JP2010076094A - メタルボンドダイヤモンド砥石及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラス、セラミックス、シリコン基板等の研削工具、切断用工具として、切味がよく、砥石寿命が長く、研削抵抗が低く、びびり(振動)研削が少なく、木目細かな研削面が得られ、更にドレッサビリティの良いメタルボンドダイヤモンド砥石及びこれの製造方法を提供すること。
【解決手段】メタルボンドダイヤモンド砥石は、ねずみ鋳鉄を主成分として含んだ焼結メタルボンド部4と、焼結メタルボンド部4に分散、保持されたダイヤモンド砥粒3とからなる。
【選択図】図1
【解決手段】メタルボンドダイヤモンド砥石は、ねずみ鋳鉄を主成分として含んだ焼結メタルボンド部4と、焼結メタルボンド部4に分散、保持されたダイヤモンド砥粒3とからなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、ガラス、セラミックス、シリコン基板等の研削加工、切断加工として使用する研削ホイール又は切断ホイール等のメタルボンドダイヤモンド砥石に関する。
従来、ガラス、セラミックス、シリコン基板等の研削工具、切断用工具には、通常寿命が長く、切味が優れている等の点から、ダイヤモンド砥粒がメタルボンドされたメタルボンドダイヤモンド砥石が用いられている。
研削加工に用いられるダイヤモンド砥石は、一般に、台金上にダイヤモンド粉末とボンド構成メタル粉末との混合物の加圧焼結体層が設けられた構造を有しており、このようなダイヤモンド砥石の一例としての、ガラス板周縁を研削するペンシルエッヂダイヤモンド砥石は、図1に示すように、通常、台金1と、台金1上に形成された砥石層としての焼結体層2とを具備している。
メタルボンドダイヤモンド砥石のボンド構成メタルの主成分は、従来、銅−スズ合金又は鉄を主成分とした鉄−銅系からなるが、この銅−スズ合金系又は鉄−銅系等のメタル構成ボンドでは、(1)ダイヤモンド砥粒に対する保持力が弱く、研削時にダイヤモンド砥粒の脱落が早く砥石の寿命が短い、(2)脱落が多いため、研削部では、切り刃としてのダイヤモンド砥粒不足によってダイヤモンド砥粒間に高さの不揃いが生じ、たたき状態の研削となり研削面にぶつぶつと凹み(クレータ)が生じる、(3)ダイヤモンド砥粒の保持力が弱いため、個々のダイヤモンド砥粒が劈開形状に至らないうちに、すなわち個々のダイヤモンド砥粒が鈍角化に至らないうちにダイヤモンド砥粒の脱落が生じ、鋭角状のダイヤモンド砥粒により常に研削され、研削面が粗くなる、(4)脱落が多いため、有効ダイヤモンド砥粒数、すなわち切れ刃数が減少して、研削能力の低下を来し、而して、振動を起こして、研削面が波打ったようになる、等々の不都合が生じる。
ダイヤモンド砥粒の保持力を高めるため砥石中のボンド部の硬度を上げると、ボンド部の摩耗が少なくなるので、研削面に焼けを生じ、また摩擦抵抗によるびびり(振動)が大きくなり、またドレッサビリティ(目詰りボンドの切り屑除去による適正なダイヤモンド砥粒突出とチップポケットの形成)が悪化する等の問題が生じ、ボンド部の硬度を上げることには限界がある。
現存するメタルボンドの中でダイヤモンド砥粒保持能力が優れているタングステン系メタルボンドは、耐焼きつき性、熱伝導性が鉄系、銅系よりも劣るため、ガラスのような低融点材の研削では、研削面に焼けを起こし、不向きである。
ダイヤモンド砥粒の保持力を高める手段として、ダイヤモンド砥粒及びボンド構成粉末材をNi等でコーティングした上で焼結したダイヤモンド砥石が開発されているが、この技術では均一な砥石を製造することが困難であって、各砥石の性能がばらつく虞がある。
