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JP2010038456A - 蒸気圧縮式冷凍サイクル - Google Patents

蒸気圧縮式冷凍サイクル Download PDF

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JP2010038456A JP2008202315A JP2008202315A JP2010038456A JP 2010038456 A JP2010038456 A JP 2010038456A JP 2008202315 A JP2008202315 A JP 2008202315A JP 2008202315 A JP2008202315 A JP 2008202315A JP 2010038456 A JP2010038456 A JP 2010038456A
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Hiroshi Oshitani
洋 押谷
Yoshiaki Takano
義昭 高野
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Denso Corp
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    • B60H1/00Heating, cooling or ventilating [HVAC] devices
    • B60H1/32Cooling devices
    • B60H2001/3286Constructional features
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Abstract

【課題】高圧側流路に気液分離器を設けた蒸気圧縮式冷凍サイクルの高効率化を図る。
【解決手段】蒸気圧縮式冷凍サイクル10は、圧縮機11からのガス冷媒を第1熱交換部12aで放熱させ、気液分離器13で気液分離されたガス冷媒を第2熱交換部12bに流入させて凝縮する。蒸気圧縮式冷凍サイクル10は、第2熱交換部12bから流出した冷媒をノズル部14aから取り入れて減圧膨張させて高速度の冷媒流を形成し、高速度の冷媒流によって冷媒を吸引部14bから吸引するエジェクタ14と、気液分離器13の液冷媒を減圧する第1絞り装置17と、上流側が気液分離器13の液冷媒流出側13bに接続され下流側が吸引部14bに接続され、第1絞り装置17で減圧された冷媒を蒸発させて吸引部14bに流出する第1蒸発器15と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、アキュムレータを備え、流体を減圧する減圧手段であるとともに、高速で噴出する作動流体の巻き込み作用によって流体輸送を行う運動量輸送式ポンプであるエジェクタを用いた蒸気圧縮式冷凍サイクルに関する。
従来の冷凍サイクルには、例えば特許文献1に記載されているように、凝縮器として冷媒流れ方向の順に第1熱交換部と第2熱交換部を備え、さらに第1熱交換部と第2熱交換部との間に気液分離器を設けたサイクルがある。この冷凍サイクルでは、圧縮機から吐出された過熱ガス冷媒を第1熱交換部にて放熱させ、気液分離器にて気液分離されたガス冷媒を第2熱交換部に流入させて凝縮する。
従来の冷凍サイクルは、気液分離器内に溜まる液冷媒量の変化によりサイクルの過熱度制御が可能になるので、従来のレシーバサイクルにおける温度式膨張弁を必要とせず、減圧装置を簡単な固定絞り等で構成することができるという利点がある。また、気液分離器は高圧側流路に設けられ、比容積の小さい高圧冷媒に気液分離を行うため、蒸発器出口の冷媒を気液分離するアキュムレータサイクルに比べてタンクの容積を小さくできるという利点がある。
特開2002−323274号公報
一方、最近の社会的な省動力の要求に伴い、冷凍サイクルの高効率化が求められている。これは、高圧側流路に気液分離器を設けた上記従来の冷凍サイクルにおいても同様であり、前述の利点に有しつつも、さらなる高効率化が課題となっている。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高圧側流路に気液分離器を設けた蒸気圧縮式冷凍サイクルの高効率化を図ることを目的とする。
上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。第1の発明は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)および圧縮機から吐出された冷媒の熱を放熱する高圧側熱交換器(12)を備え、高圧側熱交換器は冷媒流れ方向に直列に設けられる第1熱交換部(12a)と第2熱交換部(12b)を含み、第1熱交換部と第2熱交換部との間で冷媒の気液を分離する気液分離器(13)を備え、圧縮機から吐出されたガス冷媒を第1熱交換部で放熱させ、気液分離器で気液分離されたガス冷媒を第2熱交換部に流入させて凝縮する蒸気圧縮式冷凍サイクルに係る発明であり、
本蒸気圧縮式冷凍サイクルは、ノズル部(14a)、吸引部(14b)および昇圧部(14d)を有し、第2熱交換部から流出した冷媒をノズル部から取り入れて減圧膨張させて高速度の冷媒流を形成するとともに、高速度の冷媒流によって冷媒を吸引部から吸引し、高速度の冷媒流と吸引部からの吸引冷媒とを混合した冷媒流の速度を昇圧部で減少して圧力を上昇させるエジェクタ(14)と、
気液分離器の液冷媒流出側(13b)と接続されて液冷媒を減圧する第1減圧装置(17)と、
上流側が第1減圧装置に接続されるとともに下流側がエジェクタの吸引部に接続され、第1減圧装置で減圧された冷媒を蒸発させてエジェクタの吸引部に流出する吸引側蒸発器(15)と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、高圧側流路に気液分離器を設けた冷凍サイクルにエジェクタを適用することにより、エジェクタによる動力回収を可能にし、当該冷凍サイクルの一層の高効率化が図れる。
第2の発明に係る蒸気圧縮式冷凍サイクルは、上記第1の発明の前段部の構成に加え、
ノズル部(14a)、吸引部(14b)および昇圧部(14d)を有し、ノズル部から取り入れた冷媒を減圧膨張させて高速度の冷媒流を形成するとともに、高速度の冷媒流によって他方の冷媒を吸引部から吸引し、高速度の冷媒流と吸引部からの吸引冷媒とを混合した冷媒流の速度を昇圧部で減少して圧力を上昇させるエジェクタ(14)と、
第2熱交換部で凝縮された冷媒を減圧する第1減圧装置(17)と、
