムであり、符号b、c、d及びeは、それぞれ、α−グルコシル転移酵素をいずれも10単位とし、CGTaseを0.1単位、0.2単位、0.5単位及び1.0単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラムである。また、これらゲル濾過HPLCで得たクロマトグラムに基づく各分岐α−グルカンの分子量分布分析の結果と、実験3記載の酵素−HPLC法にて調べた水溶性食物繊維含量を併せて表20に示す。
実験18−1に記載した実験において、さらにバチルス・ステアロサーモフィラス由来のCGTaseを固形物1グラム当たり0又は1.0単位を加えた以外は実験18−1と同様にして反応させた。各反応条件によりそれぞれ得た分岐α−グルカンを実験4−4記載のゲル濾過HPLC法に供して得たクロマトグラムを、基質として用いた澱粉部分分解物のそれとともに図19に示した。図19において、符号aは基質とした澱粉部分分解物のゲル濾過HPLCクロマトグラムであり、符号b、c、d及びeは、いずれもα−グルコシル転移酵素とCGTaseをそれぞれ10単位及び1単位とし、イソアミラーゼを50単位、200単位、500単位及び1,000単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラムである。また、これらゲル濾過HPLCで得たクロマトグラムに基づく各分岐α−グルカンの分子量分布分析の結果と、実験3記載の酵素−HPLC法にて調べた水溶性食物繊維含量を併せて表21に示す。
水溶性食物繊維含量が最も高く、分子量が比較的小さい分岐α−グルカンとして、実験18−4において固形物1グラム当たり10単位のα−グルコシル転移酵素、50単位のイソアミラーゼ、及び1単位CGTaseを組み合わせて調製した分岐α−グルカンを選択し、当該分岐α−グルカンの消化性及び構造的な特徴及び機能性を検討した。
固形物1グラム当たり10単位のα−グルコシル転移酵素、50単位のイソアミラーゼ、及び1単位のCGTaseを用い、実験18−4と同様に反応させて得た分岐α−グルカンの反応液を、濾過して不溶物を除去した後、三菱化学製イオン交換樹脂『ダイヤイオンSK−1B』と『ダイヤイオンWA30』及びオルガノ製アニオン交換樹脂『IRA411』を用いて脱色、脱塩し、精密濾過した後、エバポレーターで濃縮し、固形分濃度30%の分岐α−グルカン含有液を、用いた澱粉から固形物当り85.8%の収率で得た。得られた分岐α−グルカンのメチル化分析を実験4−1記載の方法で行った結果を表22に示した。また、実験4−4記載のゲル濾過HPLC法で行った分子量分布分析、実験3記載の酵素−HPLC法で求めた水溶性食物繊維含量、実験4−2記載のイソマルトデキストラナーゼ消化試験の結果を表23にまとめた。
実験19−1の方法で得た分岐α−グルカンを用い、『インフェクション・アンド・イムニティー(Infection and Immunity)』、第39巻、43乃至49頁(1983年)に記載の大島らの方法に準じて、う蝕原性菌を用いた酸発酵性試験を行った。う蝕原性菌として、ストレプトコッカス・ソブリナス(Streptococcus sobrinus)6715株及びストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)OMZ−176株の2株を用いた。対照として、スクロースを用いて同様に操作した。結果を表24に示す。
実験19−1の方法で得た分岐α−グルカンを用いて、日本栄養食糧学会誌、第43巻、第23乃至29頁(1990)に記載の岡田らの方法に準じて、試験管内において唾液アミラーゼ、人工胃液、膵液アミラーゼ及び小腸粘膜酵素による分岐α−グルカンの消化性を調べた。対照として、市販の難消化性デキストリン(商品名『パインファイバー』、松谷化学工業株式会社製造)を用いた。結果を表25に示す。
実験19−1の方法で得た分岐α−グルカンを用いて、血糖値の上昇及びインスリンの上昇を調べた。7週齢のウィスター系雄ラット各群5匹を用いて、1日絶食後、胃ゾンデにて分岐α−グルカンの水溶液を経口投与した。投与量はラット体重1kg当り固形物として1.5gとした。血液を、経口投与直前、経口投与15分後、30分後、60分後、120分後に尾静脈から採血した。それぞれの血液を、ヘパリン処理済採血管に採取し、遠心分離(2,000rpm、10分間)して、血漿を得た。血糖値はグルコース・オキシダーゼ法で測定し、インスリン量はラットインスリン測定キット(株式会社森永生科学研究所製造)を用いて測定した。対照1としてグルコースを、また、対照2として市販の難消化性デキストリン(商品名『パインファイバー』、松谷化学工業株式会社製造)を用いた。それぞれの試験系における血糖値及びインスリン量の結果をそれぞれ表26及び表27に示す。
