Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JP2010013638A - 酸素吸収樹脂組成物 - Google Patents

酸素吸収樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2010013638A
JP2010013638A JP2009134405A JP2009134405A JP2010013638A JP 2010013638 A JP2010013638 A JP 2010013638A JP 2009134405 A JP2009134405 A JP 2009134405A JP 2009134405 A JP2009134405 A JP 2009134405A JP 2010013638 A JP2010013638 A JP 2010013638A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxygen
absorbing
resin
film
polyamide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009134405A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoshi Okada
聡史 岡田
Takashi Kashiba
隆史 加柴
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Gas Chemical Co Inc filed Critical Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority to JP2009134405A priority Critical patent/JP2010013638A/ja
Publication of JP2010013638A publication Critical patent/JP2010013638A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Wrappers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】樹脂加工性に優れ、適用用途の制限のない、酸素吸収性能に優れた酸素吸収樹脂を提供する。
【解決手段】少なくとも、ポリオレフィン樹脂、遷移金属触媒及びポリアミド樹脂を含有する酸素吸収樹脂組成物であって、該ポリアミド樹脂の融点が200℃以下、ガラス転移温度が80℃以下で、且つ、該遷移金属触媒と該ポリアミド樹脂の合計含有量が20〜60重量%であることを特徴とする酸素吸収樹脂組成物を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた酸素吸収性能を示し、且つ、樹脂の酸化劣化による強度低下、臭気発生のない酸素吸収樹脂組成物に関するものである。また本発明は、該酸素吸収樹脂組成物を用いた、樹脂加工性に優れる酸素吸収多層体と該多層体を熱成形してなる酸素吸収多層容器に関するものである。
従来、包装容器としては、金属缶、ガラス瓶、各種プラスチック包装等の容器が知られているが、包装容器内の酸素による品質劣化が問題となっている。このため、近年、脱酸素包装技術の一つとして、熱可塑性樹脂に鉄系脱酸素剤等を配合した酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層を配した多層材料で容器を構成し、容器のガスバリア性の向上を図ると共に、容器自体に酸素吸収機能を付与した包装容器の開発が行われている。例えば、酸素吸収性多層シートは、酸素透過層及びガスバリア層が積層してなる従来のガスバリア性多層シートの間に、酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層を加え、外部からの酸素透過を防ぐ機能に容器内の酸素を吸収する機能を付与したものとして利用され、共押出法や各種ラミネート法等の従来公知の製造方法を利用して製造されている(特許文献1参照)。
一方、ポリマーからなり、酸素捕捉特性を有する組成物では、酸化可能有機成分としてポリアミド、特にキシリレン基含有ポリアミドと遷移金属からなる樹脂組成物が知られており、酸素捕捉機能を有する樹脂組成物やその樹脂組成物を成形して得られる酸素吸収剤、包装材料、包装用多層積層フィルムの例示もある(特許文献2〜6参照)。
しかしながら、鉄粉等の酸素吸収剤を用いるものは、食品等の異物検知に使用される金属探知機に検知される、不透明性の問題により内部視認性が不足する、さらに、鉄粉の混入により風味が損なわれるアルコール等の飲料への使用ができない、といった課題を有していた。また、鉄粉の酸化反応を利用しているため、被保存物が高水分系であるものでしか、酸素吸収の効果を発現することができなかった。
さらに、鉄粉を使用した酸素吸収性多層体を成形する際には、鉄粉を使用しているため自重が高く、フィルム、シート、中空成形体、その他の成形体成形時に成形不良が発生する問題を有している。例えば、フィルム、シート成形時のネックイン、偏肉、中空成形体成形時のドローダウンが例示される。また成形した際には、表面に凹凸が生じる問題も有している。
一方、遷移金属触媒を含有させ、ポリアミド樹脂等を酸化させ酸素吸収機能を発現させる樹脂組成物は、ポリアミド樹脂が酸化するため、樹脂の酸化劣化による強度低下が発生し、包装容器そのものの強度が低下するという問題を有している。
さらに、ポリアミド樹脂と遷移金属触媒にて酸化反応を示すものとして、メタキシリレンジアミンとアジピン酸との重縮合によって得られるポリアミドである、MXD6が使用されているが、MXD6に遷移金属を混合した系では、酸素吸収樹脂組成物として使用し、被保存物を良好に保存するには、酸素吸収能力が低い問題があった。また、MXD6に遷移金属を混合した系に包装フィルム等のシール層材料に用いられるポリオレフィン樹脂をブレンドすると、樹脂の融点が大きく異なり、フィルム等の包装容器とする際の成形加工性が劣るという問題があり、通常、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと表記する)等のポリエステル樹脂やナイロン6等の比較的高融点の樹脂とのブレンドが使用されていた。
特開平9−234832号公報 特開平5−140555号公報 特開2001−252560号公報 特開2003−341747号公報 特開2005−119693号公報 特開2001−179090号公報
本発明の目的は、上記問題点を解決した、酸素吸収性能、樹脂強度、樹脂加工性に優れた樹脂組成物を提供することにある。また該組成物を使用した、外観に優れる酸素吸収多層体及び該多層体を熱成形してなる、内容物を視認可能な酸素吸収多層容器を提供することにある。
本発明者らは、特定のポリアミド樹脂と遷移金属にポリオレフィン樹脂を、特定の割合でブレンドすることにより、酸素吸収性能に優れ、保存後の樹脂強度を保持し、熱成形加工性に優れた酸素吸収樹脂組成物が得られることを見出した。また、該組成物を使用した外観に優れる酸素吸収多層体が得られることを見出し、さらに、該多層シートを熱成形してなる、内容物を視認可能な酸素吸収多層容器を見出した。
すなわち、本発明は、少なくとも、ポリオレフィン樹脂、遷移金属触媒及びポリアミド樹脂を含有する酸素吸収樹脂組成物であって、該ポリアミド樹脂の融点が200℃以下、ガラス転移温度(以下、Tgと表記する)が80℃以下で、且つ該遷移金属触媒と該ポリアミド樹脂の合計含有量が20〜60重量%であることを特徴とする酸素吸収樹脂組成物である。
また、本発明は、熱可塑性樹脂からなる酸素透過層、前記酸素吸収樹脂組成物からなる酸素吸収樹脂層、並びにガスバリア性物質からなるガスバリア層の少なくとも3層がこの順に積層してなる酸素吸収多層体と該酸素吸収多層体の酸素透過層を内側として熱成形してなる酸素吸収多層容器である。
本発明により、高い酸素吸収性能と高い成形加工性と透明性を有し、ポリアミド樹脂の酸化による強度劣化もほとんどみられない酸素吸収樹脂組成物、酸素吸収多層体及び該多層体を熱成形してなる酸素吸収多層容器を提供できる。
本発明の酸素吸収樹脂組成物は、少なくとも、融点が200℃以下、Tgが80℃以下であるポリアミド樹脂(以下、当該ポリアミド樹脂を特に「ポリアミド樹脂A」と称する)と遷移金属触媒とポリオレフィン樹脂とを含有し、且つ該遷移金属触媒と該ポリアミド樹脂の合計含有量が20〜60重量%である樹脂組成物である。以下、該組成物を構成する各成分について、詳細を説明する。
酸素吸収樹脂組成物の酸素吸収性能は、酸素吸収能を有する遷移金属を添加したポリアミド樹脂が多い方が、良好と考えられるが、驚くべきことに、ポリアミド樹脂Aをポリオレフィン樹脂と混合し、一定の比率でブレンドした際に高い酸素吸収能力を示すことを見出した。
