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JP2010179845A - ハイブリッド車両の駆動制御装置及び駆動制御方法 - Google Patents

ハイブリッド車両の駆動制御装置及び駆動制御方法 Download PDF

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JP2010179845A JP2009026648A JP2009026648A JP2010179845A JP 2010179845 A JP2010179845 A JP 2010179845A JP 2009026648 A JP2009026648 A JP 2009026648A JP 2009026648 A JP2009026648 A JP 2009026648A JP 2010179845 A JP2010179845 A JP 2010179845A
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浩明 橋本
Tomoya Imazu
知也 今津
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

【課題】車両用駆動装置の大型化やコスト増を抑えつつ電動機の過回転を防止可能なハイブリッド車両における駆動制御を課題とする。
【解決手段】駆動輪5に遊星歯車機構2を介して接続するエンジン1と、上記遊星歯車機構2を介してエンジン1及び駆動輪5に接続する第1電動機と、上記駆動輪5に接続する第2電動機とを備える。さらに、上記駆動輪5に対するエンジン1、第1電動機、及び第2電動機の接続状態について動力伝達状態と非動力伝達状態との切替を行う動力断続機構を備える。そして、上記駆動輪5の回転数変化が所定値より大きいと判定すると、動力断続機構を介して、駆動輪5に対するエンジン1、第1電動機、及び第2電動機の接続状態を非動力伝達状態に切り替える。非動力伝達状態に切り替えると、第1電動機及び第2電動機を回転数制御とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、駆動輪をエンジン及び電動機で駆動可能なスプリット型のハイブリッド車両における駆動制御の技術に関する。
エンジンと第1電動機(発電機)とを遊星歯車機構を介して駆動輪に接続する。また、第2電動機を上記駆動輪に接続する。そして、駆動輪に所定以上の回転数変化が発生すると、電動機用ブレーキを作動させて第2電動機(駆動モータ)の回転を停止する。これによって、電動機の過回転を機械的に防止する。ここで、電動機の過回転は、急制動や車輪のロックなど急激な駆動輪の回転数変化時に生じる。
特開平09−048334号公報
上記従来技術では、電動機の過回転を防止するために、電動機を制動するための電動機用ブレーキ装置が必要となる。このため、電動機用ブレーキ装置分だけ、駆動装置の大型化やコスト増につながってしまう。
本発明は、車両用駆動装置の大型化やコスト増を抑えつつ電動機の過回転を防止可能なハイブリッド車両における駆動制御を課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、駆動輪に遊星歯車機構を介して接続するエンジンと、上記遊星歯車機構を介してエンジン及び駆動輪に接続する第1電動機と、上記駆動輪に接続する第2電動機とを備える。さらに、上記駆動輪に対するエンジン、第1電動機、及び第2電動機の接続状態について動力伝達状態と非動力伝達状態との切替を行う動力断続機構を備える。
そして、上記駆動輪の回転数変化が所定値より大きいと判定すると、動力断続機構を介して、駆動輪に対するエンジン、第1電動機、及び第2電動機の接続状態を非動力伝達状態に切り替える。また同期をとって、第1電動機及び第2電動機を回転数制御とする。
本発明によれば、駆動輪の回転数変化が所定値より大きくなって、電動機が過回転となるおそれがあると、非動力伝達状態に切り替える。これによって、電動機の過回転を防止できる。更に、電動機を回転数制御とすることで、非動力伝達状態から動力伝達状態への移行をスムーズとする。