上流側が第1減圧装置に接続されるとともに下流側がエジェクタの吸引部に接続され、第1減圧装置で減圧された冷媒を蒸発させてエジェクタの吸引部に流出する吸引側蒸発器(15)と、を備え、
気液分離器の液冷媒流出側(13b)はエジェクタのノズル部に接続されており、気液分離器で分離された液冷媒はノズル部に流入することを特徴とする。
この発明によれば、高圧側流路に気液分離器を設けた冷凍サイクルにエジェクタを適用することにより、エジェクタによる動力回収を可能にし、当該冷凍サイクルの一層の高効率化が図れる。また、気液分離器の液冷媒流出側がエジェクタの駆動側であるノズル部につながっているため、エジェクタのエネルギー回収分をさらに向上することができる。また、第1熱交換部と第2熱交換部の間に設けられた気液分離器の液冷媒をエジェクタに導入することにより、中間圧である比較的高い圧力をエジェクタに入力できるため、高効率化をさらに促進することができる。
蒸気圧縮式冷凍サイクルは、さらに、エジェクタの昇圧部から流出した冷媒を蒸発させる流出側蒸発器(16)を備えることが好ましい。この発明によれば、圧縮機への液バックを防止する冷凍サイクルを構築することができる。
また、蒸気圧縮式冷凍サイクルは、エジェクタの昇圧部から流出した冷媒を蒸発させる流出側蒸発器(16)と、吸引側蒸発器の出口側に設けられ冷媒を減圧する第2減圧装置(20)とを備え、第1減圧装置(17A)および第2減圧装置は、冷媒の減圧量を略ゼロに調節できるように構成されていることが好ましい。この発明によれば、吸引側蒸発器と流出側蒸発器を活用した除湿暖房可能な冷凍サイクルを部品点数を抑えて構築することができる。
また、蒸気圧縮式冷凍サイクルは、圧縮機の吐出側と吸引側蒸発器の流入側とを接続する除霜用通路(18)と、除霜用通路を開閉する開閉手段(19)と、を備えることが好ましい。この発明によれば、吸引側蒸発器にホットガスを確実に流入させることが可能になり、除霜能力の向上、除霜時間の短縮化を図る冷凍サイクルを提供できる。
また、蒸気圧縮式冷凍サイクルは、第1減圧装置の上流側の冷媒と圧縮機の吸入側の冷媒とを熱交換する内部熱交換器(21)を備えることが好ましい。この発明によれば、吸引側蒸発器の入口側と出口側との間のエンタルピー差を拡大することができるため、冷凍サイクルの冷凍能力をさらに大きくすることができる。これにより冷凍サイクルの成績係数が向上する。
さらに、内部熱交換器は第1減圧装置と一体となって構成されており、第1減圧装置を通過するときの冷媒と圧縮機の吸入側の冷媒とが熱交換されるものとする。この発明によれば、第1減圧装置を通過する冷媒は、内部熱交換器で熱交換されながら同時に減圧されるため、冷凍サイクルの効率向上が図れる。
また、蒸気圧縮式冷凍サイクルは、圧縮機の吐出側と気液分離器のガス冷媒流入側とを接続するバイパス通路(22)を備えることが好ましい。この発明によれば、気液分離器内の液面高さの制御性が向上するため、冷凍サイクルの効率向上に有用である。
また、エジェクタは減圧するための流路開度が固定式であることが好ましい。この発明によれば、固定式のエジェクタであっても負荷変動に対して対応することができるアキュムレータサイクルを構築できる。これにより、高効率なサイクルであるとともに、コスト低減が図れる冷凍サイクルを提供できる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
本発明の一実施形態である第1実施形態の蒸気圧縮式冷凍サイクル10について説明する。図1は蒸気圧縮式冷凍サイクル10の構成を示した模式図である。蒸気圧縮式冷凍サイクル10は、高圧側の冷媒流路に配された気液分離器13と、冷媒の減圧手段であり冷媒輸送を行うポンプであるエジェクタ14と、を備えたエジェクタ14を用いた蒸気圧縮式冷凍サイクル(以下、エジェクタ式冷凍サイクルということもある)である。蒸気圧縮式冷凍サイクル10は、各種冷凍装置、各種空調装置に適用可能であり、本実施形態ではその好適例として車両用冷凍装置、車両用空調装置等に用いている。
蒸気圧縮式冷凍サイクル10は、配管によって環状に接続された圧縮機11、高圧側熱交換器12、気液分離器13、エジェクタ14、および第2蒸発器16を備えている。気液分離器13の液冷媒が溜まる下方部に当たる液冷媒流出側13bは、第1絞り装置17を介して第1蒸発器15の入口側に連通しており、第1蒸発器15の出口側はエジェクタ14の吸引部14bに接続されている。
圧縮機11は、冷媒を吸入、圧縮および吐出するものであり、電磁クラッチ、プーリーおよびベルトを介して車両走行用エンジンにより回転駆動される。圧縮機11からと出された高圧のガス冷媒は高圧側熱交換器12に流入し、ここで外気等と熱交換されて凝縮される。圧縮機11としては、例えば、吐出容量の変化により吐出能力を調整する可変容量型圧縮機、電磁クラッチの断続によって圧縮機の稼働率を変化させて吐出能力を調整する固定容量型圧縮機、電動モータの回転数を調整することにより吐出能力を調整する電動圧縮機等を採用することができる。
高圧側熱交換器12は、冷媒流れ方向の順に直列に設けられた第1熱交換部12aと第2熱交換部12bとを有しており、第1熱交換部12aと第2熱交換部12bとの間に冷媒の気液分離を行う気液分離器13を設ける構成となっている。高圧側熱交換器12は車両走行による走行風を受けて冷却される部位、具体的には車両エンジンルーム内の最前部等に配置され、走行風および冷却ファン(図示せず)の送風空気により冷却される。
気液分離器13は上下方向に延びる細長のタンク形状であり、液冷媒とガス冷媒の密度差を利用して冷媒の気液を分離し、タンク内空間の下方部に液冷媒を溜め、上方部にガス冷媒が溜まるようになっている。気液分離器13は、タンク内空間の下方部の液冷媒流出側13bが第1蒸発器15の入口側とつながっており、タンク内空間の上方部のガス冷媒流入側13aが第1熱交換部12aおよび第2熱交換部12bにそれぞれ接続されている。これにより、気液分離器13は、第1熱交換部12aからガス冷媒を取り入れ、ガス冷媒を第2熱交換部12bへ向けて流出し、ガス冷媒と分離された液冷媒を第1蒸発器15に向けて流出する。そして、圧縮機11から吐出されたガス冷媒は第1熱交換部12aで放熱され、気液分離器13で気液分離されたガス冷媒は第2熱交換部12bに流入されて凝縮されることになる。
高圧側熱交換器12は第1熱交換部12a、第2熱交換部12bおよび気液分離器13を一体に組み付けて構成されており、例えば、三者をアルミニウムの一体ろう付け等の方法により一体にしている。また、この三者をそれぞれ別体で構成し、これら三者の間を配管等により連結しても構成してもよい。
