JP2010013638A - 酸素吸収樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、ポリオレフィン樹脂、遷移金属触媒及びポリアミド樹脂を含有する酸素吸収樹脂組成物であって、該ポリアミド樹脂の融点が200℃以下、ガラス転移温度が80℃以下で、且つ、該遷移金属触媒と該ポリアミド樹脂の合計含有量が20〜60重量%であることを特徴とする酸素吸収樹脂組成物を用いる。
【選択図】なし
Description
Tgは、JIS K7122に準拠して測定した。測定装置は(株)島津製作所製「DSC−60」を使用した。
融点は、ISO11357に準拠して、DSC融解ピーク温度を測定した。測定装置は(株)島津製作所製「DSC−60」を使用した。
数平均分子量は、GPC−LALLSにて測定した。測定装置は昭和電工(株)製「Shodex GPC−2001」を使用した。
各樹脂のMFRは、JIS K7210に準拠した装置((株)東洋精機製作所製「メルトインデックサ」)を用いて、特定の温度において、荷重2160gの条件下で測定し、温度と共にその値を記載した(単位:「g/10分」)。なお、JIS K7210に準拠してMFRを測定した場合はその旨、特に記載した。
試料0.5gを30mlのフェノール/エタノール=4/1(体積比)に溶解させ、メタノール5ml加え、滴定液として0.01規定の塩酸にて自動滴定装置(平沼製作所製「COM−2000」)にて滴定した。試料を加えず滴定した同様の操作をブランクとし、下記式より末端アミノ基濃度を算出した。
末端アミノ基濃度(μeq/g)=(A−B)×f×10/C
(A;滴定量(ml)、B;ブランク滴定量(ml)、f;規定液のファクター、C;試料量(g))。
試料0.5gを30mlのベンジルアルコールに溶解させ、メタノール10ml加え、滴定液として0.01規定の水酸化ナトリウム溶液にて自動滴定装置(平沼製作所製「COM−2000」)にて滴定した。試料を加えず滴定した同様の操作をブランクとし、下記式より末端カルボキシル基濃度を算出した。
末端カルボキシル基濃度(μeq/g)=(A−B)×f×10/C
(A;滴定量(ml)、B;ブランク滴定量(ml)、f;規定液のファクター、C;試料量(g))。
各温度にて、ペレットを溶融させ、各温度にて樹脂を結晶化させた場合、すべてが結晶化する時間を結晶化時間といい、結晶化50%到達時間を半結晶化時間という。半結晶化時間の測定は、脱偏光強度法により行った。脱偏光強度法は、結晶化により樹脂を透過する光が複屈折を起こす現象を利用して、光源と偏光板及び受光素子からなる装置を用いて樹脂の結晶化の進行度を測定する方法である。非晶または溶融状態の検体を結晶化させると、結晶化の進行度に比例して偏光板を透過する光量が変化する。測定条件において変化する透過光量の半分、すなわち半分の結晶化迄にかかる時間を半結晶化時間とした。なお、半結晶化時間は、測定温度で異なるが、以下の記載においては、各温度の半結晶化時間の内、最も半結晶化時間の短いものを「半結晶化時間」として記載した。また、結晶化時間及び半結晶化時間の測定には(株)コタキ製作所製「ポリマー結晶化速度測定装置 MK−701型」を使用した。
反応缶内でジカルボン酸を170℃にて加熱し、溶融した後、内容物を攪拌しながら、メタキシリレンジアミンをジカルボン酸とのモル比が1:1となるように徐々に連続的に滴下し、かつ温度を240℃まで上昇させた。滴下終了後、260℃に昇温し、反応を継続した。反応終了後、反応缶内を窒素にて微加圧し、穴を有するダイヘッドからストランドを押出し、ペレタイザーでペレット化した。得られたペレットをタンブラーに仕込み、減圧下で固相重合し、分子量及びMFRを調整したポリアミド樹脂を得た。
(ポリアミド1の合成)
