JP2010092754A - 車両用前照灯装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シェードを正確な位置で停止させる構造を実現しつつ、ハイビーム用配光パターンとロービーム用配光パターンの高速切り替えができる車両用前照灯装置を提供する。
【解決手段】バルブ30から照射された光の遮光状態を変化させて複数種類の配光パターンの中から1つの配光パターンを形成するシェード機構34と、このシェード機構34による遮光状態を変化させる第1アクチュエータ42、第2アクチュエータ44を含む。第2アクチュエータ44、第2アクチュエータ44は、そのいずれが駆動する場合でもシェード機構34によりロービーム用配光パターンを形成する。
【選択図】図1
【解決手段】バルブ30から照射された光の遮光状態を変化させて複数種類の配光パターンの中から1つの配光パターンを形成するシェード機構34と、このシェード機構34による遮光状態を変化させる第1アクチュエータ42、第2アクチュエータ44を含む。第2アクチュエータ44、第2アクチュエータ44は、そのいずれが駆動する場合でもシェード機構34によりロービーム用配光パターンを形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両用前照灯装置、特にシェードを用いてロービームとハイビームを切り替える車両用前照灯装置の構造に関する。
車両用前照灯装置は、光源からの光をリフレクタで前方へ反射させてロービームまたはハイビームを照射するようになっている。ロービームとハイビームとでは照射するビームの配光パターンが異なる。この場合、2つの光源を用いてその点灯切換えを行うことによりロービームとハイビームとの切り替えを行うものがある。また、単一の光源により照射される光の一部を遮ることによりロービーム用の配光パターンを形成し、遮らないときにハイビーム用の配光パターンを形成する車両用前照灯装置も知られている。前者の場合は、4灯式のいわゆる配光固定式前照灯であり、後者の場合は2灯式のいわゆる配光可変式前照灯として構成することができる。
光源が単一の場合におけるビーム切換え方法の1つとして、シェードと呼ばれる遮光部材を形成したい配光パターンに応じて移動させてビーム切換えを行う方法が提案されている。例えば、水平支持軸回りに回転可能な回転シェードが提案されている。この回転シェードは、モータ等のアクチュエータを備えたビーム切換装置により回転する。回転シェードの外周面上には軸方向に複数の稜線部が形成されている。ある稜線部は、左配光ロービーム用配光パターンを形成し、別の稜線部は右配光ロービーム用配光パターンを形成する。また、他の稜線部とは異なり大きく凹条に切り欠かれた稜線部は、光源からの光を遮ることなくハイビーム用配光パターンを形成する(例えば、特許文献1参照)。
上述した回転シェードは回転支持軸の外周面上に複数の稜線部が形成可能で、複数種類の配光パターンを容易に切り替えることができる。そのため、各種配光パターンを用いた多機能の前照灯装置を構成することが可能であり各種車両への採用が期待されている。
特開2004−349120号公報
前述したように、回転シェードの場合、シェードを切り替えるための回転はモータで行うことになる。また、回転シェード以外のシェード機構においてもシェード形状の選択を行うシェード駆動系の駆動源としてモータを用いている場合がある。このようにシェード駆動系をモータで構成する場合、駆動制御において幾つか対策を講じておく必要がある。例えば、ロービームとハイビームの切り替えは迅速に行う必要がある。特にハイビーム使用時に対向車や歩行者の存在を確認した場合には迅速にロービームに切り替える必要がある。また、対向車や歩行者に注意を喚起させるときに使用する「パッシング」は、ロービームとハイビームの切り替えを迅速かつ連続して行う必要がある。その反面、通常使用時は、複数のシェードの中から所望のシェードを選択して配光パターンの形成位置で正確に停止させて明瞭な配光パターンを形成する必要があり、駆動スピードの高速化は好ましくない。従って、ハイビーム用配光パターンとロービーム用配光パターンの高速切り替えを実現しつつ、シェードを正確な位置で停止させることのできる構造の提案が望まれている。
また、シェード駆動系がモータを含んでいる場合、モータに不具合が生じた場合の対策を備えておく必要がある。例えば、ハイビーム照射状態でモータが動作不良を起こしたり、モータを減速するギアに不具合が生じた場合、ハイビーム照射状態が維持されてしまうことがある。この場合、対向車や歩行者に不快感を伴う眩しさであるグレアを与えてしまう場合があり走行上好ましくない。そこで、シェード駆動系に異常が生じた場合には、ロービーム用配光パターンへ切り替えが迅速にできる構造が望まれている。
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、シェードを正確な位置で停止させる構造を実現しつつ、ハイビーム用配光パターンとロービーム用配光パターンの高速切り替えができる車両用前照灯装置を提供することにある。また、他の目的は、シェード駆動系に異常が生じた場合でもロービーム用配光パターンへ迅速に切り替えることのできる構造を有する車両用前照灯装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用前照灯装置では、車両前方へ光を照射可能な光源と、前記光源から照射された光の遮光状態を変化させて複数種類の配光パターンの中から1つの配光パターンを形成するシェード機構と、前記シェード機構による遮光状態を変化させる複数のアクチュエータと、前記複数のアクチュエータのいずれか1つを駆動制御して光の照射状態を制御する照射制御部と、を含み、前記複数のアクチュエータは、そのいずれが駆動する場合でも前記シェード機構によりロービーム用配光パターンを形成可能とすることを特徴とする。