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、ガラス、セラミックス、シリコン基板等の研削工具、切断用工具として、切味がよく、砥石寿命が長く、研削抵抗が低く、びびり(振動)研削が少なく、木目細かな研削面が得られ、更にドレッサビリティの良いメタルボンドダイヤモンド砥石及びこれの製造方法を提供することにある。
本発明は、ボンド構成メタル粉末として、主成分がねずみ鋳鉄粉末からなるものを用いるメタルボンドダイヤモンド砥石の製造方法である。
また、本発明は、ボンド構成メタル粉末として、主成分のねずみ鋳鉄粉末に加えて、純銅粉末、銅被覆二硫化モリブデン粉末等の銅系粉末を更に含んだものを用いるメタルボンドダイヤモンド砥石の製造方法である。
更に、本発明は、ボンド構成メタル粉末として、主成分のねずみ鋳鉄粉末に加えて、純銅粉末、銅被覆二硫化モリブデン粉末等の銅系粉末及びカーボニル純鉄粉末を更に含んだものを用いるメタルボンドダイヤモンド砥石の製造方法である。
更に、本発明は、ボンド構成メタル粉末として、主成分のねずみ鋳鉄粉末に加えて、純銅粉末、銅被覆二硫化モリブデン粉末等の銅系粉末、カーボニル純鉄粉末及びすず粉末を更に含んだものを用いるメタルボンドダイヤモンド砥石の製造方法である。
本発明のメタルボンドダイヤモンド砥石は、ねずみ鋳鉄を主成分として含んだ焼結メタルボンド部と、この焼結メタルボンド部に分散、保持されたダイヤモンド砥粒とからなる。
また、本発明のメタルボンドダイヤモンド砥石では、ねずみ鋳鉄を主成分として含んだ焼結メタルボンド部は、純銅、銅被覆二硫化モリブデン等の銅系物質を更に含んでいる。
加えて、本発明のメタルボンドダイヤモンド砥石では、ねずみ鋳鉄を主成分として含んだ焼結メタルボンド部は、純銅、銅被覆二硫化モリブデン等の銅系物質及びカーボニル純鉄を更に含んでいる。
更に、本発明のメタルボンドダイヤモンド砥石では、ねずみ鋳鉄を主成分として含んだ焼結メタルボンド部は、純銅、銅被覆二硫化モリブデン等の銅系物質、カーボニル純鉄及びすずを更に含んでいる。
本発明のメタルボンドダイヤモンド砥石では、ボンド構成メタルの主成分が耐圧縮強さに優れたねずみ鋳鉄の焼結体で構成されているために、ダイヤモンド砥粒の保持力が大きく無駄な脱落が少なく、鈍角に摩耗されて均一高さに残って良い切味が長く続くなめらかな研削を行うことができ、少ない鋭角ダイヤモンド砥粒によるびびり研削が出難く、従ってガラス厚さ等の研削物の厚さ、砥石の周速に関係なく安定した研削能力が得られる。
一方また本発明のメタルボンドダイヤモンド砥石では、ねずみ鋳鉄のグラファイト(黒鉛)が焼結体中に存在するため、優れた潤滑作用と切り粉末の細分作用、すなわちマイクロベアリング効果が得られ、研削、切断等の加工物との摩擦抵抗が小さく焼け現象が起き難くく、更にねずみ鋳鉄の振動減衰能力により、振動を吸収してびびりを伴った研削を抑えることができ、加えて、ねずみ鋳鉄のグラファイトの存在よる被切削性により、ドレッサビリティに優れている上、切削加工中、切り粉末によって適度なチップポケットを形成できる。
以下、本発明をその実施の形態に基づいて更に詳細に説明する。
本発明メタルボンドダイヤモンド砥石は、ダイヤモンド砥粒となるダイヤモンド粉末とボンド構成メタル粉末とを好ましい容量比で混合し、この混合粉末を水素還元雰囲気中で、約900℃程度の温度下において、好ましくは0.5〜1.5t/cm2の範囲の加圧下で焼結することによって製造する。
