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JP2010197238A - 回転速度情報検出装置、方法及びプログラム、並びに、タイヤ空気圧低下検出装置、方法及びプログラム - Google Patents

回転速度情報検出装置、方法及びプログラム、並びに、タイヤ空気圧低下検出装置、方法及びプログラム Download PDF

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JP2010197238A JP2009042974A JP2009042974A JP2010197238A JP 2010197238 A JP2010197238 A JP 2010197238A JP 2009042974 A JP2009042974 A JP 2009042974A JP 2009042974 A JP2009042974 A JP 2009042974A JP 2010197238 A JP2010197238 A JP 2010197238A
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tire
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Hajime Fujita
肇 藤田
Hiroaki Kawasaki
裕章 川崎
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

【課題】精度良く車輪速信号を算出する回転速度情報検出装置を提供する。
【解決手段】車輪センサにより取得された前記歯車の歯が通過するのに要した時間からサンプリング周期あたりに通過した歯車の歯数を算出する歯数算出手段と、算出された歯数を用いて車輪の回転速度情報を算出する車輪速度算出手段とを備え、歯数算出手段はサンプリング周期における時間情報の累積値が次のサンプリング周期の開始時刻を超えた時点において、その時点の時間情報と前記次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な時間との比によって次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な歯数を算出し、サンプリング周期の間に通過した歯数を算出する。車輪速度算出手段は歯車における隣接する歯間の間隔とサンプリング周期の間に通過した歯数と歯数算出手段によって算出された半端な歯数とサンプリング周期とに基づいて車輪の回転速度を算出する。
【選択図】図6

Description

本発明は、走行中の車両のタイヤの共振周波数に基づいて当該タイヤの空気圧低下を検出するタイヤ空気圧低下検出装置又は方法に用いる、タイヤの回転速度情報検出装置、方法及びプログラム、並びに、これらを用いたタイヤ空気圧低下検出装置、方法及びプログラムに関するものである。
自動車が安全に走行できるための要素の1つとして、タイヤの空気圧をあげることができる。空気圧が適正値よりも低下すると、操縦安定性や燃費が悪くなり、タイヤバーストの原因となる場合がある。このため、タイヤ空気圧の低下を検出し、運転者に警報を出して適切な処置を促すタイヤ空気圧警報装置(Tire Pressure Monitoring System;TPMS)は、環境の保護や運転者の安全性の確保という見地から重要な技術である。
従来の警報装置は、直接検知型と間接検知型の2つに分類することができる。直接検知型は、タイヤホイール内部に圧力センサを組み込むことでタイヤの空気圧を直接計測するものである。空気圧の低下を高精度に検出することができる一方で、専用のホイールが必要となることや実環境での耐故障性能に問題があることなど、技術的、コスト的な課題を残している。
一方、間接検知型はタイヤの回転情報から空気圧を推定する方法であり、動荷重半径(Dynamic Loaded Radius;DLR)方式と、共振周波数(Resonance Frequency Mechanism;RFM)方式に細分類することができる。DLR方式は、減圧したタイヤが走行時につぶれることで動荷重半径が小さくなり、その結果正常圧のタイヤよりも速く回転する現象を利用し、4つのタイヤの回転速度を比較することで圧力低下を検出する方式である。車輪速センサから得られる車輪の回転速度信号だけを用いて比較的簡単に演算処理できることから、主に一輪のパンクを検出することを目的として広く研究が進められてきた。しかし、車輪の回転速度を相対比較しているに過ぎないため、4輪が同時に減圧する場合(自然漏れ)は検知することができない。また、車両の旋回、加減速や荷重の偏りなどの走行条件によっても車輪速差が生じるため、全ての走行状態を通じて精度良く減圧を検知できないという問題がある。
他方、RFM方式は、減圧によって車輪速信号の周波数特性が変化することを利用して正常圧との差異を検出する方式である。DLR方式と異なり、あらかじめ保持しておいた各輪の正常値との絶対比較であるため、4輪同時減圧にも対応でき、より良い間接検知方式として注目されている。しかし、走行条件によっては強いノイズなどが原因で、目的とする領域の周波数の推定値が車両速度や路面状況に頑健でないなどの課題がある。本発明は、RFM方式に基づくタイヤの状態検知装置に関するものである。以下、この方式の基本原理についてより詳しく述べる。
車両が走行すると、タイヤが路面から力を受けることで現れる前後方向のねじれ運動と、サスペンションの前後の運動とが連成共振を起こす。この共振現象は、車輪の回転運動にも影響を及ぼすため、アンチロックブレーキングシステム(Anti−Lock Braking System;ABS)に搭載された車輪センサから取得される車輪速信号にも共振現象に関する情報が含まれる。また、連成共振はタイヤのねじれ剛性に起因した固有の振動モードであるため、その励起状態はタイヤの物理特性を構成する空気圧の変化にのみ依存して変化し、車両速度や路面の変化に依存することはほとんどない。すなわち、空気圧が低下するとタイヤのねじれ運動のダイナミクスが変化するため、車輪速信号を周波数解析すると、連成共振が作るピーク(共振ピーク)は減圧時では正常圧時よりも低周波数側に現れる。
