JP2010065007A - クローディン−1産生促進剤及び皮膚バリア機能改善剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れたクローディン−1産生促進作用を有するクローディン−1産生促進剤、並びに、表皮バリア機能の正常化による乾燥肌、荒れ肌、アトピー性皮膚炎や各種感染症などの皮膚症状の予防・改善を効果的に行うことができる皮膚バリア機能改善剤の提供。
【解決手段】本発明のクローディン−1産生促進剤は、アルニカの抽出物、アシタバの抽出物、センキュウの抽出物、ハトムギの抽出物、及び冬虫夏草の抽出物から選択される少なくとも1種を含有する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明のクローディン−1産生促進剤は、アルニカの抽出物、アシタバの抽出物、センキュウの抽出物、ハトムギの抽出物、及び冬虫夏草の抽出物から選択される少なくとも1種を含有する。
【選択図】なし
Description
本発明は、植物や冬虫夏草の抽出物を含有するクローディン−1産生促進剤、並びに、前記クローディン−1産生促進剤を含有する皮膚バリア機能改善剤に関する。
皮膚は、外界からの刺激、例えば、乾燥、紫外線、その他の物理的、化学的刺激を緩和したり、水分等の体内成分の喪失を防御する機能を有している。この重要な機能は、皮膚のバリア機能と呼ばれ、その機能維持に重要な役割を担っているのが、表皮角化細胞が終末分化して形成された角質細胞と、細胞間を埋める細胞間脂質から形成される角層であることが知られている。
これまでの研究では、皮膚のバリア機能は角層のみが担っていると考えられていたが、表皮顆粒層に存在するタイトジャンクション(以下「TJ」と略記する)の構成タンパク質を遺伝子レベルで欠損させると皮膚のバリア機能が崩壊することから、近年TJも皮膚のバリア機能に重要な役割を担うと考えられている(非特許文献1)。TJは、隣接する細胞同士を密着させるだけでなく、細胞と細胞の隙間をシールすることで物質の透過を制御する結合装置である。TJを構成しているのは、細胞膜タンパク質クローディンやオクルディンであり、これらのタンパク質はTJストランドの骨格を構成し、TJのバリア機能を制御すると考えられている(非特許文献2)。以上のことから、クローディンやオクルディンの発現が何らかの原因で減少した場合、TJの構造的な破壊が起こり、物質の透過バリアとして機能しなくなることによって、乾燥肌、荒れ肌、アトピー性皮膚炎や各種感染症などの皮膚症状が引き起こされる。
即ち、表皮においてクローディンまたはオクルディンの産生を促進し、表皮角化細胞のTJ形成を促すことによって、皮膚のバリア機能及び水分保持機能を高め、前記皮膚症状を予防又は改善することができると考えられる。このような考えに基づき、TJ形成促進作用を有するものとして、オウレン抽出物(特許文献1)、トウヒ抽出物(特許文献2)等が知られている。
しかしながら、これまで角層バリア機能の改善に用いられていた成分は、細胞間脂質の成分を補うことや、皮膚に被膜を形成させることにより、皮膚バリア機能の改善効果を発揮していたが、表皮角化細胞のTJの構造については改善効果が十分でない場合もあり、機能的なTJの形成に働きかける成分の開発が望まれているのが現状である。
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れたクローディン−1産生促進作用を有するクローディン−1産生促進剤、並びに、表皮バリア機能の正常化による乾燥肌、荒れ肌、アトピー性皮膚炎や各種感染症などの皮膚症状の予防・改善を効果的に行うことができる皮膚バリア機能改善剤を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために、種々検討を行ったところ、アルニカの抽出物、アシタバの抽出物、センキュウの抽出物、ハトムギの抽出物、及び冬虫夏草の抽出物の各抽出物がクローディン−1産生促進作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、本発明者の前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、<1>アルニカの抽出物、アシタバの抽出物、センキュウの抽出物、ハトムギの抽出物、及び冬虫夏草の抽出物から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とするクローディン−1産生促進剤である。 <2>前記<1>に記載のクローディン−1産生促進剤を含有することを特徴とする皮膚バリア機能改善剤である。
本発明によれば、前記従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れたクローディン−1産生促進作用を有するクローディン−1産生促進剤、並びに、表皮バリア機能の正常化による乾燥肌、荒れ肌、アトピー性皮膚炎や各種感染症などの皮膚症状の予防・改善を効果的に行うことができる皮膚バリア機能改善剤を提供することができる。
(クローディン−1産生促進剤)
本発明のクローディン−1産生促進剤は、アルニカの抽出物、アシタバの抽出物、センキュウの抽出物、ハトムギの抽出物、及び冬虫夏草の抽出物の各抽出物から選択される少なくとも1種を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
本発明のクローディン−1産生促進剤は、アルニカの抽出物、アシタバの抽出物、センキュウの抽出物、ハトムギの抽出物、及び冬虫夏草の抽出物の各抽出物から選択される少なくとも1種を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記アルニカは、キク科(Compositae)の植物であり、学名はArnica montana L.である。構成部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、花、蕾、果実、果皮、果核またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも前記花が好ましい。