シェード機構は、単独のシェード部材で配光パターンに対応するものを複数準備しておき、その中からいずれかを選択することにより所望の配光パターンを形成する機構でもよい。また、配光パターンの一部形状を規定する部分シェード部材を複数準備しておき、幾つかの部分シェード部材を組み合わせることにより所望の配光パターンを形成する機構でもよい。複数設けられたアクチュエータは、異なる接続系統でシェード機構に接続され、それぞれのアクチュエータが単独でシェード機構を動作させてロービーム用配光パターンを形成する。例えば、1つのアクチュエータは低速駆動によりロービーム用配光パターンを形成し、別のアクチュエータは高速駆動によりロービーム用配光パターンを形成するようにしてもよい。この場合、それぞれのアクチュエータの駆動によって形成されるロービーム用配光パターンの形状は、グレア抑制効果を有する形状で、少なくとも1つのロービーム用配光パターンが通常走行時の使用に適した形状であればよい。従って、それぞれのアクチュエータの駆動によって形成されるロービーム用配光パターンの形状は、同一であってもよいし、異なる形状であってもよい。
この態様によれば、使用状態に応じてアクチュエータを使い分けたロービーム用配光パターンを基本とする配光パターンの形成制御ができる。例えば、ロービーム用配光パターンへの切り替えを迅速に行いたい場合と正確に行いたい場合とで使い分けが可能になり状況に応じた適切な照射制御ができる。また、ロービーム用配光パターンの形成を複数系統の制御により実現できるので、前照灯装置のフェールセーフ性能を向上させることができる。
また、上記態様において、前記シェード機構は、第1アクチュエータの駆動によって動作する第1シェードと、第2アクチュエータの駆動によって動作する第2シェードとを含み、前記第1シェードは、ロービーム用配光パターンを含む複数種類の配光パターンの中から1つの配光パターンを形成可能であり、前記第2シェードは、ロービーム用配光パターンを形成可能であってもよい。第1シェードは例えば、複数のシェード形状を円筒外周面に形成して回転することにより、いずれかのシェード形状を配光パターン形成位置に移動させる回転式シェードユニットであってもよい。また、カム機構などにより複数の部材を進退移動させて所望のシェード形状を配光パターン形成位置に移動させる進退式シェードユニットであってもよい。第2シェードは、例えば、ロービーム用配光パターンを専用に形成するシェード部材を高速で進退移動させる進退式シェードユニットであってもよい。第1アクチュエータはシェード形状ごとの停止位置を正確に選択できるモータであってもよい。また、第2アクチュエータは、進退動作を高速でできるソレノイドであってもよい。この態様によれば、第1アクチュエータと第1シェードによって形成される第1ロービーム用配光パターンと第2アクチュエータと第2シェードによって形成される第2ロービーム用配光パターンとの使い分けが可能になり、状況に対応した配光パターンの形成手段が選択できる。
また、上記態様において、前記シェード機構は、第1アクチュエータと第2アクチュエータのいずれか一方により動作する共通シェードを含み、前記共通シェードは、前記第1アクチュエータの駆動によりロービーム用配光パターンを含む複数種類の配光パターンの中から1つの配光パターンを形成可能であり、前記第2アクチュエータの駆動によりロービーム用配光パターンを形成可能としてもよい。共通シェードは、第1アクチュエータから動力伝達を受ける第1状態と第2アクチュエータから動力伝達を受ける第2状態とを選択的に切り替える構造を有してもよい。この切り替え動作は、一方アクチュエータの動作によって、他方のアクチュエータの動作がキャンセルされてもよい。また、一方のアクチュエータの退避動作によって他方のアクチュエータの動作が有効にあるようにしてもよい。この態様によれば、シェードの共通化を図り部品点数の削減を行いつつ、共通シェードを2系統の駆動系で動作させることができる。
また、上記態様において、前記照射制御部は、前記第2アクチュエータの駆動により前記第2シェードで前記ロービーム用配光パターンを形成している間に、前記第1アクチュエータの駆動により前記第1シェードを動作させて前記第1アクチュエータの駆動状態に対応した配光パターンを決定するようにしてもよい。第1アクチュエータの動作により第1シェードの複数のシェード形状の中から所望のシェード形状を選択する場合、その選択過程で意図しないシェード形状による配光パターンが形成され、運転者に違和感を与えたり周囲にグレアを与えてしまう場合がある。そこで、第2シェードによりロービーム用配光パターンを形成しておき、そのバックグラウンドで第1アクチュエータの動作により第1シェードで所望のシェード形状を選択もしくは、選択できる状態にする。そして、第2シェードによるロービーム用配光パターンの解除後に直ちに第1シェードによる所望の配光パターンを形成する。つまり、第1シェードによシェード形状の選択動作が配光パターンに影響することを防止できる。この場合、ロービーム用配光パターンから所望の配光パターンへの1回変動なので、配光パターンの切り替わり時に運転者に違和感を与えたり周囲にグレアを与えいないようにすることができる。
また、上記態様において、前記共通シェードは、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータに対して接離可能であり、前記照射制御部は、前記第2アクチュエータの駆動により前記共通シェードで前記ロービーム用配光パターンを形成している間に、前記第1アクチュエータと前記共通シェードを分離すると共に前記第1アクチュエータを駆動して、当該第1アクチュエータが前記共通シェードと接続したときに前記第1アクチュエータの駆動状態に対応した配光パターンを決定するようにしてもい。第2アクチュエータの動作によりロービーム用配光パターンを形成しておき、バックグラウンドで第1アクチュエータを動作して第1シェードで所望のシェード形状を選択できる状態にする。そして、第2アクチュエータの動作によるロービーム用配光パターンの形成動作を解除後に直ちに第1アクチュエータの動作によるロービーム用配光パターンを形成する。つまり、第1アクチュエータによシェード形状の選択動作が配光パターンに影響することを防止できる。この場合、ロービーム用配光パターンから所望の配光パターンへの1回変動なので、配光パターンの切り替わり時に運転者に違和感を与えたり周囲にグレアを与えいないようにすることができる。
