JP2010034267A - ブロードエリア型半導体レーザ素子、ブロードエリア型半導体レーザアレイ、レーザディスプレイおよびレーザ照射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高出力動作時において電流狭窄構造の側面からの劣化を抑制することが可能なブロードエリア型半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】リッジ部20の幅を共振器方向で一定とし、コンタクト層19に、広領域31と狭領域32との変調構造2を形成する。広領域31では、コンタクト層19の幅はリッジ部20と同じ幅とする。一方、狭領域32では、コンタクト層19に切込み19Aを設けることにより、コンタクト層19の幅をリッジ部20の幅よりも狭くする。狭領域32では、電流が注入されず、利得が低下する。半導体積層構造10Aのコンタクト層19以外の層の一部には、狭領域32の切込み19Aに、第1不純物拡散領域33を形成する。第1不純物拡散領域33では、不純物拡散によりバンドギャップが拡大し、光吸収による発熱が抑えられ、リッジ部20の側面からの劣化が抑制される。
【選択図】図4
【解決手段】リッジ部20の幅を共振器方向で一定とし、コンタクト層19に、広領域31と狭領域32との変調構造2を形成する。広領域31では、コンタクト層19の幅はリッジ部20と同じ幅とする。一方、狭領域32では、コンタクト層19に切込み19Aを設けることにより、コンタクト層19の幅をリッジ部20の幅よりも狭くする。狭領域32では、電流が注入されず、利得が低下する。半導体積層構造10Aのコンタクト層19以外の層の一部には、狭領域32の切込み19Aに、第1不純物拡散領域33を形成する。第1不純物拡散領域33では、不純物拡散によりバンドギャップが拡大し、光吸収による発熱が抑えられ、リッジ部20の側面からの劣化が抑制される。
【選択図】図4
Description
本発明は、ブロードエリア型半導体レーザ素子およびこれを有するブロードエリア型半導体レーザアレイに係る。また、本発明は、それらを用いたレーザディスプレイおよびレーザ照射装置に関する。
導波路の幅、すなわちストライプ幅を広げた、いわゆるブロードエリア型半導体レーザは、小型・高信頼性で低コストの高出力レーザ光源として、ディスプレイ,印刷機器,光ディスク初期化装置、材料の加工または医療などさまざまな分野に利用されている。一般に、ブロードエリア型と呼ばれる半導体レーザでは、ストライプ幅が少なくとも5μm以上で、そのほとんどは10μm以上、最大で数百μm程度となっている。
最近では、これらの応用分野においては出力の高いことが望ましい場合が多く、高出力半導体レーザに対する要望が高まっている。注入電流量を増やすことにより出力を高くすることは可能ではあるが、従来は、注入電流量を増やし過ぎると、蓄熱によって光出力が低下するなどレーザ特性に悪影響が生じることが問題となっていた。しかし、近年の量子効率の向上に伴い、光出力が低下する問題は解決されてきており、最近では、光共振器を構成しているへき開面における光子密度の増大によるCOD(Catastrophic Optical Damage )が問題となってきている。
ところで、ブロードエリア型半導体レーザのNFP(Near Field Pattern)は多数の横モードの重ね合わせであって、リッジ(電流狭窄構造)下の光強度がほぼ一定になるトップハット型が理想とされている。光出力が一定の駆動条件ではトップハット型において端面における最大光子密度が最も低くなる。逆に、トップハット型が乱れてNFPにいくつかのピークが現れる場合では、そのピークに光が集中するため最大光子密度が高くなる。ブロードエリア型半導体レーザにおけるCODは端面の一部のみで生じることが知られている。すなわち、NFPのピーク位置で局所的なCODが発生する(例えば、非特許文献1参照。)。
このようなブロードエリア型半導体レーザのCOD耐性を上げるひとつの手法として、NFPをよりトップハット型に近づけるという方法がある。ブロードエリア型半導体レーザでは、注入電流によるプラズマ効果によりリッジ中央部の屈折率が低下することが知られている(例えば特許文献2参照。)。従って、ストライプ幅が数μm程度のナローストライプ型半導体レーザのような無吸収の誘電膜埋め込みリッジ構造では、横方向の屈折率分布が低−高−低−高−低となるため、リッジ側部のNFPが強くなるサイドピークが顕著になる。このようなサイドピークが現れると、部分的に光子密度が高くなりCODが生じやすくなる。そこで、ブロードエリア型半導体レーザにおいてトップハット型のNFPを実現する手法として、金属埋め込みリッジ構造によるロスガイド構造が報告されている。この構造では、サイドピークが発生する部位の吸収損失を大きくすることによりピークの発生が抑制される。
ブロードエリア型半導体レーザのCOD耐性を上げる他の手法として、端面CODを抑制するための不純物拡散窓構造を形成することも有効である。ナローストライプ型半導体レーザでは広く用いられている手法であり、近赤外域に発振波長を有するAs系の活性層や、赤色帯に発振波長を有するP系の活性層を備えた半導体レーザでは、端面およびその近傍にZnやSi等の不純物を拡散させる(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。このように、不純物を端面およびその近傍に拡散させることにより、主としてIII族原子を不純物と置換して活性層のディスオーダリングを行い、活性層のうち不純物が拡散された領域のバンドギャップを、活性層のうち不純物が拡散されていない領域(利得領域)のバンドギャップよりも大きくし、活性層の利得領域で発生したレーザ光が端面およびその近傍において吸収され、熱に変換される割合を低減している。
M. Bou Sanayeh ,et al.、「Temperature-power dependence of catastrophic optical damage in AlGaInP laser diodes」、Applied Physics Letters 、2007年、91、041115 T.Asatsuma,et al.、Proc.SPIE 、2006年、第6104巻、61040C 特許第3718952号明細書