マウスを使用して、実験19−1の方法で得た分岐α−グルカンを経口投与して急性毒性試験を行った。その結果、当該分岐α−グルカンは無毒性であり、投与可能な最大量においても死亡例は認められず、そのLD50値は、5g/kg−マウス体重以上であった。
実験19−4において、分岐α−グルカンの摂取により、血糖値及びインスリン量の上昇が、グルコースに比べて低いことが判明したので、後述する実施例5の方法で得た分岐α−グルカンを用いて、分岐α−グルカンの摂取が血糖上昇に与える影響をさらに詳細に検討した。
分岐α−グルカンが、澱粉部分分解物(商品名『パインデックス#1』、松谷化学工業株式会社販売)摂取後の血糖上昇に与える影響を検討した。ラット飼育用飼料(株式会社林原生物化学研究所調製、「AIN−93G」;ジャーナル・オブ・ニュートリッション(Journal of Nutrition)、第123巻、第1939−1951頁(1993)参照、以下「精製飼料」という。後述の表33に示す配合組成を参照)で、1週間予備飼育した7週齢のウィスター系雄性ラット(日本チャールスリバー株式会社販売)3群各群5匹を用いて、1日絶食後、胃ゾンデにて、澱粉部分分解物(固形物として1.5g/kg・体重)と分岐α−グルカンとを溶解した水溶液を経口投与した。分岐α−グルカンの投与量はラット体重1kg当り固形物として、0.15g、0.30g又は0.75gとした。ラットの血液を、経口投与直前、経口投与15分後、30分後、60分後、120分後、180分後、240分後に尾静脈から採血した。それぞれの血液を、ヘパリン処理済採血管に採取し、遠心分離(2,000rpm、10分間)して、血漿を得た。血糖値とインスリン量とを実験19−4と同じ方法で測定した。対照1として、1群5匹のラットに澱粉部分分解物のみを固形物として1.5g/kg・体重経口投与した。また、対照2として、分岐α−グルカンに換えて、市販の難消化性デキストリン(商品名『ファイバーソル2』、松谷化学工業株式会社製造)を、澱粉部分分解物と同時に、2群各群5匹のラットに、体重1kg当り固形物として0.15g又は0.75gの何れかを経口投与した。それぞれの試験系における血糖値の変化、血糖値のAUC値(血中濃度−時間曲線下面積)、インスリン量及びインスリン量のAUC値の測定結果をそれぞれ表28、表29、表30及び表31に示す。
実験20−1において、分岐α−グルカンが、糖質(澱粉部分分解物)負荷時の血糖値、血糖値のAUC値、インスリン量及びインスリン量のAUCの上昇を何れも抑制することが判明したので、この分岐α−グルカンの分子量の違いが、糖質負荷時の血糖値及びインスリン量の上昇抑制作用に及ぼす影響を検討した。すなわち、原料澱粉部分分解物、α−グルコシル転移酵素、アミラーゼの使用量等を調整して、表32に示す重量平均分子量の分岐α−グルカンを調製した。実験20−1と同様に、精製飼料で1週間予備飼育した7週齢のウィスター系雄性ラット(日本チャールスリバー株式会社販売)9群各群5匹を用いて、1日絶食後、8群各群5匹のラットには、胃ゾンデにて、澱粉部分分解物(固形物として1.5g/kg・体重)又は表32に示す分岐α−グルカンの何れかを溶解した水溶液を経口投与した。分岐α−グルカンの投与量はラット体重1kg当り固形物として0.75gとした。残りの1群5匹のラットには、澱粉部分分解物のみをラット体重1kg当り固形物として1.5g経口投与し、対照群とした。これらのラットの血液を、経口投与直前及び投与30分後に尾静脈から採血した。それぞれの血液をヘパリン処理済採血管に採取し、遠心分離(2,000rpm、10分間)して血漿を得た。各群における血糖値及びインスリン量の測定結果を表32に併せて示す。なお、投与後の採血時間は、澱粉部分分解物のみを投与した場合に、血糖値及び血中インスリン量がピークとなる投与30分後とした。