前記アシタバは、セリ科(Umbelliferae)の植物であり、学名はAngelica keiskei Koidzumiである。構成部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、茎、花、蕾、根茎、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも前記葉または茎が好ましい。
前記センキュウは、セリ科(Umbelliferae)の植物であり、学名はCnidium officinale Makinoである。構成部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、茎、花、蕾、根茎、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも前記根茎が好ましい。
前記ハトムギは、イネ科(Gramineae)の植物であり、学名はCoix lacryma−jobi L.var.ma−yuen Stapfである。構成部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、茎、花、蕾、種子、根茎、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも前記種子(ヨクイニン)が好ましい。
前記冬虫夏草は、フユムシナツクサタケ(Cordyceps sinensis(Berk.)Sacc.)の子実体とコウモリガ科の昆虫(Hepialus armoricanus Ober.)などの幼虫との複合体である。
前記アルニカ、アシタバ、センキュウ、ハトムギ、及び冬虫夏草の抽出物における、クローディン−1産生促進作用を発揮する物質の詳細については不明であるが、前記各抽出物がこのような優れた作用を有し、クローディン−1産生促進剤として有用であることは、従来には全く知られておらず、本発明者による新たな知見である。
前記各抽出物は、植物の抽出に一般に用いられている方法を利用して、前記各抽出原料に抽出処理を施すことにより、容易に得ることができる。また、前記各抽出物としては、市販品を使用してもよい。なお、前記各抽出物には、前記各抽出原料の抽出液、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又は、これらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
前記各抽出原料の形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、採取後ただちに乾燥し、粉砕したものが好ましい。前記乾燥は、例えば、天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。なお、前記各植物の抽出原料は、ヘキサン、ベンゼンなどの非極性溶媒によって脱脂などの前処理を施してから、抽出原料として使用してもよい。脱脂などの前処理を行うことにより、前記抽出原料の極性溶媒による抽出処理を、効率よく行うことができる。
前記抽出に用いる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性有機溶媒、又は、これらの混合溶媒を、室温又は溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。前記各抽出原料に含まれるクローディン−1産生促進作用を示す成分は、極性溶媒を抽出溶媒とする抽出処理によって容易に抽出することができる。
前記抽出溶媒として使用し得る水としては、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。従って、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
前記親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられ、該親水性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。
なお、前記水と親水性有機溶媒との抽出溶媒を使用する場合には、低級アルコールの場合は水10質量部に対して1〜90質量部、低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して1〜40質量部添加することが好ましい。また、多価アルコールの場合は水10質量部に対して1〜90質量部添加することが好ましい。
前記各抽出原料から、クローディン−1産生促進作用を有する抽出物を抽出するにあたって、特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温又は還流加熱下で、任意の抽出装置を用いて抽出することができる。具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽内に、前記各抽出原料を投入し、更に必要に応じて時々撹拌しながら、30分〜4時間静置して可溶性成分を溶出した後、ろ過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を留去し、乾燥することにより抽出物を得ることができる。抽出溶媒量は通常、抽出原料の5倍量〜15倍量(質量比)である。抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50℃〜95℃にて1時間〜4時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常40℃〜80℃にて30分〜4時間程度である。なお、溶媒で抽出することにより得られる抽出液は、抽出溶媒が安全性の高いものであれば、そのまま本発明のクローディン−1産生促進剤の有効成分として使用することができるが、濃縮液又はその乾燥物としたものの方が利用しやすい。