使用する冷媒は特に限定するものではないが、本実施形態では例えばR404Aを使用している。このR404Aのようなフロン系冷媒を用いる場合は、高圧圧力が臨界圧力を超えない亜臨界サイクルとなるため、高圧側熱交換器12は冷媒を凝縮する凝縮器として作用する。一方、二酸化炭素のように高圧側圧力が臨界圧力を超える冷媒を用いる場合は冷凍サイクルが超臨界サイクルとなるため、冷媒は超臨界状態のまま放熱するだけで凝縮しない。
第1絞り装置17は、気液分離器13で分離された液冷媒を減圧する機能を有する第1減圧装置であり、例えば、固定式の減圧装置であって、オリフィス、キャピラリチューブ、ノズル等で構成される。また、第1絞り装置17は冷媒流量を可変制御できる電気制御式の流量調節弁で構成してもよい。
エジェクタ14は冷媒を減圧する減圧手段であるとともに、高速で噴出する冷媒流の吸引作用(巻き込み作用)によって冷媒の循環を行う流体輸送を冷媒循環手段でもある。エジェクタ14は、第2熱交換部12bを流出した冷媒を取り入れ、その通路面積を小さく絞って冷媒を等エントロピー的に減圧膨張させるノズル部14aと、ノズル部14aの冷媒噴出口と連通するように配置され、第1蒸発器15からの気相冷媒を吸引する吸引口である吸引部14bと、を備えている。
ノズル部14aおよび吸引部14bの下流側には、ノズル部14aからの高速度の冷媒流と吸引部14bからの吸引冷媒とを混合する混合部14cが設けられている。そして、混合部14cの下流側に昇圧部14dが配置されている。この昇圧部14dは冷媒の通路面積を徐々に大きくする形状に形成されており、冷媒流れを減速して冷媒圧力を上昇させる作用、つまり、冷媒の速度エネルギーを圧力エネルギーに変換する機能を有する。このように冷媒は、エジェクタ14内において、ノズル部14aの入口の圧力がノズル部14a内で急激に減圧膨張され、ノズル部14aの出口の圧力が最低となる。混合部14cで吸引部14bから吸引される冷媒と混合されることにより、圧力はなだらかに上昇し、さらに昇圧部14dで減速によって上昇する。
昇圧部14dの冷媒流れ方向下流側には第2蒸発器16が接続されている。第2蒸発器16は、強制的に送風された空気と冷媒とを熱交換し、冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱器である。この第2蒸発部16の下流側は圧縮機11の吸入側に接続されている。エジェクタ14は、減圧するためのノズル部14aの流路開度が固定式である固定式エジェクタで構成している。
第1蒸発器15は、その上流側が第1絞り装置17に接続されるとともに下流側がエジェクタ14の吸引部14bに接続され、第1絞り装置17で減圧された冷媒を蒸発させて吸引部14bに流出する吸引側蒸発器である。第2蒸発器16は、エジェクタ14の昇圧部14dから流出した冷媒を蒸発させて、圧縮機11に導く流出側蒸発器である。
制御装置(図示せず)は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。この制御装置は、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行って各種機器の作動を制御する。制御装置には、各種センサ群からの検出信号、および操作パネル(図示せず)からの各種操作信号が入力される。操作パネルには冷却対象空間の冷却温度を設定する温度設定スイッチや圧縮機11の作動指令信号を出す空調作動スイッチ等が設けられている。
次に、上記構成における蒸気圧縮式冷凍サイクル10の作動について図2にしたがって説明する。図2は、蒸気圧縮式冷凍サイクル10のモリエル線図であり、横軸にエンタルピー(kJ/kg)、縦軸に圧力(MPa)を設定して表したものである。制御装置が、圧縮機11の電磁クラッチに通電すると、電磁クラッチが接続状態となり、車両走行用エンジンから回転駆動力が圧縮機11に伝達される。圧縮機11が起動すると、第2蒸発器16から気相冷媒が圧縮機11に吸入され、圧縮された冷媒が第1熱交換部12aに向けて吐出される(g1→a1)。圧縮機11から吐出されたガス冷媒は過熱ガス状態であり、この過熱ガス冷媒は第1熱交換部12aに流入し、ここで冷却空気と熱交換して放熱し、気液分離器13内に流入する(a1→b1)。
気液分離器13内には常時、液冷媒が貯留されて液面を形成しているため、この過熱ガス冷媒が流入すると、液冷媒の一部が蒸発し、逆に気液2相の湿り空気が流入してきた場合は気液分離器13内で2相冷媒の気液が分離され、液冷媒がタンク内下方部に溜まることになる。
このように気液分離器13内では気液界面が形成されるので、タンク内上方部のガス冷媒b1はモリエル線図の飽和ガス線上にあり、過熱度SH0℃である。気液分離器13内の飽和ガス冷媒b1は第2熱交換部12bに流入し、冷却空気と熱交換して放熱し、凝縮される(b1→c1)。第2熱交換部12b出口の冷媒c1の過冷却度SCは、エジェクタ14を流路開度が固定式である固定式エジェクタで構成しているため、固定絞りの形式により定まる流量特性、サイクルの高圧側圧力および冷媒流量により成り行きで決定される。この場合の過冷却度SCは、例えば0℃〜15℃である。
エジェクタ14に流入した冷媒は、ノズル部14aで等エントロピー的に減圧されて膨張する(c1→d1)。したがって、ノズル部14aで冷媒の圧力エネルギーが速度エネルギーに変換され、このノズル部14aの噴出口から冷媒は高速度となって噴出する。このとき、高速度で噴出する冷媒流の冷媒吸引作用により、第1蒸発器15から気相冷媒を吸引部14bに吸引する。
ノズル部14aから噴出した冷媒と吸引部14bに吸引された冷媒は、ノズル部14a下流側の混合部14cで混合し(d1→e1、j1→e1)、昇圧部14dに流入する。この昇圧部14dでは通路面積の拡大により、冷媒の速度(膨張)エネルギーが圧力エネルギーに変換されるため、冷媒の圧力が上昇する(e1→f1)。
そして、エジェクタ14の昇圧部14dから流出した冷媒は第2蒸発器16に流入する。第2蒸発器16では、低温の低圧冷媒が熱交換コア部にて送風空気から吸熱して蒸発する(f1→g1)。この蒸発後の気相冷媒は、過熱度SH(例えば0℃〜20℃)をもった過熱ガス冷媒となり、圧縮機11に吸入され、再び圧縮される。
一方、気液分離器13内に溜まる液冷媒h1は、気液分離器13の液冷媒流出側13bから流出して第1絞り装置17で減圧されて低圧冷媒となる(h1→i1)。この低圧冷媒i1は第1蒸発器15に流入し、第1蒸発器15で送風空気から吸熱して蒸発する(i1→j1)。この蒸発後の気相冷媒は吸引部14bからエジェクタ14内に吸引される。