本発明において、ポリアミド樹脂Aとしては、ポリオレフィン樹脂との加工性や酸素吸収性能を考慮すると、融点やTgが低いものが好ましく用いられる。
本発明におけるポリアミド樹脂Aは、ジアミンとジカルボン酸との重縮合反応で得られる。ポリアミド樹脂Aを作製する際のジアミンは、酸素吸収性能の観点からメタキシリレンジアミンが好ましく用いられ、性能に影響しない範囲で、各種脂肪族ジアミンや芳香族ジアミンを共重合成分として組み込んでもよい。ジカルボン酸としては、C8〜C12の脂肪族ジカルボン酸、具体的には、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸が挙げられる。これらの中でも、加工しやすい融点及びTgが得られるセバシン酸が特に好ましい。各種ジカルボン酸に、性能に影響しない程度で、他の各種脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸を共重合成分として組み込んでもよい。得られた、ポリアミド樹脂Aの融点は、200℃以下が好ましく、さらに190℃以下が特に好ましい。Tgは、80℃以下が好ましく、75℃以下が特に好ましい。また、得られたポリアミド樹脂Aは、酸素バリア性が低い方が好ましく、酸素透過係数が0.3cc・mm/(m・日・atm)(23℃・60%RH)以上が好ましく、0.5cc・mm/(m・日・atm)(23℃・60%RH)以上がより好ましい。
ポリアミド樹脂Aとポリオレフィン樹脂を混合した際、加工性を考慮すると、ポリアミド樹脂Aのメルトフローレート(以下、MFRと表記する)は、200℃で、3〜8g/10分、240℃で、4〜12g/10分のものが好ましく用いられる。この場合、ポリオレフィン樹脂のMFRとポリアミド樹脂AのMFRの差が±3g/10分程度を示す温度にて、樹脂加工すると、混練状態が良好となり、多層体の外観に問題のない加工品を得ることができる。ポリアミド樹脂AのMFRは、固相重合により、分子量を調節して、調整できる。ジアミンとジカルボン酸との重縮合反応で得られたポリアミド樹脂Aは、溶融重合の後、固相重合の2段階を経る方法が好ましい。固相重合にて得られたポリアミド樹脂Aの数平均分子量は、20000〜25000が好ましく、21000〜24000が特に好ましい。なお、本願でいうMFRは、特に断りがない限り、JIS K7210に準拠した装置を用いて、特定の温度において、荷重2160gの条件下で測定した当該樹脂のMFRであり、「g/10分」の単位で測定温度と共に表記される。
メタキシリレンジアミン等のジアミンと、C8〜C12の脂肪族ジカルボン酸、例えば、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸と、他のジカルボン酸を共重合成分として組み込む場合は、メタキシリレンジアミン等のジアミン:セバシン酸等のC8〜C12の脂肪族ジカルボン酸:アジピン酸、イソフタル酸等の他のジカルボン酸、のモル比が、100:50以上:50以下、となるように共重合させてもよい。
本発明の酸素吸収樹脂組成物に用いるポリオレフィン樹脂とは、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、メタロセン触媒によるポリエチレン等の各種ポリエチレン類、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体等のポリプロピレン類を、単独で、または組み合わせて使用することができる。これらポリオレフィン樹脂には、必要に応じて、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、熱可塑性エラストマーを添加してもよい。
また、ポリアミド樹脂Aとの混合性を考慮すると、酸素吸収樹脂組成物に対して無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂を添加することが特に好ましい。無水マレイン酸変性物の添加量は、ポリオレフィン樹脂に対し、1〜30%程度が好ましく、3〜15%が特に好ましい。ポリオレフィン樹脂のMFRは、フィルムの加工性を考慮すると、200℃で、3〜8g/10分、240℃で、4〜12g/10分のものが好ましく用いられる。
また、本発明のポリオレフィン樹脂には、酸化チタン等の着色顔料、酸化防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、安定剤等の添加剤、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカ等の充填剤、消臭剤等を添加しても良い。特に、製造中に発生した端材をリサイクルし、再加工するためには、酸化防止剤を添加することが好ましい。
本発明の酸素吸収樹脂組成物に用いる遷移金属触媒としては、第一遷移元素、例えばFe、Mn、Co、Cu、の化合物が挙げられる。また、遷移金属の有機酸塩、塩化物、燐酸塩、亜燐酸塩、次亜燐酸塩、硝酸塩などの単独、又は、それらの混合物等も遷移金属触媒の一例として挙げられる。有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタノイック酸、ラウリン酸、ステアリン酸などC2〜C22の脂肪族アルキル酸の塩、あるいは、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ヘキサハイドロフタル酸、など2塩基酸の塩、ブタンテトラカルボン酸の塩、安息香酸、トルイック酸、o-フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメシン酸など芳香族カルボン酸塩の単独、又は、混合物が挙げられる。遷移金属触媒の中でも、Coの有機酸塩が酸素吸収性の観点から、好ましく、安全性や加工性からステアリン酸Coが特に好ましい。
遷移金属触媒はポリアミド樹脂Aに添加し、その後、ポリオレフィン樹脂と混合することが好ましい。また、遷移金属触媒は、ポリアミド樹脂Aに対する該触媒中の全遷移金属の濃度が、10ppm〜5000ppm、好ましくは50ppm〜3000ppmとなるように添加することが好ましい。添加量が少ないと酸素吸収性能が低下し、多すぎると樹脂加工性等に悪影響を及ぼす。
遷移金属触媒を添加したポリアミド樹脂Aと、ポリオレフィン樹脂とを混合し、酸素吸収樹脂組成物とすることが好ましい。酸素吸収樹脂組成物中の遷移金属触媒を含んだポリアミド樹脂Aの含有量は、20〜60重量%が好ましく、30〜50重量%が、特に好ましい。酸素吸収樹脂組成物中の遷移金属触媒を含んだポリアミド樹脂Aの含有量が、20重量%より下回ったり、60重量%を超えた場合は、酸素吸収能力が低くなる。また、60重量%を超えると、ポリアミド樹脂Aの酸化による樹脂劣化が生じ、強度低下等の問題が発生する。
本発明で得られたポリアミド樹脂Aに安定化剤等を適宜添加してもよい。特に、リン化合物は、安定化剤として好ましく用いられ、具体的には、ジ亜リン酸塩が好ましい。リン化合物は、ポリアミド樹脂Aが安定し、酸素吸収性能に影響するため、200ppm以下が好ましく、特に、100ppm以下が好ましい。
本発明におけるポリアミド樹脂Aの末端アミノ基濃度は、1〜30μeq/gであることが好ましく、1〜25μeq/gであることがより好ましい。末端アミノ基濃度が1〜30μeq/gの範囲にあると、酸素吸収樹脂組成物がより高い酸素吸収性能を得ることが出来る。
本発明の酸素吸収樹脂組成物は、酸素吸収剤材料として用いることができる。すなわち、ペレット状又はシート状の酸素吸収樹脂組成物を通気性包装材料に充填し、小袋状脱酸素剤と使用しても良い。ペレット状とする際は、酸素との接触を保つため、粉砕し粉末状とすることが好ましい。また、シート状とする際は、延伸して、ポリアミド樹脂Aとポリオレフィン樹脂の海島状の層間に空隙を設けることが好ましい。延伸する際のポリオレフィン樹脂としては、高密度ポリエチレンが好ましく用いられる。
また、本発明の酸素吸収樹脂組成物を用いることにより、熱可塑性樹脂からなる酸素透過層、本発明の酸素吸収樹脂組成物を含有する酸素吸収樹脂層及びガスバリア性物質からなるガスバリア層の少なくとも3層がこの順に積層してなる酸素吸収多層体とすることができ、例えば、容器の本体や蓋、包装材料の全部又は一部を構成する用途に使用することがきる。以下、当該酸素吸収多層体の各層及び各組成物について、詳細を説明する。
酸素透過層に用いる熱可塑性樹脂とは、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、メタロセン触媒によるポリエチレン等の各種ポリエチレン類、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体等のポリプロピレン類を、単独で、または組み合わせて使用することができる。これらポリオレフィン樹脂には、必要に応じて、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、熱可塑性エラストマーを添加してもよい。熱可塑性樹脂のMFRは、フィルムの加工性を考慮すると、200℃で、3〜8g/10分、240℃で、4〜12g/10分のものが好ましく用いられる。また、酸素透過層の酸素透過度は10cc/(m・日・atm)(23℃・60%RH)以上であることが好ましい。なお、酸素透過層に用いる熱可塑性樹脂は、樹脂の加工性、密着性を考慮すると、酸素吸収樹脂層に用いるポリオレフィン樹脂と同種のものが、好ましく用いられる。