特開2006−294879号公報
M. Bou Sanayeh ,et al.、「Temperature-power dependence of catastrophic optical damage in AlGaInP laser diodes」、Applied Physics Letters 、2007年、91、041115 T.Asatsuma,et al.、Proc.SPIE 、2006年、第6104巻、61040C
しかしながら、本発明者の実験の結果、ブロードエリア型半導体レーザに不純物拡散窓構造を採用したところ、高出力駆動時に別の箇所でCODが生じることが明らかになった。劣化したブロードエリア型半導体レーザの基板をエッチングにより除去し、リッジストライプ下の活性層をCL(Cathode Luminescence)法により測定した結果、リッジ側面からDLD(Dark Line Defect)が発生していることが分かった。
このような劣化は、NFPが多数の横モードの重ね合わせであるブロードエリア型半導体レーザに特有の現象である。上述したようにブロードエリア型半導体レーザはリッジ下の光強度がほぼ一定になるトップハット型が理想とされ、ロスガイド構造が採用されている。従って、リッジ側面の光吸収による発熱によりDLDが発生したと考えられる。一方、横基本モード発振する無吸収の誘電膜埋め込みリッジ構造のナローストライプ型半導体レーザでは、リッジ中心で光子密度が最大になるため、サイドピークによるリッジ側面のDLDは発生しない。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高出力動作時において電流狭窄構造の側面からの劣化を抑制することが可能なブロードエリア型半導体レーザ素子およびこれを有するブロードエリア型半導体レーザアレイ、並びにそれらを用いたレーザディスプレイおよびレーザ照射装置を提供することにある。
本発明のブロードエリア型半導体レーザ素子は、基板上に、活性層を含む複数の層を有すると共に、複数の層のうち最上層のコンタクト層を含む一部に、活性層へ注入される電流を狭窄する帯状の電流狭窄構造が形成された半導体積層構造と、活性層および電流狭窄構造を間にして電流狭窄構造の延在方向に対向する一対の端面とを備え、コンタクト層は、電流狭窄構造と同じ幅の広領域と、切込みが設けられることにより電流狭窄構造よりも幅が狭くなっている狭領域とを有し、半導体積層構造のうちコンタクト層以外の一部は、狭領域の切込みに形成され、活性層の発光波長に相当するエネルギーよりも大きなバンドギャップを有する第1不純物拡散領域と、一対の端面のうち少なくとも一方およびその近傍に形成され、活性層の発光波長に相当するエネルギーよりも大きなバンドギャップを有する第2不純物拡散領域とを有するものである。
本発明のブロードエリア型半導体レーザアレイは、複数のブロードエリア型半導体レーザ素子を有するものであって、複数のブロードエリア型半導体レーザ素子の各々は、上記本発明のブロードエリア型半導体レーザ素子により構成されているものである。
本発明のレーザディスプレイは、複数のブロードエリア型半導体レーザ素子を有するブロードエリア型半導体レーザアレイを備えたものであって、複数のブロードエリア型半導体レーザ素子の各々は、上記本発明のブロードエリア型半導体レーザ素子により構成されているものである。
本発明のレーザ照射装置は、複数のブロードエリア型半導体レーザ素子を有するブロードエリア型半導体レーザアレイを備えたものであって、複数のブロードエリア型半導体レーザ素子の各々は、上記本発明のブロードエリア型半導体レーザ素子により構成されているものである。
本発明によるブロードエリア型半導体レーザ素子では、コンタクト層が、電流狭窄構造と同じ幅の広領域と、切込みが設けられることにより電流狭窄構造よりも幅が狭くなっている狭領域とを有しているので、狭領域では、電流が注入されず、利得が低下する。また、半導体積層構造のうちコンタクト層以外の一部には、狭領域の切込みに第1不純物拡散領域が形成されているので、この第1不純物拡散領域では、不純物拡散によりバンドギャップが拡大し、光吸収による発熱が抑えられる。よって、高出力動作時において電流狭窄構造の側面からの劣化が抑制される。従って、このブロードエリア型半導体素子を用いてブロードエリア型半導体レーザアレイを構成すれば、少ない素子数で高出力を得ることが可能となり、高出力を必要とするレーザディスプレイまたはレーザ照射装置などの応用に極めて好適である。
本発明のブロードエリア型半導体レーザ素子によれば、コンタクト層に狭領域を設けると共に、この狭領域の切込みに第1不純物拡散領域を設けるようにしたので、狭領域への電流注入をなくして利得を低下させると共に、光吸収による発熱を抑え、高出力動作時において電流狭窄構造の側面からの劣化を抑制することができる。よって、このブロードエリア型半導体素子を用いてブロードエリア型半導体レーザアレイを構成すれば、少ない素子数で高出力を得ることが可能となり、高出力を必要とするレーザディスプレイまたはレーザ照射装置などの応用に極めて好適である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るブロードエリア型半導体レーザ素子1の概略構成を斜視的に表したものである。図2は、図1に示したブロードエリア型半導体レーザ素子1の前端面S1および後端面S2の平面構成を表したものである。図3は、図1に示したブロードエリア型半導体レーザ素子1のIII−III矢視方向(共振器方向)の断面構成を表したものである。