図3は、空気圧が正常であるタイヤと正常圧(270kPa)から25%減圧(200kPa)、40%減圧(160kPa)したタイヤを車両に装着し、一定時間(2分間)の間に得られたそれぞれの車輪加速度信号(車輪速信号の時間階差を計算して得られる)に対して高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform;FFT)を適用することで得られるパワースペクトルを表わしている。図3において、横軸は周波数(Hz)、縦軸はデシベル(dB)を表す。使用したデータは時速40キロで路面の凹凸の激しい道路を走行した場合のものである。20〜40Hz付近の成分がタイヤの前後方向の振動と車両のサスペンションとが共振することによって起こる振動であり、内圧の変化によってピーク値をもつ周波数(共振周波数)がより低周波側に移動していることが分かる。この現象は、前述の特性からタイヤや車両の種類、走行速度や路面の状況などから独立して現れるため、RFM方式ではこの共振周波数に着目し、初期化時に推定した基準周波数よりも相対的に低いと判断される場合に警報を出す。ここで、ABSから取得される車輪速信号から共振周波数を推定する必要があるが、計算資源が限られる車載の計算機では必要な時系列データを記憶させておくことが難しいため、FFTによる周波数分析を行うことは困難である。このため、従来手法では共振現象を2次モデルで記述し、自己回帰(Autoregressive; AR)モデルに基づいて逐次的な時系列解析を行う(例えば、特許文献1参照)。ARモデルを表す伝達関数の極に対応する周波数が共振周波数として推定されるため、モデルにより共振ピークが正しく抽出されていれば正確に共振周波数を得ることができる。
前記RFM方式に基づくタイヤ空気圧警報装置の入力となる車輪速信号は、ABSから供給される「タイムスタンプ」と呼ばれる時間信号をもとにして算出する。ここで、ABSは以下のようにしてタイムスタンプ情報を取得する。車両とタイヤの接続部には当該タイヤに関連して歯車が設けられており、車載の車輪センサは、内蔵された永久磁石が発する磁界が歯車の回転によって変化することを誘導電圧により計測する。この電圧変化を矩形波に変換することで、歯車の各歯の立ち上がりエッジが通過する時刻が計測できる(図4参照)。この通過時刻がタイムスタンプであり、これをもとにタイヤの車輪速を計算する。すなわち、タイムスタンプの差を計算すれば1つの歯が通過するのに要した時間(以下、この1つの歯の通過時間を「時間情報」という)が算出できるため、この時間情報と隣接する歯の間隔(既知である歯車の半径から計算できる)とから、その歯が通過する瞬間の速度が計算できる。この方法で得られる車輪速信号は車両の走行速度に依存する動的な周期で得られるが(以下、このように算出された速度を「動的車輪速信号」という)、これではデジタル信号処理のためのデータ形式として不適当である。なぜなら、現存するデジタル信号処理技術は、データは定常な環境のもと一定周期で得られることを前提にしており、サンプリング周期が車両の走行速度に合わせて変化するなどしてこの前提を満たさない場合は、正しく周波数特性を捉えることができないからである。したがって、常に一定の周期で車輪速信号が得られるようデータサンプリングの技術に関して工夫が必要である。同時に、動的な周期で得られる情報から一定周期の車輪速信号(以下、これを「静的車輪速信号」という。また、以後で単に「車輪速信号」、又は「車輪速」と省略して記述したときは、この「静的車輪速信号」を指すものとする)を計算する過程(一度サンプリングされた時間情報をもとにして静的車輪速信号をサンプリングし直すため、以下この変換過程を「リサンプリング」という)において、可能な限りノイズの影響を排除することで正確に車輪速を計算できることが望ましい。
ところで、車輪速信号をリサンプリングする方式は、その基本原理にしたがって以下の2つに分類できる。すなわち、(1)補間により静的車輪速信号を直接求める方式、及び(2)サンプリング周期あたりに通過した歯数を求めることで静的車輪速信号を計算する方式である。
このうち前記方式(1)は、時間情報に基づいて動的車輪速信号を計算し、時間的に近接するそれらを回帰する直線を計算することで、サンプリング時刻に対応する静的車輪速信号を求めるものである。非特許文献1では、2つの動的車輪速信号を用いた線形補間を行うことにより静的車輪速信号をリサンプリングする方法を提案している(図5参照)。図5において、点線は静的車輪速信号が切り出される5msごとの時刻を表わしている。丸印は動的車輪速信号、ひし形印は静的車輪速信号を表す。この非特許文献1の方法には次の2つの問題があることが指摘されている。
第一に、低速走行することにより動的車輪速信号を得られる周期がサンプリング周期よりも長くなると、一度の補間で複数の車輪速信号を取り出すことになるが、それらの車輪速信号の間には単純な線形関係しか残らないため、時間情報に本来含まれるタイヤの振動に関する情報が失われる。
第二に、リサンプリングのためのデータとして用いる動的車輪速信号はあくまでも隣接する2点でしかないため、取得したにもかかわらず必然的に使われない情報が発生し、リサンプリングの精度が悪い。この非特許文献1では、こうした問題を解決できる方法として、ローパスフィルタとリサンプリングした車輪速信号のデシメーションを用いる方法を提案しているが、すべての条件で根本的な解決となる方法ではなく、計算量も多いことから実用に堪えるものではない。この線形補間によるリサンプリング方法を敷衍する形で、用いるデータ点の数を増やし、それらの回帰直線によって補間する方法が考えられる。
しかし、この方法では速度が遅くなるほど、ある時刻における車輪速信号を計算するため回帰に用いるデータと、次の時刻における計算をするため回帰に用いるデータの多くが重複する。このように前後で重複するデータを用いて回帰することは時系列データに移動平均処理を施すことと等価であり、効果の強さが車両速度に依存するローパスフィルタを適用することになるため、新たな第三の問題を生じる。特に、時速40キロ以下の走行条件ではフィルタの効果が強く、異常検出のために着目する周波数帯域にも大きく影響を及ぼすため、望ましくない。また、非特許文献1では、非線形カーネルを用いる方法やアナログフィルタを近似して適用する方法などが提案されているが、いずれも物理的根拠が乏しい上に、費やす計算量に対して得られる効果が少なく、手法として不十分である。
一方、方式(2)は、取得した時間情報から単位時間(あらかじめ設定したサンプリング周期)あたりに通過した歯車の歯数を計算し、距離(隣接する歯の間隔と通過した歯数との積)と時間(サンプリング周期)との関係から車輪速を求める。この方法は、最も素直なアプローチとして従来から数多く提案・実施されている。例えば、DLR方式に基づくタイヤ空気圧警報装置では、40ミリ秒ごとに車輪速信号を計算するにあたり、時間情報の累積値を逐次計算していき、その累積値が40ミリ秒に最も近くなるときの歯数を、その累積時間に対する距離として採用している。しかし、RFM方式においては、以下の2つの理由によりこのような単純な計算方法は適用できない。