また、酸素透過層に用いる熱可塑性樹脂には、酸化チタン等の着色顔料、酸化防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、安定剤、滑剤等の添加剤、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカ等の充填剤、消臭剤等を添加しても良い。特に、製造中に発生した端材をリサイクルし、再加工するためには、酸化防止剤を添加することが好ましい。
酸素吸収樹脂層に用いる酸素吸収樹脂組成物は、少なくとも、ポリアミド樹脂Aと遷移金属触媒とポリオレフィン樹脂とを含有し、且つ該遷移金属触媒と該ポリアミド樹脂Aの合計含有量が20〜60重量%である樹脂組成物であり、その詳細については前記したとおりである。
ガスバリア層に用いるガスバリア性物質としては、ガスバリア性熱可塑性樹脂や、ガスバリア性熱硬化性樹脂、シリカ、アルミナ、アルミ等の各種蒸着フィルム、アルミ箔等の金属箔を用いることが出来る。ガスバリア性熱可塑性樹脂としては、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体、MXD6、ポリ塩化ビニリデン等が例示できる。また、ガスバリア性熱硬化性樹脂としては、アミン−エポキシ硬化剤等が例示できる。なお、ガスバリア層の酸素透過度は10cc/(m・日・atm)(23℃・60%RH)未満であることが好ましい。
本発明の酸素吸収多層体における、酸素吸収樹脂層の厚みは、特に制限はないが、5〜200μmが好ましく、10〜100μmが特に好ましい。厚みが少なすぎると加工性、酸素吸収性能に問題が生じ、多すぎると、加工性、コスト等の問題が生じる。また、酸素透過層の厚みは、酸素透過層が酸素吸収樹脂層との隔離層となるため、少ない方が好ましいが、特に、5〜200μmが好ましく、10〜80μmが特に好ましい。大きすぎると、酸素吸収性能が低下し、少なすぎると加工性に問題が生じる。
ガスバリア性熱可塑性樹脂をガスバリア層に用いる際の厚みは、5〜200μmが好ましく、10〜100μmが特に好ましい。厚みが少なすぎると加工性、ガスバリア性に問題が生じ、多すぎると、加工性、コスト等の問題が生じる。アミン−エポキシ硬化剤のようなガスバリア性熱硬化性樹脂をガスバリア性接着剤層に使用する場合の厚みは、0.1〜100μmが好ましく、0.5〜20μmが特に好ましい。厚みが少なすぎるとガスバリア性に問題が生じ、多すぎると、加工性、コスト等の問題が生じる。
脱酸素性多層体の加工性を考慮すると、酸素透過層と酸素吸収樹脂層の厚み比が、1:1〜1:3にあることが好ましく、1:1.5〜1:2.5が特に好ましい。さらにまた、加工性を考慮すると、ガスバリア層と酸素吸収樹脂層との層間に、ポリオレフィン樹脂からなる中間層を介在することが好ましい。この中間層の厚みは、加工性から、酸素透過層の厚みとほぼ同一とすることが好ましい。この場合、加工によるバラツキを考慮すると、厚み比が±10%以内であれば、同一とする。
本発明の酸素吸収多層体は、熱可塑性樹脂からなる酸素透過層、少なくともポリオレフィン樹脂、遷移金属触媒及びポリアミド樹脂を含有する酸素吸収樹脂層、並びにガスバリア性物質からなるガスバリア層の少なくとも3層がこの順に積層してなるが、その他の層を付加することは差し支えない。
例えば、ガスバリア層の破損やピンホールを防ぐために、ガスバリア層の内側や外側に熱可塑性樹脂からなる保護層を設けることが好ましい。保護層に用いる樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン等のポリエチレン類、プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体等のポリプロピレン類、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド類、さらに、PET等のポリエステル類及びこれらの組合せが挙げられる。
酸素吸収多層体の製造方法については、各種材料の性状、加工目的、加工工程等に応じて、共押出法、各種ラミネート法、各種コーティング法などの公知の方法を利用することができる。例えば、フィルムやシートの成形については、Tダイ、サーキュラーダイ等を通して溶融させた樹脂組成物付属した押出機から押し出して製造する方法や、酸素吸収フィルムもしくはシートに接着剤を塗布し、他のフィルムやシートと貼り合わせることで製造する方法がある。また、射出機を用い、溶融した樹脂を、多層多重ダイスを通して射出金型中に共射出または逐次射出することによって所定の形状の多層容器に一挙に成形することができる。
本発明の酸素吸収多層体は、フィルムとして作製し、袋状、蓋材に加工して用いることができる。また、ガスバリア層の外層に紙基材を積層して、酸素吸収紙容器として用いることもできる。紙基材と積層して紙容器とした時の加工性を考慮すると、ガスバリア層の内側部が50μm以下とすることが好ましく、40μm以下が特に好ましい。ガスバリア層より内部の厚みが大きくなると、紙基材を積層し、容器形状に成形する際、容器への加工性に問題が生じる。
また、本発明の酸素吸収多層体は、シートとして作製し、真空成形、圧空成形、プラグアシスト成形等の成形方法によりトレイ、カップ、ボトル、チューブ、PTP(プレス・スルー・パック)等の所定の形状の酸素吸収多層容器に熱成形することができる。また、得られた酸素吸収多層容器は、80〜100℃のボイル処理、100〜135℃のセミレト、レトルト、ハイレトルト処理を行うことができる。また、袋状容器に食品等の内容物を充填し、開封口を設け、電子レンジ加熱調理時にその開封口から蒸気を放出する、電子レンジ調理対応の易通蒸口付パウチに好ましく用いることができる。
本発明の酸素吸収多層体及び酸素吸収多層容器を、酸素透過層を内側として密封用包装容器の一部または全部に使用することにより、容器外からわずかに侵入する酸素の他、容器内の酸素を吸収して、酸素による容器内収納物の変質等を防止することができる。
本発明の酸素吸収多層体及び酸素吸収多層容器は、被保存物の水分の有無によらず、酸素吸収することができるため、粉末調味料、粉末コーヒー、コーヒー豆、米、茶、豆、おかき、せんべい等の乾燥食品や医薬品、ビタミン剤等の健康食品に好適に使用することができる。その他、本発明にて得られた、酸素吸収樹脂組成物は従来の鉄粉を使用した酸素吸収樹脂組成物と異なり、鉄の存在にて保存できないアルコール飲料や炭酸飲料、酢酸含有食品用途等や容器を滅菌するため、過酸化水素殺菌する用途に好適に用いることができる。
その他、被保存物としては、精米、米飯、赤飯、もち等の米加工類、スープ、シチュー、カレー等の調理食品、フルーツ、羊羹、プリン、ケーキ、饅頭、ジャム等の菓子類、ツナ、魚貝等の水産製品、チーズ、バター、卵等の乳加工品、肉、サラミ、ソーセージ、ハム等の畜肉加工品、にんじん、じゃがいも、アスパラ、しいたけ等の野菜類を挙げることができる。
以下に実施例と比較例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。尚、本実施例及び比較例において、各種物性値は以下の測定方法及び測定装置により測定した。
(Tgの測定方法)
Tgは、JIS K7122に準拠して測定した。測定装置は(株)島津製作所製「DSC−60」を使用した。
(融点の測定方法)
融点は、ISO11357に準拠して、DSC融解ピーク温度を測定した。測定装置は(株)島津製作所製「DSC−60」を使用した。
(数平均分子量の測定方法)
数平均分子量は、GPC−LALLSにて測定した。測定装置は昭和電工(株)製「Shodex GPC−2001」を使用した。
(MFRの測定方法)
各樹脂のMFRは、JIS K7210に準拠した装置((株)東洋精機製作所製「メルトインデックサ」)を用いて、特定の温度において、荷重2160gの条件下で測定し、温度と共にその値を記載した(単位:「g/10分」)。なお、JIS K7210に準拠してMFRを測定した場合はその旨、特に記載した。
(末端アミノ基濃度の測定方法)
試料0.5gを30mlのフェノール/エタノール=4/1(体積比)に溶解させ、メタノール5ml加え、滴定液として0.01規定の塩酸にて自動滴定装置(平沼製作所製「COM−2000」)にて滴定した。試料を加えず滴定した同様の操作をブランクとし、下記式より末端アミノ基濃度を算出した。
末端アミノ基濃度(μeq/g)=(A−B)×f×10/C
(A;滴定量(ml)、B;ブランク滴定量(ml)、f;規定液のファクター、C;試料量(g))。
(末端カルボキシル基濃度の測定方法)