このブロードエリア型半導体レーザ1素子は、基板10上に、バッファ層11、下部クラッド層12、下部ガイド層13、活性層14、上部ガイド層15、上部クラッド層16A、ストップ層17、上部クラッド層16B、中間層18およびコンタクト層19を基板10側からこの順に積層してなる半導体積層構造10Aを備えたものである。この半導体積層構造10Aの上部、具体的には、上部クラッド層16B、中間層18およびコンタクト層19には、ストライプ状のリッジ部20が形成されている。リッジ部20は、活性層14へ注入される電流を狭窄する電流狭窄構造としての機能を有するものであり、ブロードエリア型半導体レーザ素子1においてはリッジ部20の幅は10μm以上、典型的には50μm以上400μm以下である。
基板10は、例えばn型GaAsからなる。バッファ層11は、例えばn型GaInPからなる。下部クラッド層12は、例えばn型AlInPからなる。ここで、上記各層に含まれるn型不純物としては、例えばケイ素(Si)が挙げられる。
下部ガイド層13は、例えばノンドープのAlGaInPからなる。活性層14は、例えばノンドープのGaInPからなる。この活性層14において、リッジ部20との対向領域が発光領域14Aとなる。この発光領域14Aは、リッジ部20で狭窄された電流が注入される電流注入領域に対応している。上部ガイド層15は、例えばノンドープのAlGaInPからなる。
上部クラッド層16A,16Bは、例えばp型AlInPからなり、上部クラッド層16Bがリッジ部20の底部に設けられている。ストップ層17は、例えばp型GaInPからなり、後述の製造工程においてリッジ部20を形成する際のエッチングストップ層として機能する。中間層18は、例えばp型GaInPからなり、リッジ部20内で上部クラッド層16Bとコンタクト層19との間に設けられている。ここで、上記各層に含まれるp型不純物としては、例えばマグネシウム(Mg)が挙げられる。コンタクト層19は、例えばp型GaAsからなり、半導体積層構造10Aの最上層をなすものであると共に、リッジ部20の最上部(上面)に設けられている。ここで、コンタクト層19に含まれるp型不純物としては、上記各層に含まれる不純物とは異なる不純物、例えば亜鉛(Zn)が挙げられ、その濃度は、例えば1×1018atoms/cm3 から3×1019atoms/cm3 程度と、高濃度となっている。
リッジ部20の幅、すなわち中間層18および上部クラッド層16Bの幅は共振器方向で一定である。一方、コンタクト層19は、図4に示したように、変調構造2を有しており、その幅が共振器方向で変化している。すなわち、コンタクト層19は、幅の広い広領域31と、幅の狭い狭領域32とを有している。
広領域31では、コンタクト層19の幅はリッジ部20の幅、すなわち中間層18および上部クラッド層16Bとほぼ同じ幅である。ここで「ほぼ同じ」というのは、選択ウェットエッチングによりリッジ部20を形成した場合、なだらかな傾斜になり0.5μm程度の差が生じるからである。
一方、狭領域32では、コンタクト層19に切込み19Aが設けられることにより、コンタクト層19の幅がリッジ部20の幅よりも狭くなっている。更に、半導体積層構造10Aのコンタクト層19以外の一部(例えば、中間層18ないし下部ガイド層13)には、狭領域32の切込み19Aに、図5に示したように、亜鉛(Zn),マグネシウム(Mg),ケイ素(Si)などの不純物が拡散された第1不純物拡散領域33が形成されている。第1不純物拡散領域33は、活性層14の発光波長に相当するエネルギーよりも大きなバンドギャップを有している。これにより、このブロードエリア型半導体レーザ素子1では、高出力動作時においてリッジ部20の側面からの劣化を抑制することができるようになっている。
コンタクト層19の最大幅W31(広領域31における幅)と最小幅W32(狭領域32における幅)との差dW(リッジ部20両側の狭領域32の合計幅)は、例えば、4μm以上であることが好ましく、4μm≦dW≦20μmであればより好ましい。4μm未満では、リッジ部20内(例えば、上部クラッド層16Bまたは上部ガイド層15など)の電流拡散により狭領域32に十分な利得が生じてしまい、NFPのサイドピークが十分に抑制されず、リッジ部20の側面からの劣化が発生しやすくなってしまうからである。また、20μmよりも大きくなると、リッジ部20の中央のNFPが強くなりやすく、トップハット形状が得られにくくなるからである。
なお、切込み19Aは、リッジ部20の幅方向(共振器方向および積層方向に直交する方向)の左右両側に、対称に設けられていることが望ましい。NFPの左右バランスを整えるためである。また、狭領域32の幅は、リッジ部20の両側で異なっていてもよい。ただし、その場合も、コンタクト層19の最大幅W31(広領域31における幅)と最小幅W32(狭領域32における幅)との差dWは、上述したように、例えば、4μm以上であることが好ましく、4μm≦dW≦20μmであればより好ましい。
狭領域32は、リッジ部20の延在方向における複数個所(図1では3箇所)に形成されていることが好ましい。その理由は、以下の通りである。狭領域32を一箇所だけ形成した場合、狭領域32の共振器方向における長さ(以下、単に長さという。)が短すぎると、リッジ部20内の電流拡散により狭領域32に十分な利得が生じてしまい、NFPのサイドピークが十分に抑制されず、リッジ部20の側面からの劣化が発生しやすくなってしまうからである。一方、狭領域32を一箇所だけ形成し、その長さを長くした場合には、狭領域32への横モードの引き込みが強くなり、NFPがゲインガイド発振に近い形状になる。従って、適切な長さの狭領域32を、リッジ部20内の複数個所に形成することが望ましい。
具体的には、狭領域32の長さは例えば10μm以上200μm未満であることが好ましい。10μm未満では、後述する製造工程において制御性よく不純物拡散を行うことが難しくなるからである。また、200μmよりも長いと、上述したように狭領域32への横モードの引き込みが強くなるからである。