本発明に基づく実施形態に係るシステム構成を示す図である。 本発明に基づく実施形態に係る過回転防止処理部の構成を示す図である。 本発明に基づく実施形態に係る過回転防止処理部の処理を示す図である。 本発明に基づく実施形態に係る過回転防止制御部の処理を示す図である。 本発明に基づく実施形態に係る復帰制御部の処理を示す図である。 発電機、エンジン、モータの回転数の関係を示す共線図である。 急制動時における発電機が過回転する理由を示す共線図である。 発電機が過回転することを防止した状態を示す共線図である。 複数の動力伝達経路を有するシステムの共線図を示す図である。 タイヤロック時のタイムチャート例を示す図である。 復帰処理時のタイムチャート例を示す図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1は、本実施形態に係るハイブリッド車両の駆動制御装置を示す概要構成図である。
本実施形態では、動力伝達経路として第1軸線〜第3軸線L1〜L3を有する。
第1軸線L1上において、エンジン1の出力軸1aは、遊星歯車機構2を介して発電機3に接続する。また、エンジン1の出力軸1aは、遊星歯車機構2を介して最終出力軸4に接続する。その最終出力軸4は、ディファレンシャル・ギヤを介して左右の駆動輪5に接続する。
上記遊星歯車機構2は、サンギヤSと、サンギヤSと噛合するピニオンPと、該ピニオンPと噛合するリングギヤRと、ピニオンPを回転自在に支持するキャリヤCRとを備える。キャリヤCRは、エンジン1の出力軸1aに接続する。サンギヤSは、伝達軸6を介して発電機3と接続する。リングギヤRは、ユニット出力軸7によって、後述の変速機構8を介して最終出力軸4に接続する。
上記発電機3は、回転自在に配設したロータと、該ロータの周囲に配設したステータと、該ステータに巻装したコイルとを備える。そして、発電機3は、伝達軸6を介して伝達される回転によって電力を発生する。上記コイルは、インバータ14を介してバッテリ12に接続し、該バッテリ12に電力を供給して充電する。
また、第2軸線L2上において、駆動輪5を駆動する駆動モータ9を備える。駆動モータ9の出力軸9aは、複数のカウンタドライブギヤ10,11に接続する。駆動モータ9は、モータ出力軸9aに固定したロータと、該ロータの周囲に配設したステータと、該ステータに巻装したコイルとを備える。上記コイルは、インバータ13を介してバッテリ12に接続し、該バッテリ12から電流が供給される。ここで、上記駆動モータ9は、車両が減速状態において、駆動輪5から回転を受けて回生電力を発生させ、該回生電力をバッテリ12に供給する。
また、第3軸線L3上に、上記最終出力軸4を配置する。その最終出力軸4に変速機構8が接続する。また、上記駆動モータ9の出力軸は、上記変速機構8に接続する。
上記変速機構8は、複数の変速段を有していて、クラッチ制御部23からの指令に応じた変速段に切り替わる。図1では 変速機構8として、2段の変速段用の歯車列の場合を例示し、各歯車列について最終出力軸4との接続を断続する動力断続機構としての2つのクラッチCL1,CL2を有する。この変速機構8によって、エンジン1、発電機3、駆動モータ9は、駆動輪5に対して複数の伝達経路で接続可能となっている。
上記構成によって、エンジン1の駆動力を、最終出力軸4に伝達することができると共に最終出力軸4に伝達可能となっている。これによって、駆動モードとして、エンジン1だけを駆動するエンジン駆動モード、駆動モータ9だけを駆動するモータ駆動モード、並びにエンジン1及び駆動モータ9を駆動するエンジン・モータ駆動モードがある。また、発電機3において発生した電力を制御することによって、上記伝達軸6の回転数を制御することができる。さらに、発電機3によってエンジン1を始動させることもできる。
次に、ハイブリッド車両の制御系について説明する。
本実施形態の制御系は、上位の制御系である統合コントローラ部20と、エンジン制御部21と、モータ・発電機制御部22と、クラッチ制御部23とを有している。
また、この制御系は、アクセルセンサ30、車輪速センサ31、ブレーキセンサ32、及びバッテリセンサ33を備える。
アクセルセンサ30は、アクセルペダルのアクセル開度αを検出する。車輪速センサ31は、車輪の回転速度を検出する。ブレーキセンサ32は、ブレーキペダルのブレーキ踏み量βを検出する。バッテリセンサ33は、バッテリ12の充電量SOCを検出する。これらのセンサ30〜33は、検出した検出値を統合コントローラ部20に供給する。なお、統合コントローラ部20は、車輪速センサ31からの回転数信号に基づいて車速Vを算出する。