試料0.5gを30mlのベンジルアルコールに溶解させ、メタノール10ml加え、滴定液として0.01規定の水酸化ナトリウム溶液にて自動滴定装置(平沼製作所製「COM−2000」)にて滴定した。試料を加えず滴定した同様の操作をブランクとし、下記式より末端カルボキシル基濃度を算出した。
末端カルボキシル基濃度(μeq/g)=(A−B)×f×10/C
(A;滴定量(ml)、B;ブランク滴定量(ml)、f;規定液のファクター、C;試料量(g))。
(半結晶化時間の測定方法)
各温度にて、ペレットを溶融させ、各温度にて樹脂を結晶化させた場合、すべてが結晶化する時間を結晶化時間といい、結晶化50%到達時間を半結晶化時間という。半結晶化時間の測定は、脱偏光強度法により行った。脱偏光強度法は、結晶化により樹脂を透過する光が複屈折を起こす現象を利用して、光源と偏光板及び受光素子からなる装置を用いて樹脂の結晶化の進行度を測定する方法である。非晶または溶融状態の検体を結晶化させると、結晶化の進行度に比例して偏光板を透過する光量が変化する。測定条件において変化する透過光量の半分、すなわち半分の結晶化迄にかかる時間を半結晶化時間とした。なお、半結晶化時間は、測定温度で異なるが、以下の記載においては、各温度の半結晶化時間の内、最も半結晶化時間の短いものを「半結晶化時間」として記載した。また、結晶化時間及び半結晶化時間の測定には(株)コタキ製作所製「ポリマー結晶化速度測定装置 MK−701型」を使用した。
(ポリアミド樹脂の合成条件)
反応缶内でジカルボン酸を170℃にて加熱し、溶融した後、内容物を攪拌しながら、メタキシリレンジアミンをジカルボン酸とのモル比が1:1となるように徐々に連続的に滴下し、かつ温度を240℃まで上昇させた。滴下終了後、260℃に昇温し、反応を継続した。反応終了後、反応缶内を窒素にて微加圧し、穴を有するダイヘッドからストランドを押出し、ペレタイザーでペレット化した。得られたペレットをタンブラーに仕込み、減圧下で固相重合し、分子量及びMFRを調整したポリアミド樹脂を得た。
(実施例1)
(ポリアミド1の合成)
メタキシリレンジアミンとセバシン酸を1:1の割合のモル比で使用し、前記合成条件にてポリアミド樹脂を合成した(以下、当該ポリアミド樹脂をポリアミド1と表記する)。なお、固相重合時の温度は、160℃とした。ポリアミド1は、Tg63℃、融点193℃、末端アミノ基濃度は15.9μeq/g、末端カルボキシル基濃度は70.3μeq/g、数平均分子量は23000、半結晶化時間は154秒、240℃のMFRが7.8g/10分であった。また、得られたポリアミド1単体で未延伸フィルムを作製し、その酸素透過係数を求めたところ、1.58cc・mm/(m・日・atm)(23℃・60%RH)であった。
ポリアミド1に遷移金属触媒として、ステアリン酸コバルトをコバルト濃度400ppmとなるよう二軸押出機にて、溶融したポリアミド1にサイドフィードにて添加した。さらに、得られたポリアミド1とステアリン酸コバルトの混合物(以下、ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1Aと表記する)に、ポリオレフィン樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン(製品名;日本ポリエチレン(株)製「カーネルKF380」、MFR4.0g/10分(JIS K7210に準拠して測定)、240℃のMFR8.7g/10分、250℃のMFR10.0g/10分、以下LLDPEと表記する)を、ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1A:LLDPE=35:65の重量比で、240℃にて溶融混練し、酸素吸収樹脂ペレットAを得た。次いで、該ペレットを用いて厚さ30μmの単層の酸素吸収樹脂組成物からなるフィルムを得たところ、そのフィルムの外観は、良好で、HAZEは、28%であった。そのフィルムを10×10mmのフィルムとし、該フィルムを袋内の湿度が30%、及び100%のアルミ箔積層フィルムからなるガスバリア袋に、空気150ccと共にそれぞれ2枚ずつ充填密封し、40℃下に保管して、保管開始から7日間の酸素吸収量を調査した。また、1ヶ月保管後のフィルムの伸び率を調査した。これらの結果を表1に示した。
(実施例2)
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1A:LLDPE=55:45とした以外は、実施例1と同様にして酸素吸収樹脂組成物からなるフィルムを得た後、実施例1と同様の保存試験を実施した。これらの結果を表1に示した。
(実施例3)
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1A:LLDPE=25:75とした以外は、実施例1と同様にして酸素吸収樹脂組成物からなるフィルムを得た後、実施例1と同様の保存試験を実施した。これらの結果を表1に示した。
(比較例1)
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1A:LLDPE=80:20とした以外は、実施例1と同様にして酸素吸収樹脂組成物からなるフィルムを得た後、実施例1と同様の保存試験を実施した。これらの結果を表1に示した。
(比較例2)
LLDPEと溶融混練せず、ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1Aのみのフィルムとした以外は、実施例1と同様にして酸素吸収樹脂組成物からなるフィルムを得た後、実施例1と同様の保存試験を実施した。これらの結果を表1に示した。
Figure 2010013638
実施例1〜3から明らかなように、本発明の酸素吸収樹脂組成物は、高湿度下、低湿度下にて良好な酸素吸収性能を示し、かつ酸素吸収後のフィルム弾性を保持し、さらに、加工性の良好な樹脂組成物であった。
(実施例4)
酸素吸収樹脂ペレットAをコア層とし、スキン層をLLDPEとした、2種3層フィルム1(厚み;10μm/20μm/10μm)を、幅800mmで、120m/分で、片面をコロナ放電処理して、作製した。得られたフィルムの外観は良好で、HAZEは28%であった。コロナ処理面側にウレタン系ドライラミネート用接着剤(製品名;東洋モートン(株)製 TM251/CAT−RT88、以下、ラミネート用接着剤と表記する)を用いて、ナイロンフィルムA(製品名;東洋紡績(株)製 N1202、以下、ONyと表記する)、アルミ箔及びPETフィルムA(製品名;東洋紡績(株)製 E5100)を積層し、PETフィルムA(12)/ラミネート用接着剤(3)/アルミ箔(9)/ラミネート用接着剤(3)/ONy(15)/ラミネート用接着剤(3)/LLDPE(10)/酸素吸収樹脂組成物(20)/LLDPE(10)の酸素吸収多層フィルムを得た。尚、括弧内の数字は各層の厚さ(単位:μm)を意味する。また、以下の実施例でも特別な断りがない限り、同様の表記をする。次いで、該酸素吸収多層フィルムを用いて、15×20cmの三方シール袋を作製し、水分活性0.35のビタミンC錠剤を200g充填し、密封後、40℃下にて保存した。1ヶ月保存後の袋内酸素濃度及び外観を調査した所、袋内酸素濃度は、0.1%以下であり、ビタミンC錠剤の外観は、良好に保持されていた。
(実施例5)
実施例4で得られた、2種3層フィルム1を用いて、低密度ポリエチレン(製品名;三井化学(株)製「ミラソン18SP」、以下PEと表記する)による押し出しラミネートにて、晒クラフト紙(坪量340g/m)/ラミネート用接着剤(3)/アルミナ蒸着PETフィルム(製品名;凸版印刷(株)製「GL-AEH」、12)/ウレタン系アンカーコート剤(東洋モートン(株)製「EL−557A/B」、0.5)/PE(20)/LLDPE(10)/酸素吸収樹脂(20)/LLDPE(10)の酸素吸収多層紙基材を得た。この基材を、1リットル用のゲーベルトップ型の紙容器に成形した。容器の成形性は良好であった。この紙容器に、日本酒を充填し、密封後、40℃下にて保存した。1ヶ月後の風味及び紙容器内の酸素濃度は、0.1%以下であり、日本酒の風味は良好に保持されていた。
(実施例6)
LLDPEに代えてエチレン−プロピレンブロック共重合体(製品名;日本ポリプロ(株)製「ノバテック FG3DC」、230℃のMFR9.5g/10分、240℃のMFR10.6g/10分、以下PP1と表記する)を使用した以外は実施例1と同様にして酸素吸収樹脂ペレットBを得た。次いで、酸素吸収樹脂ペレットBをコア層とし、スキン層をLLDPEに代えてPP1とした以外は実施例4と同様にして、2種3層フィルム2(厚み;15μm/30μm/15μm)を作製した。得られたフィルムのHAZEは64%であった。コロナ処理面側にラミネート用接着剤を用いて、アルミナ蒸着PET(製品名;凸版印刷(株)製「GL-AEH」)及びONyを積層し、アルミナ蒸着PET(12)/ラミネート用接着剤(3)/ONy(15)/ラミネート用接着剤(3)/PP1(15)/酸素吸収樹脂(30)/PP1(15)の酸素吸収多層フィルムを得た。次いで、該酸素吸収多層フィルムを用いて、10×20cmの三方シール袋を作製し、その一部に直径2mmの円状の通蒸口を設け、その通蒸口をラベルシールにて周辺を仮着した。その袋に、ニンジン、肉を含んだカレーを充填し、密封後、124℃、30分のレトルト調理、加熱殺菌した後、40℃下にて保存した。1ヶ月後、袋をそのまま電子レンジにて約4分加熱し、約3分後には、袋が膨張し、仮着したラベルシール部が剥がれ、通蒸口から蒸気が出ることを確認した。調理終了後、カレーの風味、ニンジンの色調を調査した所、ニンジンの外観は、良好に保持され、カレーの風味は良好であった。