更に、半導体積層構造10Aの上面(リッジ部20の上面および両側面と、ストップ層17の上面のうちリッジ部20との対向部分以外の面)のうちリッジ部20の中央部分以外の部分には、埋め込み層21が形成されている。埋め込み層21は、例えば、SiO2 ,SiN,Al2 O3 ,TiO2 ,Ta2 O3 ,ZrO2 などの誘電体により構成されている。これにより、リッジ部20の側面には、誘電体よりなる埋め込み層21により、吸収損失の低いリアルインデックスガイド構造が構成されており、上述した第1不純物拡散領域33との相乗効果により、共振器方向に平均化したリッジ部20の側面近傍の吸収損失を更に小さくし、NFPのリッジ部20側面近傍のサイドピークを抑制できるようになっている。
埋め込み層21は、リッジ部20の中央部分との対向領域に開口(図示せず)を有している。この開口の端縁は、リッジ部20の上面にあってもよいが、広領域31または狭領域32に関わらず、コンタクト層19の縁から5μm以下であることが望ましい。埋め込み層21とコンタクト層19の重なり合いが5μm以上になると、後述する上部電極22とコンタクト層19との接触面積が低下することによりコンタクト抵抗が上昇したり、コンタクト層19内における電流広がりが十分でないことによりリッジ部20の中央でのNFPの集中などの問題が生じるおそれがあるからである。
更に、このブロードエリア型半導体レーザ素子1は、活性層14およびリッジ部20間にして、リッジ部20の延在方向に対向する一対の端面すなわち前端面S1,後端面S2を有している。すなわち、ブロードエリア型半導体レーザ素子1は、前端面S1および後端面S2により構成された共振器を有する端面発光型の半導体レーザである。前端面S1および後端面S2は、誘電膜(図示せず)により覆われている。
前端面S1と後端面S2との少なくとも一方(図1ないし図3では両方)およびその近傍には、例えば亜鉛(Zn)などの不純物が拡散された第2不純物拡散領域30が形成されている。第2不純物拡散領域30は、活性層14の発光波長に相当するエネルギーよりも大きなバンドギャップを有している。
第2不純物拡散領域30の近傍のコンタクト層19は、広領域31であることが望ましい。また、広領域31の長さは50μm以上であることが望ましい。第2不純物拡散領域30近傍のコンタクト層19が狭領域32である場合、または広領域31の長さが短い場合には、NFPの中央部が強くなったり、波面が湾曲するために非点収差が大きくなったりしてしまうからである。
なお、第2不純物拡散領域30はコンタクト層19を有していない。第2不純物拡散領域30は、埋め込み層21で覆われていてもよいし、別の誘電体膜で覆われていてもよい。あるいは、後述する上部電極22に直接覆われていてもよい。
加えて、このブロードエリア型半導体レーザ素子1は、リッジ部20の中央領域の上面および両側面を含む表面上に上部電極22を有しており、基板10の裏面に下部電極23を有している。上部電極22は、例えば、チタン(Ti)、白金(Pt)および金(Au)をリッジ部20側からこの順に積層したものであり、リッジ部20のコンタクト層19と電気的に接続されている。下部電極23は、例えば金(Au)とゲルマニウム(Ge)との合金、ニッケル(Ni)および金(Au)とを基板10側からこの順に積層した構造を有しており、基板10と電気的に接続されている。
このような構成の半導体レーザ1は、例えば次のようにして製造することができる。
上記の構成で例示した化合物半導体で半導体レーザ1を製造するためには、基板10上の半導体積層構造10Aを、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition ;有機金属化学気相成長)法により形成する。この際、化合物半導体の原料としては、例えば、トリメチルアルミニウム(TMAl)、トリメチルガリウム(TMGa )、トリメチルインジウム(TMIn)、フォスフィン(PH3 )、アルシン(AsH3 )を用い、ドナー不純物の原料としては、例えばモノシラン(SiH4 )を用い、アクセプタ不純物の原料としては、例えばビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)や、ジメチルジンク(DMZn)を用いる。
まず、図6に示したように、基板10上に、バッファ層11、下部クラッド層12、下部ガイド層13、活性層14、上部ガイド層15、上部クラッド層16A、ストップ層17、上部クラッド層16B、中間層18およびコンタクト層19をこの順に積層する。
次いで、図7に示したように、コンタクト層19上に例えばレジストよりなるマスク層(図示せず)を形成し、例えば燐酸系のエッチャントを用いて、リッジ部20の形成予定領域20A(図7において点線で示した位置)を除き、コンタクト層19を選択的に除去する。その際、リッジ部20の形成予定領域20A内には、切込み19Aを設けて広領域31および狭領域32よりなる変調構造2を形成すると共に、後にへき開により前端面S1および後端面S2となる部分の近傍に溝40を設ける。また、切込み19A内には、コンタクト層19を残して島状部分19Bを形成し、この島状部分19Bの周囲に溝41を設ける。コンタクト層19が除去された部分は、中間層18が露出する。図7では、露出した中間層18に網掛けを付して示している。その後、マスク層を除去する。
続いて、図8に示したように、全面にSiO2 よりなるハードマスク層50を形成し、このハードマスク層50に、フッ酸系のエッチャントを用いて、前端面S1および後端面S2となる部分と溝40との間に開口51を設けると共に、島状部分19Bに対応して、島状部分19Bよりも小さい開口52を設ける。
そののち、全面に、ZnO膜(図示せず)を例えば100nm〜500nm程度の厚さで形成する。これにより、開口51でZnO膜とコンタクト層19とが接触すると共に、開口52でZnO膜と島状部分19Bとが接触する。