このように蒸気圧縮式冷凍サイクル10では、第1蒸発器15および第2蒸発器16で同時に冷却作用を発揮できる。図2に示すΔPは、エジェクタ14による昇圧量、つまり、第2蒸発器16に流入する冷媒圧力P1と第1蒸発器15の冷媒蒸発圧力P2との圧力差(P1−P2)である。ΔPで表される昇圧部14dでの昇圧作用によって、圧縮機11の吸入圧を上昇して、圧縮機11の駆動動力を低減することができ、冷凍サイクルの成績係数(COP)の向上が図れる。
このように、第1蒸発器15の冷媒蒸発圧力P2は第2蒸発器16の冷媒蒸発圧力P1よりも低くなる。したがって、第1蒸発器15の冷媒蒸発温度が第2蒸発器16の冷媒蒸発温度よりも低くなる。
そして、送風空気の流れ方向に対して冷媒蒸発温度が高い第2蒸発器16を上流側に配置し、冷媒蒸発温度が低い第1蒸発器15を下流側に配置した場合には、第2蒸発器16における冷媒蒸発温度と送風空気との温度差および第1蒸発器15における冷媒蒸発温度と送風空気との温度差を両方とも確保できる。したがって、両蒸発器15,16の冷却性能を有効に発揮できる。
本実施形態の蒸気圧縮式冷凍サイクル10がもたらす作用効果について述べる。蒸気圧縮式冷凍サイクル10は、圧縮機11と、冷媒流れ方向に直列に設けられる第1熱交換部12aと第2熱交換部12bを含む高圧側熱交換器12と、第1熱交換部12aと第2熱交換部12bとの間で冷媒の気液を分離する気液分離器13と、を備え、圧縮機11から吐出されたガス冷媒を第1熱交換部12aで放熱させ、気液分離器13で気液分離されたガス冷媒を第2熱交換部12bに流入させて凝縮する。さらに、蒸気圧縮式冷凍サイクル10は、第2熱交換部12bから流出した冷媒をノズル部14aから取り入れて減圧膨張させて高速度の冷媒流を形成するとともに、高速度の冷媒流によって冷媒を吸引部14bから吸引し、高速度の冷媒流と吸引部14bからの吸引冷媒とを混合した冷媒流の速度を昇圧部14dで減少して圧力を上昇させるエジェクタ14と、気液分離器13の液冷媒を減圧する第1絞り装置17と、上流側が気液分離器13の液冷媒流出側13bに接続されるとともに下流側が吸引部14bに接続され、第1絞り装置17で減圧された冷媒を蒸発させて吸引部14bに流出する第1蒸発器15と、を備える。
この構成によれば、高圧側流路に気液分離器13を設けた冷凍サイクルにエジェクタ14を適用することにより、エジェクタ14による動力回収を可能にし、図2のΔPで表される昇圧部14dでの昇圧作用により圧縮機11の駆動動力を低減するので、優れたCOPが得られ、従来の冷凍サイクルに対して高効率化を図ることができる。
また、蒸気圧縮式冷凍サイクル10は、第1蒸発器15に加え、エジェクタ14の昇圧部14dから流出した冷媒を蒸発させる第2蒸発器16と、を備えている。これによれば、第2蒸発器16では低温の低圧冷媒が送風空気から吸熱して蒸発するため、圧縮機11へ液冷媒が戻ること(液バックが起こること)を防止することができる。したがって、冷凍サイクルの高効率化に寄与し得る。
また、エジェクタ14はその流路開度が固定式であることにより、負荷変動に対して柔軟に対応することができるアキュムレータサイクルを構築できる。したがって、このアキュムレータサイクルは、高圧側に気液分離器を備えることによる簡易構成の固定絞りの採用および気液分離器のタンク容積の低減化とともに、高効率で、コスト低減が図れる冷凍サイクルが得られる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態の蒸気圧縮式冷凍サイクル10の変形例である蒸気圧縮式冷凍サイクル10Aについて図3にしたがって説明する。図3は、本実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍サイクル10Aの構成を示した模式図である。図3において同一符号を付した構成部品は、図1と同一の構成部品であり、同様の作用効果を奏する。
図3に示すように、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Aは、蒸気圧縮式冷凍サイクル10に対して、気液分離器13の液冷媒流出側13bとエジェクタ14のノズル部14aが接続されている点、および第2熱交換部12bと第1絞り装置17が接続されている点が異なっている。
この異なる構成に伴い、気液分離器13で気液分離された液冷媒はエジェクタ14の駆動側であるノズル部14aに流入し、さらに気液分離器13内の飽和ガス冷媒は第2熱交換部12bで冷却空気と熱交換して放熱し凝縮された後、第1絞り装置17に流入するようになる。
そして、気液分離器13内に溜まる液冷媒は、気液分離器13の液冷媒流出側13bから流出してエジェクタ14の駆動側に流入し、ノズル部14aで等エントロピー的に減圧されて膨張する。ここで、ノズル部14aで冷媒の圧力エネルギーが速度エネルギーに変換され、このノズル部14aの噴出口から冷媒は高速度となって噴出する。このとき、高速度で噴出する冷媒流の冷媒吸引作用により、第1蒸発器15からの気相冷媒を吸引部14bに吸引する。
ノズル部14aから噴出した冷媒と吸引部14bに吸引された冷媒は、ノズル部14a下流側の混合部14cで混合し、昇圧部14dに流入する。この昇圧部14dでは通路面積の拡大により、冷媒の速度(膨張)エネルギーが圧力エネルギーに変換されるため、冷媒の圧力が上昇するようになる。
一方、第2熱交換部12bで冷却空気と熱交換して放熱して凝縮された冷媒は、第1絞り装置17で減圧されて低圧冷媒となる。この低圧冷媒は第1蒸発器15に流入し、第1蒸発器15で送風空気から吸熱して蒸発する。この気相冷媒は吸引部14bからエジェクタ14内に吸引され、昇圧部14dで圧力上昇される。
本実施形態の蒸気圧縮式冷凍サイクル10Aがもたらす作用効果について述べる。蒸気圧縮式冷凍サイクル10Aは、第2熱交換部12bで凝縮された冷媒を減圧する第1絞り装置17と、上流側が第1絞り装置17に接続されるとともに下流側がエジェクタ14の吸引部14bに接続され、第1絞り装置17で減圧された冷媒を蒸発させて吸引部14bに流出する第1蒸発器15と、を備えている。そして、気液分離器13の液冷媒流出側13bはエジェクタ14のノズル部14aに接続されており、気液分離器13で分離された液冷媒はノズル部14aに流入する。