(比較例3)
平均粒径20μmの鉄粉と塩化カルシウムを100:1の割合で混合し、LLDPEと30:70の重量比で混練して、鉄系酸素吸収樹脂組成物Aを得た。鉄系酸素吸収樹脂組成物Aをコア層とし、実施例4と同様に2種3層フィルムを作製しようとしたが、フィルム表面に鉄粉の凹凸が発生し、フィルムが得られなかった。そのため、厚さ40μmのLLDPEに酸素吸収層として、鉄系酸素吸収樹脂組成物Aを厚さ20μmで押出ラミネートし、酸素吸収層面をコロナ放電処理したラミネートフィルムを得た。このラミネートフィルムを実施例5同様に晒クラフト紙と積層し、晒クラフト紙(坪量340g/m)/ラミネート用接着剤(3)/アルミナ蒸着PETフィルム(製品名;凸版印刷(株)製「GL-AEH」、12)/ウレタン系アンカーコート剤(東洋モートン(株)製「EL−557A/B」、0.5)/PE(20)/鉄系酸素吸収樹脂組成物A(20)/LLDPE(40)の酸素吸収多層紙基材からなるゲーベルトップ型紙容器を作製しようとしたが、厚みが厚く、紙容器の角を作製することが困難であった。容器作製速度を落とし、不良品を排除してようやく容器得た。以下、実施例5と同様に、日本酒の保存試験を行ったが、開封時アルデヒド臭が発生しており、風味は著しく低下した。
(比較例4)
LLDPEに代えて、PP1を使用した以外は比較例3と同様にして、鉄系酸素吸収樹脂組成物Bを得た。次いで、鉄系酸素吸収樹脂組成物B(20)/PP1(40)のラミネートフィルムを作製後、酸素吸収層面をコロナ放電処理した。以下実施例6と同様にして、アルミナ蒸着PET(製品名;凸版印刷(株)製「GL-AEH」、12)/ラミネート用接着剤(3)/ONy(15)/接着剤(3)/鉄系酸素吸収樹脂組成物B(20)/PP1(40)の酸素吸収多層フィルムを得た。得られた酸素吸収多層フィルムを用いて実施例6と同様の試験をした結果、風味は良好に保持されていたが、内容物は視認できず、電子レンジ加熱時に、表面に気泡状のムラが発生した。
実施例5〜6から明らかなように、本発明の酸素吸収樹脂組成物は、紙容器への加工性に優れ、アルコール飲料の保存や、電子レンジ加熱調理の際、通蒸口をとりつけても良好な保存容器となった。また、内部視認性も有しており、内容物の色調等を確認することができた。
本発明は、特定のポリアミド樹脂と遷移金属にポリオレフィン樹脂を、特定の割合でブレンドすることにより、低湿度、高湿度における酸素吸収性能に優れ、保存後の樹脂強度を保持し、さらに、加工性に優れ、様々な容器や用途に適用できる酸素吸収樹脂組成物であった。
(実施例7)
ポリアミド1に遷移金属触媒として、ステアリン酸コバルトをコバルト濃度200ppmとなるよう二軸押出機にて、溶融したポリアミド1にサイドフィードにて添加した。さらに、得られたポリアミド1とステアリン酸コバルトの混合物(以下、ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1Bと表記する)に、ポリオレフィン樹脂として、LLDPEを、ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1B:LLDPE=40:60の重量比で、240℃にて溶融混練し、酸素吸収樹脂ペレットCを得た。
得られた酸素吸収樹脂ペレットCを酸素吸収樹脂層とし、LLDPEを酸素透過層とした、2種2層フィルム1(厚さ;酸素吸収樹脂層20μm/酸素透過層10μm)を、幅800mmで、130m/分で、酸素吸収樹脂層面をコロナ放電処理し、フィルムロールを作製した。フィルムロールにコブ等の偏肉はなく、得られたフィルムの外観は良好で、HAZEは72%であった。コロナ処理面側にラミネート用接着剤を用いて、ONy、アルミ箔及びPETフィルムA(製品名;東洋紡績(株)製 E5100)を積層し、PETフィルムA(12)/ラミネート用接着剤(3)/アルミ箔(9)/ラミネート用接着剤(3)/ONy(15)/ラミネート用接着剤(3)/酸素吸収樹脂(20)/LLDPE(10)の酸素吸収多層体からなる酸素吸収多層フィルムを得た。次いで、該酸素吸収多層フィルムを用いて、LLDPE層側を内面にして15×20cmの三方シール袋を作製し、水分活性0.35の粉末調味料「だしの素」を200g充填し、密封、40℃下にて保存した。7日目及び1ヶ月保存後の袋内酸素濃度及び粉末調味料の風味を調査した。これらの結果を表2に示した。
(実施例8)
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1B:LLDPE=55:45とした以外は、実施例7と同様にして酸素吸収多層フィルムを得た後、三方シール袋を作製して、実施例7と同様の保存試験を実施した。これらの結果を表2に示した。
(実施例9)
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1B:LLDPE=25:75とした以外は、実施例7と同様にして酸素吸収多層フィルムを得た後、三方シール袋を作製して、実施例7と同様の保存試験を実施した。これらの結果を表2に示した。
(実施例10)
(ポリアミド2の合成)
メタキシリレンジアミンとセバシン酸とアジピン酸とを、10:8:2の割合のモル比で使用し、ポリアミド樹脂を合成した(以下、当該ポリアミド樹脂をポリアミド2と表記する)。なお、固相重合時の温度は、160℃とした。このポリアミド2は、Tg68℃、融点188℃、末端アミノ基濃度16.2μeq/g、末端カルボキシル基濃度70.7μeq/g、半結晶化時間は144秒、数平均分子量は23000、240℃のMFRが7.6g/10分であった。また、得られたポリアミド2単体で未延伸フィルムを作製し、その酸素透過係数を求めたところ、1.18cc・mm/(m・日・atm)(23℃・60%RH)であった。
以下、ポリアミド1に代えてポリアミド2を使用した以外は、実施例7と同様にして酸素吸収多層フィルムを得た後、三方シール袋を作製して、実施例7と同様の保存試験を実施した。これらの結果を表2に示した。
(比較例5)
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1B:LLDPE=70:30とした以外は、実施例7と同様にして酸素吸収多層フィルムを得た後、三方シール袋を作製して、実施例7と同様の保存試験を実施した。これらの結果を表2に示した。
(比較例6)
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1B:LLDPE=15:85とした以外は、実施例7と同様にして酸素吸収多層フィルムを得た後、三方シール袋を作製して、実施例7と同様の保存試験を実施した。これらの結果を表2に示した。
Figure 2010013638
(実施例11)
酸素吸収樹脂ペレットCをコア層とし、LLDPEをスキン層とした、2種3層フィルム3(厚さ;10μm/20μm/10μm)を、幅800mmで、130m/分で、片面をコロナ放電処理し、フィルムロールを作製した。フィルムロールは、実施例7〜10で作製したフィルムロールより、さらに良好であった。
2種3層フィルム3を用いて、PEによる押し出しラミネートにて、アルミナ蒸着PETフィルム(製品名;凸版印刷(株)製 GL-AEH、12)/ラミネート用接着剤(3)/ONy(15)/ウレタン系アンカーコート剤(東洋モートン(株)製 EL−557A/B、0.5)/PE(20)/LLDPE(10)/酸素吸収樹脂(20)/LLDPE(10)の酸素吸収多層体からなる酸素吸収多層フィルムを得た。このフィルムを、LLDPE層側を内面にして側面フィルム2枚と底面フィルム1枚の自立性袋(130×175×35mm)に加工したところ、袋加工性は良好であった。その袋に、40袋/分の速度で、高速自動充填にて、アスパラを酢酸を含有した溶液と共に計150g充填したところ、袋開口性が良好で、ヒートシールも問題なく行なえた。充填、密封した袋、10個を90℃・30分のボイル処理を行い、40℃下にて保存し、1ヶ月後のアスパラの風味及び自立袋の外観を調査した。アスパラは袋外部から視認でき、アスパラの風味、色調は良好に保持されており、袋の外観に異常はなかった。
(比較例7)