このとき、開口51の縁は、前端面S1または後端面S2に接するコンタクト層19と溝40との間の境界線40Aから、前端面S1側または後端面S2側に50μm以下に形成することが好ましく、10μm以下に形成することがより好ましい。また、開口52の縁は、島状部分19Aの縁から50μm以下に形成することが好ましく、10μm以下に形成することがより好ましい。後のアニール工程によるZn固相拡散において、コンタクト層19または島状部分19BがZn拡散のバッファ効果を有することにより、面内均一拡散を可能とすることができるからである。また、コンタクト層19または島状部分19Bの直下にZn拡散されるため、Zn拡散形状を急峻にすることができるからである。特に、狭領域32においてZn拡散形状がなだらかになると、リッジ部20の中央部までZn拡散することになり、リッジ部20の中央部における利得が低下してしまうおそれがある。一方、50μm以上では、コンタクト層19または島状部分19B内でのZn横拡散が十分できず、開口51,52の形状やZnOのグレイン形状に依存した面内不均一拡散が生じる。このような不均一拡散が行われると、横モードの不均一や不安定性が誘発される。特にブロードエリア型半導体レーザでは、不均一拡散により、容易にNFPのトップハット形状が乱れ、COD値が低下してしまう。また、Zn拡散形状がなだらかになるため利得が低下してしまう。
ZnO膜を形成したのち、このZnO膜を含む表面全体に渡って、例えばSiO2 からなるキャップ層(図示せず)を形成する。このキャップ層は、後のアニール工程においてZn原子が気相中に脱離するのを防止する役割を有している。
キャップ層を形成したのち、例えばN2 雰囲気中で500℃から600℃程度の温度で10分から2時間程度、アニールを行う。これにより、ZnO膜に含まれるZn原子がコンタクト層19または島状部分19Bを介して活性層14、更には下部クラッド層12にまで拡散するので、Zn原子の拡散した領域において、主としてIII族原子とZn原子との置換を経由してIII族原子の相互置換による活性層14のディスオーダリングが行われ、活性層14のうちZn原子が拡散された領域のバンドギャップが、活性層14のうちZn原子が拡散されていない領域(利得領域)のバンドギャップよりも大きくなる。これにより、第1不純物拡散領域33および第2不純物拡散領域30が形成される。
ここで、MgがドープされているAlGaInP層におけるZn拡散速度と、高濃度(例えば1×1018atoms/cm3 から3×1019atoms/cm3 程度)のZnがドープされているGaAs層におけるZn拡散速度とを比べると、前者の方が後者の方よりも小さい。このことから、本実施の形態において、上部クラッド層16A、ストップ層17、上部クラッド層16Bおよび中間層18をAlInP、GaInP、AlGaInPなどのP系化合物半導体で形成し、かつ、これらの層に対してp型不純物としてMgをドープすると共に、コンタクト層19をGaAsで形成し、かつ、コンタクト層19に対してp型不純物として高濃度のZnをドープした場合には、上部クラッド層16A、ストップ層17、上部クラッド層16Bおよび中間層18におけるZn拡散速度がコンタクト層19におけるZn拡散速度よりも小さくなることがわかる。そのため、上記したように、固相拡散法を用いてZnO膜に含まれるZn原子を半導体積層構造10A中に拡散させた場合には、ZnO膜に含まれるZn原子がコンタクト層19直下の中間層18に拡散しにくいので、コンタクト層19内を横拡散していく。その結果、コンタクト層19が、拡散していくZn原子のバッファとして機能するので、ZnO膜がグレイン形状となっていた場合であっても、前端面S1および後端面S2となる部分と溝40との間に挟まれたコンタクト層19の直下で、または島状部分19Bの直下でZn原子を均一に拡散させることができる。
アニールを行ったのち、例えばフッ酸系のエッチャントでキャップ層を除去し、続いて、例えば塩酸系のエッチャントでZnO膜を除去し、そののち、例えばフッ酸系のエッチャントでハードマスク層50を除去する。
キャップ層,ZnO膜およびハードマスク層50を除去したのち、図9に示したように、例えばリン酸系のエッチャントを用いて、前端面S1および後端面S2となる部分と溝40との間に挟まれたコンタクト層19と、島状部分19Bとを除去し、これらの部分にも中間層18を露出させる。このとき除去されたコンタクト層19および島状部分19Bには、Zn固相拡散により格子間Znが多量に含有されている場合があり、従って、除去しない場合にはレーザ駆動時に欠陥を誘発するなど寿命を低下させる要因になるからである。また、このほか、後述する再アニールにおいて、周囲に拡散して素子特性を悪化させるおそれがあるからである。
そののち、必要に応じて、例えばN2,AsH3 またはPH3 雰囲気中で500℃から750℃程度の温度で10分〜2時間程度、再アニールを行ってもよい。これにより、半導体積層構造10A内に拡散したZn原子がIII族サイトに確実に納まり、半導体積層構造10Aの結晶性が向上する。なお、結晶性の向上の有無は、PL(フォトルミネッセンス)を測定し、長波長域にブロードに広がる深い準位からの発光が抑制されているか否かを観察することにより確認することが可能である。
再アニールを行ったのち、コンタクト層19を含む表面上にマスク層(図示せず)を形成し、例えば塩酸系のエッチャントを用いて、中間層18および上部クラッド層16Bを選択的に除去する。このとき、ストップ層17がエッチングストップ層として機能するので、エッチングはストップ層17が露出した段階で停止する。これにより、図10に示したように、ストライプ状のリッジ部20が形成される。その後、マスク層を除去する。
その後、埋め込み層21、上部電極22、下部電極23を形成したのち、へき開により前端面S1および後端面S2を形成する。このようにして、本実施の形態の半導体レーザ1が製造される。
なお、第1不純物拡散領域33は、リッジ部20を形成した後に形成することも可能である。
次に、本実施の形態のブロードエリア型半導体レーザ素子1の作用および効果について説明する。
このブロードエリア型半導体レーザ素子1では、上部電極22と下部電極23との間に所定の電圧が印加されると、リッジ部20およびコンタクト層19の変調構造2によって電流狭窄され、活性層14の電流注入領域(発光領域14A)に電流が注入され、これにより電子と正孔の再結合による発光が生じる。この光は、一対の前端面S1および後端面S2により反射され、所定の波長でレーザ発振を生じ、レーザビームとして外部に射出される。