メタキシリレンジアミンとセバシン酸を1:1の割合のモル比で使用し、前記合成条件にてポリアミド樹脂を合成した(以下、当該ポリアミド樹脂をポリアミド1と表記する)。なお、固相重合時の温度は、160℃とした。ポリアミド1は、Tg63℃、融点193℃、末端アミノ基濃度は15.9μeq/g、末端カルボキシル基濃度は70.3μeq/g、数平均分子量は23000、半結晶化時間は154秒、240℃のMFRが7.8g/10分であった。また、得られたポリアミド1単体で未延伸フィルムを作製し、その酸素透過係数を求めたところ、1.58cc・mm/(m2・日・atm)(23℃・60%RH)であった。
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1A:LLDPE=55:45とした以外は、実施例1と同様にして酸素吸収樹脂組成物からなるフィルムを得た後、実施例1と同様の保存試験を実施した。これらの結果を表1に示した。
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1A:LLDPE=25:75とした以外は、実施例1と同様にして酸素吸収樹脂組成物からなるフィルムを得た後、実施例1と同様の保存試験を実施した。これらの結果を表1に示した。
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1A:LLDPE=80:20とした以外は、実施例1と同様にして酸素吸収樹脂組成物からなるフィルムを得た後、実施例1と同様の保存試験を実施した。これらの結果を表1に示した。
LLDPEと溶融混練せず、ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1Aのみのフィルムとした以外は、実施例1と同様にして酸素吸収樹脂組成物からなるフィルムを得た後、実施例1と同様の保存試験を実施した。これらの結果を表1に示した。
酸素吸収樹脂ペレットAをコア層とし、スキン層をLLDPEとした、2種3層フィルム1(厚み;10μm/20μm/10μm)を、幅800mmで、120m/分で、片面をコロナ放電処理して、作製した。得られたフィルムの外観は良好で、HAZEは28%であった。コロナ処理面側にウレタン系ドライラミネート用接着剤(製品名;東洋モートン(株)製 TM251/CAT−RT88、以下、ラミネート用接着剤と表記する)を用いて、ナイロンフィルムA(製品名;東洋紡績(株)製 N1202、以下、ONyと表記する)、アルミ箔及びPETフィルムA(製品名;東洋紡績(株)製 E5100)を積層し、PETフィルムA(12)/ラミネート用接着剤(3)/アルミ箔(9)/ラミネート用接着剤(3)/ONy(15)/ラミネート用接着剤(3)/LLDPE(10)/酸素吸収樹脂組成物(20)/LLDPE(10)の酸素吸収多層フィルムを得た。尚、括弧内の数字は各層の厚さ(単位:μm)を意味する。また、以下の実施例でも特別な断りがない限り、同様の表記をする。次いで、該酸素吸収多層フィルムを用いて、15×20cmの三方シール袋を作製し、水分活性0.35のビタミンC錠剤を200g充填し、密封後、40℃下にて保存した。1ヶ月保存後の袋内酸素濃度及び外観を調査した所、袋内酸素濃度は、0.1%以下であり、ビタミンC錠剤の外観は、良好に保持されていた。
実施例4で得られた、2種3層フィルム1を用いて、低密度ポリエチレン(製品名;三井化学(株)製「ミラソン18SP」、以下PEと表記する)による押し出しラミネートにて、晒クラフト紙(坪量340g/m2)/ラミネート用接着剤(3)/アルミナ蒸着PETフィルム(製品名;凸版印刷(株)製「GL-AEH」、12)/ウレタン系アンカーコート剤(東洋モートン(株)製「EL−557A/B」、0.5)/PE(20)/LLDPE(10)/酸素吸収樹脂(20)/LLDPE(10)の酸素吸収多層紙基材を得た。この基材を、1リットル用のゲーベルトップ型の紙容器に成形した。容器の成形性は良好であった。この紙容器に、日本酒を充填し、密封後、40℃下にて保存した。1ヶ月後の風味及び紙容器内の酸素濃度は、0.1%以下であり、日本酒の風味は良好に保持されていた。