この構成によれば、エジェクタ14による動力回収を可能にし、第1実施形態の図2で参照するΔPで表される昇圧部14dでの昇圧作用により圧縮機11の駆動動力を低減するので、優れたCOPが得られ、従来の冷凍サイクルに対して高効率化を図ることができる。さらに、気液分離器13の液冷媒流出側13bがエジェクタ14の駆動側につながっているため、エジェクタ14のエネルギー回収分をさらに向上することができる。また、第1熱交換部12aと第2熱交換部12bの間に設けられた気液分離器13の液冷媒をエジェクタ14に導入するため、中間圧をエジェクタ14に入力できる。これにより、高効率化を促進することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1実施形態および第2実施形態の各冷凍サイクルの変形例である蒸気圧縮式冷凍サイクル10B,10Cについて図4および図5にしたがって説明する。図4は、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Bの構成を示した模式図である。図5は、図4の変形例である蒸気圧縮式冷凍サイクル10Cを示した模式図である。
図4および図5のそれぞれにおいて同一符号を付した構成部品は、図1および図2のそれぞれと同一の構成部品であり、同様の作用効果を奏する。
図4に示すように、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Bは、図1に示す蒸気圧縮式冷凍サイクル10に対して、圧縮機11の吐出側と第1蒸発器15の流入側を接続する除霜用通路18を備えている点、および除霜用通路18を開閉する開閉手段の一例である電磁弁19を備えている点が異なっている。この異なる構成に伴い、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Bは、各蒸発器に着霜があった場合に除霜することができるようになる。
除霜運転を実施するときには、制御装置は圧縮機11の吐出容量を制御するとともに、電磁弁19を開くように制御する。これにより、第1蒸発器15、さらに第2蒸発器16のそれぞれに高温の冷媒が流入するようになり、第1蒸発器15および第2蒸発器16の外側に付着した霜が融解して除霜される。また、エジェクタ14の流路開度が可変式である場合には、除霜運転時にエジェクタ14のノズル開度は略全閉に制御してもよい。このようにした場合には、圧縮機11から吐出されたホットガスは、電磁弁19、第1蒸発器15、エジェクタ14の吸引部14b、エジェクタ14内の流路、第2蒸発器16、圧縮機11の吸入側、の順に流れ、各蒸発器15,16の除霜のみに用いられる。
また、制御装置は、第1蒸発器15に設けられたフィン温度センサ(図示せず)等で検出される第1蒸発器15の温度が第1の所定温度を下回ったときに除霜運転を開始する。なお、この除霜運転の開始は、圧縮機11の運転積算時間が所定時間に達したら開始するようにしてもよいし、その運転積算時間は、外気温度に対応させて可変するようにしてもよい。そして、第1蒸発器15の温度が第2の所定温度に達したら、電磁弁19を閉じ、あるいは、エジェクタ14の流路開度が可変式である場合には電磁弁19を閉じるとともにエジェクタ14のノズル開度を通常状態に戻し、通常の冷凍運転を再開する。このときの第2の所定温度は、圧縮機11の運転積算時間と同様に、外気温度に応じて可変させてもよい。
また、図5に示すように、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Cは、図3に示す蒸気圧縮式冷凍サイクル10Aに対して、圧縮機11の吐出側と第1蒸発器15の流入側を接続する除霜用通路18を備えている点、および除霜用通路18を開閉する開閉手段の一例である電磁弁19を備えている点が異なっている。この異なる構成に伴い、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Cは、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Bと同様に、各蒸発器に着霜があった場合に除霜することができるようになる。
本実施形態に係る各蒸気圧縮式冷凍サイクル10B,10Cは、各蒸気圧縮式冷凍サイクル10,10Aに対して、圧縮機11の吐出側と第1蒸発器15の流入側とを接続する除霜用通路18と、除霜用通路18を開閉する電磁弁19と、を備える。この構成によれば、各蒸発器15,16にホットガスを確実に流入させる運転を実施することが可能になる。したがって、前述の高効率化という作用効果に加え、除霜能力の向上、除霜時間の短縮化を実現する冷凍サイクルが得られる。
(第4実施形態)
第4実施形態では、第1実施形態および第2実施形態の各冷凍サイクルの変形例である蒸気圧縮式冷凍サイクル10D,10Eについて図6および図7にしたがって説明する。図6は蒸気圧縮式冷凍サイクル10Dの構成を示した模式図である。図7は、図6の変形例である蒸気圧縮式冷凍サイクル10Eを示した模式図である。図6および図7のそれぞれにおいて同一符号を付した構成部品は、図1および図2のそれぞれと同一の構成部品であり、同様の作用効果を奏する。
図6に示すように、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Dは、図1に示す蒸気圧縮式冷凍サイクル10に対して、第1蒸発器15の出口側であってエジェクタ14の吸引部14bの手前の冷媒通路に第2減圧装置である第2絞り装置20を設けている点と、第1絞り装置17Aおよび第2絞り装置20が冷媒の減圧量を略ゼロに調節可能に構成されている点と、が異なっている。さらに、両蒸発器15,16は空調ケース30内に設けられており、第1蒸発器15が風下側、第2蒸発器16が風上側にそれぞれ配されている。この異なる構成に伴い、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Dによれば、冷房運転と除湿暖房運転の両方を実施することができる。
第1絞り装置17Aおよび第2絞り装置20は、それぞれが構成する通路の開度を全開状態に制御できる全開機能付きの減圧装置である。すなわち、各絞り装置17A,20は、冷媒通路を全開にすることが可能であれば、減圧量が一定値である固定式構造であってもよいし、減圧量が所定の範囲で変化させることができる可変式構造であってもよい。また、送風空気の流れ方向に対して冷媒蒸発温度が高い第2蒸発器16は上流側に配置され、冷媒蒸発温度が低い第1蒸発器15は下流側に配置されている。送風機31により両蒸発器15,16に強制的に送風される空気は、冷媒と熱交換して冷却され、空調対象空間(例えば、車室空間)に送られるようになっている。
上記構成において、冷房運転を実施するときには、制御装置は、演算された目標吹出し温度TAOに応じて、圧縮機11の吐出容量を制御するとともに、第2絞り装置20を全開となるように制御する。あるいは、第1絞り装置17Aが当該可変式構造である場合には、制御装置は、第2絞り装置20を全開にするとともに第1絞り装置17Aの開度を目標吹出し温度TAOに応じて制御する。
