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JP2010150163A - 複合体及びその製造方法 - Google Patents

複合体及びその製造方法 Download PDF

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康治 橋本
Fumisato Kan
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Abstract

【課題】本発明の目的は、苦味や辛味などの刺激のある味や香りを有する親水性成分を含む素材であって、親水性成分の刺激のある味や香りを効果的に抑制することができる素材及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の目的は、水の存在下において分解される新水性成分を含む素材であって、新水性成分の経時的な分解を効果的に抑制することができる素材及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、植物ステロール、植物ステロールエステル、γ−オリザノール、イソフラボン、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる物質(A)と、界面活性剤で表面処理された親水性成分と、シクロデキストリンとを含む複合体を提供する。また、本発明は、植物ステロール、植物ステロールエステル、γ−オリザノール、イソフラボン、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる物質(A)と、界面活性剤で表面処理された親水性成分と、シクロデキストリンとを含む複合体の製造方法であって、水の共存下において、前記物質(A)と、界面活性剤で表面処理された親水性成分と、シクロデキストリンとを混合して複合体を形成する複合化工程を含む複合体の製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、界面活性剤で表面処理された親水性成分を含有する複合体及びその製造方法に関するものである。
苦味や辛味などの刺激のある味や香りを有する親水性成分として、例えばカフェインやビタミンB群などが知られている。この苦味や辛味などの刺激のある味や香りを抑制する方法として、食品にポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有させることにより辛味を含む不快味をマスキングする方法が提案されている(特許文献3)。しかしながら、この方法では使用する食品が油分を多く含む食品に限定され、また、ワックス様の香りを有することから食品に使用するには風味面においても問題がある。
一方、ベタニンやアントシアニンなどの親水性成分は、水の存在下において分解されやすいことが知られている。
親油性成分の分解を抑制する方法としては、シクロデキストリンを溶解した水、又は親水性溶液に脂溶性L−アスコルビン酸高級脂肪酸エステルを加え、50〜100℃でかき混ぜる事によって、経時的安定性、及び熱安定性を持ったL−アスコルビン酸高級脂肪酸エステル類の親水性複合体を得ることが出来ること(特許文献1)や、イソチオシアネートをシクロデキストリンで包接したものを、合成樹脂とともに混練してフィルム、シート、トレイに成形したり、印刷インクや塗料に含ませてフィルムに印刷や塗布することでイソチオシアネートの安定性を向上させること(特許文献2)が知られている(なお、後者の方法は、乾燥状態での安定性を向上させるものであり、飲料や高水分食品中のように水分を多く含むような状態では充分な保存安定性を保持できない。)が、親水性成分の前記分解を抑制する方法については、知られていない。
特開平10−231224号公報 特開平7−46973号公報 特開2002−65177号公報
本発明の目的は、苦味や辛味などの刺激のある味や香りを有する親水性成分を含む素材であって、親水性成分の刺激のある味や香りを効果的に抑制することができる素材及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、水の存在下において分解される新水性成分を含む素材であって、新水性成分の経時的な分解を効果的に抑制することができる素材及びその製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、かかる素材を配合した飲食品、化粧品、医薬品などの組成物を提供することにある。
本発明は、植物ステロール、植物ステロールエステル、γ−オリザノール、イソフラボン、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる物質(A)と、界面活性剤で表面処理された親水性成分と、シクロデキストリンとを含む複合体を提供する。