実験20−1において、分岐α−グルカンの摂取により、糖質負荷時の血糖値、血糖値のAUC値、インスリン量及びインスリン量のAUC値の上昇が抑制されることが判明したので、当該分岐α−グルカンを長期摂取後(8週間)に、糖質負荷時の血糖値、血糖値AUC値、インスリン量及びインスリン量のAUC値の上昇抑制作用を検討した。精製飼料で1週間予備飼育した7週齢のウィスター系雄性ラット(日本チャールスリバー株式会社販売)5群各群5匹を使用した。3群各群5匹のラットを、各々表33に示す分岐α−グルカン(固形物換算)を1、2又は5質量%配合した3種類の試験飼料の何れかで8週間飼育した。飼育期間中の餌及び水は自由摂取とした。試験飼料での飼育4週間と8週間で、1日絶食後、胃ゾンデにて、澱粉部分分解物の水溶液を固形物として1.5g/kg・体重となるように経口投与した。ラットの血液を、投与直前、投与15分後、30分後、60分後、120分後、180分後、240分後に尾静脈から採血した。それぞれの血液を、ヘパリン処理済採血管に採取し、遠心分離(2,000rpm、10分間)して血漿を得た。血糖値とインスリン量とを実験19−4と同じ方法で測定した。対照1として、1群5匹のラットを精製飼料のみで飼育した。また、残りの1群5匹のラットは、対照2として、精製飼料のコーンスターチの一部を、市販の難消化性デキストリン(商品名『ファイバーソル2』、松谷化学工業株式会社販売)で置き換えた表33に示す配合組成の飼料で飼育した。飼育4週間と8週間とはほぼ同じ結果となったので、試験飼料で飼育4週間における、それぞれの試験系における血糖値、血糖値のAUC値、インスリン量及びインスリン量のAUC値の測定結果をそれぞれ表34、表35、表36及び表37に示す。
分岐α−グルカンをラットに摂取させると澱粉部分分解物を摂取させた場合に比べて、血糖値及びインスリン量の増加が抑制されることが明らかになったので、分岐α−グルカンの摂取がヒトの血糖値及び血中のインスリン量に与える影響を調べる試験を行った。市販の澱粉部分分解物(松谷化学工業株式会社販売、商品名「パインデックス#1」)及び後述する実施例5の方法に準じて調製した分岐α−グルカンを用いて、ヒトでの血糖値及びインスリンの上昇を調べた。健康なボランティアの男性12名(年齢26乃至54歳、平均41±7歳)を被験者として、試験前日の21時以降、翌日の試験開始時(9時頃)までの間、水以外の飲食物の摂取を禁止した。この被験者に、まず澱粉部分分解物50g(固形物換算)を水に溶解して全量200mlとした試験標品を、摂取開始から2分以内に摂取させた。血液を、経口投与直前、経口投与15分後、30分後、45分後、60分後、90分後、120分後に採血した。次いで、1週間以上の間隔をあけて、同じ被験者に分岐α−グルカン50g(固形物換算)を水に溶解して全量200mlとした試験標品を用いた以外は澱粉部分分解物の場合と同様にして試験し、採血した。それぞれの血液の血糖値及びインスリン量を、民間の臨床検査機関(社団法人岡山市医師会総合メディカルセンター)に委託して測定した。試験標品摂取時の血糖値及びインスリン量の経時的な変化、及び、その数値に基づき計算した、摂取直後乃至摂取120分間血糖値のAUC値(血中濃度−時間曲線下面積:AUC0−2hr(mg・hr/dl))及びインスリン量のAUC0−2hr(μU・hr/dl)値、摂取直後乃至摂取120分間の血糖値のAUC値の増加量及びインスリン量のAUC値の増加量(ΔAUC0−2hr)を、表38にまとめて示す。
実験19−4、実験21において、分岐α−グルカンを摂取することにより、血糖値及び血中のインスリン量の上昇が低くなることが判明したので、当該分岐α−グルカンの摂取が生体内脂質に及ぼす影響についても検討した。
後述する実施例5の方法で調製した分岐α−グルカンを用いて、7週齢のウィスター系雄性ラット(日本チャールスリバー株式会社販売)を、無作為に4群各群15匹に分けて、1週間、表33に示す精製飼料で予備飼育後、2群各15匹は、同表に示す分岐α−グルカンを固形物として5質量%配合した組成の飼料(試験飼料)で、週間または8週間飼育した。残りの2群各15匹は、対照として、精製飼料で同様に4週間または8週間飼育した。分岐α−グルカン配合飼料で飼育した1群15匹を飼育開始4週間で、及び、残り1群15匹を8週間で、各々、エーテル麻酔下で下大静脈より採血後屠殺し、解剖して、内臓蓄積脂肪量、血清脂質、腸粘膜湿質量および盲腸内容物などを調べた。対照のラットも同様に処理した。その結果を表39に示す。なお、ラットの飼育は、試験期間中を通じて、2又は3日おきに体重と摂餌量を測定しながら、実験20−1と同様に餌及び水は飼育期間中を通じて自由摂取とした。また、解剖前は一晩絶食とした。分岐α−グルカン配合飼料飼育4週間及び8週間の体重増加量、摂餌量、飼料利用効率(体重増加量/摂餌量)、解剖時の、体重、臓器等の質量、腸粘膜質量、内臓脂肪質量、盲腸内の内容物の質量、水分、pHを表39に示す。また、血清脂質の測定結果も表39に併せて示す。なお、血清脂質のうち、中性脂肪、総コレステロール及びHDL−コレステロールの測定は、それぞれ市販の中性脂肪トリグリセライド測定用キット(商品名「トリグリセライド E−テスト ワコー」、和光純薬工業株式会社販売)、総コレステロール測定用キット(商品名「コレステロール E−テスト ワコー」、和光純薬工業株式会社販売、)及びHDL−コレステロール測定用キット(商品名「HDL−コレステロール E−テスト ワコー」、和光純薬工業株式会社販売)を使用した。また、総コレステロール値からHDL−コレステロール値を減じてLDL−コレステロール値とした。