これにより、気液分離器13の液冷媒は、第1絞り装置17Aで減圧された後、第1蒸発器15に流入して蒸発し、所定の冷房能力を発揮することができる。そして、第1蒸発器15を流出した冷媒は、全開に制御された第2絞り装置20で減圧されることなく、エジェクタ14内の吸引部14bに吸引されてエンタルピーが減少し、さらに昇圧部14dで昇圧される。さらに、昇圧された冷媒は、第2蒸発器16に流入して熱交換コア部にて送風空気から吸熱して蒸発する。この構成によれば、第2蒸発器16における冷媒蒸発温度と送風空気との温度差と、第1蒸発器15における冷媒蒸発温度と送風空気との温度差とが確保される。これにより、第1蒸発器15と第2蒸発器16のそれぞれの冷却性能を有効に発揮する冷房運転が行われる。
次に、制御装置は、除湿暖房運転を実施するときには、演算された目標吹出し温度TAOに応じて、圧縮機11の吐出容量を制御するとともに、第1絞り装置17Aを全開となるように制御する。あるいは、第2絞り装置20が当該可変式構造である場合には、制御装置は、第1絞り装置17Aを全開にするとともに第2絞り装置20の開度を目標吹出し温度TAOに応じて制御する。
これにより、気液分離器13の液冷媒は、全開に制御された第1絞り装置17Aで減圧されることなく第1蒸発器15に流入し凝縮される。そして、第1蒸発器15を流出した冷媒は、第2絞り装置20で減圧された後、エジェクタ14内の吸引部14bに吸引されてさらに昇圧部14dで昇圧される。さらに、昇圧された冷媒は、第2蒸発器16に流入して送風空気から吸熱して蒸発し、所定の冷房能力を発揮することになる。このように除湿暖房運転では、第1蒸発器15は凝縮器として使用され、第2蒸発器16は蒸発器として使用される。つまり第1蒸発器15では第2蒸発器16で冷却された空気を放熱により加熱するため、除湿された暖房風は空調ケース30内を流下して空調対象空間に供給されることになる。
また、図7に示すように、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Eは、図3に示す蒸気圧縮式冷凍サイクル10Aに対して、第1蒸発器15の出口側であってエジェクタ14の吸引部14bの手前の冷媒通路に第2絞り装置20を設けている点と、第1絞り装置17Aおよび第2絞り装置20が冷媒の減圧量を略ゼロに調節可能に構成されている点と、が異なっている。さらに、両蒸発器15,16は空調ケース30内に設けられており、第1蒸発器15が風下側、第2蒸発器16が風上側にそれぞれ配されている。この異なる構成により、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Eによれば、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Dと同様に、前述のように冷房運転と除湿暖房運転の両方を実施することができる。
本実施形態に係る各蒸気圧縮式冷凍サイクル10D,10Fは、各蒸気圧縮式冷凍サイクル10,10Aに対して、エジェクタ14の昇圧部14dから流出した冷媒を蒸発させる第2蒸発器16と、第2蒸発器16の出口側に設けられ冷媒を減圧する第2絞り装置20とを備えている。そして、第1絞り装置17Aおよび第2絞り装置20は、冷媒の減圧量を略ゼロに調節可能に構成されている。この構成によれば、除湿暖房可能な冷凍サイクルを構築することができ、このサイクルを部品点数を抑えて実現することができる。
(第5施形態)
第5実施形態では、第1実施形態および第2実施形態の各冷凍サイクルの変形例である蒸気圧縮式冷凍サイクル10F,10Gについて図8〜図10にしたがって説明する。図8は蒸気圧縮式冷凍サイクル10Fの構成を示した模式図である。図9は、図8の蒸気圧縮式冷凍サイクル10Fに関するモリエル線図である。図10は、図8の変形例である蒸気圧縮式冷凍サイクル10Gを示した模式図である。図8および図10のそれぞれにおいて同一符号を付した構成部品は、図1および図2のそれぞれと同一の構成部品であり、同様の作用効果を奏する。
図8に示すように、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Fは、図1に示す蒸気圧縮式冷凍サイクル10に対して、気液分離器13の液冷媒流出側13bと第1絞り装置17との間を流れる高圧冷媒(高圧側冷媒通路)と、圧縮機11に吸入される低圧冷媒(低圧側冷媒通路)とが熱交換するように構成された内部熱交換器21を備えている点が異なっている。すなわち、内部熱交換器21は、高圧側冷媒通路および低圧側冷媒通路を備えて構成され、相互の通路が熱交換するように配置されている。
上記構成における蒸気圧縮式冷凍サイクル10Fの作動について図9にしたがって説明する。図9は、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Fのモリエル線図であり、横軸にエンタルピー(kJ/kg)、縦軸に圧力(MPa)を設定して表したものである。以下の説明では、前述の図2にしたがった説明に対して異なる部分のみを説明する。
図9に示すように、第2蒸発器16を流出した冷媒は、内部熱交換器21の低圧側冷媒通路に流入し、高圧側冷媒通路を通過する高圧冷媒と熱交換して加熱される(g2→g3)。そして、内部熱交換器21の低圧側冷媒通路で加熱された気相冷媒は、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される(g3→a1)。一方、気液分離器13内に溜まる液冷媒は、気液分離器13の液冷媒流出側13bから流出して内部熱交換器21の高圧側冷媒通路に流入し、低圧側冷媒通路を通過する低圧冷媒と熱交換して冷却され過冷却状態となる(h2→h3)。過冷却状態の冷媒は、第1絞り装置17で等エンタルピー的に減圧されて低圧冷媒となる(h3→i2)。この低圧冷媒i2は第1蒸発器15に流入し、第1蒸発器15で送風空気から吸熱して蒸発する(i2→j2)。この蒸発後の気相冷媒は吸引部14bからエジェクタ14内に吸引される。
上記の異なる構成に伴い、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Fによれば、内部熱交換器21における冷媒相互間の熱交換によって、気液分離器13の液冷媒流出側13bから流出した高圧冷媒が冷却されるので、第1蒸発器15および第2蒸発器16における冷媒入口と冷媒出口の間の冷媒のエンタルピー差を増大させて冷却能力を向上させることができる。したがって、冷凍サイクルの冷凍能力をさらに大きくすることができるため、冷凍サイクルの成績係数が向上し、さらなる高効率化が図れる。