本発明の車両用前照灯装置によれば、使用状態に応じてアクチュエータを使い分けたロービーム用配光パターンを基本とする配光パターンの形成制御ができる。また、ロービーム用配光パターンの形成を複数系統の制御により実現できるので、前照灯装置のフェールセーフ性能を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に基づいて説明する。
本実施形態の車両用前照灯装置は、光源から照射された光の遮光状態を変化させて複数種類の配光パターンの中から1つの配光パターンを形成するシェード機構と、このシェード機構による遮光状態を変化させる複数のアクチュエータを含む。複数のアクチュエータは、そのいずれが駆動する場合でもシェード機構によりロービーム用配光パターンが形成可能となっている。
図1は、本実施形態の車両用前照灯装置10の概略構成を説明する構成図である。
図1に示す車両用前照灯装置10は、車両の車幅方向の左右に1灯ずつ配置されるいわゆる配光可変式前照灯と呼ばれる車両用前照灯装置である。車両用前照灯装置10は、車両前方方向に開口部を有するランプボディ12とランプボディ12の開口部を覆う透明カバー14で形成される灯室16を有する。灯室16には、光を車両前方方向に照射するランプユニット18が収納されている。ランプユニット18の一部には、当該ランプユニット18の揺動中心となるピボット機構20aを有するランプブラケット20が形成されている。ランプブラケット20はランプボディ12の内壁面に立設されたボディブラケット22とネジ等の締結部材によって接続されている。したがって、ランプユニット18は灯室16内の所定位置に固定されると共に、ピボット機構20aを中心として、例えば前傾姿勢または後傾姿勢に姿勢変化可能となる。
また、ランプユニット18の下面には、当該ランプユニット18を下方から支持するユニットブラケット24が固定されている。このユニットブラケット24には、ランプボディ12の外部に配置されたレベリングアクチュエータ26が接続されている。このレベリングアクチュエータ26は例えばロッド26aを矢印A、B方向に伸縮させるモータなどで構成されている。ロッド26aが矢印A方向に伸長した場合、ランプユニット18はピボット機構20aを中心として後傾姿勢になるように揺動する。逆にロッド26aが矢印B方向に短縮した場合、ランプユニット18はピボット機構20aを中心として前傾姿勢になるように揺動する。ランプユニット18が後傾姿勢になると、光軸を上方に向けるレベリング調整ができる。また、ランプユニット18が前傾姿勢になると、光軸を下方に向けるレベリング調整ができる。なお、灯室16の内壁面、例えば、ランプユニット18の下方位置には、ランプユニット18の点消灯制御や配光パターンの形成制御を行う照射制御部28が配置されている。この照射制御部28はレベリングアクチュエータ26の制御も行う。
ランプユニット18はエーミング調整機構を備えることができる。例えば、レベリングアクチュエータ26のロッド26aとユニットブラケット24の接続部分に、エーミング調整時の揺動中心となるエーミングピボット機構を配置する。また、ボディブラケット22とランプブラケット20の接続部分には車両前後方向に進退する一対のエーミング調整ネジを車幅方向に間隔をあけて配置する。例えば2本のエーミング調整ネジを前方に進出させれば、ランプユニット18はエーミングピボット機構を中心に前傾姿勢となり光軸が下方に調整される。同様に2本のエーミング調整ネジを後方に引き戻せば、ランプユニット18はエーミングピボット機構を中心に後傾姿勢となり光軸が上方に調整される。また、車幅方向左側のエーミング調整ネジを前方に進出させれば、ランプユニット18はエーミングピボット機構を中心に右旋回姿勢となり右方向に光軸が調整される。また、車幅方向右側のエーミング調整ネジを前方に進出させれば、ランプユニット18はエーミングピボット機構を中心に左旋回姿勢となり左方向に光軸が調整される。このエーミング調整は、車両出荷時や車検時、車両用前照灯装置10の交換時に行われる。そして、車両用前照灯装置10が設計上定められた規定の姿勢に調整され、この姿勢を基準に本実施形態の配光パターンの形成制御が行われる。
ランプユニット18は、バルブ30、リフレクタ32、シェード機構34、投影レンズ36を含んで構成される。光源であるバルブ30は、例えば、白熱球やハロゲンランプ、放電球、LEDなどが使用可能である。本実施形態では、一例としてハロゲンランプで構成されるバルブ30を示す。リフレクタ32はバルブ30から放射される光を反射して投影レンズ36へと導く。バルブ30からの光及びリフレクタ32で反射した光は、その一部がシェード機構34を構成する第1シェード38及び第2シェード40決定されるシェード形状により遮光され、シェード形状に対応した配光パターンを形成する。