統合コントローラ部20は、車両全体の消費エネルギーを管理しつつ、ハイブリッド車両の全体を制御する。統合コントローラ部20は、アクセルセンサ30からのアクセル開度αと車速Vとに基づき目標駆動力を演算する。また、統合コントローラ部20は、ブレーキセンサ32からのブレーキ踏み込み量βに基づき目標制動力を演算する。そして、統合コントローラ部20は、車速や、目標駆動力及び目標制動力に基づき、エンジン1、発電機3、駆動モータ9の各制御指令値を演算し、それぞれエンジン制御部21、モータ・発電機制御部22、クラッチ制御部23に供給する。また例えば、ブレーキが踏み込まれて、ブレーキセンサ32からブレーキ踏み込み量βを入力すると、エンジン1を非駆動状態とするエンジン1OFF信号をエンジン制御部21に供給し、ブレーキが解除されるとエンジン1を駆動状態とするエンジン1ON信号をエンジン制御部21に供給する。
また、統合コントローラ部20は、図2に示すように、過回転防止処理部20Aを備える。過回転防止処理部20Aは、過回転防止制御部20Aa及び復帰制御部20Abを備える。
次に、過回転防止制御部20Aaの処理を、図3を参照して説明する。過回転防止制御部20Aaの処理は、所定サンプリング周期で実施する。なお、過回転防止制御部20Aaは、復帰制御部20Abでクラッチを接続する処理(ステップS260)を実行すると処理を中止する。
まずステップS10にて、発電機3若しくは駆動モータ9が過回転になりそうな状況か否かを判定する。本実施形態では、駆動輪5の回転数変化が所定以上の場合に、発電機3若しくは駆動モータ9が過回転になりそうな状況と判定する。但し、動力断続機構としての2つのクラッチCL1,CL2が開放している場合には、駆動輪5の回転数変化が所定以上の場合であっても発電機3若しくは駆動モータ9が過回転になりそうな状況でないと判定する。発電機3若しくは駆動モータ9が過回転になりそうな状況と判定した場合にはステップS20に移行する。一方、発電機3若しくは駆動モータ9が過回転になりそうな状況でないと判定した場合には、そのまま処理を終了して復帰する。
ステップS20では、クラッチ制御部23に対して、全てのクラッチCL1,CL2を開放する開放指令を出力する。また、発電機3若しくは駆動モータ9をクラッチを開放する直前の回転数を目標回転数として回転数制御を行う指令を、モータ・発電機制御部22に出力する。出力する。
次に、ステップS30では、過回転防止制御部20Aaに起動指令を出力する。続いてステップS40にて、復帰制御部20Abに起動指令を出力する。その後、復帰する。
次に、過回転防止制御部20Aaの処理について、図4を参照しつつ説明する。なお、過回転防止制御部20Aaは、終了信号を入力すると処理を終了する。
過回転防止制御部20Aaは、起動すると、ステップS100にて、バッテリ12の充電率等に基づき、バッテリ入出力に制限があるか否かを判定する。例えば、バッテリ12の温度が0℃以下など低温状態であったり、バッテリ12の充電率が所定充電率以上であったりする場合には、バッテリ入出力に制限があると判定する。なお、所定充電率は、バッテリ12の温度などで変化させても良い。バッテリ入出力に制限がある場合には、ステップS110に移行する。バッテリ入出力に制限が無い場合にはステップS120に移行する。
ステップS110では、モータ・発電機制御部22からの信号に基づき、発電機3の発電量を推定する。また、モータ・発電機制御部22からの信号に基づき、駆動モータ9での消費電力を推定する。なお、駆動モータ9が回転制動状態の場合には、消費電力はマイナス値となる。消費電力がマイナス値とは発電量となる。
そして、発電量から消費電力を差し引いた電力が、バッテリ12が入出力できる許容電力未満か否かを判定する。許容電力未満の場合には、そのまま処理を終了して復帰する。
一方、発電量から消費電力を差し引いた電力が、バッテリ12が入出力できる許容電力以上の場合には、発電量から消費電力を差し引いた電力が、バッテリ12が入出力できる許容電力となる電力収支抑制制御を行う。