また、図10に示すように、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Gは、図3に示す蒸気圧縮式冷凍サイクル10Aに対して、第2熱交換部12bと第1絞り装置17との間を流れる高圧冷媒(高圧側冷媒通路)と、圧縮機11に吸入される低圧冷媒(低圧側冷媒通路)とが熱交換するように構成された内部熱交換器21Aを備えている点が異なっている。この異なる構成により、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Gによれば、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Fと同様に、前述のように冷凍サイクルの成績係数の向上、さらなる高効率化が図れる。
内部熱交換器21,21Aとしては種々の構成を採用できるが、例えば二重管式の熱交換器を採用することができる。すなわち、二重管式の熱交換器は、低圧側冷媒通路を形成する外側管の内側に高圧側冷媒通路を形成する内側管を配置する構成とすることができる。
また、内部熱交換器21,21Aは第1絞り装置17と一体にして構成してもよい。例えば、第1絞り装置17をキャピラリチューブで構成し、このチューブを内側管とし、低圧側冷媒通路を形成する外側管の内側に配するようにしてもよい。この構成により、第1絞り装置17を通過するときの冷媒と圧縮機11の吸入側の冷媒とが熱交換される。したがって、第1絞り装置17を通過する冷媒は、内部熱交換器21,21Aで熱交換されながら同時に減圧されることになるため、さらに冷凍サイクルの効率向上が図れる。また装置の搭載性も向上する。
(第6実施形態)
第6実施形態では、第5実施形態の各冷凍サイクルの変形例である蒸気圧縮式冷凍サイクル10H,10Iについて図11および図12にしたがって説明する。図11は蒸気圧縮式冷凍サイクル10Hの構成を示した模式図である。図12は、図11の変形例である蒸気圧縮式冷凍サイクル10Iを示した模式図である。
図11および図12のそれぞれにおいて同一符号を付した構成部品は、図8および図10のそれぞれと同一の構成部品であり、同様の作用効果を奏する。図11に示すように、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Hは、図8に示す蒸気圧縮式冷凍サイクル10Fから第2蒸発器16を廃止したサイクルである。図12に示すように、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Hは、図10に示す蒸気圧縮式冷凍サイクル10Gから第2蒸発器16を廃止したサイクルである。
(第7実施形態)
第7実施形態では、第1実施形態および第2実施形態の各冷凍サイクルの変形例である蒸気圧縮式冷凍サイクル10J,10Kについて図13および図14にしたがって説明する。図13は蒸気圧縮式冷凍サイクル10Jの構成を示した模式図である。図14は図13の変形例である蒸気圧縮式冷凍サイクル10Kを示した模式図である。
図13および図14のそれぞれにおいて同一符号を付した構成部品は、図1および図3のそれぞれと同一の構成部品であり、同様の作用効果を奏する。図13に示すように、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Jは、図1に示す蒸気圧縮式冷凍サイクル10に対して、圧縮機11の吐出側と気液分離器13のガス冷媒流入側13aとを接続するバイパス通路22を備えている点が異なっている。この異なる構成に伴い、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Jによれば、圧縮機11から吐出される冷媒を直接、気液分離器13のガス冷媒流入側13aに流入させることができる。
また、図14に示すように、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Kは、図3に示す蒸気圧縮式冷凍サイクル10Aに対して、圧縮機11の吐出側と気液分離器13のガス冷媒流入側13aとを接続するバイパス通路22を備えている点が異なっている。この異なる構成に伴い、蒸気圧縮式冷凍サイクル10Kによれば、圧縮機11から吐出される冷媒を直接、気液分離器13のガス冷媒流入側13aに流入させることができる。
本実施形態に係る各蒸気圧縮式冷凍サイクル10J,10Kは、各蒸気圧縮式冷凍サイクル10,10Aに対して、バイパス通路22を備えることにより、圧縮機11から吐出された冷媒の一部を気液分離器13のガス冷媒流入側13aに流入させることができる。これによれば、気液分離器13のガス冷媒流入側13aに直接流入させる吐出冷媒量を制御することが可能になり、気液分離器13内の気液界面高さを制御することが容易になる。したがって、気液界面の制御性が向上し、冷凍サイクルの効率向上にも寄与する。
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
上記実施形態における蒸気圧縮式冷凍サイクル10は、給湯機用または室内空調用のヒートポンプサイクルとして使用することができる。また、その設置場所は車両のような移動体や定位置に置かれた固定体である。
また、上記実施形態においては冷媒としてR404Aを用いているが、これに限定するものではない。例えば、フロン系冷媒、HC系冷媒、二酸化炭素冷媒などの蒸気圧縮式の超臨界サイクルおよび亜臨界サイクルのいずれに適用できるものであってもよい。
また、エジェクタ14は、2段ノズル構造にして吸入流量を増加させてもよい。また、エジェクタ14は、流路開度が一定である固定式エジェクタに限定するものではなく、弁体等を進退させることによりノズル部14aの流路開度を制御する可変式エジェクタで構成してもよい。