第一に、40Hz付近の周波数特性を監視するRFM方式においては、可能な限り短い周期で車輪速信号を得ることが望ましく、40ミリ秒という長いサンプリング周期では到底要求される性能を満たさない。具体的には、少なくとも8ミリ秒以下のサンプリング周期であることが要請され、またABSの計算資源の制約を考慮すると、できるだけ軽い処理によって計算できることが望ましい。
第二に、周波数特性を捉えるために十分な精度を確保できない。すなわち、カウントする歯数は常に整数であるため、累積時間はおおむね40ミリ秒として車輪速が計算されるが(これによりサンプリング周期は厳密に一定しないため、単純に動的車輪速信号を計算する方法と、正確にリサンプリングを行う方法の中間に位置する手法といえる)、そのように大雑把な部分を含む計算では、数Hz単位で起こる共振周波数の微妙な変化を検出する必要のあるRFM方式においてはデータの精度が著しく不足する。また、累積時間を概算することによる誤差の影響はサンプリング周期を短く設定するほど大きくなる。したがって、第一の問題を解決するためにサンプリング周期を単純に短くすれば良いわけではない。第二の問題も解決するために、周期を短く固定した上で、その間に通過した歯数を厳密に計算しなければならない。さらに、白色性のセンシングノイズを軽減する等の工夫も必要となる。
このようなリサンプリング方法は、計算負荷が高いことから適用が困難とされており、これまで詳細な検討や開発がなされてこなかった。実際、特許文献2においては、計算が重いことを理由にこの方式を避け、別のアプローチに基づく空気圧警報装置が提案されている。
特許第3152151号明細書 特許第3289384号明細書
Persson, N., "Event Based Sampling with Application to Spectral Estimation", Ph.D. thesis No.981, Division of Control and Communication, Department of Electrical Engineering Linkopings University, 2002
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、前記方式(2)に属する最適な手法を追求することで、いかなる走行条件においても精度良く車輪速信号を算出することができる回転速度情報検出装置、方法及びプログラムを提供することを目的としている。また、本発明の他の目的は、いかなる走行条件においても確実に共振周波数を求めることができ、タイヤ空気圧の低下を高精度に検出することができるタイヤ空気圧低下検出装置、方法及びプログラムを提供することである。
本発明の第1の観点に係る回転速度情報検出装置は、車両の各輪のタイヤに関連して設けられた歯車の歯の通過を検出する車輪センサと、この車輪センサにより取得された前記歯車の歯が通過するのに要した時間である時間情報から、あらかじめ設定したサンプリング周期あたりに通過した当該歯車の歯数を算出する歯数算出手段と、この歯数算出手段によって算出された歯数を用いて前記タイヤの回転速度情報を定期的に算出する車輪速度算出手段と、を備えた回転速度情報検出装置であって、
前記歯数算出手段は、サンプリング周期における前記時間情報の累積値が次のサンプリング周期の開始時刻を超えた時点において、その時点の時間情報と前記次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な時間との比によって、当該次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な歯数を算出するとともに、サンプリング周期の間に通過した歯数を算出するように構成されており、且つ、
前記車輪速度算出手段は、前記歯車における隣接する歯間の間隔と、サンプリング周期の間に通過した歯数と、前記歯数算出手段によって算出された半端な歯数と、サンプリング周期とに基づいてタイヤの回転速度情報を算出するように構成されていることを特徴としている。
第1の観点に係る回転速度情報検出装置では、サンプリング時刻を超えた時点の時間情報と、サンプリング時刻に至るまでの半端な時間との比を用いて半端な歯数を得ており、単純な計算処理でよい。また、線形補間に基づくリサンプリング方法のように、速度に依存して情報の利用効率やフィルタの効果が変化するなどの不具合もなく、常に一定の性能で静的車輪速信号を計算することができる。
本発明の第2の観点に係る回転速度情報検出装置は、第1の観点に係る回転速度情報検出装置の歯数算出手段に代えて、サンプリング周期における前記時間情報の累積値が次のサンプリング周期の開始時刻を超えた時点において、時間情報の平均値と前記次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な時間との比によって、当該次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な歯数を算出するとともに、サンプリング周期の間に通過した歯数を算出するように構成された歯数算出手段を備えていることを特徴としている。
本発明の第2の観点に係る回転速度情報検出装置では、時間情報の平均値と、サンプリング時刻に至るまでの半端な時間との比を用いて半端な歯数を得ているので、前記第1の観点に係る回転速度情報検出装置の効果に加え、センサが歯の立ち上がりエッジを読み取る際に混入する計測誤差の影響を軽減し、演算精度を高めることができる。
本発明の第3の観点に係る回転速度情報検出方法は、車両の各輪のタイヤに関連して設けられた歯車の歯の通過を検出する検出工程と、この検出工程で取得された前記歯車の歯が通過するのに要した時間である時間情報から、あらかじめ設定したサンプリング周期あたりに通過した当該歯車の歯数を算出する歯数算出工程と、この歯数算出工程において算出された歯数を用いて前記タイヤの回転速度情報を定期的に算出する車輪速度算出工程と、を含む回転速度情報検出方法であって、
前記歯数算出工程は、サンプリング周期における前記時間情報の累積値が次のサンプリング周期の開始時刻を超えた時点において、その時点の時間情報と前記次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な時間との比によって、当該次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な歯数を算出するとともに、サンプリング周期の間に通過した歯数を算出し、且つ、
前記車輪速度算出工程は、前記歯車における隣接する歯間の間隔と、サンプリング周期の間に通過した歯数と、前記歯数算出手段によって算出された半端な歯数と、サンプリング周期とに基づいてタイヤの回転速度情報を算出することを特徴としている。