LLDPEに代えてエチレン−プロピレンブロック共重合体(製品名;日本ポリプロ(株)製「ノバテック FG3DC」、230℃のMFR9.5g/10分、240℃のMFR10.6g/10分、以下PP1と表記する)を使用した以外は実施例1と同様にして酸素吸収樹脂ペレットBを得た。次いで、酸素吸収樹脂ペレットBをコア層とし、スキン層をLLDPEに代えてPP1とした以外は実施例4と同様にして、2種3層フィルム2(厚み;15μm/30μm/15μm)を作製した。得られたフィルムのHAZEは64%であった。コロナ処理面側にラミネート用接着剤を用いて、アルミナ蒸着PET(製品名;凸版印刷(株)製「GL-AEH」)及びONyを積層し、アルミナ蒸着PET(12)/ラミネート用接着剤(3)/ONy(15)/ラミネート用接着剤(3)/PP1(15)/酸素吸収樹脂(30)/PP1(15)の酸素吸収多層フィルムを得た。次いで、該酸素吸収多層フィルムを用いて、10×20cmの三方シール袋を作製し、その一部に直径2mmの円状の通蒸口を設け、その通蒸口をラベルシールにて周辺を仮着した。その袋に、ニンジン、肉を含んだカレーを充填し、密封後、124℃、30分のレトルト調理、加熱殺菌した後、40℃下にて保存した。1ヶ月後、袋をそのまま電子レンジにて約4分加熱し、約3分後には、袋が膨張し、仮着したラベルシール部が剥がれ、通蒸口から蒸気が出ることを確認した。調理終了後、カレーの風味、ニンジンの色調を調査した所、ニンジンの外観は、良好に保持され、カレーの風味は良好であった。
平均粒径20μmの鉄粉と塩化カルシウムを100:1の割合で混合し、LLDPEと30:70の重量比で混練して、鉄系酸素吸収樹脂組成物Aを得た。鉄系酸素吸収樹脂組成物Aをコア層とし、実施例4と同様に2種3層フィルムを作製しようとしたが、フィルム表面に鉄粉の凹凸が発生し、フィルムが得られなかった。そのため、厚さ40μmのLLDPEに酸素吸収層として、鉄系酸素吸収樹脂組成物Aを厚さ20μmで押出ラミネートし、酸素吸収層面をコロナ放電処理したラミネートフィルムを得た。このラミネートフィルムを実施例5同様に晒クラフト紙と積層し、晒クラフト紙(坪量340g/m2)/ラミネート用接着剤(3)/アルミナ蒸着PETフィルム(製品名;凸版印刷(株)製「GL-AEH」、12)/ウレタン系アンカーコート剤(東洋モートン(株)製「EL−557A/B」、0.5)/PE(20)/鉄系酸素吸収樹脂組成物A(20)/LLDPE(40)の酸素吸収多層紙基材からなるゲーベルトップ型紙容器を作製しようとしたが、厚みが厚く、紙容器の角を作製することが困難であった。容器作製速度を落とし、不良品を排除してようやく容器得た。以下、実施例5と同様に、日本酒の保存試験を行ったが、開封時アルデヒド臭が発生しており、風味は著しく低下した。
LLDPEに代えて、PP1を使用した以外は比較例3と同様にして、鉄系酸素吸収樹脂組成物Bを得た。次いで、鉄系酸素吸収樹脂組成物B(20)/PP1(40)のラミネートフィルムを作製後、酸素吸収層面をコロナ放電処理した。以下実施例6と同様にして、アルミナ蒸着PET(製品名;凸版印刷(株)製「GL-AEH」、12)/ラミネート用接着剤(3)/ONy(15)/接着剤(3)/鉄系酸素吸収樹脂組成物B(20)/PP1(40)の酸素吸収多層フィルムを得た。得られた酸素吸収多層フィルムを用いて実施例6と同様の試験をした結果、風味は良好に保持されていたが、内容物は視認できず、電子レンジ加熱時に、表面に気泡状のムラが発生した。