ところで、本実施の形態では、一対の前端面S1および後端面S2のうち少なくとも一方の端面およびその近傍に第2不純物拡散領域30が設けられている。これにより、活性層14の中央領域(利得領域)で発生したレーザ光が、前端面S1,後端面S2およびその近傍において吸収されて熱に変換される割合が低減される。よって、第2不純物拡散領域30を設けていない場合と比べて、COD値を向上させることができる。
また、コンタクト層19は、リッジ部20と同じ幅の広領域31と、切込み19Aが設けられることによりリッジ部20よりも幅が狭くなっている狭領域32との変調構造2を有しているので、狭領域32には電流が注入されず、リッジ部20の側面近傍での利得が低くなる。よって、共振器方向で積算したリッジ部20内の利得分布は、図11に示したように、リッジ部20の側面近傍で利得が下がる。
更に、半導体積層構造10Aのコンタクト層19以外の一部(例えば、中間層18ないし下部ガイド層13)には、狭領域32の切込み19Aに、第1不純物拡散領域33が形成されているので、この第1不純物拡散領域33では、不純物拡散により活性層14のバンドギャップが拡大しており、レーザ波長における吸収損失が小さくなる。そのため、活性層14の中央領域(利得領域)で発生したレーザ光が狭領域32において吸収されて熱に変換される割合が低減される。よって、光吸収による発熱が抑えられ、高出力動作時においてリッジ部20の側面からの劣化が抑制される。
加えて、リッジ部20の側面に誘電体よりなる埋め込み層21が形成されたリアルインデックスガイド構造とされているので、吸収損失が低くなっている。よって、共振器方向に平均化したリッジ部20の側面近傍の吸収損失が更に小さくなり、これによりNFPのリッジ部20の側面近傍のサイドピークが抑制される。
これに対して、第1不純物拡散領域33が形成されていない場合、狭領域32における活性層14のバンドギャップが拡大されていないため、レーザ波長に対して可飽和吸収特性を示す。活性層14はリッジ部20の側面における発熱に対してバンドギャップが収縮するため、レーザ波長に対して吸収係数が非線形に増加する。すなわち、第1不純物拡散領域33が形成されている場合に比べて劣化しやすくなる。
一方、上述した従来構造(以下、従来構造Aという。)のように、コンタクト層の幅が均一であると共に、リッジ部の側面が誘電体で埋め込まれたリアルインデックスガイド構造では、注入電流に起因したリッジ中央部のプラズマ効果により、中央部の屈折率が低下し、NFPにサイドピークが顕著に現れてしまう。NFPにこのようなサイドピークがあると、光学機器や光学部品との結合係数が低下するほか、ピーク位置の光子密度が高くなるので端面またはリッジ側面で損傷が発生しやすくなる。
また、他の従来構造(以下、従来構造Bという。)のように、コンタクト層の幅を均一とすると共に、リッジ部の側面を金属で埋め込んだロスガイド構造では、図12に示したように、リッジ部の側面における光吸収により、サイドピークは抑制された。しかしながら、高出力動作時に、リッジ部の側面での光吸収により発熱が大きくなり、端面と同様に、リッジ部の側面でCODが発生する。
このことを明らかにするため、本発明者は、従来構造Bを有すると共に第2不純物拡散領域を有しないブロードエリア型半導体レーザ素子(リッジ部の幅60μm、共振器長700μm)を急速劣化させたのち、リッジ直下の活性層をCL測定により調査した。図13は、その結果を表したものであり、リッジ直下の活性層全域のCL画像を模写したものである。図13から分かるように、後端面S2を起点として黒い線が延びている。この黒い線は、DLDと呼ばれる欠陥を表すものである。すなわち、第2不純物拡散領域を有しない場合には、端面のCODにより急速劣化が起こることが分かる。
また、本発明者は、従来構造Bを有すると共に前端面および後端面に第2不純物拡散領域を設けたブロードエリア型半導体レーザ素子(リッジ部の幅60μm、共振器長700μm)についても、上記と同様の調査を行った。図14は、その結果を表したものであり、得られたCL画像を模写したものである。図14から分かるように、前端面および後端面からはDLDは観測されず、リッジ部の側面を起点とするDLDが観測された。なお、COD光出力は、第2不純物拡散領域を有しない場合と比較して1.5倍〜数倍であった。
これに対して、本実施の形態のブロードエリア型半導体レーザ素子1では、同等の光出力でCODが発生しない。このように、リッジ部20の側面での吸収損失を抑えつつ、NFPのサイドピークを抑制することにより、リッジ部20の側面からの劣化を抑制することができる。
このように本実施の形態では、コンタクト層19に狭領域32を設けると共に、半導体積層構造10Aのうちコンタクト層19以外の一部に、狭領域32の切込み19Aに、第1不純物拡散領域33を設けるようにしたので、狭領域32への電流注入をなくして利得を低下させると共に、光吸収による発熱を抑え、高出力動作時においてリッジ部20の側面からの劣化を抑制することができる。よって、このブロードエリア型半導体素子1を用いてブロードエリア型半導体レーザアレイを構成すれば、少ない素子数で高出力を得ることが可能となり、高出力を必要とするレーザディスプレイまたはレーザ加工装置などの応用に極めて好適である。
(ブロードエリア型半導体レーザアレイ)
次に、図15および図16を参照して、複数のブロードエリア型半導体レーザ素子1を備えたブロードエリア型半導体レーザアレイについて説明する。このブロードエリア型半導体レーザアレイ3は、レーザディスプレイ,レーザ加工または医療応用などに用いられるものであり、例えば図15に示したように、複数のリッジ部20を共通の基板10上にモノリシックに形成することにより、ワットクラスの光出力を得られるようにしたものである。
次に、図15および図16を参照して、複数のブロードエリア型半導体レーザ素子1を備えたブロードエリア型半導体レーザアレイについて説明する。このブロードエリア型半導体レーザアレイ3は、レーザディスプレイ,レーザ加工または医療応用などに用いられるものであり、例えば図15に示したように、複数のリッジ部20を共通の基板10上にモノリシックに形成することにより、ワットクラスの光出力を得られるようにしたものである。