また、本発明は、前記複合体を配合した組成物を提供する。
さらに、本発明は、植物ステロール、植物ステロールエステル、γ−オリザノール、イソフラボン、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる物質(A)と、界面活性剤で表面処理された親水性成分と、シクロデキストリンとを含む複合体の製造方法であって、水の共存下において、前記物質(A)と、界面活性剤で表面処理された親水性成分と、シクロデキストリンとを混合して複合体を形成する複合化工程を含む複合体の製造方法を提供する。
本発明により、親水性成分の刺激のある味や香りを効果的に抑制することができる。
また、本発明により、水の存在下において分解される新水性成分の分解を抑制することができる。
本発明の複合体は、植物ステロール、植物ステロールエステル、γ−オリザノール、イソフラボン、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる物質(A)と、界面活性剤で表面処理された親水性成分と、シクロデキストリンとを含む。
本発明が好適に適用される親水性成分としては、カフェイン、ビタミンB群、ベタニン、イソベタニンなどが挙げられる。
カフェインはコーヒーや紅茶等に含まれる成分である。強い苦味を有するが、眠気防止やストレス緩和、肥満予防等の生理効果があることが知られている。
ビタミンB群は水溶性ビタミンのうち、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビオチンの8種類の総称で、ビタミンB複合体とも呼ばれる。大豆等の豆・種子類や豚・牛レバー等に含まれるものが多い。生体内では、補酵素の原料として利用される為、体内の物質代謝には不可欠である。
ベタニン、イソベタニンは赤ビートに含まれる赤色色素の主成分であり、天然食用色素として利用されている。鮮やかな赤色で、pHによる色調変化が少なく、pH4〜7の範囲で安定である事が知られているが、熱に対して不安定である。
本発明において使用する植物性ステロールとしては、1〜2個の二重結合を有するステロイド骨格をもち、C−3位にヒドロキシル基、C−17位に炭化水素側鎖を有する高級環状アルコールのうち、植物に含有するものである。一般的な植物ステロールとしては、植物油脂中に含まれるステロールなどが挙げられ、例えば大豆、菜種、綿実などの植物油脂から抽出・精製されたものであり、β−シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、フコステロール、ジメチルステロールなどを含む混合物であってもよい。例えば、大豆ステロールには、53〜56%のシトステロール、20〜23%のカンペステロール及び17〜21%のスチグマステロールが含まれる。植物性ステロールとして、「フィトステロール F」(タマ生化学工業株式会社製)として市販されているものを使用することもできる。
本発明において使用する植物ステロールエステルとは、植物性ステロールのステロール骨格中の水酸基に脂肪酸がエステル結合することによって得られる物質である。植物ステロールエステルの製造方法としては、例えば酵素を利用した酵素方法などが挙げられる。酵素方法としては、触媒としてリパーゼなどを利用し、植物ステロールと脂肪酸とを混合し、反応(30〜50℃で48時間程度)させることによって植物ステロールエステルを得る方法などが挙げられる。また、その他の合成方法としては、大豆などから生成された植物性ステロールを菜種油、コーン油などから得られた脂肪酸で、触媒の存在下で脱水することにより、エステル化して植物ステロールエステルを得る方法などが挙げられる。
脂肪酸としては、植物由来のもの、例えば菜種油、パーム油由来のものであってもよく、又は動物由来のものであってもよい。例えば、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、アラキドン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、パルミトオレイン酸、ラウリン酸などが挙げられる。
好ましい植物ステロールエステルとしては、大豆由来の植物ステロールと菜種油由来の脂肪酸から得られる植物ステロールや大豆及び菜種由来の植物ステロールとパーム油由来の脂肪酸から得られる植物ステロールなどが挙げられる。前者には、三栄源エフ・エフ・アイ(株)の「サンステロールNO.3」などがあり、後者には、タマ生化学(株)の「植物ステロール脂肪酸エステル」などがある。
本発明において使用するγ−オリザノールとは、イネ科イネの種皮から得られ、主としてフェルラ酸にトリテルペンアルコールがエステル結合してなる複合化合物である。