実験22−1において、分岐α−グルカンの摂取により、生体内脂質の過剰蓄積が抑制されることが判明したので、当該分岐α−グルカンの重量平均分子量の違いによる作用を検討した。すなわち、精製飼料に、実験20−2で使用したものと同じ重量平均分子量の異なる8種類の分岐α−グルカンを、それぞれ固形物として5質量%配合した8種類の試験飼料を調製した。ウィスター系ラット雌性7週齢(日本チャールスリバー株式会社販売)45匹を、無作為に9群各群5匹に分けて、1週間、精製飼料で予備飼育した。このラットのうち、8群については、表40に示す重量平均分子量の異なる分岐α−グルカンの何れかを配合した試験飼料(試験飼料1乃至8)で8週間飼育した。残りの1群5匹のラットは、精製飼料でそのまま8週間飼育し、対照群とした。分岐α−グルカンを配合した飼料を摂取して8週間経過したラット及び精製飼料を摂取して8週間経過した対照群のラットを、それぞれエーテル麻酔下で採血後、屠殺して、その腸間膜周囲、腎臓周囲及び睾丸周囲の脂肪質量(湿質量)、並びに、血清中の中性脂肪及び総コレステロールを、実験22−1と同じ方法で測定した。結果を表40に示す。
7週齢のウィスター系雄性ラット(日本チャールスリバー株式会社販売)を、無作為に5群各群5匹に分けて、1週間、市販の固形飼料で予備飼育後、3群各5匹は、分岐α−グルカンを1、2又は5質量%配合した表33に示す配合の精製飼料(各々、試験飼料1、試験飼料2又は試験飼料3)で4週間飼育した。残りの2群各5匹の内、1群5匹は、市販の難消化性デキストリン(松谷化学販売、商品類「ファイバーソルII」)を5質量%配合した表33に示す精製飼料で4週間飼育した(対照1)。また、残りの1群5匹は、表33に示す精製飼料で4週間飼育した(対照2)。分岐α−グルカンを配合した精製飼料で4週間飼育後、各群のラットを、各々、屠殺し、解剖して、内臓蓄積脂肪量を測定した。対照1及び2のラットも同様に処理した。その結果を表41に示す。なお、ラットの飼育は、試験期間中を通じて、2又は3日おきに体重と摂餌量を測定しながら、実験22−1と同様に餌及び水は飼育期間中を通じて自由摂取とした。なお、解剖前のラットは一晩絶食とした。また、分岐α−グルカン或いは難消化性デキストリンを配合した精製飼料で4週間飼育したときの、飼育期間中の餌の総摂取量に分岐α−グルカン又は難消化性デキストリンの配合割合(%)を乗じ、100で除して、当該飼料で飼育した期間中の分岐α−グルカン又は難消化性デキストリンの総摂取量を計算し、さらに、飼育期間(28日)で、除して、1日当たりの分岐α−グルカン又は難消化性デキストリンの摂取量を計算して、表41に併せて示す。
7週齢のウィスター系雄性ラット(日本チャールスリバー株式会社販売)を、無作為に5群各11匹に分けて、1週間、市販の固形飼料で飼育後、3群各11匹は、後述する実施例5の方法で調製した分岐α−グルカンを、0.5、1又は2質量%含む脱イオン水(各々、試験飲水1、試験飲水2又は試験飲水3)を飲水として与えながら、市販のラット用固形飼料で4週間飼育した。残りの2群各11匹の内、1群11匹は、市販の難消化性デキストリン(松谷化学販売、商品類「ファイバーソルII」)を2質量%含む脱イオン水を飲水として与えながら、市販のラット用固形飼料で4週間飼育した(対照1)。また、残りの1群11匹は、脱イオン水を飲水として与えながら、市販のラット用固形飼料で同様に4週間飼育した(対照2)。分岐α−グルカンを含む飲水で4週間飼育後の各群のラットを、屠殺し、解剖して、内臓蓄積脂肪質量を測定した。対照1及び2のラットも同様に処理した。その結果を表42に示す。なお、ラットの飼育は、試験期間中を通じて、2又は3日おきに体重、摂餌量と飲水の摂取量を測定しながら、実験22−1と同様に餌及び水は飼育期間中を通じて自由摂取とした。また、分岐α−グルカン或いは難消化性デキストリンを含む飲水で4週間飼育したときの、飼育期間中の飲水の総摂取量に分岐α−グルカン又は難消化性デキストリンの含有割合(%)を乗じ、100で除して、当該飲水で飼育した期間中の分岐α−グルカン又は難消化性デキストリンの総摂取量を計算し、さらに、飼育期間(28日)で、除して、1日当たりの分岐α−グルカン又は難消化性デキストリンの摂取量を計算して、表42に併せて示す。