本発明の第4の観点に係る回転速度情報検出方法は、第3の観点に係る回転速度情報検出方法の歯数算出工程に代えて、サンプリング周期における前記時間情報の累積値が次のサンプリング周期の開始時刻を超えた時点において、時間情報の平均値と前記次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な時間との比によって、当該次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な歯数を算出するとともに、サンプリング周期の間に通過した歯数を算出する歯数算出工程を含むことを特徴としている。
本発明の第5の観点に係る回転速度情報検出プログラムは、車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に算出するためにコンピュータを、前記タイヤに関連して設けられた歯車の歯の通過を検出する車輪センサにより取得された当該歯車の歯が通過するのに要した時間である時間情報から、あらかじめ設定したサンプリング周期あたりに通過した当該歯車の歯数を算出する歯数算出手段と、この歯数算出手段によって算出された歯数を用いて前記タイヤの回転速度情報を定期的に算出する車輪速度算出手段として機能させ、
前記歯数算出手段は、サンプリング周期における前記時間情報の累積値が次のサンプリング周期の開始時刻を超えた時点において、その時点の時間情報と前記次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な時間との比によって、当該次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な歯数を算出するとともに、サンプリング周期の間に通過した歯数を算出するように構成されており、且つ、
前記車輪速度算出手段は、前記歯車における隣接する歯間の間隔と、サンプリング周期の間に通過した歯数と、前記歯数算出手段によって算出された半端な歯数と、サンプリング周期とに基づいてタイヤの回転速度情報を算出するように構成されていることを特徴としている。
本発明の第6の観点に係る回転速度情報検出プログラムは、コンピュータを、第5の観点に係る回転速度情報検出プログラムにおける歯数算出手段に代えて、サンプリング周期における前記時間情報の累積値が次のサンプリング周期の開始時刻を超えた時点において、時間情報の平均値と前記次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な時間との比によって、当該次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な歯数を算出するとともに、サンプリング周期の間に通過した歯数を算出するように構成された歯数算出手段として機能させることを特徴としている。
また、本発明の第7の観点に係るタイヤ空気圧低下検出装置は、前記第1の観点に係る回転速度情報検出装置と、
この回転速度情報検出装置により得られる回転速度情報から、当該回転速度情報の周波数特性を推定する周波数特性推定手段と、
推定された周波数特性に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段と
を備えており、
前記周波数特性推定手段は、前記回転速度情報を含む時系列信号に対し、線形モデルのパラメータを推定するパラメータ推定手段を含んでいることを特徴としている。
本発明の第8の観点に係るタイヤ空気圧低下検出装置は、第7の観点に係るタイヤ空気圧低下検出装置の回転速度情報検出装置に代えて、前記第2の観点に係る回転速度情報検出装置を含んでいることを特徴としている。
本発明の第9の観点に係るタイヤ空気圧低下検出方法は、前記第3の観点に係る回転速度情報検出方法と、
この回転速度情報検出方法により得られる回転速度情報から、当該回転速度情報の周波数特性を推定する周波数特性推定工程と、
推定された周波数特性に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定工程と
を含んでおり、
前記周波数特性推定工程は、前記回転速度情報を含む時系列信号に対し、線形モデルのパラメータを推定するパラメータ推定工程を含んでいることを特徴としている。
本発明の第10の観点に係るタイヤ空気圧低下検出方法は、第9の観点に係るタイヤ空気圧低下検出方法における回転速度情報検出方法に代えて、前記第4の観点に係る回転速度情報検出方法を含んでいることを特徴としている。
本発明の第11の観点に係るタイヤ空気圧低下検出プログラムは、前記第5の観点に係る回転速度情報検出プログラムを含んでおり、走行中の車両のタイヤの共振周波数に基づいて当該タイヤの空気圧低下を検出するために前記コンピュータをさらに、前記回転速度情報から当該回転速度情報の周波数特性を推定する周波数特性推定手段、及び推定された周波数特性に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段として機能させ、前記周波数特性推定手段は、前記回転速度情報を含む時系列信号に対し、線形モデルのパラメータを推定するパラメータ推定手段を含んでいることを特徴としている。
本発明の第12の観点に係るタイヤ空気圧低下検出プログラムは、第11の観点に係るタイヤ空気圧低下検出プログラムにおける回転速度情報検出プログラムに代えて、前記第6の観点に係る回転速度情報検出プログラムを含んでいることを特徴としている。
本発明の回転速度情報検出装置、方法及びプログラムによれば、いかなる走行条件においても精度良く車輪速信号を算出することができる。また、本発明のタイヤ空気圧低下検出装置、方法及びプログラムによれば、いかなる走行条件においても確実に共振周波数を求めることができ、タイヤ空気圧の低下を高精度に検出することができる。
本発明のタイヤ空気圧低下検出装置の一実施の形態を示すブロック図である。 図1に示されるタイヤ空気圧低下検出装置の電気的構成を示すブロック図である。 車輪加速度信号に対して高速フーリエ変換を適用することで得られるパワースペクトルを表す図である。 歯車の各歯の立ち上がりエッジが通過する時刻が計測できることを説明する図である。 線形補間に基づくリサンプリング方法を模式的に表現した図である。 歯数計算の手続きを模式的に表す図である。 車両速度に拘らず同程度の計測誤差が含まれることを示す図である。 時速50キロのタイムスタンプデータに対して、線形補間に基づくリサンプリング方法及び本発明に基づくリサンプリング方法を適用した場合のスペクトルを表す図である。 時速75キロのタイムスタンプデータに対して、線形補間に基づくリサンプリング方法及び本発明に基づくリサンプリング方法を適用した場合のスペクトルを表す図である。 時速100キロのタイムスタンプデータに対して、線形補間に基づくリサンプリング方法及び本発明に基づくリサンプリング方法を適用した場合のスペクトルを表す図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の回転速度情報検出装置、方法及びプログラム、並びに、タイヤ空気圧低下検出装置、方法及びプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