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1B:LLDPE=80:20とした以外は、実施例7と同様にして酸素吸収樹脂ペレットを作製した後、該ペレットを使用して実施例11と同様にして酸素吸収多層フィルムを作製し、自立性袋に加工した。実施例11と同様にしてアスパラを酢酸を含有した溶液と共に計150g充填したところ、該袋のシール強度は低く、特に、酸素透過層と酸素吸収樹脂層との剥離が生じた。そのまま、充填した袋を90℃・30分のボイル処理を行ったが、6袋に破袋が生じていた。残った袋にて実施例11と同様の保存試験したところ、アスパラの風味、色調が低下していた。袋の外観には異常はなかった。
(比較例8)
酸素吸収樹脂ペレットCに代えて鉄系酸素吸収樹脂組成物Aを使用して、実施例11と同様に2種3層フィルムを作製しようとしたが、フィルム表面に鉄粉の凹凸が発生し、フィルムが得られなかった。そのため、厚さ40μmの直鎖状低密度ポリエチレンB(製品名;(株)オカモト製 LRW)からなるフィルムに、酸素吸収樹脂層として鉄系酸素吸収樹脂組成物Aを厚さ20μmで押出ラミネートし、酸素吸収樹脂層面をコロナ放電処理したラミネートフィルムを得た。そのラミネートフィルムを実施例11と同様にラミネートし、アルミナ蒸着PETフィルム(製品名;凸版印刷(株)製 GL-AEH、12)/ラミネート用接着剤(3)/ONy(15)/ウレタン系アンカーコート剤(製品名;東洋モートン(株)製 EL−557A/B、0.5)/PE(20)/鉄系酸素吸収樹脂組成物A(20)/直鎖状低密度ポリエチレンB(40)の鉄系酸素吸収多層体を作製し、実施例11と同様にして、自立性袋に加工した。実施例11と同様に、アスパラを酢酸を含有した溶液と共に計150g充填しようと試みたところ、袋開口性が悪く、数袋において、内容物がこぼれ出し、充填することができなかった。さらに、実施例11と同様にしてボイル処理後、保存試験を実施したが、アスパラは袋外部から視認できなかったため、袋を開封した。アスパラの風味、色調は良好に保持されていたものの、袋の外観には、凹凸が生じ、一部デラミネーションが発生していた。
(実施例12)
ポリアミド1に代えてポリアミド2を用い、LLDPEに代えてPP1を使用した以外は実施例7と同様にして酸素吸収樹脂ペレットを作製した。続いて、LLDPEをPP1とした以外は実施例11と同様にして、2種3層フィルム4(厚さ;15μm/30μm/15μm)を作製した。作製したフィルムロールの外観形状やフィルムの外観は、良好であった。HAZEは64%であった。コロナ処理面側にラミネート用接着剤を用いて、ONy及びシリカ蒸着PETフィルム(製品名;三菱樹脂(株)製 テックバリアTXR)を積層し、シリカ蒸着PETフィルム(12)/ラミネート用接着剤(3)/ONy(15)/ラミネート用接着剤(3)/PP1(15)/酸素吸収樹脂(30)/PP1(15)の酸素吸収多層体からなる酸素吸収多層フィルムを得た。本酸素吸収多層フィルムを用いて、PP1層側を内面にして10×20cmの三方シール袋を作製し、その一部に直径2mmの円状の通蒸口を設け、その通蒸口をラベルシールにて周辺を仮着した。その袋に、イカ、カニ、貝等の魚貝類を含んだリゾット100gを充填し、密封、124℃、30分のレトルト調理、加熱殺菌した後、40℃下にて保存した。1ヶ月後、袋をそのまま電子レンジにて約4分加熱し、約3分後には、袋が膨張し、仮着したラベルシール部が剥がれ、通蒸口から蒸気が出ることを確認した。調理終了後、リゾットの風味、カニ等の魚貝類の色調を調査した所、魚貝類の外観は、良好に保持され、リゾットの風味は良好であった。
(比較例9)
ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1B:PP1=10:90とした以外は、実施例7と同様にして酸素吸収樹脂ペレットを作製し、該ペレットを用いて、実施例12と同様にして三方シール袋を作製し、リゾットの保存・調理試験を実施した。レンジ調理後の袋に異常はなかったが、カニ等の魚貝類色調やリゾットの風味が低下していた。
(実施例13)
酸素吸収樹脂ペレットCからなる酸素吸収樹脂層30μmとオレフィン系ポリマーアロイ(製品名;三菱化学(株)製 VMX/X150F、MFR3.5g/10分(JIS K7210に準拠して測定)、240℃の溶融粘度7.9g/10分)からなる酸素透過層30μmを積層して、2種2層フィルム2を作製した。続いて、ラミネート用接着剤を用いて、エチレン−ビニルアルコール共重合体層15μmとナイロンフィルムB(製品名;東洋紡(株)製「N1102」)層15μmを積層し、ナイロンフィルムB(15)/ラミネート用接着剤(3)/エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムA((株)クラレ製 エバールEF−XL、15)/ラミネート用接着剤(3)/酸素吸収樹脂(30)/オレフィン系ポリマーアロイ(30)の酸素吸収多層体からなる酸素吸収多層フィルムを得た。フィルムの外観は良好であった。
次に、PP1(400)/無水マレイン酸変性ポリプロピレン(製品名;三井化学(株)製 アドマーQF500、15)/エチレン−ビニルアルコール共重合体B(製品名;(株)クラレ製 エバールL104B、40)/無水マレイン酸変性ポリプロピレン(製品名;同上、15)/PP1(400)のシートを絞り比2.5で70ccカップに成形した。該カップにオレンジゼリーを満杯充填し、作製した酸素吸収多層フィルムを、ナイロンフィルムB層側を外面とする蓋材として使用して密封した。内容物の色調は、蓋材から視認することができた。密封容器を85℃、30分間の加熱処理し、40℃、1ヶ月保存した。1ヶ月後、開封した所、二重蓋になることなく、開封性は良好で、内容物の風味、色調は、良好に保持されていた。
(実施例14)
実施例13と同様にして得た酸素吸収多層フィルムと70ccカップを用い、それぞれ浸漬による過酸化水素殺菌を行った。殺菌時に酸素吸収多層フィルムに異常はなかった。カップに80℃に保温されたイチゴジャムをホット充填し、酸素吸収多層フィルムを、ナイロンフィルムB層側を外側とする蓋材として、密封した。密封容器を40℃、1ヶ月保存した。1ヶ月後、蓋材から内容物を視認したところ、色調は、良好に保たれていた。蓋材を開封した所、二重蓋になることなく、開封性は良好で、内容物の風味は、良好に保持されていた。
(比較例10)
比較例8と同様にして得た鉄系酸素吸収樹脂層を有する鉄系酸素吸収多層体を、実施例14と同様の方法で過酸化水素殺菌したところ、過酸化水素に気泡が発生し、殺菌を継続することができなかった。
実施例7〜14から明らかなように、本発明の酸素吸収多層体は、酸素吸収性能、加工性、強度に優れ、さらに、ボイル処理、レトルト処理が可能で、鉄系酸素吸収剤を使用した酸素吸収多層体では保存できない食品等に適用でき、過酸化水素殺菌が可能で、電子レンジ加熱調理の際、通蒸口をとりつけても良好な保存容器となる。また、内部視認性も有しており、内容物の色調等を確認することができ、容器蓋材にも使用できる。
本発明は、特定のポリアミドと遷移金属触媒にポリオレフィン樹脂を、特定の割合でブレンドした酸素吸収樹脂層を有する多層体とすることにより、低湿度、高湿度における酸素吸収性能に優れ、保存後の樹脂強度を保持し、さらに、加工性に優れ、様々な容器や用途に適用できる酸素吸収多層体に関するものである。
(実施例15)
ポリアミド1に遷移金属触媒として、ステアリン酸コバルトをコバルト濃度400ppmとなるよう二軸押出機にて、溶融したポリアミド1にサイドフィードにて添加した。さらに、得られたポリアミド1とステアリン酸コバルトの混合物(以下、ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1Cと表記する)に、ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレンA(製品名;日本ポリプロ(株)製、ノバテックPP EG7F、MFR1.3g/10分(JIS K7210に準拠して測定)、240℃のMFR8.2g/10分、250℃のMFR9.8g/10分、以下PP2と表記する)をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1C:PP2=35:65となるように、二軸押出機にて240℃にて溶融混練し、酸素吸収樹脂ペレットDを得た。
次いで、第1〜第4押出機、フィードブロック、Tダイ、冷却ロール、シート引取機からなる4種6層多層シート成形装置を用い、各押出機から、第1押出機;PP2、第2押出機;前記酸素吸収樹脂ペレットD、第3押出機;エチレン−ビニルアルコール共重合体C(製品名;クラレ製 エバールL171B)、及び第4押出機;ポリプロピレン系接着性樹脂(製品名;三菱化学(株)製 モディックP604V)、を押し出し、酸素吸収多層シートを得た。該多層シートの構成は、内層より、PP2(80)/酸素吸収樹脂(100)/接着層(15)/エチレン−ビニルアルコール共重合体C(30)/接着層(15)/PP2(250)であった。また、共押出による多層シートは厚みムラ等のない外観良好な多層シートであった。