電力収支抑制制御は、発電量から消費電力を差し引いた電力が、バッテリ12が入出力できる許容電力未満となるように、例えば、発電機3や駆動モータ9の消費電力を制御する。例えば、発電機3の回転数を低減して発電量を抑制する信号をモータ・発電機制御部22に出力したり、モータ・発電機制御部22に駆動モータ9の回転数を増加して消費電力が大きくなる信号を出力したりして、発電量と消費電力とが等しくなる回転数を演算して、発電機3や駆動モータ9の回転数制御をさせる。その後、処理を終了して復帰する。
また、ステップS120では、実車速を推定し、推定した実車速に対応する駆動輪5の換算回転数と、現在の駆動輪5の回転数との差が所定の回転数差以下か否かを判定する。実車速は、例えば従動輪の車輪速から推定する。そして、回転数差が所定の回転数差以下と判定した場合にはステップS130に移行する。回転数差が所定回転数より大きいと判定した場合にはステップS140に移行する。ここで、ステップS120において、実車速と車輪の回転数差を見ているが、これに限定しない。クラッチを切り離し直前又は直後の車速を取得し、取得した車速と、現在の車速との差が所定範囲以下であればステップS130に、所定範囲外であればステップS140に移行するように処理しても良い。
ステップS130では、発電機3や駆動モータ9について、現在の回転数を目標回転数として回転数制御を行う信号をモータ・発電機制御部22に出力する。なお、回転数は、最初は、クラッチを切り離し直後の回転数となっている。その後、復帰する。
一方、ステップS140では、現在の目標回転数よりも所定回数だけ目標回転数を小さくして回転数制御を行う信号をモータ・発電機制御部22及びモータ・発電機制御部22に出力する。その後、復帰する。
次に、復帰制御部20Abの処理を、図5を参照しつつ説明する。
まずステップS200にて、アクセルセンサの信号に基づき、運転者による駆動力要求があるか否かを判定する。駆動力要求があると判定した場合にはステップS270に移行する。駆動力要求がないと判定した場合にはステップS210に移行する。
ステップS210では、実車速が判定可能な否かを判定する。すなわち、推定車速と実際の車速とが乖離しているか否かを判定する。なお、推定車速は、従動輪の回転速度から推定する。実車速が判定可能な場合には、ステップS220に移行する。実車速を判定可能でないと判定した場合にはステップS230に移行する。
推定車速と実際の車速とが乖離しているか否かは、例えば次の(a)〜(d)のいずれかによって判定する。
(a)前後Gセンサの検出値に基づき、従動輪の回転数の速度変化と前後加速度の変化とを比較する。そして、前後加速度の変化に対する従動輪の回転数の変化量が、所定の範囲外の場合に乖離と判定する。前後加速度変化が小さい場合には、車速の変化は小さい。
(b)ブレーキ油圧センサの検出値に基づき、従動輪のブレーキ油圧が高い場合には、乖離と判定する。従動輪のブレーキ油圧が高い場合には、従動輪に強い制動力がかかっているため、従動輪の回転速度と車速との相関が崩れる。
(c)従動輪の回転数から推定する推定車速の変化が所定値よりも大きい場合は、乖離と判定する。従動輪の回転数から推定する推定車速の変化が所定値よりも大きい場合は、従動輪がスリップをしていると判定出来る。この理由は、走行状態で発生する車両の前後G変化より、推定車速の変化が大きい場合には、車速が変化してるのでなく、従動輪に加速スリップ、制動スリップが発生していると推定できるためである。
(d)従動輪の回転数の変化量が所定値より大きい場合は、従動輪がスリップをしていると判断し、乖離と判定する。
ステップS220では、実車速に対応する駆動モータ9の回転数及び発電機3の回転数を演算し、演算したモータ回転数又は発電機回転数で回転制御を行う指令をモータ・発電機制御部22に出力する。その後、ステップS230に移行する。
ステップS230では、クラッチ油圧を少し高めてクラッチをスタンバイ状態とする指令をクラッチ制御部23に出力する。その後、ステップS240に移行する。スタンバイ状態とは、入力軸と出力軸との間であるクラッチ間の間隔を小さくして、開放状態のクラッチを締結状態に切り替える際の切替え時間を短い状態にすることを言う。
ステップS240では、締結可能な状態か否かを判定する。例えば、駆動輪5の回転数が所定回転数以下であり且つ回転数変化を所定値未満の場合に、締結可能な状態と判定する。締結可能な状態でなければ、ステップS200に戻る。締結可能な状態と判定した場合にはステップS250に移行する。