本実施形態のおいて、第1シェード38は、略円筒形状の回転シェードで形成されている。そして、回転シェードの円筒外周面上には、軸方向に延設された稜線部を含むシェード部材が複数形成され、通過する光の一部を遮光して完全なハイビーム以外の配光パターンを形成する。また、第1シェード38の円筒面の一部には、切欠部38aが形成され光を遮光せずに完全なハイビームの配光パターンを形成できるようになっている。なお、第1シェード38は、シェード部材の1つとして、第1ロービーム用配光パターンである「標準ロービーム用配光パターン」を形成する。標準ロービーム用配光パターンは、例えば、道路交通法で車両の左側通行が定められている場合には、水平線に対して右側配光が左側配光より低いカットオフラインを有する配光パターンとすることができる。第1シェード38は、例えばモータを含んで構成される第1アクチュエータ42により回転駆動することにより複数のシェード部材または切欠部38aのうちいずれか1つを配光パターンの形成位置に移動させて光の遮光状態を決定する。このように、第1シェード38は回転駆動することにより、例えば、前述した左側通行用の標準ロービーム用配光パターンとは逆の配光パターン、つまり右側通行用で、左側配光が右側配光より低いカットオフラインを有する配光パターンを形成する。この右側通行用のロービーム用配光パターンは、いわゆる「ドーバーロービーム」と呼ぶこともできる。また、第1シェード38は、自車の直前位置に配光パターンを形成する「水平カット配光パターン」、自車線側のみハイビーム領域を照射する「左片ハイ配光パターン」、対向車線側のみハイビーム領域を照射する「右片ハイ配光パターン」、自車線、対向車線の両方をハイビーム領域とする「標準ハイビーム用配光パターン」などを形成する。
第2シェード40は、バルブ30の光軸に対し進退可能な2位置制御式のシェード部材である。第2シェード40は、進出位置においてバルブ30と第1シェード38との間に侵入してバルブ30からの光の一部を遮って第2ロービーム用配光パターンである「標準ロービーム用配光パターン」またはそれと同等と見なすことのできるロービーム用配光パターンを形成する。すなわち、第1シェード38による配光パターンの形成を阻止する阻止シェードとして機能する。また、退避位置においては、第1シェード38の動作による配光パターンの形成を許容する。第2シェード40の進退動作は、例えばソレノイドを含んで構成される第2アクチュエータ44により実行される。なお、本実施形態では、道路交通法で車両の左側通行が定められている地域で使用する車両用前照灯装置を基準にして配光パターンの名称を示している。したがって、道路交通法で車両の右側通行が定められている地域で使用する車両用前照灯装置を基準にする場合に配光パターンの名称が左右逆になる。
図1は、第2シェード40が標準ロービーム用配光パターンを形成するとともに、第1シェード38による配光パターンの形成を阻止する進出位置にある場合を示す図である。また、図2は、ランプユニット18のみを図示しているが、第2シェード40が第1シェード38による配光パターンの形成を許容する退避位置にある場合を示す図である。本実施形態の場合、第2シェード40は図示を省略したガイド部材に沿って、進出位置と退避位置の2位置を移動するようになっている。第2アクチュエータ44であるソレノイドは、例えば非通電である非制御状態のときにロッド44aを本体44b内のスプリングなどにより収納するタイプを利用可能である。したがって、ソレノイドの非制御時には、ロッド44aが収納されて第2シェード40を図1のような起立姿勢、つまり進出位置に移動させる。この状態で、バルブ30から放射された光またはリフレクタ32で反射された光の一部は第2シェード40により遮られて、当該第2シェード40の稜線部の形状で規定される標準ロービーム用配光パターンを形成する。
また、第2アクチュエータ44であるソレノイドに通電される制御時には、ロッド44aがスプリングの付勢力に逆らい本体44bから突出して、第2シェード40を図2のような傾倒姿勢、つまり退避位置に移動させる。この状態で、バルブ30から放射された光またはリフレクタ32で反射された光は第1シェード38により遮られて、当第1シェード38のいずれかの稜線部の形状で規定される配光パターンを形成する。
なお、照射制御部28は、車両側から提供される様々な制御信号に基づき、バルブ30の点灯制御を行う他、第2アクチュエータ44のソレノイドの通電制御、第1アクチュエータ42のモータの回転制御などを行う。
図3は、上述のように構成される車両用前照灯装置10の照射制御部28と車両100側の車両制御部102の構成を説明する機能ブロック図である。車両用前照灯装置10の照射制御部28は、車両100に搭載された車両制御部102の指示に従って電源回路46の制御を行いバルブ30の点灯制御を行う。また、照射制御部28は車両制御部102からの指示に従い第1アクチュエータ42を制御する第1シェード制御部48や第2アクチュエータ44を制御する第2シェード制御部50を制御する。
本実施形態の場合、車両用前照灯装置10によって形成される配光パターンは、運転者によるライトスイッチ104の操作内容に応じて切り替え可能であり、照射制御部28が第1シェード制御部48、第2シェード制御部50を介して第1アクチュエータ42、第2アクチュエータ44を駆動制御する。本実施形態の場合、通常時は、主として第1シェード38を駆動して当該第1シェード38が有する複数のシェード部材の中から所望のシェード部材を選択して配光パターンの切り替えるを行う。従って通常時、照射制御部28は、第2シェード制御部50により第2アクチュエータ44であるソレノイドに通電して第2シェード40を図2に示す退避位置に移動させておく。この状態で照射制御部28は、第1シェード制御部48を介して第1アクチュエータ42であるモータをライトスイッチ104の操作指示に従う角度分回転させて、第1シェード38の姿勢を決定する。その結果、第1シェード38の回転姿勢に従うシェード部材または切欠部38aにより遮光状態が切り替えられて所望の配光パターンが形成される。