原乳100質量部に実施例3の方法で得た分岐α−グルカン溶液2質量部及び蔗糖3重量を溶解し、プレートヒーターで加熱殺菌し、次いで濃度70%に濃縮し、無菌状態で缶詰して、加糖練乳形態の脂質代謝改善剤を得た。本品を使用したスイーツや料理を摂取すれば、効果的に脂質代謝の改善をはかることができる。また、本品は、血中のインスリンや中性脂肪の上昇抑制剤乃至予防剤、内臓脂肪蓄積抑制剤乃至予防剤として利用することもできる。
脱脂粉乳175質量部、実施例4の方法で得た分岐α−グルカン粉末50質量部及びラクトスクロース高含有粉末(株式会社林原商事販売、登録商標『乳果オリゴ』)50質量部を水1、500質量部に溶解し、65℃で30分間殺菌し、40℃に冷却後、これに、常法に従って、乳酸菌のスターターを30質量部植菌し、37℃で8時間培養して乳酸菌飲料形態の脂質代謝改善剤を得た。本品は液状なので、摂取すれば、同量の分岐α−グルカンを固状の組成物の形態で摂取するよりも効果的に脂質代謝の改善をはかることができる。また、本品は、血中のインスリンや中性脂肪の上昇抑制剤乃至予防剤、内臓脂肪蓄積抑制剤乃至予防剤として利用することもできる。
噴霧乾燥により製造したオレンジ果汁粉末33質量部に対して、実施例4の方法で得た分岐α−グルカン粉末10質量部、含水結晶トレハロース20質量部、無水結晶マルチトール20質量部、無水クエン酸0.65質量部、リンゴ酸0.1質量部、2−O−α−グルコシル−L−アスコルビン酸0.2質量部、クエン酸ソーダ0.1質量部、及び粉末香料の適量をよく混合攪拌し、粉砕し微粉末にして、これを流動層造粒機に仕込み、排風温度40℃とし、これに実施例3の方法で得た分岐α−グルカン溶液をバインダーとして適量スプレーし、30分間造粒し、計量し、包装して粉末ジュース形態の脂質代謝改善剤を得た。本品を水に溶解してジュースとして摂取すれば、同量の分岐α−グルカンを固状の組成物の形態で摂取するよりも効果的に脂質代謝の改善をはかることができる。また、本品は、血中のインスリンや中性脂肪の上昇抑制剤乃至予防剤、内臓脂肪蓄積抑制剤乃至予防剤として利用することもできる。
コーンスターチ100質量部、実施例3の方法で得た分岐α−グルカン溶液30質量部、トレハロース含水結晶70質量部、蔗糖40質量部、および食塩1質量部を充分に混合し、鶏卵280質量部を加えて攪拌し、これに沸騰した牛乳1、000質量部を徐々に加え、更に火にかけて攪拌を続け、コーンスターチが完全に糊化して全体が半透明になった時に火を止め、これを冷却して適量のバニラ香料を加え、計量、充填、包装してカスタードクリーム形態の脂質代謝改善剤を得た。本品を、シューに詰めるなどして、摂取すれば、脂質代謝の改善をはかることができる。また、本品は、血中のインスリンや中性脂肪の上昇抑制剤乃至予防剤、内臓脂肪蓄積抑制剤乃至予防剤として利用することもできる。
原料小豆10質量部に、常法に従って、水を加えて煮沸し、渋切り、あく抜きし、水溶性夾雑物を除去して、小豆粒餡約21質量部を得た。この生あんに蔗糖14質量部、実施例3の方法で得た分岐α−グルカン溶液5質量部と水4質量部を加えて煮沸し、これに少量のサラダオイルを加えて粒餡を壊さないように練り上げ、餡形態の脂質代謝改善剤を約35質量部得た。本品を使用して餡パン、まんじゅう、団子、最中、氷菓などを製造し、摂取すれば脂質代謝の改善をはかることができる。また、本品は、血中のインスリンや中性脂肪の上昇抑制剤乃至予防剤、内臓脂肪蓄積抑制剤乃至予防剤として利用することもできる。
小麦粉100質量部、イースト菌2質量部、蔗糖5質量部、実施例4の方法で得た分岐α−グルカン粉末1質量部および無機フード0.1質量部を、常法に従って、水でこね、中種を26℃で2時間発酵させ、その後30分間熟成、焼き上げて、パン形態の脂質代謝改善剤を得た。本品を摂取すれば脂質代謝の改善をはかることができる。また、本品は、血中のインスリンや中性脂肪の上昇抑制剤乃至予防剤、内臓脂肪蓄積抑制剤乃至予防剤として利用することもできる。
40質量%食品用大豆ペプチド溶液(不二製油株式会社販売、商品名『ハイニュートS』)1質量部に、実施例4の方法で得た分岐α−グルカン粉末2質量部を混合し、プラスチック製バットに入れ、50℃で減圧乾燥し、粉砕して粉末形態の脂質代謝改善剤を得た。本品を水に溶解して摂取すれば、同量の分岐α−グルカンを固状の組成物の形態で摂取するよりも効果的に脂質代謝の改善をはかることができる。また、本品は、血中のインスリンや中性脂肪の上昇抑制剤乃至予防剤、内臓脂肪蓄積抑制剤乃至予防剤として利用することもできる。