第1実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍サイクルの構成を示した模式図である。 図1の蒸気圧縮式冷凍サイクルに関するモリエル線図である。 第2実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍サイクルの構成を示した模式図である。 第3実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍サイクルの構成を示した模式図である。 図4の変形例である蒸気圧縮式冷凍サイクルを示した模式図である。 第4実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍サイクルの構成を示した模式図である。 図6の変形例である蒸気圧縮式冷凍サイクルの構成を示した模式図である。 第5実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍サイクルの構成を示した模式図である。 図8の蒸気圧縮式冷凍サイクルに関するモリエル線図である。 図8の変形例である蒸気圧縮式冷凍サイクルの構成を示した模式図である。 第6実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍サイクルの構成を示した模式図である。 図11の変形例である蒸気圧縮式冷凍サイクルの構成を示した模式図である。 第7実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍サイクルの構成を示した模式図である。 図13の変形例である蒸気圧縮式冷凍サイクルの構成を示した模式図である。
符号の説明
11…圧縮機
12…高圧側熱交換器
12a…第1熱交換部
12b…第2熱交換部
13…気液分離器
13b…液冷媒流出側
14…エジェクタ
14a…ノズル部
14b…吸引部
14d…昇圧部
15…第1蒸発器(吸引側蒸発器)
16…第2蒸発器(流出側蒸発器)
17,17A…第1絞り装置(第1減圧装置)
18…除霜用通路
19…電磁弁(開閉手段)
21,21A…内部熱交換器
22…バイパス通路

Claims (9)

  1. 吸入した冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)および前記圧縮機から吐出された冷媒の熱を放熱する高圧側熱交換器(12)を備え、
    前記高圧側熱交換器は冷媒流れ方向に直列に設けられる第1熱交換部(12a)と第2熱交換部(12b)を含み、前記第1熱交換部と前記第2熱交換部との間で冷媒の気液を分離する気液分離器(13)を備え、
    前記圧縮機から吐出されたガス冷媒を前記第1熱交換部で放熱させ、前記気液分離器で気液分離されたガス冷媒を前記第2熱交換部に流入させて凝縮する蒸気圧縮式冷凍サイクルであって、
    ノズル部(14a)、吸引部(14b)および昇圧部(14d)を有し、前記第2熱交換部から流出した冷媒を前記ノズル部から取り入れて減圧膨張させて高速度の冷媒流を形成するとともに、前記高速度の冷媒流によって冷媒を前記吸引部から吸引し、前記高速度の冷媒流と前記吸引部からの吸引冷媒とを混合した冷媒流の速度を前記昇圧部で減少して圧力を上昇させるエジェクタ(14)と、
    前記気液分離器の液冷媒流出側(13b)と接続されて液冷媒を減圧する第1減圧装置(17)と、
    上流側が前記第1減圧装置に接続されるとともに下流側が前記エジェクタの吸引部に接続され、前記第1減圧装置で減圧された冷媒を蒸発させて前記エジェクタの吸引部に流出する吸引側蒸発器(15)と、
    を備えることを特徴とする蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  2. 吸入した冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)および前記圧縮機から吐出された冷媒の熱を放熱する高圧側熱交換器(12)を備え、
    前記高圧側熱交換器は冷媒流れ方向に直列に設けられる第1熱交換部(12a)と第2熱交換部(12b)を含み、前記第1熱交換部と前記第2熱交換部との間で冷媒の気液を分離する気液分離器(13)を備え、
    前記圧縮機から吐出されたガス冷媒を前記第1熱交換部で放熱させ、前記気液分離器で気液分離されたガス冷媒を前記第2熱交換部に流入させて凝縮する蒸気圧縮式冷凍サイクルであって、
    ノズル部(14a)、吸引部(14b)および昇圧部(14d)を有し、前記ノズル部から取り入れた冷媒を減圧膨張させて高速度の冷媒流を形成するとともに、前記高速度の冷媒流によって冷媒を前記吸引部から吸引し、前記高速度の冷媒流と前記吸引部からの吸引冷媒とを混合した冷媒流の速度を前記昇圧部で減少して圧力を上昇させるエジェクタ(14)と、
    前記第2熱交換部で凝縮された冷媒を減圧する第1減圧装置(17)と、
    上流側が前記第1減圧装置に接続されるとともに下流側が前記エジェクタの吸引部に接続され、前記第1減圧装置で減圧された冷媒を蒸発させて前記エジェクタの吸引部に流出する吸引側蒸発器(15)と、
    を備え、
    前記気液分離器の液冷媒流出側(13b)は前記エジェクタの前記ノズル部に接続されており、前記気液分離器で分離された液冷媒は前記ノズル部に流入することを特徴とする蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  3. さらに、前記エジェクタの前記昇圧部から流出した冷媒を蒸発させる流出側蒸発器(16)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  4. 前記吸引側蒸発器の出口側の冷媒を減圧する第2減圧装置(20)を設け、
    前記第1減圧装置(17A)および前記第2減圧装置は、冷媒の減圧量を略ゼロに調節できるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  5. 前記圧縮機の吐出側と前記吸引側蒸発器の流入側とを接続する除霜用通路(18)と、前記除霜用通路を開閉する開閉手段(19)と、を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  6. 前記第1減圧装置の上流側の冷媒と前記圧縮機の吸入側の冷媒とを熱交換する内部熱交換器(21,21A)を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  7. 前記内部熱交換器は前記第1減圧装置と一体となって構成されており、前記第1減圧装置を通過するときの冷媒と前記圧縮機の吸入側の冷媒とが熱交換されることを特徴とする請求項6に記載の蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  8. 前記圧縮機の吐出側と前記気液分離器のガス冷媒流入側とを接続するバイパス通路(22)を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  9. 前記エジェクタは減圧するための流路開度が固定式であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の蒸気圧縮式冷凍サイクル。
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