ボンド構成メタル粉末は、平均粒径10〜500μmのねずみ鋳鉄粉末を主成分とし、これに純銅粉末、銅被覆二硫化モリブデン粉末等の平均粒径10〜500μmの銅系粉末を加え、更に、鋳鉄の焼結性の悪さを補うため、例えばカーボニル純鉄粉末を加え、更に通常は焼結保進材としてすず粉末を加える。
ダイヤモンド粉末とボンド構成メタル粉末との混合容量比は、ガラス板エッヂ研削としてのダイヤモンド粉末、粒度#200/230又は#170/200の場合は、10:90ないし35:65の範囲を通常とする。
ねずみ鋳鉄は、耐圧縮強度に優れ、従来のCu−Sn系、鉄−銅系等ボンドよりダイヤモンド砥粒の保持力が大きく、ダイヤモンド砥粒が容易に無駄に脱落して減少することを防ぐことができ、図2に示すように、切り刃として機能する各ダイヤモンド砥粒3は劈開摩耗した形状でもメタルボンド部4に残り、均等摩耗してその多くの各ダイヤモンド砥粒3は高さ均一の状態で研削を行うため、砥石の寿命は長く、切味が良い。しかも、この劈開摩耗した均等高さのダイヤモンド砥粒3による研削では、凹凸研削、すなわち、不揃い高さによるたたき研削がなくなり、滑らかで木目細かい研削面が得られる。
鋳鉄は、鉄系に比べ高温で安定した熱伝導を示し、その成分中の高温で摩擦抵抗が小さいグラファイトのマイクロベアリング効果、すなわち鋳物の離脱小片粒の転がり付着効果によって切り屑の排出が保進され、この離脱小片によるクッションによって研削面を衝撃等から保護する。
また、鋳鉄は、鉄、銅より被削性が良いので、ドレッサビリティに優れており、研削加工中、切り屑粉末によって適度なチップポケットが形成され易い。
鋳鉄粉末に加える銅系粉末は、鋳鉄粉末の焼結温度を約900℃に下げ、低温焼結を得ると共に、その優れた熱伝導性によって加工面の焼けを防ぐ働きをする。
レジンボンドダイヤモンド砥石に使用される二硫化モリブデンは、優れた潤滑性を示すが、焼結ボンドを脆くするので、好ましくは、その粉末に銅を蒸着によって被覆して使用するとよい。
カーボニル純鉄粉末は鋳鉄粉末の焼結性を容易にするために用いる。
本発明の鋳鉄系ボンドは、ダイヤモンド砥粒の被覆技術によらなくとも、砥石における、ダイヤモンド砥粒の保持力を大きくでき、耐焼きつき性、ドレッサビリティ、減衰能力、耐摩耗性を他のメタルボンドより優れたものとできる。
ボンド構成メタル粉末として、ねずみ鋳鉄粉末40容量%、カーボニル純鉄粉末20容量%、純銅粉末32容量%、すず粉末7容量%、銅被覆二硫化モリブデン粉末1容量%の組成からなるボンド構成メタル粉末と、粒度#200/230のダイヤモンド粉末とを、容量比75:25の割合で、ライカイ機で混合し、この混合物を金型に充填し、水素還元雰囲気中で、温度900℃、圧力1t/cm2で加圧焼結した。
得られた焼結体を機械加工して、図1に示すような、ペンシルエッヂタイプのガラス研削用砥石を製作した。
このようにして得られた砥石を用いて、竪軸タイプのガラス研削盤(自動車窓ガラス周縁研削用)でガラス板の研削試験を行った。
本実施例1によって得られた本発明砥石と従来品であるCu−Sn系砥石とによる上記研削試験によるそれぞれのガラス板研削加工面の粗さを、表面粗さ測定機で測定した結果を図3及び図4に示す。なお測定は、ガラス板に対する研削進行方向に沿って行った。
従来品のメタルボンドダイヤモンド砥石による研削面には、大きな凹凸と深い凹みとが生じていることが図4から解る。これは、凹凸研削、すなわち、ダイヤモンド砥粒の高さ不揃いによるたたき研削が行われているものと思われる。一方、本発明メタルボンドダイヤモンド砥石による研削面には、深い凹みがなく凹凸面が小さくなっていることが図3から解る。これは、ダイヤモンド砥粒の無駄な脱落が少なく、多くのダイヤモンド砥粒が鈍角に摩耗されて残り、高さが平均された状態で研削が行われているものと思われる。