本発明において使用するビタミンD、E、K及びイソフラボンは、食品又は医薬品用途のものであればいずれも使用できる。
本発明において使用する界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、酵素処理レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどの食品用乳化剤を好適に使用することできる。
本発明において使用するシクロデキストリンとは、ブドウ糖を構成単位とする環状無還元マルトオリゴ糖のことである。シクロデキストリンとしては、ブドウ糖の数が6つのα−シクロデキストリン、7つのβ−シクロデキストリン、8つのγ−シクロデキストリンの何れも使用できるが、人の消化酵素で分解されると共に水への溶解性が高く飲食品、特に飲料に使用しやすいという点からγ−シクロデキストリンが好ましい。
本発明の複合体は、水の共存下において、植物ステロール、植物ステロールエステル、γ−オリザノール、イソフラボン、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる物質(A)と、界面活性剤で表面処理された親水性成分と、シクロデキストリンとを混合して複合体を形成する複合化工程を含む方法により製造することができる。本発明の複合体を製造する場合、植物ステロールエステルの量は、対象とする親水性成分によっても異なってくるが、例えば親水性成分1重量部に対して0.5〜30000重量部であるのが好ましい。また、界面活性剤の量は、例えば親水性成分1重量部に対して0.0001〜10重量部であるのが好ましい。また、シクロデキストリンの量は、例えば植物ステロールエステル1重量部に対して0.01〜1000重量部であるのが好ましく、0.1〜100重量部であるのがより好ましい。また、複合体を製造する場合に共存させる水の量としては、例えばシクロデキストリン1重量部に対して0.01〜100重量部であるのが好ましく、0.1〜10重量部であるのがより好ましい。また、本発明の複合体を製造する場合、混合は好ましくは40〜90℃、より好ましくは50〜85℃に加温して行うのがよい。
本発明の複合体を製造する際の水と、植物ステロール、植物ステロールエステル、γ−オリザノール、イソフラボン、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる物質(A)と、界面活性剤で表面処理された親水性成分と、シクロデキストリンとの添加順序や混合順序は限定されない。例えば、前記物質(A)と、界面活性剤と、親水性成分とを混合して第1混合物を調製する工程と、前記第1混合物にシクロデキストリン及び水を更に混合することにより複合体を形成する複合化工程とを含むのが好ましい。この場合、第1混合物を調製する工程で親水性成分を界面活性剤で表面処理することができる。またこの場合、前記第1混合物に更に混合するシクロデキストリン及び水は、前記第1混合物に混合する前に予め混合して第2混合物を調製し、第1混合物と第2混合物を更に混合することにより複合体を形成するようにしてもよい。
本発明の複合体は、水に分散しやすいことから飲食品、医薬品、化粧品などに配合することができ、種々の組成物として提供することができる。より具体的には、本発明の複合体を配合した飲食品としては、例えば、飲料やゼリー、タブレットなどを挙げることができる。
(実施例1)
60℃に加温溶解した植物ステロールエステル6.19重量部に対し、ショ糖脂肪酸エステル0.06重量部を添加混合し、ホモジナイザーで7000rpm30秒間攪拌して均一に分散させた。次に、ショ糖脂肪酸エステルを分散させた植物ステロールエステルにカフェイン0.69部を添加し、再度ホモジナイザーで7000rpm1分間攪拌し、均一に分散させて第1混合物を調製した。この第1混合物とは別に、乳鉢にγシクロデキストリン55.83重量部及び水37.23重量部(60℃)を加えて乳棒で混合し、ペースト状の第2混合物を調製した。第1混合物と第2混合物を乳鉢で10分間混練することにより複合体を形成した。実施例1の配合量(g)を下記表1に示す。
(比較例1)
乳鉢にγシクロデキストリン55.83重量部及び水43.48重量部(60℃)を加えて乳棒で混合し、ペースト状の混合物を調製した。この混合物に、カフェイン0.69重量部を加え、湯煎(60℃)中で10分間混練して複合体を形成した。比較例1の配合量(g)を下記表1に示す。
Figure 2010150163
(カフェインの苦味低減評価)
実施例1及び比較例1で得られた各複合体に対し、それぞれ下記表4に示した割合で水を添加混合し、官能評価をおこなった。また、カフェインと水とを混合したものを参考例として比較した。
実施例1は比較例1及び参考例と比較して明らかに苦味が低減されていた。比較例1は参考例と比較して苦味が低減されていたが、それでも苦味が感じられた。