次いで、得られた多層シートについて、真空成形機を用いて、内層を内側にし、トレイ状容器(内容積350cc、表面積200cm)に熱成形加工した。得られた酸素吸収多層容器は厚みムラなく外観良好であった。この容器を紫外線殺菌により殺菌し、その容器に炊飯直後の無菌米飯200gを入れ、容器内酸素を窒素ガスにて置換して酸素濃度を0.5%とした。次いで、PETフィルムB(製品名;東洋紡績(株)製 E5102)、MXD6系多層共押出ナイロンフィルム(製品名;三菱樹脂(株)製 スーパーニールSP−R)、無延伸ポリプロピレンフィルム(製品名;(株)オカモト製 アロマーUT21)をラミネート用接着剤でドライラミネートしたガスバリア性フィルム(PETフィルムB(12)/ラミネート用接着剤(3)/MXD6系多層共押出ナイロンフィルム(15)/ラミネート用接着剤(3)/無延伸ポリプロピレンフィルム(60))をトップフィルムとして用い、容器同様紫外線殺菌した後、前記容器を密封し、40℃・50%RHの条件下に保存した。保存開始から3ヶ月後の容器内酸素濃度を測定後に開封し、炊飯米の風味及び酸素吸収容器の強度を確認した。この結果を表3に示した。
(実施例16)
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1C:PP2=55:45とした以外は、実施例15と同様にして酸素吸収多層シートを得た後、酸素吸収多層容器を作製して、実施例15と同様の保存試験を実施した。この結果を表3に示した。
(実施例17)
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1C:PP2=20:80とした以外は、実施例15と同様にして酸素吸収多層シートを得た後、酸素吸収多層容器を作製して、実施例15と同様の保存試験を実施した。この結果を表3に示した。
(実施例18)
ポリアミド1に代えてポリアミド2を使用した以外は実施例15と同様にして酸素吸収多層シートを得た後、酸素吸収多層容器を作製して、実施例15と同様の保存試験を実施した。この結果を表3に示した。
(比較例11)
平均粒径20μmの鉄粉と塩化カルシウムを100:1の割合で混合し、これとPP2とを30:70の重量比で混練して、鉄系酸素吸収樹脂組成物Bを得た。続いて、酸素吸収樹脂層に鉄系酸素吸収樹脂組成物Bを使用した以外は、実施例15と同様にして鉄系酸素吸収多層シートを作製した。該多層シートの構成は、内層より、PP2(80)/鉄系酸素吸収樹脂B(100)/接着層(15)/エチレン−ビニルアルコール共重合体C(30)/接着層(15)/PP2(250)であった。得られた鉄系酸素吸収多層シートを熱成形し、トレイ状容器を作製しようとしたが、ドローダウンが発生したため加工が困難であった。また作製した容器は鉄粉を使用しているため不透明であり、鉄粉に起因する凹凸のため外観が悪かった。しかし、外観の及第する容器が得られたため、実施例15と同様の保存試験を実施した。この結果を表3に示した。
Figure 2010013638
実施例15〜18から明らかなように、本発明の酸素吸収多層容器は、良好な成形性及び酸素吸収性能を示し、透明であり、かつ酸素吸収後も容器の強度を保持することが可能である。
(実施例19)
ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1Cに、ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレンB(製品名;日本ポリプロ(株)製、ノバテックPP FW4BT、MFR6.5g/10分(JIS K7210に準拠して測定)、240℃のMFR8.3g/10分、250℃のMFR10.0g/10分、以下PP3と表記する)を、ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1C:PP3=35:65の重量比で、240℃にて溶融混練し、酸素吸収樹脂ペレットEを得た。次いで酸素吸収樹脂ペレットEをコア層とし、スキン層をPP3とした、2種3層フィルム5(厚み;10μm/10μm/10μm)を、幅800mm、100m/分で、片面をコロナ放電処理して、作製した。得られたフィルムの外観は良好で、HAZEは10%であった。
本酸素吸収フィルムと200μmのポリプロピレンシート(製品名;住友ベークライト製 NS3451)を、ガスバリア性接着剤(製品名;三菱ガス化学(株)製 マクシーブ)を用いて、ドライラミネートし、内層より、PP3(10)/酸素吸収樹脂(10)/PP3(10)/ガスバリア性接着剤(3)/ポリプロピレンシート(200)の酸素吸収多層シートを作製した後、本酸素吸収多層シートを、内層を内側にして真空成形して、プレス・スルー・パックのポケット(直径12mm、深さ5mm)を成形した。また25μmのアルミ箔にウレタン系のアンカーコート剤(製品名;三井化学ポリウレタン(株)製 A3210)をコートし、ヒートシール材としてポリプロピレンC(製品名;(株)プライムポリマー製 F329RA)を25μmの厚さで押出コートし、アルミ箔(25)/アンカーコート剤(1)/ポリプロピレンC(25)のアルミ箔積層体を得た。ポケットに、水分活性0.35のビタミンC錠剤を2g充填し、アルミ箔積層体をヒートシールして密封後、40℃下にて保存した。1ヶ月保存後の袋内酸素濃度及び外観を調査した所、ポケット内酸素濃度は、0.1%以下であり、ビタミンC錠剤の外観は、良好に保持されていた。
(実施例20)
実施例15と同様にして、酸素吸収多層シートを作製した。該多層シートの構成は、内層より、PP2(90)/酸素吸収樹脂(80)/接着層(15)/エチレン−ビニルアルコール共重合体C(30)/接着層(15)/PP2(250)であった。次いで、該多層シートを、真空成形機を用いて、内層を内側にし、カップ状容器(内容積100cc、表面積96cm)に熱成形加工した。該容器に霧状の過酸化水素を吹き付けた後、熱風で乾燥させ、殺菌した。その後、オレンジジャムを充填し、実施例15と同様にして得たガスバリア性フィルムを同様に過酸化水素で殺菌し、トップフィルムに用いて密封後、40℃下に保存した。1ヵ月保存後の容器内酸素濃度は0.1%以下であり、オレンジジャムは風味を保持していた。
(比較例12)
比較例11と同様にして、鉄系酸素吸収多層シートを作製した。該多層シートの構成は、内層より、PP2(90)/鉄系酸素吸収樹脂B層(80)/接着層(15)/エチレン−ビニルアルコール共重合体C(30)/接着層(15)/PP2(250)であった。次いで、該鉄系酸素吸収多層シートを熱成形し、実施例20と同様のカップ状容器を作製しようとしたが、ドローダウンが発生したため加工が困難であった。しかし、外観の及第する容器が得られたため、容器に霧状の過酸化水素を吹き付けたところ、容器端面に露出している鉄粉と過酸化水素が反応し、殺菌が困難であり、熱風での乾燥後は端面の鉄粉が錆びていた。
本発明は、特定のポリアミド樹脂と遷移金属にポリオレフィン樹脂を、特定の割合で混練することにより、低湿度、高湿度における酸素吸収性能に優れ、保存後の樹脂強度を保持し、さらに、加工性に優れ、様々な容器や用途に適用できる酸素吸収多層体を熱成形してなる酸素吸収多層容器に関するものである。

Claims (3)

  1. 少なくとも、ポリオレフィン樹脂、遷移金属触媒及びポリアミド樹脂を含有する酸素吸収樹脂組成物であって、該ポリアミド樹脂の融点が200℃以下、ガラス転移温度が80℃以下で、且つ該遷移金属触媒と該ポリアミド樹脂の合計含有量が20〜60重量%であることを特徴とする酸素吸収樹脂組成物。
  2. 熱可塑性樹脂からなる酸素透過層、請求項1記載の酸素吸収樹脂組成物を含有する酸素吸収樹脂層及びガスバリア性物質からなるガスバリア層の少なくとも3層がこの順に積層してなる酸素吸収多層体。
  3. 請求項2記載の酸素吸収多層体の酸素透過層を内側として熱成形してなる酸素吸収多層容器。
JP2009134405A 2008-06-05 2009-06-03 酸素吸収樹脂組成物 Pending JP2010013638A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009134405A JP2010013638A (ja) 2008-06-05 2009-06-03 酸素吸収樹脂組成物

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008148198 2008-06-05
JP2009134405A JP2010013638A (ja) 2008-06-05 2009-06-03 酸素吸収樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010013638A true JP2010013638A (ja) 2010-01-21

Family

ID=41700030