ねずみ鋳鉄粉末40容量%、カーボニル純鉄粉末20容量%、純銅粉末32容量%、すず粉末7容量%、銅被覆二硫化モリブデン粉末1容量%の組成からなるボンド構成メタル粉末と、粒度#170/200のダイヤモンド粉末とを、容量比69:31の割合でライカイ機で混合し、この混合物を金型に充填し、水素還元雰囲気中で、温度900℃、圧力1t/cm2で加圧焼結した。
得られた焼結体を機械加工して、図1に示すようなペンシルエッヂタイプのガラス研削用砥石を製作した。
このようにして得られた砥石を用いて、竪軸タイプのガラス研削盤(自動車窓ガラス周縁研削用)でガラス板の研削試験を行った結果、実施例1とほぼ同じような効果が得られた。
尚、本実施例1のメタルボンドダイヤモンド砥石によって研削されたガラス板の研削面と従来のメタルボンドダイヤモンド砥石によって研削されたガラス板の研削面とを顕微鏡で観測してみると、図5及び図6に示すように、従来のメタルボンドダイヤモンド砥石による研削面には、焼けが極めて多く発生しており、本実施例1のメタルボンドダイヤモンド砥石による研削面には、ほとんど焼けが生じていないことが確認できた。
1 台金
2 焼結体層
3 ダイヤモンド砥粒
4 焼結メタルボンド部
2 焼結体層
3 ダイヤモンド砥粒
4 焼結メタルボンド部
Claims (8)
- ダイヤモンド粉末とボンド構成メタル粉末との混合粉末を加圧焼結してメタルボンドダイヤモンド砥石を製造する方法において、ボンド構成メタル粉末として、主成分がねずみ鋳鉄粉末からなるものを用いるメタルボンドダイヤモンド砥石の製造方法。
- ボンド構成メタル粉末として、純銅粉末、銅被覆二硫化モリブデン粉末等の銅系粉末を更に含んだものを用いる請求項1に記載のメタルボンドダイヤモンド砥石の製造方法。
- ボンド構成メタル粉末として、純銅粉末、銅被覆二硫化モリブデン粉末等の銅系粉末及びカーボニル純鉄粉末を更に含んだものを用いる請求項1に記載のメタルボンドダイヤモンド砥石の製造方法。
- ボンド構成メタル粉末として、純銅粉末、銅被覆二硫化モリブデン粉末等の銅系粉末、カーボニル純鉄粉末及びすず粉末を更に含んだものを用いる請求項1に記載のメタルボンドダイヤモンド砥石の製造方法。
- ねずみ鋳鉄を主成分として含んだ焼結メタルボンド部と、この焼結メタルボンド部中に分散、保持されたダイヤモンド砥粒とからなるメタルボンドダイヤモンド砥石。
- 焼結メタルボンド部は、純銅、銅被覆二硫化モリブデン等の銅系物質を更に含んでいる請求項5に記載のメタルボンドダイヤモンド砥石。
- 焼結メタルボンド部は、純銅、銅被覆二硫化モリブデン等の銅系物質及びカーボニル純鉄を更に含んでいる請求項5に記載のメタルボンドダイヤモンド砥石。
- 焼結メタルボンド部は、純銅、銅被覆二硫化モリブデン等の銅系物質、カーボニル純鉄及びすずを更に含んでいる請求項5に記載のメタルボンドダイヤモンド砥石。
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JP2010006315A JP2010076094A (ja) | 2010-01-14 | 2010-01-14 | メタルボンドダイヤモンド砥石及びその製造方法 |
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2010
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