ステップS250では、スタンバイ状態で開放しているクラッチを締結する指令をクラッチ制御部23に出力し、ステップS260に移行する。
ステップS260では、各コントローラ21,22に対して通常処理に復帰要求する指令を出力する。また、過回転防止制御部20Aaに終了信号を出力する。その後、復帰する。
一方、ステップS200にて駆動力要求があると判定してステップS270に移行すると、実車速が判定可能な否かを判定する。実車速を判定可能と判定するとステップS280に移行する。実車速を判定可能でないと判定するとステップS290に移行する。実車速が判定可能な否かの判定は、上記ステップS210と同じであり、推定した車速の乖離状態を判定する。
ステップS280では、変速機構8が実車速に対応する変速比となる締結状態となる指令をクラッチ制御部23に出力する。その後、ステップS260に移行する。
ステップS290では、最も減速比が小さい変速段で締結する指令をクラッチ制御部23に出力する。その後、ステップS260に移行する。
エンジン制御部21は、統合コントローラ部20から入力した制御指令に基づき、エンジン回転数センサ48から入力したエンジン回転数NEに応じて、エンジン1のスロットル開度θを制御する。これによって、エンジン制御部21は、エンジン1の出力を制御する。但し、エンジン制御部21は、過回転防止処理部20Aによる過回転防止処理中は、駆動輪5との動力伝達状態から非動力伝達状態に切り替わったときの回転数を目標回転数として、エンジン1を制御する。
モータ・発電機制御部22は、トルク制御部と回転数制御部とを備える。そして、統合コントローラ部20から入力した制御指令となるように、インバータ13,14と、駆動モータ9及び発電機3の界磁電流を制御する。但し、過回転防止処理部20Aから回転数制御の指令を入力した場合には、駆動モータ9及び発電機3を回転数制御で制御する。なお、回転数制御の目標回転数の初期値は、駆動輪5との動力伝達状態から非動力伝達状態に切り替わったときの回転数とする。また、目的の回転数とするためのエンジン回転数とする指令を適宜エンジン制御部21にも出力する。
また、クラッチ制御部23は、通常時は、車速に応じた変速段となるように変速機構8内をクラッチCL1,CL2を制御する。但し、過回転防止処理部20Aからのクラッチ制御指令を入力した場合には、過回転防止の終了信号を入力するまで、過回転防止処理部20Aからのクラッチ制御指令に基づきクラッチCL1,CL2の締結及び開放を制御する。また、開放状態でスタンバイ状態とする指令を入力すると、クラッチ圧を予備クラッチ圧にまで高めて、締結状態への移行時間を短縮可能な状態とする。
(動作・作用)
変速機構8によって複数の伝達経路を有し、それらが異なる減速比を有しているので、エンジン1や駆動モータ9に要求される最大トルクが小さい。このためハイブリッドユニット全体の小型化が可能となる。
エンジントルクは、遊星歯車機構2によって、リングギヤトルクTRおよび発電機3トルクに配分される。リングギヤトルクが最終出力軸4に伝達される。
ここで、エンジン1,発電機、駆動モータは、上述のように遊星歯車機構2によって接続(連結)する。この接続関係によって、図6(1)に示すように、共線図上に、発電機3、エンジン1,駆動モータ9を順に配列し、遊星歯車機構2の動的な動作を簡易的に表せる剛体レバーモデル(3つの回転数が必ず直線で結ばれる関係)を導入することが出来る。ここで、共線図とは、差動歯車のギヤ比を考える場合、式により求める方法に代えて、より簡単で分かりやすい作図により求める方法に用いる速度線図である。そして、縦軸に各回転要素の回転数(回転速度)をとり、横軸に各回転要素をとり、各回転要素の間隔をサンギヤSとリングギヤRの歯数比λに基づく共線図レバー比(1:λ)になるように配置したものである。このように、3つの回転数が必ず直線で結ばれる関係であり、またエンジンのイナーシャが大きい為、モータ側、つまり駆動輪側の回転数が急変すると、エンジン回転数を略中心にして、上記共線図レバー比で発電機の回転数が変化する。なお、図6(2)〜(5)は各走行モードでの状態の例を示したものである。