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009134405A Pending JP2010013638A (ja) 2008-06-05 2009-06-03 酸素吸収樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010013638A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010042666A (ja) * 2008-07-14 2010-02-25 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc 酸素吸収多層体
JP2011236285A (ja) * 2010-05-07 2011-11-24 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc 酸素吸収樹脂組成物の製造方法
WO2014010598A1 (ja) * 2012-07-10 2014-01-16 三菱瓦斯化学株式会社 酸素吸収性樹脂組成物
EP2444458A4 (en) * 2009-06-15 2015-08-19 Mitsubishi Gas Chemical Co HYDROGEN ABSORBENT RESIN COMPOSITION

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0445152A (ja) * 1990-06-11 1992-02-14 Toppan Printing Co Ltd 酸素吸収性樹脂組成物
JPH05140555A (ja) * 1991-11-15 1993-06-08 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 酸素捕捉性組成物
JPH11240095A (ja) * 1998-02-24 1999-09-07 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 脱酸素性多層フィルム
JP2001261957A (ja) * 2000-03-14 2001-09-26 Toyobo Co Ltd 酸素吸収剤
JP2002238521A (ja) * 2001-02-15 2002-08-27 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 食品の保存方法
JP2002240813A (ja) * 2001-02-13 2002-08-28 Toyo Seikan Kaisha Ltd 空容器での保存性に優れた酸素吸収性容器
JP2003327715A (ja) * 2002-05-16 2003-11-19 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 成形品の保存方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0445152A (ja) * 1990-06-11 1992-02-14 Toppan Printing Co Ltd 酸素吸収性樹脂組成物
JPH05140555A (ja) * 1991-11-15 1993-06-08 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 酸素捕捉性組成物
JPH11240095A (ja) * 1998-02-24 1999-09-07 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 脱酸素性多層フィルム
JP2001261957A (ja) * 2000-03-14 2001-09-26 Toyobo Co Ltd 酸素吸収剤
JP2002240813A (ja) * 2001-02-13 2002-08-28 Toyo Seikan Kaisha Ltd 空容器での保存性に優れた酸素吸収性容器
JP2002238521A (ja) * 2001-02-15 2002-08-27 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 食品の保存方法
JP2003327715A (ja) * 2002-05-16 2003-11-19 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 成形品の保存方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010042666A (ja) * 2008-07-14 2010-02-25 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc 酸素吸収多層体
EP2444458A4 (en) * 2009-06-15 2015-08-19 Mitsubishi Gas Chemical Co HYDROGEN ABSORBENT RESIN COMPOSITION
US9260596B2 (en) 2009-06-15 2016-02-16 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Oxygen-absorbing resin composition
JP2011236285A (ja) * 2010-05-07 2011-11-24 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc 酸素吸収樹脂組成物の製造方法
WO2014010598A1 (ja) * 2012-07-10 2014-01-16 三菱瓦斯化学株式会社 酸素吸収性樹脂組成物
JPWO2014010598A1 (ja) * 2012-07-10 2016-06-23 三菱瓦斯化学株式会社 酸素吸収性樹脂組成物
US9630764B2 (en) 2012-07-10 2017-04-25 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Oxygen-absorbing resin composition

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101535321B1 (ko) 산소 흡수 수지 조성물
JP5288079B1 (ja) 酸素吸収性樹脂組成物、酸素吸収多層体、および酸素吸収中空容器
EP3078604B1 (en) Multi-layered container
EP3078491B1 (en) Multilayer container
JP2011132502A (ja) 酸素吸収樹脂組成物
JP2011136761A (ja) 茶含有物品の保存方法
JP2011131935A (ja) 加熱処理用脱酸素包装容器
JP2011126270A (ja) 酸素吸収多層体
JP2010013638A (ja) 酸素吸収樹脂組成物
JP5581833B2 (ja) 酸素吸収樹脂組成物
JP2011094021A (ja) 酸素吸収樹脂組成物
JP5601118B2 (ja) 酸素吸収多層体および容器
JP3978542B2 (ja) 脱酸素性多層体及びこれよりなる包装容器
JP5263040B2 (ja) 酸素吸収多層体
JP2003341747A (ja) 包装容器
JP2011136552A (ja) 酸素吸収多層体
JP2011236285A (ja) 酸素吸収樹脂組成物の製造方法
JP2011131579A (ja) 加熱殺菌処理食品用酸素吸収多層体
JP5633213B2 (ja) 酸素吸収樹脂組成物
JP2011131578A (ja) 酸素吸収多層体
JP5954194B2 (ja) 酸素吸収性多層体
JP2011122140A (ja) 酸素吸収樹脂組成物
JP2011135865A (ja) 酢酸含有食品の保存方法
JP2011131581A (ja) 過酸化水素殺菌処理用酸素吸収多層体
JP2011127094A (ja) 酸素吸収樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20120119

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120508

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120918

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120925

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130514

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130917