図4に第1シェード38の外周面上に複数形成された板状のシェード部材の一例を示し、そのシェード形状で形成される配光パターンを図5に示す。図4(a)は、交通法規が左側通行である地域で利用する標準ロービーム用配光パターンを形成するシェード部材の稜線部の形状である。そして、図5(a)は、標準ロービーム用配光パターンを示している。図1に示すように、本実施形態の投影レンズ36は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズであるため、後方焦点面上に形成される光源像を、上下左右の反転像として車両前方の仮想鉛直スクリーン上に投影する。図5(a)に示すように、標準ロービーム用配光パターンは、左側通行時に対向車や歩行者にグレアを与えないように配慮された配光パターンである。
図4(b)は、右側通行用のロービーム用配光パターンで、いわゆる「ドーバーロービーム」を形成する稜線部の形状であり、図5(b)が対応するドーバーロービーム用配光パターンである。図4(c)は、自車の直前位置に配光パターンを形成する水平カット用の稜線部の形状であり、図5(c)が対応する水平カット用配光パターンである。図4(d)は、自車線側のみハイビーム領域を照射する左片ハイ配光パターンを形成する左片ハイ用の稜線部の形状であり、図5(d)が対応する左片ハイ配光パターンである。図4(e)は、対向車線側のみハイビーム領域を照射する右片ハイ配光パターンを形成する右片ハイ用の稜線部の形状であり、図5(e)が対応する右片ハイ配光パターンである。
図4(f)は、第1シェード38である回転シェードの断面形状を示す。回転シェードの外周面には、その軸方向に例えば30°間隔で稜線部を含むシェード部材が植設されている。例えば符号aで示す位置に図4(a)のシェード部材が形成され、符号bで示す位置に図4(b)のシェード部材が形成され、符号cで示す位置に図4(c)のシェード部材が形成され、符号dで示す位置に図4(d)のシェード部材が形成され、符号eで示す位置に図4(e)のシェード部材が形成されている。また、前述したように、回転シェードの外周面の一部を切り欠いて切欠部38aを形成している。この切欠部38aが自車線、対向車線の両方をハイビーム領域とする標準ハイビーム用配光パターン用の形状であり、図5(f)が対応する標準ハイビーム用配光パターンである。
前述したように、第2シェード40は第1シェード38による配光パターンの形成を阻止する阻止シェードとして機能する。つまり、第1シェード38の回転姿勢に拘わらず、すなわちいずれの配光パターンを形成してる場合でも、第2シェード40を進出位置に移動させることにより第2シェード40による配光パターンの形成ができる。本実施形態においてはロービーム用配光パターンが形成できる。しかも、第2シェード40を駆動する第2アクチュエータ44はソレノイドで構成されて他の構成とは独立的に駆動できると共に、周知のようにロッド44aの突出及び収納制御は高速に行うことができる。従って、第2アクチュエータ44を例えば非通電とするだけで第2シェード40をロービーム用配光パターンの形成状態に迅速に移行させることができる。
したがって、図1に示すように、第2シェード40が進出位置にあるときに、第1シェード38の切欠部38aが光軸上に位置するように回転制御しておくことにより、第2アクチュエータ44のオン・オフ制御を高速に行うことにより車両用前照灯装置10をパッシング状態にすることができる。また、ハイビーム用配光パターンを形成時に対向車や歩行者が発見された場合に、ロービーム用配光パターンに迅速に移行させることが可能になり、グレア防止を確実に実施できる。さらに、ロービーム用配光パターンからハイビーム用配光パターンへの復帰動作も第2アクチュエータ44のみだけで迅速に可能であり、対向車などが存在しなくなった場合に運転者の視界確保を迅速に実施できる。
また、第1アクチュエータ42を構成するモータが何らかの原因によりスムーズに制御できなくなり第1シェード38の回転制御ができなくなった場合は、第2シェード40のソレノイドへの通電をカットしてロッド44aを収納して第2シェード40を進出位置に迅速に移動させることができる。つまり、第1シェード38の回転状態に拘わらず第2シェード40によりロービーム用配光パターンを形成するフェールセーフモードに迅速に移行させることができる。その結果、回転シェードの制御不良により対向車や歩行者にグレアを与えてしまうことを確実に防止することができる。なお、第2アクチュエータ44を構成するソレノイドが制御不良になった場合でもソレノイド内部の復帰用のスプリングによりロッド44aが収納状態に自動復帰するので、迅速にロービーム用配光パターンを形成できる。その結果、ソレノイドの制御不良時のフェールセーフの機能も実現できる。なお、このようにフェールセーフモードに移行した場合には、車両制御部102は表示装置や音声装置を介して、フェールセーフモードに移行したことを運転者に報知したり、点検修理等を促すメッセージを提供してもよい。
また、本実施形態の車両用前照灯装置10は、ライトスイッチ104の操作によらず、車両周囲の状況を各種センサで検出して、車両周囲状況に最適な配光パターンを形成するように自動制御してもよい。例えは、自車の前方に先行車や対向車、歩行者等が存在することが検出できた場合には、車両制御部102はロービーム用配光パターンを形成してグレアを防止するべきであると判断して照射制御部28を制御する。また、自車の前方に先行車や対向車、歩行者等が存在しないことが検出できた場合には、シェードによる遮光を伴わないハイビーム用配光パターンを形成して運転者の視界を向上させるべきであると判断して照射制御部28を制御する。同様に前走車が存在せず対向車または歩行者が存在する場合には左片ハイ配光パターンを形成し、前走車のみ存在し対向車または歩行者が存在しない場合には、右片ハイ配光パターンを形成する等の制御を行う。