Figure 2010150163
(実施例2)
60℃に加温溶解した植物ステロールエステル6.21重量部に対し、ショ糖脂肪酸エステル0.06重量部を添加混合し、ホモジナイザーで7000rpm、30秒間攪拌して均一に分散させた。次に、ショ糖脂肪酸エステルを分散させた植物ステロールエステルにビタミンB1を0.62重量部添加し、再度ホモジナイザーで7000rpm、1分間攪拌し、均一に分散させて第1混合物を調製した。この第1混合物とは別に、乳鉢にγシクロデキストリン55.87重量部及び水37.24重量部(60℃)を加えて乳棒で混合し、ペースト状の第2混合物を調製した。第1混合物と第2混合物を乳鉢で10分間混練することにより複合体を形成した。実施例2の配合量(g)を下記表3に示す。
(比較例2)
乳鉢にγシクロデキストリン55.87重量部及び水43.51重量部(60℃)を加えて乳棒で混合し、ペースト状の混合物を調製した。この混合物に、ビタミンB1を0.62重量部加え、湯煎(60℃)中で10分間混練して複合体を形成した。比較例2の配合量(g)を下記表3に示す。
Figure 2010150163
(ビタミンB1の苦味低減評価)
実施例2及び比較例2で得られた各複合体に対し、それぞれ下記表4に示した割合で0.1%クエン酸溶液を添加混合し、官能評価をおこなった。また、ビタミンB1を0.1%クエン酸溶液に混合・溶解したものを参考例とした。
実施例2は比較例2及び参考例と比較して明らかに苦味が低減されていた。比較例2は参考例と比較して若干苦味が低減されていたが、それでも強い苦味が感じられた。
Figure 2010150163
(実施例3)
60℃に加温溶解した植物ステロールエステル9.0重量部に対し、グリセリン脂肪酸エステル2.1重量部及び赤ビート色素2.3重量部を添加し、ホモジナイザーで7000rpm1分間攪拌して均一に分散させて第1混合物を調製した。この第1混合物とは別に、乳鉢にγシクロデキストリン43.3重量部及び水43.3重量部(60℃)を加えて乳棒で混合し、ペースト状の第2混合物を調製した。第1混合物及び第2混合物を乳鉢で10分間混練することによりピンク色の色調を有する複合体を形成した。実施例3の配合量(g)を下記表5に示す。
(比較例3)
乳鉢にγシクロデキストリン43.3重量部及び水54.4重量部(60℃)を加えて乳棒で混合し、ペースト状の混合物を調製した。この混合物に、赤ビート色素2.3重量部を加え、湯煎(60℃)中で10分間混練してピンク色の色調を有する複合体を形成した。比較例3の配合量(g)を下記表5に示す。
Figure 2010150163
(赤ビート色素の色調安定性評価)
実施例3及び比較例3で得られた各複合体に対し、それぞれ下記表6に示した割合で水を添加混合して透明パウチに充填密封した。また参考例として、下記表6に示した割合で赤ビート色素及び水を混合して透明パウチに充填密封した。これらを65℃恒温槽中で14時間保存し、保存前後の色調変化を目視で評価した。
実施例3では、保存後もピンク色の色調を保持していた。これに対し、比較例3と参考例では、ピンク色の色調が完全に失われており、透明の中に少しオレンジ色が混じったような外観であった。
Figure 2010150163

Claims (5)

  1. 植物ステロール、植物ステロールエステル、γ−オリザノール、イソフラボン、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる物質(A)と、界面活性剤で表面処理された親水性成分と、シクロデキストリンとを含む複合体。
  2. 水の共存下において、前記物質(A)と、界面活性剤で表面処理された親水性成分と、シクロデキストリンとを混合して複合体を形成する複合化工程を含む方法により製造される、請求項1記載の複合体。
  3. 請求項1又は2記載の複合体を配合した組成物。
  4. 植物ステロール、植物ステロールエステル、γ−オリザノール、イソフラボン、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる物質(A)と、界面活性剤で表面処理された親水性成分と、シクロデキストリンとを含む複合体の製造方法であって、
    水の共存下において、前記物質(A)と、界面活性剤で表面処理された親水性成分と、シクロデキストリンとを混合して複合体を形成する複合化工程を含む複合体の製造方法。
  5. 前記物質(A)と、界面活性剤と、親水性成分とを混合して第1混合物を調製する工程と、
    前記第1混合物にシクロデキストリン及び水を更に混合して複合体を形成する複合化工程とを含む請求項4記載の複合体の製造方法。
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