図1に示されるように、本発明の一実施の形態に係るタイヤ空気圧低下検出装置は、車両に備えられたタイヤの左前輪(FL)、右前輪(FR)、左後輪(RL)及び右後輪(RR)の回転速度情報を検出するため、各タイヤに関連して設けられた車輪センサ1を備えている。
この車輪センサ1としては、内蔵された永久磁石が発する磁界が、車両とタイヤの接続部に設けられた歯車(図示せず)の回転によって変化することを誘導電圧により計測するものを用いることができる。前記車輪センサ1の出力は、ABSなどのコンピュータである制御ユニット2に与えられる。この制御ユニット2には、例えばタイヤが減圧していることを表示するための液晶表示素子、プラズマ表示素子又はCRTなどで構成された表示器3、ドライバーによって操作することができる初期化ボタン4、タイヤの減圧をドライバーに知らせる警報器5が接続されている。
制御ユニット2は、図2に示されるように、外部装置との信号の受け渡しに必要なI/Oインターフェース2aと、演算処理の中枢として機能するCPU2bと、このCPU2bの制御動作プログラムが格納されたROM2cと、前記CPU2bが制御動作を行う際にデータなどが一時的に書き込まれたり、その書き込まれたデータが読み出されたりするRAM2dとから構成されている。
前記車輪センサ1では、タイヤの回転数に対応した動的車輪速信号が出力される。そして、この動的車輪速信号を、本発明に基づいて所定のサンプリング周期ΔT(秒)(例えば、ΔT=0.005秒)でリサンプリングすることで静的車輪速信号を時系列データとして得ることができる。ここで、サンプリング周期は着目しているタイヤの共振周波数が現れる帯域を観察するために十分な周期とする必要がある。
本実施の形態に係るタイヤ空気圧低下検出装置は、前記車輪センサ1、サンプリング周期あたりに通過した当該歯車の歯数を算出する歯数算出手段、及び歯数算出手段によって算出された歯数を用いて前記タイヤの回転速度情報を定期的に算出する車輪速度算出手段を備えた回転速度情報検出装置と、この回転速度情報検出装置により得られる回転速度情報から周波数特性を推定する周波数特性推定手段と、推定された周波数特性に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段とで主に構成されている。そして、回転速度情報検出プログラムは、前記制御ユニット2を歯数算出手段及び車輪速度算出手段として機能させる。また、タイヤ空気圧低下検出プログラムは、前記制御ユニット2を更に周波数特性推定手段及び判定手段として機能させる。
なお、周波数特性推定手段としては、例えば前記特許文献1に記載されているもの(共振現象を2次モデルで記述し、自己回帰(Autoregressive; AR)モデルに基づいて逐次的な時系列解析を行うもの。ARモデルを表す伝達関数の極に対応する周波数が共振周波数として推定される)などを含む従来から公知の手段を適宜採用することができる。
本発明の回転速度情報検出方法では、前記歯車の歯数を算出するに際し、時間情報の比を計算することでサンプリング周期に通過した歯数を計算する。すなわち、時間情報の累積値を計算し、これがサンプリング時刻を超えた時点で半端な歯数を計算する必要があるが、これをその時間情報と、サンプリング時刻に至るまでの半端な時間との比により計算する。図6は、サンプリング周期を5ミリ秒としたときの歯数計算の手続きを模式的に表したものである。なお、図6において、上の図は車両が低速走行している場合、下の図は高速走行している場合を表す。例えば図6の上の図の場合、最初のサンプリング周期(S1)の1つめの時間情報は3.6ミリ秒であり、2つめの時間情報は3.7ミリ秒である。この2つめの時間情報は、次のサンプリング周期(S2)を超えるので、この時点で半端な歯数を計算する。前記超えた時点での時間情報は3.7ミリ秒であり、また、次のサンプリング周期(S2)に至るまでの半端な時間は5−3.6=1.4ミリ秒であるので、前記超えた時点での時間情報に対する前記半端な時間の比は、1.4/3.7≒0.378である。これより、最初のサンプリング周期(S1)における歯数は1+0.378=1.378となる。ここで、一般的な歯車の歯のピッチは約4センチであるため、5ミリ秒の間に4×1.378=5.512センチの距離を進んだことになる。したがって、その瞬間の車輪速はおよそ時速39.69キロメートルと計算される。また、次の5ミリ秒における車輪速の計算にあたっては、起算点が歯の立ち上がりエッジと一致しない。この場合、最初の半端な歯数については、2つめの時間情報である3.7ミリ秒と3.7−1.4=2.3ミリ秒の比が2.3/3.7=0.622となることを利用して同様に計算する。なお、簡単のため本例における時間情報は有効数字を2桁としたが、実際はABSのセンサ性能に依存する桁数が用いられ、車輪速は極めて精微なオーダーで計算される。
以下、前記手法について一般的に詳述する。
いま、N番目の時間情報tNを得て、それまでの時間情報の累積値がサンプリング時刻nTを超えたとする。すなわち、式(1)が成り立つとする。
ここで、Tはサンプリング周期、nは自然数を表す。
このとき、サンプリング周期Tに通過した歯数dは、式(2)として計算され、このときの静的車輪信号vs(nT)は式(3)として得られる。
ここで、Mは歯車の歯数、rは歯車の半径を表す。
式(2)の第1項は、歯数の起算点が半端なとき(言い換えれば、起算点が立ち上がりエッジと一致しないとき)に、時刻(n−1)TからyN-kの間に通過した半端な歯数を表わす。また、第3項は、N番目の歯が通過するのにtNかかるとき、
の間に通過する歯数を表わしている。すなわち、サンプリング周期Tに達するまでの残された半端な時間に通過する歯数を意味する。
前述した非線形カーネルを用いたリサンプリング方法や近似アナログフィルタを用いたリサンプリング方法が複雑な計算処理を必要とするのに対し、本発明は単純な計算で実現が可能である。また、線形補間に基づくリサンプリング方法のように、速度に依存して情報の利用効率やフィルタの効果が変化するなどの不具合もなく、常に一定の性能で静的車輪速信号を計算することができる。さらに、以下の工夫をすることにより、演算精度を高めることも可能である。
車輪センサ1が歯の立ち上がりエッジを読み取る際に計測誤差が混入する(図7参照)。図7の(a)は低速時、同(b)は高速時を示す。この誤差の大きさは速度に関わらず同程度であるため、高速時ほど時間情報に対する誤差の比率が大きい。本発明においては、前述したリサンプリングの手順に時間情報の平均化処理を加えることで、この誤差の影響を軽減する。すなわち、前記の式(2)に代えて、サンプリング周期Tに通過した歯数dを次の式(4)として計算する。