実施例4の方法で得た分岐α−グルカン粉末100質量部、トレハロース含水結晶200質量部、マルトテトラオース高含有粉末200質量部、粉末卵黄270質量部、脱脂粉乳209質量部、塩化ナトリウム4.4質量部、塩化カリウム1.8質量部、硫酸マグネシウム4質量部、チアミン0.01質量部、L−アスコルビン酸ナトリウム0.1質量部、ビタミンEアセテート0.6質量部およびニコチン酸アミド0.04質量部からなる配合物を調製し、この配合物を25グラムずつ防湿性ラミネート小袋に充填し、ヒートシールして、流動食形態の脂質代謝改善剤を得た。本品を摂取すれば、同量の分岐α−グルカンを固状の組成物の形態で摂取するよりも効果的に脂質代謝の改善をはかることができる。また、本品は、血中のインスリンや中性脂肪の上昇抑制剤乃至予防剤、内臓脂肪蓄積抑制剤乃至予防剤として利用することもできる。
実施例4の方法で得た分岐α−グルカン粉末30質量部、茶抽出物0.1質量部、グァバ葉抽出物0.01質量部、L−カルニチン酒石酸塩0.02質量部、蔗糖糖1質量部、α、α−トレハロース2質量部、チアミン0.001質量部に水を加えて、全量を500質量部とし、350mlずつペットボトルに充填して、清涼飲料形態の脂質代謝改善剤を調製した。本品を摂取すれば、同量の分岐α−グルカンを固状の組成物の形態で摂取するよりも効果的に脂質代謝の改善をはかることができる。また、本品は、血中のインスリンや中性脂肪の上昇抑制剤乃至予防剤、内臓脂肪蓄積抑制剤乃至予防剤として利用することもできる。
焙煎され、挽かれたレギュラーコーヒー用の豆を、常法により、沸騰水道水を用いて、90℃で、5分間ネルドリップして、コーヒー抽出液を得た。このコーヒー抽出液50質量部、実施例6の方法で調製した分岐α−グルカン4質量部、牛乳3.5質量部、グラニュー糖6質量部を混合し、全体として100質量部になるように沸騰水道水を加えた。次に、5質量%炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて、pHを6.5に調整し、250mlずつスチール缶に充填して、湯浴中で、93℃になるまで予備加熱した後、密封し、123℃で、15分間殺菌し、次いで、流水中で、1時間急冷して、缶コーヒー形態の脂質代謝改善剤を調製した。本品を摂取すれば、同量の分岐α−グルカンを固状の組成物の形態で摂取するよりも効果的に脂質代謝の改善をはかることができる。また、本品は、血中のインスリンや中性脂肪の上昇抑制剤乃至予防剤、内臓脂肪蓄積抑制剤乃至予防剤として利用することもできる。
実施例6の方法で調製した分岐α−グルカン粉末3質量部、フマル酸第一鉄0.06質量部、イノシトール0.1質量部、塩化カルニチン0.2質量部、硝酸チアミン0.01質量部、リン酸リボフラビンナトリウム0.01質量部、塩酸ピリドキシン0.01質量部、2−O−α−グルコシル−L−アスコルビン酸1質量部、アミノエチルスルホン酸2質量部、キシリトール4質量部、α,α−トレハロース5質量部、エリスリトール5、クエン酸0.8質量部、安息香酸ナトリウム0.06質量部、ミックスフルーツフレーバー0.1質量部に適量のクエン酸ナトリウムを加え、精製水に溶解した後、pHを3.0に調整し、精製水を加えて全量を100質量部とした。この液をろ紙でろ過し、滅菌装置を用いて、ろ液を80℃で25分間加熱滅菌した後、100mlずつ、ガラス瓶に充填しキャップを施して内服液形態の脂質代謝改善剤を調製した。本品を摂取すれば、同量の分岐α−グルカンを固状の組成物の形態で摂取するよりも効果的に脂質代謝の改善をはかることができる。また、本品は、血中のインスリンや中性脂肪の上昇抑制剤乃至予防剤、内臓脂肪蓄積抑制剤乃至予防剤として利用することもできる。
イ:分子量1000,000ダルトンに相当する溶出位置
ロ:分子量100,000ダルトンに相当する溶出位置
ハ:分子量10,000ダルトンに相当する溶出位置
ニ:分子量1,000ダルトンに相当する溶出位置
ホ:分子量100ダルトンに相当する溶出位置
図1において、
a:基質とした澱粉部分分解物のゲル濾過HPLCクロマトグラム
b:グルカンAのゲル濾過HPLCクロマトグラム
c:グルカンBのゲル濾過HPLCクロマトグラム
1:グルコース重合度499に相当する位置
2:グルコース重合度6.3に相当する位置
3:グルコース重合度384に相当する位置
4:グルコース重合度22.2に相当する位置
5:グルコース重合度10.9に相当する位置
6:グルコース重合度1に相当する位置
7:グルコース重合度433に相当する位置
8:グルコース重合度22.8に相当する位置