抽出により得られる前記抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るため、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製などの処理を施してもよい。なお、抽出により得られる前記抽出液は、そのままでもクローディン−1産生促進剤の有効成分として使用することができるが、濃縮液又はその乾燥物としたものの方が利用しやすい。抽出液の乾燥物を得るにあたっては、常法を利用することができ、また、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリンなどのキャリアーを添加してもよい。また、各抽出原料は特有の匂いと味を有している場合があり、そのため、前記抽出原料の抽出物に対しては、生理活性の低下を招かない範囲で、脱色、脱臭などを目的とする精製を行うことも可能であるが、例えば、化粧料に添加する場合などには大量に使用するものではないから、未精製のままでも実用上支障はない。なお、精製は、具体的には活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理などによって行うことができる。
以上のようにして得られる前記抽出物は、クローディン−1産生促進作用を有し、これらの作用に基づき、本発明のクローディン−1産生促進剤の有効成分として、それぞれ好適に利用可能なものである。前記クローディン−1産生促進剤中の前記抽出物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、また、前記クローディン−1産生促進剤は、前記抽出物そのものであってもよい。また、前記クローディン−1産生促進剤中、前記各抽出物は、いずれか1種のみが含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。前記クローディン−1産生促進剤中に2種以上の前記抽出物が含まれる場合の、各々の含有量比としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記クローディン−1産生促進剤中に含まれ得る、前記各抽出物以外のその他の成分としても、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記各抽出物を所望の濃度に希釈などするための、生理食塩液などが挙げられる。また、前記クローディン−1産生促進剤中の前記その他の成分の含有量にも、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記クローディン−1産生促進剤は、必要に応じて製剤化することにより、粉末状、穎粒状、錠剤状など、任意の剤形とすることができる。
(皮膚バリア機能改善剤)
本発明の皮膚バリア機能改善剤は、前記クローディン−1産生促進剤を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
本発明の皮膚バリア機能改善剤は、前記クローディン−1産生促進剤を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記皮膚バリア機能改善剤中の前記クローディン−1産生促進剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、また、前記皮膚バリア機能改善剤は、前記クローディン−1産生促進剤そのものであってもよい。また、前記皮膚バリア機能改善剤中、前記クローディン−1産生促進剤は、いずれか1種のみが含まれていてもよいし、2種が含まれていてもよい。前記皮膚バリア機能改善剤中に前記クローディン−1産生促進剤が含まれる場合の、各々の含有量比としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記皮膚バリア機能改善剤中に含まれ得る、前記クローディン−1産生促進剤以外のその他の成分としても、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記クローディン−1産生促進剤の少なくともいずれかを所望の濃度に希釈などするための、生理食塩液などが挙げられる。また、前記皮膚バリア機能改善剤中の前記その他の成分の含有量にも、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記皮膚バリア機能改善剤は、必要に応じて製剤化することにより、粉末状、穎粒状、錠剤状など、任意の剤形とすることができる。
(効果)
本発明のクローディン−1産生促進剤、並びに、皮膚バリア機能改善剤は、日常的に使用することが可能であり、有効成分である前記各抽出物の働きによって、優れたクローディン−1産生促進作用を有し、これらの作用に基づく皮膚バリア改善作用を、極めて効果的に発揮させることができるものである。そのため、本発明のクローディン−1産生促進剤、並びに、皮膚バリア機能改善剤によれば、例えば、乾燥肌、荒れ肌、アトピー性皮膚炎、及び各種感染症などの皮膚症状の予防・改善を効果的に行うことができる。
本発明のクローディン−1産生促進剤、並びに、皮膚バリア機能改善剤は、日常的に使用することが可能であり、有効成分である前記各抽出物の働きによって、優れたクローディン−1産生促進作用を有し、これらの作用に基づく皮膚バリア改善作用を、極めて効果的に発揮させることができるものである。そのため、本発明のクローディン−1産生促進剤、並びに、皮膚バリア機能改善剤によれば、例えば、乾燥肌、荒れ肌、アトピー性皮膚炎、及び各種感染症などの皮膚症状の予防・改善を効果的に行うことができる。
なお、本発明のクローディン−1産生促進剤、並びに、皮膚バリア機能改善剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、その作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することも可能である。また、本発明のクローディン−1産生促進剤、並びに、皮膚バリア機能改善剤は、天然由来の各抽出物を有効成分としたものであり、安全性に優れる点でも、有利である。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(製造例1)