前述した2つのリサンプリング方法は、いずれも車両の速度の影響を受けることなく安定して静的車輪速信号を計算することができる。特に式(4)の方法では、ランダムに混入するセンサノイズの影響を軽減し、より正確な車輪速を計算することが可能である。
つぎに本発明の回転速度情報検出方法の実施例を説明するが、本発明はもとよりかかる実施例のみに限定されるものではない。
〔実施例及び比較例〕
歯数が48である歯車を備えた車両の走行実験を行い、車輪速信号を得た。車両にランフラットタイヤを装着し、舗装したアスファルトを時速55キロ、75キロ及び95キロで走行した。得られたタイムスタンプデータから、以下の実施例1〜2及び比較例1〜3の方法によって車輪速信号(サンプリング周期は5ミリ秒)を得た。
実施例1:本発明のリサンプリング方法(式(2)に基づくもの)
実施例2:本発明のリサンプリング方法(式(4)に基づくもの)
比較例1:線形補間に基づくリサンプリング方法(データ点数=2)
比較例2:線形補間に基づくリサンプリング方法(データ点数=4)
比較例3:線形補間に基づくリサンプリング方法(データ点数=8)
各リサンプリング方法の評価手順は以下のとおりである。
(1) 実車実験で得たタイムスタンプデータから、前記の各方法によって車輪速信号(サンプリング周期は4ミリ秒)を得る。
(2) この信号の階差を計算することで車輪加速度信号を得る。
(3) この車輪加速度信号に対してFFT解析を行い、スペクトルを比較する。
計算した車輪速信号をそのまま時系列データとして解析することもできるが、加速度の方が速度よりも変化が少ないことから、演算精度を上げる点からは車輪加速度信号を用いることが望ましいため、前記の手順2で変換している。また、計算した車輪速信号そのものの良さは直接評価できないため、前記の手順3によりスペクトルの形状を比較するが、本発明の本来の目的は周波数解析を正しく行うために必要な一定周期の時系列データを得ることにあるため、評価として問題ない。使用したタイムスタンプデータは、通常のタイヤを装着して舗装したアスファルト、又はコンクリート路を時速50キロ、75キロ、100キロで走行した場合のものである。また、使用したタイヤの共振周波数は、およそ42Hz付近に存在することが、各種の実験や経験則から分かっている。なお、非線形カーネルを用いたリサンプリング方法、及び近似アナログフィルタを用いたリサンプリング方法は計算が重く、実車の計算機では動作させることができないため比較していない。
図8〜10は、それぞれ時速50キロ、75キロ、100キロのタイムスタンプデータに対して、線形補間に基づくリサンプリング方法、本発明に基づくリサンプリング方法を適用した場合のスペクトルを表す。
線形補間に基づくリサンプリング方法において補間のためのデータ点数が2の場合(比較例1)は、いずれの速度においても共振ピークはほとんど視認できない。特に、高速走行(時速100キロ)した場合においてスペクトルの形状は高周波側へ向かってほとんど平坦であり、共振現象に関する有意な情報が存在するとは考えられない。これは、先に述べたように、情報の取りこぼしが大きいためと推察される。他方、データ点数が8の場合は、特に低速走行(時速50キロ)した場合においてスペクトルが奇妙に歪む。これは、先に述べたように、ローパスフィルタの効果が現れているためである。その結果、歪みが共振周波数(42Hz)付近にまで現れており、異常検出を阻害する。唯一、データ点数4の場合(比較例2)は、本実験の実施範囲においては良好な結果を示している。しかし、本実験結果は、これらの速度域において偶然に都合良くローパスフィルタの効果が現れたに過ぎず、より低速域においてはスペクトルを適切に得ることができない。実際、50キロの場合においてすでに高周波成分が大きく落ちており、この速度が共振周波数を適切に観測できる下限速度であることがうかがえる。どのような条件においても安定して一定水準の性能が求められることを鑑みると、このように速度に依存して得られるスペクトルの性質が変化するのは望ましくない。
一方、本発明を適用した場合のスペクトルは、まず式(2)に基づく方法と式(4)に基づく方法を比較すると、後者のほうが高速域において余計な低周波成分の影響が軽減され、共振ピークが明瞭になる傾向がある。明瞭さの程度は、低速・中速域においては線形補間に基づくリサンプリング方法(データ点数4)を適用した場合と有意な差異はないが、計算が単純であるため計算負荷が軽いこと、及び走行条件に依存したローパスフィルタの効果によりスペクトルが歪まないことが利点として挙げられる。
[共振周波数の推定精度]
リサンプリングした車輪速を用いて、本出願人が先に提案した特願2008−129055に記載の方法により共振周波数を推定した。解析結果を表1に示す。なお、データ数8の場合の線形補間(比較例3)では、先に示したようにスペクトルの歪みが激しく、共振周波数を妥当な値として推定できないため記載していない。
[共振周波数の推定方法]
共振周波数の推定は、回転加速度情報を含む時系列信号に対し、3次以上の時系列モデルのパラメータを推定する第1の工程、推定された時系列モデルと前記回転加速度情報とから、当該モデルに対する入力信号を推定する第2の工程、推定された入力信号と前記回転加速度情報とから、2次のシステム同定モデルを同定する第3の工程、及び2次のシステム同定モデルからタイヤのねじり方向の共振周波数を推定する第4の工程により行なった。
より詳細には、まず第1の工程において車輪加速度信号を時系列データとし、以下の式(5)で示される時系列モデルのパラメータを推定した。
ここで、y(k)は車輪回転加速度、nはモデル次数(3以上の整数)、aはモデルパラメータ、w(k)は白色ノイズである。また、パラメータの推定には逐次最小二乗法(カルマンフィルタ)を用いた。
次に、第2の工程において、推定された時系列モデルを逆フィルタとして用いることにより、車輪加速度信号から元の入力信号を推定した。すなわち、タイヤが路面から受ける白色性の外乱w(k)がシステムへの入力であるため、これを先の工程で推定された時系列モデルにより、以下の式(6)にしたがって推定した。
ついで、第3の工程において、推定されたw(k)と出力信号である車輪加速度y(k)を用いて、2次のシステムを同定した。このとき、共振ピークが現れる周波数帯域を通過帯域とするフィルタ処理を両信号に適用している。
最後に、同定した2次システムに基づいて共振周波数を計算した。この計算は、既知の方法によって解析的に行うことができる。