このブロードエリア型半導体レーザアレイ3は、例えば図16に示したように、ジャンクションダウンでSiCなどの高熱伝導率を有するサブマウント70に半田(図示せず)を介して接合され、このサブマウント70は、金属製のヒートシンク80に半田(図示せず)を介して接合されている。半導体レーザアレイ3の光射出側とは反対側には、下部電極23とワイヤ85を介して電気的に接続された電極部材81が設けられている。この電極部材81は、ヒートシンク80と絶縁分離する絶縁板83上にネジ82によって固定されている。電極部材81の上には、ワイヤ85を外部から保護する保護部材84がネジ82によって固定されている。
このようなブロードエリア型半導体レーザアレイ3では、隣接するエミッタ(一つのブロードエリア型半導体レーザ素子1に相当。)間で熱相互作用が生じ易いので、エミッタ間隔を400μm程度とすることが好ましい。従って、一つのエミッタからの光出力が大きくなるとエミッタ数を減らすことができ、ブロードエリア型半導体レーザアレイ3と光学結合する光学素子の小型化や数量削減が可能となる。
更に、図16に示したブロードエリア型半導体レーザアレイ3は、必要に応じて窒素雰囲気のモジュール(図示せず)に組み込まれ、レーザディスプレイまたはレーザ照射装置の光源として適用される。例えばレーザディスプレイでは、モジュールから出射されるレーザ光は、レンズなどでコリメートされ、光学素子で2次元画像情報に対応して空間的に変調されてスクリーンに照射される。これらの光学素子としては、例えば、液晶や、DLP(Digital Light Processing)やGLV(Grating Light Valve )などの光MEMS(Micro Electro Mechanical Systems))が用いられる。
(レーザディスプレイ)
図17は、本実施の形態のブロードエリア型半導体レーザアレイ3をレーザディスプレイに適用した適用例を表したものである。このレーザディスプレイ装置200は、赤(R),緑(G),青(B)各色の光を出射する光源201a,201b,201cを備えており、赤色の光を出射する光源201aとして上記本実施の形態のブロードエリア型半導体レーザアレイ3が配置されている。このレーザディスプレイ装置200は、更に、各光源201a,201b,201cに対応して設けられたビーム成形光学系202a,202b,202cおよび液晶パネル203a,203b,203c、ダイクロックプリズム204、プロジェクション205および投射スクリーン206を備えている。
図17は、本実施の形態のブロードエリア型半導体レーザアレイ3をレーザディスプレイに適用した適用例を表したものである。このレーザディスプレイ装置200は、赤(R),緑(G),青(B)各色の光を出射する光源201a,201b,201cを備えており、赤色の光を出射する光源201aとして上記本実施の形態のブロードエリア型半導体レーザアレイ3が配置されている。このレーザディスプレイ装置200は、更に、各光源201a,201b,201cに対応して設けられたビーム成形光学系202a,202b,202cおよび液晶パネル203a,203b,203c、ダイクロックプリズム204、プロジェクション205および投射スクリーン206を備えている。
このレーザディスプレイ装置200では、RGB各色の光源201a,201b,201cから出射された光が、それぞれビーム成形光学系202a,202b,202cを経由したのち、液晶パネル203a,203b,203cに入射されRGBの画像情報に空間変調される。そののちダイクロックプリズム204で合波され、プロジェクション205を経由して投射スクリーン206に投射される。
(レーザ照射装置)
図18は、レーザ照射装置の一例として、レーザ加工装置の光源に本実施の形態のブロードエリア型半導体レーザアレイ3を適用した適用例を表したものである。このレーザ照射装置300では、光源301から出射されたレーザ光304は、光学系302を経由して、加工対象物303の表面に結合され、加工が行われる。リッジ部20の幅の広いブロードエリア型半導体レーザのNFPは長方形であるため、加工対象物303表面に結合されたビームパターンも長方形になる。従って、矩形やライン形状の加工の場合には、ビーム利用効率が高くなる。なお、このレーザ照射装置300は、レーザ加工だけでなく、表面改質や検査などにも適用可能である。
図18は、レーザ照射装置の一例として、レーザ加工装置の光源に本実施の形態のブロードエリア型半導体レーザアレイ3を適用した適用例を表したものである。このレーザ照射装置300では、光源301から出射されたレーザ光304は、光学系302を経由して、加工対象物303の表面に結合され、加工が行われる。リッジ部20の幅の広いブロードエリア型半導体レーザのNFPは長方形であるため、加工対象物303表面に結合されたビームパターンも長方形になる。従って、矩形やライン形状の加工の場合には、ビーム利用効率が高くなる。なお、このレーザ照射装置300は、レーザ加工だけでなく、表面改質や検査などにも適用可能である。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。
また、上記実施の形態では、ブロードエリア型半導体レーザ素子1およびブロードエリア型半導体レーザアレイ3の構成を具体的に挙げて説明したが、全ての層を備える必要はなく、また、他の層を更に備えていてもよい。
また、上記実施の形態等では、AlGaInP系の化合物半導体レーザを例にして本発明を説明したが、他の化合物半導体レーザ、例えば、GaInAsP系などの赤色半導体レーザ、GaInN系およびAlGaInN系などの窒化ガリウム系の半導体レーザ、ZnCdMgSSeTeなどのII−VI族の半導体レーザにも適用可能である。また、AlGaAs系、InGaAs系、InP系、GaInAsNP系などの、発振波長が可視域とは限らないような半導体レーザにも適用可能である。