ポリアミド1に遷移金属触媒として、ステアリン酸コバルトをコバルト濃度200ppmとなるよう二軸押出機にて、溶融したポリアミド1にサイドフィードにて添加した。さらに、得られたポリアミド1とステアリン酸コバルトの混合物(以下、ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1Bと表記する)に、ポリオレフィン樹脂として、LLDPEを、ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1B:LLDPE=40:60の重量比で、240℃にて溶融混練し、酸素吸収樹脂ペレットCを得た。
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1B:LLDPE=55:45とした以外は、実施例7と同様にして酸素吸収多層フィルムを得た後、三方シール袋を作製して、実施例7と同様の保存試験を実施した。これらの結果を表2に示した。
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1B:LLDPE=25:75とした以外は、実施例7と同様にして酸素吸収多層フィルムを得た後、三方シール袋を作製して、実施例7と同様の保存試験を実施した。これらの結果を表2に示した。
(ポリアミド2の合成)
メタキシリレンジアミンとセバシン酸とアジピン酸とを、10:8:2の割合のモル比で使用し、ポリアミド樹脂を合成した(以下、当該ポリアミド樹脂をポリアミド2と表記する)。なお、固相重合時の温度は、160℃とした。このポリアミド2は、Tg68℃、融点188℃、末端アミノ基濃度16.2μeq/g、末端カルボキシル基濃度70.7μeq/g、半結晶化時間は144秒、数平均分子量は23000、240℃のMFRが7.6g/10分であった。また、得られたポリアミド2単体で未延伸フィルムを作製し、その酸素透過係数を求めたところ、1.18cc・mm/(m2・日・atm)(23℃・60%RH)であった。
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1B:LLDPE=70:30とした以外は、実施例7と同様にして酸素吸収多層フィルムを得た後、三方シール袋を作製して、実施例7と同様の保存試験を実施した。これらの結果を表2に示した。
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1B:LLDPE=15:85とした以外は、実施例7と同様にして酸素吸収多層フィルムを得た後、三方シール袋を作製して、実施例7と同様の保存試験を実施した。これらの結果を表2に示した。
酸素吸収樹脂ペレットCをコア層とし、LLDPEをスキン層とした、2種3層フィルム3(厚さ;10μm/20μm/10μm)を、幅800mmで、130m/分で、片面をコロナ放電処理し、フィルムロールを作製した。フィルムロールは、実施例7〜10で作製したフィルムロールより、さらに良好であった。
2種3層フィルム3を用いて、PEによる押し出しラミネートにて、アルミナ蒸着PETフィルム(製品名;凸版印刷(株)製 GL-AEH、12)/ラミネート用接着剤(3)/ONy(15)/ウレタン系アンカーコート剤(東洋モートン(株)製 EL−557A/B、0.5)/PE(20)/LLDPE(10)/酸素吸収樹脂(20)/LLDPE(10)の酸素吸収多層体からなる酸素吸収多層フィルムを得た。このフィルムを、LLDPE層側を内面にして側面フィルム2枚と底面フィルム1枚の自立性袋(130×175×35mm)に加工したところ、袋加工性は良好であった。その袋に、40袋/分の速度で、高速自動充填にて、アスパラを酢酸を含有した溶液と共に計150g充填したところ、袋開口性が良好で、ヒートシールも問題なく行なえた。充填、密封した袋、10個を90℃・30分のボイル処理を行い、40℃下にて保存し、1ヶ月後のアスパラの風味及び自立袋の外観を調査した。アスパラは袋外部から視認でき、アスパラの風味、色調は良好に保持されており、袋の外観に異常はなかった。