−各抽出原料の水抽出物の製造−
各抽出原料として、アルニカの花、アシタバの葉、センキュウの根茎、ハトムギの種子、冬虫夏草をそれぞれ使用した。前記各抽出原料100gを、水1,000mLに投入し、穏やかに撹拌しながら2時間、90℃に保った後、ろ過した。ろ液を40℃で減圧下に濃縮し、更に減圧乾燥機で乾燥して、粉末状の抽出物を得た。
−各抽出原料の水抽出物の製造−
各抽出原料として、アルニカの花、アシタバの葉、センキュウの根茎、ハトムギの種子、冬虫夏草をそれぞれ使用した。前記各抽出原料100gを、水1,000mLに投入し、穏やかに撹拌しながら2時間、90℃に保った後、ろ過した。ろ液を40℃で減圧下に濃縮し、更に減圧乾燥機で乾燥して、粉末状の抽出物を得た。
(試験例1)クローディン−1産生促進作用試験
被験試料として、アルニカ抽出液BG、アシタバ抽出液BG、センキュウ抽出液BG、ヨクイニン抽出液BG、及び冬虫夏草抽出液BG(全て丸善製薬株式会社製)の各凍結乾燥品を用い、下記の試験方法によりクローディン−1産生促進作用を試験した。
正常ヒト皮膚表皮角化細胞(NHEK)を80cm2のフラスコで正常ヒト表皮角化細胞培地(KGM)にて37℃、5%CO2下で培養し、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.0×105個/mLの細胞密度となるようにKGMで希釈した後、96ウェルプレ−トに1ウェルあたり100μLずつ播種し、5%CO2下、37℃で1日間培養した。
培養終了後、KGMで溶解した試料溶液を各ウェルに100μLずつ添加し、37℃、5%CO2下で24時間培養した。培養終了後、培地を抜き、細胞をプレ−トに固定させ細胞表面に発現したクローディン−1の量をポリクローナルクローディン−1抗体を用いたELISA法により測定した。
得られた測定結果から、下記式によりクローディン−1産生促進率(%)を算出した。
クローディン−1産生促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「試料添加時の波長405nmにおける吸光度」を表し、Bは「試料無添加時の波長405nmにおける吸光度」を表す。
上記試験の結果を表1に示す。なお、上記計算式において、試料無添加のクローディン−1産生促進率は100%となる。
被験試料として、アルニカ抽出液BG、アシタバ抽出液BG、センキュウ抽出液BG、ヨクイニン抽出液BG、及び冬虫夏草抽出液BG(全て丸善製薬株式会社製)の各凍結乾燥品を用い、下記の試験方法によりクローディン−1産生促進作用を試験した。
正常ヒト皮膚表皮角化細胞(NHEK)を80cm2のフラスコで正常ヒト表皮角化細胞培地(KGM)にて37℃、5%CO2下で培養し、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.0×105個/mLの細胞密度となるようにKGMで希釈した後、96ウェルプレ−トに1ウェルあたり100μLずつ播種し、5%CO2下、37℃で1日間培養した。
培養終了後、KGMで溶解した試料溶液を各ウェルに100μLずつ添加し、37℃、5%CO2下で24時間培養した。培養終了後、培地を抜き、細胞をプレ−トに固定させ細胞表面に発現したクローディン−1の量をポリクローナルクローディン−1抗体を用いたELISA法により測定した。
得られた測定結果から、下記式によりクローディン−1産生促進率(%)を算出した。
クローディン−1産生促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「試料添加時の波長405nmにおける吸光度」を表し、Bは「試料無添加時の波長405nmにおける吸光度」を表す。
上記試験の結果を表1に示す。なお、上記計算式において、試料無添加のクローディン−1産生促進率は100%となる。
〔表1〕
試料名 添加濃度 クローディン−1産生促進率
アルニカの花抽出物 2.5μg/mL 103.6%
アシタバの葉抽出物 10.0μg/mL 104.6%
2.5μg/mL 103.2%
センキュウの根茎抽出物 10.0μg/mL 102.0%
2.5μg/mL 102.4%
ハトムギの種子抽出物 10.0μg/mL 102.9%
2.5μg/mL 101.3%
冬虫夏草の抽出物 10.0μg/mL 102.8%
試料名 添加濃度 クローディン−1産生促進率
アルニカの花抽出物 2.5μg/mL 103.6%
アシタバの葉抽出物 10.0μg/mL 104.6%
2.5μg/mL 103.2%
センキュウの根茎抽出物 10.0μg/mL 102.0%
2.5μg/mL 102.4%
ハトムギの種子抽出物 10.0μg/mL 102.9%
2.5μg/mL 101.3%
冬虫夏草の抽出物 10.0μg/mL 102.8%
試験例1の結果から、アルニカの抽出物、アシタバの抽出物、センキュウの抽出物、ハトムギの抽出物、及び冬虫夏草の抽出物は、クローディン−1産生促進作用を有することが確認され、アルニカの抽出物、アシタバの抽出物、センキュウの抽出物、ハトムギの抽出物、及び冬虫夏草の抽出物が、皮膚バリア機能改善剤の有効成分として、好適に利用可能であることが示唆された。
本発明のクローディン−1産生促進剤及び皮膚バリア機能改善剤は、表皮におけるクローディン−1の産生促進作用によって皮膚バリア機能を正常化させることにより、乾燥肌、荒れ肌、アトピー性皮膚炎や各種感染症などの皮膚症状の予防・改善に大きく貢献できる。
Claims (2)
- アルニカの抽出物、アシタバの抽出物、センキュウの抽出物、ハトムギの抽出物及び冬虫夏草の抽出物から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とするクローディン−1産生促進剤。
- 請求項1記載の抽出物を有効成分として含有することを特徴とする皮膚バリア機能改善剤。
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