例えば、急加速等によって駆動輪5の回転異常状態であるホイールスピン状態、つまり駆動輪5に所定以上の回転数変化が発生すると、キャリヤにホイールスピンを止めようする力としてキャリヤ慣性トルクがエンジントルクに対して逆方向へ生じる。この場合、このキャリヤ慣性トルクとエンジントルクとの合成トルクがキャリヤトルクとなる。これに対して、キャリヤトルクを、遊星歯車機構2で決まる所定の比率でリングギヤトルクと発電機3トルクに配分することで、キャリヤトルクと、リングギヤトルクと、発電機3トルクとは、それぞれ通常走行時とは逆方向のトルクとなる。この状態が継続すると、発電機3の回転数が上り、発電機3の回転数NGが急激に上昇し、発電機3の制御が困難となるおそれがある。また、駆動輪5が過回転となると、最終出力軸4に接続する駆動モータ9も過回転となる恐れがある。
また、急減速によって駆動輪5の回転異常状態である車輪がロック、つまり駆動輪5に所定以上の回転数変化が発生した場合、急減速による車輪のロックによって、キャリヤにはエンジントルクと同方向にキャリヤ慣性トルクが生じ、このキャリヤ慣性トルクとエンジントルクとの合成トルクがキャリヤトルクとなる。車輪のロックによって生ずるキャリヤ慣性トルクは、ホイールスピンの場合に対して逆向きとなる。該キャリヤトルクに対して、遊星歯車機構2で決まる所定の比率でリングギヤトルクと発電機3トルクに配分して、キャリヤトルクと、リングギヤトルクと、発電機3トルクとは、それぞれ通常走行時とは同方向でかつ、通常走行時に比較して大トルクとなる。
一方車輪はロックしているため、リングギヤの回転は零となり、前述の大トルクの発生とあいまって、発電機3回転数は急激に増大し、発電機3制御が困難な状態となる恐れがある。
なお、上記のように車輪がロックした場合、駆動モータ9の回転数も急激に低下する。この場合、エンジン1が大きなイナーシャを有するので、上述のように、図7に示す共線図のように、エンジン1を中心として発電機3側が過回転となる。
これに対し、上記のように駆動輪5が回転異常状態となって、発電機3若しくは駆動モータ9が過回転状態となるおそれがあると判定すると、駆動輪5から、エンジン1、発電機3、駆動モータ9を切り離す。これによって、図8に示すように、発電機3若しくは駆動モータ9が過回転状態となることを防止する。さらに、動力伝達状態を切り離すと同期を取って、発電機3及び駆動モータ9を回転数制御で回転させておくことで、非動力伝達状態から伝達状態への移行をスムーズとする。
また、過回転防止制御から通常状態に復帰する際、図9に示すように、変速機構8によって複数の動力伝達経路を有する場合、実車速に応じた変速段に設定するか、最も減速比が小さい変速段に設定する。ここで、図9では、動力断続機構1および2は異なる減速比を有しており、それぞれの伝達経路の回転数の差が減速比の差を表している。
図10に、タイヤロック時における過回転防止処理時のタイムチャート例を示す。破線部分が、過回転防止の処理となる。
この例では、急ブレーキ指令時に動力伝達機構を切り離すことによって、電動機の過回転を防ぐ際の各要素の回転数変化を示している。過回転防止制御により、動力伝達機構を切り離すことで、出力軸回転数が急変しているにもかかわらず、電動機および発電機3の回転数は一定の回転数に保つことが出来ている。
また図11に、回転数制御による駆動力復帰までのタイムチャート例を示す。すなわち、動力断続機構での切り離し後の回転数維持制御による復帰時間短縮についてタイムチャートで示したものである。
この図11では出力軸回転数が急激に低下し、過回転防止のため動力伝達機構を切り離した後、一方は電動機の回転数を元の回転数で維持し、もう一方は電動機の回転数を出力軸回転数に合わせたときのタイムチャートである。元の回転数に戻ることが予測される出力軸回転数の急変の場合には、切り離し直前の回転数若しくはその近傍の回転数で維持した場合の方が、回転数を出力軸回転数に合わせた場合と比較して早く復帰できることを示している。
ここで、発電機3は第1電動機を構成する。駆動モータ9は第2電動機を構成する。変速機構8のクラッチCL1,CL2が動力断続機構を構成する。ステップS20は、過回転防止手段を構成する。過回転防止制御部20Aaは、回転数制御手段を構成する。ステップS210,S270は、車速推定手段及び推定車速妥当性判定手段を構成する。
(本実施形態の効果)