まず、線形補間に基づくリサンプリング方法においてデータ数を2とした場合(比較例1)は、明らかに共振周波数を適正な値(42Hz)として推定できていない。これは、スペクトルに共振ピークが現れていないことによるが、この手法では、タイムスタンプに本来含まれている情報を効率よく取り出すことができないことが本質的な原因である。その他の手法では有意な差は見られない(式(4)に基づく本発明において推定分散が若干小さい。)が、本発明によれば、スペクトルを歪ませることなく軽い計算で車輪速を計算できる。
なお、本発明では時間情報を用いて半端な歯数を計算しているが、時間情報のみから半端な歯数を計算するには、本発明のようにサンプリング時刻をまたがる時間情報の比を計算する以外に方法はない。半端分の歯数を検知するセンサ等を用いることでも必要な距離を得られる可能性もあるが、費やすコストや技術的な観点から現実的ではない。したがって、既存設備により得られる情報のみから距離を算出する本発明は、最も簡明な方法と考えられる。また、比を計算するために、距離と時間の線形関係(すなわち、半端な歯数を計算する際に車両が等速であること)が仮定されているが、たとえ車両が加速している場合であっても、1つの歯が通過する一瞬の間は等速性を仮定して計算精度として問題はない。
また、前記実施例では歯車の歯数を48としているが、本発明は歯数が何歯であろうと適用することができる。この場合、歯数が多いほど単位時間当たりに得られる時間情報が増えるため、リサンプリングの精度が改善される。なお、線形回帰を用いる従来の方法では、データの利用効率が悪いため、歯数が増えた場合でも精度は改善されない。
1 車輪センサ
2 制御ユニット
2a インターフェース
2b CPU
2c ROM
2d RAM
3 表示器
4 初期化ボタン
5 警報器

Claims (12)

  1. 車両の各輪のタイヤに関連して設けられた歯車の歯の通過を検出する車輪センサと、この車輪センサにより取得された前記歯車の歯が通過するのに要した時間である時間情報から、あらかじめ設定したサンプリング周期あたりに通過した当該歯車の歯数を算出する歯数算出手段と、この歯数算出手段によって算出された歯数を用いて前記タイヤの回転速度情報を定期的に算出する車輪速度算出手段と、を備えた回転速度情報検出装置であって、
    前記歯数算出手段は、サンプリング周期における前記時間情報の累積値が次のサンプリング周期の開始時刻を超えた時点において、その時点の時間情報と前記次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な時間との比によって、当該次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な歯数を算出するとともに、サンプリング周期の間に通過した歯数を算出するように構成されており、且つ、
    前記車輪速度算出手段は、前記歯車における隣接する歯間の間隔と、サンプリング周期の間に通過した歯数と、前記歯数算出手段によって算出された半端な歯数と、サンプリング周期とに基づいてタイヤの回転速度情報を算出するように構成されていることを特徴とする回転速度情報検出装置。
  2. 車両の各輪のタイヤに関連して設けられた歯車の歯の通過を検出する車輪センサと、この車輪センサにより取得された前記歯車の歯が通過するのに要した時間である時間情報から、あらかじめ設定したサンプリング周期あたりに通過した当該歯車の歯数を算出する歯数算出手段と、この歯数算出手段によって算出された歯数を用いて前記タイヤの回転速度情報を定期的に算出する車輪速度算出手段と、を備えた回転速度情報検出装置であって、
    前記歯数算出手段は、サンプリング周期における前記時間情報の累積値が次のサンプリング周期の開始時刻を超えた時点において、時間情報の平均値と前記次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な時間との比によって、当該次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な歯数を算出するとともに、サンプリング周期の間に通過した歯数を算出するように構成されており、且つ、
    前記車輪速度算出手段は、前記歯車における隣接する歯間の間隔と、サンプリング周期の間に通過した歯数と、前記歯数算出手段によって算出された半端な歯数と、サンプリング周期とに基づいてタイヤの回転速度情報を算出するように構成されていることを特徴とする回転速度情報検出装置。
  3. 車両の各輪のタイヤに関連して設けられた歯車の歯の通過を検出する検出工程と、この検出工程で取得された前記歯車の歯が通過するのに要した時間である時間情報から、あらかじめ設定したサンプリング周期あたりに通過した当該歯車の歯数を算出する歯数算出工程と、この歯数算出工程において算出された歯数を用いて前記タイヤの回転速度情報を定期的に算出する車輪速度算出工程と、を含む回転速度情報検出方法であって、
    前記歯数算出工程は、サンプリング周期における前記時間情報の累積値が次のサンプリング周期の開始時刻を超えた時点において、その時点の時間情報と前記次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な時間との比によって、当該次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な歯数を算出するとともに、サンプリング周期の間に通過した歯数を算出し、且つ、
    前記車輪速度算出工程は、前記歯車における隣接する歯間の間隔と、サンプリング周期の間に通過した歯数と、前記歯数算出手段によって算出された半端な歯数と、サンプリング周期とに基づいてタイヤの回転速度情報を算出することを特徴とする回転速度情報検出方法。
  4. 車両の各輪のタイヤに関連して設けられた歯車の歯の通過を検出する検出工程と、この検出工程で取得された前記歯車の歯が通過するのに要した時間である時間情報から、あらかじめ設定したサンプリング周期あたりに通過した当該歯車の歯数を算出する歯数算出工程と、この歯数算出工程において算出された歯数を用いて前記タイヤの回転速度情報を定期的に算出する車輪速度算出工程と、を含む回転速度情報検出方法であって、
    前記歯数算出工程は、サンプリング周期における前記時間情報の累積値が次のサンプリング周期の開始時刻を超えた時点において、時間情報の平均値と前記次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な時間との比によって、当該次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な歯数を算出するとともに、サンプリング周期の間に通過した歯数を算出し、且つ、
    前記車輪速度算出工程は、前記歯車における隣接する歯間の間隔と、サンプリング周期の間に通過した歯数と、前記歯数算出手段によって算出された半端な歯数と、サンプリング周期とに基づいてタイヤの回転速度情報を算出することを特徴とする回転速度情報検出方法。