また、上記実施の形態等では、インデックスガイド構造の半導体レーザを例に挙げて、本発明について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構造、例えば、ゲインガイド構造の半導体レーザに対しても適用可能である。
1…ブロードエリア型半導体レーザ素子、2…変調構造、3…ブロードエリア型半導体レーザアレイ、10…基板、11…バッファ層、12…下部クラッド層、13…下部ガイド層、14…活性層、14A…発光領域、15…上部ガイド層、16A,16B…上部クラッド層、17…ストップ層、18…中間層、19…コンタクト層、19A…切込み、19B…島状部分、20…リッジ部、21…埋め込み層、22…上部電極、23…下部電極、30…第2不純物拡散領域、31…広領域、32…狭領域、33…第1不純物拡散領域、70…サブマウント、80…ヒートシンク、81…電極部材、82…ネジ、83…絶縁板、84…保護部材、85…ワイヤ、S1…前端面、S2…後端面
Claims (7)
- 基板上に、活性層を含む複数の層を有すると共に、前記複数の層のうち最上層のコンタクト層を含む一部に、前記活性層へ注入される電流を狭窄する帯状の電流狭窄構造が形成された半導体積層構造と、
前記活性層および前記電流狭窄構造を間にして前記電流狭窄構造の延在方向に対向する一対の端面と
を備え、
前記コンタクト層は、前記電流狭窄構造と同じ幅の広領域と、切込みが設けられることにより前記電流狭窄構造よりも幅が狭くなっている狭領域とを有し、
前記半導体積層構造のうち前記コンタクト層以外の一部は、
前記狭領域の切込みに形成され、前記活性層の発光波長に相当するエネルギーよりも大きなバンドギャップを有する第1不純物拡散領域と、
前記一対の端面のうち少なくとも一方およびその近傍に形成され、前記活性層の発光波長に相当するエネルギーよりも大きなバンドギャップを有する第2不純物拡散領域と
を有するブロードエリア型半導体レーザ素子。 - 前記電流狭窄構造の側面に、誘電膜よりなる埋め込み層を有する
請求項1記載のブロードエリア型半導体レーザ素子。 - 前記狭領域および前記第1不純物拡散領域は、前記電流狭窄構造の延在方向における複数個所に形成されている
請求項1または2記載のブロードエリア型半導体レーザ素子。 - 前記コンタクト層の広領域における幅と、前記狭領域における幅との差は、4μm以上である
請求項3記載のブロードエリア型半導体レーザ素子。 - 複数のブロードエリア型半導体レーザ素子を有するブロードエリア型半導体レーザアレイであって、
前記複数のブロードエリア型半導体レーザ素子の各々は、
基板上に、活性層を含む複数の層を有すると共に、前記複数の層のうち最上層のコンタクト層を含む一部に、前記活性層へ注入される電流を狭窄する帯状の電流狭窄構造が形成された半導体積層構造と、
前記活性層および前記電流狭窄構造を間にして前記電流狭窄構造の延在方向に対向する一対の端面と
を備え、
前記コンタクト層は、前記電流狭窄構造と同じ幅の広領域と、切込みが設けられることにより前記電流狭窄構造よりも幅が狭くなっている狭領域とを有し、
前記半導体積層構造のうち前記コンタクト層以外の一部は、
前記狭領域の切込みに形成され、前記活性層の発光波長に相当するエネルギーよりも大きなバンドギャップを有する第1不純物拡散領域と、
前記一対の端面のうち少なくとも一方およびその近傍に形成され、前記活性層の発光波長に相当するエネルギーよりも大きなバンドギャップを有する第2不純物拡散領域と
を有するブロードエリア型半導体レーザアレイ。 - 複数のブロードエリア型半導体レーザ素子を有するブロードエリア型半導体レーザアレイを備えたレーザディスプレイであって、
前記複数のブロードエリア型半導体レーザ素子の各々は、
基板上に、活性層を含む複数の層を有すると共に、前記複数の層のうち最上層のコンタクト層を含む一部に、前記活性層へ注入される電流を狭窄する帯状の電流狭窄構造が形成された半導体積層構造と、
前記活性層および前記電流狭窄構造を間にして前記電流狭窄構造の延在方向に対向する一対の端面と
を備え、
前記コンタクト層は、前記電流狭窄構造と同じ幅の広領域と、切込みが設けられることにより前記電流狭窄構造よりも幅が狭くなっている狭領域とを有し、
前記半導体積層構造のうち前記コンタクト層以外の一部は、
前記狭領域の切込みに形成され、前記活性層の発光波長に相当するエネルギーよりも大きなバンドギャップを有する第1不純物拡散領域と、
前記一対の端面のうち少なくとも一方およびその近傍に形成され、前記活性層の発光波長に相当するエネルギーよりも大きなバンドギャップを有する第2不純物拡散領域と
を有するレーザディスプレイ。 - 複数のブロードエリア型半導体レーザ素子を有するブロードエリア型半導体レーザアレイを備えたレーザ照射装置であって、
前記複数のブロードエリア型半導体レーザ素子の各々は、
基板上に、活性層を含む複数の層を有すると共に、前記複数の層のうち最上層のコンタクト層を含む一部に、前記活性層へ注入される電流を狭窄する帯状の電流狭窄構造が形成された半導体積層構造と、
前記活性層および前記電流狭窄構造を間にして前記電流狭窄構造の延在方向に対向する一対の端面と
を備え、
前記コンタクト層は、前記電流狭窄構造と同じ幅の広領域と、切込みが設けられることにより前記電流狭窄構造よりも幅が狭くなっている狭領域とを有し、
前記半導体積層構造のうち前記コンタクト層以外の一部は、
前記狭領域の切込みに形成され、前記活性層の発光波長に相当するエネルギーよりも大きなバンドギャップを有する第1不純物拡散領域と、
前記一対の端面のうち少なくとも一方およびその近傍に形成され、前記活性層の発光波長に相当するエネルギーよりも大きなバンドギャップを有する第2不純物拡散領域と
を有するレーザ照射装置。
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- 2008-07-29 JP JP2008194567A patent/JP2010034267A/ja active Pending
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