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1B:LLDPE=80:20とした以外は、実施例7と同様にして酸素吸収樹脂ペレットを作製した後、該ペレットを使用して実施例11と同様にして酸素吸収多層フィルムを作製し、自立性袋に加工した。実施例11と同様にしてアスパラを酢酸を含有した溶液と共に計150g充填したところ、該袋のシール強度は低く、特に、酸素透過層と酸素吸収樹脂層との剥離が生じた。そのまま、充填した袋を90℃・30分のボイル処理を行ったが、6袋に破袋が生じていた。残った袋にて実施例11と同様の保存試験したところ、アスパラの風味、色調が低下していた。袋の外観には異常はなかった。
酸素吸収樹脂ペレットCに代えて鉄系酸素吸収樹脂組成物Aを使用して、実施例11と同様に2種3層フィルムを作製しようとしたが、フィルム表面に鉄粉の凹凸が発生し、フィルムが得られなかった。そのため、厚さ40μmの直鎖状低密度ポリエチレンB(製品名;(株)オカモト製 LRW)からなるフィルムに、酸素吸収樹脂層として鉄系酸素吸収樹脂組成物Aを厚さ20μmで押出ラミネートし、酸素吸収樹脂層面をコロナ放電処理したラミネートフィルムを得た。そのラミネートフィルムを実施例11と同様にラミネートし、アルミナ蒸着PETフィルム(製品名;凸版印刷(株)製 GL-AEH、12)/ラミネート用接着剤(3)/ONy(15)/ウレタン系アンカーコート剤(製品名;東洋モートン(株)製 EL−557A/B、0.5)/PE(20)/鉄系酸素吸収樹脂組成物A(20)/直鎖状低密度ポリエチレンB(40)の鉄系酸素吸収多層体を作製し、実施例11と同様にして、自立性袋に加工した。実施例11と同様に、アスパラを酢酸を含有した溶液と共に計150g充填しようと試みたところ、袋開口性が悪く、数袋において、内容物がこぼれ出し、充填することができなかった。さらに、実施例11と同様にしてボイル処理後、保存試験を実施したが、アスパラは袋外部から視認できなかったため、袋を開封した。アスパラの風味、色調は良好に保持されていたものの、袋の外観には、凹凸が生じ、一部デラミネーションが発生していた。
ポリアミド1に代えてポリアミド2を用い、LLDPEに代えてPP1を使用した以外は実施例7と同様にして酸素吸収樹脂ペレットを作製した。続いて、LLDPEをPP1とした以外は実施例11と同様にして、2種3層フィルム4(厚さ;15μm/30μm/15μm)を作製した。作製したフィルムロールの外観形状やフィルムの外観は、良好であった。HAZEは64%であった。コロナ処理面側にラミネート用接着剤を用いて、ONy及びシリカ蒸着PETフィルム(製品名;三菱樹脂(株)製 テックバリアTXR)を積層し、シリカ蒸着PETフィルム(12)/ラミネート用接着剤(3)/ONy(15)/ラミネート用接着剤(3)/PP1(15)/酸素吸収樹脂(30)/PP1(15)の酸素吸収多層体からなる酸素吸収多層フィルムを得た。本酸素吸収多層フィルムを用いて、PP1層側を内面にして10×20cmの三方シール袋を作製し、その一部に直径2mmの円状の通蒸口を設け、その通蒸口をラベルシールにて周辺を仮着した。その袋に、イカ、カニ、貝等の魚貝類を含んだリゾット100gを充填し、密封、124℃、30分のレトルト調理、加熱殺菌した後、40℃下にて保存した。1ヶ月後、袋をそのまま電子レンジにて約4分加熱し、約3分後には、袋が膨張し、仮着したラベルシール部が剥がれ、通蒸口から蒸気が出ることを確認した。調理終了後、リゾットの風味、カニ等の魚貝類の色調を調査した所、魚貝類の外観は、良好に保持され、リゾットの風味は良好であった。
ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1B:PP1=10:90とした以外は、実施例7と同様にして酸素吸収樹脂ペレットを作製し、該ペレットを用いて、実施例12と同様にして三方シール袋を作製し、リゾットの保存・調理試験を実施した。レンジ調理後の袋に異常はなかったが、カニ等の魚貝類色調やリゾットの風味が低下していた。