(1)駆動輪5に遊星歯車機構2を介して接続するエンジン1と、上記遊星歯車機構2を介してエンジン1及び駆動輪5に接続する第1電動機と、上記駆動輪5に接続する第2電動機と、上記駆動輪5に対するエンジン1、第1電動機、及び第2電動機の接続状態について動力伝達状態と非動力伝達状態との切替を行う動力断続機構と、を備える。過回転防止手段は、上記駆動輪5の回転数変化が所定値より大きいと判定すると、動力断続機構を介して、駆動輪5に対するエンジン1、第1電動機、及び第2電動機の接続状態を非動力伝達状態に切り替える。回転数制御手段は、上記駆動輪5の回転数変化が所定値より大きいと判定すると、第1電動機及び第2電動機を回転数制御とする。
第1及び第2電動機の過回転を予測した場合に、最終出力軸4と第1及び第2電動機とを切り離すことができる。この結果、路面変化やABS作動等による駆動輪5の回転数の急変の影響が第1及び第2電動機まで伝わることを防止する。また、少なくとも第1及び第2電動機の回転数を制御することで、容易にかつ確実に電動機の過回転を防止することができる。
(2)回転数制御手段は、車速の速度変化が所定値以下の状態では、回転数制御の目標回転数を、上記過回転防止手段による非動力伝達状態へ切り替えたときの回転数とする。
実車速に対応した回転数まで出力軸回転が戻ることを予測し、断続機構を切り離す前後の回転数を目標回転数としておくことで、復帰制御時に回転数を合わせ直す時間を短縮出来る。この結果、短時間で通常の走行状態に復帰して、駆動力を伝達することが可能になる。
(3)回転数制御手段は、車速に対して、上記第1電動機又は第2電動機の回転数が過回転数と判定すると、回転数制御の目標回転数を抑える。
第1及び第2電動機の回転数を過回転領域から離れた回転数で制御できる。この結果、再度過回転となる可能性を低く保つことができる。
(4)上記回転数制御手段は、第1電動機及び第2電動機における発電量と電力消費量との総和が等しくなるように当該第1電動機及び第2電動機の回転数制御を行う。
極低温やバッテリ12の不具合などにより、バッテリ12への入出力を制限された状況や、バッテリSOCを維持したい状況などにおいても、バッテリ12への過剰な負荷を防止することができる。
(5)駆動力要求検出手段は、運転者による駆動力要求の有無を検出する。過回転防止処理終了手段は、過回転防止手段の作動によって非動力伝達状態に切り替わった状態において、運転者による駆動力要求があると判定すると、変速機構8を車速に応じた変速段に設定すると共に、駆動輪5に対するエンジン1、第1電動機、及び第2電動機の接続状態を動力伝達状態に切り替える。
運転者からの駆動力要求に応えることができるようになるため、運転性が向上する。また、タイヤロック等からの復帰時にも実車速相当まで駆動輪5の回転が急変しても、電動機が過回転し難い減速比を選択することで、電動機の過回転も抑制できる。
(6)上記過回転防止処理終了手段は、推定車速が実際の車速と乖離していると判定すると、変速機構8を最も減速比の小さい状態に設定する。
実車速の推定ができない場合においても、最も減速比の小さい動力伝達機構に接続されているため、発生できる駆動力は小さいものの、最も過回転に陥りにくい状態を実現することが出来る。
(7)過回転防止手段は、運転者による駆動力要求が無いと判定すると、非動力伝達状態に切替を行った動力断続機構を、動力伝達状態への切替の復帰を短時間な非動力伝達状態であるスタンバイ状態に設定する。
動力伝達可能な状態に一刻も早く復帰できるように動力断続機構をスタンバイ状態としておくことで、復帰処理開始後、駆動力を即座に発生させることができる。
(変形例)
(1)従動輪の回転数と、車両前後Gセンサとから、車速を推定しても良い。実車速をGセンサによる前後G変化やGPS情報解析などにより予測可能なときは、その予測に基づき車速を推定しても良い。
1 エンジン
2 遊星歯車機構
3 発電機
4 最終出力軸
5 駆動輪
6 伝達軸
7 ユニット出力軸
8 変速機構
9 駆動モータ
12 バッテリ
20 統合コントローラ部
20A 過回転防止処理部
20Aa 過回転防止制御部
20Ab 復帰制御部
21 エンジン制御部
22 モータ・発電機制御部
23 クラッチ制御部
30 アクセルセンサ
31 車輪速センサ
32 ブレーキセンサ
33 バッテリセンサ