このように前走車や対向車、歩行者などの対象物を検出するために車両100の車両制御部102には、対象物の認識手段として例えばステレオカメラなどのカメラ106が接続されている。車両制御部102は、カメラ106から提供される画像データの中に予め保持している車両や歩行者を示す特徴点を含む画像が存在する場合、その車両や歩行者を考慮した最適な配光パターンを形成するように照射制御部28に情報を提供する。なお、車両前方に車両用前照灯装置10による照射を抑制すべき対象物を検出する手段は適宜変更可能であり、カメラ106に代えてミリ波レーダや赤外線レーダなど他の検出手段を用いてもよい。また、それらを組み合わせてもよい。
また、車両制御部102は、車両100に通常搭載されているステアリングセンサ108、車速センサ110などからの情報も取得可能であり、車両100の走行状態や走行姿勢に応じて形成する配光パターンを選択するようにしてもよい。例えば、車両制御部102はステアリングセンサ108からの情報に基づき車両が旋回していると判定した場合、旋回方向の視界を向上させるように左片ハイまたは右片ハイ配光パターンを形成するようにしてもよい。また、エーミング制御をリアルタイムで行うようにしてランプユニット18を旋回方向に向けて旋回方向の視界を向上させてもよい。このような制御モードを旋回感応モードということもできる。また、夜間に高速走行しているときには、遠方から接近する対向車や前走車、道路標識やメッセージボードの認識をできるだけ早く行えるように前照灯による照明を行うことが好ましい。そこで、車両制御部102は車速センサ110からの情報に基づき高速走行のときに、ロービーム用配光パターンの一部の形状を変えたハイウェイモードのロービーム用配光パターンを形成するように制御してもよい。このような制御モードを速度感応モードということができる。
この他、車両制御部102は、ナビゲーションシステム112から道路の形状情報や形態情報、道路標識の設置情報などを取得することもできる。これらの情報を事前に取得することにより走行道路に適した配光パターンをスムーズに形成することもできる。このような制御モードをナビ感応モードという。
また、本実施形態においては、第2シェード40が進出位置にある状態で、第1シェード38を回転させることができる。例えば、第1シェード38でロービーム用配光パターンを形成している場合を考える。この状況において、次に右片ハイ配光パターンを形成しようとして第1シェード38を回転させると、右片ハイ配光パターンを形成するシェード部材を配光パターン形成位置に移動させる過程で、他のシェード部材により意図しない配光パターンが形成される場合がある。その結果、運転者に対して、配光パターンの切り替え時の違和感を与えてしまう場合がある。また、前方車や歩行者に対しては、配光パターン切り替え時にパッシングのようなちらつき感を与えてしまう場合がある。そこで、ロービーム用配光パターンから他の配光パターンに切り替える場合は、第2シェード40によりロービーム用配光パターンを形成した状態、つまり、第1シェード38による配光パターンの形成を阻止しておき、バックグラウンドで第1シェード38を回転駆動して右片ハイ配光パターンの形成準備を行う。その後、第2シェード40を退避位置に移動させれば、他の配光パターンが形成されることなく、右片ハイ配光パターンを直ちに形成できる。つまり、運転者の違和感や前方車や歩行者のちらつき感を抑制できる。
また、ロービーム用配光パターン以外の様態からロービーム用配光パターンに移行させる場合は、第2シェード40でロービーム用配光パターンに移行させることができるので、上述のような違和感やちらつき感を与えてしまうことがない。この場合、必要に応じて第2シェード40によるロービーム用配光パターンの形成中に第1シェード38を回転させてロービーム用配光パターンを形成してもよい。その後、第2シェード40を退避位置に移動させることにより、第1シェード38によるロービーム用配光パターンに切り替えることができる。なお、第2シェード40と第1シェード38動作によるロービーム用配光パターン同士の切り替えは1度だけであり、また両者が形成するロービーム用配光パターンが実質的に同じ形状であれば、切り替え時の違和感やちらつき感は抑制できる。
図6、図7は、本実施形態の車両用前照灯装置10に適用可能なシェード機構の他の構造例を説明する概略構造図である。
図6は、複数の板状の部分シェード部材で構成される第1シェード52を円筒カム54によって上下方向に独立的に移動させることにより図4に示す各シェード部材の形状と同等の形状を形成する。例えば、独立して上下移動可能な2枚の板状の部分シェード部材で第1シェード52を構成する。また、円筒カム54及びモータ56で第1アクチュエータ58を構成する。モータ56の回転角度によって、第1シェード52の下端部と接触する円筒カム54の凹凸のカム面の位置が決定され、その時のカム面の凹凸状態によって第1シェード52の上下方向の位置が決まりシェード形状が決定される。
例えば、2枚の部分シェード部材が上下方向の段違いに上昇させるようなカム面が第1シェード52の下端部の位置にくるように円筒カム54を回転させれば、第1のロービーム用配光パターンである標準ロービーム用配光パターンやドーバーロービーム用配光パターンのシェード形状が形成できる。また、いずれか一方の部分シェード部材のみ上昇するように円筒カム54を回転させれば、右片ハイ配光パターンや左片ハイ配光パターン用のシェード形状が形成できる。そして、両方の部分シェード部材を下降させるように円筒カム54を回転させれば、ハイビーム用配光パターンのシェード形状ができる。なお、本実施形態においては、第1シェード52の各部分シェード部材をスプリング等の付勢部材60により円筒カム54方向に付勢して、第1シェード52の下端部と円筒カム54のカム面が密着して正確に上下方向に移動できるようにしている。また、モータ56にはポジションセンサ62が接続され、モータ56の回転状態、すなわち円筒カム54の回転状態を監視し、第1シェード52の動作状態を管理している。