酸素吸収樹脂ペレットCからなる酸素吸収樹脂層30μmとオレフィン系ポリマーアロイ(製品名;三菱化学(株)製 VMX/X150F、MFR3.5g/10分(JIS K7210に準拠して測定)、240℃の溶融粘度7.9g/10分)からなる酸素透過層30μmを積層して、2種2層フィルム2を作製した。続いて、ラミネート用接着剤を用いて、エチレン−ビニルアルコール共重合体層15μmとナイロンフィルムB(製品名;東洋紡(株)製「N1102」)層15μmを積層し、ナイロンフィルムB(15)/ラミネート用接着剤(3)/エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムA((株)クラレ製 エバールEF−XL、15)/ラミネート用接着剤(3)/酸素吸収樹脂(30)/オレフィン系ポリマーアロイ(30)の酸素吸収多層体からなる酸素吸収多層フィルムを得た。フィルムの外観は良好であった。
実施例13と同様にして得た酸素吸収多層フィルムと70ccカップを用い、それぞれ浸漬による過酸化水素殺菌を行った。殺菌時に酸素吸収多層フィルムに異常はなかった。カップに80℃に保温されたイチゴジャムをホット充填し、酸素吸収多層フィルムを、ナイロンフィルムB層側を外側とする蓋材として、密封した。密封容器を40℃、1ヶ月保存した。1ヶ月後、蓋材から内容物を視認したところ、色調は、良好に保たれていた。蓋材を開封した所、二重蓋になることなく、開封性は良好で、内容物の風味は、良好に保持されていた。
比較例8と同様にして得た鉄系酸素吸収樹脂層を有する鉄系酸素吸収多層体を、実施例14と同様の方法で過酸化水素殺菌したところ、過酸化水素に気泡が発生し、殺菌を継続することができなかった。
ポリアミド1に遷移金属触媒として、ステアリン酸コバルトをコバルト濃度400ppmとなるよう二軸押出機にて、溶融したポリアミド1にサイドフィードにて添加した。さらに、得られたポリアミド1とステアリン酸コバルトの混合物(以下、ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1Cと表記する)に、ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレンA(製品名;日本ポリプロ(株)製、ノバテックPP EG7F、MFR1.3g/10分(JIS K7210に準拠して測定)、240℃のMFR8.2g/10分、250℃のMFR9.8g/10分、以下PP2と表記する)をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1C:PP2=35:65となるように、二軸押出機にて240℃にて溶融混練し、酸素吸収樹脂ペレットDを得た。
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1C:PP2=55:45とした以外は、実施例15と同様にして酸素吸収多層シートを得た後、酸素吸収多層容器を作製して、実施例15と同様の保存試験を実施した。この結果を表3に示した。
溶融混練時の重量比をステアリン酸コバルト含有ポリアミド1C:PP2=20:80とした以外は、実施例15と同様にして酸素吸収多層シートを得た後、酸素吸収多層容器を作製して、実施例15と同様の保存試験を実施した。この結果を表3に示した。
ポリアミド1に代えてポリアミド2を使用した以外は実施例15と同様にして酸素吸収多層シートを得た後、酸素吸収多層容器を作製して、実施例15と同様の保存試験を実施した。この結果を表3に示した。