CL1,CL2 クラッチ(動力断続機構)

Claims (8)

  1. 駆動輪に遊星歯車機構を介して接続するエンジンと、上記遊星歯車機構を介してエンジン及び駆動輪に接続する第1電動機と、上記駆動輪に接続する第2電動機と、
    上記駆動輪に対するエンジン、第1電動機、及び第2電動機の接続状態について、動力伝達状態と非動力伝達状態との切替を行う動力断続機構と、
    上記駆動輪の回転数の変化が所定値より大きいと判定すると、動力断続機構を介して、駆動輪に対するエンジン、第1電動機、及び第2電動機の接続状態を非動力伝達状態に切り替える過回転防止手段と、
    上記駆動輪の回転数変化が所定値より大きいと判定すると、第1電動機及び第2電動機を回転数制御とする回転数制御手段と、
    を備えることを特徴とするハイブリッド車両の駆動制御装置。
  2. 上記回転数制御手段は、上記駆動輪の回転数変化が所定値より大きいと判定した後における車速の速度変化が所定値以下の場合には、回転数制御の目標回転数を、上記過回転防止手段による非動力伝達状態へ切り替えたときの回転数とすることを特徴とする請求項1に記載したハイブリッド車両の駆動制御装置。
  3. 上記回転数制御手段は、上記第1電動機又は第2電動機の回転数が過回転数と判定すると、過回転数と判定した電動機における回転数制御の目標回転数を低くすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載したハイブリッド車両の駆動制御装置。
  4. 上記第1電動機及び第2電動機に電気的に接続する共通のバッテリを備え、
    上記回転数制御手段は、第1電動機及び第2電動機における発電量の総量と電力消費量の総量とが等しくなるように、第1電動機及び第2電動機の回転数制御を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載したハイブリッド車両の駆動制御装置。
  5. エンジン、第1電動機、及び第2電動機から上記駆動輪への動力伝達経路の途中に介装し且つ複数の変速段を有する変速機構と、
    運転者による駆動力要求の有無を検出する駆動力要求検出手段と、
    過回転防止手段の作動によって非動力伝達状態に切り替わった状態において、運転者による駆動力要求があると判定すると、変速機構を車速に応じた変速段に設定して、駆動輪に対するエンジン、第1電動機、及び第2電動機の接続状態を動力伝達状態に切り替える過回転防止処理終了手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載したハイブリッド車両の駆動制御装置。
  6. 車速を推定する車速推定手段と、
    推定した車速が実際の車速から乖離したか否かを判定する推定車速妥当性判定手段と、を備え、
    上記過回転防止処理終了手段は、推定した車速が実際の車速から乖離したと判定すると、変速機構を最も減速比の小さい状態に設定することを特徴とする請求項5に記載したハイブリッド車両の駆動制御装置。
  7. 運転者による駆動力要求の有無を検出する駆動力要求検出手段を備え、
    上記過回転防止手段は、運転者による駆動力要求が無いと判定すると、非動力伝達状態に切替を行った動力断続機構を、動力伝達状態への切替の復帰時間が短時間な非動力伝達状態であるスタンバイ状態に設定することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載したハイブリッド車両の駆動制御装置。
  8. 駆動輪に遊星歯車機構を介して接続するエンジンと、上記遊星歯車機構を介してエンジン及び駆動輪に接続する第1電動機と、上記駆動輪に接続する第2電動機と、上記駆動輪に対するエンジン、第1電動機、及び第2電動機の接続状態について動力伝達状態と非動力伝達状態との切替を行う動力断続機構と、を備え、
    上記駆動輪の回転数変化が所定値より大きいと判定すると、動力断続機構を介して、駆動輪に対するエンジン、第1電動機、及び第2電動機の接続状態を非動力伝達状態に切り替えると共に、第1電動機及び第2電動機を回転数制御とすることを特徴とするハイブリッド車両の駆動制御方法。
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