一方、第2シェード64は、図2の例と同様にソレノイドで構成される第2アクチュエータ66によって上方向の進出位置と下方向の退避位置との間を移動できるように構成されている。この場合も第2シェード64は、進出位置において第2ロービーム用配光パターンである標準的なロービーム用配光パターンを形成すると共に、第1シェード52が配光パターンを形成することを阻止している。また、第2アクチュエータ66は通電時に第2シェード64を退避位置に移動させ、非通電時には内蔵するスプリングなどの付勢部材66aにより進出位置に移動するように構成されている。
このように構成される図6のシェード機構34においても、図1で説明したシェード機構34と同様の動作が実現できる。そして、第1アクチュエータ58と第2アクチュエータ66の動作によりロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンの高速切り替えができる。また、モータ56のフェール時は第2シェード64によるフェールセーフ機能を実現できる。さらに、第2シェード64を進出位置に移動させている間に、円筒カム54を回転させて所望のシェード形状を形成することができる。この状態で、第2アクチュエータ66を通電して退避位置に移動させれば、第1シェード52によるシェード形状による配光パターンを形成できる。その結果、図1で説明するのシェード機構34と同様に、配光パターン切り替え時に意図しない配光パターンが出現することを防止可能となり、照射時の違和感やちらつき感を抑制することができる。なお、図6の場合、第1シェード52として独立した複数の板状のシェード部材を用いるので、円筒カム54を別途作成することを考慮しても回転シェードを作成する場合に比べ加工が容易でありコスト低減に寄与できる。
図7は、図6の変形例であり、シェード機構34が第1アクチュエータ58と第2アクチュエータ66のいずれか一方により動作する共通シェード68を含んで構成されている。
第1アクチュエータ58の構造は、図6に示す構造と同じであり、円筒カム54を回転させて、そのカム面に応じて共通シェード68を上下移動させる。共通シェード68も図6で説明した第1シェード52の構造と実質的に同じであり、例えば独立して上下移動可能な2枚の板状の部分シェード部材で構成されている。そして、カム面の形状に応じて、個々の部分シェード部材が上下移動して、ロービーム用配光パターンや片ハイ配光パターン等特徴あるシェード形状を形成する。この場合も各部分シェード部材は、付勢部材60により円筒カム54のカム面に向かい付勢されて、共通シェード68の下端部と円筒カム54のカム面が密着して正確に上下方向の移動できるようにしている。
共通シェード68が図6の第1シェード52と異なる点は、側面に第2アクチュエータ66が接触可能な突起状のリフトフック70を有しているところである。リフトフック70と第2アクチュエータ66を構成するソレノイドのロッド66bは、通常時、つまり共通シェード68が円筒カム54の動作により駆動している場合は、ソレノイドが通電されて収納されている。つまり、リフトフック70とロッド66bが非接触状態になっている。この状態のとき共通シェード68は、第1アクチュエータ58を構成する円筒カム54からの動力伝達を受ける第1状態になっている。従って、共通シェード68は円筒カム54の回転角度に応じて図5に示す配光パターンのいずれか1つを形成できる。一方、第2アクチュエータ66を構成するソレノイドが非通電状態になった場合、付勢部材66aの付勢力によりロッド66bが突出位置に移動する。その結果、ロッド66bが付勢部材60の付勢力に反して上昇してリフトフック70を上昇させる。その結果、共通シェード68と第2シェード64との接続が解除されると共に、共通シェード68が第2アクチュエータ66によってのみ駆動するようにする。つまり、共通シェード68は第2アクチュエータ66からの動力伝達を受ける第2状態になっている。この場合、共通シェード68は第2アクチュエータ66の駆動によりロービーム用配光パターンを形成することになる。
従って、図7の例の場合、第2アクチュエータ66は第1アクチュエータ58の動作を阻止する阻止アクチュエータとして機能する。このように構成される図7のシェード機構34においても、図1で説明したシェード機構34と同様の動作が実現できる。そして、第1アクチュエータ58と第2アクチュエータ66の動作によりロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンの高速切り替えができる。また、モータ56のフェール時は第2アクチュエータ66によるフェールセーフ機能を実現できる。さらに、第2アクチュエータ66によって共通シェード68を進出位置に移動させて、共通シェード68と円筒カム54の接続を遮断している間に、円筒カム54を回転させて所望のシェード形状が形成でる状態にしておく。この状態で、第2アクチュエータ66を通電して退避位置に移動させれば、共通シェード68を第1アクチュエータ58の駆動による所望のシェード形成状態に移行させることができる。その結果、図1で説明するのシェード機構34と同様に、配光パターン切り替え時に意図しない配光パターンが出現することを防止可能となり、照射時の違和感やちらつき感を抑制することができる。なお、図7の場合、共通シェード68を用いるので、第2アクチュエータ66のみによって駆動するシェード部材が不要となる。その結果、図1,図6の例に比べて部品点数が少なく、コスト低減に寄与できる。
上述した各実施形態では、フェールが発生していない場合の通常時には、第1アクチュエータの制御によりロービーム用配光パターンを形成する例を示した。別の実施形態として、通常時に第2アクチュエータを非通電とすることによりロービーム用配光パターンを形成して、第2アクチュエータを積極的に利用するようにしてもよい。この場合、車両用前照灯装置10の点灯時に最も頻繁に利用するロービーム用配光パターンが第2アクチュエータの非通電制御によってなされる。その結果、車両用前照灯装置10を省エネ制御することができると共に、第2アクチュエータに含まれるソレノイドの摩耗劣化抑制に寄与できる。また、第1アクチュエータ58に含まれるモータの使用頻度を低減することが可能となりモータの摩耗劣化抑制に寄与できる。