平均粒径20μmの鉄粉と塩化カルシウムを100:1の割合で混合し、これとPP2とを30:70の重量比で混練して、鉄系酸素吸収樹脂組成物Bを得た。続いて、酸素吸収樹脂層に鉄系酸素吸収樹脂組成物Bを使用した以外は、実施例15と同様にして鉄系酸素吸収多層シートを作製した。該多層シートの構成は、内層より、PP2(80)/鉄系酸素吸収樹脂B(100)/接着層(15)/エチレン−ビニルアルコール共重合体C(30)/接着層(15)/PP2(250)であった。得られた鉄系酸素吸収多層シートを熱成形し、トレイ状容器を作製しようとしたが、ドローダウンが発生したため加工が困難であった。また作製した容器は鉄粉を使用しているため不透明であり、鉄粉に起因する凹凸のため外観が悪かった。しかし、外観の及第する容器が得られたため、実施例15と同様の保存試験を実施した。この結果を表3に示した。
ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1Cに、ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレンB(製品名;日本ポリプロ(株)製、ノバテックPP FW4BT、MFR6.5g/10分(JIS K7210に準拠して測定)、240℃のMFR8.3g/10分、250℃のMFR10.0g/10分、以下PP3と表記する)を、ステアリン酸コバルト含有ポリアミド1C:PP3=35:65の重量比で、240℃にて溶融混練し、酸素吸収樹脂ペレットEを得た。次いで酸素吸収樹脂ペレットEをコア層とし、スキン層をPP3とした、2種3層フィルム5(厚み;10μm/10μm/10μm)を、幅800mm、100m/分で、片面をコロナ放電処理して、作製した。得られたフィルムの外観は良好で、HAZEは10%であった。
実施例15と同様にして、酸素吸収多層シートを作製した。該多層シートの構成は、内層より、PP2(90)/酸素吸収樹脂(80)/接着層(15)/エチレン−ビニルアルコール共重合体C(30)/接着層(15)/PP2(250)であった。次いで、該多層シートを、真空成形機を用いて、内層を内側にし、カップ状容器(内容積100cc、表面積96cm2)に熱成形加工した。該容器に霧状の過酸化水素を吹き付けた後、熱風で乾燥させ、殺菌した。その後、オレンジジャムを充填し、実施例15と同様にして得たガスバリア性フィルムを同様に過酸化水素で殺菌し、トップフィルムに用いて密封後、40℃下に保存した。1ヵ月保存後の容器内酸素濃度は0.1%以下であり、オレンジジャムは風味を保持していた。
比較例11と同様にして、鉄系酸素吸収多層シートを作製した。該多層シートの構成は、内層より、PP2(90)/鉄系酸素吸収樹脂B層(80)/接着層(15)/エチレン−ビニルアルコール共重合体C(30)/接着層(15)/PP2(250)であった。次いで、該鉄系酸素吸収多層シートを熱成形し、実施例20と同様のカップ状容器を作製しようとしたが、ドローダウンが発生したため加工が困難であった。しかし、外観の及第する容器が得られたため、容器に霧状の過酸化水素を吹き付けたところ、容器端面に露出している鉄粉と過酸化水素が反応し、殺菌が困難であり、熱風での乾燥後は端面の鉄粉が錆びていた。
Claims (3)
- 少なくとも、ポリオレフィン樹脂、遷移金属触媒及びポリアミド樹脂を含有する酸素吸収樹脂組成物であって、該ポリアミド樹脂の融点が200℃以下、ガラス転移温度が80℃以下で、且つ該遷移金属触媒と該ポリアミド樹脂の合計含有量が20〜60重量%であることを特徴とする酸素吸収樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂からなる酸素透過層、請求項1記載の酸素吸収樹脂組成物を含有する酸素吸収樹脂層及びガスバリア性物質からなるガスバリア層の少なくとも3層がこの順に積層してなる酸素吸収多層体。
- 請求項2記載の酸素吸収多層体の酸素透過層を内側として熱成形してなる酸素吸収多層容器。
Priority Applications (1)
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