9:グルコース重合度10.9に相当する位置
10:グルコース重合度1に相当する位置
図2において、
1:澱粉部分分解物の模式図
2:本発明で使用する分岐α−グルカンの模式図
a:非還元末端グルコース残基
b:α−1,3結合しているグルコース残基
c:α−1,4結合しているグルコース残基
d:α−1,6結合しているグルコース残基
e:α−1,3,6結合しているグルコース残基
f:α−1,4,6結合しているグルコース残基
斜め向き破線:α−1,3結合
横向き実線:α−1,4結合
縦向き実線:α−1,6結合
図13において、
●:カルシウムイオン非存在下
○:1mMカルシウムイオン存在下
図15において、
a:基質とした澱粉部分分解物のゲル濾過HPLCクロマトグラム
b:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、アミラーゼを0.1単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
c:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、アミラーゼを0.2単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
d:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、アミラーゼを0.5単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
e:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、アミラーゼを1単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
図16において、
a:基質とした澱粉部分分解物のゲル濾過HPLCクロマトグラム
b:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、イソアミラーゼを50単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
c:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、イソアミラーゼを200単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
d:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、イソアミラーゼを500単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
e:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、イソアミラーゼを1000単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
図17において、
a:基質とした澱粉部分分解物のゲル濾過HPLCクロマトグラム
b:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、α−アミラーゼを0.1単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
c:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、α−アミラーゼを0.2単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
d:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、α−アミラーゼを0.5単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
e:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、α−アミラーゼを1.0単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
図18において、
a:基質とした澱粉部分分解物のゲル濾過HPLCクロマトグラム
b:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、CGTaseを0.1単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
c:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、CGTaseを0.2単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
d:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、CGTaseを0.5単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
e:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、CGTaseを1.0単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
図19において、
a:基質とした澱粉部分分解物のゲル濾過HPLCクロマトグラム
b:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、イソアミラーゼを50単位、CGTaseを1単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
c:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、イソアミラーゼを200単位、CGTaseを1単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
d:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、イソアミラーゼを500単位、CGTaseを1単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
e:基質1グラム当たりα−グルコシル転移酵素を10単位、イソアミラーゼを1000単位、CGTaseを1単位作用させて得られた分岐α−グルカンのゲル濾過HPLCクロマトグラム
Claims (8)
- グルコースを構成糖とするα−グルカンであって、メチル化分析において、下記の特徴を有する分岐α−グルカンを含有する脂質代謝改善剤。
(1)2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールの比が1:0.6乃至1:4の範囲にある;
(2)2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールとの合計が部分メチル化グルシトールアセテートの60%以上を占める;
(3)2,4,6−トリメチル−1,3,5−トリアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%未満である;及び
(4)2,4−ジメチル−1,3,5,6−テトラアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上である。 - 分岐α−グルカンのグルコース重合度が10以上であって、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)が20未満である請求項1記載の脂質代謝改善剤。
- 分岐α−グルカンが、イソマルトデキストラナーゼ(EC 3.2.1.94)消化により、消化物の固形物当たりイソマルトースを25質量%以上50質量%以下生成することを特徴とする請求項1又は2記載の脂質代謝改善剤。
- 分岐α−グルカンが、高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が40質量%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の脂質代謝改善剤。
- 分岐α−グルカンと共に食品素材、食品添加物、医薬品、医薬品添加物、医薬部外品添加物から選ばれる1種または2種以上を配合してなる請求項1乃至4の何れかに記載の脂質代謝改善剤。
- 液状の形態であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の脂質代謝改善剤。
- 脂質代謝改善作用を有することを標榜してなる請求項1乃至6のいずれかに記載の脂質代謝改善剤。
- 請求項1乃至7の何れかに記載の脂質代謝改善剤の、血中インスリン上昇抑制剤又は予防剤、血中中性脂肪上昇制剤又は予防剤、乃至、内臓脂肪蓄積抑制剤又は予防剤としての使用。
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