また、図1、図2及び図6で説明したシェード機構34の場合、第2アクチュエータ44(第2アクチュエータ66)の非通電時に第2シェード40(第2シェード64)が突出位置に移動する例を説明した。別の例としては、第2アクチュエータ44(第2アクチュエータ66)の通電時に第2シェード40(第2シェード64)が突出位置に移動するようにしてもよい。つまり、通常時は第2アクチュエータ44(第2アクチュエータ66)を非通電として退避位置に移動させる制御を行い、第1シェード38(第1シェード52)によりロービーム用配光パターンを形成する。従って、上述のような省エネ制御やソレノイドの摩耗劣化抑制に寄与できる。なお、本実施形態では、第1シェード及び第2シェードのいずれでもロービーム用配光パターンを形成できる。言い換えれば、2系統のロービーム制御を実現している。そして、2系統両方が同時にフェールする可能性は限りなく少ない。従って、上述のように第1シェード及び第2シェードが制御時にロービーム用配光パターンを形成するようにしてもフェールセーフ機能を低下させることはないと見なすことができる。
各実施形態では、第1シェードまたは共通シェードの形成する配光パターンとして6種類を例に示したが、採用する配光パターンの数は必要に応じて適宜選択可能である。例えば、標準ロービーム用配光パターンに類似する配光パターンでも両端部分に形状的特徴を有する配光パターンや中央部分に形状的特徴部分を有する配光パターンを形成するようにしてもよい。また、オーバーヘッドサイン領域を照射する配光パターンやハイウェイモードを含む配光パターンを形成してもよい。
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能である。各図に示す構成は、一例を説明するためのもので、同様な機能を達成できる構成であれば、適宜変更可能であり、同様な効果を得ることができる。
10 車両用前照灯装置、 12 ランプボディ、 14 透明カバー、 16 灯室、 18 ランプユニット、 28 照射制御部、 30 バルブ、 32 リフレクタ、 34 シェード機構、 36 投影レンズ、 38、52 第1シェード、 40、64 第2シェード、 42、58 第1アクチュエータ、 44、66 第2アクチュエータ、 48 第1シェード制御部、 50 第2シェード制御部、 54 円筒カム、 68 共通シェード、 70 リフトフック、 100 車両、 102 車両制御部。
Claims (5)
- 車両前方へ光を照射可能な光源と、
前記光源から照射された光の遮光状態を変化させて複数種類の配光パターンの中から1つの配光パターンを形成するシェード機構と、
前記シェード機構による遮光状態を変化させる複数のアクチュエータと、
前記複数のアクチュエータのいずれか1つを駆動制御して光の照射状態を制御する照射制御部と、
を含み、
前記複数のアクチュエータは、そのいずれが駆動する場合でも前記シェード機構によりロービーム用配光パターンを形成可能とすることを特徴とする車両用前照灯装置。 - 前記シェード機構は、第1アクチュエータの駆動によって動作する第1シェードと、第2アクチュエータの駆動によって動作する第2シェードとを含み、
前記第1シェードは、ロービーム用配光パターンを含む複数種類の配光パターンの中から1つの配光パターンを形成可能であり、前記第2シェードは、ロービーム用配光パターンを形成可能であることを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯装置。 - 前記シェード機構は、第1アクチュエータと第2アクチュエータのいずれか一方により動作する共通シェードを含み、
前記共通シェードは、前記第1アクチュエータの駆動によりロービーム用配光パターンを含む複数種類の配光パターンの中から1つの配光パターンを形成可能であり、前記第2アクチュエータの駆動によりロービーム用配光パターンを形成可能であることを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯装置。 - 前記照射制御部は、前記第2アクチュエータの駆動により前記第2シェードで前記ロービーム用配光パターンを形成している間に、前記第1アクチュエータの駆動により前記第1シェードを動作させて前記第1アクチュエータの駆動状態に対応した配光パターンを決定することを特徴とする請求項2記載の車両用前照灯装置。
- 前記共通シェードは、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータに対して接離可能であり、
前記照射制御部は、前記第2アクチュエータの駆動により前記共通シェードで前記ロービーム用配光パターンを形成している間に、前記第1アクチュエータと前記共通シェードを分離すると共に前記第1アクチュエータを駆動して、当該第1アクチュエータが前記共通シェードと接続したときに前記第1アクチュエータの駆動状態に対応した配光パターンを決定することを特徴とする請求項3記載の車両用前照灯装置。
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JP2011235678A (ja) * | 2010-05-06 | 2011-11-24 | Koito Mfg Co Ltd | 車両用灯具システム、制御装置、および車両用灯具 |
JP2012009264A (ja) * | 2010-06-24 | 2012-01-12 | Koito Mfg Co Ltd | 車両用前照灯システム、制御装置、車両用前照灯 |
-
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