  5. 車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に算出するためにコンピュータを、前記タイヤに関連して設けられた歯車の歯の通過を検出する車輪センサにより取得された当該歯車の歯が通過するのに要した時間である時間情報から、あらかじめ設定したサンプリング周期あたりに通過した当該歯車の歯数を算出する歯数算出手段と、この歯数算出手段によって算出された歯数を用いて前記タイヤの回転速度情報を定期的に算出する車輪速度算出手段として機能させ、
    前記歯数算出手段は、サンプリング周期における前記時間情報の累積値が次のサンプリング周期の開始時刻を超えた時点において、その時点の時間情報と前記次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な時間との比によって、当該次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な歯数を算出するとともに、サンプリング周期の間に通過した歯数を算出するように構成されており、且つ、
    前記車輪速度算出手段は、前記歯車における隣接する歯間の間隔と、サンプリング周期の間に通過した歯数と、前記歯数算出手段によって算出された半端な歯数と、サンプリング周期とに基づいてタイヤの回転速度情報を算出するように構成されていることを特徴とする回転速度情報検出プログラム。
  6. 車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に算出するためにコンピュータを、前記タイヤに関連して設けられた歯車の歯の通過を検出する車輪センサにより取得された当該歯車の歯が通過するのに要した時間である時間情報から、あらかじめ設定したサンプリング周期あたりに通過した当該歯車の歯数を算出する歯数算出手段と、この歯数算出手段によって算出された歯数を用いて前記タイヤの回転速度情報を定期的に算出する車輪速度算出手段として機能させ、
    前記歯数算出手段は、サンプリング周期における前記時間情報の累積値が次のサンプリング周期の開始時刻を超えた時点において、時間情報の平均値と前記次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な時間との比によって、当該次のサンプリング周期の開始時刻に至るまでの半端な歯数を算出するとともに、サンプリング周期の間に通過した歯数を算出するように構成されており、且つ、
    前記車輪速度算出手段は、前記歯車における隣接する歯間の間隔と、サンプリング周期の間に通過した歯数と、前記歯数算出手段によって算出された半端な歯数と、サンプリング周期とに基づいてタイヤの回転速度情報を算出するように構成されていることを特徴とする回転速度情報検出プログラム。
  7. 請求項1記載の回転速度情報検出装置と、
    この回転速度情報検出装置により得られる回転速度情報から、当該回転速度情報の周波数特性を推定する周波数特性推定手段と、
    推定された周波数特性に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段と
    を備えており、
    前記周波数特性推定手段は、前記回転速度情報を含む時系列信号に対し、線形モデルのパラメータを推定するパラメータ推定手段を含んでいることを特徴とするタイヤ空気圧低下検出装置。
  8. 請求項2記載の回転速度情報検出装置と、
    この回転速度情報検出装置により得られる回転速度情報から、当該回転速度情報の周波数特性を推定する周波数特性推定手段と、
    推定された周波数特性に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段と
    を備えており、
    前記周波数特性推定手段は、前記回転速度情報を含む時系列信号に対し、線形モデルのパラメータを推定するパラメータ推定手段を含んでいることを特徴とするタイヤ空気圧低下検出装置。
  9. 請求項3記載の回転速度情報検出方法と、
    この回転速度情報検出方法により得られる回転速度情報から、当該回転速度情報の周波数特性を推定する周波数特性推定工程と、
    推定された周波数特性に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定工程と
    を含んでおり、
    前記周波数特性推定工程は、前記回転速度情報を含む時系列信号に対し、線形モデルのパラメータを推定するパラメータ推定工程を含んでいることを特徴とするタイヤ空気圧低下検出方法。
  10. 請求項4記載の回転速度情報検出方法と、
    この回転速度情報検出方法により得られる回転速度情報から、当該回転速度情報の周波数特性を推定する周波数特性推定工程と、
    推定された周波数特性に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定工程と
    を含んでおり、
    前記周波数特性推定工程は、前記回転速度情報を含む時系列信号に対し、線形モデルのパラメータを推定するパラメータ推定工程を含んでいることを特徴とするタイヤ空気圧低下検出方法。
  11. 請求項5記載の回転速度情報検出プログラムを含んでおり、走行中の車両のタイヤの共振周波数に基づいて当該タイヤの空気圧低下を検出するために前記コンピュータをさらに、前記回転速度情報から当該回転速度情報の周波数特性を推定する周波数特性推定手段、及び推定された周波数特性に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段として機能させ、前記周波数特性推定手段は、前記回転速度情報を含む時系列信号に対し、線形モデルのパラメータを推定するパラメータ推定手段を含んでいることを特徴とするタイヤ空気圧低下検出プログラム。
  12. 請求項6記載の回転速度情報検出プログラムを含んでおり、走行中の車両のタイヤの共振周波数に基づいて当該タイヤの空気圧低下を検出するために前記コンピュータをさらに、前記回転速度情報から当該回転速度情報の周波数特性を推定する周波数特性推定手段、及び推定された周波数特性に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段として機能させ、前記周波数特性推定手段は、前記回転速度情報を含む時系列信号に対し、線形モデルのパラメータを推定するパラメータ推定手段を含んでいることを特徴とするタイヤ空気圧低下検出プログラム。
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